---桐ヶ谷和人---
家に帰り、ネットで調べた。悪魔から人間に戻る方法をだ。俺が悪魔になったと聞いた
直葉は、俺を避けるような素振りを見せた。人間に戻らないと…明日奈に顔向けが出来ない。
あった…都市伝説ではあるが、処女の血を用いて悪魔を召喚し、願いを叶えて貰う方法を見つけた。処女かぁ…直葉に貰うか。
鍛錬から戻った直葉に詰め寄った。
「なぁ、処女血をくれ」
唖然としている直葉。
「少しでいいんだ。分けてくれ」
「お兄ちゃん…何を言っているの?意味を分かって言っているの?」
直葉は涙目になって、後退りしている。俺を避けるつもりか?そうはさせない。直葉に抱き付き、逃げられないようにした。
「やめて…ねぇ、お兄ちゃん…」
恐い物でも見たかの様な直葉。直葉の手首を後手で縛り上げた。そして、直葉の部屋に入った。コンパスで指を傷つければいいか。机の中を探し、コンパスを見つけた。
「お兄ちゃん、コンパスで何をするの…ねぇ、止めてよ~!」
叫び始めた直葉。目に入った布テープで口を塞いだ。これで叫べないだろう。直葉を腹這いにして、親指に針を刺して、出血させ、悪魔召喚用の魔方陣の所定の場所に、その血で文字を書いていく。
だけど、悪魔が召喚出来なかった。何が違ったんだ?まさか、直葉は処女では無く、既に…あの大樹ってヤツと…
ズン!
首筋に衝撃が走り、意識が飛んで行った。
---桐ヶ谷直葉---
お兄ちゃんに犯される…愛無き行為はいやぁぁぁぁ~!口を塞がれて、声が上げられない、腹這いにされ、何をされているのか見えない。
チクッ!
指に何かが刺さる痛み…そうか、処女血の意味を誤解しているんだ。って、それだと、私は処女で無いことにされちゃう…どっちもいやぁぁぁぁ~!
心で叫び続けていると、誰かに身体を起こされた。大樹だった。
「大丈夫?」
口に張られたテープを剥がしてくれだ。
「ありがとう…大樹…」
「直葉の心の声が聞こえたんだよ。祖父ちゃんと助けに来たんだ」
お兄ちゃんを拘束している師匠。
「お前の兄は、物わかりが悪いのか?実の妹から処女血を採取って…」
いや、実の妹では無いけど…
「あぁ、そうだった。義理の妹だったな」
師匠は心の声が聞こえるそうだ。大樹はちょっとずつ聞こえる様になってきたらしい。
「怪我はしていない?」
「親指に針刺されたよ」
大樹が手を翳してくれ、傷が治っていく。
「どうするかな。君の兄は、預かろうか。犯罪に走りそうだし」
他人を襲う可能性があるのか。
「お願いします。なんで、ゲームなんかの為に、悪魔になるって約束しちゃうのかな」
ゲーマーたる所以なのか?他人の話をロクスポ訊いていないんだろう。
「私はどうすれば良いですか?」
「大樹の友達でいいんじゃないか?その先のことは、本人同士で決めてくれ。僕は大樹の恋路には関わりたくないから」
大樹の恋路かぁ…ライバルは明日奈さんだよな。険しいなぁ。本妻は無理でも、愛人ならなれるかな。って、心の声は駄々漏れし、大樹が狼狽えていた。
「誰が本妻とか、まだ決めていないけど…だって、未だ中学生だし…」
だよね…
---鬼門大樹---
更なる鍛錬が言い渡された。はぁ?どこにそんな時間が…って、盾の勇者の世界での睡眠時間に睡眠鍛錬だと言う。はぁい?
「お前、女性アレルギーか?」
うっ…アレルギーでは無いが、祖父ちゃんの遺伝子の中にある、エロ系を拒否している為か、女性とのコミュ障があるようだ。恋愛対象外の女性には、問題無いのだが、対象内だと、苦手である。
「今回は一人で異世界へ飛ばす。持ち帰れる人材は一人だけだ」
って、装備は変えてくれた。ナイトクロウガントレットの最新モデル、左にはライトニングアローを内蔵し、右にはライトニングブーメランを内蔵していた。
「ライトニングアローは、矢の最大射出数は魔力次第だ」
聖なるナイフは返却して、フレイナイフと名の無きナイフにグレードアップされた。名の無きシリーズは、祖父ちゃんの作品で、使い手が装備に認められれば、名前が刻まれるそうだ。
「後、魔法の財布だ。『強奪』したお金が、金種別に入る財布だよ。容量は無制限で、大樹にしか使えない」
なんか、待遇が良いのだけど、その分、飛ばされる先に不安があったり。
「どこに遠征?」
って、訊いたのだが、僕はオラリオの街に転移していた。はぁい?
◇
一人って言うことは、まず住む場所を確保しないと…いや、先にお金だな。大きなファミリアの主神から、お金を『強奪』しておく。経験上、ロキ、ゾーマ辺りは、奪っても気づかれない場合が多い。
よし今度は、住む場所だ。どこにするかな。住み込みで働くとなると、どこかのファミリアであるが、実績がないと入れてくれない。
うん?どこかで剣の音がする。追いはぎかな?音のする方へ行くと、一人に多人数が斬り掛かっていた。一人は怪我をしているようだ。助太刀するかな。瞬動術で、怪我人の傍に行き、ヒールを掛けながら、ガードをする。
「貴様、見かけん顔だな?」
うん?この人は…オッタルさんか…フレイヤ・ファミリアの追い込みか?
「一人に多人数は頂けない」
「貴様も斬り刻んでやる!」
あれ?助けた怪我人は、有名人であった。なんで、襲われていたんだ?まぁ、目の前の獲物に集中しよう。オッタルさん以外を次々に戦闘不能にして、お金を『強奪』していく。
「貴様、中々やるなぁ。どこのファミリアだ?」
「どこにも入っていないよ」
オッタルさんの一撃をナイフ二降りの峰で受ける。重いなぁ。受けた瞬間、『メタルバースト』を発動した。相手の金属製の装備を粉砕する魔術である。
「うっ!」
防具が粉砕され、身体に突きささったオッタルさん。
「貴様、魔導戦士か?」
「外れです。僕はバーサクヒーラーですよ」
「くそっ!覚えていろよ!」
オッタルさん達が去って行く。怪我人の元へ行く。
「歩けますか?」
「えっ…あの…」
衣服と下着がキレられていた。歩くと、見えちゃいそうだな。彼女をおぶい、彼女の所属するファミリアにホームへつれて行く。
「ありがとう…」
「いえ、困っている人には手を差し出せと、祖父に教育されています」
「あの…お名前は?」
「大樹です。鬼門大樹です」
一瞬、彼女の身体が強張った気がした。祖父が、なんかやらかした世界かな。まぁ、いいか。そして、彼女を彼女のホームの前で降ろして、その場を立ち去った。
さて、どこに寝泊まりするかな…
---フィン・ディムナ---
アイズがボロボロになって帰って来た。
「どうしたんだ?」
「大樹君が助けてくれたの」
助けられたようだ。いや。襲った相手を訊いたのだが…
「大樹君はどこに所属していないくて、バーサクヒーラーだって。ねぇ、フィン、入れてあげて」
バーサクヒーラー?この街では聞かないジョブだな。戦えるヒーラーか。欲しい人材である。
「あぁ、入れあげる。どこにいるんだ?」
「今夜の寝床を探しているかも」
アイズは、自分の部屋に戻り、服を着替えて、飛び出して行った。
「ティオナ、リヴェリア、頼む!」
アイツ、襲われたんだろうに…
「わかった」
二人がアイズを追いかけた。
---鬼門大樹---
う~ん…ヒーラーなら、医療系ファミリアなら、入れてくれるかな。そうなるとミアハ様なんかどうかな。女性はナァーザだけだし、彼女は苦手では無いし、いいかな。って、道に迷った気がする。ここはどこだ?
「いた!」
えっ?見付かった。って、誰に?背中に柔らかな物が2つ押し当てられている。これって…まさか…
「大樹君、住む場所無いんだよね?」
アイズさんの声…アイズさんの胸って柔らかいんですね。
「どこか、住み込みの仕事ってありますか?」
「フィンに訊いたら、入れてくれるって」
フィンさんは、ロキ・ファミリアの団長さんである。で、僕はロキ・ファミリアは苦手である。アイズさん、ティオナさんが苦手であるのだった。だけど、抱きつかれていて、固まっている僕。
「アイズ、彼か?」
緑髪のハイエルフ様だ。祖父ちゃんの苦手な人物であるリヴェリアさんだ。
「うん、大樹君を捕まえたよ。連れ帰っていいよね?」
「あぁ、勿論だ。アイズが、そこまで気に入るって、珍しいなぁ」
「私はティオナだ。よろしくな!」
良く知っている。アイズさんの相棒って言って良いアマゾネスさんである。
「大樹です。よろしくお願いします」
「大樹君、さっきみたいに、オンブして」
アイズさんのリクエストを叶える僕。
「そんな体勢で、送ってもらったのか?」
「うん。大樹君の背中、安らぐんだよ」
それは多分、癒やしのオーラの恩恵だと思う。
◇
ロキ・ファミリアに入団する為に。主神のロキから恩恵を受ける。って、恩恵を受けられるのか?過去に受けた覚えが無いんだけど…
「う~ん…どないしてや?ステイタスが出へん…」
背中に本当なら。ステイタスが出るらしいのだが…
「なぁ、種族は何や?」
「不明です」
「不明かぁ…って、不明って、なんや?!両親の種族はなんや?」
「両親に会ったことが無いので、分かりません」
「はぁ?会ったことないんかぁ?」
「無いんです。祖父に育てられていたので…」
「祖父の種族は?」
「シュウ・ヨハネ・鬼門ですけど…」
種族知らないので、名前を答えた。
「はぁ?あの鬼畜の孫かぁ?う~ん…眷属にできへんなぁ。だが、人材的には欲しいんや。どうやろ、アイズたんの彼氏枠で、ここにいてくれへんか?」
はぁ?彼氏枠って何?
「僕なんかが彼氏で良いんですか?」
「はい…」
僕に抱きつき…頬にキスを…
「じゃ、そういうことで…」
---フィン・・ディムナ---
「ロキ、どういうことだ?」
大樹という青年、アイズの彼氏枠で、このファミリアにいてもらうことになったのだが。
「どうって、なんや、フィン?」
「契約出来ないって、どういうことだ?」
契約出来ない可能性は1つだけだ。ロキよりも上の階位の神である場合だ。
「彼は神なのか?」
「それはわからん。だが、祖父が鬼畜なら、可能性は大や」
鬼畜?
「鬼畜って何だ?」
「昔話に出てくるやろ?」
「昔話に出てくる鬼畜?確か…敵対勢力の男は瞬殺し、女、子供は玩具にして遊び尽くすって…あの鬼畜か?」
「そうや…ソイツの孫で間違い無いやろ」
おい…鬼畜の孫だと…
「あの鬼畜は『神殺し』なんや。ウチなんか、簡単にロストされてしまう。穏便にいこや、フィン」
「問題が起きないか?」
「孫を粗末に扱った方が問題やで…」
「鬼畜の正体は何なんだ?」
「人間、亜人には知って良い領域があるんや。それを超えて知るには、やめにゃアカン。フィンはその覚悟があるんか?」
無い…知らないでも生きて行けるのに。なんで、人間、亜人を辞めないとダメなんだ?
---鬼門大樹---
う~ん…何故か女風呂に入っている。アイズさんに連れ込まれたと言うか、誰も拒否しないって、おかしいでしょ?
「大樹君、どうしたの?」
「目のやり場に困ります…」
アイズさんとティオナさん、リヴェリアさん達に、身体を見られ、触れて、悶悶状態であった。
「男の子って、こうなっているんですね」
レフィーヤさんにはガン見されているし。
「まぁ、女性と男性の違いは、そこと胸だ」
リヴェリアさんが、熱弁している。
「大樹君、湯船に入った方がいいよ」
僕の腕に抱き、アイズさんに湯船に誘導された。温泉では無いようだ。
「なぁ、大樹。生理痛って治るのか?」
ティオナさんに訊かれた。
「どうなんだろう?試しにやってみますね」
ティオナさんの下腹部に手を翳し、念を込めていく。
「おぉ、暖かくなってきた。あぁ、痛みが和らぐなぁ~。お礼に、胸をガン見していいぞ、大樹」
ガン見しても…うっすらと盛り上がっているだけだし…
「大樹、明日の朝、剣の鍛錬を一緒にしよ」
って、アイズさん。
「いいですよ」
「私も参加する」
って、ティオナさん。
翌朝、アイズさんと剣の鍛錬。って、言っても、模擬戦である。彼女の攻撃を受け流していく。下手に攻撃すると、怪我をさせてしまいそうだ。
「おい!そこの優男!俺のアイズに何をしているんだ?」
ベートかぁ…ナイフをしまい、格闘戦で応対する。軸足を踏み込み、蹴り脚を掴み、股間を蹴り上げた。
「うっ!」
その場で崩れるようにして倒れ、悶絶するベート。男相手に、手加減は不要である。
「アイズさん、続きをしましよう」
「うん。大樹君」
---フィン・ディムナ---
「どう思う?」
アイズと大樹の模擬戦を、リヴェリアと共に見ていた。
「アイズの剣を受け流しているだけだが、アイズは本気のようだな」
僕にもそう見える。必死に繰り出しているが、大樹が簡単に受け流しているように見える。
「アイズの話では。オッタルが逃げたそうだ」
それは、アイズの襲撃者は。フレイヤ・ファミリアってことか。
「オッタルが大樹のことを、魔導戦士だと看破したらしい」
バーサクヒーラーでなく、魔導戦士なのか?どちらも上級ジョブ種である。簡単になれるジョブでは無い。それなりに修行を積んでこそなれるジョブであるのだ。
「大樹を連れて。潜ってみるか?」
「あぁ、ゾクゾクする。あの鬼畜の孫の実力を見られると思うとな」
鬼畜の孫っていうのが眉唾なんだが…昔話であり、童話であるから、実在はしていないと思うのだ。