新たなる魔法体系の世界へ
---鬼門大樹---
そして、ベルは現れず…またしても、失敗のようだ。アストレア様がオラリオにいて、アリーゼさんが生きているパターンではダメなのか、検証している綾香様。
「と、言う訳で、違う世界の案件を先にこなす」
って、祖父ちゃん。
「今度の世界は、魔法体系が違う世界だ。案件内容は、まず新たな魔法体系の会得、あと、魔人、賢者の正体を解析だ」
嬉しそうな顔の祖父ちゃん。初めての異世界故、まだ見ぬ女体に期待を抱いているようだ。
「メンバーは、僕と大樹はデフォで…」
何故か、俺はデフォになっているし。
「イッセーとヴァーリ、」
えっ…父さんと母さん…どうして…この前、俺の両親と判明したイッセーさんとヴァーリさん。気軽に接することが出来無いでいる俺。慣れる機会を作ってくれたのか?
「リアスとセーラ、」
このリアスさんは、セーラさんのメイドになったリアスさんであろう。
「回復役はアーシアだ」
「じゃ、私の出番だな」
って、青髪ことゼノヴィアさんが声を上げた。
「じゃ、私もだな」
その相棒である赤髪のアイズさんも声を上げた。
「えっ?!」
動揺する祖父ちゃん。このアイズさんを苦手としているようだ。
「では、私達も行きます」
って、笑顔のミトさんとヒナタさん。その世界を征服出来そうな戦力である。
「いやいや、魔法使いを連れて行きたいんだ。剣士は…」
笑顔の4名の女性剣使い達は、祖父ちゃんに剣先をを向けている。拒否は許さないって意味のようだ。
「魔法なら私と大樹が使えるし」
って、ミトさん。祖父ちゃんの屍姦専用要員である。
「そうなるのか…う~む…」
「ミトが行くなら、ボクもいくよ」
って、天ちゃん。ますます人数が増えていく。
◇
転移したのは、森の中であった。これから、潜入検証する街は、管理が行き届いていて、街に家が持てなかったらしい。
「身分が不確かな者は、家を持てないとは…」
森の中に、いつもの移動拠点を設置した。まぁ、森から街まで片道2時間、まぁ、移動は転移術があるので、問題は少ないようだ。
「じゃ、みんなに市民証を渡しておく」
この世界では身分証代わりに、街ごとが発行する市民証が、その役目をする。クレジットカード用途に使えない物の、銀行口座への出し入れや、魔物の討伐数の確認など、この身分証で出来るそうだ。
「この市民証の解析は終わっているので、付加機能も入れてある」
誰がどこにいるか分かる様に、GPSのような機能を入れたようだ。
「で、大樹。お前、受験して受かれよ」
魔法体系を知る為に、魔法科高校へ通うことになった俺。ここでは、王国立らしく、授業料や諸経費など総て、国がもってくれるそうだ。当然、合格すればである。
◇
魔法科高校の正式名称は、アールスハイド魔法学院といい、アールスハイド王国の王都にある。早速王都に転移して、入学試験の願書を取りに行った。だが、この街は広すぎた。迷子である。空を飛べば、場所は一目瞭然であるが、この世界には浮遊術がまだ無いらしい。なので、空中散歩禁止と祖父ちゃんに言われた。
遠くにお城は見える。だけど、高校はどこにあるんだ?なるべく大きな通りを歩いていたはずだが…
「やめてください!」
女性の声。なんか揉め事のようだ。声のした場所へ向かうと、男3名が、少女2名を壁際まで追い込んで、ナンパしていた。
「俺達はハンターだよ。いうなれば、正義の味方だよ。そんな俺達と遊べるんだ、ラッキーに思えよ」
「たっぷりと、唄わせてやるよ、ふふふ」
ゲスだな。強制転移術で排除した。排除先は、お城の中だ。そこしか、この街でのランドマークを知らないから。
「えっ?!消えた…」
野郎共が消えたことに、固まる少女2名。強気そうな赤毛の少女と、弱々しそうな水色髪の少女。
「おい、お前!何かしたのか?」
赤毛の少女が俺を指差して訊いて来た。
「戦うまでも無いので、排除した」
正直に答える。祖父ちゃん同様、俺もウソを吐けないスキル持ちらしい。不便である。
「排除?どこに?」
目を点にしているような水色髪の少女。
「あそこだよ」
お城を指差す俺。
「はぁ?」
唖然としている少女2名。
「なぁ、魔法科高校って、どこにあるんだ?」
俺にとっての問題を、彼女達に訊いてみた。
「魔法科高校?もしかして、アールスハイド魔法学院のことですか?」
「そんな校名だったような…で、どこ?」
「何をしに行くんだ?」
赤毛の少女に訊かれた。
「来年、入学試験を受けるんだよ。だから、願書を取りに行きたいんだ」
「あっ!同じだ…」
水色髪の女の子が声を上げた。どうやら、彼女達も魔法科高校を受験するらしい。
◇
カフェでコーヒーブレイク中である。赤毛の少女マリアと水色髪少女のシシリーのおかげで、願書を貰い、参考書も買えた。なので、お礼代わりに、甘味をごちそうしている。
「この街に住んで居ないのか?」
驚いたような声を上げるマリア。
「一家で越してきたんだけど、家が買えなくて、森の中に住んで居るんだよ」
「森?ここから片道で2時間は掛かるよ。通えるの?」
シシリーが心配そうに訊いて来た。
「あぁ、それは問題無いよ。この後、家に来る?」
「今からか?往復で4時間だぞ…」
マリアが睨んでいる。
「一瞬で済むよ」
コーヒーブレイクを終え、二人と路地裏に入ると、転移した。目の前の景色が森の中に一瞬で変わった。
「む、む、無詠唱で…転移術だって?」
マリアが驚きの声を上げ、シシリーは驚き過ぎて固まっている。
「あの家に住んでいるんだよ」
と、二人を家に連れ帰った。
◇
夕食…パーティーのような感じだ。
「大樹が二人も連れ帰るって…良い傾向だ」
って、祖父ちゃん。
「今後も大樹と仲良くしてくださいね」
って、ヴァーリさんが、二人に声を掛けた。
「大樹のお姉様ですか?」
見た目はヴァーリさんと俺は、姉弟程度の年の差に見える。祖父ちゃんと俺では同い年か、祖父ちゃんの方が歳下に見える不具合である。
「これでも一応、大樹の母親なんですよ」
ヴァーリさんが恥ずかしそうにドロップアウトしている。
「えぇぇぇぇ~!見えない。どうすれば、そんな風に若さを保てるんですか?」
マリアは、そこに興味を持ったようだ。
「大樹の家族になれば、わかるわよ」
「それは、先祖代々伝わる、秘術があるってことですね」
マリアが俺を狩る様な視線で見つめてきた。う~ん、種族的な問題なんだけど…基本、祖父ちゃんの駒の恩恵で歳は取らない。家族になれば、その駒が入れられ、種族が転生ドラゴンとなり、見た目の年齢は、その時点で不老となるのだ。
マリアに狩られることは無く、食事会が終わった。
「じゃ、二人を送ってくるよ」
マリアとシシリーを連れて、王都へと転移した。
---シュウ---
王都の治安はあまり良くない。兵士の目の届く範囲の治安は良いが、裏路地に入ると途端に悪くなる。僕をカツアゲ?あり得ない。そんな輩は、総てアインズの元へ強制転移させている。この世界には、移動拠点として森の家があるが、そのほかにベースキャンプとして、ナザリックも連れて来ている。初めての世界である。戦力は多めにこしたことは無い。
この世界では地上に魔物がいる。小型、中型、大型、災害級とランクが有るらしい。赤髪と青髪のコンビが楽しそうに狩りをしている。ミト、ヒナタコンビは、食料になる動物を狩っている。あの二人ほど、戦闘狂では無いかららしい。王都の探索は僕と天ちゃんで行っている。人間相手なら問題無い戦力だから。
「デミウルゴスはいるか」
「はっ!ご主人様、何のご用でしょうか?」
コイツの様に、カゲから僕をガードしている者もいるし。
「治安が悪い。裏路地にいるロクでも無い人間を狩っていいぞ」
「はっ!では、いつもの様に、情状を酌量して、間引いていきます」
「頼むぞ。大樹に被害が及ぶのは困る」
「おっしゃるようにいたします」
アインズとは、今でもWin-Winな関係である。ディアヴロは、連れが使い者にならないので、スライム君に預けてある。
「で、どうするの?」
天ちゃんに訊かれた。
「奴隷市はなさそうだな。ホテルでも視察するか?」
「うん?ラブホらしき物は無いみたいだよ」
確かに、まっとうなホテルしか無いようだ。裏通りをもう少し探索するかな。大人の玩具屋さんも無いし。
---鬼門大樹---
マリアの家で、勉強を教えて貰っている。首席狙いのマリアは、筆記問題に関してパーフェクトのようだ。教え方はシシリーの方がわかりやすいのは、内緒であるが…
「この世界ではイメージが大切なのか…」
ふと、つぶやいた俺。
「この世界は?お前の世界は違うのか?」
一応、違う大陸から来たことにしている。違う異世界から来たと言っても、信じてくれそうも無いので。
「魔方陣にプログラミングをするんだよ。で、その魔方陣を記憶して、脳裏思い浮かべて発動するんだ」
「魔法体系が違うと、発動方法も違うのか」
「いや、それ以前の問題として、魔力の意味が違うみたいだよ」
「どう、違うの?」
シシリーに訊かれた。
「その辺りは、祖父ちゃんに訊くと分かると思うけど」
「大樹のお爺さま?」
「そうそう」
って、気づくと俺達は、俺の部屋にいた。
「呼んだか?」
「えっ!どうして…」
祖父ちゃんの強奪により、俺達は、ここに引き寄せられたようだ。
「お爺さま…」
シシリーが気づいた。
「よぉ、シシリー。元気か?」
幸い、この2名は祖父ちゃんの琴線に触れて居ず、プレイの対象外のようだ。
「えぇ、元気ですが…なんで、私達はここに?」
それは、普通に疑問だろうな。
「大樹の心はモニタリングしているんだよ。だから、僕を必要としているようだから、ここに3人を呼び出したんだよ」
呼び出した?拉致したの間違いでは?
「大樹、ニュアンスは、人それぞれだよ」
ものはいいようである。
「で、魔力の違いだったね」
「そうです」
「この世界では、魔力は集める物だ。身近にある魔素を集めて、錬成して魔力にしているんだよ。一方、大樹の生まれた世界では、魔力は体内で生成され、体内にタンクがあって、それから魔力を取り出して使っているんだ」
「なるほど…」
マリアとシシリーが祖父ちゃんの講義をノートにメモしている。俺より若く見える祖父ちゃんは、若さの秘訣を知りたい二人にとって、師匠のような存在らしい。
「だから、この世界では魔力制御は大事なことだ。扱える魔力の量を間違えると暴発するんだよ」
「大樹の世界は、暴発しないんですか?」
マリアが質問をしている。
「しない。だって、タンクの上限よりも多い魔力は扱えないからね。その点は安全である」
魔力に関しての講義が終わると、祖父ちゃん流の魔力制御の方法が伝授された。
「あぁ、これはわかりやすいですね」
シシリーが納得顔で、魔力制御を鍛錬している。雪玉を作るように、魔素を集めて、手のヒラでその雪玉を感じながら、おにぎりを作るように、小さく圧縮していく方法である。
「手のヒラの上で転がっている感覚がわかる」
マリアにも好評のようだ。
「闇雲に魔力を制御しようとしてもダメなんだよ。この世界の魔法の参考書は最低だ。今やったように、体感で魔力を感じながら制御するといいはずだ」
「「はい!」」
弟子が多い祖父ちゃんは、教え方がうまい。そもそも、祖父ちゃんの奥様達は、戦士養成学校を運営していて、祖父ちゃんも講師のうちの一人らしいし。チームメンバーの殆どが祖父ちゃんの弟子だし。壊れた性癖が表に出ない祖父ちゃんは、俺の誇れる祖父である。