※この作品はR-18です。

神器なき男4   作:もっち~!

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新たなる学校へ

---鬼門大樹---

 

マリアとシシリーの誕生日が近いらしく、合同の誕生日パーティーを開くらしい。

 

「大樹、プレゼント、期待をしているよ」

 

って、マリア。期待されてもなぁ。

 

「私も、欲しいなぁ。マリアだけってことは、無いよね?」

 

シシリーも欲しいらしい。だが、パーティーには行けそうも無い。クリスマス前は、我が家では大忙しだからだ。クリスマス…それは、祖父ちゃんの誕生を祝う日だと言う。

 

「いいか?僕は救世主であることを、否定する。だから、祝わないでいい」

 

って、祖父ちゃんは断固拒否しているが、周囲は祝う気満々であった。特に、副団長のヤマトさん辺りは…

 

「兄さん、照れないでください」

 

「僕は、お前の兄では無い。いいか?僕が僕で無かった時代のことを蒸し返すな」

 

って、拒否理由。だが、その日、祖父ちゃんの統括地では、祝いのミサが一斉に開催されているそうだ。そんな訳で、マリアとシシリーには、パーティーに行けないと伝えた。

 

「あ?どこの女と過ごすのよ!」

 

謂われの無いことを言うマリア。俺は祖父ちゃんとは違う、とも言えず。

 

「毎年のしきたりで、その期間は、ダメなんだよ。でもプレゼントはどうにかする」

 

ノープランではあるけど…俺には創造能力は無い。手先は器用な方ではあるが…どうするかな。

 

◇

 

何も浮かばない。

 

「若さの秘訣でもいいよ」

 

って、マリア。秘訣…人間を辞めることだよ、って言え無いよな。

 

「物で無くてもいいですよ」

 

って、シシリー。かと言って、交わる訳にもイカン。あっ!そうか、この世界では体験出来ないことを体験かぁ。

 

「シシリー、少し早いけど」

 

シシリーと共に大空へと転移した。

 

「え?空の上にいる…どうして、落ち無いの?」

 

「空中散歩の体験をプレゼントします」

 

シシリーには見えないように、翼を展開して、大空を滑空していく。

 

「風が気持ち良いですね」

 

「そういや、祖父ちゃんは月明かりで空中舞踏会したとか言って居たなぁ」

 

「ロマンチックですね」

 

って、今は昼間である。下界から見えないように、周囲には結界を張っている。見えたら、まずい事態になりそうだし。

 

「う~ん、マリアにはどうするかな」

 

「私は嬉しいけど、マリア向きでは無いですね、これは…」

 

だよなぁ。

 

「魔法具とか、良いかもしれませんよ」

 

魔法具…魔法を付与したアイテムだそうだ。作る?どうやって?

 

◇

 

「おい!シシリーと二人で何をしていたんだ?」

 

部屋に戻ると、マリアに噛みつかれた。ノープランで、空中散歩に行ったからなぁ。

 

「シシリーに誕生日のプレゼントを渡したんだよ」

 

「うん?私には?」

 

「考え中だよ」

 

シシリーは夢から醒めていないようで、余韻に浸っているようだ。

 

「シシリーには何を上げたんだ?」

 

「未知の体験だよ。マリアは物がいいだろ?」

 

「大樹の妻の座?」

 

「まだ、高校生にもなっていないし、俺は貴族では無いよ」

 

ちなみに、マリアはメッシーナ伯爵家、シシリーはクロード子爵家の令嬢である。結婚するなら、そういう家柄の相手が、両親は喜ぶはずだ。

 

「貴族で無くても良いんだよ」

 

いや、いくらなんでも、ラスボスの家系に嫁ぐのは、ダメだろう。

 

「何か、魔法具を考えるよ。時間をください」

 

「妻の座の確約でもいいのに…わかった。誕生日までに用意してよ」

 

ノープランで言い切っちゃったよ。どうしよう。

 

◇

 

自分の部屋で考える。どうしよう…

 

「これを、プレゼントしてみな」

 

って、祖父ちゃんが何かを持って、転移してきた。

 

「これは?」

 

「毛穴の汚れを取る魔法具だよ」

 

美容用品か…

 

「こういうので十分だと思うぞ。まだ子供なんだからさぁ」

 

って、その美容器具って、大人用では無いのか?翌日、マリアに、祖父ちゃんの作った魔法具をプレゼントした。

 

「毛穴の汚れを取る?」

 

実際に試すマリア…

 

「うっ!こんなに…」

 

ごっそり取れたらしい。

 

「これを使って、美しさを手にいれるよ、大樹。ありがとう」

 

俺の頬に柔らかな物が触れた。

 

「まだ、高校生では無いから、頬だけど…来年は唇にしてあげるからね」

 

って、笑顔のマリア。マジで俺の妻の座狙いなのか?

 

◇

 

年を越して、受験の日を迎えた。シシリーとマリアと3人で試験会場へ向かった。筆記が問題だなぁ。祖父ちゃんには合格ギリギリの点でいいからって、言われたけど…どうなんだ?合格できるのか?

 

「そういえば、賢者様の孫が受験するらしいよ」

 

って、マリア。賢者?それって、捜査対象では。この街に賢者がいるのか。

 

「どんな人かな」

 

シシリーも興味あるようだ。

 

「大樹、試験がんばれよ。一緒に通うんだぞ、いいなぁ」

 

胸ぐらを掴んで、マリアが  咤してきた。もう、なるようにしかならないと思う。二人と別れて、試験会場へと向かった。筆記試験…ギリギリかな?

 

次に魔法の試験。的へ目掛けて全力で得意魔法を撃てと…試験会場が消えて仕舞う予感。どうするかな。真上から打ち込めば、水平方向へのダメージは少ないかな?的の上に魔方陣を展開して、マテリアルバーストを発動した。衝撃波が巻き起こり、目の前にキノコ雲が発生して…あれ、どうして…焦る俺。

 

「えっ!君…何者…」

 

試験官の意識が飛んでいく。俺と一緒の組の受験生は、とうに意識は無い。衝撃波でやられたようだ。まずい…落ちたかな…まさか、地面から衝撃波が戻って来るとは、予想外であった。俺のいた試験会場は崩壊した。

 

◇

 

逃げる様に家に帰った俺。誰も俺に声を掛けてくれない。やらかしたのか?はぁ~、終わった。

 

「まぁ、やるだけやったんだ。凹むなよ」

 

って、祖父ちゃん。地獄の折檻は受けないで良いらしい。

 

「あれは、試験の内容が良く無いだろ。全力で撃てって、無茶もいいところだ。僕が受けていたら、この星は消えていたぞ」

 

まぁ、そうだろうな。いや、祖父ちゃんのことだ。周囲の宇宙を巻き込みながら、この宇宙その物が消えていただろう。

 

「まぁ、落ちたら、捜索方法を変える。だから、気にするな」

 

って、祖父ちゃんは部屋を出て行った。

 

◇

 

合格発表の日…マリアの家の前に転移した。

 

「大樹…」

 

マリアが俺に抱きついて来た。

 

「なんで、連絡をくれなかった?心配したんだよ。大樹のいた試験会場が崩壊したから」

 

「ねぇ、怪我はしなかった?」

 

シシリーが俺の身体をペタペタ触っている。

 

「会場を壊しちゃったよ…全力で撃ち込んだからね」

 

遠い目をしているであろう俺。

 

「まさか、あの地響きは大樹が原因か?」

 

固まるシシリーとマリア。うん?それって、まさか、あの試験会場以外にも衝撃波が襲い掛かったのか?

 

「お前、どんだけスゴイ魔法を使ったんだ?」

 

「そんなにすごくは無いよ。建物に被害が出ないように、的の真上から撃ち込んだんだよ。真横からなら、学校崩壊すると思って…」

 

「はぁ?」

 

「えっ!」

 

固まる二人。そうか、地中に魔素たまりでもあったのか。今、気づいた俺。この世界は居たる場所に魔素が存在していたんだ。地中は危険が一杯かもしれない。そんなことにも気づかず、俺は…あぁ、ダメだ。落ちただろう。

 

凹んだ俺をマリアとシシリーが挟むようにして、合格発表の場へと連行されていった。

 

「う~んっと…私は合格。まぁ、当然だよな」

 

「私も合格だよ…で、大樹君は…あっ!」

 

シシリーの驚いたような声。マリアは声を発しない。ダメだったんだな。

 

ドン!

 

背中に衝撃を受けた。

 

「おい!一緒に通えるぞ」

 

顔を上げると、笑顔のマリアとシシリーがいた。マリアはその後も、俺の背中を叩き続けている。

 

「えっ?受かっているの?」

 

「合格ですよ、大樹君」

 

「クラスは同じ、Sだし…あれ?お前、筆記ダメだったんだよな?」

 

頷く俺。あれ?なんで、Sクラスなの?

 

「採点ミス?」

 

「それは無いだろう」

 

とりあえず、3人で、制服と教科書を貰いに行った。

 

「あっ、アイツだよ、賢者様の孫…シン=ウォルフォードだ」

 

マリアが教えてくれた。アイツが賢者の孫か。

 

「その後ろにいるのは?」

 

「この国の王子であるアウグスト=フォン=アールスハイド殿下だ」

 

王子と賢者の孫は仲が良いらしい。じゃれているし。で、賢者の孫が、首席を取ったようだ。

 

「う~ん、首席は取れなかったかぁ~」

 

悔しがるマリア。

 

「うん?君が大樹・鬼門君なのね」

 

って、制服を手わたしてくれたスタッフに言われた。

 

「えぇ、そうですけど…」

 

「教師の間では、破壊王って言われているわよ」

 

笑いながら言われた。はぁ?なんですか、その二つ名は…

 

「あぁ、試験会場を壊したからねぇ」

 

って、マリア。それは事実だけど…王子と賢者の孫の視線を感じる。ライバル視か?それとも、軽蔑の視線か…

 

「あのですね。俺って、順位はどの辺りでしたか?」

 

「入学式の後にクラスへ行けば分かりますよ。成績順位順に席が決まっていますから」

 

本人にこっそり教えるのでは無く、皆にばれるんですか…入学式は欠席しようかな。

 

◇

 

そして、入学式…欠席は認め無いと祖父ちゃん。みんなで見に来るらしい。この世界の賢者様を…俺はいつものように、マリアの家の前に転移した。

 

「大樹君、入学おめでとう」

 

って、マリアとシシリーの両親から、お言葉を貰った。

 

「マリアの相手は貴族で無くてもいいのよ」

 

「シシリーの相手もですよ。本人が気にいらない結婚はさせない方針ですから」

 

って、狩る様な視線で俺をロックオンしているマリアとシシリーの両親達。

 

「俺は胡散臭い男ですよ」

 

って、スルーされているし。なんで、俺を信じているんだよ。祖父ちゃんはラスボスだよ。

 

「シシリーの誕生プレゼント…とっても嬉しがっていたわよ。何を贈ったの?教えてくれないのよ」

 

それは言える物では無いし。

 

「マリアなんか、毎日使っているわよ。もっといい女になるんだって」

 

マリアの顔がみるみる赤く染まっていく。どうした?

 

「バラさないでよ、お母様」

 

こっそり、キレになる作戦だったのか?

 

「なんなら、二人共でも良いと思っているの。私達、隣家同士だしねぇ」

 

二人共って、なんで、俺のことを、そんなに買っているんだよ。俺は、将来的に性癖が破綻するかもしれないのに…って、この場にイッセーさんとヴァーリさんが…いた。はぁ~?

 

「こんなに立派な、ご両親なんだもの。大樹君の将来に期待しちゃうなぁ」

 

って、俺の知らないうちに、親同士交流しているようだ。

 

『なんて言ったんですか?』

 

念話でイッセーさんに訊いた。はぁ~?

 

『違う大陸の傭兵家族って言ってあるよ。ウソはダメだからね』

 

って…まぁ、傭兵で間違いは無い。

 

「二人で前線に出ることが多いので、大樹はおじいさん子なんですよ」

 

って、ヴァーリさんが答えているし。

 

『ありがとうな。俺達の子供の入学式に出られるなんて、夢だと思っていたよ』

 

って、イッセーさん。俺を実子として受け入れてくれているようだ。嬉しいやら、恥ずかしいやら。

 

「大樹も将来、傭兵になるのか?」

 

マリアに訊かれた。

 

「たぶんねぇ。だから、結婚は考えていない」

 

「私、ヒーラーを目指します」

 

って、シシリー。それは、傭兵になるってこと?そんな恰好良い職業で無いと思うんだけど…負ければ、ラスボス認定されるし。

 

 

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