※この作品はR-18です。

神器なき男4   作:もっち~!

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鷲尾ヤマト視点です。


巻き込まれた災い Part1

 

飛ばされたのはどこかの洞窟だった。強制転移攻撃かな?団長が傍にいたからか?

 

目の前では、一人の少年がクマの魔獣に襲われていた。片腕をもぎ取られ、喰われているし。クマは腕を食い終わると、僕に気づき、僕に襲い掛かって来た。

 

『ファイヤーミスト』を発動し、地獄の業火の微粒子状態の火種で、クマを覆った。毛皮で覆われた魔獣には効果抜群である。直ぐに火だるまになり、身体も精神も魂までも灰にしていった。

 

そうだ!少年はどうした?倒れていた場所に少年の姿は無い。彼の背後にあった岩に穴が空いていた。さっきまで無かったけどなぁ。その穴に入って行く。

 

穴の奥で、激痛に耐えている少年を見つけた。回復術で、もがれた部分の回復をさせていく。修復術と違い、元には戻せないが、切断面を治癒させるだけの効果はある。今後のことを考え、義手の装着がしやすいように、切断面を滑らかにしてあげる。

 

「あなたは?」

 

痛みが引き始めて、周囲の状況に気を使えるようになったのか、僕に気づいたようだ。

 

「僕は鷲尾ヤマトだ。君は?」

 

「俺は…南雲…ハジメです」

 

「なんで、こんな場所にいるんだ?」

 

「背中を預けていた仲間に、魔法を撃ち込まれて、ここに落ちて来たんです」

 

悔しそうな顔のハジメ君。

 

「ヤマトさんは、どうして?」

 

「何者かに、強制転移攻撃を受けたみたいだよ。ここはどこだ?」

 

「オルクス大迷宮…トータスっていう異世界です」

 

トータス?どこの異世界だ?来たことは無いなぁ。

 

「ハジメ君のジョブはなんだ?」

 

「この世界では天職と言うらしいです。で、俺は錬成士です」

 

「錬成士か?錬金術師に繋がるレアジョブだな」

 

「えっ?ありふれた職業で無いんですか?」

 

「レアだよ。錬成は鍛えると、最強なジョブだぞ。肉体を錬成できるようになれば、回復師にもなれるしな。細胞錬金や分子錬金などができれば、攻撃にも応用できるぞ」

 

錬金術師よりもレアかもしれない。

 

「そうなんだ…」

 

「まぁ、協力してここから出よう」

 

ここに置いて行くには過酷過ぎるもんなな。

 

◇

 

ハジメ君が『神結晶』なる鉱物を掘り当てた。これは、地脈を流れる魔力が結晶化した物で、結晶内部で魔力が飽和状態になると、神水と呼ばれるスーパーハイポーションなる完全回復薬を生み出す魔石である。蘇生、再生の効果は無いが、死なない限り、体力、魔力、精神力などが、ほぼ全快に回復する。

 

食事は、僕が魔獣を狩り、その肉を焼いて食う感じである。この世界では、喰うことによって、相手の能力を得ることが出来るらしい。その代償なのか、ハジメ君は人間というカテゴリーから外れていく。まるで肉体を錬成しているかの如く、体格や体型が変わっていく。

 

時間はたっぷり有り、昔話をしていると、僕に設計スキルがあるの知り、僕が図面を描き、彼が洞窟内の鉱物で部品に錬成する工程で、装備品を作り上げていった。

 

「いつまで、一緒に居られるかわからないが、出来る限り、協力はするよ」

 

問題は、彼の失った腕だな。片手では不便だろうな。

 

「なぁ、ハジメ君。君はコブラってマンガを知っているかな?」

 

「知っています。まさか、あの装備を…」

 

コブラとは宇宙海賊で、片腕が無く、普段はダミーの腕が付いているが、その下には、サイコガンという兵器を装着している。

 

「じゃ、精神力の練り方を教えてあげるよ。サイコガンの設計図と義手も用意してあげる」

 

「何から何まで…ありがとうございます」

 

「困った人には手を差し出す。僕達のルールだからね」

 

義手部分はホムンクルスで代用でいいかな。見た目は普通の手だし。外した後は、ロケットパンチの様に、自由意志で行動も有りかな。なんか、楽しくなってきたなぁ。

 

◇

 

徐々に下へと降りていく。上に向かう階段が見つからないからだ。迷宮を作ったヤツがいるってことは、最深部には脱出口があるはずだ。

 

ハジメ君は、コブラに肖り、パイソン77マグナムをモデルにしたレールガンを作り、得物とした。まだ、サイコガンは出来上がらないが、自立動作タイプのロケットパンチになる義手は、装着済みである。

 

ハジメ君と出会った階層から50階層下のフロアに、怪しげな扉を見つけた。扉を挟むようにして、2体のガーディアンが立っている。近寄れば、攻撃してきそうだ。

 

「どうする?」

 

「扉の向こう側を見たいです。お宝があったりしてね」

 

「そうだな」

 

どうするかな。ゴーレムでなくて、動く石像みたいな感じだ。まだ、サイコガンは完成していない。

 

「ハジメ君は、岩陰に隠れてくれ。僕が一人で行くよ」

 

「大丈夫ですか?」

 

「多分…」

 

炎系の『ファイヤーミスト』、精神系の『ダークミスト』は通用しないだろうな。そうなると、破壊系か?いや、ロスト系かな。

 

僕が近寄ると、2体のガーディアンが起動し、僕を撃退しに来た。焦ること無く、それぞれの足下に『ダークホール』を発動した。これは、闇の世界へ誘う穴に落とすスキルである。逃れるには、闇属性であること、空を飛べる事などがあるが、目の前の敵にはそんな物は無いようだ。音も無く穴に吸い込まれて行くガーディアン達。完全に飲み込むと、穴は消えてた。

 

「今のは、なんですか?」

 

「落とし穴の進化版だな」

 

と、ごまかしておく。

 

 

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