※この作品はR-18です。

神器なき男4   作:もっち~!

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意外な来村客

村長達に、ミリムとクルムを紹介しておく。僕の仲間ってことで…

 

ミリムとクルスは村の子供達の人気者になっていく。クルムはミレットの焼くクッキーに嵌まっている。衛兵小屋には、クルム用物資として、ナヴィさんからココナツサブレが5箱ほど送られて来た。毎日、1包みずつクルムに配給している。

 

村での生活に慣れ親しんで来た頃、なにやら貴族の乗りそうな馬車が村へ近づいて来た。衛兵として、馬車の御者に目的を訊きに向かった。

 

「この村に何のご用でしょうか?」

 

「こちらに勇者クルス様がいらしていないでしょうか?」

 

って…クルスの追っ手が来たようだ。付き出すかな。暴れるかな?どうにかなるかな。などと考えていると、馬車からゴリラのような男が飛び出し、僕に抱きついた。

 

「大樹じゃないか…生きていたのか…」

 

抱きついて来た男は号泣しているし。誰だっけ、コイツ?男に抱かれる趣味は無いんだけど。

 

「大樹…生きていたの?」

 

更に馬車から降りてきた女性が、僕を見て驚いていた。コイツは、クルスのパーティーの戦士のルカか…マズい…クルスだけでなく僕もマズい。

 

「どうしたの、大樹?」

 

クルスが様子を見に来た。ダメなタイミングだと思う。

 

「あれ?ルカ…どうして、ここにいるの?」

 

不思議そうな顔をして訊くクルス。

 

「どうしてじゃ無いでしょ?勇者の仕事を放りだして、なんでこんな場所にいるのよ!」

 

「こんな場所じゃないよ。大樹と毎日楽しく生活しているもん」

 

僕に抱きついているゴリラ男を力尽くで投げ飛ばし、僕に抱きつくクルス。

 

「クルス様、何をするんですか?私ですよ。ギルドのグランドマスターのゴランです」

 

ゴリラがクルスに声を掛けた。ゴラン?あぁ、エリックのパーティーの戦士のか?

 

「あぁ、ゴランか。ボクはFランクの冒険者のクルスだよ。人違いだって」

 

ゴランを知っていて、それは通らないだろうに。

 

「彼もFランク冒険者の大樹だよ。人違いだって…」

 

必死に言い訳をするクルス。

 

「はぁ?そんな言い訳は通らないわよ」

 

ルカが激怒している。まぁ、するわなぁ。

 

「力尽くで連れ戻すのか?」

 

クルスの前に出た僕。剣を引き抜き、牽制をする。この二人相手で負けは無いはずだ。

 

「おい!お前…剣士だっけ?」

 

って、ゴラン。う~ん、そう言えば短剣使いだった気がするが。衛兵の仕事中は剣しか持っていないからな。

 

「短剣使いが剣で、私に勝てると思っているのか?」

 

ルカが剣を構え、僕に斬りかかってきた。僕の得物のメタルキングの剣は、相手の剣を破壊し、相手の心をへし折るのだった。

 

「え…折れた…なんで…」

 

ゴランも剣を構えて、斬りかかってきた。この世界の最強強度の剣では、メタルキングの剣に傷は入れられない。寧ろ僕が峰で叩けば折れる程度である。

 

「何…折れた…」

 

二人の愛用の剣を叩き折って、その足でクルスと共に村へ逃げ帰った。

 

◇

 

「どうするの?」

 

心配そうに僕を見つめるクルス。ガントレットを装着し、本気で戦える準備をしている僕。

 

「あの二人を消すか?ここの生活は譲れない」

 

「わかった。手伝うよ」

 

と、物騒な話をしていると、

 

「なんで、剣士なのに、シーフに徹したのよ!」

 

涙で顔を濡らしたルカが、衛兵小屋に入ってきた。ルカに剣術で負ける気はしない。だけど…

 

「剣士は二人要らないだろ?」

 

「ねぇ、なんで、死んだ事にしたの?私達といるのが嫌だったの?」

 

泣き崩れているルカ。こんな激情タイプだっけ?もっと、クールだったような…時間は女性をダメにするのかな?

 

「それは無いけど、英雄になるのはイヤだから。いつだって、Fランク冒険者でいたいから」

 

「何?その理由は?」

 

呆気に取られ、泣くことを忘れたルカが顔を上げた。ルカには理解出来無いだろうな。僕の固有スキルにより、未来のビジョンが見えてしまったのだ。英雄にされた後の仮の未来映像がなぁ。

 

「お飾りにされて、ジャマに思われて、年中前線へと追いやられる生活が、見えたんだよ」

 

「うん、わかるよ、大樹。ボクもイヤだった。大樹がいなくなって…」

 

うん?なんかクルスの理由は、僕のと違うんでは無いか?

 

「大樹のいない生活なんか考えられない。この生活を奪うって言うんなら、奪うヤツを根絶やしにする」

 

マブダチに頼めば、一撃で叶うぞ、その願いだと…とは、言えず。

 

「お前達、Sクラスの冒険者だぞ。それは詐称って罪だぞ」

 

戦術を変更して、ルカが正義を盾に説得し始めた。

 

「それで、誰に迷惑を掛けた?SクラスがFクラスと言い張って、なんか迷惑を掛けたか?」

 

掛けていないはずだ。同じ仕事内容でも、SクラスよりもFクラスの方が時給が安いし。寧ろ、SクラスをFクラス料金で雇えて、得していると思う。

 

「その点に関しては、迷惑は掛けていないけど…でも、王都からの脱走は迷惑なんだよ」

 

「「お飾りはイヤ(だよ)!」」

 

念話でクルムとミリムには、手を出すな、口を出すなと、指示を出している。なので、魔王様達は介入はしてこない。

 

「なぁ、大樹。一緒に王都に来てくれ。エリックが再会を喜ぶぞ」

 

「再会したいなら、エリックを連れてくればいいだろ?」

 

あの勇者は、どこかの王族の王位継承順位5位とか6位って言っていたが、何をしているのやら。

 

「アイツは王都から出られないんだよ。現在の王様だからな」

 

はぁ?ゴランの口から異な事が出た。

 

「それは、継承順位の上に居るヤツラを消したのか?」

 

そんな度胸はなかった気がする。

 

「違うって…英雄となった勇者だぞ。褒美で継承順位が1位になったんだよ」

 

棚ぼたか?

 

「なぁ、一緒に来てくれないか?」

 

「反逆罪で牢屋に入れる気だろ?」

 

「なんでだ?お前、英雄なんだぞ。そんな扱いにするかよ。それも、遠征に2回とも参加って、どんだけ英雄しているんだ?」

 

2回?あぁ、エリックの時とクルスの時か…あんな弱い敵で、英雄って笑い者にされるって…

 

《告 あの方が知れば、笑い転げると思います》

 

ラファエル先生から忠告もされた気がする。

 

「行かないよ。なぁ、衛兵の仕事のジャマだよ。出て行ってくれないかな?」

 

『殺せない相手なら、強制的に排除すれば良いだろ?』

 

ミリムから念話が届いた。あぁ、そうだね。目の前に居るゴランとルカを、王都のギルドへ強制転移させた。表にいる馬車は、王城へ強制転移だな。

 

 

 

 

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