ヤホーの街を前にして、いきなりの敵襲にあった。見た目、山賊か追い剥ぎのようだ。
「金目の物と女と馬車を置いて立ち去れ!」
お前らが金目の物を置いて立ち去れよ。『強奪』で金目の物を奪い、『強制転移』で敵を全員、願いの祠へと転移させた。これで問題が解決したかと思ったのだが、背後からも敵襲された。
『金色に裂かれよ――《金刃/ゴールドスラッシュ!》』
敵を確認する前に、敵の詠唱が終わり、無数の金色の刃が放たれて来た。
『クリムゾンシールド』
莉愛が滅の力を帯びた盾を展開してくれ、撃ち込まれた魔法はロストしていく。
「あんた達、何者?まさか魔王軍団なの?そうね、そうに違い無い。引っ捕らえなさい!」
魔法少女が、重装備な騎士達に命令を飛ばした。なんで魔王軍団にされているんだ?軍団を組むような魔王は弱いのになぁ。騎士達の装備が気になり、『強奪』で身ぐるみを剥ぎ、『強制転移』で願いの祠へ転移させた。
「何?何をしたの…」
一瞬で、配下の騎士達が消え、怯え始めた魔法少女。『拘束』だけして、逃走を防ぐ。
「私にいたずらするの?」
「出来無いヤツにイタズラなんかしない」
「じゃ、食べるの?」
「先に言っておくが、僕は魔王では無い」
「大魔王?」
ハクション?そんな訳あるかぁぁぁ~!
「お前は何者だ?」
「私は聖光国の聖女よっ!」
捕らえられているのに、偉そうに少女が言い放った。聖女?彼女を探査してみると、確かに纏うオーラ聖属性のようだ。
「だから?」
それがどうしたと言うのだ?単に聖属性オーラを纏っているだけだろ?
「だからって?」
僕の返答に対して、唖然としている少女。
「聖女だから、なんだって言うんだ?いきなり背後から攻撃って、魔女みたいだな」
「魔女じゃないわよ」
怒ったような顔になる少女。感情がジェットコースターなのか?
『この世界のことを、教えてもらいましょうよ』
セーラから念話が飛んできた。あぁ、それも手だな。アクはこの世界のことを知らなすぎる。不思議なくらいにだ。なによりも、アクのオッドアイが気になる。あの配色は意味があるのだろうか?
長考の海に溺れかけている僕を放置して、セーラ達が、聖女を馬車に連れ込んだので、僕も慌てて馬車へ急いだ。御者に元勇者コンビ、尋問役は、僕、セーラ、莉愛である。アクとリアスは別荘待機にした。この二人は非戦闘員である上、この聖女様は感情変化が激しいので、アクシデントを避けるタメだ。
「で、お前の名前は?」
「アンタが先に名乗りなさいよ!」
拘束され、捕らわれているのに、態度のでかい聖女。う~ん…徐に、こめかみグリグリの刑に処した。
「いたぁぁぁぁぁぁ~!やめてぇぇぇぇ~!いやぁぁぁぁぁ~!」
見ている莉愛、セーラとも泣きそうな顔をしている。痛みが蘇ったようだ。我が家の躾の代名詞、こめかみグリグリ。長男のガイアを始め、我が家の子供への躾の代名詞である。弟子の躾の場合は、不死の乱打って言うのがある。これは、絶対に死なない呪いを掛けてから、殴り続ける罰である。
「反省するか?忠誠を誓うか?」
「ちかうぅ~」
なので、解放した。こめかみを押さえて泣いている聖女。
「名前は?」
「…」
ダンマリ…あり得ない。こめかみに指を添えた。さっと表情が強ばり、
「ごめんなさい。ルナ・エレガントよ」
やっと白状をした。
「ルナかぁ。僕はシュウ、紅髪の方は莉愛、黒髪の方はセーラだ」
「あんた…いえ、あなたたちは何者ですか」
言葉遣いも丁寧になってきている。躾は大事だな。
「僕は永遠の17歳、莉愛とセーラは僕の娘だ」
「はぁい?」
コイツ、頭が弱いのか?ひねりも無く、正直に答えたのに、理解出来無いのかぁぁぁぁ~!
「父様、そういうことでなくて、ジョブを訊きたいのでは?」
セーラがかみ砕いて補足してくれた。ジョブなぁ…
「僕は遊び人、莉愛は魔王で、セーラは軍師かな?」
「遊び人って?娘さんは何人いるの?」
ツッコミ処はそこか?
「実子は3人、養女は2万くらいかな」
「はひ?」
目が点になっていくルナ。なにか、おかしいか?
「父様、正直にそんな桁違いな事を報告しないで良いのでは?」
セーラがアドバイスをくれた。だが、ごまかしは、ここ一番に使いたいしなぁ。ウソが吐けない難儀なスキル持ちの僕。
「2万も娘さんが…攫ったの?」
「いや、ほとんど戦争孤児だよ。戦争はいつだって、子供にしわ寄せが行くんだよ」
「そうよね…」
何かに納得した聖女様。その後、彼女も孤児だとわかり、何故か、僕の養女に名乗りをあげた。聖女の持ち帰りはダメでは無いのか?どうなんだ?