シアへの説明をどうしようかな。
「喰わせたって、どういうことですか?」
祖父ちゃんが消えた後、僕達はヴァンパイアの巣穴に向かった。そこにはいるはずのヴァンパイは一人もおらず、ただ血の海と食い残しがあった。
「文字通り、喰わせたんだよ」
ユリーナ、シアの顔は青い顔である。この世界にはヴァンパイアを喰う生物がいないのだろう。
「祖父ちゃんの配下には、魔物喰いの魔物がいるから…」
「どんな種族ですか…」
種族かぁ~。トライさんって、種族ってあるのかな?獣ではあるけど…
「ヴァンパイアクィーンとか、マジックドラゴンとか…獣の数字とか…」
「えっ…」
ユリーナの顔から血の気が失せていく。この三種は教会的にはダメだろうな。
「獣の数字って…あれですよね?」
あ…そこに引っかかったのか。
「まぁ、そんな感じだよ。どれも祖父ちゃんに使役しているから、問題も無いからね」
ユリーナにはショックだったのか。意識が飛んでいる。シアは固まったままである。彼女は、どれに引っかかったんだ?
「ヴァンパイアクィーンって?」
そこか…クルスは会話に入らず、今夜の鍛錬に向け、真空斬りの練習をしているし。
「祖父ちゃんは、ヴァンパイアキラーであると同時に、キングオブヴァンパイアの称号持ちなんだよ」
「はぁ?」
シアの知識では追いつかない事態になったのか、ブツブツ言っている。埒が明かないので、村へ転移した。
◇
門番の仕事をしていると、日暮れと共に、体液塗れのルカと共に、祖父ちゃんがやってきた。
「ちょっと緩くなってきたなぁ。もっと下半身を鍛えて欲しいなぁ」
って、僕に言われても…どう鍛えるんだ、アレって?
「師匠、鍛錬をお願いします」
クルスが祖父ちゃんに寄って来た。
「あぁ、夕食まで鍛錬をするか」
「はい!」
嬉しそうにクルスが祖父ちゃんの後を付いていく。
「大樹…ダメだぁ…」
全裸で力無く倒れているルカが言葉を口にした。
「ダメって?」
「勝て無い…簡単にバックを取られて…入れられて…気配が読めない」
戦士としての自信を失っているようだ。相手が悪いんだけど…
「温泉で疲れを取った方がいいよ」
「大樹…悪いけど…洗ってくれないか」
体力ゼロなのか?ルカを背負って温泉まで連れて行き、全身を洗って、湯船に入れた。時たま、湯面が激しく波立つ。祖父ちゃんとミリム、クルムの鍛錬だろうか?大地が揺れているようだ。
「大樹の祖父様って、強いよね」
何故か男湯にいるミレットに訊かれた。
「ミリムもクルムも強いからねぇ。それよりも強くないと、鍛え上げられないから」
「どの位強いの?」
僕の隣に座るミレット。エルフは危険だ。好意を持たれた、一気に喰われるイメージがある。
「どの位って言えばいいのかな?そうだね、神を名乗る者を消し去る位って言えば良いかな?」
「えっ?!」
ミレットにしては、表情が崩れている。温泉に浸かっているのに、顔から血の気が失せていく。何か、変な事を言ったかな?
「か、か、神様を消し去るの??」
「あぁ、祖父ちゃんの二つ名は『神殺し』だから…」
神を殺すと大罪であるのだが、この二つ名持ちに限り、些細な理由でも、神殺しは許されている。現在、この二つ名持ちは、祖父ちゃんとヤマトさん、ファルコンさん、フレイさん、ジムさんである。基本、神族よりも神格階位が上の者達であることが条件らしい。僕は幸い、そのような物騒な二つ名はまだ無い。
「…」
ミレットの僕を見る目が変わった気がする。まぁ、そういう血筋であるから、気にならないけど。
『大樹、口が軽いぞ!』
祖父ちゃんから念話が届いた。秘密を明かしすぎたようだ。僕の欠点、どこまで言って良いのかの範囲が緩いのが難点である。って、言うか…鍛錬をしながら、僕をモニタリングするって、それはスゴイ観察力だ。
『別に大樹だけじゃない。ヤマトもモニタリングしている』
仲間の危機には、いつでも行けるようにか?
『いや、良い女体がいないかとか…』
いつだって、祖父ちゃんはエロいようだ。