※この作品はR-18です。

神器なき男4   作:もっち~!

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巻き込まれた災い Part3

それは突然現れた。

 

ハジメ君の銃口が火を噴くが、目の前のバケモノには、効果がまるで無かった。シアとユエが苦しみだし、地面に四つん這いになって、身体を震わせ、腰をくねらしている。

 

「ヤマトさん、コイツはなんだ?」

 

ハジメ君に訊かれた。どう答えたら良いだろうか?目の前にいるのは、確実にラスボスである。

 

「ラスボスだ…一切の攻撃は効かないから、無駄玉になるよ」

 

「ラスボス?」

 

「あぁ、性癖の破綻したラスボスだ。男には用は無い。反抗しなければ、攻撃はされない」

 

「だけど、ユエとシアが…」

 

「精神ダメージだけで、肉体的なダメージは無い。だから、嵐が過ぎ去るのを待とう」

 

自然災害だと思わないと、被害が拡大する。

 

「まさか…ヤマトさんの知り合いか?」

 

ラスボスを前にして、落ち着いている僕を見て、ハジメ君に訊かれた。

 

「言いたく無いけど…僕の兄さんだよ…あれ…」

 

◇

 

体液塗れでぐったりとしているユエとシア。目の前で展開していたAVな展開に、ハジメ君は固まっていた。恍惚な笑みを浮かべる二人の女性。満足したのか、二人に蘇生コンポを掛けている鬼。

 

「兄さん、相変わらずだね」

 

「だから、お前の兄になった覚えは無い。なんど言ったら分かるんだ?」

 

ここは、迷宮の底にはパラダイス、オルクスの住処である。温泉があると聞いて、やってきたのだ。兄さんは温泉に浸かりながら、二人の女性に術を施している。

 

「ここは良いなぁ。コピーして貰って行くかな」

 

ここを気に入った兄さん。怪しげな術式を多数展開して、マジにコピーしているし。

 

「ヤマトさんのお兄さんって、魔導師ですか?」

 

ハジメ君に訊かれた。

 

「魔導戦士だよ、兄さんは。攻撃が効かないチートな存在なんだ」

 

あらゆる攻撃を透過し、属性エネルギーを透過時にドレインしてしまうチートな体質。まずもって倒せないのだ。弱点は転移攻撃に弱く、頻繁に異世界へ転移させられている。攻撃しか透過しないため、攻撃と見なされない転移術に反応してしまうのだった。

 

「で、原因はわかりましたか?」

 

僕がここに転移した原因を訊いてみた。

 

「今回は転移では無く、召喚らしい。対象者は、ヤマト、大樹、莉愛のようで、僕はむしろ巻き込まれた感じだよ」

 

召喚?そう言えば、ハジメ君も召喚されたって、言っていたな。

 

「なので、召喚された目的を果たせば、帰れると思う」

 

シアを手元に取り寄せ、シアを弄ぶ兄さん。

 

「目的かぁ…ハジメ君と共にいれば良さそうだね。同じ目的で呼ばれたようだし」

 

「ヤマトさんと一緒ならば、心強いです」

 

兄さんと一緒はダメかな?錬成士であるハジメ君と創造能力持ちの兄さんが一緒ならば、無敵だと思うんだけど…あの性癖は受け入れられないか?

 

◇

 

翌日、僕達はウルの街へ向かっていた。カレーライスが食べられると聞いて、兄さんも一緒に来ている。ハジメ君たちは、ハジメ君の作ったバイクで移動している。僕と兄さんは、兄さんの作った機械仕掛けの馬での移動である。

 

「この馬は、彼にプレゼントするよ。彼女達の遊び賃としてね」

 

シアはお気に召せなかったのか、お持ち帰りしたいとは言わない兄さん。

 

「シアはダメですか?」

 

「ダメでは無いんだけど、今ウサ耳族の村の立て直し中でね。ウサ耳系にアレコレはしたくないんだよ」

 

って、思いっきりシアを弄んでいた兄さん。この世界でならいいのか?

 

「うん、そういうことだ」

 

なるほど。

 

しばらく移動し続けると、目的の場所、水妖精の宿に到着した。

 

「今日はここでカレーライスを食べ、一泊して、明日は山で人捜しだ」

 

ハジメ君達と僕は、冒険者ギルド・フューレン支部の支部長の指名依頼を受け、あの山で遭難したウィル・クデタを捜索し、連れ帰ることになっている。まぁ、生きていればだが…まぁ、兄さんがいれば、死んでいても問題は無いかもしれない。自殺でなければ、蘇生可能だし。

 

宿にチェックインして、食堂へと向かう。6人掛けのテーブル席に案内された。そして、カレーライスもどきを6人前オーダーすると、違う席から、小柄の女性が近づいて来た。

 

「ねぇ、南雲君?南雲君でしょ?」

 

ハジメ君に声を掛ける女性。兄さんが女性にロックオンしている。う~ん、修羅場になるのか?

 

「えっ?先生…人違いです」

 

「今、先生を先生と呼びましたよ!なんで、ごまかすのですか?なんで、生きているなら、帰って来てくれないんですか?」

 

この人も召喚された口なのか?

 

「なんで髪の毛を染めているんですか?この腕は何ですか?眼帯はファションですか?」

 

色々違っているんだけど…

 

「まぁ、色々頑張ったからです」

 

「その女性達はどなた?まさか、不純異性行為なんかしていないでしょうね?」

 

女性の怒濤の言葉責めにより、ハジメ君はタジタジ気味である。

 

「「私達ハジメ(さん)の女です」」

 

火に油を注ぐ女性陣。兄さんは、女性のいたテーブル席に、視線を向けていた。好みの女体を探しているのか?

 

「なんですって…不謹慎です!」

 

目に涙を溜めて、ハジメ君を見下ろしている女性。

 

「まぁ、再会出来るとは奇遇ですね…」

 

「こんなに心配しているのに…そこに正座しなさい!お説教をします」

 

「はぁ?」

 

「おい!愛子の命令が聞こえないのか?亜人を人間と同列に扱う野蛮人よ!」

 

騎士風の男が剣を抜いた。

 

パリン!

 

だが、彼の剣は折れた。鬼がキレた。刃先を指で挟み、そのまま折ったようだ。

 

「亜人差別かぁ。愚か者め!」

 

「おい!貴様!神殿騎士に逆らうのか!」

 

「神殿?クソみたいな神でも奉っているのか?」

 

「貴様!」

 

他の騎士達も剣を抜いたが、

 

「消えろ!」

 

兄さんの言葉により、この場から消えた騎士達。さすがのハジメ君も唖然としている。

 

「兄さん、どこへ捨てたんですか?」

 

「途中で見かけた肥だめにポイした。さぁ、喰おうぜ」

 

肥だめからのカレーライスか?う~ん…ビジュアルが…

 

 

 

---畑山 愛子----

 

寝る前に南雲君が訪ねてきてくれ、真実を話してくれた。それは、教会の教えとは違うことだった。

 

「俺の言葉を信じるか、教会を信じるかは、先生にまかせる。白崎に知らせてくれ、敵は味方にいる。背中に注意しろと」

 

南雲君は大迷宮の捜索中に、味方から狙撃され、奈落へと落とされたそうだ。生徒同士の殺し合いは避けないと…う~ん…一瞬、意識が落ち、再び覚醒すると、知らない場所にいた。

 

「ここは?」

 

「ラビの村だ」

 

南雲君と一緒にいた男性が、声を掛けてきた。ラビの村?聞いたことの無い地名である。

 

「愛子の睡眠中に、意識だけを異世界に転移させたんだよ。お前、豊穣の力を持っているよな?」

 

私の天職は作農師である。農地改善及び開拓の能力があるのだが、何故彼はそれを知っているんだ?

 

「僕は相手の心や記憶が読めるんだよ。これから毎晩、眠る度に、この村の農地改善に力を借りるぞ」

 

えっ!決定事項ですか?

 

「そうだな。見返りに、困った時に力を貸してやる。後、園部優花をスカウトしたい。アイツ、料理上手だろ?」

 

彼女の家は洋食屋を営んでいるが、彼女が上手とは限らない。

 

「彼女、可愛いしなぁ」

 

「不純異性行為はダメです!」

 

「努力する。あぁ、ここで働けば、起きた時には疲労は完全回復している。良い条件だろ?」

 

良い条件以前に、ここから脱走出来無いのが問題であり、働かざる負えない事態であった。

 

 

 

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