※この作品はR-18です。

神器なき男4   作:もっち~!

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自分の本当の強さを知らない

突然の遠征の中止。僕は祖父に呼び出された。

 

「これ以上、介入は出来ない。今回は、お前のスキルアップの遠征で、討伐案件では無い。お前が討伐に関わることは出来ない」

 

そんな…

 

「アイズの身体が心残りか?」

 

それは…少しだけですよ。

 

「まぁ、あの世界への案件は結構多い。次回、愉しめ。で、次の案件だけど…」

 

書類の山を見比べている祖父。僕に適した物を探しているようだ。

 

「ブタ退治にするかな?」

 

ブタ?

 

「あぁ、100万匹のブタさんが相手だよ」

 

100万匹?無理…

 

「一人で行けとは言わない。こっちは鬼さんチームプラスアルファで行く」

 

鬼さんチーム?脳裏に浮かぶのはシオンさんとラムさんだが…

 

「正解だ。その2チームに、司令塔に勇者をつける」

 

勇者?ミトさんかヒナタさんか?

 

「正解だ。その2名をつける。どうかな?」

 

どうって…

 

「そうだ。アイツらもいかせるか。同化吸収できるし」

 

誰だろうか?

 

「転移後、同化吸収が出来る者は直ぐに同化吸収してランクアップだ。あぁ、ブタさんを舐めるなよ。結構厄介な敵だからな」

 

あぁ、脂肪が厚くて、ダメージが入りにくいんですね。って、心の準備が出来ていないのに、強制転移されているし。

 

◇

 

《告 暴風龍ヴェルドラを同化吸収しました。炎の爆炎者イフリートを同化吸収しました》

 

イフリート?

 

《解 ヴェルドラのオマケのようです。カオスブレーカーにてイフリートモードが追加されました》

 

《告 リムル・テンペストの弱体化を確認しました》

 

僕が、2体を引き抜いたから?

 

《告 理解が早くてたすかります。わぁ!私でも同化吸収できるようです》

 

最強スライムから、実質3体を引き抜いたらしい。

 

そして、森の中で意識が覚醒していく。今回のメンバーの殆どが、同化吸収初体験なので、戸惑っていた。

 

「これが同化吸収なのか…なんか、力が漲るよ」

 

って、魔王のミリムさん。相棒のクルムさんは同化吸収できないようだ。

 

「でも、まだクルムの方が上みたいよ」

 

って、2体の魔王と行動しているセーラさん。僕の叔母である。配下に僕の両親がいるそうだ。

 

「何も変化が無いんだが…」

 

シオンさんが、頭を傾け、変化を感じようとしている。

 

「鬼人組は、変化が無いはずよ。だって、吸収したのはオーガでしょ?」

 

って、元勇者のミトさん。

 

「そうなると、里はまだ護れるのかな?」

 

って、シュナさん。鬼人なのに聖属性魔法が使えるらしい。

 

「里へ向かうぞ」

 

とベニマルさん。シュナさんのお兄さんだ。皆で、オーガの里へと向かうが、そこは戦場跡になっていた。戦場にしては死体がまるで無いのが、気にかかる。

 

「オークロードに率いられているオークというブタは、敵・味方、生死すらも関係無く喰らい、能力を吸収してみんなで共有するのよ」

 

って、勇者のヒナタさん。味方が喰われると、マズいんですね。

 

「とってもマズいわよ。この先の戦いで、離脱者を出した時点で負けだからね」

 

とても緊迫した戦いになりそうだ。

 

「そうなると、どこかと同盟を組むか?」

 

鬼人族のリーダーのベニマルさんが、セーラさんに訊いた。祖父の騎士団では、小隊長と言われるチームリーダーが指揮官となるそうだ。ミトさんもヒナタさんもチームを持っていないので、今回の参加メンバーでの指揮官はチームを持っているセーラさんが、その任を得る事になる。

 

「組むメリットはある?資料によると、蜥蜴はガビルって言うヤツがジャマって書いてあったし、スライムサイドはスライムが独裁者のようだし」

 

いや、スライムさんは、大変なことになっている筈だ。ラファエルさん、暴風龍など、他人に言えない戦力をロストしている筈だから。

 

 

 

---リムル・テンペスト---

 

朝起きると、身体がだるい。ラファエルさんが応答しない。どうしたんだ?なんか魔力の上限が下がった様な気もする。ヴェルドラの気配を感じ無いし。何がどうなったんだ?オークと戦わないとダメな局面で…

 

 

 

---代羽大樹---

 

拠点は、あのほら穴になった。雨風をしのげるし、入口は1つしか無いから。僕も含めて皆、転移術をマスターしているので、物理的な入口が1つでも、そこを封鎖されても、外へは出られるのだった。

 

「じゃ、俺達で100万匹のブタ野郎を、殲滅すればいいんだな?」

 

ベニマルさんがセーラさんに確認をしている。

 

「問題はどう倒すかよ。ただ屠るだけではエサが増えるだけ。それは避けたい」

 

屠った仲間を喰うことにより、力が濃縮されていくらしい。数を減らしても、戦力が減るわけでは無いようだ。

 

「燃やして灰にするか」

 

「あんだけ脂肪のベールで護られていると、簡単に灰には出来ないわよ」

 

ブタさんが脅威は理由は、その分厚い脂肪にある。攻撃が内臓まで達しない。致命傷を負わすのが難しいのだ。そして脂肪の付いた刃先は切れ味が落ちる。数相手の場合、刃物系は不利な戦いになりやすいそうだ。

 

「雑魚は脂肪が薄いから問題はないけど、エサになる可能性が大きい。ミンチにして燃やすのが効率がいいんだけどね」

 

このメンバーでミンチ攻撃出来るのは、モーニングスターを得物にしているレムさんだけである。炎攻撃はベニマルさんと僕、魔王2名、レムさんと豊富なんだが

 

「ミリムとクルムも、相手を潰す感じで倒して欲しい。大樹はクリムゾンモードで利き手をロストさせて。これでも戦力的には足り無いなぁ。ハクロウ、シオンは峰で叩き斬ってみて。切り口が荒い方が燃えやすいから。死体は速やかに燃やして、喰われないようにしましょう」

 

セーラさんが作戦を立案していく。

 

「セーラの案で行こう。ソウエイは他の陣営、特にガビル達が前線に出ないようしていくれ。聞く耳を持たない場合、屠ってもいい。下手にエサになると、俺達がマズいからな」

 

「わかった」

 

「決行は、今日の夜にしましょう。コチラは夜行性が多いから」

 

鬼も悪魔も夜行性だけど…ミトさんとヒナタさんはヒューマンなはずだけど。

 

「ミトとヒナタは、大樹のガードを頼むわ。後方支援はシュナ。残りは前衛ってことで」

 

セーラさんはココナツサブレを魔王様達に振るまっている。魔王様2名共にクッキー系が大好きらしい、

 

 

 

---リムル・テンペスト---

 

能力封じか?オークにそんな能力があるとは思えない。では、どの勢力の妨害だ?う~ん…ラファエルさんがいないと、話相手に困るなぁ。

 

「大変っす。オーガの里が全滅らしいっす」

 

ゴブタが叫んで入って来た。

 

「あれ?リムル様?ですよね?」

 

妙なことを言うゴブタ。

 

「そうだが…いつもと違うか?」

 

「いつもの威厳性が感じ無いっす」

 

「そうか…なんか、調子が悪いんだよ」

 

「そうなんですか。マズいじゃ無いですか。こんな緊急時に…」

 

そうんんだよな。どうするかなぁ。

 

 

 

---代羽大樹---

 

「セーラ様の不安的中です。ガビルがリザードマンとゴブリンを率いて、オーク軍団にぶつかりました」

 

って、ソウエイさん。

 

「う~ん、エサが豊富だね。早いけど、参戦しましょう。エサを与えるだけ、こっちが不利になるから」

 

緊急参戦になった。

 

「大樹は、ガビル達が喰われないように、戦闘面を押し込んで」

 

「了解しました」

 

ミトさん、ヒナタさんと共に、戦地へ転移した。

 

既に、大量のゴブリンが喰われていた。リザードマンもだよ。どうするよ、これ…

 

「マズいなぁ、オークジェネラルがガビルとやりあっているわ」

 

って、ヒナタさん。あれがガビルか。クリムゾンモードで、ジェネラルの利き腕をロストさせた。

 

「貴様、何者だ?!」

 

名乗る暇は無い。ジェネラルの身体を斬り刻み、ロストさせていく。そして、完全にロストさせて、後にいるブタさん軍団に襲い掛かる。押し込まないと。

 

ズドーン!

 

黒い炎の爆発が起き始めた。ベニマルさんのようだ。けっこうな距離がある。あそこまで押し込みのか?クリムゾンモードは効率が悪い。基本1VS1の場合に有効な戦い方である。どうするかな?

 

『カオスブレーカー イフリートモード』

 

ラファエルさんが、最適な戦闘モードにしてくれた。爆炎を撃ち込んでいく。

 

『告 連続使用時間は30分が限界です。20分経ったらモードチェンジします』

 

ラファエルさんにモードは丸投げで、僕は戦いに集中していく。両脇にミトさん、ヒナタさんがいるので、少し安心である。遠くで爆炎が見えた。ラムさん達も始めたようだ。だけど100万も倒しきれるのか?その後にボスのオークロードがいるしなぁ。

 

「おい!後のことを考えて、手加減するな!」

 

ミトさんから、指示が飛んできた。そうですね。目の前の敵を全力で狩る。騎士団の基本方針でしたね。

 

『まだ2割減よ!』

 

1時間経過したころ、セーラさんから念話が届いた。まだ80万もいるの?ヒナタさんとミトさんに疲れが見え始めた。マズい。どうする?

 

《告 応援を呼びました。20分ほど、がんばってください》

 

20分も?ミトさんとヒナタさんを強制転移させて、僕だけで戦う。

 

『ドラゴンブレイカー モードヴェルドラ』

 

身体がドラゴンフルアーマーで覆われていく。まだ、戦えるのか?

 

『エアスタンプ』『ファイアブレス』

 

空気弾で潰して、燃やして灰にしていく。まだ、援軍が来ないのか?マインドロストが近いのか、意識が朦朧としていく。

 

『カオスブレイカー』

 

今度は何のモードだ?

 

『ダークミスト』

 

《解 大樹の本来の力を解放しました》

 

僕本来の力?

 

《解 触れた相手を灰にする闇属性の神聖オーラです。仲間に危険が及ぶことがあるので、普段は封印されております》

 

危険過ぎるだろ…僕って、そんな存在だったのか…

 

《告 あの鬼畜も同じです。リミッターで普段は封印しています》

 

祖父もそうなのか…

 

『大樹!何をしたの?ねぇ、戻れるのよね?』

 

セーラさんの心配する声が念話で届いた。どうなんだろう?戻れるのかな?

 

『殲滅率50%…大樹がヤバい。ベニマル、ラム、ペースを上げて』

 

『了解』

 

『御意』

 

僕、ヤバい状態なのか?本能のまま動いている。魔人の本能なのか?僕の本能なのか?わからない。

 

『大樹が見えたら、撤退して。あれ、マズいから』

 

『了解』

 

『あぁ、あれはヤバそうだな』

 

僕はどうなったの?なんで、味方が僕の前から撤収するの?

 

『大樹!オークロード狙いでいいよ』

 

って、セーラさん。まだ、殲滅していないんだけど…

 

『真っ直ぐ、オークロードに向かいなさい。寄り道しないの!』

 

クルムさんが僕の前から逃げていく。物凄くショックだ。最強な魔王が逃げる存在って、なんだよ?

 

暫く歩くと、大きなブタさんが、

 

『喰ってやる!』

 

って、僕に向かってきた。僕の意識はそこまでだった。

 

◇

 

ここはどこだ?意識は戻ると、知らない場所にいた。どこかの家の部屋…布団の上に寝ていた。

 

「目が醒めたのね」

 

黒髪の症状が僕を見つめていた。

 

「母さん、目が醒めたよ」

 

「朱乃、良かったわね」

 

朱乃…どこかで聞いたような名前…

 

「ねぇ、君の名前は?」

 

「代羽…大樹…」

 

「代羽?まさか…」

 

母親らしき女性の顔から、血の気が失せていく。

 

「そう…あなただけ、逃げ切れたのね」

 

哀しそうな顔の女性。

 

「母さん…何をするの?」

 

朱乃さんの母親が、包丁を手にして、僕に襲い掛かろうとした。そこを朱乃さんが止めに入った。

 

「うっ!」

 

「朱乃…」

 

僕を護ろうとして、代わりに朱乃さんが刺された。

 

「ダメだよ…大樹君は、命を拾えたんだよ。それを奪っちゃ…」

 

そんな…いや、まだ間に合う。蘇生3連コンポを発動した。朱乃さんの身体を修復してから、蘇生をしていく。

 

「朱乃…生き返ったの?」

 

「あれ?大樹君は?」

 

僕は空気に同化して、その場を去った。

 

◇

 

僕が僕で無くなって、異世界へ飛ばされたようだ。ここは、多分…祖父のいた世界だろうか?代羽家は粛清に遭い、僕だけが代羽家の者なのだろうか。

 

夜の公演でブランコに座った。どうすれば、帰れるのだ?

 

《解 たぶん、血眼になって捜索していると思います。しばらくお待ちください》

 

って、ラファエルさん。僕はどうして、ここにいるの?

 

《解 魔人の力が暴走して、ブラックホールを生成し、ブタロードと共に、異世界へ吸い出されました。尚、ブタロードは亜空間に晒されて、燃え尽きましたので、この世界に害は及びません》

 

なら、いいか。

 

「どうしたんにゃ?一人黄昏れて?」

 

声の主を見ると、幼い妹をおぶった女性がいた。この人達…知っている。若い時の黒歌さんと白音さんだ…

 

「迷子になって、帰れなくなったんだよ」

 

「にゃら、一緒にゃね。私達も帰る場所が無いんにゃ」

 

そう言えば、祖父も、白音さんと黒歌さんと暮らしていたとか…

 

「どこかで、三人で暮らす?」

 

「悪くにゃいにゃ。お前…心が安らぐオーラ持ちやにゃ」

 

あぁ、そういう能力を見極める力があるんだっけ。猫しょうって…

 

「どこに住むかだな」

 

「大樹、探したよ。さぁ、4人で帰ろう」

 

鳴神さんがいた。嬉しそうに僕を見つめていた。

 

「4人?黒歌さんと白音さんもいいの?」

 

「あぁ、いいよ」

 

「ねぇ、にゃんで、私達の名前を知っているのにゃ?」

 

「心が読めるんだよ、大樹はねぇ」

 

って、鳴神さんが誤魔化した。

 

「そうにゃん…ちょっと恥ずかしいにゃ~」

 

え?!何を心で思ったんだ?訊くのが恐いので、訊かない。鳴神さんの後へ付いていくと、見慣れた家が建っていた。

 

 

 

 

 

 

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