エロいけど今回はシリアス重視なのでご注意を。
……
………
…………
目の前の扉。そこを開けば何かが起きている。
しかし、それを予想するための情報があまりにも少ない。不気味なほどに静かで、扉一枚隔てた向こう側に生物がいると思えるような気配も感じられない。
下がっていろと言われ、診療室に退避してからもうすぐ10分。隣の部屋の扉が開く音は聞こえたので、対面は終わっているはず。
しかし、
「……何か、おかしいわ」
両手で狩人から借りたロスマリヌスを握りしめ、ヨセフカはゆっくりと扉に近づいて行く。僅かに震える手でドアノブを回し、扉の向こう側を見ようとした。
そして、ヨセフカは闇を見た。辺り一面には一切光のない真っ暗な空間が広がり、重苦しいドロリとした空気が流れている。
見てはいけないものを見てしまったような気がしたヨセフカは、開けていた扉を閉めようと一歩下がり、
「きゃ──ぁああああああああああぁぁぁ……!!」
いつのまにか部屋は消えており、ヨセフカが立っていたのは扉の枠である敷居だけとなっていたのだ。そこから一歩外へ出てしまったが故に、ヨセフカは入り込んだものと認識されてしまった。
敷居の内と外は全くの別世界。皮肉にも、彼女の研究者としての側面が、不要な好奇心をかき立ててしまったのだ。
闇の底から気泡が浮き上がっては弾けて消える。まるで誰かが呼吸をしているかのように。まるで、何かが沈んだかのように。
◆
「ンボ……ッぉ…ご──ぉぁ゛、ん……じゅるるっ…! ぅぐ……ッは、ん…っ」
ビクビクと痙攣し、身体の半分以上が肉に呑まれている状態で悶える偽フカ。僅かに覗くその肢体はしっとりと水気を帯び、非常に艶めかしい。
頭を包む肉の中で気持ち良く溺れ、今や進んで神秘を吸い込み嚥下している。人体を構成する37兆2000億個もの細胞ほぼ全てに寄生した神秘は、偽フカの肉体にさまざまな変化をもたらした。
まず、肉体の劣化を消した。コンディションを常に最盛期に保たせるという、不老を獲得させたのだ。
次に、消化管にある内臓の機能の全てを快楽を伴うものに変化させた。特に、狩人の神秘を取り込んだ場合は、莫大な快楽とともに同量のエネルギーも生産できる。
つまり、不眠不休で活動できるようになると言うことだ。
これにより偽フカは、ほぼ永久に快楽を享受することが可能となった。
───……家族……家族とは、良いものだな。
触手の化け物が独り言つ。目の前、あるいは腹の中で喘ぐ1人の女を誰よりも早く手に入れることができた達成感と、今までとは全く違う路線に進めているという緊張感を存分に堪能しながら。
───…………一度様子を見てみるか。
狩人は化け物の姿のまま肉に降り立ち、ヒタヒタと現在進行形で全身を犯している偽フカに近づいて行く。
距離が縮まるに伴い頭を覆っていた触手が離れ、女陰の触手は肉襞を大いに擦り上げながら抜かれて尿道から潮の残滓が弱々しく飛ぶ。
しかし、四肢を拘束している肉はそのままで、偽フカは大の字で吊られた。
見るも無惨。その一言に尽きる。しっとりと乱れた髪は顔や肩に。口は弛緩し、舌と唾液が垂れ出ている。豊満な乳や、引き締まったくびれと肉厚な尻は、全て粘液によりテラテラと輝き獣欲を誘う。
「ぁっ………ハ、ァァ…ッ…へぁ……ッひ…」
息とも声とも取れぬ音を出し、身体中を駆け抜ける人智を超えた快楽の余韻を味わう偽フカ。
狩人は、明らかに壊れてしまった偽フカを腕と触手を使ってゆっくりと抱きしめる。それは親愛からの抱擁だ。
だが、抱かれる側はそんなことなど考えていられない。
火照った体にひんやりとした腕が回され、股下から尻尾のようなものが肩口までぐるりと巻きつく。神秘液で膨らんだ腹は、狩人の勃起した肉棒と尻尾に挟まれ、その圧力により内容物を肛門から噴射させていた。
孔の空いた顔に口元を覆われ、唾液を流し込まれたり啜られたりで幾度かえずいてしまう。
「んじゅルル…ッ、ぉ゛っ……ハ…ぁむ……れちゅ……ぢゅぷッ……ん、ぁ……っ」
何も知らない者がこの光景を目にすれば、少なくともこれを愛撫だとは考えないだろう。どう見ても捕食されているようにしか見えないのだから。
手足を拘束されているとはいえ、全身が弛緩して体重は全て狩人に預けている。力が抜けてぐったりしている女が触手に抱き締められているのだ。
これが愚かな好奇の末路と言うならば、なるほど確かに恐ろしい死が必要なのかもしれない。
───…………………………ん……?
偽フカの喉奥に突っ込んでいた舌を戻しながら、狩人は、自分の夢に外部から落ちてきた存在を感知する。
腹の中とはいえ、ここは悪夢。
後ろでぐったりとしている偽フカを一瞥して、少し休ませてやらねばと思考する狩人。タイミングとしても丁度良かったのかもしれない。
亜空間に手を突っ込み、徴を取り出して偽フカの胸元に当てる。
そのまま血の遺志を通わせると、偽フカの姿は陽炎のように不確かになり、狩人の夢に送られた。あとのことは人形や使者に任せても良いだろう。
今の彼女は骨抜き状態。さらに夢にはヘンリエットもいるのだ。そんな圧倒的不利な環境で暴れようとするほど、彼女は愚かではない。
偽フカを夢に送ったことを確認し、狩人はまた溶けた。薄く濁った液体になり、肉の中を巡って移動する。それは、まるで血液のようだ。
ヨセフカが迷い込んだのは上層も上層。苗床から遠く離れた先だろう。今頃、訳もわからず彷徨っているに違いない。
───彼女のことだ。死んではいないだろうが……いや、私の夢において彼女が死ぬことはないな…。
私を苗床として広がっている夢だ。どれだけ
───だが、急がねば。遅かれ早かれ彼女も保護する予定だった。要らぬ不和は起こしたくない。
家族とは、愛でるものだ。愛し愛されるのが本質だろう。親しい隣人では、また守れなくなってしまう。
そう、言い訳にも似た思い込み。
だが、本人は気付いていない。家族を、その営みの一切を知らぬ者が、どうしてそれを定義できようものか。
◆
気がつくと、私は地面に倒れていた。どこかの街だろうか。ヤーナムとは、また少し趣の違う光景だ。離れたところから人間の声が聞こえ、獣除けの香の匂いもしない。それどころか、陽も暮れていなかった。
あの、よくわからない空間に落ち、そこから辿り着いたのだろうが、私にとっては異様過ぎた。
「……ここは、何処?」
手元には狩人から借りたロスマリヌスのみ。銀弾は20発。
心もとない…正直、それに尽きる。戦闘経験が無いわけではない。患者が獣化したのを何度も処理したことがあるので、戦い方すら知らない未熟者でもないのだ。
だが、ここでその経験が役に立つ保証はない。下手をすれば、罹患者に殺されてしまうかもしれない──否、可能性としてはそちらの方が高いだろう。
「それにしても、変な匂いのする街ね……」
そう、先ほどから香ってくる甘くて青臭い異臭。甘いのに、青い…表現に困るが、まさにそんな匂いだ。ヤーナムでは血の匂いが漂っていたが、ここでは違うらしい。
つまり、少なくともここはヤーナムではないということになる。
「とにかく、動きましょう」
コツコツと石畳を歩き、建物の角から出て──唖然とした。
「ほおおっ、おほぉおっ…!」
「あ゛ぁ…ッひィィ、っグゥ……ッッ」
「ぢゅルルルル……っパ…ぁ、はぁ──む」
「あんっ…ん゛ん゛ん゛ぅぅぅぅ…ッ!!」
街の至る所で喘ぐ女たち。彼女らは一同に何もない空間を咥えこみ、跨り、五体を晒していた。
ある者の口から唾液に混じり、白く濁った粘液がダバダバと零れ落ちる。それに群がる他の女たち。二本ある足で歩くこともせず、ただその粘液を求めて這いずっていた。
一体彼女らは何と向き合っているのか、ヨセフカは理解できなかった。なぜなら、ヨセフカには女たち以外に何も見えていなかったからだ。
目の前で、女のみで行われている肉の宴。
それは、最早交尾ですらなかった。女たちは、まるで飢えているかのように虚無を求め、肛門や膣がナニカによって押し広げられたら歓喜の涙を流している。
この街にオスは存在せず、ただ、何処からともなく現れる女たちのみが粘液を目指して這いずり回っていたのだ。
「……わ、私は…何処に、来てしまったの……っ」
鼻をつく匂い。延々と喘ぎ声を発して粘液を貪る女たち。見るに耐えず、目を逸らせば灰色の空と、先の見通せない霧の壁。
ヨセフカは、思わずその場から逃げた。半分抜けた腰で、必死にあの地獄から離れようと走った。
視界の端に流れる風景は、ヤーナムと似た造りの建物と、喘ぐ女の群れ。粘液が溢れてドロドロになっているタイルや、家の窓ばかりだった。
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……どれほど走っただろうか。
あの匂いが薄くなった辺りで体力が尽き、倒れこむように逃れた家々の隙間。荒い息を整え、取り敢えずあの奇妙な空間から距離を取れたことに安堵した。
「…あれは、いったい何なの」
おそらく何かと交わっていたのだろうとは思うが、自分の目には何も見えなかった。彼女らは見えていたのだろうか。自分たちを犯している存在を。
中には宙に浮いている女もいた。まるで吊り上げられたように宙ぶらりんの状態で、口を開け股を広げて揺れていた。
彼女らは、確実に人ではないモノに狂わされている。否、彼女らですら、人ではないのかもしれない。そう、ヨセフカは思った。
これだけ離れても、あの喘ぎ声はやまない。あれはもはや人間の声とは違う、別の生き物の鳴き声ではないだろうか。そう考えられるほどに、
「……ダメね、頭がおかしくなりそう───誰ッッ!」
びちゃり、という音が、自分のすぐ近くから聞こえた。咄嗟にロスマリヌスを構え、すぐに戦える準備を整える。
しかし、現れたのは自分の想像を遥かに超える存在だった。
「ッ…ぃ、ッ……!?」
何とか悲鳴を飲み込んだヨセフカ。
その目の前には、大量の触手が地面に刺さっていた。そう、生えていたのではなく、刺さっていたのだ。その触手は、あの街から伸びているらしく、根幹に何があるのかは見えなかった。
触手の刺さる地面には水もないのに波紋が波打っており、時折何かを探るように掻き混ぜられている。
すると、一本の触手が何かを釣り上げた。それは、白く細長いのっぺりとしたモノで、生きているのかビチビチと跳ねている。
そして、それを見ていたヨセフカは気絶しそうになった。その白い物体が
自分も治験の過程で人を外れた生命体を見たことはあるが、あれは全く知らない存在だ。
あれはいったい何だ。まるで海洋生物ではないか。そんなことを考えているうちに、触手は次々にイカ女を釣り上げている。
その全ては触手に巻き取られながらあの街に連れて行かれており、その末路は容易に想像できてしまう。
それにしても、数が凄まじい。既に50は超えたのではないだろうか。石のタイルや土の中から一本釣りされるその光景は、まるでイカ女たちが、あの街に喰われているようにも見えた。
そこまで考えたその時、ヨセフカの頭が割れそうなほどの痛みを発した。悲鳴を抑えるために口元にあった手は頭に当てられ、思わず地面に倒れこむ。
痛すぎる。頭蓋骨をカチ割られたかに思えるほどの痛み。頭の内側から滲み出てくるような激痛がヨセフカを襲った。
「あ゛ぁっ…痛、い……ッッぎ、ぁぁあああ…ッ!」
叫ぶことしか出来ないその姿は、かつて彼女が治験していた患者と似ていた。
聴こえるのは自分の悲鳴と、触手が蠢く水音……そして、いつの間にか自分を取り囲む女たちの微笑だった。
「クスクス」
「ああ、お可哀想に」
「本当、可哀想ね」
「知らないから、痛いのです」
「拒むから、見られないの」
「恐るから、逃げるから」
「せっかく落ちて来られたのに」
「フフッ、愚かなお人」
「これは救い」
「漸く訪れた御慈悲なのに」
「目を閉じるなんて、不敬ですよ」
「あのお方が」
「ええ、あのお方の」
「愛を疑うなんて」
「私たち、幸せなのよ」
「フフ、フフフッ」
容姿はそれぞれ全く違えども、群がるは全て女だ。イカ女に加えて、半透明で手首を縛られた幽霊のような女。同じく半透明だが、首と胴が離れたデュラハンのような女。骨のような狩装束を纏う女狩人も其処に居た。
誰も彼もがマトモではない。頭痛により抵抗できないヨセフカは、彼女らによって裸に剥かれた。
頭を抑えていた手すら拘束されて、ヨセフカはやっとの思いで逃れたあの街に連れ戻される。
「ぃや、イヤぁぁぁぁあ!!離してッ、ぁあっ、痛い…!ぁ、頭が……ッ、や…だ、れか…………助けて……っ!」
痛む頭に甘くて青い匂いが入ってくる。匂いに反応した触手が迫り、逃げようとするも女たちの拘束によって動けない。
目の前にある触手は赤黒く、植物の根のように枝分かれしていた。それら全てが口を開き、ヨセフカの頭部に巻き付いていく。
それだけでは終わらない。腕や脚に伸びた細い触手は、まるで輸血する際の針のように手首や内股の血管に突き刺さったのだ。
「これで、もう大丈夫です」
「ええ、もう痛くないわ」
「私たちと同じ」
「痛みなんて、苦しいだけよ」
「苦しいのは、もうイヤだものね」
「気持ちいいでしょう」
「それが幸せなのよ」
「幸せって、気持ちいいの」
「愛されるって、素晴らしいわ」
「あら、もう達してしまわれるの?」
「あらあら、直接神秘を打たれるなんて」
「羨ましいですわ」
「ウフフ、お汁でベタベタです」
「お尻の穴まで丸見えね」
「お乳も吸って貰いなさいな」
「クスクス、もっともっと溺れましょう」
咥内を触手に犯され、胃や肺には大量の神秘を流し込まれた。眼はゲル状の触手に舐め回され、耳も隙間なくブチュブチュと犯し尽くされた。
周りの女たちも各々が触手を頬張り、体液という体液を垂らしながら肉の宴を始めだす。
それは、さながら生け贄の儀式のよう。
一つの歓喜を共通意思として、無数の命が一つの命のように蠢き、のたうち、悦を味わいながら次の色を求め、増殖と漸増を繰り返しながら無限に愛を享受し続ける。
その歓喜が『神』に対する信仰であれ、『獣欲』による満足感であれ、『上位者』という存在の一体であれ、彼女らは漸く同じものになれたということだ。
なんとも素晴らしい。夢のようじゃあないか。
たまたまゴースが打ち上げられた村に住んでいただけで頭蓋骨に穴を空けられた者。瞳を得るためなどと言われ、無理矢理寄生虫を埋め込まれた者。血族の関係者というだけで首を落とされた者。穢れというものを持つばかりに車輪に挽肉にされた者。
それら全ての苦痛が、この触手によって除かれた。今まで無限に味わい続けていた痛みを、快楽に変えてくれたのだ。
さらに、私たちを安全な夢の中に取り込み、守ってくれているのだ。対価は己の身体のみ。なんと慈悲深い方なのか。
これを救世の神と言わず、何と言うのだ。
だから彼女らは喜んでその身を捧げる。苦痛の沼より掬い上げてくれた感謝を込め、せめてもの対価として。
孕むかもしれない?
それこそ本望だろう。神の子を孕めるのだ。こんな名誉なことはない。いずれこの街は、神の伴侶と子で溢れ返る。
おお、まさに理想郷ではないか。あのような地獄は遥か彼方にあり、もう二度と帰ることもない。永遠にこの甘い夢に浸り続けていればいいのだから。
───わかるか、ヨセフカ。
ヨセフカを包む触手の繭に、滲むように出てきた狩人。彼女の虚ろな顔を撫で、憂いを帯びた表情で言葉を零す。
───この世界は、女たちの最後の足掻きだ。
「…ぁ……んぉっ…ぉ゛ぉお…、ぁあ゛っ…ふぅぅ…ッ、ぉ、ぁ」
───人の枷はもはや外れた。今や貴女も私の家族、守るべき一員だ。
ヨセフカを腕に抱えて、狩人はフワリと宙に浮く。
灰色の空はとても重く、まるで蓋のようだった。
霧の中に広がる蓋をされた街。ある意味あそこは、行き止まりなのかもしれない。
だが、それを嘆くものは一人も居なかった。
理想の夢は似通えど、認識など人それぞれであるが故に。
お待たせしました。
鈴原るるにハマった(2回目)
あとは熱中症とか就活とかバイトとかが原因。
さて、今回はシリアス重視のエロ話を書いたつもりですが、どうでしたかな。
個人的には、もうちょい不気味な雰囲気にしたかった。
初めてデスサンタに拉致られたヤハグルみたいな感じにしてみたかった。
もうちょっと、こう…あるだろ!
まあ、振り返りはこんなもんですかね。
あ、鈴原るるにハマったんですが(3回目)
あの娘凄いね。破戒僧初見撃破は感心しました。
KOTAROのくだりは愉悦で麻婆とワインが止まりませんでしたな。
魔界村は自分がやったことないんで見てもアレでしたが、ブラボは凄い楽しかったです。
勢い余ってでびるるのアーカイブも見て、『ビッグダディ!?』で無事に爆笑しました。
では、最後まで見てくれてありがとうございます。
感想待ってます。