※この作品はR-18です。

魔王と契約書   作:ガンダムラザーニャ

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番外編:魔女はメイドに勝てない

私は鏡野七罪、魔女をやってるけど、同時におにぃの眷属をしている。

 

それで私は今、ラムからの罰で、しばらくの間レムのお手伝いをすることになった。

 

理由は簡単、前に身体測定で神経質になってレムとマリアを子供姿にしたからだ。

 

それで二人に謝って許してもらった。

 

…というか、二人とも子供姿になったのにも関わらず、おにぃとハッスルしたって何よ!?

 

やっぱりおにぃってロリコンなんじゃないの!?

 

…でも、おにぃはあくまでと求められたらするって感じだから、ちょっと違うのかな?

 

…いやいや、今はそんなことよりも!

 

今はレムよ、何よあれ!

 

ラムに手伝えって言われてるのに、いざ手伝おうとすれば…。

 

「あぁいえ、大丈夫です。

七罪様はそこで待っていてください」

 

この調子よ!

 

何でもかんでもすぐにできちゃうし、これじゃあ私が手伝う意味ないじゃない!

 

これじゃあまるで何もせずについて回ってるも同然じゃない!

 

…まぁ、一応料理の毒味してほしいとか、買い出し手伝ってほしいって言われたりするから、それに付き合ったりするけど。

 

でも、レムは何でもできるし、多分私が何もしなくても、ごく当たり前のようにできてしまう。

 

というか、レムの動きを見て思うけど、レムの動きに一切無駄がない。

 

料理も、洗濯も、掃除も、全部。

 

何でもかんでも、完璧に仕上げてしまう。

 

変身と他人の真似事が取り柄の私には到底真似できない芸当だ。

 

あんなの、即席でできることじゃない。

 

もう何年も、休まず努力して精錬された動きだ。

 

もはや体の一部のように染み付いてしまってるのだ。

 

ラムに言われて、レムの手伝いをしてるけど、これじゃ私の入る余地なんてない!

 

何で、こんなことできるのよ!

 

こんなの、ただ金魚の糞みたいに付いていってるのと変わらないじゃない…!

 

…あぁ、そうか。

 

レムはラムよりもすごいし、完璧だから、それでレムと私は天と地の差ほどあるんだって、わからせるためにラムは私にレムの手伝いをさせたんだ。

 

…どうせ、私のような醜いやつ、心のどこかで嗤ってるんでしょ?

 

それはそうよ、だって私はちょっと身体測定のことで神経質になっただけで、顔を合わせると子供の姿に変えるような女なのよ?

 

マリアもそうだけど、レムってスタイル抜群だし、それを見て私は憎たらしいって思ったし。

 

…はっ、本当に無様で醜いわね、私は。

 

そう考えながら、私は今レムの後に続きながら買い物袋をぶら下げていた。

 

「七罪様、今日の買い出しの手伝い、ありがとうございました!

…?

七罪様、どうかされました?」

 

「…別に、ただあんたと一緒にいると、惨めな気分になるなって思っただけよ」

 

「そ、そんな!

レムは何か粗相をしましたか!?」

 

「…」

 

何でそんな心配そうに私を見るのよこいつ。

 

…あぁそうか、私を下に見てるんだな。

 

「粗相って何よ?

むしろ私のこと、粗相の塊とか思ってるでしょ!?

だから手伝いでも毒味とこういう買い出ししかやらせないんでしょ!?

私を見下してるなら、はっきりと言いなさいよ!

この間のこと許してないなら、はっきり言ってよ!!」

 

「…!!」

 

…何よ、何でそんな悲しそうな顔をするのよ?

 

違うでしょ、そこは醜い私を見下しなさいよ!

 

…あぁもう知らない!

 

「もう良いわよ!!

そうやって何でもかんでも一人でできるなら、勝手にしなさいよ!

私はもう知らないんだから!!」

 

「あっ七罪様!!」

 

私は買い物袋をレムに押し付けて走り出した。

 

行き先なんて考えてない。

 

レムから離れれば、それで良い。

 

そうして私は宛もなく走り続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どのくらい走ったかわからない。

 

でも、少なくともレムの姿は見えない。

 

それに安心したからか、足の力が抜けていくのを感じた。

 

休みたい、走って疲れた。

 

…ここ、川辺のようね。

 

人は行き来してるけど、誰も私を見ていない。

 

これはちょうど良いわね。

 

そう思い、川辺の階段に腰を掛ける。

 

「…」

 

夕日を見ながら、先ほどのレムの顔を思い出す。

 

「…何で」

 

何で、あんな悲しそうな顔をするのよ。

 

猫被るのも大概にしなさいっての。

 

…でも、あれって演技じゃないの?

 

だとしたら、あれって、本当に?

 

「…何よそれ」

 

何なのよ、これじゃあ私が悪者じゃない。

 

…本当に、私って最低だ。

 

レムは本気で私のことを心配してくれたのに、勝手に自分の感情で八つ当たりして、そのまま逃げ出して。

 

「はぁ…」

 

自己嫌悪のあまり、膝を抱えて顔を伏せる。

 

おにぃは私のこと愛してくれてるのに、いざおにぃ以外のやつの前だとこの調子だ。

 

おにぃは、私の本当の姿、つまりこの姿を見て、可愛いって嘘偽りもなく受け入れてくれた。

 

…まぁ、眷属になってからは四糸乃とは仲良くなったけど。

 

あの子、おどおどしてるけど、年も近いし見た目も性格も可愛いし。

 

でも、私はおにぃと四糸乃とめぐみんとエレン以外とは、まともに話した記憶がない。

 

皆って、私のことどういう風に見てるのかな?

 

無愛想なやつ?

 

スタイル抜群な子を子供に変えるような性格ブス?

 

何でもかんでもネガティブに走るブス?

 

…ダメ、これ以上は余計にネガティブになって仕方ない。

 

前までの私なら、そう言う風に決まってるって決めつけてたけど、最近では結局これは私の中の妄想として受け入れられる。

 

でも、どうしてもネガティブから脱出できない。

 

「…」

 

顔を埋めながら風に当たる。

 

最近は暖かくなり始めたが、それでもまだ肌寒い。

 

そんな時だった。

 

「あ、ここにいらしたのですか七罪様!」

 

「へ?」

 

声がして振り返ると、レムがいた。

 

それもご丁寧に、荷物を軽々と持って。

 

「あ…」

 

レムに先ほどのことを謝ろうとしたが、言葉が詰まってしまう。

 

そしてすぐに出たのが。

 

「な、何よ。

そんな荷物軽々と持ち上げて。

荷物を持ち上げれない私への当て付け?」

 

この憎まれ口だ。

 

正直、言ったそばで内心罪悪感を感じている。

 

謝らなきゃいけないのに。

 

そう思っていると。

 

「ごめんなさい!」

 

「は?」

 

えっ、何で頭を下げて謝ってるのよ?

 

「レムが、七罪様にどのような粗相をされたかはわかりません!

しかし、七罪様がレムに怒ってることは確かなんです!

だから、ごめんなさい!」

 

「あっいやちょっと待って!

何であんたが謝るのよ!?

あんたは何も悪くないじゃない!

私が勝手に癇癪起こして八つ当たりしたようなものよ!

だからレムは謝らなくて良いのよ!」

 

「で、ですが…!

その原因がレムにあるのだとしたら、尚更…」

 

「だから違うって言ってるでしょ!

あぁもうめんどくさいわね!

とりあえず話すから、隣座りなさいよ!」

 

「し、失礼します…」

 

そう言ってレムは私の隣に座ったが、未だに心配そうな顔をして私を見ていた。

 

「…私が怒ったのは、あんたの仕事を思ったよりも手伝えなかったからよ。

あんたって、何でもかんでも一人でこなしちゃうし」

 

「も、申し訳ありません…。

つい、いつもの癖で。

でも、レムも七罪様に何かお手伝いしてもらえるようなものを考えてたんですけど、あれしか思い付かなくて…」

 

「…頼りないって思ってるわけじゃないんだ、私のこと」

 

「はい、ですがごめんなさい。

七罪様にそのような思いをさせてしまっていたとは。

.本当に、ごめんなさい!」

 

「…ねぇ、レムの仕事って、一人でしなきゃいけないものなの?」

 

「え?」

 

「それは確かに、あんたは何でもできるし、あんたがいるから、おにぃの家の家事は全部できちゃうし。

だけど、あんたはラム以上にやってるじゃない。

ラムにはラムの事情があるかもだけど、あんただって、誰かに手伝ってもらったって、バチは当たらないんじゃない?

なのに何でその必要がないくらいに、出来ちゃうのよ」

 

「…それはその、どうしてレムが、何でも一人で出来てしまうのか、そう言うことですか?」

 

「そうだって言ってるのよ。

あとさっき、何であんな悲しそうな顔をしてたのよあんたは」

 

「…そうですね」

 

レムはそう言うと頭を下げて、思い出にふけるような、それでいて憂いのある顔付きになった。

 

「七罪様は、レムのことを何でもできると仰られましたが、少なくともレムは最初から何でもできたわけではありません。

…そもそもレムは、かつて里では落ちこぼれのような存在でしたから」

 

「…え?」

 

レムからものすごく信じられない言葉を聞いて唖然としたが、レムは話を続けてくれた。

 

レムとラムは、生まれた時から双子の姉妹だった。

 

ラムは赤ん坊だった頃から力が強くて、天才とまで言われていた存在だった。

 

それに対してレムは力が弱く、物覚えも悪かったからできるようになるまで時間が掛かるし、できてもラムみたいには上手くできず、いつも周りから比較され続けてきた落ちこぼれだったらしい。

 

しかも、その周りには、実の両親も含まれていたそうだ。

 

だから周りはいつもラムのことを神童だのなんだの持て囃される反面、レムに対しては少し冷たかった。

 

双子の落ちこぼれの方だとか、ラムだけ居れば良いとか、いつも陰で囁かれていたのだ。

 

だが、そんなレムを、いつもラムが庇ってくれていたらしい。

 

そのお陰か、周りからの風当たりも良くなったりもしたそうだけど。

 

でも、レムからすれば、そんなラムが羨ましくもあり、同時に憎たらしくもあった所もあったらしい。

 

ラムは優しすぎたのだ。

 

何よりもレムのことを大切にしてくれているから。

 

けど、その強すぎる力を持っていたことから、比べられてきたから。

 

だから、ラムの角が折れてしまった時、ふと笑みを浮かべてしまったのだ。

 

あぁ、やっと、やっと…、折れてくれたんだ…、と。

 

同時に後悔もしてしまった。

 

ラムが自分を庇ってくれたのに、そう言うことを思ってしまった自分がいることを。

 

レムは、落ちこぼれであると同時に、最愛の姉の角が折れたことに喜ぶ酷く醜い鬼なんだと。

 

鬼の里が壊滅して、組織が経営しているメイド学校に通うようになってからも、ラムに対して罪悪感を感じていた。

 

それでも、努力してラムの手伝いをしていたが、ラムもラムで申し訳なさから引きこもるようになってしまい、どうしたら良いのか、わからなくなってしまったことがあるという。

 

そんな時に、メイド学校の一人の先生がレムに声を掛けてくれたらしい。

 

その先生は、昔にあった事故で常に松葉杖を着いてないと歩けない人だったが、激戦を潜り抜けてきたような、貫禄のある人だったという。

 

それで、先生はレムたちの事情を知ってる上でこう言ってきた。

 

お前はいつまで、そうやって卑屈でいるつもりなんだと。

 

そう言われて、レムは自分の感情を吐き出した。

 

じゃあどうしろというのか、レムは姉の角が折れてしまったことに喜んだ醜い鬼だ。

 

姉様が引きこもってるのに自分は何もできない、そんな落ちこぼれでどうしようもなく醜い鬼に、何ができるんだと。

 

そう言った瞬間、先生に殴られる勢いで、ならお前は姉が引きこもるのをやめてからも、ずっとそうしてるのかと、言ってきた。

 

そして続くように、厳しい目で言ってきた。

 

その目はなんだ、その涙はなんだ。

 

お前のそんな顔で、姉は喜ぶと思ってるのか?

 

そんな卑屈でいて、お前はそれで満足してるのか?

 

それが嫌なら、特訓を付けてやるから付いてこいと。

 

お前を、立派なメイドにしてやると。

 

レムに背を向ける先生の背中は、あまりに大きく、だけど導いてくれるようにも思えた。

 

レムは、最初少なくともラムを支えたいという思いから、着いていった。

 

だが、その先生はとてつもなく厳しかった。

 

炊事・洗濯・掃除、それに加えて仕えるご主人様をお守りするために身体能力の向上など、色々と厳しかった。

 

少なくとも、スパルタを通り越して本気で殺しに掛かってるようなものだった。

 

だが、先生の目は、『逃げるな。これはお前にしかできないことだ。お前がやらずして、誰がやるんだ』と訴えてきていたようにも思えた。

 

それだけ、必死でレムを立派なメイドにしようと、指導してきていたのだ。

 

厳しすぎて、何度も逃げ出したくなったが、次第に自分の醜い部分を認め受け入れ恥じて、ラムが戻ってきても良いようにと、一人のメイドとしてラムの妹として一生懸命指導を受けて頑張ってきた。

 

気が付けば、レムはメイド学校でも首席の成績を取っていたのだ。

 

そして、ラムが戻ってきてからは、今までのことを反省して、ラムのことを支えようと、そして里を襲撃した契約者を対して仇を討とうと頑張ってきたそうだ。

 

…まぁ、その仇に関してはおにぃが倒したみたいだけどね。

 

それにしても…。

 

「…あんた、コンプレックス抱いてたからって身内の角が折れたことに喜んだって、意外と良い性格してるわね」

 

「いやぁその、すみません。

その頃は周りからずっと比較され続けてきたことがあつて…。

それに、一人でこなすのはメイド学校での癖で」

 

私の皮肉に、返す言葉もない様子のレム。

 

「ふっ、でもちょっと、安心したわよ。

あんたはただのパーフェクトメイドじゃなかったことにね。

そう言う、誰かにコンプレックス抱いてたり、誰かの不幸を笑ったり、それに後悔したりするの。

むしろ人間よりも人間らしいわよあんたは」

 

「あぅ…」

 

「けどまぁ、あんたにはそう言う恩師がいたから、こうして何でもできるようになったんでしょ?

なら、それで良いじゃない」

 

「…七罪様も確か、ある人に助けてもらってから施設で暮らしてるんでしたよね?」

 

「そうね。

けど私の場合、結果的にお母さんを突き出すことになっちゃったけど。

…あんたは、私がお母さんからどういう仕打ちを受けてきたのか、知ってる?」

 

「…はい。

あまりに辛い幼少期を過ごされたと」

 

「…まぁ、そうね。

私は、お母さんから醜いって言われて殴られて生きてきたから。

でも、同時に娘として愛して欲しかったの。

だけど、愛して欲しかったお母さんを、私は突き出してしまった。

だから、私は私のことをずっと醜いんだって、そう思うようになったのよ。

今は、おにぃに愛してもらって、少しずつ前向きになってきたけど、やっぱりダメね」

 

「…何で、ダメなんですか?」

 

「何でって…!

それはそうでしょう!?

私はおにぃの眷属なのに、あんたも含めて胸の大きな子がいっぱいいるのを見てると、あんたらにおにぃが取られると思っておにぃを閉じ込めたことのある女なのよ!?

それだけじゃない、身体測定で神経質になったからってマリアやあんたを、この手で子供の姿にしたのよ!?

おにぃは私のことを愛してくれてるけど、私はどうしても私自身を愛せない!

私は、私自身がいっちばん大っ嫌いなのよっ!!」

 

「…!」

 

何で、何でそんな悲しそうな顔をするのよ。

 

私が私を大嫌いなのに、何がいけないのよ…!

 

「何で、そんな顔をするのよぉ…」

 

「じゃあなぜ、自身をそのように言われる七罪様はそんなに苦しそうな顔をなされるのですか?」

 

「え?」

 

何を言ってるのよ、こいつ。

 

「…レムは、ご主人様の眷属になられる前の七罪様がどのような気持ちで生活を送っていたのかはわかりません。

しかし、少なくとも今の七罪様は、それを言うだけで苦しそうにしています。

それって、七罪様自身が少しでも前を向こうと、必死で頑張ってるからだと思うんです。

どんなに卑屈でも、どんなに辛くても」

 

「えっ、何言ってるのよ?」

 

「レムは、こうしてお手伝いしてもらってる時と、眷属同士のお食事での七罪様しか見ていませんが、七罪様は戸惑いながらも、自分から何かをしようとしています。

そこまで自身を嫌いだと言い切るのなら、変身することもできたはずなのに、そもそも出席する必要もないのに。

でも、七罪様は本来の姿で出席されて、戸惑って空回りですが、めぐみん様やエレン様以外の眷属の方々に話し掛けようと、何かをしてあげようと挙動不審になっておられてました。

これはきっと、七罪様が本来の姿で誰かに何かをしてあげようと試行錯誤していたからなんです。

…レムは七罪様のことは好きですよ。

まず、着て来ている服が好きです。

自分のこと醜いって言いながらも、可愛らしい服を選んで着ているからです。

しかも、流行りにも敏感で、それをご自身流にアレンジしておしゃれをしてはそれでご主人様にアタックをしていくような初々しいところが好きです。

七罪様の髪が好きです。

癖のある髪だからといつも気にされていて、だけど七罪様なりに手入れをしているから、艶があって綺麗です。

七罪様の手が好きです。

レムの手伝いをしていただいてる時に、重い荷物を両手で引っ張って一生懸命持っている所も、時折触れる温もりも、やはり一人の女の子なんだなと思います。

七罪様の目が好きです。

そのエメラルドの瞳は、毎日自身のコンプレックスと戦ってるかのような生気溢れ輝いていて、とてもネガティブな人の目とは思えません。

七罪様の声が好きです。

ご自身に対するネガティブ表現はありますが、ご自身に対しては悲しそうにして、だけど特にご主人様にはどこか年相応の甘えん坊な可愛らしい女の子の声がしますし、レムに対して皮肉を言うことはあってもそこにはちゃんと優しさと気遣いが籠っています」

 

「…何で、そんなことを、言うのよ?」

 

「七罪様はご自身が嫌いだと仰りますが、レムの知る七罪様の良いところが、こんなにもあるんです。

それを知ってほしいんです、どんなに信じられないことだとしても。

…それは、確かに言い方が少し気味が悪いかもですけど」

 

「いやいや、そんなことじゃなくて!

あんたの言うことなんて、ただの思い込みよ、思い違いよ!

私はただ、おにぃが愛してくれるから、そうっ、仕方なくよ!

それに私が何かをやろうとしたら皆気分を悪くするかもしれないから手を引っ込めてるだけだし、手伝いだって、元はと言えば罰で喰らってるようなものよ!

全部全部、あんたの妄想の世界の話でしかないのよ!!」

 

「七罪様はご自身のことしか知らない癖に、レムの、いえ、皆さんから見た七罪様のことを、どれだけ知ってると言うのですかっ!?

お世辞であろうとなかろうと、皆さんの言葉を、聞いたことがあるのですか?

どうして、レムたちを信じてくれないのですか?」

 

「…!」

 

気が付けば、レムは泣いていた。

 

まるで自分のことように。

 

…何で、あんたがそう言うことを言うのよ。

 

「あんたは…、何で私をそう言う目で見てくれるの?

そもそもあんたには、この前のことで私を責める権利があるのに、どうして、許してくれるのよ…?」

 

「…そんなことは、簡単です。

七罪様は、今でもなお自身の在り方に悩み歩み、醜いと称するご自身を変えようと必死で抗おうとする、とても人間らしい方だからです。

…確かに、何もかも嫌になって逃げ出すのは簡単なことです、変えることも諦めてしまうことも。

ですが、今の七罪様には絶対に似合わない」

 

「…!」

 

レムは涙を拭い私の前に立つ。

 

「もし、今でもまだ七罪様がご自身を嫌いだと仰るのであれば、レムがご自身を好きになれるように手伝います。

ですので、ここからやり直しましょう。

無から…、そう…、ゼロから!」

 

「…っ!!」

 

レムが、あまりにも眩しく見えた。

 

完敗だった。

 

そこまで言われたら、これ以上否定的になれない。

 

「…良いの?

私、少しずつ前向きになってきてるけど、ちょっとでも嫌なことがあると、何を仕出かすかわからない女よ?

そんな私が、許されても、良いの?

やり直す権利があっても、良いの?」

 

「はい、良いんです。

むしろ、それがなくては七罪様のこれまでのことを全て否定することになりますから」

 

「…はっ」

 

思わず笑ってしまった。

 

どうあっても諦めさせないし、どうあっても私が私を好きになるまでやり直しをさせようとしている。

 

ほんと…。

 

「ほんと、良い性格してるわよあんた」

 

「はいっ、レムはメイド以前に鬼ですので!」

察しが良いのか、笑顔で返された。

 

ほんと、敵わないわねこいつには。

「…あーあぁ、何かあんたと話をしてると、この手のことがバカらしくなってきちゃったわ。

さっ、早く帰るわよ」

 

「はいっ、七罪様!」

 

「あぁっちょっ、そんなに手を引っ張るんじゃないわよ!」

 

レムは力強く、私の手を引いて一緒に歩いてくれる。

 

レムはメイドだから、おにぃが優先だろうけど、もし私がまたネガティブになれば、こうやって引っ張り出してくれるのだろう。

 

…良い意味でも悪い意味でも、パーフェクトなリーマンメイドだと思ってたけど、これじゃあ敵わないわね本当に。

 

そう思いながら、レムと一緒に帰るのだった。




レムの言う先生からの指導については、ウルトラマンレオが受けた修行をイメージしてください。

FGOで出して欲しいキャラ

  • 遠坂凛(イシュタルかエレシュキガル)
  • イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
  • アビゲイル・ウィリアムズ
  • 葛飾北斎
  • ヴァン・ゴッホ
  • ジャック・ド・モレー
  • 望月千代女
  • モルガン
  • アルトリア・キャスター
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