※この作品はR-18です。

トワイライトD×D   作:ENE

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友人二人とのんびりコミュした後にアーシアとセックスする第十四話。
【停止教室のヴァンパイア】編突入です(ヴァンパイアが出るとは言ってない)。


第十四話 休日逢瀬のヴァンパイア

「あーあ! 誰かに斬り落とされた手首が痛いなー!!」

 

ファミリーレストランの一角で、駄々っ子と化したゼノヴィアがわざとらしく大声を上げた。

その対面には、五月蝿そうな顔をしたジョンが一人座って向かい合う。

 

痛いとは言うが、無論、ジョンの治療に不備は無い。失血分の不足にしても、やがて時間が解決するだろう。

手首を斬られた事だって彼女自身、本当は気にもしていない。あれは自分を助けるための行為であり、無事に治療も施されたし、あるいは仮に治らなかったとしても日常生活が大変不便になるだけで納得自体はしただろう。それだけの友誼と信頼を、彼女は彼に向けていた。

 

つまるところコレは、単純にゴリラが甘えているだけ。友人同士のじゃれ合いだった。

 

仕方ないなと溜息を吐いて、少年が手元のフォークを差し出した。

それはいわゆるアレだった。あーん、と言うやつ。あの夜のゼノヴィアが言った事だ。

銀色の櫛状部分に乗せられているのは一掬いのチョコレートケーキ。ぱちりと目を瞬かせたゼノヴィアが、小さく口を開けて身を乗り出すと、音も無く、その唇でフォークの先を咥え込んだ。

 

口を離して正面に居る相手と目を合わせたまま、咀嚼する。

金に近しい少女の瞳。煌くそれと視線を絡ませ、少年の視界で整った口元が幾度も動く。

そして最後に、唇に付いたクリームを舐め取り食事が終わる。小さく動いた赤い舌がちらりと見えて、何とはなしに彼の視線が逸れたが些細な事だ。

その目線の動きにも当然気付いたが、当のゼノヴィアは気にする事無くぽつりと呟く。

 

「ジョン」

「いやしんぼめ」

「違う。いや、一応貰っておこうか」

 

そんな遣り取りの末にもう一口。

名前の呼び掛けは御代わりの催促ではなかったのだが、美味しかったので問題無い。

はむ、と優しく咥えたフォークの先が、瑞々しい唇の先からぬるりと抜けた。

 

周囲の客から幾らかの視線が向けられているのに気付いたが、気にするほどでもないので受け流す。二人の母国語が日本のそれではないので会話の内容は通じていないが、彼等の姿は確実に友人以上の関係で。周りとしては、耳目を気にせず睦み合っているように見えるのだ。

が、ジョンもゼノヴィアもそういった恋愛方面の認識自体が未発達なため気付いておらず、その実態は戦場で培った絆で繋がる、距離を測り違えた戦友同士の心温まるスキンシップに他ならない。

 

「ジョン」

「あーん」

「だから違う、そうじゃない。――いや待て、要らないとは言ってないぞ。フォークを下げるな!」

 

三口目までをしっかり貰い、言葉に迷いながらも少女が食べる。

二度も誤魔化したジョンの側とて、ゼノヴィアの言いたい事は分かっていた。先の一件、コカビエルが口にした聖書の神の話だろう。

信仰の深さを競うつもりなど毛頭無いが、彼女もまたジョンと同様、己の人生のほぼ全てを信徒としての勤めに捧げてきた身。自身の生き方、その根幹を成す最大要素が、神の存在が、教会からの教えとは異なり既に喪われているというのなら。

 

今までの全ては、己という名の人間は、一体何のために生きてきたのだろうか。

 

支柱を引き抜かれたモノが瓦解するのは当然だ。モノの対象が建物であれ、心であれ、それだけはきっと変わらない。ゼノヴィアの過去は、既に彼女の中では破綻していた。

崩れきっていないのは、友人である二人の存在、そして同じ場所に立ち同じ真実に触れた上で、それでもなお立ち上がり、笑みさえ浮かべたジョン・オーリッシュの姿が最も大きい。

 

何故だ、とゼノヴィアが呟く。

何故折れない。何故笑える。何故、何故、なぜ――。

何故、私はキミと同じ事が出来ていない。そういう風に、寂しさと一緒に考えている。

だから。

 

「……わたしにも、その強さをくれないか、ジョン」

 

一人の少女が、弱々しく呟いた。

テーブルの上にゼノヴィアの両手が乗せられている。目に見えて震えながら、長年の修練で固くなった彼女の手指がジョンの方へと伸ばされた。

 

掬い上げたケーキを一口分口に含んで。少年は、応えるように己の右手をそこに重ねた。

やがてそっと抱き締められた片腕が、酷く熱かった事だけは憶えている。

 

 

□

 

 

「ジョン」

 

甘えるように、紫藤イリナが呼び掛けた。

伸ばされた少女の両手が少年の右腕へと絡み付き、しかし身体を預けるまではせず、ただ離すまいとして捕まえる。

 

エクスカリバーを巡る戦い、廃教会での一夜が明けて、イリナの態度は変わってしまった。

 

それを不快だ、とは思わない。ジョンにとって彼女は尊敬する友人で、大切な相手だ。割と肉体的接触が多いのも、子供の頃からの知り合いなので別におかしな事ではない。ない、が。

何か、こう、少しだけ違う気がする。彼には上手く、言えないのだが。

声色が。視線が。触り方、が。

 

今日だって、きっと聖書の神の死に関わる話をするのだろうと思い、此処に来た。数十分前まで同じ立場であるゼノヴィアの相手をしていたのだから、尚更だ。

しかし違った。よく分からないが、名前を呼ばれながら腕を掴まれるだけの時間が過ぎる。他人の心を察する能力に乏しいジョンは、イリナが何を考えているのか分からない。

 

「どうしたの、ジョン?」

 

脳内に疑問符を浮かべたまま視線を向ければ、微笑む少女の視線が返る。

真っ直ぐに向けられた、親愛の情。深い紫の瞳が、ジョンへの好意に輝いていた。

なんでもない、と返して視線を泳がせる。やはりどこか違和感を覚えるのだが、それが何かは分からない。いや、考え方を変えよう。むしろ変わったのは自分の方、なのかもしれなかった。

 

神への不信、ずっと抱き続けていた否定の感情。彼の中にあった重苦しいほどの暗雲の全ては堕天使の言葉で晴れ渡り、もはや悩みなど何も無い。天から降り注ぐ強化の加護によって身体の調子もすこぶる良かった。

 

きっと、そのせいなのだろう。イリナが変に見えるのは。

心境の変化が視点の変化、認識の変化へと繋がって、友人としての絆を取り戻したばかりの彼女に対して今までと違った印象を抱かせた。つまりはそういう事なのだ。

 

二人並んで座る寝台の上、傍らに突いたジョンの右手に、抱き付くイリナの両手が忍び寄り、その指が絡んで手首より先を包み込む。

大切なものを愛でるように。ただ純粋に、愛しい相手と触れ合いたくて擦り寄るように。

 

右手に感じる くすぐったさに、何故かアーシアを思い出す。

 

イリナとアーシア。二人の間の共通点など、信仰くらいしか思い付かない。だけど、どうしてか今触れてくる手つきに、その熱に、金色の少女の顔が浮かんだ。

 

「誰の事考えてるの?」

 

耳元で囁く甘い声。甘い、と思う事さえ彼にとってはおかしな事だが。

ぞくり、と少年の背筋に不快感とは異なる何かが走り抜け、勢い良く振り向いた。

くすぐったいからやめてくれ、とイリナに向かって言う筈だった。筈、だったのに。

 

微笑む少女の顔が近い。

 

腕を掴まれ、片手と両手が絡み合っている。友人同士の近しい距離が、何故か以前よりも迫って見えた。間近で目にした紫色の彼女の両目は、とても綺麗で呼吸が苦しい。

思わず、視線を逸らした。

俯くように下げた視線の、その先に、年頃の少女の肢体が見える。

 

「――」

 

言葉に詰まる。呼吸が詰まる。彼の視線が、動きを止めた。

白い肌。細い少女の頤の下から、これもまた細い首筋が伸びている。

鍛えた身体が、しかし決して太くはなくて整っていた。頼りなさげにさえ見える女らしい両肩の線と、その更に下方へと視線を動かせば、見慣れたアーシアのそれより豊かな実りがぶら下がっている。

 

窓から差し込む太陽の明かりで照らされた、駒王学園の女子制服。

なんで制服着てるんだろう、なんてぼんやり考えながら。大きく膨らんだ真っ白な胸部と、ウエストを締め上げる制服の黒。その下には臙脂色のスカートが広がり、奥から伸びる真っ白な太腿を映えさせる。

可愛らしいのにどこか性の匂いを感じさせるその秀逸なデザインが、普段着としては教会から渡される簡素な物しか知らない筈のイリナの肢体を――。

 

ジョン、と鼻にかかる声が耳朶を擽った。

は、と思考を覆った靄が晴れ、近過ぎる距離で己を見つめる友人の瞳と視線を合わせる。

薄っすらと頬を染める、イリナの綺麗な、顔。居た堪れずに震える表情。

異性に身体を観察されて、恥じ入る少女の顔だった。

 

「あ」

 

吐息と共に、みっともない間の抜けた声が喉奥から跳ねた。

ようやく、今、自分が何を見ていたのかを自覚する。顔が熱い。

いけない。これはいけない。女性、それも大切な友人に対してなんたる事を。すぐにでも謝るべきだと常識的な思考が告げて、身を離しながらイリナへ謝罪の言葉を告げようとした、その前に。

 

ぎゅ、と掴まれていた手に力が篭められた。篭った力に引き止められて、退く動きが相殺される。

 

「その、」

 

呟く少女の、頬が赤くなっている。

こちらを見上げ、目を伏せて、また窺うように視線を上げる。

 

「そういうの、興味、あるのは分かるんだけ、ど……」

 

徐々に小さくなっていく、たどたどしい声と言葉が彼の耳朶を舐めては痺れが走る。

寝台に突いた少年の右手、そこを握り締める細い両手には力が篭り、それに伴い縦に伸ばした彼女の両腕が中央に寄った。

まるで、肘の内側で豊かな乳房を挟むように、あるいは持ち上げるように身を縮め、真っ白な制服越しの胸の谷間を見せつけながら。幾度か唇を動かし言葉を選ぶと、上目遣いでイリナが言った。

 

「もうちょっと、待、ってくれたら。その……」

 

と、そこまで言ったが続かなかった。

これ以上は言葉にならない。そう言うように、少女の赤い顔が伏せられた。

 

常の快活さなど欠片も見えない、まさに見違えるような、艶かしさと少女の脆さ。違和感がある。なのに、やはり不快ではない。

両手で握って固定された少年の右腕。手を突く形で真っ直ぐに伸びたその、二の腕辺りに、顔を押し付け少女がすっかり黙り込む。

落ち着くための所作だろう。吸って、吐き出す深呼吸。彼女の吐息を衣服越しの肌で感じた。

 

――なんだこれは。どうすれば良いのだ。何故だか無性に恥ずかしい。

自分は今、何を言われたのだろうか。と、異性関係に疎いジョン・オーリッシュの理性が言う。反面、彼の本能は先ほど見下ろした友人の肢体で騒がしい。何より何故だか おなかがいたい。

 

「ご、」

 

ごめん、なさい。

 

とりあえず、謝っておこう。謝らなければ、ならない。

肉欲と好意はともかくとして、恋愛や乙女心に関して全くさっぱり理解出来ていない割と歪な少年の、精一杯の気持ちがたった一言に表れていた。

 

言われた少女は相も変わらず、少年の腕に顔を埋めたまま何も言わずに、ただただ熱い呼吸だけが彼の下へと伝わってきていた。

 

 

□

 

 

堕天使コカビエルとの戦いが終わって、明けた朝。

積み重なった疲労のせいですぐさま本国へトンボ返り、というわけにもいかず、イリナとゼノヴィアは一日二日、駒王町に留まり体力回復に努める事と相成った。

――帰るつもりは、特に無い。

 

理由は複数、此処にある。

例えば、コカビエルの語った聖書の神の不在。

例えば、本国への連絡で神の死に関する事の真偽を問うた時の教会側の態度。

例えば、大切な友人であるジョンの盗んだ聖剣二振りの取り扱い。

例えば、大切な相手であるジョンの傍らに侍る魔女の事。

例えば、例えば、例えば――。

 

言い訳だけなら幾つかあるが、大まかに言って二つ、友人の件と教会への不信だろうか。

最終的に全て回収された合計四つのエクスカリバーも、今はイリナ達の管理下にある。ジョンの有する二つに関しては、私情に囚われ正しい判断が出来なかったので、結局彼の手元にあるままだ。

 

彼女達二人は今、先の戦いで知り合ったリアス・グレモリーの好意に甘え、ジョンが住まうマンションの近い部屋を一時借り受け滞在している。

久方振りに再会した異性の友人との時間も設け、彼が自宅へ戻った後も、イリナは先の遣り取りの余韻に浸るかのように寝台の上で寝転んでいた。

 

一応はリアスから私服用として渡されたものも幾つかあったが、かつて日本で暮らしたイリナとしては、高校生という身分に興味があって。だからだろうか、見た目も良い駒王学園の女子制服に袖を通したのは。

それを見た彼がどう思うか、なんて。顔を合わせるまでは考えていたものだ。

 

しかし、今思い描くものはそれではなかった。

手を伸ばし、胸と、脇腹と、腰の辺りのスカートの裾までをそっと撫でる。

 

――見られていた。

 

イリナの身体を、ジョンが見ていた。

今まであんな目で見た事なんてなかったくせに。あんなに近くで、あんなに熱心に。

 

ひょっとすると自分の気持ちが通じているのか、などと考えてしまったくらいに、熱かった。

あまりにも恥ずかしくて拒んでしまったが、自意識過剰な女だなんて思われてはいないだろうかと心配になる。でも、彼女としては流石にそういった事(・・・・・・)は早いと思うのだ。今はまだ。せめてちゃんと、関係を築いてからならば――。

 

と、そこまで考えてイリナは己の身体を抱き締めた。

いけない。考え過ぎた。思考がどうにも、飛躍し過ぎる。一足飛びだ。

妄想するのは彼女の癖だ。父親譲りの、あまり褒められない癖だった。事が事だけに思春期の少女としては仕方の無い部分もあるのだが、もしもジョンに知られれば、恥ずかしくて耐えられない。

 

寝台の上をごろごろ転がり、先ほどまで彼と二人で腰掛けていたその場所に、天井を見上げる形で仰向けになる。制服に包まれた少女の胸が、身体の動きを追って僅かに揺れた。

 

目の前に翳すのは己の両手。

久しぶりに会って、好意を自覚して、逃げ出して再会して抱き締められて、仲直りをした。

握った手の感触を思い出す。彼女のものよりずっと固い、戦士の、いやさ男の子の手。

握って絡めて摺り寄せた。彼が、少しばかり過剰な触れ合いに煩わしさを感じていなければ良いのだけれど、と心配する。

 

何度も何度も思い返して、失敗が無かったかを記憶の中でチェックする。

握った右手。恥ずかしさの余り顔を押し付けた彼の右腕。そして、そこに絡めた己の両手。

その、己の両腕に鼻を擦り付け匂いを嗅いだ。制服に染み付いた少年の香りを。

 

ジョンの片腕に鼻を押し付けた時とは違う、深く静かに確かめるような、呼吸音。

鼻腔に届くのは憶えのあるもの。

彼の腕。彼の匂い。自分の手。自分の腕。

そして思い出す、そこに混じった、他の匂い。

 

たった一人きりの部屋の中。寝台の上で、薄く開いた虚ろな視線が宙へと泳いだ。

 

 

「……ゼノヴィアの匂いがした」

 

紫藤イリナが、呟いた。

 

 

□

 

 

背後から抱き着いたまま、互いの腰をぶつけ合う。

ぐつぐつと肉同士の絡む音。互いの呼吸と、飛び散る体液の鳴らす音。衣服の衣擦れ。

 

「ジョン、さっ! ん、まだ、お料理、が……っ」

 

抵抗する声はあったが、そこに嫌悪など微塵も無い。ただ場の不都合があるだけだ。

エプロン姿のアーシアが、背後からのほぼ一方的なセックスに身体を揺らす。捲り上げられたスカートは元より、上着の裾から潜り込む少年の両手で乳房を弄られ、揉み摩られる快感によって見えない部分も紅潮している。

金色の髪が、前後への運動に舞い上がった。背面では腰辺りまで捲くられたスカートも、前の部分は垂れたまま。セックスの動きにひらひらと揺れて、秘された奥から僅かずつ滴るものが確かに見える。

 

コカビエルとの一戦から帰還して、命の危機から脱した安堵から熱中する事は確かにあった。

だが、今のこの激しさは全く別だ。

 

つい数分前の、イリナとの会話。その時の情景。彼女を女(・)として見た、自分自身への嫌悪の情。

どれほど大切に想っていても、ジョンにとってはあくまで友人でしかない紫藤イリナ。

可愛い顔をしているとは思っていた。魅力的だ、というのも理解出来る。だが、欲情した事は一度も無かった。そういう気持ちを忌避していたから。

 

教会の戦士として勤めていた頃、そういった、性的な何がしかを目にする事が幾度かあった。

戦士が向かう先には討伐対象、つまり、教会から見て抹殺せねばならない相手が必ず居るのだ。それは大抵、人間にとって許容出来ない邪悪であり、其処で目にする性的なものといえば、嫌悪する事を禁じ得ない、禁忌を犯した果てとなる。醜悪であるのは当然だ。

正しくあれ、清らかであれ、そう教わって育った幼い少年がソレを忌避するのも当然の事。

 

ジョン・オーリッシュにとって性とは本来遠ざけるべき悪であり、その唯一の例外が、信仰の否定から暴走する当時の彼が踏み躙った、アーシア・アルジェントの存在だった。

起点と経緯と結果はさて置き、少年にとってアーシアだけは特別なのだ。今となっては好意だって当然あるが、彼女一人だけは自身の性欲を向けても問題無い、とそういう認識。無意識の箍が外れている。――なのに。

 

「あーしあ、ッ!」

 

細い腰を掴んで何度もぶつける。腰を振って、彼女の中で己のモノを必死に扱いた。

熱い肉で陰茎が揉まれ、先端から吐き出した先走りと、少女の愛液が混ざって滑る。

服の内側に潜り込んだ五指で、立ち上がった乳首を弾く。自在に形を変える柔らかな乳房の感触が、手の平を通じて少年の性感を高め続けた。ぐ、と強く乳首を握り潰せば、苦鳴と共に少女の膣が締め付けを増した。

 

吹き出す汗で半端に滑る肌を押し付け合いながら、お互いが立ったまま、もどかしげに腰を振る。

やがて、得られる快楽が物足りなくて、アーシアを床に押し倒す。

 

少女の手から菜箸が落ちた。その転がる音も、二人の意識を惹き付けるには到底足りない。

エプロンとスカートを乱暴に除けて、片脚を持ち上げ挿入の角度を変えつつ突き込む。

うつ伏せから横向きになった彼女の身体。少年の視界に、少女の顔が映りこむ。

上昇した体温で赤くなった顔で、辛そうに見上げて吐息を零す姿、視線。

 

ごめん、と呟く。けれど腰の動きは止まらない。

 

気持ちを吐き出さないと、落ち着かなかった。始まりも途中経過も最悪だったが、彼にとってアーシアだけは特別なのだ。彼女以外をそういう対象として見た事に、驚くほどのストレスを感じる。

身勝手な感情で大切な友人を穢してしまったような、罪悪感。

 

――端的に言えば、それは思春期ゆえの潔癖症。ただそれだけのものだ。

やがては慣れる、一時の情動。開き直る事だって充分可能な、生きてさえいれば誰にでもある、麻疹(はしか)のような青い忌避感だった。

だからきっと今のコレも、そう遠く無い内に晴れるだろう。そういった方面での成長を、彼自身が未だ迎えていないだけ。

 

少女が手を伸ばし、抱え込むように少年の頭を己の下へ近付ける。

そのまま、舌を絡めて唇を合わせた。

互いにどちらも気遣いなど無い、気持ちばかりが先走った、激しい口吻。唾液を啜り合って掻き混ぜる。

 

初めて出会った時のようだ、とアーシアが思った。

気遣いの欠けた、ただ乱暴に気持ちを吐き出すだけの自慰行為。

そこには少しだけ悲しさがあって、あとは遥か遠くに向けるような懐かしさと、現状の行為に対する興奮がある。

 

すっかり慣れてきた繋がる悦び。互いに腰を振りたくり、唇とその内側を舐めしゃぶって、身体の重なった部分は酷く熱い。興奮しきった少女の膣内が襞で擦って陰茎を扱けば、少年の腰を振る動きが僅かに鈍り、減った快感の不足分を埋めるために、隠れた乳房を弄り出す。

少年によって抱え上げられた片脚を、何度も何度も摩られる。脛、脹脛、膝裏と、太腿まで遡って付け根まで。少女の若い素肌を手の平全体で味わい尽くす。互いの接合部に指先が辿り着くと、ソコに生え揃った薄毛を撫でて、小さく顔を出す陰核を抓んだ。

 

「っん゛、ぅ――ッ」

 

今までろくに弄った事の無い場所だ。乱暴ではないが手際が悪く、無遠慮に触れた指先に少女が痛みを感じて悶える。

が、それでさえ確かな刺激の一つ。

痛みに跳ねた肢体と同じく、彼女の内側もまた収縮し、絞り上げるような動きを取った。

 

陰茎が震える。痛みではないがそれに近い、強い膣内の締め付けに少年が呻いた。

もはや腰を振るだけの余裕が無くなり、細かく揺さぶるような動きで性交を続け――。

 

アーシアの中へ大量に射精した。

 

ひきつけを起こすような動きが続く。吐き出す度にがくがくと跳ねて、繋がったままの少女の肢体も一緒に揺れる。その最中に離れてしまった唇同士の間から、捏ね回された唾液が粘性の塊となって零れ落ちた。

二人分の体重と運動で潰されて くしゃくしゃになったエプロンの上に、汗と涎が跡を残す。

 

目蓋を閉じて射精後の余韻に浸る少年の頭を、下になっている少女が撫でた。その、撫でる感触に目蓋を開けば、翠の瞳と視線が合った。

 

「……ごめん」

 

乱暴な行為に、今更の謝罪を零してそれっきり。悪事のバレた小さな子供のように黙り込む。

呼吸を整え、視線だけは合わせたままで、撫でる動きも変わらない。

やがて萎み始める陰茎の形を己の性器で確かめながら、アーシアが小さく微笑んだ。

 

「大丈夫ですよジョンさん、大丈夫」

 

少し驚いただけで、大丈夫。そう言ってそのまま抱き締める。

慈母のように。愛妻のように。彼を優しく撫でながら。

 

彼をこうした理由、原因。

何時かのように辛そうな表情を浮かべさせた、何処かの誰かの顔を形にならぬまま思い描いて。

 

それでもなおアーシア・アルジェントは、全く変わらぬ穏やかな声音で微笑んでいた。




異性の友人二人とデートした直後に本命の彼女と乱暴な男性上位セックスをするクズ男の話。
オリ主の恋愛感情は現状ではアーシアのみに向いています。
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