ここまでプロローグです。
アーシア・アルジェントは魔女である。
――何故なら、彼女の周囲がそう言ったから。
神器【聖母の微笑】を用いて人々の傷を癒し、その働きをもって聖女と称され、だのに一転して排斥された。
が、それ自体に否やはない。
彼女は望まれたからこそ怪我人の治療を行っていたが、自身が聖女であろうと考えた事など一度だってありはしなかった。教会の指示通りに神器を使用する、ただそれだけの人員。要するに、大人達に取って都合の良い子供だったから。
自分で選んだ事なんて、主への信仰くらいのもので。それだけは彼女自身のものだった。
指示されたから、治療する。
言われるがままに神器を用いる。
聖女と呼ばれるに至った経緯も、教会側が発端だ。
やがて癒した人達の笑顔と感謝が彼女にとっての喜びとなり、ますます精力的に力を使った。
悪魔を癒した事件にしても、半ば以上が条件反射によるものだ。怪我をしている、だから助けなければ、と。神の祝福を受けていない魔に属する悪魔に対し、神器の力が届くか否かを考えるだけの思慮深さなんて彼女の中では育っていない。祈って癒して持て囃される、箱入り娘の聖女様には、聖魔の対立なんて遠い世界の出来事だった。
そして彼女は追放される。
今の今まで奇跡だ聖女だと褒め称えていた人達が、挙って少女を罵倒した。挙句の果てには魔女呼ばわりだ。
アーシア・アルジェントには分からない。
だって、彼女にとって先の一件は何時も通りの行いだった。
言われるがままに神器を使い続けていた彼女の価値観は世俗のそれとは程遠く、人と悪魔の区別なんて付けられない。少女の視界に映った怪我人は、皆が等しく治療を施すべき子羊なのだ。誰が否定しようとも、彼女にとっては間違いなく。
言われるがままに振舞えば褒められる、感謝される、誰も彼もが笑ってくれた。
だから変わる事は無い。成長するための刺激が不足する。外見ばかりが美しく育つが、彼女の中身は穢れを知らない子供のそれだ。
アーシア・アルジェントは無知であり、ゆえに彼女は無垢だった。
それこそが外部に対する人気取りと、教会の財源を僅かながらに潤す働きを為した聖女の真実。彼女が周囲から愛されてきた理由であり、同時に魔女として石持て追われるに至った根本原因。神を戴かぬ天界の内情などというものは、偶々関係しただけだ。
異端の烙印を押された少女は一変した現状に悲しみながらも、何故そうなったのかを真実理解するには至らない。ただただ傷付き、何時も通りに教会側から命じられるまま、追放処分を受け入れて、教会の外で途方に暮れた。
捨て犬ジョン・オーリッシュと出くわしたのは、彼女が教会を出て僅か数時間後の事だった。
「は、っぷ、ん、――ぅ、ああっ」
伸ばされた彼の舌が、真っ白な歯列を順になぞった。息継ぎの際に意味の篭らない音だけが漏れて、まるで喘いでいるかのように聞こえてしまう。その事がとても恥ずかしかった。
細い手首を掴み上げられ、大きく開いたシスター服の袖口から侵入した少年の手の平が少女の素肌に触れていく。
鍛えられた戦士の右手が、ろくに日に焼ける機会の無かった元聖女の腕を這い回り、手首から肘、そして二の腕までの柔らかさを、軽く揉みながら堪能する。しかし肩口、脇にまで触れれば、さしもの彼女も少女らしい羞恥心から腕を振るって拒絶した。
肌を味わいながらも続けられていたキスが止む。少女の口端から垂れ落ちた唾液が、シスター服の襟元を汚していった。
合わさる視線はお互いどろどろに蕩けており、相手の吐く息が顔に当たってこそばゆい。
――お前のせいだ、と少年が言った。
同じ神器を持っている事。そのせいで追放された事。心配してくれる友人にぶつけた心無い言葉。魔に属する者達と戦い、生死の境を彷徨った過去。幾度も祈り、けれど神の声など聞こえなかった事。
気が狂ってしまいそうな程に辛いのだと、そう言った。
異端認定。追放処分。信仰の否定。人生の否定。魔女に対する、――八つ当たり。
少女の身体をまさぐりながら口にした言葉が次々と積み重なっていく。語る順番が出鱈目で、内容に関しても支離滅裂。考えるより先に感情を吐き出す、荒れ狂った彼の内心が窺える語り口だった。
分からない部分は多々あった。だから、アーシアが理解したのは僅かに二つ。
少年が魔女の追放に巻き込まれた、という事。
そして自分の行動の結果、彼が傷付いているという事だ。
「っ痛、あ」
少年が、少女の首筋に噛み付いた。
加減を知らずに歯を立てて、赤くなった部位を舐め回す。首筋で脈打つものを舌で感じ、その部分を唇で食みながら、空いた両手は彼女の身体を弄っていた。
長い、シスター服のスカート部分を捲り上げる。
黒い布地との対比で真っ白に輝く少女の素足が、一息に膝上まで晒された。
熱の篭った衣服の内側、汗で湿った身体の一部が外気で冷えて縮こまる。素肌の感覚で己の状態を察したアーシアが膝を操り閉じようとするが、やはり力では敵わない。次いで言葉による拒絶を示そうとしても、首元を吸っていた唇が少女のそれと重なる形で意見を封じた。
涙が小さく零れ落ちる。
魔女と呼ばれ、教会を追い出されて。今は此処で強姦されている。
伸ばした両手が少年の衣服を握り締め、けれどそれ以上の抵抗も出来ない。
だって彼は被害者だ。魔女への罰に巻き込まれただけ。
やめて欲しいと彼女の心が望んでも、抵抗が正しい事かも分からない、成否を教える大人が居ない。仮に拒んだところで非力な彼女に抗う事など出来はしないが、意思を示す事さえ徐々に躊躇い、動きが鈍る。
「ふっ、ぅう゛――っ!」
口を塞がれているため、中身の無い声と一緒に鼻から大きく息を吐く。赤く染まった顔、零れる涙。いやだいやだと首を振っても、口内へ突き入れられた彼の舌が楔のように、アーシアの口を離しはしない。
スカートを、更に捲くって、奥の下着が晒された。
薄手の布地越し、少女の割れ目を無骨な少年の指先が幾度も擦る。強く押し付け過ぎて、擦られた部分が熱を持つかのようだった。下手糞な愛撫は快楽を齎すものではないが、精神的且つ肉体的に追い詰められた彼女の性器は僅か少量だけ分泌したものを滲ませて、簡素な下着を湿らせた。
少年が口を離す。掻き混ぜられた唾液が軽く泡立ちながら糸を引き、飲み込みきれなかった分を下に落としてシスター服を汚してしまった。
膨らんだ少女の胸元に、ぱたぱたと音を立てて二人の唾液が染み込んでいく。
其処に指を押し付け、布の下の乳房を押して揉みながら色を広げる。汚れを伸ばす。
二人分の荒れた呼吸が耳に届いてそれ以外には聞こえない。
少年の視線は彼女の下半身、晒された下着と、露わとなった白い太腿の位置にある。手を伸ばして太腿を触れば、指先の僅かな動きだけで肌が沈み込み、女の柔らかさを視覚でも伝えた。
押し広げられた鼠径部と、内腿の作りまではっきり見える。柔らかな布に覆われた部分も、僅かながらに盛り上がっていて いやらしい。
「待っ! そこ、は」
見上げるアーシアは、何を言えば良いのかも分からない。
世間知らずな彼女にしても、ここから先の行いまでもを許容する事など出来なかった。何をするかも、どんな意味を持つかも知っている。
だが、目の前の少年が自身の行動の結果、謂れのない罪で打ちのめされて震えているのならば。それを拒絶する事は正しいのだろうか。――優しさゆえに、そんな事を考えてしまった。
少女としての心は拒絶している。信徒としての理性も彼を悪だと訴える。だけど、アーシア・アルジェントという名の無知で清らかな人間の意志と決断は、板挟みにあったまま答えを出せなくなっていた。
不意に掴まれた少女の下着が、股に食い込む形で引っ張り上げられた。
「ぁあっ!」
いや、と言えず、言い切れず。ただ意味も無く悲鳴を上げる。
まごついている間に状況は進む。答えを出せないまま涙だけを流しながら、少女は少年にされるがままだ。
太腿を摩り、その張りと柔らかさに、見下ろす彼が唾を飲んだ。
引っ張り上げた下着の、隠し切れなくなった向こう側にはアーシア・アルジェントの秘めたるものが震えているだけ。弱々しかった抵抗とて今はもう無いも同然。少年が黒い戦闘服の股間を探り、いきり立ったモノを曝け出す。
「ひぅっ」
小さく悲鳴を上げた少女が、両目を強く閉じて視線を逸らした。
一度か二度、服の内側で吐き出した精液で濡れたまま、少年の男根が臭気を纏って外気に震える。
彼が見遣ったのは彼女の女の部分、ではない。
視界を閉ざし、下唇を噛み締め、汗と涙と唾液に濡れたまま恐怖に震えて天を仰いだ、美しい少女の整った面立ち。
そちらを選んだのは なけなしの理性によるものか、少女をより長く嬲り続ける事を望む嗜虐心か、はたまた性交を忌避した未熟な本性か。答えはさて置き標的は決まり、あとはただ行動に移すのみ。
横たわった女の胴部に跨ると、汚いソレを突きつけた。
掠れた呼吸。強く深い、威嚇するような吐息と共に、涙と金糸と種々の体液に彩られた少女の、整った顔に触れさせる。事ここに至ってアーシアはもはや声も出ず、泣き出す寸前の涙混じりな震える呼吸に、いやいやと左右に振れる首の動きだけで拒絶の意思を表した。
それらを目にして尚躊躇わず、興奮した少年が己の腰を揺すり始めた。
舐めさせるわけでもなく。目を開けとも命じずに。性処理用の道具のように、前後に腰を動かし己の性器を生娘の顔に擦り付ける。
それに、少女の悲鳴がか細く漏れた。零れる涙で
歯を食い縛り、けれど僅かに開いた口から漏れる息が、彼の精臭を顔の周囲に撒き散らす。
羞恥と緊張で赤みを増したアーシアの顔は上昇した体温で熱くなっていたが、それ以上に少年のモノは熱かった。幾度も顔を擦る肉棒の形も、熱も動きも、射精の前兆で震える様さえも、彼女には全てが伝わっていた。
強く深く閉じられていた目蓋の奥から止まる事無く涙が零れる。
揺すり続ける少年の尻に潰されて、彼女の乳房が幾度も歪んで押し潰された。胸部への圧迫による息苦しさが、心の痛みと綯い交ぜになっていく。
――ああ、主よ。我等が父よ。
泣きじゃくりながら呟く彼女の祈りに、応える者は誰も居ない。
男に組み敷かれながら助けを求める少女の元に、駆け付けてくれる人は居なかった。
少年がその両手を伸ばし、彼女の側頭部及び長い金髪を掴み上げる。
そのまま、彼を見上げる形で固定した少女の顔に。耐える事もせずに射精した。
「うぅ、ぶ、ぅ、ぅうう゛うぅぅうう゛――ッ!!」
びゅくびゅくと断続的に噴き出して、飛び出すそれらが魔女の面貌を塗り潰す。
白濁が飛ぶ中では口を開ける事も出来ない。必然、少女の悲鳴はくぐもって、ぶうぶうと鳴く様は家畜のようだ。構わず更に吐精を続け、少年は少女の目蓋を白く染め上げ、唇も、頬も、額も、金色の髪も、整った鼻梁から鼻の穴にまで己の熱を叩き付ける。
首を振って逃れようにも、両手で固定されているから動けない。流れ続ける涙が精液によって堰き止められては混じって零れ、赤らんだ顔も白く汚く塗り込められる。
「ふーっ」
出し切って、腰の動きを止めた少年が息を吐く。
汚されきった少女の顔は常の美しさなど見る影も無い有様で。見下ろす視線は冷めている。
純潔までは奪えずとも、幾度目かの射精を終えたジョンの心は落ち着いていた。
酷く、気持ちが良かった。
やってはいけない事を、目一杯やり切った気分だった。思考も視線も冷め切って、今だけはあらゆる痛苦が遠くに感じる。
下に居るアーシアは目を閉じたまま、口も開けず、鼻で呼吸すれば精液の溜まりがぷくりと膨らみ、けれどただそれだけで、呼吸も出来ない。顔を汚した白濁の端から、透明感を失った彼女の涙が落ちていく様だけがはっきり見える。
肩や胸元が痙攣するように幾度も震えており、泣いているのだろうと察せられた。
気持ちの落ち着いたジョンが手拭を取り出し、顔を拭ってやる。が、べっとりと拭い取られていく臭いものを目で捉え、思わず吐き気を催した。
拭う手の動きに丁寧さは無い。割と雑に拭いて端から端へ。すると早々に手拭の拭ける部分が無くなった。何処も彼処もべとべとに汚れて、臭いも酷いし我が事ながら男というものが嫌になる。これに呼吸器を全て塞がれているアーシアがどんな心持ちで居た事か、ジョンはすぐさま想像する事をやめてしまった。
はあ、と大きく息を吐く。虚空に手をやり亜空間を開くと、其処に収めた聖水を取り出す。
洗い流せば多少はマシになる筈だ。これから先をどうするのかは、綺麗にしてから考えよう。
そうして、ようやく呼吸を再開できたらしい哀れな魔女の上に乗っかったまま両手を動かす。
「……ひどい、です」
下から漏れたのは嗚咽混じりの小さな悪態。もっと口汚く罵っても許される状況だが、人の良いアーシアには他者を責める行為は荷が重かった。
ふーん。と気のない返事でジョンが返した。
彼の頭の中は精液の臭さで一杯だ。八つ当たりをしたという自覚はあったが、追放の原因である魔女に対して優しくしてやるつもりも彼には無い。今はただ、どうすれば目の前の臭い女が綺麗になるかで思考の大半が埋め尽くされている。
雑に流されたアーシアにとっても先の言葉が精一杯。彼に対する追放関連の負い目もあって、これ以上は文句も何も言えやしない。
口を噤んで、汚れた顔を洗われるまま、時折鼻に入ってくる汚れた聖水に小さく騒いでは聞き流される。対する少年は何も言わずに洗顔に勤しみ、少女の気持ちなど見向きもしない。
そんな、ある意味平和な時間が暫く後まで続くのだった。
――彼等二人が堕天使レイナーレ率いる『教会』という悪魔祓い組織に加入する、数日前の事である。
※オリ主の射精量はエロ漫画並です。