※原作の日取りや細かな時系列に関しては、若干以上に無視しております。
「ブヒャヒャヒャヒャ! 正教会期待のホープ様がこぉーんなちゃっちぃ下部組織で堕天使相手に尻尾振らなきゃいけないなんて可哀想ぉーお! 今どんな気持ち? ねえねえっ、どんな気持ちぃー!? 僕ちゃん知ーりたーいなーあ!! アヒャァ!」
「ぶっ殺」
「聞こえているわよフリード。私の運営する組織が安っぽい……? 死にたいのかしらお前」
――などという大変心温まる遣り取りの末に、ジョンとアーシアは非合法悪魔祓い組織『教会』に所属する事と相成った。
そして次の日、二人揃って脱退した。
当然ながらレイナーレは激おこである。取り巻きの堕天使達も思わず怯えて縮こまる程に。
ちなみにフリードは爆笑していた。
「あっ、あの、ぁ、こ、これから、あんっ、ど、どうするんで、す、かっ?」
背後からおっぱいを揉まれながら、アーシア・アルジェントが艶めいた声で問い掛けた。
暇さえあれば傍らの女体に手を伸ばし、愛撫の技術が日々成長していくジョン・オーリッシュ。未だ童貞の少年は、先の質問に対して「気楽に行こう」という言葉通り、大変気楽に答えを返す。
『教会』を出る際、必要な資料には目を通してある。町の管理者とその根拠地に、あとは堕天使配下の人員構成が大まかに分かってさえいれば手順も見える。駄目そうだったら再度逃げれば良いだけだ。
彼は己の能力と、亜空間に仕舞ってある各種手札の有用性を信頼していた。最低限、アーシアを抱えて生き延びる程度は叶うだろう、と。
「んくっ、」
シスター服越しに下着をずらし、服の内側で まろび出た乳首を指で潰して転がした。
思わず肩を跳ねさせるアーシアの、朱に染まった横顔を眺めながら腰を振る。瑞々しさはあれど未だ豊満とは言い難い少女期の臀部に股間を押し付け、陰茎に伝わるその感触を楽しみながら、互いに服を着たまま擬似的な性交を楽しんでいた。
後ろから抱きつく少年が片手を伸ばすと、少女の顎先を捉えて捻る。
そのまま、背後へと向けられたアーシアの唇を啄ばんだ。
口を塞がれた事に対し、ふんふんと甘い鼻息の漏れる音が耳朶へと届く。相も変わらず柔らかい、剥いた果実のようなそれを味わう。ジョンは彼女とのキスが好きだった。個人的にはこれだけで射精出来そうなくらいに気持ち良い。
布地の向こうの乳房を揉み上げ、五指で押してはその度に離して弾ませる。
膨らんだ股間を尻の谷間で上下に扱くと、先走ったものが彼の下着をねっとり汚した。それに対する不快感はあったが、両手と唇、そして性器から齎される快楽の方が優先順位は上だった。止まる事無く行為を続け、興奮からがっつく動きに少女の身体が押し倒される。
ぎしり、と木板の歪む音が鳴った。押し倒されたアーシアが長椅子の上で仰向けになり、離れた唇から漏れ出す吐息は酷く熱い。
少女の上から覆い被さるように、ジョンがその身を乗り出した。
体重を掛けて、衣服越しに手の平で押し潰された乳房の形が優しく撓んで丸く広がる。
もう一度、と顔を近付けて唇を舐めようとする少年が、少女の方へと身体を倒した。
「だっ、だめですよっ」
しかし、そこでアーシアが拒絶した。言われた側は眉根を寄せて、不服そうな顔を更に近くへと寄せていく。
彼の胸元に、彼女の手の平が力無く触れた。
再度の拒絶に今度こそ、ジョンの表情が不快気に歪んだ。子供のように不貞腐れ、お前に拒否権があるのか、とでも言いたげな顔だ。――が、普段ならば態度はともかく行為自体は受け入れただろうアーシアが、もう一度口を開いて彼の動きを制止した。
「みっ」
み? と少年が繰り返す。
「見られ、ちゃってます、からぁ……っ」
言った彼女は泣きそうな顔、というか少しだけだが泣いていた。
羞恥に染まって耐え切れず、滲み出した涙と共に周囲を示すと、拒否した理由を彼に言う。
其処は、公園だった。
真昼間の公園の、
十代半ばの少年少女が身体を重ねて性的な意味で睦み合っている有り様を、公園で遊ぶ未就学児童と子供等の保護者がしっかり見ていた。
果たして、外側だけなら愛し合う恋人同士に見える若い二人に「TPOを弁えなさい」と大人として叱ってあげるべきか、あるいは見守るべきなのか。思い悩むお母様方が口を噤みながら目を向けていた。ちなみに彼女等の内半数は保守派で、残りが叱責派と見て見ぬ振りだ。
なるほど、と平坦な口調で童貞が呟く。
初めてアーシアの肌に触れて以降の数日間、覚えたての猿そのものと化していたジョン少年だが、夢中になる余り周囲が全く見えていなかった事をようやく此処で自覚した。
今後は気を付けねばなるまい、と己の心にしっかり刻む。
未だかつて無いほど真っ赤な顔をしたアーシアが、両手で顔を覆って縮こまる。これはこれで可愛らしいのでもっと悪戯したくもなったが、教会と『教会』の双方から逃げている身だ、準備も終えぬ内から目立つのだけは実に実に宜しくない。膨らんだ股間を鎮める事も出来ぬまま、彼は彼女を担いで逃げ出した。
愛の逃避行ね! と嬉しそうにはしゃぐ とある主婦の歓声がアーシアに届いたが、もはや何を言う事も叶わなかった。
その頃、『教会』。
現役の聖剣使いと元聖女を迎え入れて大喜びの状態から一転、あっさり逃げられ盛大な肩透かしを食らわされた自称至高の堕天使たるレイナーレ様は一人、怒り狂っていた。
「配下のエクソシスト共を集めなさい! 私を虚仮にした奴等を徹底的に狩り出すわよッ!!」
相応に長く生きてきたレイナーレでさえ滅多に目にした事のない、天然ものの聖剣使い。本来ならば教会本部で手厚く遇され、その将来を約束されただろう希少な存在。
それに加えて古巣から持ち出して来たという名高き聖剣、エクスカリバー。その一つ。
おまけで、元とはいえ教会の聖女様が有用な神器を持って配下になりたいと言っている。
彼等二人の自己アピールを聞き終えたレイナーレは、軽くとはいえ絶頂した。
清らかで、尊くて、何よりも天界や教会が価値有るものだと誰憚る事無く喧伝している、聖剣と聖剣使いのコラボレーションに聖女添え。其れを、精々が中級に過ぎない一堕天使の自分が一つに纏めて従えるのだ。
神の座す天上へと向けられる嘲笑と湧き上がる優越感に、笑いが止まらず眠れなかった。
――その翌日に、彼ら二人は逃げ出した。「やめます。探さないでください」という雑な書置き一つを残して。
絶許。
「フリード!!! お前も探すのよ。……分かっているわね?」
「モチのロンであります事よん、レイナーレたま!」
ふざけた態度で白髪の少年が敬礼する。正直殺してやりたかったが、こう見えてもレイナーレ配下のエクソシスト達の中では一等使える奴なのだ。例え件の二人が此処を出て行った直接的な原因がこの下品な餓鬼の軽率な行為にあるのだとしても、今はまだ処分するには早過ぎる。
この糞がアーシアを連れて向かった先で行った、悪魔契約者の人間に対する殺傷行為、それ自体は良い。彼等『教会』の通常業務だ。
問題は、その場に乱入してきた下級悪魔との諍いから始まった揉め事の末に、糞が元聖女に対して強姦未遂を働いた事。
その結果、割り当てられた自室にアーシアを連れ込み今日も今日とてエロい事しながら眠ろうかな、などと考えながら意気揚々と彼女を探していたジョン・オーリッシュは、キレた。
雇い主であるレイナーレに対しては非常に礼儀正しく謙虚で従順、舐めろと言われれば靴だって舐めただろう彼の少年が、下手人たるフリード・セルゼンに対しては聖剣を振りかざしながら切った張ったの大立ち回りだ。
おっぱい揉んだだけじゃん、と無駄に煽る白髪の阿呆の口を塞ぐのは実に大変だった。
無表情で暴れ回るジョンをどうにか宥めて謹慎させたが、まさか即座に此処を出るとは想像だにすらしなかった。組織加入から未だ半日経つかどうかだ、決断が早いにも程がある。
レイナーレはあの聖剣使いに対し、大変大きな価値を認めていた。
暴れ回って拠点を破壊した事さえ不問にし、言葉による叱責だけで留めたほどに。
手放す気など、一切無かった。そのためなら、回復系神器以外に取り得の無い元聖女一人を宛がってやるくらいは許容する。事の原因であるフリードの処分だって検討していた。
――検討、してやっていたのに。この至高の堕天使たるレイナーレ様が、人間一人に対してここまで気を使ってやったのに! なのに、逃げやがったのだ。許せない。絶対に絶対に許せない。
ぎりぎりと音を立てて綺麗に整っていた爪を噛み、つり上がった両眼が虚空を睨む。
今の彼女に、自制の心など残っていない。
対してへらへらと笑うフリードであるがその内心は冷え切っていた。
目の前のレイナーレに対して「そろそろコイツ等も切り捨て時だな」と、離反と逃亡の算段を付けながら、脳内のみで手持ちの装備と必要経費の確認をしている。
若手とはいえ正式な上級悪魔の領地内で、堕天使の組織が暴れ回れば衝突は必至。事を始めたのが此方であるなら、お偉方だって庇ってくれはしないだろう。
『教会』に属するエクソシストの大半は下級悪魔や戦闘能力皆無な悪魔契約者の殺害に手を染めるのが精々で、上に立っている堕天使連中も中級の上位に届くかどうか。相手が上級に数えられる悪魔二匹とその眷属なら、勝てると思う方がどうかしている。
そうだ、今のレイナーレはどうかしている。怒りで目が曇り、判断能力に欠けていた。
こりゃ無理っしょ、俺っちお先に逃げますね☆ と事の発端である罪悪感など欠片も持たずに組織の脱退を勝手に決める。
姿を消した二人に関しては、機会があれば殺しておこう、という程度の、彼にとっては軽い扱い。
騒ぐ堕天使と、集う配下のエクソシスト達。
徐々に動き始める『教会』を起点に、不穏な空気が広がり始めていた。
□
最初に異変を察知したのは、駒王町領主リアス・グレモリーの使い魔だった。
可愛い蝙蝠が直ちに主へ報告すると、それを受け取ったリアスは己の『女王』を呼び寄せた。
「結界、ですの?」
「ええ。イッセーを殺害した堕天使か、あるいはソレと敵対する教会ね」
取り出された駒王町の地図には幾つかの罰点。
町に在る廃教会から点々と続く、十字架を触媒とした小型結界が十数箇所も。無駄に数が多い上、個々の規模に関しては小さ過ぎるため、防衛用と考えるのは難しい。真っ当な用途の結界ではない、と容易く判断出来るもの。
更に。
続く罰点を辿っていけば、廃教会からリアス達の居る此処、駒王学園へと向かう一本の線が引けてしまう。僅かに歪むも一直線、あからさまな異常であった。
「何かの誘導? それとも挑発? いいえ、どちらにしろ――」
「対応しないわけにも、いきませんわね」
リアスの上げた予測に溜息を吐きつつ、彼女の『女王』、姫島朱乃が呟いた。
使い魔の目にさえはっきりと見て取れる結界が複数、廃教会と駒王学園を繋ぐように現在進行形で設置され続けている。物知らずな阿呆の仕業か、あるいは明確な敵対行動か。秘されたものが何だとしても、駒王町の領主として、上級の位に位置する悪魔として、何よりグレモリー家の次期当主リアス・グレモリーとして、おかしな真似をする何処かの誰かを放置するなど許容出来ない。
それが彼女等の自負であり、同時に、課された責務を果たすためにも、意識して守るべき相応の面子というものがあるのだ。だから。
舐められるわけにはいかない。
相手を、してやらなければならない。
小さく、しかし決して品位を損なう事無くリアス・グレモリーが舌を打つ。
「祐斗と小猫に連絡を。朱乃は、……ソーナへ連絡を。周辺被害も考えないと」
「イッセー君はどうします?」
手早く指示を出したリアスに、朱乃が訊ねる。
兵藤一誠。
つい先日とある堕天使の手によって殺害されて、蘇生と同時にリアスの眷属悪魔となった年下の少年。未だ悪魔となってから日が浅く、命の危険にも慣れていないのだ。
真っ当に考えれば、素人である彼を詳細不明の現場に連れ出す事には躊躇いを覚えるが――。
「勿論連れて行くわ」
「宜しいんですの?」
一応の、確認。朱乃の問い掛けに首肯する。
慣れていないから。弱いから。そんな言い訳で新入り一人を仲間外れにするほど、リアス・グレモリーは情の薄い主ではない。
仮に危機が迫るなら、守ってあげれば良いだけだ。そう考えて、決を下した。
慢心である。
□
夜の駒王町を、多数のエクソシスト達が駆け抜ける。
その上方には夜空を背にした堕天使三名が、レイナーレの命令で監督していた。
追い立てられるのは、――聖剣を持った『教会』の離反者ジョン・オーリッシュ。ついでに彼が小脇に抱える元聖女が一人、走る速度に耐え切れず、青い顔をして込み上げる吐き気に耐えていた。
「早ーいっすねぇー、アイツ」
「そういう聖剣だそうだ」
「……フン」
悠々と飛ぶ堕天使達が、他人事のように言葉を交わす。実際、ほぼ他人事である。
その眼下には、魔王の妹達が拠点としている学園がすぐ目の前にまで迫っていた。
このまま進めば悪魔側との衝突の恐れがある。そう知りつつも、堕天使達に焦りは無い。所詮は百も数えぬ小童揃い、自分達ならばどうにでも出来るという無根拠な自信に満ち溢れていた。
ゆえ、然して時も置かぬ内に衝突する。
「止まりなさい!」
駒王学園正門前。自らの拠点へ不届き者共が足を踏み入れる事は許可しない、とばかりに自らの眷属を引き連れたリアス・グレモリーが立ちはだかった。
視線の先には真っ直ぐ駆けて来るジョンと
上空の堕天使達に対しては、リアスが最も信頼する眷族、『女王』である姫島朱乃が空で翼を広げて向かい合う。些か以上に厳しい視線が、黒羽根を見せびらかす堕天使達へと向けられていた。
加えて、地上にて居並ぶグレモリー眷属。その一人である木場祐斗もまた、自分達の方へと走り続ける聖剣使い、ジョンが手にするエクスカリバーを睨み付けていた。
「お、おい木場? どうかしたのかお前?」
「……別に、何も? 何もないさ、兵藤君」
言いながら、掌に爪を立てつつ拳を握る。睨む視線は氷のようだ。
唸るように言葉を返す木場に対して、傍らの兵藤一誠は迫り来るエクソシスト集団からの圧力も相俟って顔色が非常に悪かった。ひっひっふー、と左手の篭手を撫でながら深呼吸。
傍に立つ無言の塔城小猫は、常の無表情でなく心配そうな顔で木場の様子をちらちら気にする。
「止まりなさい、と言っているでしょう――」
――事情はさて置き一先ず私の言葉に従え。
そう居丈高に命令するリアス・グレモリーの言葉を聞く者は、彼女の視界の何処にも居ない。堕天使に至っては、聞こえた上で嘲笑さえしていた。
掲げた彼女の右手の上に、揺らめく紅蓮の魔力が滾る。
それを見て、この距離が限界か、とジョンが悟った。
ちらと背後を確認し、小脇に抱えたアーシアに声を掛ける。ひうっ、と揺れ続ける体勢に涙目となっていた哀れな魔女が洟を啜って、大きく息を吸うと口を開いた。
「たっ」
と、そこで走りながらの急制動。聖剣を構えたジョンが反転、背後に向き直ると、刀身に充填された光力をもって境界線の如き見事な横一文字を大地に刻む。
声を出すため大口を開けていたアーシアは急な動きに付いていけずに、たわばっ! と舌を噛みながらも振り回された。が、彼女を抱える彼はそれを一切気にしない。
轟音。
二人を追い掛けていたエクソシスト達は、輝きに見合った聖剣の大威力に たたらを踏んで、どうにか巻き込まれる事無く、揃って追跡の足を止める。
次いで、アーシアの悲鳴が場に轟いた。
「だぅっ、たすけてくださィ、悪魔さ゛まぁああ――っっっ!!!!!」
ジョンの仕込んだ台詞をそのままに。しかし篭められた感情だけは力の限りの全力で。
泣き叫ぶ美少女の悲痛な懇願が、三つ巴となった小さな戦場を全身全霊で掻き回し始めた。
※後半部分におけるオリ主は、ちゃんと汚れたパンツを履き換えています。清潔です。
以下、設定メモ。
『
聖剣使いジョン・オーリッシュが以前より教会から預けられていた、エクスカリバーの一振り。
装備するとなんか色々速くなる、という不思議な力を持っているため、多分副作用で早漏になる。
正教会管理下か否かは不明なので、その辺りは捏造。
当SSの圧倒的不憫枠その1。