管理局贔屓の情報屋 作:トクメイデス
情報屋だけでやっていけない時は、別の仕事をすることもある。というか、生涯現役が難しいのでさっさと引退できるようにつぶしを効かせようとしているだけなのだが。
デバイスもあるので魔導士として生きることもできるが、自己防衛とか余程のことがない限りは使わないと決めているので、他で頑張るしかない。
とはいえ、結局のメインは情報屋であるため、それに関係する相手に別のメリットを与えているのが現状だ。つまり結論としては……
「随分無茶な運転してるな、もうちょっと大事に使えよ」
「そうしたいけど、事件が起きたら急がないと……」
「人命優先ね、はいはい」
ガレージの中、俺の車の横のスペースに、普段はない筈の車が鎮座していた。元々整備用に空けてあるそこに、今日の仕事である車両整備の対象となる車を停車させているのだ。
当の持ち主は適当な椅子がないので、今は俺の車の助手席に腰掛けていた。
「まあ、それで飯が食えるから、俺は文句ないけどね」
「ねえ、それなんだけど……」
「……何度混ぜ返せば気が済むんだ。答えはNOだ」
工具箱から必要なものを探しながら、持ち主に声だけで返事をする。
「家も仕事もある、恋人もいる。これ以上は望まないよ」
ボンネットの中に上半身を入れ、中のエンジンを弄り始めることに。
その様子を車の持ち主、フェイト=T=ハラオウンは少し悲し気に見つめている気がするが、特に考えないことにしている。俺にとっては本気で必要のない話だからだ。
「それに、立派に働いている奴を相手するよりは、未だに苦しんでる奴を助けた方がいいんじゃないのか?」
「そう、だね……」
調整を終えて、俺は彼女に向き合った。
思えば、初めて会った時からまともに向き合う必要がなかったのが、悪手となっているのかもしれない。
「はあ……まあ、そのことは今度ゆっくり食事でもしながら」
「浮気やっ!!」
咄嗟に避けると、視界に何故か白磁の刃が映り込んできた。
振り返ると、そこには紙製の武器を携えたはやてが、手に持っているもので俺を指し示してくる。
「私というものがありながら、まさかフェイトちゃんに浮気するなんて……おっぱいか、やっぱりおっぱいなんか!?」
「……どういうこと?」
助手席から立ち上がって投げかけられた質問に対して、俺は説明することにした。
「はやてが俺の恋人って、言ってなかったっけ?」
「うん初耳」
「フェイトちゃんもフェイトちゃんや。恋人いる男誑かすなんて、そんな人やとは思わんかったわ!?」
未だに喚き散らすはやてをどうにか宥めすかしながら、俺達の関係を説明し始めた。
「大丈夫だって、浮気じゃないから。ついでに言えば、異性としてすら意識してないから」
「本当だよはやて、養母さんの養子になろうって誘って断られているだけだから」
「……養子?」
首を傾げるはやて。
そう言えば、俺の身の上話言ってなかったっけ?
「ああ、そっか。まだ話してなかったな。機会なくて」
「……それが原因だよね?」
ジト目を受け流しつつ、はやてに俺の正体を告げた。
「実は俺……ProjectF.A.T.Eで生み出されたクローンの一体で、アリシア=テスタロッサの出来損ないなんだよ」
「…………え?」
驚くはやて。
「顔どころか性別も髪の色も違うからって廃棄された、というより次元の狭間で捨てられたのを管理局に保護されたんだよ。ある程度の知識は植え付けられていたから、クローンってことを黙った上で記憶喪失の振りをして、どうにか人権を得て暮らしてたんだよ」
「それを知った時にはもう知り合ってたから、今更付き合いを変えられるか、って断られてるんだ。できれば家族の温もりを知って欲しかったんだけど……」
「だから、恋人いるから要らないって言ってんだろ。家庭なんて勝手に作るわ妹よ」
そう、身体が生まれた順番的に言って、俺はフェイトの兄に当たる。すんごい今更感あり過ぎる上に、フェイトも別に兄貴を作っているので、正直名乗り出る気が起きない。だって精神年齢どっちが上か分かんねえし。
「え、じゃあ、フェイトちゃんが、妹、ってだけ?」
「そういうこと、言うの遅れて悪かったな」
近寄って頭を撫でてやると、はやての目尻が光っているのが分かった。どうやら若干涙目になっていたらしい。
「今更だけど、クローンとかそういうのが嫌なら別れようか。どうする?」
「浮気じゃないならええわ……」
服を掴まれ、離れることができない。離れる気はさらさらないけど。
「別にええよ。クローンでもフェイトちゃんのお兄さんでも、私が好きになったのは自分なんやし」
そう言って微笑みかけてくるはやて。
よく見れば、今日はいつもの制服ではなく、ミニスカートでカジュアルな恰好をしていた。前に来た時に休みが取れたと言っていたが、もしかしたら休みが延長になったか守護騎士達に勧められたかして来たのだろう。
それで驚かそうとして失敗するのだから、全く可愛い奴だ。というか……興奮してきた。
「妹よ、修理終わったから今日は帰れ。これからはやてとR指定だから」
「……ちゃんと節度は守ってね。お兄ちゃん」
「お兄ちゃんとかはハラオウン総督に言ってやれ」
呆れる妹に、俺はあるデータファイルが入った記録媒体を投げつけた。
「今日裏を取ろうとしていた誘拐組織の取引情報だ。隠し場所候補の位置情報も入っているから、その内のどれかに子供がいればヒット」
「……って事件!?」
慌てて乗り込む妹についていこうとするはやてを羽交い絞めにし、急発進した車を見送りながら家の中へ連れ込む俺。
「大丈夫だって、売春組織じゃなくて研究組織だから、取引が終わるまでは傷つけられることはないって」
「それでも事件なのに変わりないやん!」
「それに、組織自体小規模で大したことないから、武装局員連れてくだけで十分対処できるって」
いつものソファの上にはやてを転がし、俺は彼女に覆いかぶさった。
「それとも、その気になった恋人ほったらかして仕事にかまけるのかな、彼女さんや」
「うう~……」
未だに納得のいってない顔のはやてにキスしつつ、若干襲うように身体を押し乗せて、重圧で潰れる胸の感触を楽しむ。
「あ~狸布団が気持ちいい……」
「重いからどいてぇな……あと狸言わんといて」
強引に脱がせたいところだが、明らかに余所行きの新品だ。破くのも弁償の為に財布を開くのももったいない。
「さぁて……どうするよ? これから」
「って、ノープランかいっ!?」
ツッコミの右手が胸に刺さるが、軽いので大した衝撃ではない。
「まあせっかくだから、後で最近見つけたレストランに行こうか。本当は妹で実験、もとい程度を把握してから行くか、決める予定だったが」
「……浮気じゃないなら、別にええでもう。だからフェイトちゃんにももうちょっと優しくしたってえな」
やなこった。彼女いるのに、態々社会人の妹に構ってられっか。
「というわけで、それまではニャンニャンするから脱げ脱げ。しわになるぞ」
「ああ、もうちょっと雰囲気とか……」
まあ、人間勢いだけで物事を進めちゃいけないわな。思いっきりぐだり始めたし。
それでもはやての服を脱がし、可愛らしいピンク系の下着に包まれた裸体を晒してしまえば、興奮する安い生き物が男であるわけで。
「もう……ええ雰囲気の時に見せたかったわ」
「まあいいじゃないか、帰りに夜景の綺麗なスポット連れてってやるからさ」
「ふぅん……ならええわ」
ソファの上から身体を起こしたはやてにキスをされながら、肉棒に伸ばされた掌からの刺激を受ける羽目に。
……まあ大して効かないが。
「初めてじゃないのに、変に恥ずかしがるなよ。乳揉み魔の癖して」
「やかましいわ。これでも深窓のお嬢様やってんで……」
「昔足が動かなくて家にいることが多かった、ってだけだろ。さんざっぱら聞いたっての」
にしては、いつも見る夢が妙にリアルなんだよな。そもそも、第97管理外世界『地球』自体行ったことがないから、写真でしかこいつの元の家を見たことがないし。
あそこの酒や漫画は好きなんだけどな……今度渡航許可取って旅行に行けないか、妹に聞いてみるかな。
「やっぱり誰かの仕業か……?」
「どうかしたん?」
思わず、小声とはいえ言葉が漏れ出ていたようだ。俺は誤魔化す様にはやての頭を撫でつつ、こちらからもキスを送り付けておく。
「いや、何でもない……」
「なら、ええけど……」
ちょっぴり不服そうだな。これ以上構わないと、変に拗ねられそうで面倒だし、こちらもそろそろ限界だ。
「そう言いつつ、拗ねちゃってる奴は……こうだっ!」
「きゃんっ!?」
例によって下着の替えはある。
若干ケダモノモードで荒々しく肌蹴させて下着を傷めてしまっても、着替えれば問題ない。
「もう、高かってんで……」
……というのは男の目線なので、もう少し優しく扱うように。
って、誰に言ってんだ俺は。変な夢見せてくる誰かがいるかもしれないからって、思考が語り口調になるのも問題だな。今度直そう。
「後で下着屋にも寄るか? ちょっとエロいところで」
「えぇ……人通りの多い通りに面したお店で、私と一緒に入るならええで」
「きっちり仕返ししてきやがってこら」
そのさらに仕返しは、俺の息子に任せるとしよう。無論、股間の紳士様だ。
「ほら挿れるぞ」
「もう……ほら、来て」
既に下着は脱がせてある。遠慮なくはやての膣口を掻き開き、愚息を押し込んでいく。
「ん、ん……」
このままはやての胸でも揉もうかと思ったが、その手はいつの間にか掴まれている。腰を徐々に激しく動かしているのに、力強く掴まれた手はいっこうに離れることがなかった。
「お前、なっ、ちょっと、は、揉ませてくれても、いいだろっ?」
「いや、やっ、それっ、より、もっ!」
腰の動きに合わせて、手を引かれるとそのままはやてに覆い被さる形になってしまった。こうなったら乗らなきゃ損だ、とばかりに、その唇に舌を這わせてから膣内同様に口腔内も強姦する。
「ちゃっ、ぷっ、にゅっ!」
「んちゅ、っ、んぅ……!」
潤んだ瞳が視界に映るが、俺ももう限界だった。掴まれたままの手ではやての身体を固定し、一思いに押し込んでから、中出しした。
「ん、ん……ふぅ」
はやても果てたのか、身体を弛緩させて倒れ込む俺を受け入れてきた。眼前に迫る俺の顔をペロペロと舐めてくるのが妙にくすぐったい。
「……ん」
そんな彼女の唇に自らのものを強引に重ね合わせていると、ふと手の感触からあることが分かってしまった。
まあ、ただの恋人繋ぎだった、ってだけだが。
「フリル付きの靴下は、さすがに若作りじゃないか?」
「ええ~かわええやろ?」
「ちょっと子供っぽい。色もピンクだし」
最初の内は鉄槌の騎士辺りのプレゼントかとも思ったが、奴さんはどっちかと言うとスポーティなのが好みだ。飾りよりかは模様で選ぶ筈だしな。
何故知っているかって? 情報屋だからな。その手のネタを使って変態釣って、こいつらに情報を流して小銭稼いでるんだよ。だから情報の真偽は結構大事だったりする。一応知らないことになっているから、ばれたら多分絞められるだろうけど。
まあ要するにだ。これは完全にはやての趣味だってことだよ。全部が全部そうという訳ではないから、偶々目について購入しただけの一品だろうけどな。
「まったく、せっかくピンクの下着に合わせて選んだのに、感想が淡泊やなぁ……」
「そりゃ悪かったな」
特に汚れもなかったからと、再び下着姿になって俺に肢体を見せつけてくるはやて。R指定中も履いていた靴下と相まって可愛らしさをアピールしているようだが、どっちかと言うと少し感性が若すぎた。個人的にはもうちょいセクシー路線の方が好みだったりするので。
「さて、そろそろ服を着て出かけるか。それとも先にシャワー浴びるか?」
「ん~、これくらいならええわ。言う程匂いも気にならんし」
垂れないのか、とも思ったが、本人がいいというならいいだろう。
「じゃあ、行くか」
「せやな。ほな行こか」
何が楽しいのか、服を着たはやては、同じく服を着た俺の腕を抱きしめてきた。
そして俺の車で件のレストランに着くや、俺達は腕を組んだ状態で店内に入った。
席に着き、ウェイターが薦めてきた適当なコースを注文してから一息つくと、ふとはやてが顔を逸らしているのを見つけた。
「どうした?」
「いや……」
顔を逸らしたままのはやてが指差す方を見てみると、店の一角に色紙や写真が張り巡らされたコーナーがあった。どうやら有名人が来店する度に、サインを貰ったりしているのだろう。
もしかしたら後で、はやてもサイン位は求められるかもな。
……等と考えていると、ふと知り合いの名前を見つけてしまった。
「ああ……そうか、そう言えばあいつにしか言ってなかった。俺とはやてが付き合っているって」
「……また喧嘩したんかいな。よう飽きひんなぁ」
呆れた様な声音ではやてが話しかけてきたが、俺は嫌そうな目をして振り向くことになった。
「というか、もう……奴とは完全に馬が合わない」
「その割には趣味とか考え方とか、結構似通っとるやん」
「お陰で仕事中にブッキングすることが多くてな……半ば口喧嘩してる時にはやてとのことを話したんだが、冗談だと思ったか俺の話をしたくなかったのか……両方だな」
ほんと馬が合わないんだよな…………高町とは。
フェイト・T・ハラオウンとの関係:兄妹
(2020年2月10日)アンケートの結果:年1回定期更新となりました。
ホントににすみませんが、思い出した時にでも読んでみて下さい。お願いします。
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