※この作品はR-18です。

ポンコツ世界異聞(外伝)   作:きちきちきち

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※性的描写を含みます。
苦手な方はブラウザバックお願いします。


コミュ【ブラック=ローズ】

―――【ラインセドナ:彼らの自宅】

 天気は快晴、人が過ごしやすい陽気の事。

 

「……暇だ」

 カイトはいつも通りの鍛錬を終え、ギルドへの依頼を確認する彼等のサイクル…。

 とは、今日は異なった。

 とある件で右腕の骨を折り、怪我をした為に療養中であった。

 彼一人であったら、まだ左腕があると土方の依頼を受けかねないが、周囲に止められてここに大人しくしている。

 苦痛を前進の実感にする為に、苦痛耐性が変な所で高い。

 そろそろ”仕事キチガイ”と呼ばれる彼は落ち着かずに、”バッカ-資格”の参考書を眺めている。

 

 過去の通りに『黄昏の腕輪:資源改造(リ・モデリング)』の機能でか、怪我自体は軽くなっているのだが、知り合いの治療術の使い手でもある”ガルデニア”の診断では、骨がくっついているが、一応少し様子を見るといいそうだ。

 不安定な状態で無理すると歪んでくっついて、取り返しが付かない可能性もあるそうである。

 

 周囲の彼等の自宅の様子は、少しずつだが、不恰好さが薄れている。

 時間が経ち、知り合いに周知されて、訪れてなんか色々祝いか何かで置いてゆくおかげである。

 気難しいマーローですら鍛錬で剣を振るった後に、居着いて休んでいる事がある。

 特に先輩冒険者”ガルデニア”は、趣味とした花なんかの”寄せ植え”が所々に設置され、空間に色を添えているているのが目立った。

 

 持ちこんだ、彼女曰く。

『―――いや、花が好きって自覚してもただ一人で弄るのも寂しくてだな…。ここなら人も来るし見てくれるから…、ダメか?』

 そんな感じに控えめに頼まれての事である。変な所で彼女は初々しい。

 彼女が”寄せ植え”るその花々は、まだ始めたばかりな為に見栄えには改善点も多いが、彼女の森属性の”固有魔法”の影響か妙に活力に溢れている。

 それから鼻歌交じりに持ってくるそれが、時々ちょこんと増えるのだ。

 

 ちらりと伸びた緑が目に入って。

「んー、ちょっと伸びたか」

【レンジャー:植生の経験】

 寿命以外で枯れる心配が無いのはいいのだが、良く蔓とか葉が伸びて大変なので、時折彼が手入れする。

 双剣を初期に選択する生来の器用さと、故郷の村の共同財産であった、村での貴重な野草の群生や木々を傷つけずに、収穫する手癖が変な所で役に立っていた。

 正直現状、植え込み持ち込む彼女より巧かったりする。

「この花、食べれたっけな」

 なお、内心では変らず食欲一辺倒で、花の美しさを愉しむ心は全くないのだが。

 環境で人は出来上がる。彼の心はそう言う風に育ってないのだから仕方がなかった。

 

 落ち着かない気持ちを誤魔化して、刻々とゆるやかに時間が過ぎている。

 

どたんばたんがたん、と。

 玄関の先の少し騒々しい音がする。

「おーい、カイト。帰ったわよー、ちょっと扉開けてくんない?」

「あー、おかえり、ローズ」

 冒険者ギルドで依頼を終えて帰った、カイトの相棒である大剣を背負ったローズである。

 玄関のドアを開ければその両手に荷物を抱えて、手が塞がっている為に手間なく開けようとカイトを呼んだのだ。

 

「って、どうしたの。その両手の荷物は?」

「今日の依頼でねー。畑の収穫を手伝ったんだけどさ、『よっ!嬢ちゃん働き者の力持ちだね!』って、『マンドルゴラァ!』ってのを発酵させたお酒っていうやつ貰ったけど、どうしようかこれ」

「へー、ありがたいけど、お酒かぁ…、使いにくい奴だなぁ。とりあえず、開いてる部屋にしまおうか、これ冷やす必要あるかな」

「いや、常温保存でいいってさ」

 『マンドラゴルァ!』とは、水が豊かな田舎町の農業地帯【ラインセドナ】の特産品の一つである。

 土に埋まって育ち、只管「ゴルァ!やんのかゴルァ!!」との声を響かせるヘンテコ根菜類。

 臭いが特に強い為に、滋養強壮の効果のある食用よりは薬草である。

 これと他の薬草を併せて煮詰めて発酵させれば、病気の事前予防に約立つ薬膳酒となる。

 素材本来の臭いが消えてないが、味は割と普通である。焼酎を薄めてコクを増したような味と評される。

 

 なお、彼等は知らない事だが。高い属性値により属性災害撒き荒れる【魔王領】の特産品。

 『マンドラゴラ』とは名前が似てるだけの別物である。

 現行魔王の一角、”二代目死霊王”こと”過労王”のお手製の畑の癒しの作物となっており。

 『マンドラゴラ』の方は貴重で効果の高い【薬草知識】を専攻する者にとって、最高級の”霊薬”の材料であり、生育は難しくには収穫には叫び声により肉体から”霊魂”を引き剥がす為に、命の危機すらある。取扱いに注意な”超高級品”である為に。

 

 名前がそこそこに紛らわしくて、割とクレームが出ていたりする。

 

 黒光りする淀んだ瓶に、ドロリとした光沢が目立つ。

「重そうだけど、運ぶの手伝う?」

「いーって、少し前まで骨折れてたんでしょうが」

 屋内に運び込んで、とりあえず倉庫に使っている空き部屋に放置して。

 カイトは今日の夕食の為に、お塩と新しく貯蓄する様になったチーズを取り出して、持ち帰る。

 芋とお肉を塩にまぶしてチーズで包んで焼いて、野菜根菜塩スープと麦パンと一緒に食べるのだ。

 

(”ミルタンク”のチーズは、一気に買えて手軽で削ったり熱入れるだけで色々出来るからいいなぁ)

 彼の料理技能は相変わらず、田舎風の野性味入った中途半端なものだ。

 だが、おいしく食べてもらえる相手がいるなら、手間と気合は入ると言う物である。

 

 鼻歌交じりで、鍋釜を見て熱を測っている。

 

「あと30分くらいで出来そうだし、ゆっくりしてて」

「あいよー」

 しばらく彼は料理の熱と格闘しながら。

 一方で彼女は、その間に湯汲みを終わらせてきたようで、普段着に着替えてほかほかと湯気を放っていた。

 ついでにお酒の便を何本か取り出して、リビングに持ち込んできた。

 

「カイトー、折角だし食事ついでにちょっと吞んでみる?アンタ全然そういう事しないじゃん」

「いや、吞んだことは有るけど灰汁が強くてさ、ちょっと合わないからね。ローズなんかは結構飲むの?」

「まぁね」

 この世界に年齢によって、飲酒を制限する法はない。

 娯楽の少ない田舎となれば、大人になる洗礼として、彼位の年齢に飲ませる事も少なくない。

 彼の故郷の酒など発酵素材が乱雑に浮いた、自己酒造の乱雑な物である。

 大人になればそれはそれで味があるのだろうが、彼には貧乏舌な事もあって余り好んではいなかった。

 

「せっかくもらったんだからさ。空けて飲んじゃいましょうよ。これは病気に効くって言うしさ」

「んー、じゃあ味見位なら」

 焦げ付きをガリガリ剥がす。料理が完成して適当に寄そい運ぶ、大体その量の比は三対一の盛り具合だ。

 種族の違いからか、肉体の基準が二回り高い為に食事の量も比例して多い。

 上がる蒸気が眼を刺激するアツアツだと一番美味しく食べれるが、搔き込みがちの彼女の事を考えると。

 どうだろうと詮の無い思考が回る。

 

「おー、来た来たいつもあんがと!」

「熱いから気を付けてね」

 いつも通り、一言付け加えるだけに置いて。

 二人で適当な事を話ながら食卓を囲みながら、彼も食事に手を付け口に運んだ。

 木の杯に注がれた、『マンドルゴラァ!酒』の、特徴的な臭いが鼻を突いた。

 

―――この光景だけを見れば、見た目が大きく違えど、彼等はまるで距離の近い姉弟に見えなくはないだろう。

 その程度には、彼等の日常での距離は近いものがあった。

 

 その後は何時も通りに食事が進んで。

 

 

「あっつい…っ」

 カイトはコップ一杯のお酒を口に呑んで、早くも身体に酔いが回っていた。

 この『マンドルゴルァ!酒』は田舎酒の中でも、割と度数が強い。

 そもそもこの特徴的な臭いの原因が、アルコールになる為の発酵酵素が由来である。

 

「酔うの早いわねー。どう、このお酒の味は?あたしは悪くないと思うんだけど」

「よくわかんない」

 彼は生育環境から基本貧乏舌である。

 例えて言うなら多少飲んだ果実を発酵させたお酒と比べれば、甘さが控えめであり、後味がぴぴりと辛い。

 臭いと粘性の舌ざわりの悪さは有るが、基本塩味の強い彼の野性味入った料理との相性は悪くない。

 

 少し、どうだろうと考えて。

「んー、美味しいと思う。あんま吞まないし、趣味にしてるガルデニアさんなら良くわかるんじゃないかな」

「そう、良かったわ」

 自然に次を注ごうと手が伸びる時点で、彼は判断した。

 先輩冒険者”ガルデニア”の趣味の一つは地酒収集である。興味が深いのだろう。

 自分達では処理しきれないだろうし。

(余ったら、世話になってる分持っていこうかな)

 と、考える。

 

 彼は二杯、三杯と口に運び、舌で転がす。

 ローズは既に一本分、『マンドラゴラァ!酒』を空けている様だった、割と酒豪である。

 

 カイトは本格的に酔いが回ってきて。

「んあー、何も考えなくていいって楽」

 呆けた思考が空転する。ぺたーっと上半身をテーブルに突っ伏して、だらしなくだれている。

 彼と彼女のペアは役割分担もあり、道を歩くために、割と常に思考を働かせているので、惚けて空転する感覚が心地よく力が抜けていく。

 

 それを彼女は、面白そうに見ていた。 

 

「そういやさ憶えてる?アンタと初めて会った時さ」

「そりゃね。冒険者のDランクが一番辛かった時だからね。ずっと憶えてるよ」

 ローズと出会ったのは彼も【ラインセドナ】に上京して、余り間もない頃である。

 身分はなく、信頼が最低限、頼れる人もおらず。依頼も受けられずに今よりずっとずっと飢えて、田舎村暮らしの慣れと知恵で。

 餓死だけは嫌だと、飢えれば魚とかを釣り上げて、採集等の依頼を地道にこなしていって、日々を何とか暮らしていた頃の話。

 

「あの頃はもっと痩せてたし、周りに攻撃するハリネズミで、良く声かけたわよねあんた」

「まぁだって駆け出しだもん、みすぼらしいのはお互い様だしね」

 懐かしむ様に、言葉を呟き吐き出す。

 苦しかった頃の記憶をこうやって回想できるのは、その頃には考えられなかった事である。

 

 ローズが故郷を飛び出した経緯は怒りだ。下界で活動して人為的に失踪した弟。

 元々、弟が外の世界を見たい出たいというのを、反対していた母親がそれを扱き下ろした為に、怒りに任せて、ぶん殴って準備不足気味に飛び出してきた。

 

「アタシは飛び出した世間知らずだったからさ、”下界”のルールも知らないで、本当の駆け出し(Dランク)の仕組みのルールもわかんなくて、ギルドに文句付けたりしてさ」

 一山幾らの腕っぷしの強さなど、ギルドに取っては話にならない。重要なのは信頼と実績。

 それすら知らなかった彼女は、頼りに出来る知人もおらず、腕っぷしの強さ以外に生きる技能を持っても居ない。

 理屈を納得できず、『蛮族』(アマゾネス)由来の身体能力も欠食で日々弱って行って、苛立ちを募らせて本当に追い詰められていたのだ。

 

「アンタは知らないだろうけど、アタシも昔は強かったのよ?肉体だけはね」

 飢えて飢えて、故に周りに攻撃的になっていく、そんな悪循環である。

 【奏護』の故郷に居た頃に誇っていた剛剣は衰え、肉体を資本とする【錬気法】も使えばグンとお腹が減ってしんどくなる。

 

 しかし、今の彼女の成長は身体面では全盛期に近づいていってると言っていい。

 そして技能面では比べ物にならないだろう。

 からから笑いながら、酒のつまみの様に過ぎた辛いハズの記憶を話しかける。

 

「そんな感じでハリネズミやってたのも、組し易いと思われたんでしょうね。組まされた同じDランクの奴に、剣と身に付けていた物以外取られて。報復で暴力で訴えたら、官吏から追い出されてこっちまで流れて来てさー」

「なるほど…、ね。”研修”でハズレ引いたか、盗んだ奴もな短絡的だね」

【ムードメーカー】

 冒険者の中でも駆け出し以下と言えるDランク。

 一般的にそこまで駆け出しだと単独で依頼は受けられない。

 世話する先立ちや、仲間がいないなら、場合よってギルドが手配して合同として”研修”をさせる事もあるのだ。

 

「そんなアタシに大丈夫?って純粋に心配して声かけてくれたのはアンタくらいよ。あんときはさー、もう我慢ならんと、お肉狩りに野生化一歩手前に行ってたもん」

「―――え、あれ。そんな経緯だったの!?」

 カイトとローズが出会ったのは、そんな時だった。

 ギルドで見かけた、普通は外では吹けば飛ぶ様な、同じDランクが町の外にフラフラと出ていくから、まさか自殺かと疑って必死に呼びとめた。そんな感じである。

 実際、下済みの厳しい極貧生活に耐えられない、そんな例もたまにいるのだ。

 

「あはは、確かに自殺とそう変わらなかったかもねー。あたし心も体も弱ってたからさー。そのままモンスターにぱくっとさ」

「笑いごとじゃないんとおもうんだけどな」

「アタシとっちゃ面白かった記憶よ?いきなり話しかけてきた怪しい奴が、散々追い散らそうとしたのに、『お腹が一杯になれば、考えも変わるから』って引っ張られて、川で釣り始めるんだもん」

「……なにさ、ローズだって、僕が釣り上げた魚、焼ける傍からバクバク食べてたくせに」

 彼女は本当に面白そうに笑って、その様子に少し彼が膨れて、不服を示す。

 気の弱りは食欲からと、即席の道具を作って川に釣り糸垂らし始めるのは、ある意味突拍子もなく、当時は困惑した物だった。

 騙された経験も近く、警戒しながらその背中を見ていたのを憶えている。

 

「ごめんごめん、本当に感謝してるんだからね。アレが無きゃアタシ今こうしていないしね」

「ん、お互い様だから、こっちも十分助けてもらってるよ」

 そんなこんだで、食事が終わってお腹を満たした後は彼女も少しも落ち着いて。

 お互いの事情を交換し合い、お互いの身内が失踪した共通もここで見出して。

 彼等は冒険者として”ペア”を組んだのだった。

 

 いつの間にか、『マンドルゴルァ!酒』もローズと併せて三本目が空いていて、注がれるままに結構飲んでいる事を自覚する。

 少し首を傾ければ、ぐいんと地に引っ張られる、引っ張られる奇妙な感覚である。

 

「ごめん、ちょっと不味いかも、本も読めないだろうし、今日はちょっと休む」

「なによ付き合い悪いわねー。滅多にないんだろうし、もうちょっと付き合いなさいよー」

 そう言って部屋に戻ろうとすると、彼女に呼び止められる。

 するとまだ満足してない様酔った彼女が絡んできた。首から手を回されて、背に柔かな感触を感じる。

 

「重い、離して、寝るから、そんなにお酒強くないから」

「やーだ。んー、意外とがっしりしてるのね。近くにいると小柄なのにさ」

「むぁ、ローズと同じ位あるよちゃんと」

 地面に惹かれるグラグラした身体を支えて、そのまま自身が使っている部屋に引き摺って行った。

 普段だったら真っ赤に照れて離れて、女の子としての小言が混ざるのだろうが、酔いの回った彼の思考はほぼ短絡的反射で構成されている。

 人事不正まであと一歩と言った様である。

 

 楽しそうな声色で、首元に顔を埋めて息を吹きかけた。

「ひゃ、くすぐった…!?」

「あはは、女の子みたいな声、しっかりしなさい男の子なんだから」

「このっ、いい加減に」

 

 ふわふわの反射思考と相まって、そのからかいの様な言葉に。

 むっ、普段の誓い距離感からか、と変な対抗心を持って普段だったら絶対取らない行動を彼ににさせた。

 からかう彼女に正面からがしっと捕まえて。

 

 ローズの普段着から露出した鎖骨部分に触れて。

「―――えい」

「わっ、ひゃ!?」

 耳に息が吹きかかる距離で、つつと指でなぞって下に降りて撫でていく。

 頭の中が酒の酔いの熱だか、性的スキンシップによるムラムラか区別がついてない状態である。

 前後不詳、互いに混ざって突拍子のなく気持ちが浮かれていた。

 

 すすすと。

 ローズの触れられた部分が熱を持って、少し爪が引っかかる度に、官能の刺激が滲んでくる。

「ん、ぁえ、え、それ変ンっ」 

 時折、肉親の様な距離感でセクハラの様な距離感で接する彼女だが、されることに慣れてない。

 カイトは生来の双剣を選択する器用さと、半端な双剣を”疑似精霊楽器”の様に精霊術の共振を、奏でる。

 器用な指先が彼女の芯を刺激して。

 彼女は、艶声と伴にびくびくと身体と声を震わせた。

 

「ん、かわいい」

 その反応が面白くて、ついエスカレートしてもっと下に触れていく。

 普段着の上から確かな弾力を持つ胸に指を添わして、硬くなった突起をの周囲をなぞって時折搔いた。

 その度に、吐息が漏れるのを耳で感じる。

 

「あ、あれ。やりすぎた?」

 からかい返したつもりで、完全にしおらしくなった彼女に少し正気が戻ってくる。

 だが、カイトも若い雄である。

 酔った思考思考はまだ空転して、彼女の艶が彼の熱も刺激して伝播し、もう収まりが効かない。

 微かに残った理性か、その板挟みに動きが、少し離れて、固まるのだが…。

 

「やだ―――ね、もっと触って、しよ?」

「……っローズ」

 それに不満な彼女が腕を拡げて、紅潮した頬のままに誘ってくる。

 最後の防波堤が壊れる。いつか【クェーサー修道会】に掛かった時とは違い、ローズならいいかと、呆けきった頭が目の前の状況を肯定した。

 それは若さ故の性的欲求と、姉弟の如く、自身の無防備を見せても平気という安心感がある。

 

 そこからはお互い辛抱できず、まだ少し空いていた距離が詰まって、身体を弄り(まさぐり)あった。

 

 衣服越しに身体を擦り合わせる。酔いが回って相手にも酔っている為に、服を脱ぐ事すら煩わしい。

 特に相手の反応し合う場所を獣の様に貪り合う。

 彼女が首元噛んで、驚いて開いた彼の唇に、唇を重ねて、舐って交換する。

 彼はお返しとばかりに掌で彼女の柔らかく張りのある胸を撫でる様に揉んで、時折突起を刺激しながら彼女の身体の反応を感じる。

 

 同時に上昇する体温と心拍数。

 

 支配する幸福感と安心感。

 ぞくぞくと震える体をやっとの思いで支え、蕩ける程の熱さに意識を任せる。

 

「…ふはっ」

「ここ、触るよ?」

「は、恥かしいから、聞かないで、好きにしなさいよ」

 唇を離して、聞いた。

 普段から想像できないしおらしく縮じこまった、彼の身体に収まる彼女がかわいらしい。

 

 衣服越しに秘所を撫でてみる。

「うぁっ」

 今度は普段着のズボンに手を潜らせて、既に濡れぼそった秘所を撫でる様に触り、時折、花芯を刺激する。

「は、あっ、うぁんっ」

 ローズは彼の服をギュッと掴んで、必死に声を抑えようとしているようだった。

 彼も初めてのなのだが、その手癖に敏感に反応して応える。

 彼女の引き締まって柔らかい素直な身体が、彼女にとっての正解を教えてくれて、そこを重点的に攻める。

 

 弱い所を調べられた彼女の抵抗はそこまでで、馴染みのない官能の刺激に流されて。

 

「あはっ…っ!―――――っ!!」

 身体を仰け反らせてびくんびくんと瞼の裏を明滅させた。初めての気をやった(オーガニズム)。

 骨が、関節が関係ない部位がキュンキュンうずいて、身体に受ける刺激が腹奥に。

 彼に触れられる度に焦れて集まって、越えれば悦んで身体が跳ねて言う聞かなくなっていく。

「……はぁ…んあ……」

「ん、かわいいよ」

 その余韻に夢中になる、夢心地にになって、味わって。

 彼がその様子を見ながら、髪をくしゃくしゃ撫でて、心地よさに彼女は目を細めた。

 

 その後は、また接吻を交して互いの熱を交換し合った。

 

「ん、ぁ……っ。なによ巧い、じゃん。もしかして初めてじゃなかったり?」

「ぷは、そんな初めてだよ」

 少し悪戯な笑みを、彼女らしい勝気な仕草で聞いてきた。

 彼は田舎育ちである。娯楽の種類の少なさ故に性知識だけは割と多い。

 周りの大人たちが不安定な村々の、日々の不安から壁の薄い”ずっこばっこ”やってる光景を知っている。

 彼は知らない事だが、大襲撃中なんかは不安に押しつぶされ、麻薬や”ずっこばっこ”に染まり、堕落の渦になってしまう村々もあるという。

 

 そんな感じで、真似する様に彼女をなぞっただけだった。

 そして、お互いに男女の営みが行きつく先も勿論、知っていた。

 

 もう言葉もいらない。本能のままに、服を脱がせる。

 彼女は少し恥ずかしげに、控えめに自分の大事な所を隠しているんが普段のギャップでなおさら、かわいい。

「いい?出来るだけ…優しくするから」

「言ったでしょ、もう好きにしてってさ」

 その言葉にカイトの獣性も限界だった。

 向き合って、そそり立つ屹立をローズの入り口に当てる。彼女は初めて見る男のソレに、目を丸くして少し震えた。

 

「…っい!」

 そのままゆっくりと挿入していく。

 膜を貫いて、首に回す眉を寄せて歪める。首に回した腕の力が少し強く引き締められる。

 その秘部は濡れに血が混ざっていた。

 

「大丈夫?」

「へへ……、大丈夫よ。思ってたより、痛くなかった」

 話だけ聞く、破瓜の痛みと言う奴である。こればかりは男性にはわからないだろう。

 強がって笑みを浮かべる彼女の、健気な頭を撫でて―――だけど。

 

「ごめん、限界」

「え、うぁっ、あ、あ……!」

 彼はこれからする事に謝る。反応で変わるもう色々と限界だった。

 したい、一杯貪りたい。自分の中に溜まった物を吐き出したい。それに導火線に急かされて。

ぐっ、ぐちゅ、ぐちゅ。

 彼女の濡れぼそった秘壺に腰を動かし、挿入を繰り返す…っ。

 

「はぁっ、あ、あぅっ」

 ただ快感だけを生み出す為に腰をしゃくらせて、振りたくる。

 普段の彼より、ずっと乱暴な所為。腰を打ち付ける度に身体を震わせて嬌声をあげる。

 打ちつけられる肌を打ちつける破裂音と濡れ音、まだこなれてない秘奥を乱暴にこじ開ける。

 

「あぁカイト…っ!いい、気持ちいい…!」

 それがローズの蛮族(アマゾネス)としての元々のプライドの高さが、求められてると言う感覚が、女としての官能を引き出してたまらない。

 痛みも、痛いからこそ、それを鋭敏にして刻まれる。

 

「ふぁっ、あ、あんっ、あ、あっ…!」

 昂った、あの気をやる感覚が、いや、今度は熱の集まる場所が埋められているか。

 こんどは一線を越えて、張り詰める淫靡の糸のさらに奥にピリピリと張り詰めて、頭の奥が焼き切れそうな程に。

 それを待っていた。

 

「ご、っめ…、もうっ」

「―――好きに、ふぁ…っ!あ、ああああああぁぁぁぁぁ……!!!」

 ぶびゅっ、どくっ、どくどくどくっ…。

 この空間全てに酔った彼はひときわ深く彼女の奥底で抉り、最後の理性の一線か外に白濁を放つ。

 彼女の健康的できめの細かい褐色の肌を、白濁が汚す。

 

 その余韻。

 静まり返った部室の中、二人の呼吸する音だけがいやに大きく聞こえた。

「はぁ…はぁ‥……」

「ンあ……、膣中(ナカ)でも、良かったのに」

「……あったかい、……くらくらする」

 その彼女の言葉を少し咎める様に額をごっつんこ。

 お互いに満たされた倦怠感に包まれて、頬を寄せ合う。

 元より体力が違う。前後不詳になる程のお酒の効果もあり、そのままカイトは眠りに落ちた。

 

 彼女はそれを見守って、白濁を拭って、口に含んだ。

「精液って、しょっぱいのね」

 そんな詮の無い感想を漏らしながら。 

 

 半分、お酒の力で理性が潰れ気味のカイトと違い、ローズは割と正気だった。

 高地で暮らし、身体能力に相応して代謝と肝機能が高い蛮族(アマゾネス)である彼女を事後不詳にするには、酒量か度数が足りない。

 故に、今までの日常と同じで。それとなく誘っているスキンシップの延長。

 お酒の力を借りていつもより大胆に攻めて、こうしている。

 

「―――う、巧かったのが予想外ね。なんかもっとこう、アタシがリードして骨抜きって感じに、うー」

 女系種族にありがちな、相手より優位に立ちたいというプライド、それあって挑発的に誘っていたのだが。

 実際は逆に、悪戯に手を出された時点で、頭が沸騰してしまって、優位に翻弄されてしまった。

 行為中の己を思いだして頬は羞恥に紅く染まる。

 

「うううううう……気持ち、よかった」

 ぽつりと漏らした。

 枕に顔を埋めて、恥ずかしがって、枕をぽすもす叩く。

 

 依然としてローズの、故郷を飛び出してきた事に抱いていた。

 ほぼ人為的に行方不明になった、肉親である弟を助ける世間知らずの無謀は、現実に擦れて擦りきれて

 下手人が目の前にいるなら、ぶん殴って、殴って殴り殺す程度に燻る復讐心しかない。

 

 ローズがカイトを、好きだからと。

 それが理由だと知れても、彼はきっと変わりなく在りのままに、受け入れてくれるだろう。

 その程度には彼女は彼との関係に自身は有る。

 

 だが、それはそれとして一線を引いて、肝心な時に遠ざけられてしまうだろう。

 カイトは本心では自身の行為の無謀さを知る故に、表面上は変わらないだろうが命が関わる所まで行けば、勝手に離れて行ってしまう光景が在り在りと頭に浮かぶ。

 あぁその後は、まるで孤独な猫の様に、人知れずに勝手に死んで行ってしまうだろう。

 隣にいるからこそ分かる。

 その程度にはカイトの精神は、齢不相応に成熟して自立しているのだから。

 

「そんなのは、いやに決まってんじゃん」

【束縛願望:自覚抑制】

 故に”相棒”として、”同士”として彼女は振る舞うのだ。

 いつから好きになったのかはわからない、苦楽を伴にする中で、”いつの間にか欲しくなっていた”。

 例え理不尽に曝されて、最後の時だろうと、隣にいる、隣に居たい。

 だから、カイトが起きている時は、この思いを言葉を絶対口にできない。愛してると言葉にしたからと、心が近くなるわけでもない。

 

「好きよ。カイトはアタシの一番の”宝物”だからね」

【ブラッドの末裔】

 【奏護】の”ローランド城”に故郷とする『蛮族』(アマゾネス)は、遠い祖先に【竜人】の血の流れを持つ一族である。『偉大なる神龍』(ホワイトドラゴン)信仰の御本尊。その伴侶である暗黒竜の『ブラッド』の血を継ぎ名を直接は不遜だからと。

 祖竜の加護あれと、あやかって捩った家名、『ブラック=ローズ』それが、彼女の氏まで併せた真名。

 故に、文化と遺伝子に価値観が少し残っている。だから、一番大事な物を竜の価値観の様に『宝物』と表現する。

 

「まぁ、カイトはなんかアタシ以外にも色々引っ掛けそうだけどさ、アタシの『宝物』は魅力的だから、仕方ないけどさ」

 そう冗談のように笑って、惚けて彼の頬を撫でた。

 なんとなく、先輩冒険者のガルデニアの反応が怪しいと、本人すら曖昧なそれを、敏感に感じ取ったりするのは女の勘か。

 頼りになるし重石になるならそれでいい。”相棒”なのだ、それに癇癪を起す程狭量ではない。

 しかし、強引にモノにしようと言う女がいたらぶち殺すが。

 

「それが許されないなら……。ここでアンタの首絞めて、一緒に死んだっていい」

 しかし、穏やかな寝息を立てる彼の首に手を掛けて撫でて、そうぽつりとつぶやいた。

 その程度には、彼女の愛は重い。

 

 そして、カイトに掛布団を掛けて、自身も潜り込みながら、今日の夜は暮れていくのだった。

 

 

 

―――そして朝チュンな、翌日。

 

 

 

 彼にしては遅起きな、午後に至りそうな日の刺し方。

 

「やっちゃった……」

 ずーんと、リビングで落ち込むカイトがいた。

 昨日の記憶は、酒の酔いにより朧げながらしか覚えていないのだが、翌日の裸の姿見を考えれば何があったか一目瞭然である。

 自身の行為に対して二日酔いの痛みも併せて落ち込んで、自己嫌悪に陥っていた。

 

「僕らは”相棒”で、付き合ってる訳じゃないし、責任取れる立場じゃないのに」

 一番の懸念は、妊娠である。気を付けてても子供はできる時にはできるらしい。

 その責任は、とても重い物だ。

 カイトは目的の為に冒険者をやめる事が出来ない。

 そもそも普通に暮らしていける様な教育も技能も持ってない。

 

 速攻、既に起きていたローズに謝罪をしたのだが。

『いーって、だって冒険者なら普通じゃん?他に娯楽がないって事が多いからさー』

 そんな感じで、笑って流された。

 またよろしく、と言われた。その軽さに困惑した。こういう問題は、女性の方が重いと言うのに。

 

「もう絶対お酒吞まない」

 彼はそう硬く誓った。

 お酒のせいにできるだけ、精神ダメージは少ないかもしれない。

 

―――なお、後日の話であるが。

 彼等はまたどちらともなく誘われるままに、身体を重ねる事になるのだが、彼は知らない。

 生存に必須な、食欲と睡眠と同じ重さに例えられる。三大欲求、それが性欲である。

 一度色を知ってしまえば、彼等の関係も後戻りできる訳もない。封じて生きるにはこの世界には辛い事が多すぎる。

 時々にどちらかが誘うままに、身体を重ね合うのだった。

 

 

 




カイトは【黒薔薇の加護】を得ます。
ローズは【蒼火の息吹】を得ます。

 ローズのコミュが無かった理由→コミュ入れたら、好感度的にそのままベッドイン。
 若い冒険者男女のペア、何も起きないはずはなく……とかいう、脳内リアリティ先輩に導かれるままに書いた為に、エロの分量が少ないです質が悪いです…。
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