※この作品はR-18です。

ポンコツ世界異聞(外伝)   作:きちきちきち

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前回のあらすじ、襲われました。


コミュ2【ガルデニア】

―――『ギルド宿:ヴェルニース亭の一部屋』

 防音対策もきっちりなされた、とある泊宿の一室にて、である。

 

 二人がベットの上にて、押し合う影があった。

 一人は、金糸の髪を伸ばして端正な貌を欲情に染めてほの紅に染めて、状況に悩ましい溜息を漏らして。

 一人は、組み敷かれている若葉色の少年、状況に動揺に瞳を揺らしている。

 なお、ちょうど今少年の何時も被っている、その帽子が剥ぎ取られた所である。

 

「ちょ、ちょっと待って……っこれ、おかしいですっ」

「待たない。それではずっと変わらない」

【超絶美形】

 互いに服が、絹が擦れる音が聞こえる、

 見上げれば鋭い目線の翡翠の目が、像を揺らしながらこちらに向けられ射貫かれている。

 まだ、劣る体格は相手の抑えつけられているという状況だった。

 

(言葉で、ちゃんと伝えた、のに)

 この状況は、カイトにとっては訳が分からない。

 変わらず、己が好かれた理由もわからないし、どうしてここまで強引な手に出るかもわからないのだ。

 頭に絶えず疑問符が浮かびながら、その鼓動は荒ぶって止めどもなく脈を打つ。

 ぞわりぞわりと、背に迫る。

 肌越し柔らかい感触と花の香りに理性を侵されながら、一旦落ち着ける状況を作ろうともがいていた。

 

「………ん、キスをした時にも思ったが、まだ華奢なのだな君は、それに少し焦げた匂いがする」

【奉納巫女:一つを欠けた者】【華に風情を】

 囁くようにガルデニアは若葉色の髪に、首元に顔を埋めてその匂いを染み付け、感じ取る。

 彼女は多少鼻が利く、例えば花の匂いを愉しむ風情を持っている。

 その識覚を意中の少年のまだ青い色気を堪能する、頬が緩む程にそれはたまらなく酔甘い。

 

 一度、顔を離して頬を摺り寄せて。

 今度は若葉の髪に指を絡ませて、そして指で搔き撫でる。そうすれば、より匂いを感じられる。

 

「ずっと、こうしたかった、これは癖になりそうだ」

 緩んだ頬に、甘噛み。

 ある種の陶酔(トランス)状態、彼女はすっかりブレーキが壊れている。

 お互いの体温が擦れるほどに、骨の髄からズキズキした刺激が奔る、言葉にできない様な軋みである。

 

 元々、意中の少年からの強い拒絶はない。

 それは自分は異性としては好かれているのだろうと、その緩怠とした抵抗に安心する。

 理性の雁字搦めの問題だというなら、いっそ一線を越えてしまえばいい。

 

「そんなに嫌なのか、私の事が嫌いか?」

「いやじゃ、ないですけど、それとこれとは…ッ」

 悪戯に声に出したのは、反応に既に答えは合わせを確認した、ある意味ずるい問いかけである。

「それはよかった」

 もう一頻り、それを堪能すれば。

 身体を寄せて甘えればもうどうとでもなれ、といった感じでもう、抵抗の様子は弱くなっている。

 

 己が好いたの少年でも、まだ供に過ごした時間は短い。

 知りたい事が沢山ある。この一度の、逢瀬ではきっと味わい切れない。だから……。

 

(あぁだからここで、君を手に入れ――――――)

 

 そこで、ガルデニアの動きが止まった。

 硬直する様に、その眼を泳がせて、明らかに何かに迷っている様子である。

 

 

「……?」

 彼女の熱が下がったのかと、カイトは少し、緩んだ手で握って払い除けようとして……。

 がしっ

 逆に更に強く掴み返された。

 

「う、動かないでくれ、私に任せてくれればいい」

 その腕の力は強く、逃がさないように意中の彼に告げたように、もう後戻りできないのだから。

 

 "なのに、その心を手に入れる方法が分からない"。

 

(そういえばここから、どうすればいいんだ……?)

【奉納巫女】【耳年増】

 いきなり意中の彼を押し倒したのは、同郷の血の辛がらぬ姉妹『奉納巫女』に聞いた。

 "男は獣、押し倒してしまえばどうとでもなる"という言葉を、真に受けての事である。

 

 彼女は"性知識"が無い訳ではない。

 むしろ興味のない風体をとりながらも、冒険者家業の中で出身から己に見合う伴侶を夢見て、聞き耳を立ていて豊富とも言っていい。

 

 しかし、九十九の姉妹たちが姦しく盛り上がった狩りの"必勝法"。

 いざこうして手に出してみれば、その道筋が分からない。

 男女の経験の浅い彼女には、なお、身内だけで盛り上がっていた内輪の話で、最初からそんなものは在りはないとも気が付かなかった。

 ただただ欲情に浮かされてしまえば、それが一番に楽だっただろうに。

 彼女の中に中途半端にある手に入れる"打算"という理性が、ガルデニアの心中から余裕を奪っている。

 既に彼女の内に潜み化粧された"獣性"は、見出した花に根を張った。

 心が囁く"欲しい"と、一度否定されてから尚更に、だからこうして、強引に迫ったというのに。

 

 自身の容姿には自信があり、凛とした戦の武威も合わさってそれが相応に事実であっても。

 つまりは、所詮、彼女は"処女"だった。それが全てである。

 

 男という生き物は、肌に惹かれるらしい、とにかく魅せるならば衣服を脱げばいいか。

 自分から、それも自分だけそうするのはたまらなく恥ずかしい。

 そもそも、体格差に抑えつけている状況。

 慣れない事をすれば、手中に押さえつけた彼に逃げられてしまうかもしれない。

 

「あ…ぅ、待ってくれ、こんな、はずじゃ」

 どくんと思わず言葉が詰まる、その翡翠の目がさまよって、ぐるぐる回る。

 じれったい時間が過ぎて頬がどんどん紅潮していく、年上らしく虜に(リード)したいと思っても、どうすればいいか全く思い浮かない。

 

 いつも凛として花の如く尊敬する冒険者としての先輩の、何処か抜けた様子に。

 

(―――なんか、かわいい)

 カイトは臓に悶えるような感覚を感じた。

 一度間をおいて、不意を付く様などこかしおらしさを感じる反応だった。

 ギャップというべきだろうか、彼は反射的にそう想った。

 

 カイトは遠慮がちに、惑う視線にその頬に手を伸ばした。

「ひゃ……ま、まて、くすぐるなっ」

 その指は林檎より熟れた様な耳に触れて、次に頬に流れてその柔らかな形を擽る。

 触れて、知ろうとする。相手の想い矢印を、その体温と鼓動で。

 魅入られる。

 

 熱い、少し触れただけでもその熱が、更に赤みを増して感じ取れる位には。

 カイトはその鼓動の速さで、少なくともこの昂りは、己と同じ気持ちだと共感した。

 

「やっぱりわからないです。何で僕なんかに、何も持ってなんかないのに」

 カイトにとって彼女は冒険者としての先達であり、凛と佇む華であり、揺れえない槍の舞闘士である。 

 時々の悪戯癖(スキンシップ)に困らせるが、価値の天秤から、そのある種の物分かりの良さから、先輩という言葉で一線を敷いて彼女の価値を高く置いてしまって"区別"している。

 袖すれ違う冒険者である。相応に、ガルデニアの価値に相応な彼女の道を歩くと思っていた。

 

(……ガルデニアさんは、僕を買ってくれてるけど)

 なにより、言葉を真に受けて仮に手を取っても、ガルデニアの期待に応えられる自信などない。

 故郷が滅ぶなどよくこの世界ではよくある話で、諦めるべき分相応の"負債"を勝手に背負った愚者である。

 怖い、男女の仲で一度縮まる距離がその臓を見せ合って、"失望"の決定的な断裂になってしまうことも珍しくないのだから。

 

 そんな事で離れたくない。

 "相棒"であるローズとまた違って、先を往く憧れとしてカイトにとって彼女は大切な人であった。

 

 だけど。

「―――ガルデニアさんが、悪いんですからね」

 カイトも男の子だ。ここまでされて、我慢できるわけがない。

 押し戻す、緩んだ上からの圧に上半身を起こして。

 動揺に緩んだ上からの圧力に、強く腕で押し捲り、立ち位置を逆転したのである。

 

「ちょ、まて」

 逆転される立場に見つめ返される視線から逃れる様に、ガルデニアは強張る。

 『奉納巫女』という経歴を持つガルデニアは、ある程度欲望と行動が直列しているが、それでも意中の少年に見詰められての"はじめて"は、どうしようもなく理性が暴れる。

 

 

「うん、聞こえますガルデニアさんの心臓の音、僕の心臓。……きっと、同じ気持ちですよね」

「あ、あぁ。そ、そうか」 

 首から靨をを摺り寄せる様に、抱きしめた。

 問いかけに辛うじて羞恥に染まったちぎれ雲のような声が返る、取り繕うとして彼女はまだ縮こまっている。

 

 心音に共有して、そのまま抱き合ったまま少し時間が経過する。

空白。

 息を呑み強張り結ばれ留まっていた、それが熱のこもって溜息に変わって、少し糸が解れた事を教えてくれる。

 

 カイトとては恥ずかしいが、女を知っている、異性との睦わいを既に知っている。

 それが余裕に繋がっている。

 

「嫌だったら言ってください」

 自嘲する、よく言う。一度火が付いたらもう止まれる気なんてしないのに。

 そこから、カイトは彼女の控えめに主張する膨らみに手を伸ばして。

……かちゃ、ぱちん。

 普段は鎧で装飾される緑色の戦衣装の留め金に、指を掛けて全て外し、その音が部屋に響いた。

 

『萌木色の服』

 途端に重力に負けて着崩れるドレスの音。

 その襟元からめくって。

 少し汗ばんだ白地の薄いインナーに、身に着けている青の下着の輪郭が浮かび上がっている。

 憧れの人の知らない、無防備な姿。

 

 まだ半分に絹に隠れた、引き締まった白磁に映える柔らかな果実。

 どちらともとっくに十分に身体は温まって出来上がっている。

 

 彼は身体をすり合わせながら、まだ下着に手を差し入れを確認する様に触れて、なぞりたてる。

 

「……っん」

 抱き寄せる。

 大体把握にして、引っ掛かる柔らかな突起に、その指を付け根を掌を中心にゆっくり揉んだ。

 彼女はその仕草のたびにぴくり、と震える声を呑んで反応している。

 くすぐったいのと、髄へ伝わる刺激に半々といったそんな感じの反応である。

 

「なんだか反応がいい。ん、かわいいです」

「あぅ、言うな比べるな、ぁ」

「ごめん」

 誤魔化す様に頬にキスを交わす。

 すらりと細い体系のイメージのまま、その膨らみは控えめである。

 そして反応の良い、彼女の悦ぶツボ(ウィーク)を探し出してその指を摺り当てた。

「や、ん」

びくっ 

 同時に臍を疵に少し擦りながら。

 そこは古傷。全体を撫で上げる様に、そうするのが一番反応がいいと、それで攻め立てる。

 

「あぅそ、それは、変態みたいで、い、いやだ」

「うん、わかってる」

 ぞくぞく来る。髄に響く、下腹部に疼きが昂っていく。

 彼女の役割(ロール)はディフェンダー、疵が残るのを押して再生力に戦闘続行する事も少なくない。

 その傷は自身の弱い所を意中の相手で晒している様で―――

 それが優しく触れられると。

 どうしようもなく、まるで"支配されている錯覚"がどうしようもない多幸感に変わっていく。

 

「けど意地悪するよ、ガルデニアさんにそうされたから」

「な、な。はぁ……っ、んん、んぁ……?!」

 悪戯な、意地悪な言葉。

 溜息がどんどん湿っぽく早く、その抱き合う様に回された腕に籠る力も強くなっていった。

 彼女が体格の差にある長い金髪に、その赤みを表情を隠して。

 迫っていた立場の逆転、きっとうまくやれると思っていたのに、こんなにぞくぞくして痺れてどうしようもない。

 

(んっく、違う、ぜんぜんっ)

 顔が近い。返されてる悪戯に、主導権を取られたままだ。

 1人で慰めていた時には、こんなことは、こんな夢遊に芯を弄ばれるような感覚は知らない。

 

「……っん!」

 カイトは堪える様でそれでも抵抗のない事を確認して、お腹に撫でながら手を下にゆっくりずらしていき、半脱ぎのワンピーススリットの中に手を潜らせて。

「触るよ」

「はぁっ、あぅ、や」

ちゅく……ぐちゅ。

 言葉にならない。その秘部はしっかりと濡れぼそっていた。

 鼠径部に触れる様になぞって、同時に、乳房に攻めながらその後にしゃくる様に弄ぶ。

 

「あぁ、だめだ、こんな……ッ」

 静寂に、一際響く淫靡な水音。

 反応するその仕草がかわいらしくて、つい手のリズムが急いてしまう。

 ガルデニアは翡翠の目が焦点合わされず惚けて、せめてもの抵抗と官能の刺激を堪えようとキスする。

 

 しかしそれで、カイトの手は緩まない。

 

「―――んぁ、ん、くううう……!」

 その指腹が秘豆を刺激して、より深い官能の波が背を貫く。

 指をかみ。びくんびくんとその身体は弓の様にのけぞって、断続的に痙攣して震える。

 

 気をやる(オーガ二ズム)、たまらない充足感と解放感の強い刺激に、まだ瞼の裏を明滅させている。

(―――だ、だめだ。これダメになる)

 特に羞恥に対する、それが一瞬で極まりどうでもよくなる開放感が不味いと、心の中で余韻に感じ浸る。

 普段に抑圧してるからこそ、大きな快感に変わると、本能的に刻み込まれる。

 

「ごめん」

トサっ

 しかし、カイトの欲は満たされていない。

 "その先を知っている"が故に、淫らに堪えるそれにどこまで昂って、もう我慢が聞かない。

 緩怠し枝垂れかかる身体を押して。

 それは思ったよりも簡単にいき、そのまま押し倒した格好になってしまう。

 

「あぅ」

【超絶美形】

 白いシーツにベットに乱れた金糸の髪が拡がる。

 ガルデニアの髪は長い、毛先はすらりと伸びて広がるのはまるで花開く金木犀様の華憐に映った。

 

「あ、あまり見ないでくれ、醜いだろうこんな傷だらけの身体……」

「そんな事ないです、なんとうか凄く綺麗で……」

 そんな月並みな言葉しか出てこない。

 思わず息を呑み、溜息が出るようなそんな完成された美しさがそこにあった。

『ディフェンダー』

 白い肌は上気し、筋肉質で華奢な白い裸体。所々に見える疵跡が彼女の戦歴を表すようなものだろう。

 それこそが槍の華として彼が憧れて、美しいと思った彼女の姿なのだから。

 

「―――いい?ちょっと酷いこと、します」

 声に成す、それは問いかけではなく、確認の様なものだった。

 硬くて熱い、未知数な何かが、押し当てられている。その意味はすぐに察した。

 

 ガルデニアはそれに応えて。

 まだ余韻が抜けきらない。それでもその両腕を両手を拡げ、意中の少年を迎え入れる。

「ああ、いい。君の好きにしてくれ」

「虐めて私を、ダメな奴にしてくれ」

 今ので知った、割と自分は虐められるのも好きらしいと。

 縮まる距離にさらに肌が擦り合わされ、戦衣装(ドレス)を更に手ではだけさせる。

 

 むず痒い刺激に、ほおが緩んで。自身の秘芯を探り当てるような下腹を弄るような手つき手探りに、知識で何となく察する、正常位の体制だと。

 肩に頬ずり、官能の刺激に身を揺らしながら……、

 

 ぶちぃ。

「……あ、っが?!」

 鈍い音と供にそれが来た。破瓜の痛みと言う奴である。

 姉妹からの話に聞いてたより余程痛い、自身の中心を貫かれた激痛にその端正な貌をしかめる。

 受け入れた遺物というには熱く、脈打つそれは血に滲む感覚は、とても、とても。

 

(―――あぁ熱い、こんなに熱くて脈が逞しい)

 彼女の、己の欠落を埋めるに十分な、幸悦としてしまうほどに逞しいものだった。

 快楽より先に満たされる"承認欲求"、流れる血の脈が、痛みに『元奉納巫女』としての本能が呟く。

 自信の欠けた場所はそこに在る、何よりあぁ、その精が欲しいと。

 

「動き、ます」

「はぁっ、あ、あぅっ」

 胸への撫で上げる刺激と共に、連続して突き上げる様な衝撃が来る。

 揺らされて奥に奥に大事な所が侵略されていく悦楽である。

 普段の彼からは想像つかないずっと乱暴な所為。腰を打ち付けられう度に身体を震わせて嬌声が盛れる。

 焦れて集まって、越えれば悦んで身体が跳ねて言う聞かなくなる。

 

 打ちつけられる肌を破裂音と濡れ音が刺激する。

 それは普段からは想像のつかない、ずっと力強く乱暴なリズムだ。

 

「あ、ぅもっと」

 惚けた瞳が揺れて、それでも求める彼の姿を朧気で捉え続け、受け入れる。

 互いに浅ましく、浅ましく求めてしまうその中。

 甘美というよりは。犯される程に痛みが求められている芯に響く熱に降り積もっていく。

 

「あくっ、虐めてくれ、もっと」

 奔る髄の、胚の熱さ。跳ね上がる身体。

 つい本音が零れる。凛と強い性根を持つ彼女は、それ故に弱みを見せれる相手が少ない。

 それが組み敷かれているという背徳的な悦びに浸り。

 

 同時に理性で察している、意中の少年は相手を支配するのと、支配されるのが同意義な程に。

 自信の性根を雁字搦めにする。ある意味、不器用な相手だという事を。

 深く深く繋がれば繋がる程に、相手を縛る、その蠱惑的な―――『相支配欲求』。

 

「ふっぐ、あぁぁあ」

 子宮を小突かれるたびに、自身の中から知らない音を引き出される。

 抱きしめる。抱きとどめようと。

 リズムに痛みと羞恥にぐちゃぐちゃに崩しながら、確かな愛を求める。

 

 そして感じる、熱い熱い頭の奥が焼き切れそうな程に。

 

 

「あ…ぁ……」

 一際、熱く強く髄を焼かれる。

 その意識の明滅に、熱い熱い白濁の奔流が自身の中に感じいって震える。

 

 互いに荒く荒く、浅い呼吸を繰り返す。

 

 

 

―――暗幕の中、しばらくと時間がたって。

 

 

 荒くなった呼吸の音だけが響くベットの中でそして、隣に寄り添って。

 しばらく間をおいて。

 

 落ち着いて、精神的な余裕が戻ってきたのか、頬を寄せて合って睦言を交わす。

 

「少し、困るな。もし妊娠したらどうしようかしら」

「ご、ごめん」

 汗に張り付いた金糸の髪をかき上げながら、枕越しに顔と顔を近づける。

 熱く留まる胚を指撫でて、そのぐるぐるとした感触を感じながら少し悪戯めいて微笑んだ。

 

 少し、余裕が戻ってきたのか彼女の口調に、いつもの芯の通った調子が戻っている。

 あぁ、肌に行為の後の匂いを感じて、彼女は隣に夢憧れた誰かがいるという充足を噛み締める。

 

「いい。元々は私が迫ったんだ。君は応えてくれた。とにかく嬉しい」

 紆余曲折あり、少し予定とは異なったが、きっと結局の所そういう事になったのだろう。

 それが嬉しい。

 

「その時はその時だとして、まだ私は君の隣に立っていたい」

 彼女にとって知識だけであった、身体を重ねる愛され方愛し方を知った。

 その明日への期待が胸を高鳴らせる。

 意中の少年は間違いなくこの腕に手に入れた。この充足感に揺蕩った。

 その頑固ともいえる理性の雁字搦めは、きっと抱きかかえてしまえば簡単には離れていかない事を女として本能察している。

 

「……本当に僕なんかで、いいんですか。自分勝手で負債ばっかで、何も持ってなんかないのに」

「つまらない事を聞かないでくれ理屈じゃないんだから、欲しい物は欲しい」

わからない顔で、疑問を呟きに、彼女は目を合わせて強く返した。

 カイトは先輩が浮世離れた綺麗な人で、そして強い人間だと知っているからこその言葉である。

 

 だが。

「それに君が想ってくれるほど、私は大した女じゃない。正直言ってしまえば、妹の……"カルミア"の気持ちもわからなくはないんだ」

「………?、この間襲ってきた"魔鎧使い"、ですか?」

この間のガルデニアの妹と名乗った『魔鎧使い』の話が出て、疑問符を浮かべる。

 独りよがりに愛に狂ったそれとの交戦でつけられた大きく、胸を裂いて疵がまだ痛々しく残っているだろう。

 

「一人語りよ、気にしなくていい。ただ知っていてもらいたい」

 唐突な独白にきょとんと童顔と揺れる目を可愛く思いながら。

 きっと、近すぎず遠すぎず隣に座る彼なら、容易く飲み込んでくれるだろう。

 そんな無意識の甘えに、睦言を紡ぐのである。

 

「私の起源(ルーツ)は、優秀と判断された大罪人の種と巫女の胚からだと聞いている。それだけだ、同じ種を元にした血の繋がった腹違いの姉妹もいるだろう、明かされずにそのままね」

 優秀な血を保存する『九十九機関』。優れたる"選抜血統"を保証する血の磨き上げる血の坩堝。

 その血の意味を刷り込まれた元『奉納巫女』である。

 その由来が罪人であろうが関係ない。資源の理由として消費するよくある話だろう。

 

「大人に言われるまま、教えられるままに肉体を精錬して、礼儀と作法を飲み込んで、その血に意味を求められて、いつか貴き誰かに奉納する。それが全てだったのが奉納巫女(私達)だ」

 私は資質が足りなく見切りをつけられたがなと、自嘲してながら。

 

「愛なんてわからない。見出した優秀な相手には惹かれる。本能みたいなものだ、そしてそれに意義を求めたがる。時に相手の為だと、言い訳し続けて。己が獣でないと否定したくて、幾ら化粧で塗り重ねても私たちはそういう性を持ち合わせてる」

 

「けど、あの子はどうしようもなく手段を間違えた。否定された私の価値を怒って信じて、それに相応しいと飾り立てようとして、どこまでも行動した」

「―――行き過ぎたそれを、私は槍で否定した」

【超絶美形】【女難の相】

 ガルデニアを中心とした、男社会の中で女性冒険者の生き抜く共同体(クラン)の組織化だ。

 間が悪い事に進んでなり手の少ない彼女の盾役としての頼もしい背に、世話焼きの性質の合わさった為、予想外に肥大化した。

 それが、聖錬北部の国『ブリューヌ』にて起こった小さな事件"親衛隊"騒ぎの内実である。

 

 そして、このままでは互いにとって良くならないと決闘にて否定し、袂を分かった苦い思い出。

 狂った坩堝を中途半端に過ぎ去る時が修復してくれるとゆだねて、己に目の前の少年にも降りかかってしまった過去の因果である。

 

「君は応えてくれた」

 

「それに私は戦うのが好きだ。君は強い。いや強くなるだろう。私は割と打算的だぞ?」

 確信に満ちた言葉、ガルデニアは手を伸ばして捕まえて、指と指を絡ませる。

 荒れて緩んだ傷んだ指、剣を握り振るい続けて、確かな手応えを返すの華奢な手である。

 

「舞を重ねて、刃の音をはためかす。それだけで私にとっては愉しい事だ。だから」

【阿修羅姫】

 修羅の資質というべきそれを吐露する。

 その巌染みた手の感触にやはり可能性を実感して、微笑みながら、ガルデニアの内に根付く、言葉の意味を測りかねる彼を気にせずに言葉を重ねる。

 

「だから君が好きなように"欲張って"くれ。その分だけ槍で払い、背を押せれば意味がある。私の欠けた一が満たされる。私が好きになった君は、"幸せ"になるのが酷くへたくそだから、その甲斐もある」

【奉納巫女】【菩提樹の献身】

 蚊帳の外はない、既に心は勝手に根を張ったのだから。苦難の道を選ぶ。何処か欠けている誰かに、求められたいし求めたい。

 個人的にガルデニアは、好いた相手がその手で掴めるものが矮小に思い込む、一番に聞きに捨てならない。

 好いた相手に頼られたいという欲求は過去、『九十九機関』において自身の素養が不要と判断された代替えの自己証明かもしない。

 彼は多くの物を手にするべきだ、その価値の相応を信じている。

 

 それを聞いて…。

「やっぱり、わからないです」

 カイトの困惑は消えない。正直に言えば困る。明確に何かを求められるならわかりやすいのに、と。

 ガルデニアの"欲張れ"という言葉、しかし今だって十分に欲張っている。

 人の縁の巡りに恵まれた。

 無形滑稽なカイトの目的に、諦めるべき"理不尽"に我慢できずに歩んで、心に刻まれる怨敵である"侵略者"を、斬り裂いた。

 

 それだけでも十分に、生きたといえる。

 

「考えても、僕がガルデニアさんに出来る事なんてほんと何もないのに、不公平だと思う」

 愚かな事である。

 不安げに指を絡ませ返す、未熟な方程式で己の炎に焼いた己とは対照的な、柔らかい感触がこそばゆい。

 カイトの故郷は亡んだ、そして大切な友人の背中に己だけ生き残った。

―――"そんな事"は、この世界では有り触れた悲劇なのだから。

【狂羅輪廻】

 "英雄"ならともかくとして、そんなものは我慢できない方が悪いのだ。

 今もその事を理解しながら、それでもなお、何かを得てもまだ全てを不意に焼き尽くされる"畏れ"に憑りかれている。

 

 その心にへばり付いた『紋章砲』(データドレイン)―――

 聖錬の南部を中心に騒がせる由来不明の"侵略者"の事。 

 己の手に突然握られた『上級魔具』、"侵略者”と同じ力を行使する『黄昏の腕輪』の事を想えばその不安は尽きない。

 共通点、都合のよさ、大きく横たわる未知に対する恐怖であるだろう。

 

 訳も分からず、急かされる衝動の刃を向けて。

 芯に鋼通う。先駆ける流星をみた。

 背を押された鋼の男の残響に、先行き燃え尽きる鋼の流星となった輝きに、己の"終わり方"を意識した。

 

 それでも。

 馴染んでしまったから、怠惰に流していた答えをちゃんと、返したいと願った。

 

【田舎育ち】

 破損したカイトの記憶にある好き合った男女の関係のイメージに一番近い所は、"両親"の事である。

 遠からず近からず、文句言い合い時にどつき合いながら、互いに支え合って貧しい日々を回していた。

 故郷の田舎村、小さな小さな共同体の育った価値観から、村や家族という最小単位に対する"帰属意識"は割と強い。

「その、好きだって言ってくれるのはうれしいんです。すごくドキドキして一杯いっぱいでこれだけしか言えないけど。けど、それだけじゃ応えられるか不安だから」

 そうでなくては、30年もたたずに入れ替わる、この厳しい世界で取るに足らない共同体が生き残る事は難しかった。

 生きて育て、男女の仲とは互いに扶助するものであると価値観に馴染んでいる。

 

「だから―――」

 しかし、それに沿う生き方はできないことをよく知っていた。

 

「ついてきて。両手を翳して僕が一時の熱に浮かされて忘てしまわないように、全部なんて言えないけど、僕が得て失うものをガルデニアさんに渡したい」

「うん、それでいい。止まり木のように根を張る様に、伴に私の槍は傍らにある」

 想いの籠った言葉を確認し合う。

 互いに距離感は、意識しただけで殆ど以前と余り変わらない。

 しかし、求めれば、答えてくれるだろう。ガルデニアにとってはそれで十分だった。

 

「ん」

 吐息を、自然に唇を重ねて。

 

「もう一回シようか」

「台無しです」

【奉納巫女】

 昂ぶる自分の欲情に素直に、もう一度を求めるのだった。




関係性は明確に決めてて文章カラテが追い付かない悲しみ。

そして想いました。エロい物は書けない。
助けてノクターン!しても書けない物は書けない。
エロ即興出来る人はすごいなぁ…。
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