寝取り寝取らせ、寝取り寝取られ 作:ベーシックハッピー
「……そうか、駄目だったか」
「うん。隼人も本気であーしを抱きたいって思ってくれたみたいなんだけど……」
月曜日の夕方、俺は三浦と自室にいた。昨日の夜、三浦から人のいない場所で相談したいと言われたので、小町が塾へ行っている間でそれを片付けるべく部活をさぼったのだ。そして、聞かされたのは日曜のデートに関して。
予想通りというか葉山と三浦は締め括りにホテルへと行ったそうだ。そこで二人は互いを求め合おうとしたのだが、最後の最後で葉山がヘタレてしまったらしい。
「言い難いなら言わなくていいんだが、葉山の奴は……」
「大きくはなってた。でも、その……」
「……挿れようとすると萎えた感じか?」
俺の問いかけに三浦は顔を少し赤くしながら頷いた。成程な。やはり精神的なものが強く作用してるんだろう。ここまでくると葉山の不安は的中した事になる。下手をすると新しいトラウマが増えたかもしれん。そう考えると悪い事をした気もするが……今度本気で謝っておくか?
「ね、ヒキオ。隼人、もうあーしとそういう事したくないって思ってないかな?」
「……可能性はゼロじゃない。だが、あいつはお前が惚れた奴だろ。なら信じてやれ」
その言葉に三浦は黙って頷いた。いかんな。葉山もだろうが、三浦もかなりまいってる。そりゃそうだと思う。意を決して初めてを好きな男に捧げようと思ったら、まさか挿入に至らないなんてな。分かっていても、自分にそこまでさせる魅力がないのかもしれないと感じたっておかしくない。
「三浦、俺に葉山の奴と結ばれるように出来る提案が一つある」
「っ!? 何? 早く教えろ!」
「落ち着け。その、この前お前が使った方法だ。葉山に嘘を吐く。それであいつの性癖を刺激するんだ」
「嘘……?」
「ああ。俺に抱かれたと言えばいい。で、葉山の奴に抱かれたらきっと反応なんかで嘘が分かるだろうが、その時はこう返せ。俺が変な気を遣って前じゃなく後ろでしたって。抱かれたとは言ったが、どこで迎え入れたかは言ってないからな」
正直言えば、ここで本当に抱いてしまいたい。だが、それは出来ないししたくない。開きかかった扉を見ない振りをし、俺は何とか本能を抑え込んだ。三浦は俺の提案に驚きを浮かべていたが、少し考えて理解納得したように頷いた。
「それ、いけるかも。ヒキオ、やっぱあんたすごいじゃん」
「そんな事はない。お前が教えてくれたみたいなもんだ」
「それでもだって。確かにそれなら隼人に処女あげれるし」
嬉しそうな顔をする三浦を見て、俺の中の黒い部分が顔を出す。何故この女を抱かないのか。いっそ今のように口先で丸め込んでしまえばいいだろう。そんな声が聞こえてくる。それでも、俺は従うつもりはない。
「ま、後はお前の芝居次第だな。それと、葉山の奴に一気に貫いてもらう事を勧める。慎重にこられるとそれだけばれる可能性が上がる」
「……そのとおりじゃん。あーしの反応で隼人は気付いちゃいそう。だって、ホントは抱かれてないし」
何やら考え込み始める三浦を眺めながら、俺は自分の中に生まれてしまった良くない感情を必死に押し殺す。
葉山のためと言いながら自分の欲望をぶつけてしまえと、そう囁く悪魔の声を。寝取れる気がするのは確かだ。特に今の三浦は葉山と初体験を失敗しやや気弱になっている。
だが、そこにつけ込んで事に至るのは俺の中の何かが拒絶する。しかし、その一方で別の何かが歓迎しているのも事実だ。
「ヒキオ、一つお願いがあるけどいい?」
「何だ?」
天使と悪魔の戦いを繰り広げていた俺へ、三浦が何か決意したような表情で声を掛けてきた。その凛とした雰囲気が俺の中の悪魔を消し去る。
「その、さ。考えたんだけど、もしかすると隼人にヒキオの事聞かれるかもしれないじゃん? だから、ヒキオの見せて欲しい」
「……見せてって、男性器か?」
顔を赤めて小さく頷く三浦。かなり可愛い。てか、今ので軽く反応させられたんですけど?
乙女あーしさん、マジ半端無い。
でも、その心配は意外と的を得ていると思う。寝取られ属性な葉山が俺に抱かれたと聞いて、その辺りを触れない可能性はおそらく低い。
「俺は構わないが、ホントにいいのか?」
「……ん。それに、ヒキオはあーしと隼人の事本気で応援してくれてるの分かってるしから、あーしも本気であんたの作戦を成功させたい」
すまん。実はかなり危ない橋を渡っているんだ。今も息を吹き返した悪魔に懸命に抗っている最中なんだよ。
そんな事を口に出せず、俺はならばとおもむろにズボンを脱いだ。三浦の息を呑む音が聞こえる。それに活性化する悪魔を強引に捻じ伏せ、俺はトランクスも下ろした。
「……おっきい」
俺のを見た三浦のきっと無意識の呟きが悪魔へ最大の栄養となる。それでも俺の天使が最後の抵抗を続けていた。
「で、いつまでこうしてればいい?」
「え? あっ、えっと……まだ、まだ待って。ちゃんと覚えるから」
「慌てるなって。普通は俺の方がそうなるんだぞ。て、こんな会話前もしたな」
「あー、したした。ホント、ヒキオといるとどっちが男で女か分からなくなるし」
「よく言うわ。今のお前は誰がどう見たって可愛い乙女だっての。チンポ見ただけでそんな赤くなって。葉山のだって見たんだろ?」
「み、見たけど……明かり消してたからここまではっきりとは見てない……」
傍から見ればおかしい事この上ない光景だったろう。下半身を露出した男とそれを見て赤面しつつ口を尖らせる女の図は。それでも、三浦の視線は俺のチンポを捉え続けていたし、俺の視線もそんな三浦の反応を捉え続けていた。
異様な雰囲気ではあった。いや、ある意味で当然とも言える。何せ俺のチンポは臨戦態勢。三浦はそんな状態をしっかり見るのは初めてだ。更に、口には出さないがおそらく葉山のよりも俺の方が大きさは上なのだろう……きっと。
「さて、そろそろいいか? いくら室内とは言え下半身剥き出しは寒いんだ」
「……ヒキオ、一つ聞かせて。どうしてそこまであーし達のためにしてくれんの?」
トランクスへ手を伸ばしたところで三浦がぽつりと尋ねてきた。まぁ、そうだよな。普通ならとっくに三浦を抱いてるし、下手すりゃ本当に寝取っているもんな。
「どうしてかは正直分からん。でも、きっとお前がお前だってのが理由の一つではあるだろうな。三浦は良くも悪くも裏がない。そんなお前だから俺も好ましく感じてるんだと思う」
「……つまり、あーしが相談してきたからって事?」
「そうなるな。葉山からなら同情はするが助けようとはしなかった」
トランクスを履きながらなのでまったく様にならない。残りのズボンを履こうと思って手を伸ばそうとするが……何故かズボンがない。いや、正確には三浦が手にしていた。
「もしもしあーしさん。ズボンを返していただけませんか?」
「ヒキオ、隼人が気付きそうな反応って入れる時だけ?」
何故か顔を赤めたままの三浦がそう話を切り出した。何が言いたいんだと思いつつ、少し考える。三浦が俺に抱かれたと聞いた葉山が意識しそうな反応。一番はやはり挿入時だろう。これは間違いない。
では、他は? あるとすれば初回にした事への反応だろう。そこがまったく変わっていないならあいつは不審がるかもしれん。
「……前回した事への反応だろうな。さっきお前が言った俺のチンポを見るのはそこに通じるし」
「じゃ、じゃあ隼人と昨日した事やっといた方がいいじゃん? その方がヒキオの作戦も上手くいく訳だし」
なん……だと……? どうしてこうもあーしさんは俺の悪魔を復活させるのが好きなんでしょうか?
俺の中の天使がブラック企業の社畜並に働かされているんですけど。というか、はっきり言ってもう限界だ。だって、今のはそういう事だし。
「何をしたんだ?」
俺の中の悪魔が動き出す。三浦の本気を利用するように。
「……ディープキスでしょ? それとムネ触らせたり、す、吸われたり……」
「他には? フェラはしなかったのか?」
「そ、それはしてあげようと思ったけど、隼人が一度出したら出来なくなるかもしれないって言って」
「ああ、あいつはその辺りから不安だったのか。じゃ、今言った辺りはしとくか。俺との違いを聞かれるかもしれない」
「う、うん。そうかもしれない」
俺のはっきりとした言い方に三浦が従うように頷く。こいつの中では俺は自分達を結ばせようとする仲介役なのだ。そこに欲望を絡める事を避けていると、三浦はきっと思っている。そこが悪魔の付け入る隙なのだ。
向かい合うように立つ俺と三浦。だが、その雰囲気は以前と違って落ち着かないのが三浦で、平然としているのが俺だった。
「どうやってやるんだ? した事ないから分からんのだが」
「えっと、舌を絡めるから……。ヒキオ、舌出せ」
「おう」
本当は知っているが敢えて三浦へ説明させる。照れる三浦が可愛いからだ。俺の出した舌へ三浦が舌を絡めてくる。
これは……やばいな。どんどん俺の中で寝取り属性が強くなっているのを感じる。他の男が好きな女が俺へ自分から舌を絡めてくるのだから。
気付けば俺は三浦を抱き締めていた。三浦の大き目の胸が俺の胸で潰れるように形を変える。当然ながら俺のチンポも三浦へ押し付けられた。それもあってか、段々キスが激しくなってくる。三浦もテンションがおかしくなっているのだろう。ある程度で互いに口を離す。すると、透明な糸がその間で橋を作って落ちる。
「……次はどうすればいい?」
どこか惚けた顔の三浦へ冷静に尋ねる。だが、チンポはトランクスから分かるぐらい、これ以上ない程反り返っていた。
それを見て三浦が……小さく唾を呑んだ気がした。
「む、胸触ったりした」
「そうか。じゃあ、脱いでくれ。無理ならブラだけでも外してくれ。服の上から触るから」
「わ、分かったし」
やはり俺の中の悪魔も俺のようだ。ここで強引にいかず、一見紳士のような提案に聞こえるが、どちらにしろ触る事は止めない時点で同じである。
もっとも三浦はこれを葉山に自分を抱かせるためと思っているので逆らうつもりはないだろうが。
服の中へ手を入れ何やら動かす三浦。その光景さえも興奮材料として俺は眺めていた。
「これでいい?」
「……なら、触るぞ?」
「ん。その、優しくしろヒキオ」
「分かってる」
恥ずかしがるような三浦に俺も嬉しく思って言葉を返す。三浦の背後に回り込み、制服の中へ手を入れた。
初めて触った女性の胸は、とても良かった。柔らかく温かいし、何よりそれが他の男を好きな女なのだ。それが自分へ強制ではなく自発的に体を委ねている事実。それが否応なく俺を興奮させる。
そして、口に出さないが三浦も似たような背徳感を感じているのだろう。それを葉山への気持ちだったり、俺への評価だったりで押し殺し、淫らな自分を叱りつけているに違いない。そう思うと余計に興奮が高まっていく。
「んっ……ヒキオ、意外と上手いじゃん」
「そうか。もう少しだけ強くしても大丈夫そうか?」
気遣いではない。だが、それでも三浦にはそう聞こえるだろう。黙って頷いてくれた。ならばと、強く揉みながら先端の突起を軽く刺激してみる。
「あっ……ひ、ヒキオ? 今」
「すまん。つい、な。嫌だったなら謝る」
「そ、そういう訳じゃないし。その、あーしなら平気だけど……でも」
「そうだな。俺との違いを聞かれた時に今みたいな方が答え易いか。じゃ、もう少し触らせてもらうぞ」
「え? あっ……そ、そうそう。あーしもそう言おうと思ってた」
俺の言い訳に三浦が乗ってきた。どうやら向こうも性欲が高まってきているようだ。きっと普段の三浦なら俺の変化に気付いて止めに入っただろう。
でも、ディープキスなどで理性を溶かされた今、歯止めとなるべきものはなく、大義名分である葉山への作戦用の言い訳作りがその性欲を後押ししているのだ。
「んっ……あんっ……ひ、ヒキオ……だめぇ」
優しく胸を愛撫しながら、時々乳首を触ってやる。摘んだり弾いたりと色々だが、その強弱も変えてやる事でより三浦を悦ばせる。更に、三浦の耳たぶを甘噛みしてやった。
「っ!」
その瞬間、三浦が小さく震えた。それは嫌悪からではなく感じたからこその反応だった。耳が性感帯か?
「ヒキオっ! 何すんの!」
「悪い。三浦の耳が何となく可愛く見えてしたくなった」
「……今回は許すけど次はないから」
「分かった。もう甘噛みはしない」
その言葉に油断したところで今度は耳たぶを舐めてやる。すると、また三浦が震えた。どうやら耳は性感帯で確定らしい。
「ひ、ヒキオ!」
「すまん。もう本当にしない」
「……ホント?」
「おう、本当だ。三浦に嫌われたくないからな」
「…………信じてやるし。でも、ホントにこれで最後だからなヒキオ」
顔を真っ赤にして俺から背ける三浦。それを見た俺の中にある気持ちが生まれた。
……こいつ、本当に俺を信じてるんだなと、そう思った瞬間、俺の中の悪魔が急速に勢いを無くした。裏切りたくない。その気持ちが、理性に本能を従えさせた。三浦の胸からそっと手を放す。そしてそのまま制服から手を出した。
「……ヒキオ?」
「これで十分だろ。これで葉山に俺との違いを話せるはずだ」
正直痛いくらいチンポは勃起してるし、性欲は激しく燃え盛っている。だけど、もう俺に三浦を愛撫するつもりはなかった。
十分だ。本来なら触る事など出来ないものを触らせてもらった。出来ないはずのキスさえしてもらった。満足だ。俺は惚れた相手から寝取るような最低野郎になれないしなりたくない。
「ヒキオ……」
俺の様子から何か察したのだろうか。三浦はどこか驚いたような顔をしていたが、急に座る向きを変え俺へと向き直った。
「どうした?」
「……嘘だけじゃ不安だから、ホントも混ぜておく」
そう言うなり、三浦は俺のトランクスからチンポを出させた。既に我慢汁がかなり出ているそれを見て、三浦は僅かに顔をしかめるも迷う事なく舌を出して……舐めた。
「っ?! み、三浦?!」
「フェラ、してやるし。それで隼人に言ってあげるんだ。隼人がさせてくれないから、あーしは口の初めてヒキオにあげちゃったって」
そう告げると三浦は再びフェラを開始する。その舌の動きからくる刺激と視覚からの情報が、俺の興奮を高めていく。俺のチンポを舐める三浦の表情はとても艶かしかった。そしてとても愛らしく感じてしまった。
葉山にさえしてない事。俺だけにしている事。それがまた俺の中の寝取り属性を刺激する。それでも、今の俺はもう三浦へ自ら手を出すつもりはなかった。ただ、何を思って三浦がそうしてくれたかを考え嬉しくは思っていたが。
「んっ……ヒキオ、どう? あーし、上手く出来てる?」
「……ああ、すげぇ気持ちいい。冗談じゃなく、今死んでもいいぐらいだ」
「っ……ば~か。でも、褒められるのは嫌いじゃないし。しっかり隼人のために練習させてもらうからな、ヒキオ」
嬉しそうに笑顔を見せ、三浦はまた俺への奉仕を再開する。そして、その数十秒後で彼女から凄まじい勢いで怒られる事になるのだが、それは仕方ないよな。
―――ヒキオっ! 出すなら出すって言え!
―――ほんっとうに悪い! 気持ちよすぎて言う前に出ちまったんだよ!
そんなやり取りをしながら、俺は心の中でこう思い出していた。寝取りたいとかではなく、本気でこの女が欲しいと……。