寝取り寝取らせ、寝取り寝取られ 作:ベーシックハッピー
三浦にフェラしてもらって二週間近く経過した金曜。今、俺は公園のベンチで日が沈むのを眺めている。
その理由は、今週の月曜に日付が変わった辺りで三浦と葉山からそれぞれ送られたメールにあった。その内容はほぼ同じ。つまり、見事に結ばれた事とその感謝だった。しかも、どうやら三浦は葉山のトラウマを解消ないし軽減させたらしく、その詳しい話を聞かせてもらう事になっていた。
ま、葉山が月曜休みと聞いた時は少々心臓に悪かったがな。本当は何かあって寝込んでたのかと思ったし。理由は筋トレのし過ぎによる筋肉痛だった。戸部が「隼人君、最近落ち込んでたからってハッスルし過ぎっしょ~!」と言った時、葉山も苦笑していたっけ。それにしてもだ。
「……これで俺の役目も終わったな」
正直口惜しいものはある。だが、これでいいんだと思う。三浦も葉山も互いを思い合っていた。ただ、そこに厄介な問題があっただけなのだ。それを乗り越えたのは二人であり俺じゃない。俺は結果的にその手助けを出来た程度。だから、今日話を聞いたらあの二人へ関わるのは最後にする。そのつもりでここにいた。
「ヒキオ、お待たせ」
「……一人で来たのか? 彼氏はどうした?」
声に振り向けば、そこにいたのは三浦ただ一人。葉山も来ると思っていたんだが……? いや、だって直接礼を言いたいってメールにあったし。
「隼人には今日は遠慮してもらったし。ほら、あの関係の話はあーしだけで話したい事もあったから」
「そりゃそうか。あいつもその辺りを聞くのは居心地悪いだろうな」
何せ彼女が他の男に自分の性体験の失態や成功までの話をするのだ。俺だったら絶対無理だ。そして葉山もおそらく無理だろう。三浦のこういう気遣いは当然か。
「で、ここでいいのか?」
「その、場所変えたい。ヒキオ、今日は帰り遅くなっても大丈夫?」
「まあな。そんなに長くなりそうか?」
てっきり手短に終わると思っていたんだが、三浦の雰囲気からするとそうでもないらしい。今もやや申し訳なさそうな顔をしている。どうでもいいが、三浦が俺にこんな表情を見せるようになるとは千葉村の時には夢にも思わなかったな。
「悪いけどそうなる。だから家に連絡入れとけ」
「分かった。じゃ、ちょっと待ってくれ」
小町へメールを送る。文面は一言。今日は晩飯いらない。これだけで帰りが遅くなるって判断出来るっていいな。さて、これでよし。
「いいぞ。で、どこへ行くんだ? サイゼ?」
「は? なんでサイゼだし。あーしについてくればいいだけだから」
「あの、せめて食事出来る場所でお願いしたいんだが」
さっき食事いらないって送ってしまったのでね。うちの妹、そういうとこしっかりしてるから絶対用意しないんだよ。気を遣って何か食べられる物とか残したりしないぐらいしっかり者だから。
そんな俺の家庭事情を知らず、三浦はスタスタと歩き出す。仕方ないのでその後を追って歩き出した。
公園を抜け、向かうのは学生が向かうような方ではなく飲み屋などがある方向。はて、こっちにどこかいい店でもあるのか? まさか飲み屋に入る訳もないだろうが……
「おい三浦。さすがにこっちに話が出来て食事も出来る場所があるとは思えんぞ」
「いいから黙って歩け。もう見えてくるって」
こちらへ一度として振り向く事無く進む三浦。周囲の風景も飲み屋街から段々変わり……て、ちょっと待て。完全にネオン街だぞ、ここ。
と、俺が周囲の光景に疑問符を浮かべた辺りで三浦が迷う事なくラブホへ入る。突然の事で理解が追いつかない俺だったが、それに気付いたのか三浦がまた戻ってきた。
「何してるの。ほら、入る」
「いや、入るってお前な」
引っ張られるように俺は三浦とホテルの中へ。既に二回も使った事があるからか、慣れた感じの三浦の所作を俺はただ眺めるだけ。そして三浦に手を引かれたまま、俺はとある一室へ。
「……何でラブホだよ?」
「じゃ、どこでエッチの話をしろって言うし。カラオケだって完全に音が聞こえない訳じゃないじゃん」
こちらの言いたい事を先んじるように三浦は告げる。ま、たしかにそうだけども。それだけ葉山との話は聞かれたくないって事か。でも、こういうとこだってその観点だと安心出来ないんだけどなぁ。
「分かった。とりあえずこの場所が選ばれたのはいい。なら、どうして前もって教えてくれなかった?」
「言ったらヒキオは変に緊張してキモくなりそうだった」
否定出来んのが辛い。いや、今のように理由を挙げられても場所が場所だ、と抵抗しただろうな。だが、俺や三浦の家など選択肢に出来んし、カラオケやファミレスなども論外だ。
……成程、結局ここに落ち着く訳か。
「真に遺憾ながらお前の言う通りだ。なら、聞かせてくれるんだな。葉山のトラウマ関連を」
「聞かせてやる。ううん、聞いて欲しい。ヒキオがいなかったらきっとああはならなかっただろうから」
その時の事を思い出しているのか、三浦の目はとても優しかった。
葉山と三浦は前回と同じようにホテルへ入った。その前の食事の段階で三浦が俺に抱かれたと例の嘘を吐いたらしい。
それもあって葉山はまさしく目の色を変えたそうだ。そして部屋に入るなり、いきなり押し倒された。やや乱暴なぐらいの振る舞いに三浦も抵抗しようと思ったが、それぐらい自分を抱きたいのだと思って受け入れたらしい。
「……それでそのまま?」
「さすがにそれはないって。でも、隼人はそうしたかったんだと思うし。その、お、おちんちんが凄い硬くなってたから……」
あーしさんのおちんちんいただきました。というか、三浦は男性器をそう呼ぶんだな。可愛らしくていいと思います。やはり乙女なあーしさんだ。
「そうか。じゃあ、どうなったんだ?」
「……そこで隼人が一回出しちゃった。で、冷静になって……」
賢者となってしまい、葉山は三浦へ謝ったそうだ。でも、まだ葉山は臨戦態勢。そこで三浦は一緒に風呂へと誘ったのだ。ま、女としては当然だわな。
そこで葉山とイチャイチャバスタイムを過ごし、再び愛撫開始。前回の俺との事を引き合いに出しながら葉山を興奮させ、いよいよ挿入となった。
「ヒキオに言われた通り、隼人に一気に来てってお願いしたし。隼人も一度抱かれたならって素直に応じてくれて」
「で、見事初めて交換、と」
「……でね、隼人もそこで気付いたんだって。でも、不思議な事に萎えなかったし」
「そこだ。どうして真実を知ったあいつは最後まで持続出来たんだ?」
葉山のメールには詳しい事は書いてなかった。俺もさすがにあいつのトラウマを刺激しかねないと思って聞けなかったし。だが、三浦はそんな男二人の心境をしっかり理解していたようだ。
「隼人がね、終わった後にこう言ってきた。ヒキオとあーしが自分をここまで思って動いてくれた。それがまず嬉しかったって。それと気付かれた時に、あーしが何があっても隼人から離れる事はないって、そう言い切ったのも効いたって」
つまり、葉山のトラウマである好きな人が離れる事。それへ三浦が正面からぶつかったからか。何があっても自分から離れる事はない。これを三浦が言うから葉山に届いたのだろう。おそらくだが、最初に言った事は葉山なりの照れ隠しだ。でなければ、わざわざ最後の言葉に効いたなど付けない。
それこそが本命で、前者は俺への配慮だろう。まったく、どこまでいってもみんなの葉山君だな。
「……そうか。じゃ、もう普通に抱いてもらえそうか?」
その問いかけに三浦が真っ赤になって俯いた。どうやらそのようだ。きっとその後も何度となく愛されたのだろう。葉山も今までの鬱屈としたものを振り払うように腰を動かしたはずだし……って、待てよ? まさか月曜あいつが休んだ理由は……。
その疑問を込めた視線を三浦へ向ける。すると、三浦はそれに気づいて小首を傾げた。可愛いな、おい。
「な、あいつが今週の月曜休んだ理由って」
「……そういう事」
「マジか。あいつ、休まなきゃいけないぐらい動いたの? どんだけ三浦を愛してんだよ」
「そ、それ以上言うな! あーしだってかなり辛かったんだから!」
顔を真っ赤にして答える三浦。そういえば、月曜三浦も辛そうだったわ。てっきり処女喪失から来るものだと思ったら、彼氏の頑張りのせいかよ。くそ、末永く爆発しろ。
「ったく。ま、何にせよだ。葉山の寝取られ趣味もなくなり、三浦もちゃんと女にしてもらって、全てが丸く収まった訳か」
「……ううん、まだじゃん」
ぽつりと呟かれた言葉は、俺のまとめを否定していた。どうしてだ? 何か問題残ってるか? そんな風に思う俺に三浦はしっかりと視線を合わせて告げた。
「ヒキオの事が残ってる」
「……俺の事なんて何も」
「あの時、ヒキオはあーしを抱きたいって思ってた。違う?」
その声と目はこれっぽっちも自分の言葉を疑っていないものだった。俺はそんな三浦に気圧されるように何も言えない。それがある意味で事実だと認めていたからだ。
「ヒキオ、女舐めんな。あの時のヒキオの目、初めてエッチしようとした隼人よりもぎらついてたし」
「……すまん」
三浦の言葉に俺はそう返すのが精一杯だった。おそらくあの時は三浦もテンションが狂っていたからお咎めなしで済んだんだろう。でも、落ち着いてから今のように怒りを感じ出したに違いない。
「謝る必要ないし。だって、ヒキオが目付き変わったの、あーしにズボンを返してくれって言った後からだったし」
「……マジか」
「うん、マジ」
どうやらあーしさんは俺が悪魔に負けた時をしっかり察知していたようだ。あれ? でも、ならどうして……?
俺の抱いた疑問に気付いたのだろう。三浦はどこか恥ずかしそうに顔を赤めこちらを見つめてきた。
「あ、あーしもあの時はあんたに抱かれてもいいって思った。それぐらいヒキオの事許してたし」
頭が真っ白になった。つまり、あの時の三浦は俺に抱かれてもいいと考えて動いていたのか。だから最後にはフェラまでしてくれた? じゃ、あの時のどこか俺を焚き付けるような言葉は誘ってた……?
「ヒキオ、覚えとけ。大抵の女はフェラよりキスを嫌がるんだから。フェラはおちんちんしか意識しないで済むけど、キスは嫌でも相手の顔を意識するからね」
「…………分かった。絶対覚えておくわ」
今の言葉は俺の中の疑問を全て解決してくれた。要するにあのキス写メの時点で、俺は三浦にかなりの事を許されていたのか。
と、そこで三浦がおもむろに立ち上がる。そしてそのままどこかへ行ってしまった。トイレだろうか。
一人残された俺は、三浦から告げられた言葉をただ反芻していた。俺に抱かれてもいいと思っていた。それがずっと頭の中にこだまする。手に入れたいと思った。
でも、手に入れてはいけないと思った。そうして何とか折り合いをつけたはずなのに。本当に三浦は俺の悪魔を復活させる天才だ。ま、もうその悪魔の出番はない。葉山が三浦のおかげでトラウマを払拭出来た以上、寝取れる可能性は潰えたのだから。
「結局、この件が俺にもたらしたのは厄介な属性だけか」
寝取り属性。人の女や俺以外を好きな女との性的行為に大きく興奮する性質。それがこの三浦からの依頼で俺に残ったものだった。
それにしても三浦の奴、やけに長いトイレだな。あまり考えたくないが大きい方か?
でも、だとすれば俺に何も言わず行った理由になるか。そんな馬鹿げた事を考えつつ、俺は初めて訪れたラブホを調べ始めた。
そうして軽く十分以上は経っていたと思う。そんな時、ふと背後から三浦の気配を感じて振り向いた。そこにはバスタオルを頭と体に巻いて不思議そうな顔の三浦が立っていた。
「何してるの?」
「いや、初めて来たから色々とな。てか、汗流してたのかよ」
「は? もしかして分かってなかったとか? 有り得ないし」
何故俺が怒られるんでしょうか。にしても、これはどういう事だ?
「ヒキオさ、さっきの会話とあーしの行動である程度分かれ。どうしてこういう事はいつもみたいなすごさが出ないし」
がっかりするような顔のあーしさん。でも、言われる方も困るのだ。だって、これはまるであーしさんが俺に抱かれようとしている風にしか見えないしな。
「……何かすまん。でも、はっきり言わせてもらうとだな? 俺と三浦は普段いる環境が違い過ぎて分からない部分があるんだ。今回もきっとそういう事なんだと思う」
「……やっぱタオル巻かずに出てくれば良かったかも」
「は?」
一体何を仰ってるんでしょうかと、そう言おうとした瞬間、三浦は躊躇う事なく二つのバスタオルを取った。
視界に映る三浦の裸体。初めて生で見る女性の、それも美少女のそれに俺は目が放せない。
すらりとした足。引き締まった腿。整えられた陰毛とくびれた腰回り。そして豊かな胸に流れる髪。どれも男が魅入られる事請け合いのものがそこにはある。
「……そんなに見られると恥ずかしいんだけど?」
「っ!? わ、悪いっ!」
三浦の声で我に返る。慌てて顔を背けるが、既に股間が盛り上がっていた。そして、事ここに至って、やっと俺も三浦の行動の意味を理解出来た。
「……三浦、どうして俺に抱かれようとする?」
「…………それ、聞かなきゃ分かんない?」
その答えが全てだった。三浦が言う事を考えれば、キスを許した時点で俺はかなり認められていたらしい。
だが、その時は抱かれてもいいとまではいってなかったはずだ。きっとそうなったのはあの日。葉山との初エッチに失敗し、俺がその対策を教えたあの日の出来事。あれが三浦の中の女に再び自信を与えたのだ。だからこれはその事と葉山との行為を成功させた礼なのだろう。キス写メが葉山とのキスの礼だったように。
「気持ちは嬉しい。だが、俺は好きな男がいる相手と」
「なら、どうしてあの日あーしを抱こうとした?」
鋭く俺の心を抉る一言だった。俺が反論しようとする全てを問答無用で叩き伏せる攻撃だった。言葉に詰まる俺へ、尚も三浦は容赦なく言葉を続ける。
「あーしが隼人とエッチ失敗したのを知ってて、ヒキオはあーしへ手ぇ出してたじゃん。乳首触ったのは完全に狙ってっしょ? ディープの時だって抱き締めてきたし、あーしが耳が弱いって分かったのに舐めてきたりした」
本当に今更何言ってるんだよな、俺。とっくに惚れた男がいる女にいかがわしい事したじゃねえか。それなのに、かっこつけるようにさ、好きな男がいる相手とそういう事は出来ないって言おうとするなんて……本当に救いようのない馬鹿だ。
「ヒキオ、顔上げろ。あーしは別にヒキオを責めてる訳じゃないし」
「……どういう事だ?」
「先に嘘吐いたのあーしだし。でも、ヒキオはそれを許してくれた。だから、今度はあーしが許す番じゃん?」
「えっと、俺が以前やった事を許してくれるって事か?」
「それとこれは話が違うから。あーしが許すのは、今ヒキオが言おうとした嘘だし」
要するに好きな相手がいる奴に手を出さないってやつか。ん? 何かひっかかる。これを許してもらったとして、ならばあの時の事はどうなのだろうか。
「なぁ、じゃあ俺がした事はどうなるんだ?」
「それが今のこれに繋がってるの」
やっと言いたい事が言えたとばかりに三浦は息を吐く。えっと……ちょっと理解が追いつかない。三浦は俺に何を求めているんだ?
「あの時、あーしを散々焦らしてくれた罰を受けろ、ヒキオ」
「……それで抱けって? おかしいだろ、それ」
「うるさいっ! いいからあーしに尽くすっ!」
真っ赤な顔でそう叫ぶあーしさん。これは……俺に気を遣ってくれてるのか。こうすれば自分を抱いても問題ないと。俺が劣情からではなく、罪滅ぼしとして自分を抱くならば構わない。葉山への裏切りではなく、俺への心変わりでもない。これは以前やった事のつけなのだからと、そういう事にして。
「…………なら、一つだけ頼みがある」
「言ってみろ」
「俺が三浦へ触れたら、それからはお互いへ嘘しか言わない事。そしてそれは部屋を出るまで続く事」
「…………分かったし。あーしは心が広いから認めてあげる」
どこか呆れたような笑みを浮かべて三浦はそう言ってくれた。きっと俺の提案の意味を悟っているのだ。
だからこそ余計その笑みが辛い。今から始まる事は嘘であり、罰なのだ。決して愛し合うのではない。そう言い訳しなければ俺は彼女を抱けない。それを分かっているから彼女は呆れ笑いをしたのだ。
「じゃ、スタートだ」
「ん」
三浦の肩へ手をそっと置いた。もうシャワーの熱は冷めきっている。でも、三浦の温もりが俺の手へ伝わってきた。その温かさに感謝するように、俺は始まりの嘘を吐く。
「三浦、好きだ。愛してる」
「何他人行儀で呼んでるの。あーしの事、優美子って呼べ」
返ってきた言葉に俺は思わず笑ってしまう。そうか、そうくるか。そうきて、くれるのか。
「そうかよ。じゃあ……優美子、愛してる」
「……あーしも愛してる。ね、キスしたい」
優美子がこちらを見つめてくる。なので俺は彼女へゆっくりと顔を近付けた。触れ合う唇と唇。そのまま俺は優美子をベッドへ押し倒した。ギシりとベッドが軋む音がする。それを聞きながら俺はキスを止めると、優美子の胸へ舌を這わせた。前回出来なかったからか、自分でも引くぐらい重点的に愛撫した。
「もう、ヒキオ赤ちゃんみたい。そんなに乳首ばっか舐めるなぁ」
聞く耳持たんとばかりに今度は乳首へ吸い付いた。強くではなく優しく。すると優美子から甘い声が聞こえてきた。そして、それに比例するように乳首が硬くなっていく。なので片方を指で優しく摘んでやる。それが余計優美子の声に艶を与えた。
「んっ…………あっ、今のいいかも。んんっ! それ、もっとぉ!」
優美子の乳首を甘噛みしてやったら、それを気に行ったらしく喜ぶ声が聞こえた。ご所望とあればやってやろう。
「ああっ! ヒキオっ! もっと! もっとしてぇ!」
……もしかして優美子はMの気質なのだろうか? どちらかと言えばSかと思ったが、よくよく考えてみると尽くすタイプっぽいしそうなのかもしれん。ならばと、今度は乳首甘噛みと残る片方を指で強く摘んでやった。
「っ~~~~~!」
仰け反った。シーツをしっかり握り締めて、口を真一文字にきつく結んだままで。そこでふと思いついた。甘噛みではなく強く噛んだらどうなのだろうと。思い付いたら即実践だ。
「痛っ!」
「……悪い。調子乗った」
どうやらソフトMであって痛すぎるのは駄目のようだ。若干涙目でこちらを睨む優美子は可愛らしいです。と、そろそろ俺も服を脱いでおこう。正直股間が辛い。
「……すご、やっぱおっきい……」
「葉山と比べてもか?」
「…………うん。隼人も大きいと思ったけど、ヒキオの方が少しだけ上」
み・な・ぎ・って・き・た!
寝取り属性持ちに一番言ってはいけない事を優美子は言ってしまった。どうやら圧勝ではないらしいが、それでも勝ちは勝ちだ。心なしかチンポも優美子の評価を受け更に逞しくなった気がする。俺はチンポを見つめる優美子へ腰を突き出した。
「優美子、パイズリしてくれないか? 頼む」
「……どうやればいい?」
ちょっと赤面しつつ困った顔で告げる優美子は犯罪級の可愛さだと思う。なので俺は煩悩全開で指導した。
優美子は俺が言った巨乳彼女を持った男共通の夢との表現で、葉山へしっかりとしたパイズリをするべく練習すると言った。そして、その練習台が俺となる。
……何気にフェラ関係は俺が初めて二連発か。悪いな葉山。今のお前には悪夢かもしれんが、今の俺には蜜の味なんだよ。
「んっ、んっ、んっ……これでホントにいい?」
「ああ。気持ちいいってより精神的なもんだなこれは。とにかく嬉しいし満足だ」
「ならいい。んっ……ぬるぬるして変な感じ」
「なぁ、もし可能なら舌出して先っぽだけでも舐めてくれ」
「はいはい。もう、注文が多いんだから……」
苦笑しつつ言う通りに舌を出す優美子。時折そこへチンポが当たり、何とも言えない感覚になる。優美子も我慢汁によって滑りが良くなってくる事には、様々な要因が重なりパイズリしながら興奮してきたようだった。
今は咥えようとしているようで、何度かチンポが頬へ当たって艶かしい光景を演出している。これを狙ってやってるのなら優美子は魔女だな。
「んぅ……暴れん坊過ぎ」
「優美子の胸が良すぎるからだ」
「……そう言われると悪い気しないかも」
照れくさそうに微笑みながら、優美子が先だけ顔を出してるチンポへ軽いキスをした。いかん。今ので軽く出しそうになった。以前の二の舞は避けたい。
「優美子、そろそろ出しそうだからやめてくれ」
「ふ~ん、出しそうなんだぁ……じゃあ……」
「っ!? ゆ、優美子っ?!」
何と胸をチンポから離したと思ったら、そのまま口でくわえてきた。温かくぬるっとした口内の感触で射精しそうになる。いや、優美子はそれを狙っているのだろう。
「優美子、ホントにもう出るっ! 出すぞ!」
こみ上げてくる衝動に抗う事なく従うと、言いようのない快感が全身を駆け巡る。そして強い射精感と同じぐらいの脱力感が襲ってきた。
それでも視線は優美子へ向けている。彼女は精液を受け止めきれなかったのか、咳き込んでいた。慌てて体を起こして背中をさする。
「大丈夫か? 無茶させて悪い」
「……んーん。あーしがしたくてした事だし。それよりごめんヒキオ。飲んであげられなかった」
その一言が俺の中の何かを強く刺激する。それでも衝動を必死に抑え、優美子の体を抱き締める。
愛しくて、切なくて。彼女は絶対俺の女にはならないし出来ない。それを俺は分かってる。きっと優美子も分かってる。もし自惚れでなければ、俺達の気持ちは同じはずだ。どうしてこうなってしまったのだろうと。
ここまで親しくならなければ、ここまで関わり合わなければ、けっして惹かれ合いはしなかったのに。
優美子は俺を葉山と同じぐらいに扱ってくれているはずだ。でも、俺と違って葉山は自分でなければならない明確な理由が出来た。だからもう決して自分から離れる事はしないだろう。そして、きっとこの行動は葉山への最初で最後の仕返しなのだ。
そう、優美子は最初に俺へこう頼んできた。自分を抱いて欲しいと。それを言わせた事への意趣返しなのだろうな。
俺との別れへの餞別も兼ねて。
だから優美子へキスをした。優しいキスを。彼女もそれがどんな気持ちからのキスか分かったのだろう。静かに舌を絡める事もなく、ただ口づけを交わす。
「……いれたい」
「……うん、あーしも欲しい」
見つめ合いながら俺達はもう一度キスをする。今度は深いキスを。何度も何度も舌を絡ませ求め合う。
そこに愛情などない。あってはいけない。これは罰であり仕返しなのだ。そこにあるのはただの性欲だけ。そうでなければならないのだから。
「ちゃんと着けれるかヒキオ」
「……無理。やってくれ」
「それが人に物頼む態度? ったく、しょうがないんだから」
そう言いつつ優美子はちゃんとコンドームを着けてくれた。手慣れてるなと言ったら、葉山に着けてやった事があるらしい。同じじゃないかと思ったら、最初以外は自分で着けていたとの事。
……俺だって慣れれば出来るわ。思っても言えないけどな。
「じゃ、行くぞ」
「ん」
片手でチンポを持ちながら優美子のマンコへあてがう。今から他人の彼女とセックスする。そう考えると何とも言えない興奮が押し寄せてきた。
堪らなくなり、力強くチンポを挿入する。思っていたよりも抵抗感はない。やはり葉山との行為でもう挿入に慣れたのだろう。
「どうだ?」
「ん……痛みはない」
「……どこか違いはあるか?」
内心ドッキドキで問いかける。それを分かっているのだろう。優美子は悪戯めいた笑みを浮かべた。
「そんなにはないみたい。でも、ほんの少しだけ違和感あるかも」
「……動くぞ」
今の俺を滾らせる一言が優美子の口から飛び出した。これが嘘でもホントでも構わない。絶対寝取れないからこそ寝取るぐらいの気持ちで抱く。
せめて、エッチは俺の方が気持ちいいと優美子へ刻み付けたい。そんな思いで腰を動かす。
パンパンと打ち付ける音が響く。優美子のマンコが俺のチンポから精液を絞り出そうと締め付けてくるのが嬉しい。ここだけは嘘を吐けないからだ。今、この女は俺で感じてくれている。
「優美子っ! どうだ! 気持ちいいかっ!」
「んんっ! け、結構上手いじゃん。あっ! そ、そこがいいっ! 今のとこ、もっと突いてぇ!」
「分かった……ここ、かぁ!」
「ああっ! そう! そこっ! そこがいいっ!」
入口の少し上辺り。そこがどうやら優美子は好きなようだ。Gスポットというやつなのだろうか。とにかくそこを重点的に攻める。ある程度したら、今度は優美子に上になってもらう。騎乗位だ。優美子の胸が揺れて眺めは最高だ。
「んっ……んんっ……乳首いじるなぁ」
「無理。こんな目の前でゆさゆさ揺れてるんだ。手を出さないのは失礼に当たる」
「ばかぁ……そっちの方が失礼じゃん……」
自分で気持ちのいい場所へ腰を動かす優美子を眺め、俺は豊かな胸をこれでもかと堪能する。そしてそのまま起き上がって、今度は対面座位。キスをしながら優美子と求め合う。
「ん~……やっぱあーしキスが好き」
「俺も好きだ。まぁディープの方だけど」
「そっちも嫌いじゃないけど、あーしは普通の方がいいし。あと、これマジやばくね? 繋がったままでハグチューとかかなりクル」
「だな。肉体的にも精神的にも満足度高いわ」
「ん。じゃ、も一回キス」
「おう」
優美子が伸ばした舌へ自分の舌を絡める。その間も優美子の締め付けが俺のチンポを襲う。優美子はこの体位を気に入ったようで、しばらくこのままで過ごした。
そして最後は後背位、つまりバックだ。色々試してみたいが、体力的にそこまで持たないので仕方ない。
にしても、これだと一番深く挿入出来るらしく、優美子が「あっ……これヤバイ」と小さく呟いたのが印象的だ。今も後ろから突かれて、その胸を大きく揺らしながら俺の劣情を煽ってくる。
「優美子の尻、やっぱエロいな! ホントにこっちの初めてもらっとけば良かった!」
「ば、馬鹿言うなし! あーしの処女は全部隼人に上げるんだからっ!」
「そうかよ。それは残念だ……なぁ!」
「~~~~~っ!」
思い切り突き上げると優美子が仰け反った。そのままチンポをぐりぐりと押し付ける。
すると優美子が脱力するようにベッドへ突っ伏した。でも、攻めの手は緩めない。むしろここからとばかりに顔を耳元へ近付ける。
「イったのか?」
「っ……うん」
「葉山にはイかせてもらえなかったのか?」
「そんな事ないし。隼人もちゃんとイかせてくれた」
「じゃ、俺と葉山、どっちがより多く気持ちよくしてくれた?」
その問いかけに優美子が確かに息を呑んだ。ずるい問いだ。自分でもそう思う。だけど、言わせてみたかったのだ。今だけでいい。今日だけで構わない。三浦優美子が、葉山の彼女が、俺の方がいいと選ぶのを聞きたいのだ。
「それは……」
「……優美子、俺の頼みを忘れるな。今は全部嘘なんだぞ」
その言葉に、優美子が小さく喉を鳴らした。今の囁きは俺の中の悪魔のものだ。いや、もしかしたら天使なのかもしれない。どちらにせよ、それが最後の一押しだった。
―――ひ、ヒキオ……ヒキオの方がいっぱいあーしを気持ちよくしてくれたぁ!
折れた。今、この瞬間だけ三浦優美子が俺の女になった。それだけでいい。後はもうよく覚えていない。
ただ目の前の女を悦ばせたくて。ただ感じてもらいたくて。ひたすら俺に出来る限りの事をした。気が付けば、互いに抱き合うようになっていた。優美子の足が俺の腰を掴んで離さない。
「ヒキオっ……ヒキオぉ!」
「優美子! 優美子っ! 優美子ぉ!」
もう何も考えられない。ただ求め合うだけしか出来ない。意味のある言葉も言えない。ただ目の前の相手を呼ぶだけしか出来ない。
それで良かった。それでいいんだ。俺達は愛し合う関係じゃない。最初から最後までギブアンドテイクの二人なのだから。
こみ上げてくる感覚に身を委ねながら、俺は最後に思いっきり腰を打ち付けた。その瞬間、優美子の爪が俺の背中へ食い込み、腰を砕かんばかりに足へ力がこもる。
「「っあああああああっ!!」」
真っ白になった。何もかもが真っ白に。そしてその日は終わった……。
「ね、聞いてよゆきのん。やっぱ優美子と隼人君付き合ってたんだって」
紅茶の香り漂う部室内。そこでいつものように由比ヶ浜が雪ノ下と喋っていた。話しかけられた雪ノ下は、やや驚いたような表情を浮かべていた。
「本当だったのね。それで、どうして分かったの?」
「今日ね、優美子と隼人君から教えてもらったの。でも、まだ学校内には広めたくないんだって。優美子が悪戯されるかもしれないからって」
「賢明な判断ね。ただでさえ、葉山君に近い女子は恨まれるのだから」
経験者は語る。これ程説得力ある人物もいないだろう。だから由比ヶ浜、どうして雪ノ下がそんな事を知ってるんだみたいな顔するな。お前の空気読みスキルはどうした。
「それと、姫菜が優美子にあった男の影が消えたって言ってて」
危うく紅茶を吹き出すところだった。やはり海老名さんは侮れん。ま、それが誰なのかまではさすがに分かっていないようだがな。
「どういう事かしら。海老名さんはどうやってその男の影を察知出来たの?」
「えっと……何でもある時期から優美子が特定の男子を見るようになったんだって」
「それはクラスで?」
「そこまでは言ってなかったなぁ。でも、姫菜はそれで気付いたんだって。で、今はもう見なくなったって」
……前言撤回。海老名さん、マジこえぇ。これ、俺とあーしさんの事もばれてるんじゃないだろうか?
だが、例えそうだとしても今更事を荒立てるつもりはないだろう。何せ、今やあの二人は幸せの只中なのだから。
「ホント、女子って人の色恋沙汰が好きなんだな」
「ヒッキーは興味ないの?」
「あったら彼女が出来るとかなら持たなくもない」
「……最低ね」
「何とでも言え。所詮他人の恋愛なんて首突っ込んでもロクな事にならん」
俺の噛み締める言葉に二人も何とも言えない顔をした。さて、そろそろ帰るか。鞄を手にし、残った紅茶を飲み干す。
「……もう帰るの?」
「ああ。ちょっと用事があるんでな」
「そっか。ヒッキー、また明日ね~」
「おう、お前らも気を付けて帰れよ」
手を振る由比ヶ浜へ軽く手を挙げ、部室を出る。紅茶で少し温まったとはいえ、やはり冬の寒さは堪えるな。
マフラーを巻き、やや体を丸めるようにしながら下駄箱を目指す。と、その途中校舎外であの二人を見かけた。パッと見は今までと変わらない距離だが、俺は知っているのだ。
「……幸せにな、三浦。手放すなよ、葉山」
部活終わりなのか、ユニフォーム姿で三浦と語らう葉山を眺め、心からそう呟く。あの後、部屋を出る時になって三浦は、先に廊下へ出た俺に顔だけ部屋から出してこう告げた。
―――もし隼人があーしを捨てたら、その時は迎えに来い。
あれは、三浦なりのメッセージなのだろうか。体は部屋の中で顔だけ外。それは、言葉だけは嘘じゃないという意味だったのか。あるいは気持ちは嘘という事なのだろうか。どちらにせよ、俺への仕返しには違いない。こうやって悩ませ、もしかしたらを考え続けさせようという三浦なりの。
「……悪いな三浦。もう、俺は待ち続けるなんて出来ないんだ」
新しい相手を見つけよう。それだけの気持ちを三浦が与えてくれたんだ。そう思っての呟きは風に乗って冬の空に消えた……。
靴に履き替え、一人自転車置き場へ向かう。すると、そこに一人の女子が立っていた。そいつは俺に気付くと、やや怒り顔で近付いてきた。
「あー、やっと来た。先輩、どうして手伝いに来てくれなかったんですかぁ」
「理由がない」
「責任、取ってくれるって言ったじゃないですか」
「だからどうしてもって時は手伝ってやるって言っただろ。お前、一生に一度をどれだけ言うつもりだ?」
自転車の鍵を開けながら一色の相手をする。と、そうだった。思い出したように着けていたマフラーを外して一色へかける。
「えっ?」
「詫びにならんが、寒空の下で待たせたからな。男くさいかもしれんが我慢してくれ」
「な、なんですか急に。はっ、もしかして口説こうとしてます?」
「かもな。で? お前、まだ葉山が好きなのか? 気付いてないって事はないんだろ?」
何気ない口調で尋ねる。一色はその問いかけに握り拳を見せて頷いた。
「当たり前です。ま、たしかに最近三浦先輩と急接近した感じですけど、まだ入り込むチャンスはありますから!」
「そうか。まだ葉山が好きか」
にやりと、笑みが浮かぶ。だが、それは心の中であり実際の顔は呆れている。気付かれてはいけない。まだ一色にはあいつを想っていてもらわなければ面白くない。
由比ヶ浜や雪ノ下では駄目なのだ。あいつらは、きっと俺に好意を抱いている。それじゃ、あの感覚は味わえない。
「何ですか? もしかして嫉妬してます?」
「どうだろうな。俺なんかが葉山に嫉妬してたらキリないが」
「ですね~。ま、いいです。じゃ、いつものように送迎よろしくです」
そう言って俺の自転車の後ろへ乗る一色。ああ、分かってる。一気に迫ると駄目なのは三浦が教えてくれた。それと、どうやって俺を意識させればいいのかも。あの三浦でさえそうなってくれたのだ。俺はもてない訳じゃない。
「しっかり掴まれよ」
「分かってますよ」
「それと、風邪引かないように帰ったら一応風邪薬飲んどけ」
「……そうします」
俺の制服をしっかり掴む手へ少しだけ力が加わる。走り出す自転車。一色の視線が少しだけ葉山達へ向く。頼むぞ一色。お前も三浦のように葉山を想い続けてくれ。でないと……
―――寝取る楽しみがなくなっちまうからな。
と、ここまでが第一部です。第二部も読んでやってもいいと思っていただけたら嬉しいです。