ベッドの上に置いたスマホが、何度も震えていた。
念の為、通知を確認する。
予想通り、サキからのメッセージだった。
今日はこれで二十件以上のメッセージと着信が届いていた。
ボクを含めた幼馴染グループの五人は、夏休みの間はミツキの家に集まるのが日課になっていた。ミツキの両親は仕事の都合上殆ど家に帰らなくて、溜まり場としては絶好の場所となっている。
なのにいつまで経ってもミツキの部屋に姿を現さないボクに対し、サキとアカリが交互にメッセージを送ってきていた。
思わず溜め息をつく。
昨日、四人に下半身を見られてしまったばかりか、目の前で射精までしてしまった。
今まで通りミツキの家に遊びにいくなんて、土台無理な話だった。
サキのセクハラのようなものは、以前からあった。けれど、ああいった直接的なものは初めてだった。
脳裏にサキの温かい指先の感触が蘇る。
思わず背筋が震えた。
今まで体験したことがない快楽だった。
それから、白濁液で汚れたミツキの顔が脳裏に蘇る。
いつもの冷静な顔で白濁液をすくい取って口に含むミツキ。
普段の真面目な彼女からは想像できない淫靡な光景だった。
次々と脳裏に蘇る昨日の記憶を頭から押し出そうと、無意味に部屋の中をぐるぐると歩き回る。
不意に、インターフォンが鳴った。
いやな予感がする。
スマホを見ると「今から行くから」という簡素なメッセージが五分前に届いていた。
慌てて部屋から飛び出すと、階下から母さんの声がした。
「あらあら。久しぶりねぇ。みんな美人さんになって」
「おばさん、お久しぶりです。お痩せになりましたか?」
「またまたー。お世辞も覚えちゃって」
一人分の声ではない。
どうやら四人全員が来ているようだった。
階段を降りると、玄関からサキが先頭になってあがってくるところだった。
ボクに気づいた母さんが、にこにこと笑いかけてくる。
「あ、ナギ。サキちゃんたちが遊びにきてるわよ」
「え、あ、うん。あとはボクが案内するから」
今にも引きつりそうな表情筋で無理やり笑顔を浮かべて、母さんをリビングの方に押しやる。
「じゃ、じゃあ部屋行こうか。母さん、お菓子とかも別に用意しなくていいから!」
「あ、私たちお菓子持ってきてるんで、お構いなくー!」
サキがいつもの元気の良い声で母さんに言う。
「そう? なにか欲しいものがあったら遠慮しないで言ってね」
「はい。ありがとうございます!」
誰にも物怖じしないサキは基本的に大人受けが良い。
簡単に母さんを懐柔していくサキに一抹の恐怖を覚えながら、四人を二階の自室へ案内する。
自室のドアを開けると、アカリが呆れたような声を出した。
「ナギの部屋って、本当に女の子の部屋みたいだよね」
柔らかいパステルカラーで統一された部屋は、たしかに一見すると女子の部屋に見えなくもない。
「ナギらしくて良いじゃん」
そう言って、サキが背中を押してくる。
中に入ると、後ろから次々と四人が入ってきた。狭い部屋がすぐにいっぱいになる。
「はー。涼しい」
アカリがベッドへ向かい、ボクの後ろを通る。
その時、不意にズボンに誰かの手がかかった。
「隙ありっ!」
背後に回ったアカリによって、ジャージとパンツが一気に下げられる。
「~~ッ!」
突然露わになった下半身に、正面にいたミツキとユナが動きを止める。
「不意打ち成功!」
後ろではしゃぐアカリの声。
「ちょ、ちょっと! やめてよっ!」
床までずり下ろされたパンツとズボンをあげようと手を伸ばした時、それを制するようにサキの手がボクの腕を握った。
「それよりさ、昨日あれから私のこと思い出して一人でやったか?」
「や、やってないよっ!」
「じゃあ、今日も手伝ってやるよ」
僅かに上気した顔で、サキが真剣な顔で言った。
思わず言葉を失う。それからすぐに我に帰って首を横に振った。
「だ、だめだよ! 下に母さんもいるんだよ!」
「じゃあ、あまり騒ぐなよ。おばさんにバレるぞ」
サキはボクの言葉を無視するように、アカリに目を向ける。
「アカリ」
「りょーかい」
昨日みたいに後ろからアカリが腕を抑えて拘束してくる。
「だ、ダメだって! 母さんが入ってきたらまずいって!」
「騒がなきゃバレないって」
サキはそう言いながら、唇の端を歪めた。
「っていうか、既にちょっと大きくなってるじゃん」
「~~ッ!」
羞恥心で顔が真っ赤になるのがわかった。
「だ、だって……」
昨日のことを思い出して、身体が反応してしまっていた。
それに、何だかんだでこの幼馴染四人はみんな整った顔をしている。
間近で僕を見下ろすサキを意識してしまって、心臓の鼓動が少しだけ早まっていく。
「なあ、別に嫌じゃないんだろ?」
サキが真剣な顔で僕の目を覗き込みながら、そっと指先で触れる。
「手伝ってやるだけだから、な?」
「で、でも……」
ミツキに視線を向ける。
真面目で頭が良くて、いつもサキやアカリを止めてくれるミツキ。
騒がしい同級生とは少しだけ雰囲気が違って、どこか涼しい顔でいつも本を読んでいるミツキ。
クラスで冗談混じりに委員長なんて呼ばれる真面目な彼女は、まるで人が変わってしまったかのように静観を決め込んでいた。
「あのっ」
不意に、予想外のところから声が上がった。
声の主はユナだった。
彼女はおずおずと前に出て、上目遣いでボクを見つめた。
「きょ、今日は私がしてあげようか?」
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
あの大人しいユナが、自ら進んでそんなことを言い出すなんて思ってもいなかった。
「ああ、えっと、じゃあ先にユナがやれよ……」
サキも困惑したような表情を浮かべながら、ユナに譲るようにボクから離れた。
「ユ、ユナちゃん?」
「うまくできないかもしれないけど……」
どこか自信がなさそうにしながら、ユナはボクの前に膝をついた。
「ナギくん、痛かったら言ってね?」
ユナの想定外の行動に言葉を失ってる間に、彼女はにっこりと微笑んで僕の身体に手を伸ばした。温かい感触に包み込まれる。
「ユ、ユナちゃん、待って」
「こうすると気持ち良いの?」
ユナの小さな両手が、包み込むように優しく動く。
刺激で自然と身体が小さく震えると、ユナは嬉しそうに小さく微笑んだ。
それから、彼女はゆっくりと顔を股ぐらに埋めた。
生温い感触と同時に強い快楽が押し寄せてくる。
見ると、ユナの小さな口がボクのものを咥えこんでいた。
「ゆ、ユナちゃん!? そんなところ汚いよっ!」
「……ううん。ナギくんのだから汚くなんかないよ」
口を離した彼女はどこまでも穏やかな笑みを浮かべて、それからすぐに股ぐらに顔を埋めた。
「あっ、ユナちゃん、それ、本当にダメだから……っ!」
「うわ、すご……」
すぐ後ろで感心したようなアカリの声。
狭い部屋の中に、ユナがボクのものを口に含む水音が響き渡る。
「ユナ、別にそこまでしなくても……」
部屋の隅で事態を静観していたミツキが、宥めるように言う。
けれど、ユナはそれを無視するようにボクのものを熱心に咥えこんだまま離さない。
「ユナちゃん……本当にもう……っ……ダメだからっ!」
ユナは小さな口で咥えたままボクのことを見上げ、にこりと微笑んだ。
直後、ユナの口が激しく吸い付くように動く。
「……で、出ちゃうからっ!」
慌ててユナの口から引き抜こうとするも、ユナの両手が腰に回り固定される。
「……あっ、ダメっ!」
あっという間に射精感がこみ上げ、ユナの口の中に注ぎ込んでしまう。
その間もユナはボクのものを口に含んだままゆっくりと刺激を与え続けていた。
尿道に残っていたものが全て吸われていく。
「あっ、本当にユナちゃん、もう、全部出たから!」
ようやくユナの口が離れると、彼女は口内の白濁液がこぼれないように両手で口元を抑えながら、にこっとボクに向かって微笑んだ。
ごくり、と彼女の喉が鳴る。
「……んく。ナギくん、どうだったかな? 気持ちよかった?」
「えっと、あの、うん……今までで一番気持ちよかったかも……」
白濁液を飲み干して上気した顔で微笑むユナの姿は、これまでみた事がないほど淫らなものだった。
「……ユナって……結構すごいんだな」
サキの呆けた声。
ボクを後ろから拘束したままのアカリも、唖然とした様子で黙り込んでいた。
たぶん、その場の誰もがユナに注目していた。
だから、部屋の隅に立つミツキが昏い目でボクとユナを見ている事に誰も気づかなかった。