その日、ボクは着信の音で目を覚ました。
サイドテーブルで震えているスマホに目をやると、「北川美月」の文字が踊っていた。
「もしもし」
電話に出ながら壁時計に目を向ける。
まだ午前九時だった。
「あ、ナギ? ちょっと話があるんだけど」
ミツキはそう前置きしてから、すぐに用件に入った。
「今日、十一時くらいに家に来て欲しいんだけど」
皆がミツキの家に集まるのは、昼ご飯を食べてからが多い。
そう考えると、随分と早い集合だった。
「……どうして?」
問いかけると、少しだけ間があった。
「……ナギは今、ちょっと困ってるでしょ。だから、私が助けてあげる」
ミツキはそれだけ言って通話を切ってしまった。
寝起きでぼんやりする頭でどうするべきか考える。
このまま家にいても、昨日みたいにサキたちが押しかけてくるだけなのは明白だった。
なら、ミツキの言う通りにした方が良い。
ミツキは周囲の女子よりずっと大人びていて、ボクをからかうような事はしない。
ぐっと背伸びしてから、パジャマを脱いで着替えを始める。
それから洗面所に降りて顔を洗い、アカリから貰った化粧水をつける。彼女は美容にうるさい。
そのまま朝食を食べたりしてゆっくり準備を進めると、ちょうど良い時間になっていた。
ミツキの家までは、徒歩で十分もかからない。
「今日は早いのねぇ」
母さんは少しだけ驚いた顔をしていたけれど、ミツキの家に行く事を伝えると特に何も言われなかった。
家を出ると、燦々と降り注ぐ太陽光に晒される。
アカリがいたら、日焼け止めするように言われてしまいそうだった。
人通りが少ない住宅街を真っ直ぐ進むと、すぐにミツキの家が見えてきた。
インターフォンを押して、ミツキが出てくるのを待つ。
「はい」
驚くほど早く玄関ドアが開き、ミツキが顔を出す。
珍しく短いスカートを履いていた。
「おはよう」
彼女はボクを見ると薄い笑みを浮かべて、それから中に入るように手招きした。
「おはよう。おじゃまします」
玄関に入って、いつものように靴を脱ぐ。
そのまま彼女の背中を追いかけるようにしてミツキの部屋に向かう。
よく手入れされたセミロングの黒髪が、目の前で揺れていた。
ミツキは頭が良くて真面目だけど、いわゆるガリ勉ではない。
どちらかというとクラスでは目立つ側の存在で、中学のときは多分、男子から学年で一番人気があった。
中学のときは陸上をやっていて、ボクなんかよりも遥かに運動神経がよかった。
面倒見も良いから、後輩からも慕われていた。
ミツキは昔からおよそ欠点らしい欠点を持たない。
「急に呼び出してごめんね」
部屋に入ると、ミツキはそう言ってベッドに腰掛けた。
「えっと、それで今日はどうしたの?」
首をかしげると、ミツキはただ薄い笑みを浮かべた。
「まあ、座りなよ」
ミツキはそう言って、隣に座るように促した。
「あ、うん」
言われた通り、ミツキの隣に腰掛ける。重みでベッドが少し沈み込んだ。
「ナギはさ」
ミツキの腕が、引き寄せるようにボクの肩に回る。
「いま、困ってるよね。皆の前で恥ずかしいことされて」
「えっと……うん」
すぐ近くにあるミツキの目が、じっとボクを見ていた。
「だからさ、私が助けてあげようと思って」
ミツキはそう言って、肩に回していた腕をそっと腰に移動させた。
さわさわと、彼女の手がボクの身体を撫で始める。
「ミツキ……?」
「私、ナギのこと少しだけ誤解してたよ」
ボクの腰を撫で回しながら、ミツキが言葉を続ける。
「ナギってもっと清純だと思ってたから。女の子みたいな顔して、でも、やっぱり男の子なんだね。誰から触られても簡単に射精しちゃうんだ。ちょっとビックリしちゃった」
ミツキの手が、ゆっくりと下腹部に移動する。
「ミ、ミツキ?」
「だったら、もう良いかなって。私が好きにしてもいいよね」
ズボンの上から、ボクのものを彼女の手が優しく撫で始める。
「な、なんで」
ミツキから離れようとした時、横から彼女の体重が預けられた。
押し倒されるようにしてベッドに倒れ込む。
右手の手首を押さえつけられて、あっという間に動きが封じられた。
「ねえ、ナギ」
いつもよりずっと低い声が、ミツキの口から零れる。
「ナギのこと、私が管理してあげる」
ボクの首元に顔を埋めるようにしたミツキが、荒い息を繰り返す。
「サキたちが来る前に、私が全部出させてあげるから」
押さえつけられた右手はそのままに、残ったミツキの手がボクのものを撫で回し始める。
「男の子は出せる回数が大体決まってるんだよね。私が管理してあげたら、サキたちの前で恥ずかしい姿を見せなくて済むでしょ?」
「ま、待って。ミツキ、こんなの――」
「いいでしょ、別に。ナギってサキからもユナからも触られて、簡単に射精しちゃって。じゃあ、これからは私がしてあげてもいいよね」
冷たい声だった。
ミツキはボクを見下ろすようにクスクスと笑って、それからベルトを外し始めた。
「ま、待って、ミツキ。こういうのは本当は好きな人とするべきだよっ!」
「……でも、ナギはサキやユナに触られて簡単に射精しちゃったでしょ」
ベルトが外れ、ミツキの手がズボンの中に潜り込む。
「んっ……あっ、待って、ミツキ! 」
「ほら、こうやって触るだけでそんな反応する」
だから、とミツキは言った。
「私が管理してあげないとダメなんだ」
ズボンの中に潜り込んだ彼女の手が、更にパンツの下まで潜り込む。
彼女の手が直接ボクのものに触れて、自然と背中が反り返った。
「だ、ダメっ……ミ、ミツキっ!」
「ナギ。そういう可愛い反応するからサキたちはやめてくれないんだよ」
ミツキはいつもの涼しさすら感じさせる表情でボクのものを触りながら、それよりも、とボクの目を覗き込むように顔を近づけた。
「昨日、ユナに口でしてもらったよね。気持ちよかったの?」
「……っ……ん……ぁ……」
「へえ。答えたくないんだ?」
ミツキはそう言うと、するするとボクの下半身に向かって移動した。
中途半端に下ろされていたズボンが更に下ろされて、ミツキがボクのものを口に含む。
「あっ……ミツキ……っ……ダメ、それ……ぁ……」
「そんな気持ちよさそうにして、何がダメなの?」
「本当に……それ……すぐ出ちゃうから……っ……ん……」
「いいよ、口の中に出して」
ミツキの舌がボクのものの裏側を舐めるように動く。
「ねえ。昨日ユナがしてくれたのとどっちが気持ちいい?」
「……ミ、ミツキの方が……ぁ……」
「そっか」
ミツキは少しだけ満足そうに笑うと、更に激しくボクのものを咥えこんだ。
「ぁ……っ……ミツキ、もう本当に……っ!」
「うん、いいよ」
ミツキの了承の声と同時に、射精感がこみ上げてくる。
「ミ、ミツキ!」
自然と腰が浮き、ミツキの喉奥に向かって白濁液が注ぎ込まれる。
ミツキは少しだけ驚いたように動きを止めた後、吸い出すようにボクのものを咥えてくれていた。
射精が終わると、彼女はゆっくりとボクのものから口を離し、口の中のものをゆっくりと飲み込み始めた。
「そ、そんなの飲まない方がいいんじゃ……?」
「別に大丈夫だから」
恐る恐る声をかけると、ミツキは平坦な声で答えた。
直後、インターフォンが鳴り響いた。
反射的に時計に目を向けると、十二時になっていた。
「ナギ、もう出ないよね?」
確認するようにミツキが言う。
「た、たぶん……」
答えると、ミツキは少しだけ満足そうに笑った。
「そっか。それ、拭いてあげる」
ディッシュ箱から数枚のティッシュを取り出したミツキは、唾液で汚れたボクのものを丁寧に掃除し始めた。
「じ、自分でやるから」
「いいよ。全部私が管理してあげるから」
ミツキはそう言って、そのままボクのものを裏側まで丁寧に拭い取った。
二度目のインターフォンが響く。
「……出てくるから、ナギはズボン履いてて」
ミツキが立ち上がる。
そのまま部屋から出ていくミツキの背中を見送りながら、なんとなく嫌な予感がした。