えいとくさん、高山流水さん、のぶはすさん、誤字訂正ありがとうございます
ダイジェストにしたはずなんです
一つ意外だったのは、櫛田がオレの部屋にいたことだ。ほぼ真直ぐ帰ってきた俺よりも速いということは学校から直接この部屋に来たのだろう。制服姿のままベッドの横の床の上に俯いて座り込んでいる少女は、若干ホラーだったがそれはいい。
追い詰められたとき人は『聖域』に逃げ込む。本だったり、ブログだったり、美食だったり、家族だったり千差万別だが、櫛田はどうやら今はオレを聖域にしていたらしい。
オレが入って傍に立つと同時に、愚痴り始めた。
「……滑稽でしょ。自分の生活を護ろうとして、首筋にナイフあてつけながら傷つけないから協力してとか言うふざけてた奴排除しようとして、協力頼んだ連中に裏切られた女は」
「……」
「あんたに分かる?私はいつもビクビク怯えていた!もし、あんたと堀北の口から私の事が漏れたらと思うだけで気が気がじゃ無かった!だから堀北を退学させたかった!……綾小路くんも退学させたかったけど、あんたは契約してくれたから安心した。あの時どれだけホッとしたか分からないでしょうね!あとは堀北に少し良い顔見せて油断させて、退学させれば、それでよかった」
悪鬼の表情で涙を流しながら悪辣なことを言っても、可愛いと思える櫛田は魔性だろう。
「……」
「そしたら、龍園と南雲が裏切って、中学みたいに皆が敵になった。生理的に無理でも仲良くしてあげた子も皆、私を疑って罵って陰口叩いてくる。ふっざけんじゃないわよ!あんたらの陰口や嫌な事どれだけ私が聞いたと思ってんの!私が誰にも話さずにいつもニコニコしてるからって!ゴミ箱みたいに感情を捨てて、そんな子だと思ってなかったとか何様よ!……秘密とか隠してることでも劣情とか黒いドロドロを花の女子高生に吐き出すんじゃないわよっ!」
綺麗に整えている髪をかきむしりながら、オレをゴミ箱にしていることについて物申したい。
「………」
「……そんな私を護ってくれたのが、平田君はともかくとして、あの堀北よ、堀北ぁ……『落ち着いてまずは真偽を確かめましょう』ですってぇ!あの女ぁ!私の姿を他のクラスメイトから隠して護るように立ってーーっ……」
そこで言葉にならなくなり、ギリギリと鳴る歯の音が恐い。ぎろりと睨んできた目はもっと恐い。
「あんたは、いつも通り我関せずってすかした態度で見てるだけだしさぁ、本当にあんたはさぁ」
「オレに何か期待するのは筋違いだ。堀北の案は検討したのか」
「案?ああ、私が堀北のスパイとして働いてて龍園と南雲にはスパイしに行ったって奴だよね。全部!堀北の!指示で!動いてたって奴でしょ!」
「そうだ、悪くない案だったと思うぞ。あれなら」
そこまで言うとさらに睨みつけながら言ってきた。
「あんな良い案を
櫛田の禁断の果実だ。誰かの秘密を得ることで、自分がその人の全てを手に入れた気になる多幸感。
それこそが一番櫛田が求めていることであり、オレが役に立つと理解しつつ危険視している理由でもある。
「なのに、たとえクラスを護るって理由があるとは言え、スパイする奴に誰が秘密を教えてくれるの?皆思うよ。あの人は良い人だけどちょっとって、純白のままじゃなきゃ皆は心の一番深いところ曝け出してくれないよ……」
「では、他に方法があるのか。龍園と南雲に証言でもしてもらえば別だと思うが」
「分かってて言っているよね。一応当たったけど、嘲笑われた。死ねばいいのにあいつらぁ……あの二人は証言しない。龍園は何か他の事に夢中で南雲も最近何か決定的に変わった、あの二人からしてみれば、私の利用価値なんて無いんだよ、もう。色々備えてたけど、同時だと何も出来なかったなあ」
「……」
「だから、私は、堀北の、案を、受け入れるしか、ない。ここ以外居場所が無いもの……堀北の奴隷でも、人気者で、居られるなら、さっき……ありがとう、ちょっと考えさせてって、言ったから……
一言一言血を吐くように言いながら、肩を震わせ始めた。
「警戒していた堀北とあんたから過去をばらされるんじゃなくて、堀北をどうにかしようと手を組んだ奴らに利用されて捨てられて裏切り者になって、過去と同じ目にあって……堀北に助けられるとか、私、どれだけ、ピエロなのっ……よっ、ぅぅぅ」
ついに泣き出してしまった。それなら止めを刺すべきだろう。ゆっくりと二通の書類を取り出した。
「……えっ……あ、綾小路、くん、それって」
無断で部屋に入り床の上を体育座りで座り込みピクリともしなかった櫛田の目前に、龍園と南雲直筆の宣誓書を見せる。
先程まで紙のような白さだった顔色に赤みが差す。
彼女にとって今日は最悪だったろう、朝から裏切りの証拠を突きつけられ、恵が先頭を切ったクラス全員に責められた。鈴音と平田が止めていたからこそある程度収まったものの、終日疑いの視線を向けられるなど、普通でも酷なことなのに彼女にとっては拷問だった。
しかも、よりによって彼女を助けようとして放課後に現実的な案を出したのは嫌いぬいている鈴音だけ。
あの場で、鈴音に感謝の言葉を述べるのにどれほどの葛藤があったか想像だに出来ない。
「それ……って」
震えて書類から目を話せない櫛田。いきなり現れた救いの手が信じられないのだろう。視線は二枚の紙を交互にやっている。食い入るように読んだ内容が櫛田の頭の中に入ったと同時に言葉に出す。
「龍園と南雲がお前にスパイ行為を持ちかけたことも持ちかけられたことも無いという宣誓書だ。直筆のな」
「あ、ぁぁああっ、あ、あ」
笑顔で涙を流しながら這ってオレの足にしがみついた。
「し、信じてたよ。綾小路くん、ありがとう。本当にありがとう。やっぱり流石だね。綾小路くんは」
さっき意訳して役立たずと罵ったあとにこれだ、足に胸を押し付けているのもわざとだろう。
櫛田の私物を確認して録音録画を一切していないことを確認すると話を切り出す。顔が引きつっていた気がしたが、櫛田は素直に従ってくれた。
「後で文章にするが、条件がある。一つは堀北とオレを退学させるのを諦めることだ。それに伴いプライベートポイントをオレがお前に差し出すのも止める。今まで渡した額はそのまま渡すが」
「……今までの額を返した上に、これから私が手に入れるプライベートポイントの半額を綾小路くんに渡すから、堀北は外して欲しいなあ。堀北は綾小路くんの隠れ蓑だよね。私でも出来ると思うよ」
「確かに、櫛田のコミュニケーション能力はこの学校有数だろう。学力も身体能力も高いが、堀北の代わりはならない。同時に堀北も櫛田の代わりにはならない。念のために言っておくが、どの条件でも破ったら覚悟してもらう」
「……………ふぅぅ、わかったよ」
「二つ、今回どうやって龍園と南雲から宣誓書を手に入れたか詮索するな。忘れろ」
「……うん、忘れる。あいつらのことなんか思い出したくも無いしね。私が覚えておくのは綾小路君に助けてもらったことだけ――」
「それもだ」
瞳を重ねて僅かに闇を覗かせる。冷たい声音と空気に櫛田が凍りついた。
「ぁ……わかった。全部忘れる」
「……三つ、オレの味方になれ、オレに前と同じく生徒の個人情報、秘密を教えろ。全員じゃなく、オレが生徒を指定した時だけでいい」
「流石に、それは……」
文字通り彼女の生命線を差し出すのは、躊躇うのか。
「その代り、櫛田が人気者であり続けるように手を貸そう、お前はオレの庇護の下に入るんだ。このようにな」
誓約書をヒラヒラとする、今一番彼女が欲しいものを当たり前のように用意したオレに対して畏怖の感情を覗かせる。
「う、うん。そうだね。この学園の生徒で綾小路くんに勝てそうな人なんて居ないと思うし……うん。わかった、それって堀北も含むのかな?」
「当然だ。優先して情報を集めておいてくれ」
肉体関係を結んだからこそ警戒すべきだ鈴音は。あれだけ良いオンナだとは思っていなかったが、だからこそ恐い。
「……ふぅん、なんかイラってしたけど、そうか堀北も綾小路君にとっては警戒対象なんだ……他には?」
鈴音の裸身と具合を思い出していた気配を感じ取ったのか、櫛田が一瞬険しくなったが、すぐに機嫌よさそうな表情になった。
「……最後だ。オレの部屋の、カードキーを返せ。ストレスが溜まってどうしようもない時は今まで通り遠慮なく俺の部屋に来て愚痴を溢せばいいが、オレが許可しないときは入るな」
「嫌」
「……なんだと?」
「嫌っていったんだよ。返さない」
カードキーを仕舞っていると思える左内ポケットを押さえる櫛田。
部屋に立ち入り禁止にするわけでもなく愚痴を溢すときには入れてやるといっているのに、こいつは。
誓約書を見せ付けるようにする。
「……お前は、今どういう状況か分かっているのか。この二枚を破いてもいいんだぞ」
「……たとえ破かれても渡さないといったら」
「そうか、それがお前の決断か」
「そうか、それがお前の決断か」
そう言った綾小路くんの冷徹な目は私の背筋を寒くさせた。私が次何を言うかによっては躊躇いなく破くだろう、すぐに誤魔化し――は通じない。何とかしないと
「……わ、私は綾小路くんが嫌い!大嫌い!」
……え?
「……いつも根暗の地味な奴にしか見えないのに話すと面白くて頼りになるところが嫌い!イケメンで本当は凄くて人気者に成れるのに、他の人に手柄を譲ったりして目立たないようにしているところが嫌い!」
……私は何を
「……あれだけ嫌な奴だった堀北と仲良くして堀北の良い所引き出したのが嫌い!私が苛立って八つ当たりしてる所を見ても軽蔑したりせずに当たり前に受け入れてくれたところが嫌い!」
……してるんだろう
「クラスメイトも先生も両親も私を蔑んでバケモノを見る目で見たのに、他の人と同じ普通に見てくれるのが嫌い!初めて胸を揉ませたのになんとも思ってないのが嫌い!」
……こんな
「お願いを聞いてくれたら大切なものあげるからって言ったのに、流したのも嫌い!船の上で抱きついたのに抱き返してくれなかったところなんか大嫌いっ!」
……ことして
「二人三脚のときクラスを裏切ったこと気付いたのに、どうでもよさそうにしていたことも嫌い!私の過去を話したときも驚いていた堀北と違って平然と受け入れてくれた、そんなことどうでもいいってあの時誰もしてくれなかった顔して嬉しくて大嫌い!」
……命請いを
「……テスト結果がああなって、これから綾小路くんを狙うっていったのに面倒くさいくらいにしか思ってなくて嫌い!……久しぶりに部屋に入れてちゃんと取引してくれて、嫌ってない避けてないって言ってくれたのが嫌い」
……しないと
「……堀北より胸が大きくて魅力的だと思うのに、いつも堀北に味方するところが大嫌い……愚痴を聞いてくれても何も脅したりせずに受け入れてくれて大嫌い……綾小路くんの部屋の鍵持っているたった一人の女の子なのに、取り上げようとして大嫌い」
……
「もう駄目だって時に白馬の王子様みたいに現れて助けてくれたことが、女の子が、恋した女の子がどう思うか、まるで分からずに、交渉とか言い出すところなんて……もう大っ嫌い」
……あれは無いだろう、無いよ。絶体絶命のピンチに気になっていた男の子が助けてくれるなんて憧れの場面で、真っ先に録音録画の確認して交渉だよ。殴らなかった自分を褒めたいよ。あそこで抱きしめるでも頭を撫でるでも何でも良かったけど、外すんじゃないよ。本当……
「……唐変木で私よりも他の女の子を優先して、私を見て相手をしてくれない綾小路くんなんて、大っ嫌いっ」
限界だ……私の馬鹿。
ベッドの上の枕を手に取り顔を覆う。綾小路くんの顔なんてまともに見れなかった。
呆れているのだろうか、いやいつも通りのポーカーフェイスだろう。もう、どうすればいいんだろう。めちゃくちゃだ私。
啜り泣きながら枕の匂いをかぐ、綾小路くんの匂いがする。暖かい気持ちにさせてくれる匂いだ、それと……あれ、これ……どうして
「堀北の匂い……!?」
溜め込んでいた全てを吐き出すように叫ぶ櫛田に、想像以上にオレは櫛田の聖域になっていたことに対して口角を上げる、使えると。
しかし溜め込みすぎだろう、あそこまで嫌いと言われ続けると少し凹む。言葉に気になる所があったが、後にする。櫛田をもう少し落ち着かせてやらないとならない。
そう思い近づいて抱きとめて慰めることにする。「言いたいことがあるなら言えばいい。受け止めてやる。オレにぶつけろ」辺りで良いか。そうすれば櫛田は、さらにオレから逃れなくなる。一歩踏み出したときだった。
「堀北の匂い……!?」
今までの人生で、これほど鬼気迫る声を聞いたことは少ない。枕を嗅ぎスカートから下着が見えていることにも気にせず、立ち上がりベッドを嗅ぎ始めた。
出来る限り呆れたようなため息を吐く
「馬鹿なことを――」
「間違いないよ、この匂いは堀北の、女の匂いに間違いない。枕の……ちょうどこっち側に頭を預けて寝たんだ。ここで、堀北が」
匂いとはなんだとかベッドの上を嗅ぐなというようなことを言っても意味は無い、理性とか合理性を超越したところで確信している。これが女の勘という奴なんだろうか、今の櫛田にはどんな説得も効果ないだろう。
「そうか……そうだったんだ――あいつっ」
おもむろにベッドを嗅ぐのを止めて枕をベッドに放り投げると、制服のボタンを外して衣服を脱ぎ始めた。
突然の行動だが、どう進もうとオレにとって美味しくなりそうなので、制止の言葉を出しながらストリップを見物することにする。
瞬く間にブレザーを脱ぐ。畳むことをせずに投げ捨て、オレが目を背けずに見ていることを確認すると、身体の正面をこちらに向けた
「――っ」
俯き恥じらいの表情をしながら、ポロシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外す。身体を赤く染めているが演技が入っているだろう、相手に見せようとする気持ちが伝わってくる。
巨乳と美乳の中間の乳房を支えるライトオレンジのストライプブラジャー。
しっかりとくびれた肉付きの良い腰周りだが、色気よりも健康的なイメージが先行する。
ポロシャツを脱ぎ捨てるとぶるんと乳房が揺れるのが楽しい。
スカートに手をかけてファスナーを下ろして足元に落とす
上のブラジャーと揃いのライトオレンジのショーツ。を見せて
立ったまま靴下を脱ぐ、胸の谷間を見せつけながら両方の靴下を脱いだ。
「どうかな、堀北よりも良い身体でしょ」
据わった目つきでこちらを見てくる。恐怖と羞恥のために身体を震わせているが、強く押さえ込んでいるお陰でよく見なければ気付かないほどにしか身体を震わせていない。
「なんのことだ」
「いいよ、もう分かっているから、堀北としてるんでしょ、綾小路くん。何時からかわからないけど付き合っては無くても、身体だけでも関係があるよね。あの初心な堀北がそこまでやるとは思ってなかったから、油断した。道理で、私よりも堀北を優先するわけだよ」
鈴音と肉体関係を持った時期など色々突っ込みたいことがあるが、鈴音と肉体関係があるという大きな事実があるので変わりはしない。
「だとしたらどうする」
「……私ともしてよ」
「何?」
終着点は目論見どおりに言っていることに、暗い愉悦を感じながら櫛田を見る。度胸のある櫛田と言えども、男の前で下着姿一つで誘うのは恥ずかしいのか声が小さい。
「……私とセックスしてって言ってるの。さっきの条件に私から差し出すものに身体を加えて欲しいって言ってるの。綾小路くんも私の水着姿とか見て、胸とか腰を視てたよね。それなりに魅力的ってことでしょ、私。卒業まで、綾小路君は私の身体を好きにしていい。どこでも、どんなことでもする、その条件でさっきのこと考え直して……それとも」
そこで一瞬目に尋常ではない光を灯した。
「堀北は抱けても、私は抱けないくらい魅力ないのかな」
「いや、充分魅力的だな。どこでも、どんなことでも好きにしていいんだな?」
「……身体に傷をつけたりしなければだけど」
「わかった。条件を詰めよう」
最初に胸を触らせてきたときもそうだが、櫛田はパニックになると頭の回転が弱くなるな。下着姿を視姦しながら、条件を書面に明記しながらそう思う。鈴音を匂わせると、あまりにもこちらに有利すぎる条件で纏まった。
この条件なら、櫛田を使って誰かをハニートラップしにいくことが可能になってしまった。
先程の四つ目の条件を取り下げて他はそのまま、肉体関係のことは別の書面に記入した。尤もこちらは後で燃やすが
「……燃やすんだ。証拠にしなくてもいいの?私の弱みだよねそれ」
「それと同時にオレの弱みにもなる。肉体関係を結ぶなんて文章を残してみろ。そういう契約を結ぶ人間だと思われるだろ。分かっていて言うんじゃない」
「残念だなあ、流石だね綾小路くん。それならどうして今は私に書かせたの?正直、とても恥ずかしいんだけど」
「一度書いたら忘れ難くなるのが一つだな。もっとも、お前が反故にした場合、他の条件と同じくお前を潰す。今日なんて可愛いものだと叩き込んだ後でな」
分かっているな、と冷たい視線を送ると櫛田は怯えて震えながら頷いた。今日一日は彼女のトラウマになったのだろう青褪め、それを振りほどくように笑顔を浮かべてきた。
「……じゃあ、そろそろ、するんだよね。それじゃあ、その、シャワー浴びて来――」
「もう一つ、後で燃やすのは、今からお前に教え込むためだ……どんなことでも好きにして良いと言う意味をな」
「……えっ」
思わず後退りした櫛田に、威圧的に一歩踏みこむ。今まで櫛田に梃子摺らされた仕返しというわけではないが、多少手荒く身体に教え込むとしよう、どこか甘く考えている少女に好き放題されるということを。最初が肝心だ。
肉体関係を結ぶと櫛田に書かせた書面を突きつける。
「読め、口に出してはっきりと読んで契約内容を心に刻みこめ」
「……え?」
信じられないような表情で固まる。
「読めないのか」
「……だって、こんな、恥ずかしいこと」
「なら、契約違反だ」
有無を言わさずに、櫛田の両腕を後ろ手にして掴みゆっくりと玄関に向かって歩き出す。抵抗しようとする櫛田だがビクともしない。
「や、嫌。なんで、こんな……」
「もし、今日悪い評判が広がった人気者が下着姿で男性居住区の廊下で目撃されたとしたらどうなると思う?」
オレの言葉に想像して顔面蒼白になる。
「言ったはずだ、櫛田。契約を反故にした場合、今日なんて可愛いものだと叩き込――」
「読む!読むから……止めて」
その言葉を聞き手を離す。床に倒れ込み苦痛に顔を歪める櫛田の目の前に、書面を落として一歩下がった。
女の子座りでこちらを見上げながら怯えて震える櫛田。
「……こ、これを……読むの?」
まだ何か希望を抱いているのか見上げてくる櫛田に手を伸ばそうとすると、ビクッと震えて話始める。
「わ、私、櫛田、桔梗は」
「声が小さい。オレをしっかり見て一字一句しっかりと読め」
もう一度大きく震え、恨みっぽい視線でオレを見上げると、震える唇を開いていく
「……誓約書、私、櫛田桔梗は……高度育成高等学校を卒業するまで……綾小路清隆の……せ、性処理の相手を……務めることを……誓います。
一、過度の損傷以外の全てを……受け入れます。
二、あ、綾小路清隆に……満足していただけるように……務めます
三、私、櫛田桔梗の、身体を、味わって、楽しんで、くだ、さいっ……ぐすっ
以上に反した場合、綾小路清隆は、すんっ……櫛田桔梗に対する一切の庇護を、止めます……。っ櫛田桔梗」
時々言葉を詰まらせながらも、どうにか櫛田は最後まで大きな声ではっきりと読み上げた。
何度読んでも頭のおかしい阿呆な文章だ。意訳して『卒業までセックスフレンドになります』という文章が、櫛田が恥ずかしがりながら書くのを見て、鈴音ならどうするかを匂わせたら櫛田の手でこうなってしまった。櫛田の中で鈴音がどうなっているのか知るのが恐い。
涙でぬれた文を焼却する決意を固める。残した場合櫛田よりもオレの危機だ。
「酷い……酷いよ。こんなこと、しなくても、私、こんな……酷いこと」
「今まで何度も裏切ったのは酷くなかったんだな」
裏切るのではなく相手を裏切らせて一見被害者になりながら勝利するのが正道だし、そもそも櫛田が自分で考えて書いたのだが、それは置いておく。
「……だってっ、私……っ」
俯き泣いている櫛田の髪を掴みオレと目を合わせる。
「オレを満足させるんだろう、ただ泣いているだけで満足すると思うのか」
「……っ、痛いっ……」
「勘違いしているようだな、櫛田。お前はオレと交渉したんじゃない。オレのモノになるための条件を受け入れてオレのモノになっただけだ」
「うぅ……ひっ」
櫛田の左乳房を鷲掴みにして揉む。手で掴み切れない柔らかく弾力のあるふくらみを強く揉まれ、櫛田はびくんと震えた。
「聞いておこう、この胸は誰のものだ?」
「……あ、綾小路くんの……」
怯え羞恥に顔を染める櫛田の掴んでいた髪を離して軽く撫でる。ただそれだけで安堵した表情を見せる櫛田。
「自分がどうなったのか良く理解できたな?」
コクリと幼さすら感じるほど素直に櫛田は頷いた。正直もう少し抵抗されると思っていたが、まあ、良い。
「あっ、両方……んっ、んっ、あっ」
立たせて、櫛田の乳房を少し楽しむことにする。もちのような柔らかさと下着の感触がする。
一見成熟していると思える大きさだが、少し力を入れると芯に硬さがある少女の乳房。
指をめり込ませた分だけ押し返してくるだけの弾力がある。先程とは違い優しく丁寧に解すように揉んでやる。
「んっ、んっ、くっ」
「敏感だな。揉まれるだけで気持ちいいのか?」
「ちが……感じてなんかぁ」
顔を背ける櫛田の顔は上気している。それなりに快感を覚えているようだ。
何人くらいの経験有りか確認しておくか。
「今まで、何人の男と寝たんだ?」
「えっ!?」
「男性経験だ、櫛田は今まで何人と犯ったんだ?」
「……――っ」
顔を俯けて黙り込んでしまった。何かを投げ捨てたようにあまりにも反応が薄い、少し挑発するか
「処女かどうかなんて、俺は気にしない。秘密を護るために嫌いな男に胸を触らせるくらいしたし、今も身体を売っ――」
思い切り太ももを蹴り飛ばされた。そこまで痛いわけではないが覚えがある痛みは続けて何発もきた。
「バカ言わないでよ!初めてだよ!処女だよ!未経験だよ!そんな軽い女じゃないよ!だれも寝取ってない!誘惑していない!」
顔を怒りで真っ赤にして、一言ずつ怒鳴りながら蹴ってきた。最後の言葉に櫛田の過去が透けて見えた、挑発は上手くいったが痛い。
「綾小路くんのモノになったからって、何でも言うこと聞きはしない!決めたからね、私は嫌だということは嫌だと言うし抵抗する!……処女だって、信じられないのなら信じなくてもいいよ。私を犯した後処女だったんだって言わせて、腹の底から笑ってやる」
肩で息しながら気合入ったことを言ってくる。
「ああ、それでいい。よほどではない限り、オレも契約を破らない」
言いなり人形犯しても何の楽しみも無いからな。
「でも、どの程度で破るかを決めるのは綾小路くんなんだよね」
「無論だ」
「……最悪、絶対に生殺与奪権握られたらまずい人に握られた」
櫛田らしい返答に口角を上げる俺を見て、櫛田が怯えたように一瞬眉をゆがめるが目は逸らさない。
「普段人形みたいに表情変えないのに、こういうときだけニヤリとするのは恐いよ。悪人みたいというか綾小路くん悪人だよね。女タラシの唐変木の極悪人」
怯えながらも震え声で強がる櫛田に威圧させるように一歩踏み込む、顔が触れてしまいそうな距離。
心臓を握り締められてなおここまで頑張れるとは思っていなかった、それとも握っているのがオレだからかと埒も無い考えを抱きながら次の行動に移る。
櫛田が身体を一瞬震わせ顔を背けた瞬間、顎を掴んで目と目を合わせて念を押すように訊ねる。
「本当に、お前は処女なんだな?嘘だったらどうなるか判ってるよな?」
「……当たり前だよ」
弱弱しく肯定する櫛田、恐怖と羞恥に身体を震わせている。
「それなら、証拠を見せてもらおうか?」
「しょ、証拠、って……ど、どうやって、そんな……」
櫛田は後ずさろうとするが、オレに顎を掴まれていてどうしようも出来ずに震えを大きくする。そこにいるのは、年齢相応の恐れ怯える少女でしかない。
追い詰めた櫛田を見ながら、上着を脱いでベルトを外し、準備を整える。
露わになったオレの上半身から目線を外し、櫛田は僅かにうつむいた。
「なんだ、男の上半身くらい見たことあるだろ」
「……こんな時はないよ。下は脱がないんだ」
ちらちらとオレの上半身を見ながら顔を赤らめて聞いてくる
「ああ、お前に脱がしてもらう予定だからな。」
「……最低……ところで、証拠って?」
「ああ、それなんだが」
櫛田の腕を逃がさないようにがっちりと掴む
「膜があるか目で見て確かめる」
「――ぇ」
許容限界を超えた一言だったのか、目を見開いた後暴れ始めた。
「嫌、嫌だぁ、そんなの嫌ぁっ、変態っ、変た――」
必死に抵抗する櫛田をベッドに押し倒す。
「きゃあっ」
太腿をがっちり掴み、まんぐり返しのポーズをとらせる。
さらに太腿と手を非粘着固縛テープでグルグル巻きにして櫛田の動きを封じる。
巻いた上に棒を置きさらにテープを巻いて足を閉じられなくして動きを封じた。
堀北に使わずに、まず櫛田で使うことになるとは思ってはいなかったが、非粘着固縛テープの赤い色は櫛田によく似合う。
「いやぁぁっ!こんな格好させないでぇぇ!」
あまりに恥ずかしい姿勢を取らされた櫛田は恥辱の悲鳴をあげた。まだ膜確認の一合目にも達したばかりでこれからが恥辱の始まりだというのに
「良い格好になったな、櫛田」
「嫌っ、見ないでよっ、バカ、うぅっ、ほどいてっ!恥ずかしいから、ほどいてっ!」
完全に拘束されているために、暴れることも出来ない。彼女に出来るのは身体を揺すり、顔を振るだけで精一杯だ。櫛田の豊満な身体が揺れ動いて俺を楽しませること以外何も出来ない。
「そんなに恥ずかしいのか?」
「恥ずかしいに決まってるでしょ!私っ、初めてなのにこんなことされてっ!明かりも消さずに、シャワーもなしでっ、酷いよ、酷い……っ!」
堀北もそうだが櫛田も明かりを消して欲しかったようだ。しかしシャワーか
「私、学校から帰って着替えてもいないしシャワーも浴びてないから、すごい匂っえっ」
「確かに汗臭いがそこまで気にしなくても大丈夫だろ」
そう言いながら、秘所のあるあたりをツンツンとパンティの上から突きながら匂いをかぐ。ツンと汗の臭いがしたが気にするほどとはとても思えない。
「ひゃっ、やっ、やぁぁっ臭い嗅がないでっ、触らないでえっ!」
「ここももうオレのモノだろう。自分のモノの匂いと感触を確かめて何が悪い?」
腐れ外道なことを言いながら、これはオレのモノだと主張するようにあちこち突く。
「あっ、やっ、駄目っ、んんっ」
本当に処女なのか疑わしいほど櫛田は敏感な声を上げる。こちらに向けてくる視線もマイナスな感情は羞恥や怯えや怒りなどはあるが、嫌悪の色がほとんど無い。
一言で言って、オレがする行為を受け入れてしまっている。抵抗のしようも無い危機的な姿勢を取らされているのが原因かと思ったが、最初から櫛田は行為自体は受け入れていた。
「まぁ、いい。櫛田のまんこ、しっかり奥までみて処女膜を確認しないとな」
「あ、ぁぁ、うぅ……」
きゅっと眉をよせて、羞恥に赤く染めて動きを止めた。身体を震わせているが抵抗はない。
このまま脱がせるとショーツのゴムが伸びきるかもしれないがそのときは弁償しよう。ショーツに手をかけた。
「ひっ」
「櫛田の大切なところ見せてもらう」
ゆっくりと嬲るか一気に引き剥がすか迷ったが、櫛田の短い悲鳴を聞いて決めた、一気に引き剥がす。
「これが櫛田のか」
大きく脚を開いているのにもかかわらず、愛液がまだ溢れていない薄桃色の秘所はぴったりと閉じていた。
この年齢の少女の平均的な量の栗色の恥毛はしっかりと手入れされ綺麗に刈り込まれている。
わずかに大陰唇の入り口周りに色素が沈着しているところが、自慰行為を示しているが良く見なければ分からないくらいでしかない。
十中八九処女の秘所だった。
「そ、そんなに見ないでよ」
恥じらい顔を背けながら櫛田は言ってきた。拘束され恥ずかしいところを男に見られるというアブノーマルな状況も手伝い、羞恥の極致に達している。
「わ、わかったでしょ、私……処女だって、だから離して」
弱弱しく哀願してくる。当たり前だが、聞き入れることなく、視姦しながら続ける。
「確かに、形も色も綺麗だな、ここだけ見たなら未使用に見えるかもしれない。毛はよく手入れされている。いや、でも少し黒ずんでるな、ここ」
「ひぅっ……」
割れ目をなぞるとピクリと震わせ、恥ずかしさのあまり唇を噛む。実際は黒ずむほどではなく僅かに赤く濃くなっている程度だが
「処女なのにここが黒ずむとか、どれだけ触ればこうなるんだ?」
「……」
だんまりを決め込んだらしい。顔を背けている。背けた先に時計を置き、きっかり三分待った
「分かった質問を変えよう――普段おかず……オナニーするとき何を頭に思い浮かべているんだ?」
「…………」
段々質問内容が酷くなっていくことに気付いたのだろう、泣きそうな目で睨んできた。最後まで答えなければどうなるのか、想像出来ない櫛田ではない。
身体を震わせだらだらと汗を流す。時計とこちらを見て、懇願するように見てくる。
二分過ぎたときガクリと全身の力を抜いた。ぼそりと呟く。
「……あんた」
「は?」
「……あんたに、胸掴ませた、ときのっ、ことっ、思っ……思っぅぅぅ」
羞恥の限界をはるかに超えて、耐えられなくなったのだろう泣いている。素で泣いている。
色々な意味で居たたまれない気持ちになってきた。
堀北は脇腹揉まれた時だからお前ら気が合うなあ、なんて言ったら間違いなく殺される。
まさか櫛田がとは、櫛田から感じる感情が愛里や佐藤のものとは違っていたから油断していた。
今日櫛田が来てからのことが、走馬灯のように過ぎる、鬼畜過ぎるだろうオレ。反省しないし、必要ならまたやるけど。櫛田はピクリとも身体を動かさずに涙を流すだけだ。
何もかも馬鹿らしくなり櫛田の割れ目を舐め上げる。
「ぅぅぅ……ひゃっ」
こちらに顔を向ける櫛田の顔は呆けている。涙に潤ませる櫛田の目を見据えて口を開く。
「櫛田……何度も言うが、お前はオレのものだ。お前がどう思うと、オレはお前を手放したりはしない」
「あっ……ふ、ふん、そう……あうっ!」
まだ湿り気を帯びているだけの柔らかな秘裂を軽く撫でる。
「とりあえず、お前をじっくり味わう」
「……ふんっ、わかったよ。優しくしてよ、この鬼畜」
ふっと表情を緩めた櫛田の目を見返しながら、秘所の花びらに指先に力を入れてゆっくり左右に割って行く。
「……なあっ、だ、だめぇぇぇぇぇ!」
さらに力を入れて大陰唇を拡げて櫛田の全てをさらけ出す。別に鬼畜と言われたから、鬼畜なことをしているわけではない。
「見えてきたぞ櫛田……明かりに照らされて綺麗なピンク色だ」
「……あ、あんた、さっきの、今でっ、こんなことっ、どこまでっ」
開かれて白灯に照らされる粘膜がキラキラとピンク色に光る。自分でも腐れ外道なことしていると思うが、やられて最も恥ずかしいところ見られている櫛田の比ではないだろう。怒りと羞恥で沸騰しそうなほど顔を赤く染めている。
「お、見えた」
「駄目っ、ああ、見ちゃ、駄目っ――……」
部屋の明かりに照らされて、ピンク色に光る粘膜の先、膣口のすぐ内側にあるフリル状の薄いひだの処女膜を確認する。
「本当に処女だな、しっかり処女膜がある」
そういいながら櫛田の顔を見る。ただでさえイベント盛り沢山だった一日、気力体力ともに削っていたときに極限の怒りと羞恥で精神の限界が来たのだろう
「……ぁ……はぁ……」
櫛田は意識を完全に飛ばしていた。
とりあえず拘束したまま、準備したりして待つとする。
最初はキスをしよう。櫛田の穏やかな寝顔を見ながらそう決意した。
エロ薄めですいません。
次回は本当に何時になるか分かりません。
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