何で、エロ書いてるのに、男同士の話し合いで一話使ったのだろう。
綾小路くんに女性との交際で納得させられるのが、南雲くんか高円寺くんか龍園くん位しか居なくて、高円寺くんは斜め上に行って龍園くんは他に役があるって、南雲くんしか居ないからなんですけどね。
背筋の震えが収まった。何なんだろうなこれ。
「仕方ないな。お前に利を見せてから口説き直そう……ああ、帆波で苛つくことを思い出した」
「何をだ」
「ミスをしたんだよ。昔のままの帆波なら、私物として最適だった」
「そうだろうな」
「お前が立たせるまではだが」
オレを責めるように見てくる。
「そう言われてもオレはオレの都合で動いただけだ」
「それは分かっているし苛つくが。俺が苛ついてんのは俺の認識の甘さだ。それで」
そこでもう一度鈴音達三人、いや朝比奈先輩を見つめる。
「なずなに助けられて、借りを作ったのが何ともな」
「助けられた?」
「帆波にポイント引き換えに付き合おうとした時、お前になずなが相談して、お前が帆波を助けただろう……ああ、否定する必要はない。裏取ったからな」
「裏を取らなくても今となってはあんたに隠す必要はない。否定する必要もない……しかし、朝比奈先輩はクラスと一之瀬を助けるために数撃ちで話したと思っていたが、違うようだな」
「お前にだけ相談したんだよ。助けられるのはお前だとな。半分賭けと勘だったようだが、結果正解だった」
「それでクラスと一之瀬を助けられたのだから大したものだな」
「勘違いするな。あの時なずなが助けたかったのは俺だ。他を軽視していたわけじゃないが、俺を助けることに重点を置いていた」
「クラスと後輩ではなくあんたをか」
あの流れだ。一之瀬とクラスの為だと思っていたが、南雲のためとはな。
「そこがあいつの可愛いところだ。あのころの俺は、なずなに何を言われても自分の認識に固執していたからな。外から結末を変えるのは正しい。男の為にあそこまで動いてくれたなずなは良い女だ。お前のことを言わなかったことも今なら納得している」
「オレがしたのは、仲介しただけだ。だからあんたに言う必要はないと判断したと思わないのか?」
「なずなは、あの状況で手段を考えて実行する奴を過小評価する奴じゃない
なずながお前と密かに手を組んでいたことも、俺は知っている。そしてそれに感謝している。なずなにはなずなの考えがあった、そしてそれは正しかったそれだけのことだ」
「朝比奈先輩の考えとやらに満足しているようだな」
まいったな。自分の過ちを率直に認めるとは、以前にはなかった安定感が南雲を包んでいる。なんらかの争いをすれば負ける可能性がある。
相手の感情を揺さぶるのは交渉の基本であるが、先程のは効きすぎたか。面倒だな。
「あいつの考えはただ一つ、俺と遊びではなく真剣に交際することだ。常にその為に動いてくれていた。
なずなは、俺と遊びでなければ付き合っていいとずっと言っていたのに、遊びで誘い続けてなずなを傷つけていたのは俺だ。色々な女に『愛している』と囁きながらたったひとりの女の恋心にさえ気付かなかった俺は、愚かだった」
こいつ、本当に南雲か。朝比奈先輩が首輪になればと思って手を組んだのは確かだが、ここまで効果があったとは。
本格的に手を組む時、南雲と本気で付き合いたい。と言っていたが、望みを叶えたのか、大したものだ。
何故か背筋が寒く、股間が竦み上がるが。
「お前と組んだのも、俺と遊びではなく本当に付き合おうとしているためだった。これで喜ばないのはどうかしている。実際あの時危なかった」
「そうか?」
「あの時の俺は堀北先輩に夢中で、帆波はあくまで暇潰しの私物だった。だから、帆波の変化にも気付いていなかった」
「変化?」
そういえば、あの頃から一之瀬は挙動不審になり始めたな。
「ああ、なずなが気付いた変化だ。あの頃、お前と帆波が朝共に登校したときなずなが話しかけたな」
「ああ、あったな」
「あの時、なずなは帆波の態度から直感した。帆波の変化と俺の愚行をな。お前に俺のことを話したのは、それもあったらしい」
「勘を根拠にしているように聞こえるな」
「なずなもそう言っていた」
「勘とは大したものだな」
呆れ混じりの言葉に、南雲は昔どおりの上から目線のふてぶてしい言動で答える。なんか、懐かしいな。
「教えてやる。女の勘というのは二つある。文字通りの勘と、男にはない観察力で得たいくつもの兆候を独自の理性と合理性で分析した結果を説明するのが面倒で勘と言う時だ。なずなのは後者だ。内容を聞いたのはつい最近だがな」
「なるほどな。なら女の勘と言われても信じるな」
愛里とかがそうだな。
「まあ、そこまで勘が冴えることは余りないらしいから当てには出来ない。なにより、あの時話されてもリスキーで女とセックスするために、都合のいい屁理屈を並べ立ててそれを『愛』などど飾り立てて相手を誤魔化し見下していたころの俺は、帆波をポイントで買い付き合っていただろう。始末の仕方は分かっているとな」
重い溜息をひとつ吐く。
「あのまま付き合っていたら、命が危なかった。なずなには感謝しかない」
「大袈裟だな」
何故か一度瞑目する。
「綾小路、お前こういうときバカでアホで残酷だな」
「いきなりなんだ」
「そのままだ。もしだ。もし、オレがあのまま帆波と付き合っていても、お前帆波との付き合い変えたか?」
「いいや」
一瞬宙を仰ぐ南雲。
「やっぱ、命が危なかったな。あのまま付き合っても、帆波はなんだかんだ理由つけて逃げていただろうよ。モノにした女に袖にされたんだ、俺は無理矢理にでも犯しただろうな。で、お前はどうする?」
「どうするも、友人とはいえ他人のプライベートだ。話くらいは聞くだろうし相談にも乗る。訴えるにしろどうするかは一之瀬次第だ。それが?」
南雲と一之瀬を互いに消滅させるか、どう転ばすにしろそれがベターだ。
「他人、他人ね。成程、お前の事がまた一つ分かった。お前は情緒に欠けた奴だ。他人をロジックで認識してリリカルを認識できていない」
「否定できないな」
「悪いことは言わん。そう認識して行動しろ。面倒ごとをふやしたくなければな」
顔に手を置いて呆れたような溜息を吐く。オレが世間一般と呼ばれるものに弱いことは否定できず南雲の話をそのまま聞く。
「変わった帆波をモノにした場合、帆波は潰れそうになったときにはお前のところに行くだろうな。あいつの唯一の救いだからな
……磨耗しきった心で会うのは、いつも態度を変えずに受け入れる綾小路。たとえ俺に犯されたことを話しても、綾小路は変わず話を聞いて相談して受け入れるだろう。
……帆波なら、俺が愛してると言いながらその実セックス人形として扱っているといずれ気付く、そんな俺と変わらず受け入れる綾小路」
喋り始めたと思えば、ブツブツ呟きだし手で隠れた表情が悪くなっていく。
「……自分を見てくれるのはどちらなのか……別れたくとも、付き合ったら別れると言い出せないらしい帆波だ
……負の感情を向けてくる帆波をモノにしようと俺はさらに色々やる。疲弊し悄然とした帆波を変わらず受け止める綾小路。
……俺とポイントを引き換えに付き合ったと、クラスメイトにバレてクラスが崩壊した時がタイムリミットだな。体と心を汚された自分では想いを告げられず、犠牲にした意味さえなくなったと感情を爆発させるのは。
……思い詰めて、衝動的に万引きして成功した帆波だ。腹だと思いたいが、確実を狙って首だろうな」
「あんた大丈夫か」
遠い目をしたと思ったら、いきなり腹の辺りと首を刺されたように押さえる。顔の下半分が見えないから唇も読めない。
おかしくなるなら話終えてからにしてくれ。
「いや、もういい。俺も相当非情だと思っていだが、お前より有情だということがわかった」
失敬なことを言ってくる。
一言言いたいが、命の瀬戸際から離脱した表情をしているこいつを刺激する必要がない。
「そうか、なら、一之瀬と付き合うつもりはもうないのか」
「遊びで済まない相手には手を出さないのが、遊びの秘訣だと言っただろう。今の帆波は遊びじゃすまない。なら答えは自明だ。なずなもいることだしな」
「そうか」
何故か安堵するオレに、にやりと笑みを浮かべてくる。
「そうだな。例え話だが、俺がそこの二人と付き合うと言ったら、どうする?」
「後悔が出来るならお前は運が良いな」
反射で返した自分とは思えない言葉に自分で驚く。南雲は愉しそうに笑みを深めた。
「はっ、なかなかいい感じになっているな。なら一つアドバイスだ」
「なんだ」
「お前が何股かけているか知らないし知るつもりもないが、自分が何股もかけるのならば、相手も何股かけても仕方ないことを納得しなくとも理解しておけ」
「……当然だな」
さらに愉快そうに笑顔を深める。
「ははっ、お前のそんな顔を見れるとは今日の俺は運がいい」
「放っておけ、話の続きはどうした?アドバイスは?」
「アドバイスしてもらう側の態度じゃないな。まぁいい。実例で話そう。俺が以前六股をかけていたときの話だ。ああ、全員他に股をかけていると教えた上で股をかけた。で、その内の四人がほかに付き合っている男がいた。二人は付き合う前から二人は付き合った後の違いがあるがな。他二人は男は要らないといった、俺だけで良いんだと。で、最後の二人が今どうしているかわかるか?」
「最後の二人は、今は学校に居ない。大方、あんたが以前退学させた中に居たんだろう」
「正解だ」
ぱんぱんと気のない拍手をする南雲。
「どうして退学しているとわかった」
「あんたが朝比奈先輩とだけ付き合ってから、あんたと付き合っていた奴が事を起こした話を聞かないからだ。他に男が居たり見つけた連中はともかく、あんただけで良いと言っていた連中は、居れば朝比奈先輩に危害を加え得る明らかな邪魔者だ。
なのに、あんたがその二人どころか、誰かを排除したという噂さえ聞いていない。ならば、もう居ないと考えるのが一番合理的だ」
「お前の読みはあってる。ポイントか他の男で済むやつ以外は、お前に負ける前には処分していた。遊びで済まないややこしい相手を早めに処分しないほど俺は馬鹿じゃない。あいつらも他に男を紹介した時に逆らわなければ、退学はしていなかったんだがな。馬鹿な奴等だ」
「盲目過ぎる連中か。処断したのは英断だな」
「そうだろう」
そこで、真顔になる南雲。
「やっぱり、俺と遊ばないか。お前に比べれば堀北先輩も情に傾きすぎていたぞ。あそこで橘先輩を救ったからな」
「そう決め付ける必要はないだろう。橘先輩というピースが、当時の3年Aクラスに必要不可欠だけだった可能性のほうが高い」
頼むから肉食獣のように笑うな。付き合っているのが、馬鹿らしくなる。
「で、アドバイスからかけ離れているが話は終わりか」
「いや、ここからだ。他の四人、どうして他に男が居るままで放っておいたと思う」
「リスク軽減と処分先確保、後は男への報酬のためにじゃないのか」
「それもあるが、一番は女に選択させるためだ。誰がいい男なのかをな」
「……おい」
思わず突っ込む。
「他の男とベッドの中で同衾しているときに俺の名前を呼び、俺と同衾しているときに相手の男と通話させて電話を放り投げさせ、相手の男が居るときに俺に腕を絡ませさせる。そこまでされても、相手の男が捨てられないよう、俺に媚びた笑みを浮かべながら女と俺が同衾しにいく姿を見送らせる。分かるか、雄としての快楽はここにある」
「……今はやらないのか」
「快楽はあったが、今ほど楽しくなかった。なずなと過ごしている今はそう思う。俺が堕ちた今、あの四人以外の連中も他の奴の上で腰を振っているだろう。正直清々している」
「……とりあえず、朝比奈先輩の身に気をつけろよ」
ひと風呂浴びたようにスッキリとしたこいつを復活させたのは間違いだったかも知れない。
「一通り始末はつけているからな。お前が心配する必要はない。第一、同学年に残っているのは面従腹背するか。誰かと協力しないと俺とやり合おうともしない奴だ。桐山のようにな」
「何故桐山先輩の名前を出すのか分からないな。にしても、邪魔者は排除していたか。朝比奈先輩は、あんたがオレに話したことを知っているのか」
桐山の名前を出すことで、揺さぶろうとしたが、オレの表面に波紋一つたつ筈がない。何時も通りに返す。
南雲を信頼している朝比奈に自身の汚い部分を見せたのかと。
「お前は桔梗に俺と組んで桔梗を嵌めたと伝えたか」
一段と声を落とした南雲の問いに、肩を竦めて返答にする。笑みを深めるなよ。
「恋愛に秘密は当たり前の事だ。バレたときに、相手が許してくれるように積み上げればいい。そうだろう」
許すか。理解でも納得でもなく許す。相手に許してもらう。
こいつ、朝比奈先輩に本気だな。そして
「ああ、オレも許して貰えるように積み上げないとな。あんたと同じく」
「お互い頑張ろうぜ」
口約束とはいえ、不可侵条約を結べたな。
笑みを深め、そうと分からないくらいの警戒に張っていた力を抜いた南雲を見て確信する。
今の南雲はオレにとって、ややこしいことをするだろうが、本気で害になることはしない。
互いの弱点をさらけ出し、そこに手を出さないと明言したからには、今まで言い続けたように「遊び」で終える。
あちらが一人、こちらが二人なのが、問題だが大した問題ではない。
「逸れて良かったとはいえ、また、話がそれたな。
お前なら分かるだろう。他の奴に報酬として女を宛がい普段の管理を任せ、必要なときにだけ愉しみ、捨てるにしても手短に済む有用さが。俺が長年複数の女と付き合って得た一番のやり方だ」
南雲は、後宮のようなものを手持ちで組み立てたわけだ。もちろん、南雲の影を極限までに薄くしただろうが、その辺りはオレが気付くと理解しているな。
確かに有用な手段だ。
「性交の快楽だけでなく。手駒としても役立つか。確かに有用だな」
「流石だ。お前とは会話になる」
似たことをやろうとしたしな。ある意味、南雲以上に非情なことを。
昔、ハニトラ要員を必要としていた時を思い出しながら答える。
「参考になった。だが、あの二人をそうするつもりはない」
「だろうな。まあ、俺にとっての答えを当て嵌める奴は面白くもない」
「これが、あんたのアドバイスか」
暗に、本命の不可侵条約を結べたからもういいだろうと告げる。当時、互いに邪魔だった桔梗を処分するときには結べなかった不可侵を結べたのは、オレにも南雲にも上等な結果だ。
「ん?いや、有益な話だったが、アドバイスは違う」
「……そうか」
意外だ。アドバイスをくれるらしい。
「そうだ。この話で肝なのは、股をかけるということはごく自然に比較し選択するということだ。男も女もな」
話の流れが益がある方向へ流れた感覚がする。
「比較と選択か……」
「そうだ。当たり前だが、複数股をかけるとどうしても一人当たりの時間は減る。それは解るな」
「ああ」
「つまり、女は一人か別の誰かと過ごす時間が増えるわけだ。その時間、女がぼんやりとお前のことを想っているとは思わないだろう」
「それはな」
「女は比べる。最初は自分と同じく抱かれている女を見て、自分との優越を比べ始める。相手よりルックスでどこが優れているか。男と過ごす時間は長いのか短いのか、何をどうされたかをな。
ああ、他の女の存在を隠しても無駄だ。何時かバレるからな。その前にお前から言っておけ」
心当たりに深くうなずく。恵が鈴音と桔梗に気付かれたのは、オレの気配がしたとかの理解できない理由だからな。隠しても害にしかならない。貴重な教訓だ。
「そこまでは女同士の内ゲバだから楽だ。優越感を適度に擽れば良い。
だがそれで、比較することに慣れた女は、次に男を比べ出す。あの男は今の男より自分を見てくれる。一緒にいてくれる。自分が一人でいる間、今の男は他の女といる。なら他の誰かに情を移すのは必然だろう」
どうだと見てくる。正論だ。頷くしかない。
「そんな時間でも、お前を脳裏に浮かべさせる方法は一つだ。お前を他の誰よりも上だと相手に刻み込むしかない。他の男と居るときでも女にお前のことを想わさせるように。相手を観察し欲する言葉行動状況を組み立てていけば、一人で居たり別の誰かと居る時間でも、お前を想わせられる」
「騙すということか」
「遊びならそうだ。俺がやったように劣る男を宛がうなりなんなりして、これ以上の男は居ないと錯覚させる必要がある。だが、本気なら辞めておけ。惨めになるだけだ」
その言葉を聞いて思い出す。
「さっき、あんたが朝比奈先輩に似合っている以外言えないと言った様にか」
「あれは、俺のテクだ。言葉に偽りはないが、タイミングと場所は計算している」
どう考えても嘘で強がりのような気がする。あのときの南雲の必死さからはそんな余裕は感じ取れなかった。
「それを教えてほしいんだが」
「俺のテクをお前が得たところで模倣だぞ。恋に落ちた女は鋭く敏く重い。こいつは自分に本音をぶつけていないと判断すれば、恋慕の対象でなく遊び相手として点数をつけてくる。そこの二人に、そう見られていいなら教えてやってもいいが」
「いや、ならいい……成程、こういう場所でどうするかを聞く自体が間違いか」
「間違っていない。相手が遊びで済ませる相手ならな。王道はある程度誰にでも効果があるから王道なんだ。向こうも王道で返してくれるから、楽しく遊べる」
「……遊びでなければ、下手に知ったようなことをせずにオレの自然体のままでいろということか」
「そうやっても上手くいかない相手とはどうせ上手くいかない、やめておいたほうが良いな。その点、今回の下着をプレゼントするために試着を批評するのは俺から見てもなかなかだと思うぞ」
「……自分でも良く考えたと思う」
言われてみれば、そうだな。これはプレゼントだ。全く気が付かなかった。恵の誕生日プレゼントとは違って、端から見ても喜んでいたプレゼントだ。
そうか。女性の試着する姿を見て下着を贈るのはアリなんだな。
「……前言撤回だ。お前は情緒に欠けた奴だった。お前には、まず一般的なやり方を教えたほうがいいな。まず、今がデート中だというところから説明するか――」
南雲はオレの様子にため息一つ吐くと、デートなのか今と衝撃を受けているオレを胡乱な眼差しで見つめながら具体的なやりかたを教え始めた。
11.5刊で、堀北兄が橘さんと付き合って、綾小路くんに恋愛の刺激を与えて欲しい。