ようやくセックスになってきました。
「んっあっ」
舌と舌を絡み合わせ唾液を交歓しながら、ゆっくりと帆波の乳房に手を置く。
裸体に直に初めて触られピクリと体を震わせるが、今までとは違って受け入れてくる。口づけしたまま真っ赤になった顔を俯けながら、帆波はオレの要求通りに立ちバックの姿勢を守る。
手からこぼれるほどの白い脂肪の塊から、心臓が破裂するのか心配になるほどの速まった鼓動が伝わってくる。
「んんっ……んっ……んんっ」
帆波の乳房に掌を埋もれさせ、その柔らかさと重さを堪能する。
まさに房と呼ぶべきこぼれ落ちそうな乳房だった。触った感触がまた素晴らしい。たとえようもなく柔らかいのに魔法の水でも入っているように固い芯がある。
(収まりきらないな)
大きく、温かく、柔らかい。俺の手では全てを覆うことはできない。ここまでの巨乳はさすがにはじめてだ。
握ればむにゅんと指が沈んで、ぷるんと押し返してくる。
肌は信じられないほどすべすべで、軽く汗ばんでしっとりと指に吸い付く。
白い膨らみの中心部には、二つのベビーピンク色の乳輪とその中心部で控え目に主張している淡い突起が尖らせてぷるぷると小刻みに震えている。
おっぱいの揺れは小刻みどころじゃないが。
「んっ……んんっ」
帆波が呼吸するたびに、ゆっさゆっさと揺れる揺れる。
ここまで、でかいとこういうことになるのか。すごいな。
持ち上げればずっしりと手に重たく、手のひらの隙間からプルンとこぼれていく感触もたまらないが、乳房が艶めかしく形を変える光景こそが、雄の劣情を刺激してくれる。
これだけの巨乳でしか味わえない視覚の悦楽を充分に楽しみ口づけしながら、固く尖って赤みが増した乳首に手を伸ばす。
「んっ、んんっ!?」
敏感な神経が集まっている乳首を触られ、ピクリと一度帆波は体を震わせる。
精神が受け入れ、少しだけマシになったといえども、まだ全く性感らしい性感が発達していない帆波にはくすぐったさしか感じられないが
「はぁぅぅっ!?」
強めにキュッと摘ままれれば話は違う。
今までの愛撫で違う場所での快楽の初歩を知った帆波は、唇を離して弾けるように背を仰け反らせて甘美な声を漏らす。
「にゃ? わ、私、なに……ひうんっ!?」
あまりのことに動揺する帆波が立ち直らないうちに、乳房を鷲摑みにして持ち上げてから、顔を埋めるように乳首に吸い付く。
「ひあああっ!?」
驚きと悦びが混じった喘ぎが帆波の口から漏れ、乳首を転がされるたびに帆波の肢体はビクリビクリと震える。
「んっ、くうっ、ぅうううんっ」
鷲摑みに持ち上げられ下乳を露わにした乳房を鏡に映されながら乳首を責められ、真っ赤になった帆波は首を振って喘ぐ。
当たり前だが、オレは乳首から口を離さない。
舌先に乳首を適切に当てるために、口を大きく開けて、乳輪の周りの脂肪ごと唇をつけて、軽く歯を当てて力を込めて固定する。
「あっ! あああぁぁっ!」
自分の乳首がオレの口に食べられるような光景を見せられながら、頂点から下のほうへ円を描くように、硬い乳首と柔らかい乳輪の境界をなぞりながら舐め回される。
「あぅっ、う、うぅ──っ!!」
見たくないという感じで首を振る。
しっかり見ろ。と意思を込めてコリっとした乳首を甘噛みする。
「ひあぁぁ……っ! あっ、あぁ……」
それだけで軽く達してしまった甲高い声を上げながら鏡に視線を戻す帆波を、さらに責めたてるために適切な箇所に的確な摩擦と圧をかけて乳首をなめしゃぶりながら、固定するだけだった乳房に当てた手を怪しく蠢かせる。
「んっ、あぅっ……! んっ!?」
口のなかで固くなっていく乳首が震える度に、柔らかな帆波の美貌が押し寄せる快楽に歪み、肢体から発情した香りを漂わせていく。
そんな帆波の雌の様子をもっと見たくなり、舌で乳首を転がし唾液で絡めながら、手のひらを押し返すほどの張りを持つ乳房に指を沈め込めさせ、乳首から胸の谷間まで脂肪の下に隠された乳腺に沿わせながら圧迫するように指を走らせる。
「ああんっ!?」
脳髄まで走った甘美すぎる痛撃に帆波の背がさらに仰け反り、喘ぎ声がさらに甘いものになる。
「あぁ、だめ。そんな……シャワー、浴びて、ないのに……んんっ、そんなっ、したら……だめ、だ……んんっ」
胸をオレの手と顔に押し付けてくる帆波の制止のような言葉を聞きながら、乳首から顔を離す。
「硬くしこってきたな」
「あっ……」
唾液でてかてかと光る自分の乳首を見て、帆波が恥ずかしそうに、それ以上に物欲しそうに呻く。
「こっちも張り詰めてきた」
「んっ、あっ、んっ」
さっきの圧迫とは違い、今度は帆波の乳房の形状を探るようにゆっくりと指を這わせてから、やわやわと揉みしだくというどこまでも優しい愛撫をする。
「はぁ、はぁ……」
たっぷりとした帆波の乳房を、両手と十本の指でゆっくりと愛撫する。
脳髄まで走る甘美な痛撃、すなわち快楽を乳房で知ったばかりの帆波には、感じるポイントを見つけ出しては優しく撫でるという、焙るような愛撫がもどかしい。
物欲しそうな目で見てくるが、知らん顔を貫く。
「張り詰めていても柔らかいということが矛盾しないな。帆波の胸は」
「あぅ……ん、ん、あ……」
じれったくなるほど優しくゆっくりと、ほんのりと桜色に上気した帆波の豊満な乳房を、帆波が唇を引き締めたり瞼を瞬きして無言のサインを出すところを重点して撫でつける。
唾液でてらてらと光り瑞々しく朱色に尖っている乳首どころか乳輪にも触らず、乳腺が刺激されるほど指を沈み込めたりもしないただ撫でているようで、性感を休めないだけの刺激だけは与え続ける愛撫。
「どうした背中が張り詰めてきたぞ」
「あ……あう……」
それをずっと続ける。
「ん……あ……んぅ……」
一時間近く、何十分も続ける。
「喘いでばかりじゃ、何もわからないんだが」
「あ……ぅ……ん……う……あ……あう……ぁ!? ……」
何十分もじりじりと性感だけが高まるだけでそれ以上の刺激が与えられない帆波は、答える余裕もなく息も絶え絶えになりながら鏡に映る自分の可哀そうなくらい充血して尖り切った乳首にオレの手が近づくと蕩けるような目になる。
が
「ぅ!? ……ううっ……うんっ……ああ、も、ぅ……また……」
当たり前のように乳輪を掠めるようにオレの手が逸れていくと、眉根を寄せながら目を潤ませる。
気持ちよくないわけではない。今も帆波ですら愛撫されて初めて気づく女体の僅かな反応を見透かして張りで刺すように肉悦を与えてくる。
帆波の乳房の感じるポイントはオレの手により隈なく優しく愛撫され、背中には自分のものとは決定的に違うオレの鍛えられた体を感じて、耳元では帆波のスタイルへの感嘆や賞賛を囁かれて、体は火照り焙らせられる。
ただ、決定的な刺激が無い。足りないのではない、無いのだ。
快楽、性の快楽、胸の快楽を知ったばかりの健康的な体に、無い。
「残念そうだな」
「ぅぅっ、ひ、ひんっ、お、おね、んっ、ううんっ」
せめて自分からより強い刺激を受けようと、立ちバックの姿勢で鏡に手を当てたままの不自由な体をくねらせて、自分の乳房を揺らしてオレの手を求めてくる。おそらく無意識で求めているのだろうが、帆波のような内面も可愛い女の子に求められるとグッとくる。
そこまでして求めても、不自由な姿勢、何よりも性に不慣れな帆波には何も出来ない。そんな様子がサディズムを満たしてくれる。
「いやらしく体を振って何がしたいんだ?」
「きゃぅ、っうぅ……」
更に焦らすために乳房の裾を指先でなぞりあげる。帆波はきゅううと目をつぶり、か細い嬌声を上げ
「ぁ……はぁ、はぁ……んっ……」
ビクリビクリと体を震わせた所で、またゆっくりとたっぷりとした乳房をもみ始めると、遂に帆波が耐えられなくなった。
「どうしたんだ?」
「う、うんっ、お、おね……が……うんっ」
高まる切なさに耐えきれずじれったくなった帆波が一度指を噛んだ後、恥じらいで真っ赤に顔を染めておねだりをしようとすると
「う!? ……んんっ、ん……ふあっ!?」
強く乳腺をぐりぐりと刺激してやる。すると、帆波は待ち望んだ刺激がようやく来たと嬌声を上げる。
「ふあぁっ!? ひぅんっ!? ぁ……はぁ、はぁ」
そのまま大きくビクリと何度か体を震わせるだけの刺激を与えられると、またもどかしいほどに優しくじりじりと焙るように乳房を愛撫し始める。切ないどころか悲しげに帆波の顔が彩られる。
「ぁ……ひゃぁぅっ!? そ、そこはっ、や……ぁ……」
それと同時に指で二つの乳首をしっかりと掴み、ぷくりとふくらんでいる乳首を根元からこすり上げ、帆波の暴れだしそうになる体を抱き留めながらぐりぐりと乳首をいじる。
「最初のころの柔らかさが無くなったな」
「あぁっ!? や、ん、ち、ちぎれちゃう、よぅ……んああっ!?」
オレの腕の中でビクビクと震える帆波の体。
なめらかな肌から汗がにじみ出て、発情した雌の匂いが高まっていく。
「あっ! きゃ! きゃぅんっ!?」
オレの指が唾液のおかげで滑り良くコリっとした乳首を弄る度に、帆波の理性は焼き尽くされ陥落直前になる。
焙り火照らせ続け徹底的に乳首を責められる肢体は自由を失い、帆波は恥ずかしさに真っ赤になり首を振りながら、陥落を待ち望み瞳を潤ませる。
「あっ、あっ、ひぅぅっ、いっ! あっ! ああっ──!?」
ぐううっ、と体を反らし、帆波が今まさに陥落、達しようとする瞬間
「……ぁ……?」
オレは手を止め、名を呼ぶ。
「帆波」
「はぁ、はぁ……え?」
オレに立ちバックの姿勢のままオレに後ろから抱かれた胸の中で、荒い息を吐き続ける帆波が不思議そうに見上げる。
「オレからもお前に言っておくことがあった」
「い、いま、そ、そんっ……いまぁ……っ」
帆波にしてみれば散々焦らされてから、いざこれからという時に、鼻先に扉を閉められた気分なのだろう。信じられないものを見る目だ。
だからこそ意味がある。
「実はな」
帆波の善良さは、矜持と忍耐があってこそのものだった。そんな帆波は、今までオレに語ったことは家族にさえ話したことがないだろう。
そんな誰にも語ったことが無いことを語った帆波に、オレが語れることはない。
ホワイトルームのことを語っても帆波を混乱させるだけで意味が無い上に互いにデメリットしかない。何よりオレに話す気がない。
そして、ホワイトルームを除けばオレの半生には語ることが無い。
そんな自分にどこか苦い思いを抱いたが、直ぐに切り替えた。
帆波に対しては口に出して受け入れさせてから責めるという、他の少女たちには出来なかったことをすればいいと決めた。
だから、今ここで言う。
「さっき帆波が言ったように、オレはサディストと呼ばれる人間なんだ」
「……はぁ、そ、そんなの、どうでも、うん? ……サディスト……ぇ?」
突然言われたことが理解できなかった帆波は、オウム返しに言いながら、いきなり何言ってるのこの人とまだどこかトロンとした視線で語ってくる。
そんな、帆波に言い聞かせるように話す。
「SMのSなんだ」
「はぁ、はぁ……え、SMっ」
「具体的なイメージがつかないのか。好きな女を縛ったり鞭で叩いたりするあれだ。そうやって痛めつけることで快感を得て愉しいのがオレなんだ」
「はぁはぁ……ぇ? ……ぇ? ……ま、まさか……」
「ああ、そうだ。つまりな、こうして──」
自分の内面を受け入れられ本格的に性交し始めた直後の唐突なカミングアウトに、混乱のあまり咀嚼できないながらも、本能が忌避して咄嗟に逃げようとしても絶頂前まで嬲られ力が入らない帆波を捕まえ、立ちバックの姿勢のまま、腕を振り上げる。
「ま、待って──」
待たない。
躊躇わずに、むき卵のようにつるんとした尻を平手で叩いた。
「ひぁぁぁぁっ!!??」
ぱしんという小気味のよい音と共に柔らかい肉が詰まった白い尻たぶが踊り、もみじの模様がくっきりと浮かんで帆波の絶叫が鳴り響く。
痛みを与えるのではなく、音が鳴るように工夫して打ったとはいえ、いきなりの打擲の驚きに帆波は鏡に覆いかぶさるように前につんのめり眼を白黒させる。
「なっ、何っ、い、いきなり、な、なにすっ……」
当てたままの手の下で尻がギュッとすぼみ、しっとり柔らかくひんやりとした手触りの豊満な膨らみが帆波が身動きする度に踊る。
「いい尻だな」
叩いた瞬間だけ大きく揺れ直ぐに元の形に戻る大きくともしっかりとした張りがある尻に、思わず呟きながらもう一度。
パァン
「ひんっ!!??」
再び手を振り下ろす。
「あぁぁっ!!??」
さらに続けて二回。
「きゃんっ!!?? ……ひっ、いっっ!!??」
痛みではなく衝撃と音で、喉を引きつらせた帆波の白い背中が反り返り硬直する。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
くたりと頬を鏡に預けながら、荒い息をつき続ける帆波。その尻の上に再び当てたままの手の平の下で、尻が熱く熱を持ちとろりと脂肪を柔らかくして手を包むように受け止める。
「ま、待って……ひんっ!?」
その艶かしい弾力を味わいながら、帆波の呼吸が落ち着き鏡から頬を外して口を開いた途端にさらに叩く。
その度に帆波の口から悲鳴が上がる。
痛みを与えないように工夫したとはいえ、こう何度も叩けば痛みを感じる。表情にすぐに出す帆波の顔から、ジーンとした鈍い痛みが消えそうになるとすぐに打擲する。
「はぁ、んひっ!? ひぃっ!? あひんっ!?」
その度に帆波は嗚咽交じりのたまらない悲鳴を響かせながら、自分の裸体が打擲される姿を鏡で見てしまう。
肉感的な裸体が揺れるように震え、あちこちから汗を飛び散らせ、見慣れた顔が紅潮して瞳を潤ます光景は、絶頂直前で止められた体をこれ以上なく刺激して焙らせる。
目論見どおり帆波は、尻を叩かれるたびに痛みだけでなく妖しい感覚を覚えていく。
股間がむずむずと疼くのだろう。内ももをすりあわせ始めた。
「いやらしいな。なに尻を振ってるんだ」
「あうっ!? 違っ、ひんっ!? ……も、もう叩かないっ……あひんっ!?」
そんな自分の姿を鏡で見せられる帆波は、さらに昂りスパンキングで性的な悦びを覚え始める。
腫れぼったくなった尻を打たれて、秘所の奥が濡れていくのを理解し、あちこちに目をやって混乱する。
「あっ!? ひんっ!? あんっ……っ」
そうしているうちに、帆波の大きくて弾力のある尻が真っ赤に腫れ上がる頃には、こらえきれない甘い声が漏れてしまうようになり、帆波が驚愕に目を見開く。
その声を聞くとようやく手を休め、驚きのあまり目を丸くしながら床に崩れ落ちて痙攣していた帆波を持ち上げ、再度手を鏡に付けさせた。
ひんやりとした鏡の冷たさに、惚けていた帆波が顔を上げて鏡に映るこちらと目を合わせ哀訴する。
「ひ、酷いよ、い、いきなり、お、お尻叩くなんて、酷いよぉ……」
「見ろ」
「ひゃんっ」
帆波の嘆きに答えず、帆波を持ち上げながら頭を下に尻を上にして、何度も打擲され白い肌を桃色の手形にくっきりと染めた尻を鏡越しで見せつける。
「やっ」
自分の紅く染まった尻と――尻を叩かれながら蕩けた表情を浮かべる自分が鏡に映り……帆波は思わず目を反らした。
「目を逸らすな」
「そ、そんなぁ」
「こういうのが好きなんだ」
帆波の顔を鏡に向けながら、帆波の目尻に浮かんだ涙を舐めとるように頬にキスして脳裏に刷り込む。
「帆波の可愛らしい白い尻が赤くなって、うっとりとした涙目で見つめてくるのが可愛くて仕方ないんだ。特に」
「ひぃんっ!!??」
言葉を切り、中指で帆波の秘所を撫で上げると、くちゅりと水音を立てる。
「ぁっ……」
スパンキングされて感じていたことを示され、かああと羞恥で林檎のように顔を紅くする帆波の耳に呟く。
「こうやっていじめていい声で鳴きながら濡らしてくれると。サディストのオレは、愉しくて仕方ないんだ」
ぱくぱくと口を開きながら、鏡に映る自分お顔とオレの顔に視線を交互に送り、サディストという意味を理解した帆波は喉から声を絞り出す。
「ま、まさか、ほ、堀北さんと、桔梗ちゃんが、縛られて、そ、そ、剃られたって」
「ああ、オレが泣きわめく二人を縛り付けて剃った。ここをな」
「ひんっ!?」
「ここを剃って、大切な所を丸裸にしていく時の悲しみと羞恥に満ちた顔も、オレは好きだ」
帆波の陰毛をワシャワシャしながら言う。
「ま、まさか、わた、私、も?」
「今日は剃らない」
「きょ、今日は?」
「ああ、いずれ剃る」
「ひ、ひんっ……そ、そんなのっ……だ、だm」
「帆波」
目を回してあたふたしだした帆波の名前を、一段階声のトーンを低くして呼ぶ。
「はっ、はいっ」
スパンキングされて感じたことを明かされた直後にそんなことをされて、帆波は背中をびくりと緊張して泣きそうな声で答えてきた。
「そんなオレでもお前を抱いて良いか」
声のトーンを判段階和らげて、許可という名の要求をする。
スパンキングされて快感を感じてしまった後ろめたさを持ち
「ううっ、うんっ……」
瑞々しい尻を撫でまわされるたびに、未だ火照る体が再び焙られ自分では制御できない衝動がこみ上げてきて、スパンキングの刺激でさえ求めている帆波がどうするか確信しながら。
帆波は長い沈黙の後念を押すように聞いてきた。
「………………合意、だよね?」
「勿論だ」
少なくとも結果的には。
「……傷……残さない、よね?」
「無論だ」
剃毛レベルならまだしも、証拠を残すことはしない。
「そっか……」
ならいいよと帆波の口が動き、こちらを振り向いた。
「私ね……毎日悶々とした時間を過ごして何度も何度もこの思いが何なのか確かめようとしても、フワフワし過ぎて、想いが何なのかわかったのはついさっき、おにいちゃんって呼ぶ前に
裸の肩を竦めて笑いかけてくる。
「あなたが好きです。だから、おにいちゃんが、清隆くんが、私の、帆波の、最初で最後の男の人になってください」
帆波は耳まで真っ赤になりながら
「抱かれるのを何度も止める駄目な帆波を、おにいちゃんの、好きに、して……たくさん可愛がってください。それで、今から一日他の女の子を考えないで……お願い──」
ついさっきまであどけなさを残していた同級生が、女の顔をして必死の想いを視線を逸らさず言い切った。
そんな帆波の想いを受け入れる言葉を返し抱きとめながら思う。
間違いなくオレは帆波に好意を抱いている。それも、どちらかと言えばなどという曖昧なものではない、男として好きだと断言できるものを。
だが。
オレの好きと帆波の好きは、全く異なる。
帆波だけでない、鈴音、桔梗、恵、彼女らも同じだ。
すべての人間を『道具』として見ているオレの中では、この学校、否、今までの半生で、彼女ら以上に好意と執着を持った存在はいない。
だが、それらの想いは極論同じものだ。想いに煩悩するようになっても優先順位を付けることは容易いもの。
(だから、股をかけられるんだがな)
どれほど情愛を抱いても煩悩に苦しんでも、彼女たちはたったひとり──かけがえのない世界中のたった一人ではない。代わりは居ないが、それだけだ。だから、その情愛を多数に向けることは矛盾しない。
「ふぅ」
吐息を吐く。
たったひとり、かけがえのないただ一人に向ける情熱をオレは知らない。知る機会がなかったのだから、知れるはずもない。
だから、胸の中にいる少女のような情熱をぶつけることはできない。
「お、おにいちゃん」
オレの吐息を心配する善人の少女を見つめる。
オレは帆波のような善人である必要はない。
オレは世間で何が善とされるかだけは知っておけばいい、そして善人っぽく振る舞った方が得だと認識して、最低でも害を与えないように見えるように振舞っていればそれでいい。
だが──
「結局、おにいちゃん呼びか」
彼女たちと過ごしていると、オレの心に言い知れぬ感情が浮かび上がってくる。
まだ恋も知らないオレにとっては、この感情を理解して受け止めて整理を付けろというのは無理難題が過ぎる。
だが──
「う、うん、だ、駄目かな」
かけがえのないただ一人に向ける情熱をぶつけてくれる少女達には、
戸惑うことなく受け止めて煩悶しながら踏み込み、オレなりの精一杯を返そう。
「いや、構わない」
これからただ一人に向ける情熱を知るにしろ知らないにしろ、どうなるにしても、まずはそこからだ。
一歩進んだおかげで自分のあり方に葛藤している綾小路くんです。
なお、本作における綾小路くんの精一杯は、普段はサイコパス系紳士ですが閨ではドSのことを言います。
次回は遅くなると思います。