十秒あればキスくらいできるよなあ、でもいいかぁと思いながら書き上げました。
「すぅ……ん、ぅ……」
抱きしめられた俺の目の前にある気持ちよさそうな坂柳の寝顔。
未だ成熟していない少女のあどけなさが一際強まって愛らしい。
「ん、んぅ……んすぅ……んんぅぅ」
気持ちよさげに頬をオレの首筋に擦り付けてくる。ふくよやかですべすべした頬が首筋に擦られるたびに、柔らかな感触とともに何とも言えない甘い香りがする。
無防備だ。
恐ろしいほど無防備。
「このまま、剥くか」
たぎりが下半身に集まり、逸物が張り詰めていくのを感じる。
寝ている坂柳に抱きしめられてから既に半時間あまり。柔らかな感触と甘い香りは、起きるまで待っていようという決意を揺らがしてきた。
「くぅ……ん、んん、んふぅ」
坂柳の唇から心地よさげに吐かれた吐息が、オレの首筋をなぞり背筋に甘い感触が走る。同時に嗅覚を刺激する甘い香りと、視界には心地よさそうな坂柳の顔。その顔が、すりすりとオレの首筋に擦り付けられ蕩けそうな表情に変わる。
もう、いいや。このまま剥こう。
心の声に従い方針を転換する。ここまでの据え膳を我慢するのに半時間は長すぎた。
つきたての餅のようなフニフニと柔らかな頬の感触を味わい、よく潤った唇が蛍光灯を反射して煌めくのを見続けるながら耐えるのは拷問だ。
「すぅ……ん、んんっ」
さて、剥くにしてもどこにするか。
抱きしめられているからには上半身は無理だろう。いや、自分さえ騙せない言い訳はやめておこう。前々から坂柳の姿を見るたびに興味を刺激された所がある。そこを剥きたい。
「ガーターベルト、だな」
やはり、そこだろう。ガーターベルトだけ取ってしまうのが面白そうだ。
最初は行儀良く閉じられていた脚。体重移動によって、坂柳の脚が自然と開くようにしていたのはそのためだ。
今ならば、体を入れるだけの隙間がある。
では、さっそく。
坂柳の脚の間に体を滑り込ませる。起こさないように細心の注意を払いつつしっとりと脂ののった太ももに手をかける。太ももを覆うストッキング。ガータベルトとを結ぶ器具に手をかけてとりあえず外そうと──
「んんっ、うぅん……っ、ん、んふふっ……」
「……おい」
思わずぼそりと呟く。
その上からショーツをはいているガーターベルト。ショーツの下から抜き取るために外そうとした瞬間、坂柳は小さく唸りながら身じろぎして、両腕だけでなく両脚も使って抱き着いてきた。
オレの身体に。
両腕だけでなく両脚でもしがみついてきたのだ。このお嬢様は。そして幸せそうに笑った。
不自由な姿勢なためにまったく力が入っておらず柔らかさしか感じないが。あまりのことに声が出てしまった。
「ん、すぅ、すう……ん、んんっ」
そして、それ以上に不味い。
小柄な坂柳がオレに抱き着いた姿勢が不味かった。坂柳の秘所が丁度オレのへそのあたりにぶつかる姿勢。内ももの柔らかな肉と、ショーツ越しとはいえ女性の大事なところの柔らかな肉がぶつかってきた。男にはないふっくらとした柔らかな感触。ほのかな弾力を持ちながら、マシュマロのようにどこまでも柔らかな女肉。
心地よい女の証を味わうことで、ズボンの中での逸物がいきり立ってしまった。
「んっ……ん? んん、んんっ」
柔らかな尻肉を逸物で強く圧迫され、坂柳の目が瞬く。
「ふ、ぇ……」
しょぼしょぼと目をぱちくりさせて焦点を戻していく坂柳。
……ガーターベルトは、まだだな。
無念の思いを飲み込み、静かに腕を戻して坂柳の目が覚めるのを待つことにした
「……え」
坂柳に抱き枕されること数十分。うっすらと目を開き寝ぼけ眼を瞬かせていた坂柳の目に焦点が宿りオレの姿を捕らえた。
坂柳に覆いかぶさるような姿勢のオレの姿を。坂柳の両腕どころか両足でしがみつかれているオレを。
「えっ……何?」
「起きたか?」
「……」
あまりのことに、あどけないと言っていい顔でもう一度疑問の声を上げる坂柳。視線が彷徨い自分がどんな姿勢でいるのかを認識し、その白皙の顔が朱に染まっていく。
「起きたか?」
それに合わせた再度の呼びかけにパッと万歳するように坂柳の手が離れる。慌てたせいか心持のけぞってしまう。
「ひゃあ」
勢いのまま、ふよん、と坂柳の乳房がオレの胸板につぶされる。その刺激に可愛らしい声を上げる坂柳。
いまだオレの体に巻き付いたままの自分の脚を含めて、自分が何をしていたのかを認識して平静ではいられなかったのだろう。仄かにではなく、花が咲くように頬を赤らめる。
反射的に逃げようとする坂柳の体。逃がさないという意思を込めて覆い被さったまま互いの体温を交歓しながら重心を変えて動けないようにすると、股を広げた姿勢で異性と密着している事に焦りを浮かべる。
いや、羞恥か焦りか、はたまた両方か。
どれにしろやることは変わらない。
すかさず責める。
「部屋に戻ったら、お前がベッドに寝ていてな。近づいたら抱き締めていた枕を放り投げて抱き付いてきた」
「っ」
平静さを装うとしても限度を超えてしまい羞恥に可哀想なくらい首筋まで朱に染める。そっとその頭から左頬を経て顎まで手を落とし、俯きがちになった顔をこちらに向ける。
「あ」
未だ寝起きの混乱の色を残す整った顔が、赤に染まる。
互いの息がくすぐったく思えるほどの近距離。男に覆いかぶされた逃れられない姿勢。互いの体温の温もりが相乗する。少しでも動かれれば唇を奪われかねない体制に坂柳の瞳に若干の焦燥が浮かぶ。
それ以上に口付けへの覚悟を決めて顔を強張らせる坂柳の瞳を見つめながら囁きすかす。
強張ったままでは口付けする意味がないから。
「なかなか暖かかったな」
「……そうですか。この状況で暖かいなどと言うなんて綾小路君には情緒がありませんね」
キスを覚悟した意思を躱された苛立ちにより少なくとも口調は冷静になる坂柳。少しでも近づけば口付けしあえる距離のまま見つめる顔が真っ赤なままなのが可愛らしいと思う。思えるようになった。
「確かに、オレには情緒がないのかもな。男の部屋で寝転がって抱き着いてくるお前と同じくらいには」
「あら、では似た者どおしということですか。私は確かに粗相をしましたが、それは意識のないときにです。意識があるのに、乙女の唇に触れ合える距離を保ったまま触れ合わない方と似ていると思われるのは少し心外ですね。情緒がないのは仕方がないとはいえ、綾小路くんが狭量だとは思いたく有りません。一人の乙女として失望という感情は遠いものとしておきたいのですが」
覆いかぶさるのは二度目とはいえ、以前は密着はしていなかった。その分なのか緊張に体を硬直させ、恥じらいと焦燥で体を小刻みに震わせながらも何処までも挑発的に話す坂柳。
これ(理性)の内面が、さっき神室と話していた時のそれだというのは滾らせてくれる。
奇襲に成功した柔らかな肢体を味わいつつ、たぎりのまま顔を近づける。
今度こそ口付けされるのか。僅かに緊張にこわばらせながらも、受け入れようと目を閉じる坂柳が愛らしく、柔らかな肢体が心地いい。
そのまま、口付けるのではなく頬と頬を合わせて、わざと音を立てて鼻腔に空気を吸い込む。
「良い匂いがするな」
「っ……まっ」
清潔を心掛けている年頃の少女特有の甘い香りが、石鹸の香りと交じり合って何とも心地よい気持ちになる。
フェロモンというのは知識にはあったが、体験するのはまた格別だ。体の下に柔らかな体があるとより格別なものとなる。
キスを受け止めようとした坂柳にとっては怒りさえ覚えただろうが、体臭を嗅がれるという行為に覚える羞恥こそが強い。
「ま……匂いを嗅ぐなんて、しつ「本当にいい香りだ」……っ」
心の底から褒めながらクンクンと鼻を鳴らして嗅ぎ続けると、あまりのことに「待て」とか「失礼」とかを言おうとした唇が閉ざされ愛らしく震える。
そのまま、坂柳の首筋にオレの唇を押し当てると、「ひぅっ」と短い悲鳴を押し殺して坂柳の唇が震える。生来の負けず嫌いは悲鳴を上げるなどとしたくないのだろう。
なら、悲鳴を我慢できる限界まで責めよう。
透明とさえ言えるほどの滑らかな肌に少しだけ吸い付く。
唇の先にだけ摘んだ坂柳の柔肌。しっとりとした柔らかな肌に吸い跡をつけたくなるが、我慢する。
「っ……っ……っ……」
弾力のある唇を震わせる坂柳が耐えきれずに悲鳴を上げてしまうからだ。
喋んだまま、すんすんと音をたてて香りをかぐ。
「ま……く、んっ」
静止の言葉を噛み殺し、リンゴのように赤く染まった頬が震える。
予想通り、この程度ならば耐えられるようだ。
「良い香りだな」
「っ……っ」
肌を甘噛されながら、自分の体臭を嗅がれていることに、恥じらいと、褒められた喜びが坂柳に交じり合っている。少女のたまらない香りを味わうように、何度も鼻で空気を吸い込む。
褒め言葉と甘噛を交互にしながら。
「ひ……っ……っ……ぅ」
そのたびに、ぴくりぴくりと坂柳の肢体が跳ねるように強張る。その度に、オレの身体の下で弾む柔らかな肢体を味わう。
横目に映るのは、熟れるような熱さになった頬。そして、その向こうで閉じられた瞼のまつげが震える様。加えて万歳したままの手がシーツを掴みながら震えるのが愛らしく艶めかしい。
何か言葉に出そうとすると、静止か悲鳴になってしまう唇を閉ざす様が愛らしい。
反応から鑑みて、身体を手で愛撫するような直接的なことをすれば、上げたままの手を慌てて下ろして止めてくる。
だから、身体の重点を変えて愛撫する。
「……ぅ、ぅぅ」
その度にピクリピクリと身体を震えさせながら何かを口にしようとして開こうとしては、言葉にできずに閉じる坂柳の唇。その唇の戦慄きを見ながら甘い香りを吸うと、体全体が強張る。甘噛すると掴んだままのシーツが握りしめられ、全身を緊張に震えさせるが。その目は全てを受け入れるとばかりに閉じられたままだ。
そうしているうちに身体の下で震える肢体が、合わせたまま火照りに火照る頬のように熱が籠もっていく。
このまま剥ぎとってむしゃぶりつきたいが、まだその時ではない。
見るからに弾力の満ちた唇が強張り震える様をもう少し見ていたいが、そろそろ次に進めよう。
「まあ、いい。神室から話は聞いた。今度こそ特別授業といこうか」
「はぁっ……」
言いながら体を離すと、睫毛を小刻みに震えさせながら目を開いた坂柳の唇からわずかに安堵の声が漏れる。額に浮かんでいた汗と煩いくらいに跳ねていた鼓動が示すように、ずっと極度に緊張していたようだ。この様子だと、前押し倒した時に平静だと判断したのは早計だった。直接触れれば違ったのだろうな。
体を離しはしても、密着して覆いかぶさった姿勢のままのオレに迷うような視線を向けてくる様は、明らかに未経験な少女のものだ。最も、性行為関係なく、思ったよりもずっと責められるのには慣れていないようだ。
それでも、こちらに視線を向けて男の情欲を受け入れようとして瞳は揺らいでいない。それと同時に、シーツを掴んだ手だけ緊張か怯えに震えさせる姿は、男心をたぎらせるたまらないものがある。もっと見たい。
だから、少し方向性をかえて責めよう。
「ひゅうぅぅ……あら、今度こそですか。前は十秒で引いておいて、今度も引いたくせに「今度はひかないさ」……え」
唇を細めたまま、肺を膨らませて大きく一呼吸。出来る限りオレに呼吸を継いだことを知らせまいとする強がり。
普段通りの不適な態度なのに、一皮剥けるとあれだけ可愛らしい内面があるのだと思うと愉しくなる。これがギャップというものか。
「えっ」
だから、問答無用で踏み込む。坂柳に覆いかぶさった姿勢のまま、自分の服に手をかける。
「……何故、服を、脱いで……上半身、裸になるのですか」
「お前が寝ぼけて抱きついたお陰で汗をかいたからな。拭こうと思ったんだ」
「何度も女性の揚げ足を取るのは紳士とは言えませんね。……まあ、良いでしょう。それなら、一度、離れてもらえませんか。このままだと脱ぎにくいでしょうし「離れる? 何でだ」……ぇ」
自分では顔を引き締め続けているつもりなのだろう。その実、チラチラと視線をオレの裸体へ向けては顔を引き締め、直ぐに目を逸らしては裸体を見て頬を染める坂柳の生娘っぷりに滾りながら責める。
「きゃっ」
どっかりと腰をベッドに落とすとその振動に可愛らしい悲鳴をあげ、それを恥じるように口元を押さえる。いじめがいがある反応だ。
やはり、坂柳は攻め続けよう。
「待って下さいなにを」
「拭いてくれ」
「は?」
「お前が起きるまでベッドを占拠したうえで抱き着かれたお陰で汗をかいたんだ。身体を拭いてくれ」
ベッドの中央に仰向けで寝ている坂柳に覆いかぶさった姿勢のまま、ゆっくりと言い聞かせるように言葉を締める。
反発の色が浮かぶタイミングで、他の少女と比較して言葉を締める。
「それとも、坂柳は(強調)してくれないのか」
「前言を撤回します。他の女性と比べるような人は、紳士とは正反対の最低な人と言うのですよ……でも、良いでしょう。その安い挑発に乗りましょう」
この時になって、ようやく坂柳の理性は生まれついての勝気を取り戻した。
今までの一連の流れは、こちらに対してマウンティングをとろうとする奇襲だったのだ。
ならば負けていられない。
負けるものかとばかりに、負けるものかとばかりに、自分に背を向けた綾小路の背にハンカチをあてる。
茶色の男物のハンカチ。普段使っているものではなく、思い出の品を取り出したのは何故なのかと思う間もない。
「では、拭かせていただきます。動かないでくださいね」
「ああ、頼む」
いそいそとハンカチで、ごしごしと綾小路の背中を拭き始めた。
自らの手の中にある男物の茶色いハンカチに目をやり切ない眼差しを一瞬だけ向けるとハンカチを握りしめ、ベッドの上に胡座をかく背中の後ろに座りその背中に手をやり、鍛え上げられた肉に瞠目する。
一度首を振り普段どおりの強きと余裕を何とか貼り付けると、背を拭い始めた。
ふきふきプレイである