警備責任者である神沢凪咲は、速やかに護衛作戦を立て、部下とともに任務に当たる。
しかし、凪咲にはもう一つ懸念事項があった。部下の一人に少女性愛の疑いが浮かび上がってきたのだ。社長令嬢は胸が膨らみ始めたばかりの美少女。
護衛対象に邪な感情があるようでは、要人警護など務まらない。凪咲は部下の性的嗜好を『矯正』することを決意する。
その日も、朝の四時頃には家を出た。太陽も出ておらず、辺りはまだ暗い。
へそを覗かせたタンクトップと丈の短いスパッツが、鍛え上げられた体のラインをあらわにしている。
凪咲は軽くストレッチをしたあと、庭先で縄跳びを始めた。千回まで数えると、少し休憩をとる。大粒の汗が額の上で輝いているが、ほとんど息は乱れていない。
次に、彼女は腕立て伏せを始めた。腕を曲げ、顎が地面に擦れる位置まで体を下ろし、その姿勢を数秒間保ったあとに、元の位置に戻る。
一連の動作をニ百回繰り返したところで、限界がきた。地面にうつ伏せに倒れ込んで体を休める。
息が整ってくると、空手の正拳突きに移る。
姿勢を正し、邪念を払い、呼吸を整える。体中を気が満たしていることを意識したあとに、構えて――突く。
その一連の動きを、何度も、何度も繰り返していく。
気づけば、朝日が顔をのぞかせていた。朝の涼し気な空気が、燃え上がるように熱くなった体を冷やしてくれる。
朝日をぼんやり眺めていると、腕時計型端末から呼出音が鳴った。
端末から若い男の焦ったような声がした。彼女の部下、
「
『課長、朝早くに申し訳ありません。緊急事態です。たった今、テロリストからお嬢様への襲撃予告が入りました』
凪咲は眉をひそめて、
「はあ、優雅な朝が台無しだよ」
『とにかく、緊急対策会議を一時間後に屋敷で行います。直ぐに来てください』
「了解」
凪咲は通信を切ったあと、ため息をついた。シャワーを浴びる時間もなさそうだった。
急いで家の洗い場に入り、顔を洗う。
時間がない。
直ぐに部屋に戻って、汗で蒸れたウェアを脱ぐ。
部屋の鏡には、ショーツだけを履いた裸の女が映っていた。
ショーツから伸びる腿には、しなやかな筋肉がしっかりと詰まっていて、下半身はがっちりとしている。
幅の広い肩や、腕、腹にも確かな筋肉が息づいていて、その引き締まった肉体は人々を畏怖させるギリシャ時代の彫刻を容易に連想させた。
しかし、脂肪が全くないわけではない。
大きく膨らんだ張りのある乳房や、ツンと上を向いた肉厚の臀部からは、成熟した女の匂いが強烈に漂っていた。
タンスから、白色のフリルに覆われたブラジャーを取り出す。
大きな乳房を叱りつけるようにして、ブラジャーを押し付けた。
その後にパンツスーツに脚を通す。腰近くで、その大きな尻に引っかかるが、こちらも無理やり押し付けると、ミチッとした音と共に履き終えることができた。
ブラウスに腕を通す。胸のボタンをすると、胸の大きな膨らみのせいで前裾が少し上がる。
両手を上げると、縦長のヘソと鍛えられた腹筋が露わになる。
赤色のネクタイに手をかけた。
まるで自分の乳房が少しでも隠れるかのように、ネクタイを胸の突起の部分にかける。
着換え終わった凪咲は、荷物が入ったバックを抱えて、ワインレッドのオープンカー――マツダ・ロードスターに乗り込んだ。
――マツダ・ロードスターは、広大な敷地を持つ屋敷が奥に見える、検問所の前で停まった。
屋敷に入るには、検問所のゲートで身分確認をしなければならない仕組みになっている。
凪咲は、慣れた様子で、首からぶら下げた職員証を検問職員に見せた。
顔馴染みのようで、凪咲は愛想よく、
「朝早くからご苦労さん。社長はいつ頃帰国するんでしたっけ」
「再来週には、訪問先のマレーシアから帰られると思いますよ。それにしても、聞きましたよ。テロリストから、犯行声明が来たんですって?」 と野次馬根性丸出しの職員に、凪咲は眉をひそめて、
「その話、どこから聞いたんです?」
「こんなに朝っぱらから警備課の職員が大勢出勤してくれば、私じゃなくても察しがつきますよ。あなたの部下に探りを入れたら、快く教えてくれました」
凪咲はふん、と小さく鼻を鳴らして、
「全く、アイツらにはもう一度情報保持の重要性を指導しなければいかんな」
「まあ、そう叱らんでやってください、無理に私が聞いたんですから。それにしても、良かったですね。もし社長がいたら、精神疲労で倒れてしまうでしょうから」
「社長はお嬢様を溺愛してますからね……。失礼、これから会議があるので、そろそろ行かなくては」
検問職員に別れを告げ、ゲートを通過する。
検問所を抜けると、手入れが行き届いた広大な庭園が目に入る。
車を十分ほど走らせると、ようやく奥に見えていた屋敷の前にたどり着いた。
屋敷の主は、自動車国内シェア一位を誇る、
凪咲は、この会社の警備課課長を務めている。
こうして朝早くに出勤しているのはお嬢様――社長の娘である
凪咲は屋敷の中に足を踏み入れた。
天井に吊り下げられたシャンデリアや、壁に掛けられた西洋絵画、床に敷かれた赤いカーペット。素人目からしても、どれも高級品であるのがよく分かる。
広い正面玄関を抜けると、観音開き式の扉が見えてくる。そこには、『テロリスト襲撃予告に対する緊急対策会議』 と墨で書かれた紙が貼り付けられていた。
扉を開け、部屋の中に入ると、スーツに身を包んだ屈強そうな男たちが、慌ただしそうに仕事をこなしていた。
その中の一人、若い男が凪咲に気づいてお辞儀をした。
「おはようございます、課長」
「おはよう、正一君。状況はどうなっている」
正一は手にしていた書類を凪咲に渡した。
「襲撃予告を行ったのは、国際手配されているテロリスト、アレックス・ニコルズです。警察には被害届を提出済みですが、SPは今日の式典の方に出払っているようで、対応ができないと言われました」
それを聞いて、凪咲は顔をしかめた。お嬢様――豊川里帆は、今日その式典に来賓として呼ばれている。アレックスに狙われるとしたら、警察の目が届かない式場への道中と考えるのが自然であった。
凪咲は手渡された資料に目を通した。
「アレックス・ニコルズ、アジア系の男で、年齢はおそらく四十代後半。信条、目的は不明。裏社会では随分と有名な男だ」
「ええ。しかし、この男はなぜわざわざ襲撃予告を行ったんでしょう」
「そうか……、正一君は今年うちに就職したばかりだから知らないのか。以前、奴は社長を暗殺しようとしたことがあってね、それを私が未然に防いだんだ」
正一はええっ、と驚いて、
「す、すごいじゃないですか!」
「いや、確かに暗殺自体は未然に防いだが、奴には逃げられてしまったからね。おそらく、奴はその時のことを根に持っているんだよ。だから、予告状なんて子供じみたことをした」
「な、なるほど」
「それより、だ。今日の式典参加を見送るよう、お嬢様に提案はしたのか?」
「そ、それが……」
と露骨に正一が顔をそむけた、その時であった。
「式典には、予定どおり出席します」 と鈴を鳴らしたような可憐な声が、後ろから聞こえてきた。
そこには、一人のうら若き少女が、凛とした表情で立っていた。
歳は十三、四であろうか。
揃えられた前髪は、幼くして既に完成された顔立ちをより際立たせている。
くりっとした大きな瞳や整った鼻すじに、薄い唇。
雪のように白くきめ細かい肌からは、爽やかな甘い香りが漂ってくるかのような錯覚を覚える。
凪咲はこの少女――社長令嬢、豊川里帆に恭しく礼をした後に、お言葉ですが、と言葉を続けた。
「今回はその辺のチンピラとは訳が違います。相手はプロです。一筋縄ではいきませんよ」
里帆はふふ、と優雅に笑って、
「それでも、皆さんが私を守ってくださるんでしょう?」
里帆が周りの男たちに微笑むと、周りの職員達が沸いた。男達は口々に、「お嬢様は俺たちが守る」 とか「安心してくださいね」 などと、だらしなく鼻を伸ばして興奮している。
凪咲は内心苦笑していた。そもそも里帆が式典に行きたがっているのは、式典参加者に与党の幹事長や、経済界の大物達が混じっているからだ。頭の中で自分への危険性とコネ作りを天秤にかけ、後者を選んだ、といったところだろう。
そして、凪咲にはテロリスト襲撃予告の他に、少し気にかかっていることがある。
武田正一のことである。
彼女はそっと正一の方を盗み見た。
まるで熱病にでも侵されたかのように、顔を赤くしながらぼんやりと里帆を見つめていた。
(少し……、矯正が必要かもしれんな)
獲物を見つけた肉食獣のごとく、凪咲は正一をじっと観察していた。
里帆が会議室を訪れたことを機に、対策会議が始まった。
襲撃されるとしたら、この屋敷から式場に向かう間か、その逆、帰宅途中に襲われる可能性が高い、ということになり、ルートの選択、車両や人員の配置決めなどが行われた。
里帆が乗る車には、凪咲と正一が配置されることとなった。
「それでは、今日も一日よろしくお願いします」 と里帆がしめの言葉を投げかけると、凪咲を除いた職員達は皆敬礼をした。
各々が準備のために会議室を出ていく。その中の一人、正一に向かって、
「正一君、ちょっと打ち合わせしておきたいことがある」 と凪咲は呼び止めた。
「あっ、はい。分かりました」
凪咲は正一を引き連れ、誰もいない別の会議室に入った。そこには、パイプ椅子や机がいくつか置かれていた。
「まあ、そこの椅子に座ってくれ」
「はいっ、失礼します」
上司と二人だけなのが緊張するのか、正一はやや顔をこわばらせたまま、浅く椅子に腰掛けた。
「それで、課長。打ち合わせというのは」
「うむ……それなのだがな」 と神妙な顔で頷いた刹那――目にも止まらぬ速さで正一の前に近寄った凪咲は、両手両足に拘束具を填めた。
「なっ――!?」
「落ち着き給え、君に危害を加えるつもりはない。ただ、少し歪んた性癖を矯正するだけだ」
「な、なにを言ってるんです」
「私は回りくどいのはあまり好かんな。なあに、別に君を責めるつもりはないから、安心したまえ……。自覚、しているのだろう?」
「さ、さきほどから何を言っているのか……」 と言い終わる前に、正一は右手で押さえられた。とても女とは思えない、鋭い力である。
「あまり、私を怒らせない方がいい」
凪咲は鋭く正一を睨めつけながら、彼のズボンのポケットからスマートフォンを取り出した。
それを空いている左手で操作して、彼に画面を見せた。全体的に肌色が占める割合が高い画像ばかりである。
「おやあ、十歳から十五歳ぐらいの少女達の画像ばかりじゃないか! ビキニにスクール水着に、ブルマ、競泳水着……。ほう、褌もあるとは中々趣味が良いじゃないか」
正一は完全に血の気を失っていた。顔は真っ青になり、額で脂汗の粒が光っている。
「そして、そんな画像に紛れて何枚もある画像。被写体は全て同一人物で、本人に断りなく撮られているのがすぐ分かる。つまり、これは盗撮だ。これ、撮られてるのはお嬢様だよな」
正一はなにも語らなかった。
凪咲はふと、少し表情を緩めて、彼の耳元に口を寄せた。
「本来なら、君はクビだ。しかしね、正一君。君は大学を出たてで若いし、仕事もよくできる。それに、盗撮と言っても、更衣室で撮ったような悪質なものではなく、普段の彼女の姿を盗み撮っただけだしな。私は穏便にコトを済ませたいと思っている」
「ほ、ほんとうですか?」
「ああ、もちろんだとも」
「あ、ありがとうございます!」 と言って頭を膝に擦り付けるぐらいに頭を下げた彼に、
「ただし――条件がある」
「じょ、条件ですか」 と途端に不安そうに顔を曇らせる正一に、
「なに、簡単さ。これからは心を改めるという意思を、私に示してくれればいい」
「は、はあ」
「それじゃあ早速、今から私が君の精子を搾り取ってやろう」
「――っな!?」
凪咲は正一の反応など興味がないかのように、強引に正一のズボンと下着を脱がしてしまった。
正一の陰部はまだ、だらりと下に垂れていた。
「何するんですか!」
「分からんかね。とどのつまりは君のロリコンを治せば万事解決だということだ。多少荒療治かもしれんが、我慢してくれ」
凪咲は無表情のまま、手で正一の陰茎を包み込んだ。
敏感なカリ首を、包皮の上からねっとりと擦り上げ始める。
「いきなり……うっ」
しこしこ、と何度も擦り上げられると、チンコが徐々にそそり立ってきた。
「思ったとおりだ。たとえロリコンと言っても、私にこうやって刺激されれば簡単にナニを立たせる……。そういえば、君は童貞だったね?」
「な、今関係ないでしょ!?」
「隠すことはない。堪え性のない肉棒を見れば、すぐ分かる。安心して全て私に任せ給え。強烈な初体験を成人女性と行えば、ロリコンなどすぐ治る」
凪咲が更に竿をねちっこく擦り上げると、ついにチンポが限界まで勃起した。
包皮が自然と捲れ上がって、浅黒いカリ高亀頭が外に晒される。
正一は腰から駆け抜ける甘い痺れに翻弄されているようで、ただ歯を食いしばってうめき声を出す。
凪咲はエラの張った亀頭のまわりの部分に目をやって、
「結構。きちんと掃除しているようだな。使うかどうかも分からん童貞チンポを、毎日しっかり洗っているとは……。上司として、私も鼻が高いぞ」
「ほ、褒めるてるんすか、それ!」
「勿論褒めている。自分の武器をきちんとメンテナンスするのは、非常に重要なことさ」
と凪咲は真面目な顔で頷きながら、左手は正一の頭をわしゃわしゃと豪快に撫でて、右手は休むことなく根本から先へ搾り出すかのように力を絶妙に調節して、腰からくる甘い痺れを亀頭に覚え込ませていく。
「女をよがらせる、カリ高の亀頭、天をも貫く野太い竿、そして中を掻き上げる気満々の硬さ。今まで童貞だったのが悔やまれる、女泣かせのいいチンコだぞ、自信を持て」
凪咲は僅かに口元を綻ばせて、男を品評するかのような下品な言葉を耳元に囁く。
絶えず動き続ける右手は、凶悪な肉棒の輪郭を確かめるかのようにねっとりとしていて、吸い付くように亀頭を包み込んで蠢く。
すると、鈴口がパクパクとビクついて、透明のねっとりとした我慢汁をどっと湧き上がらせた。
「気持ちいいか? 最高の童貞卒業にしてやるからなッ」
「もう、既に最低ですよ!」
と正一は叫ぶが、よほど気持ちいいのか、腰のあたりが自然と浮き上がってきている。
「君も強情だな。まあいい、イキたくなったら直ぐに言うんだぞ」
凪咲は、湧き出た我慢汁を人差し指で取って、敏感亀頭全体に塗りたくる。
照っている亀頭を擦すると、くちゅくちゅといやらしい音が響き渡った。
「ぐおッ……」
パンパンに膨れ上がったカリ首に手が当たると、正一は血管の浮き出た太幹をビクビクと脈打たせ、野太い声を出す。
もう限界は近いようだった。
凪咲はそれを本能的に悟ったのか、凪咲は正一の汗にまみれた体中にキスの雨を降らし始めた。
真っ赤になった耳、頬、首筋。そして、濃厚な精液を溜め込んだ陰睾。
まるで熟れた女を覚え込ませるかのように、執拗に唇を当てていく。
限界寸前の亀頭が、さらに一回り大きくなった。陰茎が膣から抜けないようにする童貞の健気な努力は、凪咲の手コキがより気持ちよくなるだけでしかない。
――くちゅくちゅくちゅ!
濃厚な我慢汁を染み込ませるかのように、扱く勢いが増していく。
鈴口は小さく開ききって、とめどなく先走り汁を垂れ流す。
粘着質な体液が潤滑剤となって、より擦り上げる手がなめらかになる。
暴力的なスピードで巧みにしごき上げられ、キンタマが一瞬強張ったあとに竿の方にぐっとせり上がってくる。
甘い痺れのような塊が、正一の腰の辺りから一気にこみ上げてきた。
ガチガチに硬くした竿を脈打たせ、みっともなく腰をグッと突き出して――
「あっ――あっ、あっ、あっ……で、射精るッ」
「駄目だ」
「――っ、なっ、なんでッ」
――凪咲の手のひらが、ねっとりとした我慢汁の糸を引きながら離れていく。
射精寸前だった正一の野太い腰ががくがくと突き出され、脈打つ剛直が思いっきり突き出される。
女の手で初めて射精される筈だった童貞チンポは、びくんびくんと虚しく震えるだけで、吐精には至っていない。
それが悔しいかのように、チンポは濃厚な先走り汁を溢れさせている。
「忘れたのか? これは君のロリコン治療のために、私が善意で手を貸してやっていることだ。それなのに、申告もせずに勝手に射精するとは何事だ? 射精申告をすることこそが、奉仕している私への最大の感謝というのが分からんのか」
「そ、そんな……」
「私は止めてもいいんだぞ? まあ、そうしたら君はこの会社にいられなくなるが」
「い、言います! 絶対言いますから、だから続き、してください。俺、気持ちよすぎて頭ん中真っ白で……ここで止められたら、おかしくなっちまう」
凪咲は確かめるように正一の方をじっと見つめて――べっとりと先走り汁で濡れた手で肉棒をぎゅっと握った。
凪咲の指は容赦なく攻め立てた。
五本の指で、卵を包み込むような輪っかを作って、根本からきゅっと締め上げる。
そのまま輪っかでカリ首のところまですぐさま擦り上げ、また根本の方に素早く戻っていく。
それを幾度となく繰り返すと、ぷっくり膨らんだ鈴口から濃い我慢汁が垂れ流されて、それを指先でギュッと抑えると、
「――お゛ぉぉ゛!」 と獣じみた声が部屋に響き渡る。
凪咲はそれを見て満足そうに頷き、指先のたっぷりの体液を竿に塗りたくる。
「チンポビクビクさせて、気持ち良さそうだな。我慢するなよ、頭の中空っぽにして、キンタマ汁出すことだけに集中しろ。イク時は言え、最高に気持ちよくしてやるからなッ!」
凪咲も興奮してきたらしい、その頬は赤く染まり、その勝ち気な瞳もトロンと垂れてきている。
部屋の中は男臭い匂いで満ちていた。しかし、鼻が良い者ならもう一つ別の匂いに気づいただろう。
野生的で鼻にツンとくる、成熟した女の濃厚な匂いを。
そんな匂いに当てられたのか、ベトベトに濡れた剛直がぶるぶると震え始めた。
「ぉ゛おおお゛、か、ちょ――射精るっ!」
「足の先ピンと伸ばして、頭空っぽにしろ。キンタマに溜まった濃いザーメンを手に出していいぞ、おらッ、だせッ」
――もう、扱く凪咲の手は止まらなかった。
精子を余すことなく搾り出すためだけの、いっそ暴力的な手コキ。
付着したチンポ汁が弾けるほどに強く早く擦り上げ、大きく張ったカリ首を執拗に扱きあげる。
ついにその時がきた。正一はカッと大きく目を見開いて、一気に腰を突き上げた。
「い、イクッ、イクイクイクッ――射精るッ……ぉぉ゛お゛ッ!」
獣じみた大声とともに、激しい痙攣が走りながら、正一は激しい射精を始めた。
それは長い射精だった。
どぴゅ、どびゅと濃厚で青臭い精子が、凪咲の手に吐き出される。
凪咲の反応は迅速だった。手のひらで精子を受け止めきれないのを分かると、潔く諦め――竿を握りしめた。
ゆっくりとしたリズムで、竿からカリ首までを、何度も優しく滑らせる。
剛直が、白濁した体液でべっとりと濡れていく。
凪咲は正一の耳元に近寄って、
「えらいぞ……、がんばれ正一くん。キンタマの中、全部出せよ、そら、ぴゅっぴゅッ、ぴゅっぴゅ。くっさい精液出せッ」
キツイ言葉とは裏腹に、凪咲の手コキは優しかった。
根本からカリ首まで、優しく丁寧に滑らせる。
最後の一滴まできっちりと搾り取る、抜かりのなさ。
最後に搾り出された精液は、竿を伝って、ポタポタと地面や凪咲の手にこべり付いた。
凪咲は、白濁した精液でべとべとになった手を鼻元に近づけて、くんと鼻を嗅いだ。
「やはり、若いな。くっさい匂いが強い……」 と凪咲は満足そうに頷いて、今度は口元に近づけた。
凪咲は、舌でそっと手についた精液を舐め取った。
途端、凪咲は恍惚とした表情を見せた。いつも、仏頂面なところしか見たことがない正一からすると、初めて見る姿だった。
「うん、ドロドロとしていて、濃いな。口から鼻に向かって、ツンと獣くさい匂いがくる」
凪咲は、こくんと喉を鳴らして、全て飲みきった。
※
車内に爆弾物はないか、無線は通じるか――諸々必要なチェックを終え、里帆を乗せたメタリックブラックの車、トヨタ・センチュリーが発信した。
里帆を載せた車の前に二台、後ろに三台、職員が運転するトヨタ・センチュリーが走っている。
対象がどの車に乗っているか、悟らせないようにするためであった。
防弾ガラスの窓にはスモークが貼られていて、外から車内が見えにくいように工夫されている。
里帆の隣に座る正一は、落ち着かない様子で窓から外を監視していた。
「ずっと気を張り詰めていると、もたないぞ」
運転をしている凪咲が、気楽な調子で言った。
それに、同調するように、里帆は正一の手をそっと握って、
「正一さん、本当にありがとうございます」 と耳元に囁いた。
そんな様子をバックミラーでじっと凪咲が見ていて、
「正一くん、帰ったら例の矯正の続きをしよう」
「えっ!?」
と狼狽える青年に、里帆は小首を傾げて、
「矯正……? 正一さん、歯並びでも悪いんですの?」
「い、いやあ。そのお……」
その時、凪咲が低い声で無線に話しかけた。
「こちら神沢。各員、警戒を怠るなよ。
先頭車両が、大きな交差点の赤信号で止まったのだ。
凪咲はサイドミラーで後ろを確認した。こちらを尾行しているような車は確認できない。信号で止まっているところを、後ろから追突される心配はなさそうだった。
信号が青に変わった。
先頭の車から、ゆるやかに発進していく。
前二台の同僚が乗った車も、緩やかに車を進め始めた。
――その二台が、おもちゃのように宙に舞った。
「なにっ!?」
交差点の右側から、タンクローリーが気狂いじみたスピードで突っ込んできたのだ。
激しい爆発音が鳴り、車体が揺れる。悲鳴に、怒号、鳴り響くクラクション。
まるで、現実とは思えないような光景だった。
「ルート変更ッ、急げッ!」
真っ直ぐに行く筈だった道は、タンクローリーに塞がれている。
凪咲は車を急発進させて、タンクローリーの横を走らせ、左の道に入った。後ろの三台の同僚の車も、それに続く。
正一が、焦ったように言った。
「課長。今突っ込んできた車、運転手がいませんでした」
「今流行りの自動運転車を、ハッキングしたんだろう。そして、奴は逃げ惑う我々を、どこかから見ている……」
凪咲の瞳から一筋の雫が流れ落ちるのを、正一はバックミラー越しに見た。しかし、その表情の変化も一瞬で、直ぐに顔を引き締め、
「とにかく、車列を入れ替えよう。このまま我々が先頭を走るのは――」
刹那――ガラスが割れるような、ツンと高い耳障りな音が耳元で鳴り響いた。
――狙撃だった。
凪咲がチラッとサイドウィンドウを見た。蜘蛛の巣のような、大きなヒビが出来ている。運転手を狙ったものとみて、間違いなさそうだ。
もう一つ、音が聞こえてきた。今度は遠くから、しかし確実に近づいてきている。
サイレンの音だった。
無線から、同僚の焦った声が流れてきた。
「こちらD班。さっきの爆発騒ぎの犯人を、我々だと勘違いしてるんじゃないでしょうか。送れ」
別の同僚が、
「こちらE班。スピード違反の取り締まりという可能性もありますが。どうします課長、止まりますか。送れ」
「我々は狙撃手にも狙われている。蜂の巣にされたくなかったら、警察をふりきれッ!」
凪咲の怒号が飛んだ。
サイレンの音が大きくなってきていた。バックミラー越しにパトカーが三台、追いかけてきているのが確認できる。
奇妙なのは、その三台がまるで護衛するかのように、一台の車を囲んで走ってきたことだ。
パトカーに囲まれている車は、日本ではあまり見かけないアメリカ車、シボレー・シルバラードだった。
正一は後ろを確認して、
「課長! あのパトカー、運転手は既に死んでますよ」
凪咲の視界にも、フロントガラスを鮮血で染めて、ぐったりとしている警察官の姿が映った。
「例の狙撃手に撃たせたあと、自動運転システムをハッキングしたんだろう。それより、シルバラードを運転している男を見ろ」
正一が息を呑む。
「あれは――まさか」
「奴こそが忌々しきテロリスト、アレックス・ニコルズだ。奴は仲間の狙撃手に警官を撃たせ、パトカーをコントロールしている。周りの一般車両は訳もわからず、道をあけるだろう……。追跡者にとって、パトカーほど便利な車はないってわけだ」
そんなやり取りをしているうちに、交差点を支配する赤信号が迫ってくる。
「やむを得ん、信号を抜けるぞッ!」
凪咲の決断は早かった。アクセルを思いっきり踏み込み、交差点を行き交う車両のすぐ側を走り抜ける。ところが、後ろの同僚が乗った車は一般車両にぶつかりそうになり、慌ててハンドルを切ったようだ。衝突は避けたものの、凪咲たちが乗った車からは大きく引き離される。
――そこからが、悲劇だった。
後から執拗に追ってきていたパトカー達が、僚車それぞれにノンストップで突っ込んできたのだ。
激しい衝撃の音。悲鳴にクラクション、そして唯一鳴り止む、パトカーのサイレン。
凪咲が、声にならないうめきをあげた。
しかし、同僚を失った悲しみに浸る余裕はなかった。
シボレー・シルバラードが、真っ直ぐにこちらを追いかけてきていたのだ。
※
男は車に備え付けられたシガーライターで、タバコに火をつけた。
紫煙が、左ハンドルの運転席から立ちのぼる。
目の前を走る、トヨタ・センチュリーは片側二車線あるトンネルに入った。狙撃を警戒しての、ルート選択だろう。
男――アレックス・ニコルズは薄ら笑いを浮かべた。
トヨタ・センチュリーが、微かに車体を左右に揺らしながら、スピードを徐々に落としてきていた。
「さては、無理な運転が祟(たた)ったな。タイヤがパンクしたか、あるいは……」
アレックスが、おもむろにアクセルを踏み込む。
車が、トヨタ・センチュリーの左側にぴったりと近づいていく。
アレックスが、追跡者に挨拶でもするかのように、サイドウィンドウを開けた。
一瞬、こちらを睨めつけている女運転手と目が合う。
「死に場所としては、上等じゃないかッ!」
右手でベレッタ92を持ち、三発一気に打ち込む。乾いた銃声とともに銃弾は高級車のサイドウィンドウに当たるが、ヒビを入れるだけ。やはり防弾ガラスのようだ。
「なら、これならどうだッ!」
ハンドルを右に切る。頑丈な車体がトヨタ・センチュリーを押し付ける。高級車は中央にあるガードレールに車体を擦りつけながら走り、激しい火花を散らす。
獲物の車は、次第にスピードを緩めていく。
アレックスは、もう一度女運転手の方をチラッと見る。女運転手はまだ闘志ある目をしていた。
「くそっ、いい加減諦めろよ」 男の声に苛立ちが混ざり、一瞬前を向いたその時だった。視界の隅で、女運転手がハンドルを|右に(・・)切ったのが映る。
中央のガードレールをぶち破って、反対車線に逃げ込んだのだ。
トヨタ・センチュリーが反対車線を恐ろしいスピードで逆走していく。クラクションが向こう側の車線でひっきりなしに鳴っていた。
「ファック! アイツは化物かッ」
流石に一緒になって逆走する勇気はない。
アレックスはそのまま左側の車線を走る。一般車両を抜きまくっていくと、獲物の車と横並びになる。
トンネルの暗闇の中を、二台の車が高速で走り抜ける。
しかし、そんな状況は長くは続かなかった。
前から来る一般車両を避けようとしたのだろう。トヨタ・センチュリーは一般車両に車を擦りつけたあと、スリップ。一回転して、完全に停止した。
アレックスは急ブレーキをかけた。
獲物の高級車は、今や無残な姿だ。ボンネットやテールライトは凹んで、そこら中に残骸が飛び散っている。
アレックスは車から飛び降り、ベレッタ92を構えた。
一般車両がそこら中で停まっていて、その合間を縫って慎重に獲物の車に近づいて行く。
直後、背筋がゾクリとした。理屈ではない、これまで培ってきた感覚が、死の匂いを感じ取った。
左か……いや、右だ。
素早く銃口を右に向けた瞬間、尋常ならざる速さで警棒が振るわれた。引き金を引く間もなく、弾かれる。
アレックスは転がっていく愛銃を無視して、左脚で鋭い蹴りを入れる。
当たった、しかし浅い。相手は蹴りが入る直前に後ろに引いたようで、致命傷にはなり得ない。
――奴は車を緊急停止させて直ぐに、辺りに停まっている一般車両の死角を利用して俺に近づき、攻撃を仕掛けてきたのか……。
襲撃してきた相手の方を見遣(みや)る。
女だ。それも、とびきりの美人。
しかし、容姿に騙されてはいけない。彼女が恐ろしい遣(つか)い手であることを、アレックスはよく知っていた。
アレックスはつとめて平静を装って、言った。
「久しぶりだな――神沢凪咲」
こたえはない。
しかし、女から得もいわれぬ気配が、じりじりとせまって来た。
殺気である。
それはまるで、空気がこちらへ、『膨れ上がってくる』 ような感じなのである。
――前に会った時と比べて、より一段と強くなっている……。
口の中はカラカラに乾いていて、全身からは汗が吹き出てくる。
気分が高揚していた。鼓動が高鳴っている。
強敵と殺(や)り合うことほど、愉快なことはない。
体中に力が入る。
……落ち着け。冷静さを欠くな。
どこか違和感があった。しかし、それが具体的に何なのか、分からない。
油断なく辺りを観察する。
ふと、停まっていた一般車の一台が、何かを思い出したかのようにゆっくりと発進し始めた。後部座席には、男と可憐な|少女(・・)が座っていた。
「――そういうことかッ」
咄嗟に強く地面を蹴る。
走る先には、地面の上に転がっているべレッタ92。
銃に手が伸びた瞬間、女の鍛えられた足が鞭のように振るわれた。目当ての銃に直撃し、近くの車両の下に滑り込んでしまう。
「クソッ!」
アレックスは懐から大型ナイフを取り出し、大きく振り払う。
金属がぶつかる音がした。凪咲が警棒でそれを受け止めたのだ。
彼女の整った顔が、目と鼻の先にある。
「やられたよ。お前は陽動だったんだな」
やはり、凪咲はこたえない。アレックスは構わず続ける。
「俺を足止めしているうちに、部下にあの小娘を抱えさせ、一般車両に逃げ込んでズラかるって寸法か。だがな、神沢凪咲。お前、一つ勘違いしてるぜ」
「何?」 初めて、凪咲が口を開いた。
「お前は自分のことを過小評価している。いいか、あの小娘にとってはな、腕の立つお前こそがライフラインなんだよ。つまり、俺がここでお前を殺せば、あの子供の後ろ盾は無くなるッ」
アレックスが一瞬で姿を消した。否、恐ろしく早く、凪咲の後ろに回ったのだ。
「もらったッ!」
「――誰が、誰を殺すって?」
アレックスがナイフを振りかぶった瞬間だった。あっと思う間もなく、丸太のような太い脚が彼の腹に打たれた。
強烈な痛みとともに、体が宙を舞う。すぐ側の一般車両に叩きつけられ、血反吐を吐く。
「ゴフッ……! しかし、まだ終わって」
言い終わる前に、顔面に警棒が迫る。
アレックスはなんとか体を捻ってそれを躱す。警棒は虚しく空を切った。
すぐさま立ち上がって、横に跳ぶ。凪咲と距離をとった。
――やはり、前より更に腕を上げている。こちらも、奥の手を出すしかなさそうだ……。
アレックスが突然、地面が抉れるほどに脚を踏み込んだ。
腕を限界までしならせ、
「ふんッ!」
咆哮とともに、肩が外れるほどの力で大型ナイフを放つ。
ヒュン、と空気を切り裂く鋭い音とともに、刃が稲妻のように閃く。女はすんでのところで身を捻って、躱す。
凪咲は少し体勢をくずしていた。すかさずもう一本ナイフを投げつける。今度は足に向かう。凪咲が焦ったように跳躍した。
「その動きを、待っていたぜ!」
アレックスが、微かに手首を捻った。すると、ナイフの軌道が変わった。ナイフが上向きになって、女の頬の辺りを切り裂いた。血が吹き出て、地面を赤く染める。
「くッ!」 凪咲の血で濡れた顔が、驚愕で歪んでいる。
「お前も、コイツを見るのは初めてじゃあないか?」 アレックスが腕を振ると、じゃらじゃらという特徴的な音とともに、ナイフが手元へ戻ってくる。
この特別製ナイフこそが、アレックスの得物だった。
手に余る大きさのナイフ。柄には鎖が結ばれ、鎖の端には分銅が取り付けられている。
長い射程や変幻自在に動く軌道が、これまで多くの強敵を惑わせ、葬ってきた。
――そろそろ、楽にしてやるよ。
腕を振ると、頭上で鎖が回転する。勢いを乗せ、ナイフを放つ。
凪咲が跳躍して、それを躱した。空を切ったナイフが手元に戻ってくると同時に、分銅を放つ。
着地後の硬直で避けられないのを悟ったのだろう。凪咲は瞬時に警棒を構え、鎖を地面へ叩き落とした。
凪咲は血に濡れた顔に、勝ち気な笑みを浮かべていた。まるで、奇妙な武器に対する攻略法を見つけたかのような笑みだった。
アレックスも、同じように笑っていた。
勢いを殺しきれなかった鎖が、警棒に絡みつく。
凪咲が息を呑んだのが、手に取るように分かる。
鎖を力一杯引けば、警棒が宙を舞い、側にある一般車両のボンネットに落ちる。
凪咲が焦ったように地を蹴る。距離を詰めるつもりだろう。しかしそんなことをすれば、襲い掛かる武器の体感速度は尋常ではないものになる。
「焦ったのが、お前の敗因だよ」
分銅を打ち込む。凪咲が這いつくばるような姿勢になって、地面を滑るようにしてぎりぎり躱す。
「その姿勢じゃ次は避けれ――」
凪咲が、両手で鎖を掴んでいる。
一気に、鎖ごと体が引っ張られる。
女とは思えない、恐ろしい程の腕力だった。
足が宙を浮き、直ぐに体が道路に打ち付けられる。ずるずると体を引きずられていく。
汗が吹き出て、体の芯から恐怖が湧き上がる。
見上げれば、凪咲の顔がすぐそばにあった。
「こ、こうさ――」
最後まで言う前に、拳が振るわれる。
アレックスが意識を手放すのに、そう時間はかからなかった。
※
正一は菜穂の指示に従って、里穂を引き連れ、なんとか式典に無事に向かうことができた。
式典はつつがなく終わり、通報によって駆けつけた警察官に従い、正一は警察署で事情聴取を受けていた。
そこで、凪咲がアレックス・ニコルズを確保したこと、また狙撃手は警察の検問に引っ掛かって逮捕されたことなどを聞いた。
何より幸いだったのは、病院からの知らせである。何と、途中で離れしまった同僚全員が、命に別状はないとのことだった。とはいえ、当然というべきか大怪我をした職員ばかりのようで、しばらくの間は絶対安静とのことらしい。
正一が警察署から開放されたのは、午後十一時ごろだった。
警察署内の玄関を抜けると、一人の女性が立っていた。
「ご苦労さま、大変だっただろう、正一君」
「課長! 課長こそ、お怪我は……」
正一がちらっと凪咲の頬を見る。大きめのガーゼが貼られていた。
「ああ、これか。こんなのかすり傷だよ。それより、晩飯はまだだろう?」
「え、ええ」
「それなら、ちょうどいい。私の家で一杯やらないか」
「いえ、そんな……悪いですよ」 と恐縮する正一に、
「なに、気にすることはないさ」 と言って、ほとんど強引に車、マツダ――ロードスターに押し込まれた。
凪咲の家は、警察署から近かった。彼女の部屋で二人は酒を飲み、しばしの間他愛のない世間話で盛り上がった。
しかし一時間ほど話すと、話題もなくなったのか、お互いに何も話さなくなる時間が増えてきた。
ふと、凪咲が世間話をするように軽い調子で口を開いた。
「そういえば、正一君。一つ忘れていたことがある」
「何です、忘れたことって?」
凪咲はいつになくご機嫌で、ニコニコ楽しげに笑いながら、
「ロリコン治療だよ」
正一の顔が強張った。ひくひくと頬を引きつらせながら、
「あ、そ、そろそろ時間も遅いですし、俺はこの辺で失礼させてもらいます」
と言って、玄関の方へ向かおうとする。しかし、後ろから機敏な動きで凪咲が近づき、肩を掴まれる。
「何を怖がっているんだ? 念願の童貞卒業なんだぞ、喜べ」
「いや、ほとんど無理やりじゃないですか!」
「気にするな。私も気にしない」
凪咲は正一をベッドの方へ引きずると、強引に押し倒した。ベットが小さく跳ねる。
正一も鍛えている方であるから、本気になれば逃げ出せると思っていた。しかし、いざ彼女の腕に掴まれると、抵抗する間もなくグイグイと引きづられてしまうのだ。
正一はベッドの上で、凪咲を見上げている。凪咲が荒い息をしながら、四つん這いになって近づいてきた。
「正一君、そんなに不安そうな顔をするな」
「無茶言わないで下さいよッ」
「何を心配することがある? ああ、分かった。君は酔うと立たないタイプか」
「知りませんよ! そんなこと」
「酔っ払ってオナニーすることはないのか? 私は酔ったり、激しく体を動かしたりすると体が疼くんだが」
「いや、だからその……」 と言い終わる前に、凪咲が首に腕を回して強引に口づけをしてくる。
「んっ――」
凪咲の唇は柔らかかった。それが正一の唇を荒々しく塞ぐ。
彼女の舌が、正一の唇を無理やりこじ開ける。執拗に舌を吸われると、それだけで正一の頭はクラクラとしてきた。
正一は、怯えた子供のように、そっと舌を差し出した。凪咲は獰猛に舌を絡め合わせて、優しく歯で下唇を噛む。
凪咲が唾液を送り込んできた。正一は一瞬戸惑う素振りを見せたが、あまりに口付けが激しくて、自然と喉を流れていく。
凪咲の唾液は甘い味がした。しかし、それを楽しむ間もなく、正一は咳き込む。慣れない情熱的なキスに、彼はまだ慣れていないのだ。
少しだけ、首に回された腕の力が和らぐ。しかし、正一の息が元に戻ってくると、また貪るように舌を奪われる。
凪咲が、腰を上げたまま、上半身を沈めてくる。まるで、獲物を狙う肉食獣のようだ。
彼女の乳房が、正一の胸に当たる。ジャケットの上からはち切れんばかりに押し上げる、豊かな乳房だ。
重い、と正一は思った。自分も相当筋肉質なほうだと思うが、それでも彼女は重い。服の上からでも、凪咲の肉体にみっちり詰まった筋肉を感じられた。
そんな誇り高き女性に、自分はこれから犯されるのだ。
凪咲がねちっこくキスを続けながら、乱暴に正一のズボンの金具を緩めた。
ズボンと下着を無理やり引き下ろされると、はち切れんばかりに勃起した肉棒があらわになる。
浅黒いカリ高亀頭は、ぶるぶると震えており、鈴口からはドロッとした我慢汁が湧き上がってきている。
凪咲はそれを見て、無言で小さく頷くと、スーツの上下をさっさと脱いで下着姿になった。
上下にフリルがついた、白の可憐な下着である。普段は男勝りで通っている彼女が、そういう可愛らしい姿をしているのが、意外だった。
凪咲は躊躇うことなくブラジャーと下着も脱いだ。男の正一から見ても、見事な脱ぎっぷりであった。
正一が真下から彼女を見上げると、美しい裸体が目に入る。
幅広く、確かな筋肉がついた肩。その下には、手に収まらないほどの豊かな乳房が息づいていた。
暴力的な大きさの乳房は垂れることもなく、つんと上を向いている。
乳輪は少し大きめで、乳首は乳輪と同じ桜色。何かを主張するかのように、少し固くなって互いにそっぽを向き合っている。
そのまま、下半身の方に目が行く。腹筋はしっかりと割れている。特に腰や腿のあたりはガッシリとしていて、女らしく張り出た臀部にはむっちりとした脂肪がのっている。
正一が呆然と裸体を見つめていても、凪咲は特に恥ずかしがる様子はない。
「それじゃあ、正一君の童貞を頂こう」 凪咲は嬉しそうにそう言うと、指で正一のペニスを天井の方に向けさせた。その上に、くびれた腰が跨(またが)ってくる。
左右に広げられた脚。しなやかな筋肉が詰まった太腿。そこを、一筋の光が下に伝っていく。はじめは汗かとも思ったが、違う。もっと粘着質な液体だ。見れば、そのねっとりとした体液は脚の付け根から垂れてきていた。
黒い茂みが見える。恥毛は密生していて、比較的濃い。逆三角形の細く短いそこは、やはり濡れて光っていた。
どうやら、彼女のヴァギナは既に準備は済んでいるらしい。
凪咲はゆっくりと腰を下ろした。
「んっ――」 凪咲の口から、普段より高い声が出る。
凶悪なカリ高ペニスが、凪咲の中に沈み込んでいく。
彼女の中は熱い。ねっとりとした蜜汁が、正一の肉棒に絡まる。中にある無数のヒダがゆっくりと収縮した。
強烈な締付けだった。痛みすら感じるほど、力強くペニスを搾り上げる。
入れただけで、恐ろしいほどの射精感が襲ってくる。
「……ぁっ、ああっ、あ゛ッ――」
凪咲は甘い声を出しながら、完全に正一の腰に座り込んだ。ずしり、とその重みが腰に伝わってくる。
正一の陰茎は、根本まで凪咲の中に収まっている。カリ高の亀頭に、ぷっくらとした子宮口が吸い付き、淫肉は今も精子を搾り取るかのように、キュッ、キュッと強烈に締め上げてくる。
凪咲は正一の胸板に手をついた。すると、豊かな乳房が中央に寄せられて、より深い谷間があらわになる。白い谷間は汗で濡れて、光っていた。
正一がぼうっとそこを見つめていると、
「どうだ、正一君。やはり、大きな胸はいいだろう?」
正一は頷きかけて、慌ててぷいと横を向いた。全て彼女の思い通りになってしまうのは癪だったのだ。
黙ったままの彼を見て、凪咲は、
「まあ、そうして気丈に振る舞えるのも、今のうちさ」 と言って、上半身を倒す。凪咲は正一の首筋に吸い付きながら、腰を動かし始めた。
始めは、ゆっくりとした抽送であった。
ぐっ、とペニスが引きずり出される。カリ首が中で引っかかるのがたまらなく気持ちいい。半分ほど出されると、また腰が沈められる。また、彼女の蜜肉の中に欲望の塊が飲み込まれていく。
一度出入りするだけで、痺れるような快楽が正一の体中を駆け抜ける。
「んっっ、あっ――すごく、いいぞ」 今まで聞いたこともないような、甘い声で凪咲が囁く。
腰の動きが、次第に速まっていく。
――パン、パチン、パシン。
凪咲の大きな尻が、腰に叩きつけられる。
ニュパ、ヌチャといやらしい音が部屋に響く。
「んっ――ふっ、んんっ、あっ」
凪咲が遠慮なく甘い声で喘ぐ。正一はされるがままで、初めてのセックス快楽に翻弄される。
しばらくすると、凪咲は身を起こして、前後に腰を揺すり始めた。
上半身は動かさず、腰だけをクイッ、クイッとはしたなくグラインドさせる。
腰に彼女の体重が全てかかるようで、正一は苦しげに呻いた。
しかし、それ以上に素晴らしい光景が目に入る。
大きく弾力のある胸が、悩ましげに揺れていたのだ。
引き締まった腹が、うねるように動いている。
鍛えられた肉体には汗が浮かび、むわっと濃縮された女の淫臭が部屋を満たす。
凪咲はこのグラインドがお気に入りのようだった。
コリコリに勃起して、ほとんど剥けてしまったクリトリス。愛液でヌルヌルに濡れたそれが擦れると、声がより一段と高くなる。
同時に、締付けがより一段と強くなった。
蜜壺からは白濁した本気汁が滲み出ていて、子宮口が鈴口に甘く吸い付く。
本気汁で濡れた膣壁がねっとりと亀頭に絡みつき、無数のヒダがカリ首を引っ掻き回す。
頭の中が、真っ白に染まっていく。腰からは甘い痺れがせり上がってきて、射精感が高まっていく。
正一は腰の抜けるような快感から逃げるように、胸へと手を伸ばす。
ぎゅっと乳房を揉みしだく。
「あっあっ――あっあっ!」
凪咲が甘ったるい喘ぎ声を出す。正一はこれに気を良くして、乳首を優しく摘む。
「んんッッ!」 締め付けが更に強くなり、そしてより小刻みにキュッ、キュッと搾り取ってくる。
「ふーっ、ふっふっ、ふっ」
凪咲は荒い息をしながら、腰を持ち上げた。白濁した本気汁がねっとりと絡みつく肉棒が、エラの張ったカリ首あたりまで外に出される。
――そして、一気に腰を打ち付けられる。
「あっ、ああっ、ああああぁぁぁ!」
甘ったるい嬌声とともに根本まで無理やり咥えられる。もはや、体重が腰にかかる苦など気にならなかった。
凪咲は背中が折れるほどに身体を仰け反らせ、びくんっ、びくっと全身を痙攣させる。汗が飛び散り、甘ったるい女の匂いが全身から出される。
奥から濃厚な蜜がドバっと溢れて、直ぐに強い締付けが正一を襲った。
どろどろに濡れた無数のヒダが、縦横無尽にうねるようにして、竿の付け根を絞り上げる。
そして、一番チンコにきたのが、彼女の表情だった。いつもほとんど表情を変えない女上司が、今はアクメの悦びで瞳が潤み、恍惚とした様子で頬を緩めていた。
「か、ちょ。すいませ――んおぉ゛! 出るッ、射精るッ、ううッ!」
ビュル、びゅるる、びゅるるるるるるるッ!
神経が焼けるような、恐ろしいほどの快感だった。
腰を思いっきり突き出して、精液を絞り出す。
射精している間も、彼女の中は蠢(うごめ)いていて、ぷっくりと充血した子宮口に吸い付かれると、腰が抜けそうなほどの気持ちよさに襲われ、頭が快楽の底に溺れる。
正一の体から、力が抜ける。凪咲はそれを目ざとく感じ取って、
「最後まで出さないと、気持ちよくないぞ」 と囁いた。
彼女は素早く円を描くように大きな尻をくねらせ、最後の残り汁まで絞り取る。
「ほら、イケっ、イケっ! キンタマに隠した精液、全部出せッ!」
「や、やめて……、おぉぉ゛っ゛!」
びゅるる、びゅるるっ……。
アクメで熱く火照った膣ヒダが、隙間なく吸い付いてくる。
尿道にこびりついた精液が、余すことなく搾り取られる。
多幸感が体中を駆け巡り、頭が真っ白に染まっていく。
「童貞卒業、おめでとう。たくさん出せて偉いぞ」 アクメの余韻があるのか、とろんとした表情で凪咲が言った。
「課長、俺、あの……」
凪咲の表情が、突然変わった。正一がよく知る、部下を叱責する顔だった。
「正一君、それだから君は駄目なんだ」
「えっ」
「女はな、好意を持っている相手からは名前で呼ばれたいんだよ」 凪咲は、艶っぽく笑っている。
「は、はあ。そういうもんでしょうか」
「勿論だとも。……分かったなら、早くやりたまえ」
正一は一瞬ためらう素振りを見せたあと、
「な……なぎさ……さん」
呼ばれた当の本人は、あまり気に入らなかったようだ。表情を変えずに、
「今後に期待するとしよう」
「す、すいません」
「構わんよ。さて――」
凪咲の顔が、ぐっと近くに寄せられる。その息は、まだ熱さが残っている。
肩が強い力で押される。ベットが微かに沈んだ。
凪咲と目があった。その瞳の奥で、隠しきれぬ淫欲が燃え上がっている気がした。
「無事に君の童貞卒業も済んだんだ。そろそろ、私も本気でいくとしよう」
「……えっ?」
――本気も何も、これ以上ないほど激しくしたばかりじゃ……。
『英雄色を好む』
ふと頭に浮かんだ言葉に、背筋が凍る。
確かに、二人は激しく交わり、そして達した。しかし、明らかにまだ凪咲は満足していない。それどころか、より情欲に火がついたのだとしたら。
屈強という言葉が相応しい、いっそ芸術的な肉体。その体に、どれほどの欲望が詰まっているのだろうか。
「せめて、ちょっと待って――」
「断る」
凪咲は正一の腰を跨(また)いだ。足の裏をしっかりとベットに付け、膝を立ててしゃがみこむような姿勢になる。いわゆるM字開脚、というやつだろうか。
しなやかな脚の筋肉を使って、腰がゆっくりと落とされた。
剛直が、熱く濡れそぼった淫肉を掻き分けていく。
ぬち、ぬち、ぬちち……。
濃厚な音を立て、肉棒が根本まで咥えられた。
「いくぞッ、正一君」
正一の体がゾクリと震える。
凪咲の尻が、ゆっくりと離れていく。泡立って白濁した愛液が、陰茎を伝っていく。
「ふんッ!」
「うっ――んおぉぉ゛」 尻が一気に降ろされる。痛みを伴う衝撃と、強烈な極上締付けが正一を襲う。
一度イッて蕩けきった充血ヒダにカリ首を扱きあげられると、頭の中が一瞬で真っ白になっていく。
――パンパンパンッ!
正一を貪るかのように、力強く腰を振りたくる音。
男のピストンなど比べ物にならないほどに、途切れなく巨尻が打ち付けられる。鍛えられた彼女だからこそできる、種搾りプレスだった。
――パンッ、パンパンッ、ぬちゃ、パパンパンパンパンッ!
「あ゛ッ、んおぉ゛! なぎさ……もう少しだけ、ゆっくり」
「ふふ、ようやく名前を呼んでくれたな」
凪咲は汗の浮かんだ顔に、蕩けるような笑みを見せる。
その甘く美しい顔に、睾丸がキュっとせり上がる。
「……なぎ、なぎささん。いや、なぎさッ! 好きっ、好きだっ! なぎさ、愛してる! んう゛っ、んむぅうぅぅ゛〜ッ!」
凪咲が、強引に唇を奪ったのだ。
――ちゅぱ、じゅるるる、ちゅぱぱッ!
粘着質な水音が立つほど、お互いの舌を絡ませる。
「んちゅ……、ぷはあ。それは反則だぞ、正一くん」
そう言う凪咲の顔はうっとりと蕩けきっていた。
それに呼応するかのように、無数の膣ヒダが上下左右にうねってカリ首周辺をしゃぶり、子宮口が先端に吸い付く。
「ぐっ、俺もう……なぎさ出るッ、中に射精(だ)したいッ」
「我慢するなよ。さあ、イケ、イケっ……ドロッドロのスペルマ射精せッ! イキ顔見せろッ!」
凪咲は正一の頬に手を添え、濡れた瞳でじっと見つめながら、全体重を載せた杭打ちピストンで尻を振りたくる。
凪咲の見事な体が燃え上がるように火照り、膣穴全体でチンポを思いっきり絞り上げる。
屈強な肉体を持つ女上司の腰振りに白旗を上げ、彼女の意のままに中出しする喜び。童貞を卒業したばかりの彼に抗う術があるはずもない。
「でるっでるでるでる――う゛ぅ!」
びゅるるる、ぴゅ、びゅるるるるっ!
歓喜で体を震わせながらの、本気射精。
結局その夜、正一はさらに三回の中出しを経験し、凪咲も一度中イキをするのであった。