(BGM:ラストダンジョン)
ジャミルがナイトハルトの一撃を受けたアルベルトを気遣った。「大丈夫か、アル」
アルベルト「ああ・・・大丈夫だよ。でも、一応術法で回復しておくよ」
クローディアの胸に顔をうずめたアイシャの慟哭の声が今も響いている。内蔵ラスト
ダンジョンの中で、ついにアルベルト・クローディアたちは、サルーインの手先であったローザリアの黒王子カヤキス・ナイトハルトを討ち果たしたのだ。しかし、そこで知らされた
真実は、余りにも過酷であった。アイシャの一族・タラール族はローザリアによって滅ぼされ、しかもアルベルトの姉にして師であるディアナは、ほかならぬナイトハルトの手によってサルーインへの生贄として、一糸まとわぬ姿でここの肉壁に埋め込まれていたのだ。
アルベルト「姉さん…今助けるよ…」 アルベルトは肉壁に埋め込まれたディアナに近づいた。
実家(イスマス城)は魔物たちに滅ぼされ、両親・従者たちは惨殺され、弟アルベルトは生死不明。
全てを仕組んだのは信じていた許嫁ナイトハルトの裏切りで、彼の手によって彼女自身は生贄としてこの肉壁に埋め込まれた。全てを剥奪されて身も心も蹂躙されたであろう彼女はそれでも苦悶の表情もなく、安らかに眠っているかのように見える。今彼女は磔にされたような体勢の全裸の姿で胸の下半分から腰のあたりまで肉壁に覆われ、髪は解かれた状態で意識を失っていた。彼女は精気を吸われ続けていたにも拘わらず、痩せ衰えるどころかその美貌に一切の翳りはない。肌の張りは10代と見紛うばかりの潤いに満ちた若々しい肌をまだ保っている。
(過去の記憶の中で)ディアナ「あなたはまず自分の安全を考えなさい。たとえ私がやられそうになってもです。あなたの代わりになる人はいないのだから・・・」
以前の強く凛々しいディアナの姿しか知らないアルベルトには、今のディアナはたおやかで儚く、そして妖しいほど美しく見えた。アルベルトはディアナに更に近づいた。すると・・・
ゴゴゴゴゴゴ…
(BGM:邪神復活)
空間が鳴動し、いきなり肉壁から手が飛び出し、アルベルトの手をガッ!とつかむ。罠だ!
肉壁の其処かしこから異形の顔が飛び出し、おぞましい声で叫びを上げる。蠢き出した
肉壁は、ディアナの美しい裸身を徐々に飲み込んでゆく。「姉さん!!」アルベルトは自分の危機も忘れて思わず叫んだ。たまらずグレイが、剣でアルベルトをひきずり込もうとしている肉壁の手を切り落とす。その間にもディアナの美しい顔の左半分までもが、おぞましい肉壁に飲み込まれていた。
「姉さん!!」自分の身も案じずにディアナに取りすがろうとするアルベルトをジャミルがしがみついて止める。
ジャミル「よせ、アル! お前も取り込まれるぞ!! この壁は生きている! 意志を持ってるんだ!!」
蠢く肉壁がまばゆい光を放ち……サルーインへと姿を変えていく。邪神はここによみがえった……!