※この作品はR-18です。

ロマサガ1最終決戦―イスマス姉弟の絆―   作:あれくん

7 / 7
枯れ逝く薔薇は、しかし未来に希望を託す…

ジャミル「あ――あ…ひでえ光景だな」

 

 かってイスマスと呼ばれた地。ルドルフ公の居城・姉弟の生家があった場所は、

サルーインの自爆によって巨大な湖と化していた。生き残った8人の聖戦士たちは、

すり鉢状の崖の上にいた。

 

(崖の上から湖となったイスマスを見下ろしながら)ジャミル「それにしてもよく助かったな俺たち…その時の記憶がないんだが…」

 

クローディア(深い感謝のまなざしで)「アルベルトのお姉さんよ。彼女が私たちを

守ってくれたの。最後の力で…」

 ジャミル「そういやあの女(ひと)は…?」

アルベルト「来ちゃいけない!」見ると、彼はしゃがんで、こちらに背を向けて誰かを抱きかかえている。

 「今の姉さんの姿を誰も見ないでくれ」

 クローディア「最後に姉弟二人だけでお別れをさせてあげて。あの時、ディアナさんは

『自分の全てを喪ってもいい。彼ら―私達の事よ―をお守りください』と祈り、全てを―自分の命さえも―

搾り尽くしたわ。だから彼女はもう…。同じ女である私には二人の気持ちがわかるの。お願い、みんなそっとしてあげて…」

 

 

 

 

 

 

(BGM:涙を拭いて)

 

 アルベルトの腕の中のディアナは変わり果てた姿と化していた。

輝くようなプラチナブロンドの髪はワラのような白髪に…

10代の処女の様に瑞々しかった柔肌は皺(しわ)だらけでガサガサの肌に…

肉付きの良かった姫騎士の肢体は骨と皮だけのゴツゴツした痩身に…

豊満な美乳は干からびた皮だけの乳房の残骸に…(彼女の残りLP 0/18…)

それは生命力の尽き果てた老婆の裸身。しかし、その瞳にはなお明瞭な意志の光があった。

 

 

 

 アルベルトの心の眼には、瓦礫の山と化した聖堂が映っていた。

建物の残骸が丘のように連なっている。神殿としての役割を為すものはもはや何も

なかった…ただ一つ、ひび割れたエロールの神像を残しては。

(姉さん、あなたはたった一人でこんな仕打ちを受け続けたのか…なんて、痛ましい…) 

 

 

 からからに渇いた枯れ木のようなディアナの指を、アルベルトは愛(いと)おしそうに撫でた。

 

「姉さん」

「アルベルト」

 しばし二人は見つめ合った。

 

ディアナ(しわがれた声で)「私の為に、泣いてくれるのね、アルベルト」

 哀しそうに、ディアナは声を震わせた。

「だって、あんなに強くて美しかった姉さんが、今はこんな姿に…。」

 アルベルトの流した涙が、ディアナの頬に落ちた。

 涙の粒は、ディアナの乾いた肌を少しだけ潤し、吸い込まれていった。

「ありがとう、アルベルト。これでもう思い残すことは何もない。

残された力の全てを使い切ったの。私はもう、これまで…。」

アルベルト「ディアナ姉さん…!」

ディアナ「……アルベルト。もし貴方があの時、私の目の前でナイトハルトに敗れて

いたら、心を折(お)られた私は肉欲に溺れ……淫蕩の快楽を求めてサルーインに身体を

開き、邪神を完全に復活させてしまったことでしょう。

 あなたのことを信じていたから。私はかろうじて正気を保てた。一人だったら、

絶対壊れていた。きっと、あなた達をを助ける力すらも失っていたわ。

 たぶん私の力は今日のために…あなたたちを援(たす)けるために

エロールと太祖ローザから授かったのだと思うわ……。

私が逝ったら、どこでもいい、このイスマスの土に直に葬ってね。

この枯れ萎(しお)れた躰を晒すのはさすがに恥ずかしいから、

せめて早く土に還したいの。」

彼女は苦笑した。

 

 

ドクンドクンドクン…トクントクン…トクン、トクン…トクン…トクン・・・・トクン・・・・、トクン・・・・

ディアナ (ああ…私の心臓の鼓動が弱まっていく…私に天から与えられたいのちの時間が終わろうとしているわ…)  

 

「なんだか眠くなってきたわ。もうそろそろ、お迎えが来る頃ね。あなたに抱かれているととっても気持ちがいい。」「ごめんね、結局姉さんを助けることができなかった。」

「いいのよ、私嬉しかった。凛々しく成長した、あなたに会えて。さよならアルベルト。」

 

力尽き、アルベルトの腕の中で安らかに息を引き取るディアナ。

 

 

すると…空からそこに、輝きを帯びた人影が音もなく降りてきた。それは武装した凛々しい

 

戦乙女であり、背に2枚の翼を備えていた。

 

――来てくれたのね、アンナ――

 

 そして、ディアナの遺体から、若く美しい、全盛期の姿の彼女の霊姿が浮かび上がってきた。

ディアナの背中からも、1対の輝く翼が生えている。

8人の聖戦士たちが見守る中、2人の天使はつがいの様に仲良く寄り添いながら、

天空に飛翔していく。

 

アルベルト「ありがとう、姉さん。さよなら…」

 

彼女の遺体は遺言通り、イスマスの土の中に埋葬された。

 

 

 

(BGM:エンディング)

 

イスマス城主を継いだアルベルト公は、のちのローザリアの王となる。

全生涯をかけてローザリアの復興と発展に貢献し、

他の生き残った聖戦士たちも多くの功績を立てた。

アルベルト王の胸には、常に一輪のバラが共に在ったという…。

 

 

ディスティニ―ストーンはサルーインの消滅とともに消失し、

邪神の脅威から解放されたマルディアスの「人の歴史」がこれから始まる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (FIN)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。