でも歴史と年齢を検証してみると今回の話に落ち着きました
他に意見あったらなんか証拠を探してみてくれ、俺が見てみたい
「聖書陣営、俺が勝手に呼んでいる名称だが、お前たちの活動が活性化し始めたのは今から精々300年ほど前くらいでしかない。天使と堕天使と悪魔の三竦みは成立せず、単純に人間に対するスタンスだけで別個に動いていたのがそれ以前だ。フランスとイングランドがちょっと長く戦争をやった、その後くらいまで三種族は小競り合いを続けていた」
彼が語るのは私が生まれる以前の話だ。
私、グレイフィア=ルキフグスはそうした悪魔の歴史を覆すような事実を、彼に抱かれながら聴いていた。
お互いの身体を隠せるのは寝台に敷いてあるシーツ以外には碌になく、事も事情も明け透けに晒されている。
唯一違うのは、私の身体だけ。
この素肌だけは、彼だけが覗くことを許されていた。
悪魔の寿命は長い『と、されている』。
だがその詳細を知る者は恐らくはいない。
改めて問う者がいないこともあるが、恐らく知る者たちは黙して語らず、明確ではないままに命を永らえている者たちが大勢いるために“なあなあ”になってしまっているのだろう。
800年近く生きている、と若く瑞々しい肢体で彼は語る。
1万年生きていると自称する老人らと比べると、微妙に数えられる年代数で真実味を感じざるを得ない。
その彼、アイザックは逃さないように、私の肌を逞しい腕で絡め捕る。
しかし私にも逃げる気は在らず、腰に回された腕から手の先へと指を滑らせ、自らの指が絡むようにと握って返した。
貌の横へと両手を並ばせれば彼に抑え込まれるような形で私の身体は開け広げさせられ、重なった肌が彼の体重を感じて胸のふくらみも圧し潰される。
自然と向き直った私は、されるがままに唇と口中を蹂躙され、熱に浮かれた瞳で彼を見上げた。
「当然だな、悪魔の代表であるルシファーはコキュートスに封じられていた。三竦みの戦争が起きる原因となった『初代の解放』は、人間が悪魔を崇拝し始めた結果に過ぎない。だから魔女狩りに発展し、悪魔祓いも力をつけ始めた。そうして【大戦】は起こった、人間抜きで。これも当然だなァ、天使側が戦争を売ってきたのだから、人間に知られるわけにはいかない。まあ結果はイングランドの赤と白が乱入したお蔭でご破算となったが、聖書が神器なんてモノを生む切欠にはなったのだし、陣営の強化には繋がった。三方一両損ならぬ四方一両損、いや原因鑑みればどいつもこいつも結構自業自得だが」
今更だが、寝物語に聴かせられる話ではない。
しかし私もバアルに命じられて彼を探りに来ていたし、先に問うたことに対する回答を得られるのだろうから文句を言うつもりもない。
その得体の知れなさと辛うじて伺うことのできる実力差から鑑みて、搦め手や暗躍に身を投じずに直接問い質した私の選択は、きっと間違いではないのだろう。
自分の正体を問い糺されたことに対する応えが、「ベッドの上でなら幾らでも」と容易く返された点は正直予想外に過ぎた話であったが。
冥界が次代を担える後進を育みつつある現在、私はルキフグスの者として『ある任務』に従事している。
その最中に見つけてしまった存在が彼、アイザックであり、恐らくはバアルのアキレス腱にも成り得る存在。
バアルは大公であり、正直なところ魔王派閥とは対立していたのだが、既に廃れたと言っても過言ではない魔王派閥から出向された私がバアルに命じられて彼を探ることは、彼本人を除けば誰にも見咎められることではなかった。
というかバアル家に従事している者らしいのに、其処をよく知らないとはどういうことなのだろう。
よく知らないモノを使い魔の森の管理人にするという、バアルの采配もよくわからない。
私は
その『調査』の中には、自らの身体を使った『篭絡』だって選択肢にはあるのだ。
だから、こうして彼を愛おしそうに受け入れて、本題に届くか届かないかの睦言を耳にすることも、決して無駄でも婉曲なことでもない。
……決して愛されることが予想以上に快感だから事を長引かせようとか、そんな意図は私には無いのだ。決して。
「で、だ。その聖書陣営が『ナニ』を基にして『いつ』成立したのか、というと、それこそそんなに古くないんだ。バビロン捕囚って知ってるか? 基督教の基になった教義を造ったユダヤ人らが移送された2000年くらい前の事なんだが、例えばアスモデウスなんかは移送された先に伝えられていた拝火教の悪魔を参考に生まれた、と人間の歴史にはあるんだ。こっちに当て嵌めて考えれば、初代アスモデウスは拝火教悪魔アエーシュマ家の子供、ってことになるな」
浅黒い胸板で乳房が潰れる。
胎に沈み込んだ黒曜の石器のようであったペニスは、私の喉から嬌声を上げさせ続ける凶器だ。
アイザックが重要なことを語っている気がするが、熟れた脳では快感に応えることしかできない。
両脚は彼の腰へ絡みつき、目を閉じて生娘のように喘ぎ続ける。
――ああ、駄目だ。
愛おしすぎて気持ち良すぎて、彼の顔を伺えない。
「アイム家はアジダハーカと
「は、ァ、ンン……ッ!」
熱い粘液が子宮へ迸る。
衝撃が脊髄を駆け上がり、自然と身体が仰け反ってしまう。
胸板で潰れていたはずの乳首が屹立し、私の中の雌が獣欲が、本格的に目を覚ましたことを自覚した。
……ああ、こんな男性の子供を遺せれば、どんなに幸せなのか……。
「さて、本題に入ろうか。俺は西方帝国、今の神聖ローマ帝国とやらが出来て50年くらいの頃、人間から成った【転生悪魔】だ。グレモリー眷属のハインリヒよりも爺だ、言っちゃなんだがな」
「………………!?」
有り得ない情報に一気に覚醒する。
未だ彼の『熱』が胎の奥に燻ぶっているが、そんな余韻すら消し飛ぶようなことを彼は口にしたのだ。
「それは、ハインリヒ=コルネウス=アグリッパのことですか……? 彼は、確か300年ほど前の転生悪魔ですが……?」
問いかけて、彼の言葉に矛盾を知る。
そうだ、そもそも……!
「……【
新しく魔王に就任するアジュカ=アスタロトが生み出した、悪魔を増やすための技術。
生きている多種族や、死の間際の者を蘇らせられる、神の奇蹟を超えられる魔法。
それが、何故既に……?
「ん? 技術として完成したのか? まあ、転生天使だっているんだし、現象として起こっていた分にはあり得る話だろう?」
「転生、天使……?」
そんなものがいるのか、聞いたことも無かったが……。
「
輪廻転生を否定するはずの聖書で、一体何を騙っているんだ人間は。
【悪魔の駒】に関する事象だって、名称こそ転生と銘打っているけれど実質的には『復活』の疑似的なモノだ。
悪魔が配慮しているのに、教会が教義否定を先立ってどうするのか。
「事実に照らし合わせればそう可笑しな話でもないけどな。ウリエルは1000年前に教会の下知で堕天しているはずなのに、いつの間にか天界に咲き還っているし、そもそも悪魔の祖とされているリリスはメソポタミアの出身だ」
「……なんだか聞くほどに禄でもない伝聞ばかり明かされますね、そんなに矛盾していて大丈夫なのでしょうか」
「基督教の歴史は捏造の歴史だ。語れる者は勝利者だけだと云うのが奴らの言い分だが、こっちも他人のことは言えたものでも無い。先代四魔王が造り遺したとされる【
……人間の世界のことも、きちんと調べ直す必要が出て来たのかも知れない。
そもそも、私たち番外ですら知り得なかった【
しかし、彼の言うように私たちの正確な活動が300年前だと言うならば、それ以前の文献は確かに『古い』とも言えるのだろう。
アイザックを跳ね除けるようにして起きてしまったが、彼は紳士的にシーツを広げて被せるように私の肌を隠す。
火照った身体は汗で湿っていたのだが、隙間を覗くようにして伺ってしまった彼のペニスは未だに雄々しく反り立っていた。
恐らくは小休止だ。
話を終えて直ぐに、またあの剛毅なモノで屈服させられるに違いない。
誰とも知らず、ゴクリと喉を鳴らす私がいた。
「話を戻すぞ。家名こそ変えてあるが、俺は拝火教の悪魔ドゥルジによって転生した。そもそも明確な転生事象は拝火教と、その影響を受けたヒンドゥのお家芸だ。ハインリヒの転生も、恐らくは技術として明確化される『前』の元拝火教悪魔が手を入れたんじゃないか? 例えばメフィストフェレスとかが」
「……何故、そこでメフィストフェレス卿の名が?」
「彼は拝火教の悪神アンリマユが基だろう? 零落したというか、家名を変えてちゃっかりとここいらに落ち着いているが」
聞きたかった事の真相に合わせて、聞いてはいけない類の事実まで暴露された気がする。
私は聞かなかったことにして、彼自身のことについて尋ねることとした。
「……ドゥルジ、ですか。それはバアル大公やルシファーへ明かしても?」
「隠すほどの事でもない。ちょっと腰を据えれば調べは済むし、『ザトゥージ』とか名乗っているのも俺くらいだしな。そんな名前の悪魔は文献にも残って無いんだ、家名偽装していることくらい多少の慧眼なら見破られるさ」
誰も
いえ、文句など無いのですけれど。
「しかし、そうなると貴方は最も古い転生悪魔になるのでしょうかね。これから増えるであろう『彼ら』と、区別は難しいでしょうが」
「正直、悪魔人生の方が長くて人間だった頃の事こそ覚えちゃいるが意識は薄れてるからな。増えるであろうそいつらとは共感もできそうに無い」
「あまり役に立ちませんね」
私よりもずっと経験を積んでいるはずなのだが、へらりと微笑う仕草に思わず辛辣な言葉を返してしまう。
しかしそれを謝罪する気にはなれず、彼もまた何も咎めないことからそれが『正しいこと』なのだと感性に保障されているようだった。
上手く言えないが、それが彼との良い関係性を築いて行ける遣り方なのだと、そう感じたのだ。
「……彼らには上手く伝えておきますし、場合によっては私の内に留めておく事実もあるでしょう。例えば、貴方の前身が『何』であったか、などが」
彼の背には、恐らくは明かしてはいけない事がある。
それは刺青のように刻まれた、蠅を思わせる『翅』の文様。
蠅と聞いて、私たちは魔王の一角――ベルゼブブを想起せざるを得ない。
悪魔が新しい四魔王を担ぎ上げて早々に、別の火種をわざわざ起こすこともないはずだ。
「そんなに語ることも無いのだけどな、ドゥルジが女悪魔だった逸話から子供を遺す方法がちょっと違う、程度しか云う事は無い」
「……参考までに、どのような方法を伴うのかを訊いても……?」
これはただの興味本位だ。
悪魔は子供を作り難いから聞くことであって、彼の子を身籠りたいから明白にしておこうとか、そんな意図は無い。
「猫の子作りを知ってるか? アレは一匹の雌猫に多数の雄猫が別個に群がって子供を作る。逆ハーレム、って奴だな」
「はぁ」
「そして郭公を知ってるか? アレは別の鳥に自分の子を託す。托卵という奴だ」
「本題に入りましょう」
寝物語を糺すには彼は前置きが長すぎる。
例え話を冗長に重ねるのは、やはり彼が相応に古い人種だからなのだろうか。
「言ってしまえば、俺は相手の女性に俺とは別に男性を挟んでもらわない限り子を遺せない。一般にある
「……それ、は」
「検証もできてるし、実績もある。多少他よりも性能が突出する程度で、今も俺の子供たちは俺を父親と知らずに冥界を盛り立ててくれている」
……さらに聞いてはいけなかった事実を明かされたのかもしれない。
私は、新しく就任したルシファーのことを連想する。
50年来の付き合いである彼が、何かの決意を秘めて魔王となったことは伺える。
しかしその下地である『実力』が、彼が、アイザックが手引きしたことで生じていたのだとしたら。
……薄ら寒いナニかを感じて、私は自分の両腕を抱く。
そんな私の肩を、アイザックに自然と抱き寄せられた。
原因は他でもない彼なのだが、今は熱を感じていたいと、されるがままに顔を寄せる。
「それとこれは序でなんだが、転生前の逸話を呑み込んで、竜の因子まで引き継いでな。結果として、ちょいと精力が強いんだ、諦めてくれ」
私は自ら、身体を覆っていたシーツを手放した。
彼の子を孕む予定が付かないのは残念だけれど、ならば思う様に貪ってもらいたいと、乳房を徐に寄せて晒す。
優しい手つきで弄ばれながら、彼の子を産む『手伝い』をしてくれそうな男性を私の脳裡は探っていた。
しかし真実は決して語られることは無いのであろうと、悪魔社会を内心で裏切りながら。
原作で語っている一番古い転生悪魔は500年前の人物なので、普通に考えれば悪魔の駒がその辺りにあって、魔王就任もその辺りの時代だ
何故ならば悪魔の駒を振り撒き始めたのは就任後だから
…と思うじゃない?
ぶっちゃけ、悪魔が今で伝えられている悪魔らしいように語られ研究され始めたのが14世紀くらいかららしいし、活動開始がその辺り、って書いた
有名なソロモンの鍵も古いモノとされているらしいのに17世紀まで印行されなかったとかいうし、どこぞの古い歴史家の話でも14世紀の写本とやらが一番古い
それすら伝聞なので証拠がねぇ
っていうか向こうの歴史検めると途中途中国が変わったり内乱で落ち着いて研究もできなかったりでこれ悪魔が暗躍してたとか理由並べるには人間がドグサレ過ぎて責任押し付けにするのも酷くない!?って思った善意ですヨ(逸らし目