クリスマス時期に書きました。
年末のややこしい書類の束はひと段落ついてコーヒーを飲んでいるとカレンダーに目が止まる。
12月25日……そういえば今日はクリスマスだ。日々任務に励んでいる可愛らしい部下たちのためのプレゼントとして、事前にケーキを何ホールか予約してみんなに行き渡るように手配していたはずだ。
「ごーしゅじーんさまぁー!!」
パタパタと廊下を駆ける音とこちらを呼ぶ声が聞こえた。カレンダーから音のする方に目を向けると急カーブして開きっぱなしのオフィスのドアを通るG41の姿が見えた。
彼女は二つの青い目をキラキラさせながら嬉しそうな顔でこちらに寄ってきた。
「ご主人様、ご主人様!すごいです!向こうにケーキがいっぱいありますっ!ごちそうですよ!」
尻尾もあったら間違いなくブンブン振っていたであろうくらいにG41は微笑ましくそう報告する。しかしケーキがたくさんなだけのごちそうは胃がもたれないだろうか。さすがに人形は胃もたれしないか。
そんなバカなことを考えているとG41は首をこてんと傾けて尋ねる。
「でもなんであんなにあるんでしょう?」
俺は、今日はクリスマスだからだよと答える。彼女のデータベースにはあるのだろうかと聞くとG41はこう答えた。
「イエス・キリストの降誕をお祝いする祭日ですね。ご主人様はそういったものをお祝いするんですか?」
そう言ってかくんと反対側に首を傾ける。
ナイーブな事柄ではあるが、宗教に関しては、まあ、特にこだわりはない、と思う。そう熱心でもないと言うべきか。曖昧な返答に彼女は「うーん」と唸って別の質問をする。
「それじゃあ、あのケーキは神さまのもの?」
それに違うと首を振って否定する。あれは普段頑張っている君たちに送ったものだと言い切ると若干曇り気味だった表情に晴れ間がのぞいた。
「じゃ、じゃあ、今日はたくさん食べてもいいんですか!?」
おかわりもあるぞと首を縦に頷くと笑顔になった。こんな風に喜んでくれるならクリスマスプレゼントとして選んだ甲斐がある。
「くりすますぷれぜんと?」
どうやらクリスマスの行事があることは知っていてもその詳細は知っていない様子だった。なので俺はサンタクロース、クリスマスプレゼント、そしてその行事の挨拶であるメリー・クリスマスについても吹き込むことにした。
人形ゆえに普通の人間に教え込むよりもスムーズに覚えてもらえた。
「そうだったんですね。でもご主人様……私、贈り物の用意ができてないです……」
しゅんとしてこうべを垂れる彼女の頭をわしわしと撫でると彼女は目を瞑って受け入れる。これは普段の頑張りに対するお礼も兼ねているから気にする必要はないと言うと彼女は俺の腰に抱きついてきた。
「嬉しいです。ご主人様、ありがとうございます」
彼女は目を潤ませながらこちらを見上げて礼を言う。泣き出しそうな彼女に「食べに行っておいで」と言うと彼女は目元をこすって「はい!」と花が咲いたような笑顔で手を振って部屋を出ていった。
よろこんでくれたのはよかったが、いくら嬉しかろうと施設内は走り回るもんじゃないと後で注意しておこう。
▽
指定場所を覗くとG41だけでなく他の人形も楽しそうにたくさんのケーキの中から気になったものを選び、舌鼓を打っていた。こっそりオフィスに戻ろうとすると索敵値の高い娘らに見つかってしまい「これ美味しいですよ」とか「指揮官こちらも」などと部下たちに勧められてこっちも結構な量を食してしまい、若干胃もたれた。今後の健康診断に不安が残る。
──自室でそんな旨を日誌に書き終えると就寝時間に差し掛かっていた。
体を伸ばして欠伸をし、ベッドに入ろうとすると扉をノックする音が聞こえる。
『ご主人様G41です。お邪魔してもいいですか?』
入っていいよと言うと遠慮がちに扉が開かれ、そして我が目を疑った。G41の格好はいつもの下着のような姿ではなく、丈の短いチューブトップワンピースの可愛らしいサンタ服だった。それを身にまとっていた彼女はもじもじしながらも一歩前に進む。
「クリスマスなのでサンタさんのコスチュームをしてみました。ご主人様、どうでしょうか?」
クリクリとした目を上向けにしてそう聞いてきた。とてもかわいい、似合っていると語彙の低い褒め言葉を口にすると彼女は嬉しそうに両頬に手を添えて破顔した。
「えへ、えへへ……ご主人様ぁ。嬉しいです」
ギュッと抱きついてくるG41を受け止める。戦闘用から民生に使われているものに換装しているからか尖ったパーツなどが食い込むことがなく、まるで人間の少女に抱きつかれたかのような柔らかさと体温の高さにくらっときてしまう。さらに高度な技術で作られた人形は人間との差異が少なく、なおかつ顔立ちもいいために少なからず劣情を催していた。
あまりぎゅうぎゅうくっつかないようにと彼女を窘めるとG41はゆっくりと離れた。
「えへ、ごめんなさい。うれしかったから」
そう素直に反省する彼女も可愛らしくて、つい頭を撫で回してしまう。両目を瞑って抵抗することなく撫でられている彼女が愛しく感じてしまう。
「……ごしゅじんさまぁ。私、プレゼントを用意したんです」
目をとろんとさせて撫でられながら彼女はそう言う。しかし、彼女の周りにはプレゼントを入れた袋などはなく、そこに俺が疑問に思っていると彼女はスカートをつまんでゆっくりとたくし上げた。
「私のこと、受け取ってもらえますか……?」
彼女は下着をつけていなかった。前からでもわかるほどの綺麗な腰のラインと無毛の縦筋が俺の目の前に晒される。これは、私がプレゼントよと言うやつなのだろうか。
G41は恥ずかしいのか場に酔ったように赤くなっている。そんな彼女に理性の一線がオーバーして、気がつけば顔を近づいていた。
「ごしゅ? ひゅんっ、んんっ……」
彼女の唇にキスを落として、徐々に深いものにしていく。人形の分泌液の成分が何でできているのかはよくわからないが、おそらく人体に影響はないと思われる。ただただ、お菓子のように甘い口内をひたすらに貪りながらチューブトップを下に捲る。
「ひゃわあっ」
ぷるりと乳房が顔を出す。人懐っこく幼い印象を受けるG41であるが、出るところは出ていてスタイルがいい。俺はその形のいい乳を掬うように揉みしだいた。
「んあっ。ん、んぅっ、ひゃ ひゆっ!?」
山に指を滑らせて、ピンク色の頂きを摘み、下乳のラインに指を這わせて彼女の反応を楽しむ。律儀にも彼女はスカートを摘んだまま抵抗しない。そのために晒されている筋が湿り気を帯び始めているのも丸わかりになっていた。
「ごしゅじんさまっ、ん……お、おっぱいはでないですよぉ……」
赤子のように彼女の胸にしゃぶりついているとそうつっこまれた。そういう機能を追加しない限り出てこないのはわかっているのだが、こうするだけでも確かな充足感を得られる。
そんな中、切なそうな顔で太ももを擦り合わせているG41が提案する。
「ご奉仕しますからベッドで仰向けになってください」
言われた通りにベッドに寝っ転がると彼女が足元の方にきて寝巻きのズボンに手をかける。
「す……すごいです。ご主人様の、パジャマの上からでもわかっちゃいます……」
脱がしてもいいのだろうかというような視線を向けてきたので頷くとゆっくりと脱がせた。ズボンが数回つっかえたのちにぶるんと股間のブツが外気に晒される。寒い。
「わあぁっ!? ご、ごごご立派ですっ!?」
眼前に勢いよく飛び出た肉棒に驚きつつも少しずつその存在感になれたのかG41はすんすんと匂いを嗅ぐと、くらくらとしている。
「はあっ……むわっとする臭いなのに、お腹の中がキュンってしちゃいます……」
ゆっくりと片目の色が戦闘時と同じように赤色に染まっていく。生体組織のバグでも起きたのか荒い呼吸を始めながら、獲物である俺の腰の上を跨いでマウントをとった。
「ご、ごしゅ、ごしゅじんさまっ? も…もお、いいですよねっ? 私の中にいれちゃってもいいですよね? もう我慢できないんです。着替えてお部屋に入る前からずうっと、ごしゅじんさまのものがおなかの中にほしくて我慢してたんですよっ? ね! いいですよね!?」
笑顔ではあるものの、落ち着きのない様子で一方的にそう語る彼女は腰を下ろして、いきり立った切っ先に向けて割れ目を近づけてキスをする。そしてそのまま、くぷっと亀頭部分が飲み込まれて腰がはじけるような快感が俺に襲いかかる。
「ご主人様ぁ……私の中でいーっぱいきもちよくなってくださいっ」
アイスキャンデーを貪るかのように彼女の秘唇が肉棒を奥へ奥へと滑らせ、ぬぷぬぷとぬるま湯よりも高い極楽に埋まっていった。飲み込まれていく感覚に歯を食いしばって暴発を避けていたが、こうも具合が良すぎるとすぐに果ててしまいそうだ。
「はあ、ぁ……きたぁ、きましたっ。ご主人様のおっきいのが奥までぇっ」
頬を緩ませて口を半開きにしただらしのない表情で震えながら受け入れていた。
人形でなかったらこうもスムーズに彼女自身から腰を下ろすなどしなかっただろう。人間ならば体格差で痛みしか感じないであろうこの行為も、中身に搭載された信号に接触し、それにより快感をもたらしているために彼女はリアクションが取れている。つまり、G41の反応に嘘偽りがないのだ。
「うごき、ますね? うぁ、ああっ」
支えるかのようにこちらの胸に手をついてそう宣言して上下に揺れ動く。ぬかるみに押し入っていく感覚とずるずると肉棒に巻きついて引っ張られるような快感が背筋を走る。それに合わせるかのようにめくれたチューブトップの上に乗っていた彼女の乳房もぷるぷると揺れており、その柔らかさを強調させる。
「あッ、うぁっ、あ、あ! もっと、おっきくなっ、んっ……ちゃったんです? ……私の胸、もっと触りたいですか?」
目を細めながらこちらの手首を掴む。彼女はそのまま自身の胸にまで持っていき、前屈みになって押し付けた。
「いいですよ? 私の胸もおなかの中もご主人様のもの、ですからっ……ご主人様のしたいようにしていいんですよっ……?」
そう言って淫靡に笑い、蠱惑的に腰を揺らした。その動きに、抜くのすら久々な我が相棒はもはや我慢の限界だった。歯を食いしばって耐えている俺にG41はくすくすと笑いながら体を伏せ、耳元で囁く。
「我慢なんてよくないですよ? ご主人様、だしてくださいっ だしてっ だしちゃえっ!」
伏せたままで器用にも激しく腰を振るG41の膣内は搾り取るように蠢いていた。まるで別の生き物のようにという例えがあるが、内部構造的にも独立した機能の可能性もある。だから、ほら、つまり。
「────あはっ……すごいです、ごしゅじんさまぁっ。こーんなに私の中にびゅーびゅー出しちゃってる……」
あまりの責めに俺は決壊し、無様にも彼女の中に数日分の欲望を吐き出していた。気持ち良さそうな顔をしている彼女の口はだらしなく開き、そこから舌を出して犬のように排熱している。
射精を終えると搾り取ろうと蠕動する彼女の中は緩やかになっていき、G41は力が抜けたようにくたりとして俺の上でもたれかかる。そんな無防備な彼女の頭を撫でてやると嬉しそうな声を漏らしてすりすりと身体をさすって応える。
「えへへ……すきです。だいすきです、ごしゅじんさまぁ……あんっ」
ストレートに好意を伝えてきた彼女の体がぴくんと反応する。それもそのはず、彼女があまりにも甘い声で生乳を押しつけながら言うものだから股間がまたもや元気になってしまったのだ。
「もっと、したいですか? つぎは後ろから……?」
彼女は引き抜いて、スカートをめくって形の良い大きめの尻をこちらに見せつけるように向ける。俺は辛抱堪らずに彼女に覆い被さる。
「きゃんっ!? も、もうっ。ご主人様、いきなりお尻をつかまないでくださ──ひゃうううっ!?」
俺は彼女の言葉を遮るように後ろから挿入して二度目の快楽を楽しむことにしたのだった。
▽
翌朝、オフィスにて俺はぐったりしていた。というのもあれから何度も性交したからではなく、もっと別の理由だ。
──ドアが開きっぱなしでした。
しかも昨晩の行為は激しかったしG41も声を抑えようとしなかったため、聞きたくなくとも聞こえてしまっていたらしい。廊下ですれ違う部下たちがひそひそとこちらを見て何かを話している姿を見て嫌な想像しかできなかった。
「指揮官さまー!」
そんな中、嬉しそうな声でこちらを呼びながらカリーナが入室してきた。向けば声と同じくほくほくとした上機嫌な笑顔をしていたが、こちらの様子を見て表情を曇らせる。
「あ、あれ? 指揮官さま、どうかなさいました?」
俺はカリーナに昨晩のことを話し、それが周りにも聞こえてしまって気まずくなっているという状況を話した。しかし、カリーナは気にすることはないと言った。
「大丈夫ですよ! 指揮官さまは嫌われてません!」
──その根拠は?
「指揮官さまがそのコスプレえっちでハッスルしたおかげで私のところにたくさんの人形たちが衣装を買い求めに来てくれたんですよ! もちろん指揮官さまのために!」
一瞬なにを言われたのかわからなかった。
そして、理解して悟った。
──もしかして、死ぬのでは?
嫌われてはいないことを知れたがそれとは別の危機が迫っていることに気がついて、俺はカリーナに精力剤を数十本注文して備えることにした。
彼女の顔はまたもやほくほくとしはじめていたのだった。