オフィス机の上には16labからの郵便物が届いていた。同技術開発部門の主席研究員であるペルシカからの届け物に、指揮官は内心穏やかではない気持ちで開く。中には増幅カプセルに似たピンク色の薬剤が一粒と仕様書が同封されていた。
内容を確認すると、どうやらこれは人形の性能の上限を引き上げるためのカプセルの試作品で、人形との親密具合で効果が表れるようだ。ペルシカは、彼の基地にいる人形たちの中で特に仲のいい人形に飲ませて欲しいとのことであった。
部下をまるでモルモットのように使うのには気が引けたが、安全性においては特に問題がないようで、それでも何かあった時のためはこちらを使ってくれと見るからに怪しげな赤い箱も用意されていた。
さてどうしたものかと思案しているとオフィスをドアノックする音が響いた。入室の許可を出すとRO635が書類を抱えて入ってきた。
「指揮官、報告書の提出に来ました。こちらの確認をお願いし……それは?」
ROは机の上に置かれていたカプセルを見て尋ねた。彼は、これは16labからの届け物だということ、好感度をキーに性能の上限を引き上げる試薬品であることを説明すると彼女は興味深そうに薬を見つめた。
「でしたら、私に試してください。ステータスが限界にまで達している人形の方がより良いデータが得られると思います」
ROのスキルおよびステータスは全て上限を達しており、被験の対象として都合が良かった。だが彼はそんな彼女に薬を使うのにためらっていた。
「大丈夫です。ペルシカさんの手腕を信じていますし、万が一のための対策も準備してあるようですから。……そ、それに」
「あ、あなたとの好感度も……その、悪くないですから……」
うつむき、消え入りそうな声でそう伝え、グローブをはめた左手薬指あたりを愛おしげに撫でる。そう、指揮官とROは誓約を結んでいたのだった。
ROがその気持ちを大事にしているように彼もROの身の危険を心配し、唸りながら悩んだ後に被験をお願いすることとなった。
▽
正確なデータを測るために仮眠室を貸し切ることになり、彼はROに薬を飲んでベッドで横になるようにと指示を出す。
実験内容は服用後の30分間を経過観察すること。その間は安全のために接触を禁止、5分刻みでその状態をレポートに記すというものだ。
指揮官はボードを持ってROが寝るベッドの横に椅子を置いて座ると彼女は喉を鳴らして薬を飲んでいた。そしてサイドテーブルにコップを置いてベッドに横になり、30分という超短期間の実験が始まるのだった。
[開始五分後]
ROは極めて不思議そうな顔をしながら天井を見つめていた。どうしたのだろうかと彼が聞くと彼女は答えた。
「いえ、強化カプセルと同じようなものですぐに身体が熱くなるものだと思ったのですが……今のところそういったものがなくてですね」
いつもと違うことに違和感を覚えていたようだ。指揮官がそのことを記しているとROは嬉しそうに話しかける。
「そういえば最近はこうして二人でお話しする機会が少なかったですね。お互いに忙しかったのもありますが」
そうだねと彼が答えると沈黙が流れる。
しかしそれは二人にとって安心感を知る、気まずいものではなかったのだった。
[開始十五分後]
「……指揮官」
保たれていた沈黙が破れた。
どこか寂しげな声に指揮官はどうしたと聞く。
「その、胸の中が寂しいです。苦しくて、からっぽになったみたいで……指揮官、その」
彼女が言葉を続けるよりも先に、今は耐えてほしいと彼は答える。利口な彼女は頷いて、襲いかかる寂しさを耐えるのだった。
[開始二十分後]
「……身体が、ポカポカしてきました」
夢見心地のような顔でROが告げる。
「ですが、従来のものと違ってカッと熱くなるものではないですね。じんわりとくるような、そんな風にあたたかくなります」
「けど、やっぱり寂しいです。指揮官」
[開始二十五分後]
はあはあと悩ましい息遣いが彼女の口から漏れ出す。頬を紅潮させ、表情は艶を帯び始めている。
「指揮官っ、身体が、疼くんです。お願いしますっ。あなたの体に触れたいです……」
切なそうに太ももと太ももをすりすりと摩り語るROのその様子に指揮官は劣情を抱きつつ喉を鳴らした。
まるで据え膳を置かれている状況だがこれは任務なのだと自身と彼女に言い聞かせて彼は折るのだった。
[開始三十分]
「……も、もういいですよねっ?」
喜色をあらわにした表情でベッドから状態を起こす。目は期待にどろどろとさせて体全体が熱を帯びたように火照っている。完全に雌として出来上がってしまった彼女に頷きながら、お預けを食らっていた指揮官は手を伸ばして頬に触れた。
「は、ぁ……」
目を細めて背筋がぞくぞくとする感覚にROは襲われる。彼女はたまらずに指揮官を自身がいるベッドに引き寄せて抱きしめる。
「────っっ♡」
指揮官は自分の腕の中でROの身が震えるのを感じた。寂しさと劣情に焦らされていた今の彼女の身体は、愛する者を抱きしめただけで軽い絶頂を引き起こしていたのだ。
満たされていくそんな中でROは思う。これ以上をしてしまったら自分はどうなってしまうのだろうと。好奇心にも似た感情が赴くまま、彼女は指揮官にキスを求めた。
普段なら恥ずかしがるROが唇を突き出す姿が愛らしく、彼はそれに応じた。触れるたびに彼女の中はより強い幸福で満たされていき、同時に渇望する。
渇望は下腹部の疼きに変わって、雄を求めるかのように腰をカクカクと揺らす。スカートの中、下着の裏側はすでに濡れており、それは表側までシミを作らせていた。
「……しきかん。私に、あなたの愛をください」
指揮官の身体を寝かせて彼の制服のズボンを下着ごと脱がすとぶるりとペニスが天を指す。それにお目当てのものにだらしのない笑みに変わっていくのを彼女自身も感じた。
待ちきれないとばかりに膝立ちになって下着を脱ぎ、男の腰にまたがって秘部とペニスがくっつく直前まで近づける。
秘裂は欲望に開き、そこから愛液がよだれのように垂れ流れてその真下にあるペニスはROによって濡らされた。その彼女の息遣いはというと、荒く、いやらしいものになる。
「私のからだでいっぱい、きもちよくなってください……♡」
すとん、と簡単にROの中にいきり立ったペニスが挿入できてしまった。前準備もなかったというのにすでに出来上がってしまっていた彼女の身体は挿入されただけで心地好さそうに口の端を緩めて歓喜している。
「──あ、あつい……きもい、いい……♡」
上ずった声が近況を伝える。膣壁を押し拡げる肉棒の快感にROは身をよじらせて腰を振るとそれに合わせて膣内がぐにぐにとペニスを刺激する。両腕で胸を強調するように指揮官の腹部に手を置くとROはその身を揺らして前後にグラインドする。
「はっ、あっ、あっっ♡ しき、かんっ♡ どう、ですかっ? ちゃんと、できてますかっ?」
ぴちゃりと口元から垂れたよだれが彼の胸を汚した。彼は頷くと、ゆさゆさと揺れる彼女の胸に手を伸ばすとそれを手で制された。
少し待ってくださいと彼女が言うと自身の服を脱ぎ出す。黄色の上着を脱ぎ、胸の下のベルトを外しセーターを脱ぎ、ブラウス姿になるとそのボタンを四つ外すと白いブラジャーが露わになる。
「これで、どうでしょうか……?」
今更羞恥心を思い出したのか照れた様子でブラを上にずらすと、たぷんと白い乳房が姿を見せ、ブラウスの上に乗る。そして、ピンク色の乳頭は性的興奮に尖らせてそれを見た男の情欲を促していた。
「ぁ……♡ すごっ、びくびくって、してますっ♡」
その痴態に指揮官のペニスはROの膣内でさらに硬度を盛り上げ、陰茎が当たる感覚にROは断続的に痙攣させる。
そうして抽送を再開するとたぽたぽと水っぽく揺れる生乳がひどくいやらしいものに変わっていく。普段なら羞恥心が抑えてここまで積極的にならないはずの彼女がここまで乱れていく様に、彼は優越とした気持ちになった。
さらにはブラウスは着用し、スカートは履いたままの着衣での行為はさながら女学生と致しているような倒錯した錯覚を見せた。
「ふえ?」
彼はたまらずROの腰を掴む。ただ快楽を貪るように一心不乱に腰を振る彼女は気の抜けたような声を出す。
そしてドスッと腰と腰をぶつけるように押し付けた。
「────おごぉっっ♡♡」
肺から潰れ出たような濁音の多い声が彼女の口から出た。きゅうきゅう、びくびくと膣内はRO自身の今の快感状況を示していた。
グッと腰を掴む両手で彼女の身体からペニスをずるずると引き抜く。ROは察したのかまともな声が出せないまま、これ以上は無理とジェスチャーするかのように必死に首を横に
振る。
しかし、無慈悲にも亀頭が引き抜かれるスレスレでまたしても腰を強く引き寄せ、それにより肉棒は再び膣壁を掻き分けたのである。
「あぐぅっ!? はぁっ あ゙あっ♡ んぐっ♡」
彼が腰を打ち付けるたびに揺れ動く乳房は先ほどより激しく踊り、真面目な彼女の口からは品のない声が意識と反して漏れ出してしまう。
性具を扱うようであるが、彼女の声色は歓喜に満ち溢れ、歓迎するかのように挿入してくる指揮官のペニスを受け入れるのだった。
「はあ、ぁっ、んあぁああっっ♡♡」
あまりにも具合が良過ぎるそこに指揮官はあっさりと限界を迎えてしまう。発情した雌に向けた射精は余すことなく彼女の肉壷に注がれていったのだった。
(気持ちいい……♡ 身体全体が溶けてしまいそうになるっ♡ もっと、もっと指揮官としたい♡)
はき出された精液に膣内は搾精のために収縮し、睾丸の中まで搾り取る勢いだった。昇りくる熱にROは身体を震わせて仰け反る。
命の危機を感じた指揮官は非常事態用の赤い箱に希望を持って手を伸ばす。寝そべった状態かつ片手でなんとか開き箱の中に手を突っ込むとこつりと硬い感触がしたので彼はそれを掴んで引き出した。
精力剤だった。
指揮官は静かに天を仰いだ。
▽
鼻に付く精臭と肉を叩く水っぽい音が仮眠室を浸している。その部屋の中でとりわけ強くにおうベッドがひとつ。
「──ッッ♡ ぁっ♡♡」
男に覆い被さられ、うつ伏せだった雌は狂ったような嬌声の行き場を咄嗟に抱きしめた枕に吐き出していた。
体全体は湯上りのように赤いが、男に打ち付けられている形のいい臀部が特に色濃かった。ぱんぱんと打つたびに柔らかな尻肉が波打ち、程よいクッションとなっている。
女性的に豊かな胸部は枕に押し付けられており、打ち付けて性感を与えるたびにぎゅうぎゅうと強く枕を締め付けて、その度に密着した乳房が淫猥に形を変えていく。
そしてそのなかみは精力剤によってブーストされた精液に濡れてスムーズな抽送をこなしているが決して緩くなることはなく、ねっとりと男根に絡みついていた。
この体勢で良かったとROは心の底から安堵する。気持ちを許して身体を預けられる中であろうとも先ほどよりもケダモノのようにヨガった女の顔をしてしまっていたからだ。
彼の腰が大きく引いて、ROの膣内を強く貫いた。彼は唸りながら腰を震わせている。
(あ、ぁ……♡ また、こんなにいっぱい……♡)
ROは歓喜の涙を枕に湿らせた。
この後も行為は続いたが、二回続けて致した先から彼女の記憶は途切れ途切れに記録されていた。
特製の精力剤のおかげで2時間近く休まず快感を与え続けていたせいでデスクワークが続いていた彼の腰は限界が来ていた。
本日通算5回目となる行為を終えると彼は荒く呼吸を繰り返しながら仰向けになってROのとなりに倒れる。ROは枕で涙を拭きつつ彼を見る。
彼のペニスはまだいきり立っていた。
ROはごくりと喉を鳴らした。
▽
翌日、フラフラとしながらどこか生気を失った様子でオフィスにたどり着くと今回のことを大まかにペルシカに報告した。
結果、ステータスは全てプラスワンされた。その成果に彼女は終始ニヤケながら報告を聞いており、それにどこか苛立ちを感じた指揮官はもうこれっきりにしてほしいと意見を述べる。
「それは無理……かな」
何故。
「君と仲のいい人形に何粒か届けたからね。多分今日────」
ドアをノックする音が聞こえた。
──もしかして、死ぬのでは?
状況を察した彼女は黙って通信を切り、指揮官は再び天を仰ぐ。
そしてノックする音は重なり始めるのだった。