「んあー、からだが重いー。もーだめだー」
部屋に着くなりその場で倒れこみそうになった少女の体を指揮官は支えた。少女の名前はゲパードM1。残業を嫌い、休暇を愛する人形だった。
現在時刻は午前三時、彼女とその指揮官は数日間のデスマーチに追われ、憎っくき残業と戦っていた。その結果、双方やつれ気味に二人の寝床に帰り着くのだった。
彼女に肩を貸しながら数日ぶりの仮眠用ではないふかふかなベッドにたどり着くと引き寄せられたかのように倒れこんだ。
帽子がどっかに行ったり制服がぐちゃぐちゃになることなど疲れ切った頭はそこまで考えが回らず、気持ちよさそうに二人して緩んだ声を上げていた。
「あー、とけるー」
ゲパードは締まりのない表情で彼の体に擦り寄る。季節は明るい時期とはいえ少し肌寒い時間帯ということもあり、ぬるく温かな人肌が彼女にとって癒しとなっていた。
そして、膨張色かつ生地のせいで目立ちにくいが、女性としてみれば平均以上の膨らみを無意識に押し付ける形となっていた。
基本的に無気力な部分が目立つ彼女だからか、その制服の下はブラもつけずに黒いインナーのみで済ませていたのだった。
疲れているほどなんとやら、柔らかなその感触に加えて、真近に感じるゲパードの体温と濃い匂いに指揮官は劣情を催してしまう。
剛直の感触が腹部に伝わってしまったゲパードは呆れたような顔で息を吐いて指揮官を見上げる。
「……指揮官、当たってる」
ジトッとしたその視線に対して彼は「君の身体が魅力的だから」とか「男は疲れているほどこうなりやすいんだ」などと狼狽えながらゲパードに言い訳を始めた。
彼女が再度息を吐くと指揮官は、うぐっと言葉を詰まらせてしまい、それをフォローするかのようにゲパードが口を開いた。
「最近、ご無沙汰だったからね。男の人ってそういうのが溜まっちゃうって聞いたこと、あるから。 でも、今ワタシ疲れてるからあまり動きたくない……だから」
ゲパードは脱力してより深く男の体にもたれかかる。息がかかりそうな距離で彼女はその先を続けた。
「指揮官が動く分には、ワタシのからだ、楽になるまで好きにつかっていいよ……? んっ、ぅ……」
許可が下りるや否や指揮官はゲパードの唇に齧り付くようにキスをする。餌をお預けされた犬のようなどう猛な様子に驚きつつも少しずつゆっくりと強張った肩の力が抜けていく。
(……なんか、コーヒーの味もする)
そういえばと仕事中眠気覚ましに一緒のコーヒーを飲んでいたことを舌を絡めながら思い返す。そこに甘い唾液の味を混ぜ、舌を唇でしゃぶりながら彼は服の上から胸を揉みしだく。
「ふぅ、んっ、んぅ……」
(やっぱり男の人って女の胸が好きなのかな。よく触ってくるけど……おおきくなったら……重くて邪魔になりそう)
なぞり、つまみ、ほぐす。彼と身体を重ねるときはそれらを乳房によくするために、いずれは人間の女性のようにホルモン云々でサイズアップするのではないかとズレた心配を始めたのだった。
しかし、そう余裕を持っていられたのも束の間のこと。ホルモンはともかく人間と差異がわからないくらいに精巧に造られた肉体は、数回の性交と開発によって感度が増していた。
「かは、ぁ、うっ」
かりかりと制服の上から乳首に目掛けて指先で引っ掻く。ぴりぴりとした快感に息継ぐ呼吸が乱れる。
そんな様子も構わずに、もう片方の手でゲパードの後頭部を抑えて追い討ちのようにキスをした。
(くるしい、けど、きもちいい)
深いキスの中、鼻から喘ぐ音が聞こえる。キスの感触と胸への愛撫による刺激が彼女の下腹部を疼かせて行為への準備を進める。
唇を離すと双方は荒くなった呼吸を整えた。先に息が落ち着いた指揮官はゲパードの耳を軽くつまんだ。
「うあっ? み、みみなの?」
そしてそのままふにふにとマッサージをするように揉み込む。彼女は手から伝わる体温が心地良かったのか目をトロンとさせながら受け入れていた。
「うあー……これいい……」
続けているとまるで湯に浸かったカピパラのような惚けた顔をしていた。身体から力が抜け、くてくてになって無防備なゲパードのスカートの中に手を入れて、生の太ももの感触を味わうと気を抜いていた彼女は身体をびくりとさせて強張らせた。
ももの柔らかさを楽しむように手のひらで外側からさする。すべすべとした肌に手だけでなく、口でも味わいたいと思った指揮官は唇を近づけた。
「ふうっ、うっ、あっ……!?」
くすぐったさのあまりに両手を口元に持っていったのが彼女の失敗だった。彼は構わず手と唇を使って食んで揉み込むのだった。
続けていくうちにくすぐったさに耐える息遣いから艶っぽいものに変化していき、彼女の奥底はさらに疼かせ、雌の匂いを漂わせる。
彼はゆっくりと手を伸ばして、黒い下着越しに秘所へと触れた。くちゅりと水っぽい音を立てながらさする。
焦らされた彼女は背を反らし、悶えながらも駆け走る性感を耐える。彼はそのまま下着をずらして直接その源泉に触れた。布越しよりも粘度の高い手触りでゲパードの興奮具合を把握する。
「ふぅ、んくっ、んんぅ──!!?」
そして、彼の指は膣口をなぞるように撫でた後でその奥に向けて侵入していく。つぷりとハンドクリームに指を突き立てるような触覚を感じ、膣内は歓迎するようにきゅうきゅうと指を締め付ける。
ゲパードは挿入された指に耐えきれないといった様子で、塞いでいた手を片方前に突き出して首を横に振った。
「待って、まってっ……」
しかし、引抜こうにも締め付けの強さで思うようにいかず、逆にかりかりと引っ掻き回すような形になってしまう。ぞわぞわとした感覚が股から駆け巡り、甘い電流となって全身を襲う。
(久しぶりだから、これ、やばい……)
開口しても大きく息を漏らしたりくぐもった声が出てしまい、これ以上止めることができずにいた。
「ふあぁっ、あ、あぁ────!!」
ゲパードはカクカクと腰を揺らして絶頂を迎えた。痙攣が落ち着いていくとようやく指が抜け、彼は抑えきれない様子で自身のベルトとズボンのチャックに手をかける。
「……あ、あ?」
そして絶頂の余韻に浸って、無防備に開いていた脚の間に腰を入れた。
────
たんたんと腰を打ち付ける音、それに合わせて押し上げられて出たような嬌声、制服の下で揺れる乳房、仕事の疲労が極限にまで達してしまっていたため、互いに理性をこわしながら行為がもたらす快感に没頭していた。
窓から差し込み始めた光が夜明けを告げるまで貪り続け、彼が大きく腰を打ち付けて数回目の射精を終えるとゲパードの身体の上に崩れた。
「ぐえー……」
彼女が苦しそうにそう漏らすと彼は短く謝罪して起き上がろうとした。けれどもゲパードはそれを止めるように指揮官の背に腕を回す。
「……すこしくらいなら、別にいいよ。指揮官は重いけど、いやな重みじゃないから……指揮官、楽になった?」
彼は声を出さずに頷くと伝わったのかゲパードは嬉しそうな声を上げる。
そして二人は汗と行為の匂いが混じった部屋の中、差し込んだ朝日に包まれながら微睡むのだった。