三大勢力の会談。
駒王学園の新校舎にある職員会議室で執り行われる会談はこれからの三大勢力の行末が決定する。場合によってはこの場で即戦争という可能性もなくはない。
その会談に悪魔側はサーゼクス、セラフォルー。給仕係としてグレイフィア。
天使側はミカエルと女性天使。
堕天使側はアザゼルと「
そして、その会談に参加することとなったグレモリー眷属と火月を始めとする黒歌、ジャンヌ、リリティファ、ゼノヴィア。それと生徒会長であるソーナとその
この場にいる者が最重要禁則事項である『神の不在』を認知していることを前提条件として会談が始まった。
会談は順調に進み、各勢力はこれまでのこと、そしてこれからのことについて話しを続けるなか、先の事件であるコカビエルが起こしたエクスカリバー強奪事件に関わった報告をリアスは終わらせて、アザゼルが和平を提示する。
悪魔も天使も和平を持ちかける予定だった。先の戦争で各勢力共に失ったものは大きい。このままでは三すくみは共倒れとなり、人間界にも影響を及ぼす。
途中、一誠がミカエルにアーシアの追放の件について質問したが、ミカエルはそれを丁寧に答えてアーシアに謝罪するもアーシアそれにゼノヴィアはそれを許した。
そしてアザゼルは三大勢力以外で世界に影響を及ぼしそうなヴァーリ、一誠、火月に問いかける。
―――お前は世界をどうしたい? と。
その問いにヴァーリは簡潔に答える。
「俺は強い奴と戦えればいいさ」
これ以上にない単純な答え。そして次に一誠は和平を選んだ。
その理由はアーシアとセックスできないという性欲真っ直ぐな理由で。
「姫島火月。お前は?」
「世界に興味などありません」
火月もまた素直に自分の意見を口にする。
その瞬間、時間が停止した。
「…………………あら?」
「おっ、赤龍帝の復活だ」
一誠が意識を覚醒した時、室内は少しだけ変わっていた。
ミカエルは窓から外を見ていて、サーゼクスとグレイフィアは何やら真剣な面持ちで話し込んでいた。
「俺の眷属は問題はないな。リアス姫の方は?」
火月は自分の眷属は誰も停止させられていないことを確認する。黒歌は小猫を庇った状態で魔法陣を展開して時間停止を防ぎ、ジャンヌは聖剣の力で防ぎ、その後ろにいたリリティファを守った。ゼノヴィアはデュランダルの力を盾にして防いだようだ。
そして火月は内に宿すドラゴンの力のおかげだ。
「眷属で動けるのは私とイッセーと、祐斗、小猫、それと………………朱乃、その腕………」
時間停止されていない自分に眷属を確認するリアスは朱乃の腕にある籠手を見て目を見開いた。
「あらあら、これは………………?」
朱乃も驚きながら自分の腕に装着されている籠手を見る。
『上手くいったみたいだな』
「アルド?」
不意に火月に宿るドラゴン――アルドエイクがこの場にいる全員に聞こえるように声を出す。
「ではこれが………………………」
心当たりがある朱乃はすぐにそれが何かに気付いた。
「アルド? どういうことだ?」
『お前さんの姉は力を求めていたからな。俺はその力を発動できるように後押ししてやっただけだ。体内に蓄積されているドラゴンのオーラを具現化させ、
その言葉にこの場にいる誰もが驚愕する。
「おいおい、
火月の
「アルド、どうしてこんなことを…………………?」
『お前さんの姉はお前さんの為に力を求めていた。お前さんが姉を守りたいように姉もまたお前さんを守りたいんだとよ。だから、怒るな』
「でも、それでも……………………ッ!」
怒りたくもなる。
姉には戦いから離れて平和な日々を過ごして欲しいと願っている。だけど、ドラゴンの力を手にした以上は戦いの運命から逃れられないかもしれない。
そんなのは嫌だ。戦うのは自分一人でいい。
「火月」
憤る火月の手を朱乃は取った。
「私は貴方を守りたいの。だから怒らないで……………」
「姉さま………………………」
「私は貴方はの姉なのですから、少しは頼って、ね?」
「………………………………」
そう言われると何も言えなくなる。
本当はもう頼っている。母親が殺された日、姉がいなければ自分の心は壊れていた。姉が支えてくれたからこうしていられるのだから。
沈痛な顔で黙り込む火月を置いて一誠は何が起きたのか尋ねる。
「テロだよ」
アザゼルが答えて窓の方を示す。そこには黒いローブを着込んだ魔術師みたいな連中がこちらに攻撃を仕掛けていた。
そして問題の時間停止。おれはテロリストが旧校舎にいるギャスパーを利用して強制的に
そのギャスパーを取り返すためにリアスと一誠が動く。
その間、アザゼルはテロリストについてこの場にいる全員に語る。
―――『
三大勢力の危険分子を集めている組織でなかには『
誰もが表情が険しくなるなかで聞き慣れない声が飛び込んでくる。
『そう、オーフィスが「
声と共に会議室の床に魔法陣が浮かび上がる。
今回の黒幕に気付いたサーゼクスはすぐにリアスと一誠を飛ばすようにグレイフィアに指示する。
二人が転送してすぐにその魔法陣から姿を現したのは一人の女性悪魔。
その悪魔の名はカテレア・レヴィアタン。先代レヴィアタンの血を引く旧魔王の一族。
旧四大魔王が滅び、新しい魔王を立てようとしたときに徹底抗戦を最後まで唱えたのが、旧魔王の血を引く者たち。その血を引く者たちは全て冥界の隅へと追いやった。
「旧魔王派の者たちはほとんどが『
今回の会談の逆の考えに至り、神と先代魔王がいないのなら、この世界を変革するべきだと、旧魔王派はその結論を出した。
オーフィスの力を借りて、一度世界を滅ぼしてもう一度構築する。新世界を取り仕切る。
己の目的を語るカテレアにセラフォルーが叫ぶ。
「カテレアちゃん! どうしてこんな!」
「セラフォルー。私から『レヴィアタン』の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと! 私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです! 私こそ魔王に相応しかった!」
「カテレアちゃん…………。わ、私は!」
「セラフォルー、安心なさい。今日、この場であなたを殺して私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そして、オーフィスには新世界の神となってもらいます。彼は象徴であればいいだけ。あとの『システム』と法、理念は私たちが構築する。ミカエル、アザゼル、そしてルシファー――――サーゼクス、あなたたちの時代は終えています」
カテレアの言葉にサーゼクスもセラフォルーもミカエルも表情を陰らせる。
「よくもまぁ、そこまで言える………………………」
その発言の主は姉である朱乃を後ろに下がらせて静かに憤る火月からだった。
「俺はお前等みたいな奴等を良く知っている。その結果、不幸になる奴もいるということも」
それを見たカテレアはゴミを見るような目で火月を見据える。
「フン、堕天使とのハーフですか。穢れた存在がよくもぬけぬけと私に意見を投げられるものですね」
「サーゼクスさま、それにセラフォルーさま。お願いがございます」
カテレアを無視して火月は二人に懇願する。
「この者の相手を私にお任せいただけないでしょうか?」
「………………………………勝てるのかい?」
「必ずや」
「そうか、では頼む」
「はい」
「火月くん、お願い………………………」
「はい」
魔王たちからの了承を得て火月はカテレアと対峙する。
「実力差もわからない半端者が私の相手になると?」
嘲笑交じりの侮蔑な物言い。だけど火月はそんなことどうでもよかった。
「旧魔王の一族。お前達の存在は害悪でしかない。古いしきたりに囚われ、血族を重んじているが為に種の存続、これからの未来に目を向けない。
鎧をその身に纏う火月は告げる。
「俺はその古いしきたりを消し去る為に魔王を目指している」
姫島の一族より忌嫌われた子供たち。
もう自分と姉のような存在を生み出さない為に火月は己の夢を口にする。
「魔王を目指している? 純血でもないたかが堕天使のハーフ如きが魔王を語るとは………………ッ!」
火月の発言に激怒するカテレアは全身から魔力のオーラを迸らせる。
火月もまたその手に雷光の剣とドラゴンのオーラを全身から発する。
二人のオーラは衝突し、その余波で職員会議室が吹き飛び、二人は飛び立って校庭の遥か上空で攻防戦を繰り広げ始めた。
「火月……………」
上空を見上げて弟のことを心配する朱乃だが、その気持ちを今は振り払う。
グレモリー眷属と火月の眷属達は魔王サーゼクスの命によって結界の外にいる魔術師達の始末に向かう。
「はぁ!」
朱乃は雷光を放つ。すると、雷光が意思を持つ龍の形となって魔術師たちを葬って行く。
続けて放つ雷光の龍、雷光龍は激しい稲光と炸裂音と共に次々と魔術師たちを倒していく。しかも、その雷光龍の大きさ、速度は時間と共に大きく、速くなっていく。
「あらあらうふふ」
自分の腕にある
弟である火月を抱いたことによって得た力。その影響もあって雷光だけではなく魔力による攻撃は全てドラゴンの形になっている。まるで弟と一緒に戦っている気がして嬉しかった。
「行きますわよ」
弟も頑張って戦っている。なら自分も戦わないといけない。
大好きな弟の為にも、今よりも強くなる。
学園の空で戦うカテレアと火月。
魔力による攻撃を繰り出すカテレアに雷光をぶつける火月は空中を蹴って接近する。それを見越して防御魔法陣を展開させるカテレアの魔法陣と火月の蹴撃が衝突してぶつかり合う。
「おのれ…………ッ! たかがハーフの分際で!」
ここまで互角の戦いを繰り広げている二人だが、カテレアによっては不愉快極まりない。
純血の悪魔でもない。たかがは堕天使のハーフが自分と互角はあってはならない。
「アルド」
『応よ!』
再び接近する火月に魔力攻撃するカテレアだが、火月はその攻撃を躱してカテレアの至近距離で蹴りの体勢を取ると、カテレアは嘲笑う。
何度も防いだ蹴りの一撃。それがなんだというのだ、と言わんばかりの笑みで再び防御魔法陣を展開する。
だが―――
「なっ!?」
今度はその防御魔法陣が蹴り砕かれる。そして二撃目の蹴撃を放つ火月の攻撃をカテレアは紙一重で回避する。
「くっ…………! こ、の、半端者が………………ッ!」
自分の防御を破った火月にプライドを傷つけられたカテレアは懐から小瓶を取り出し、中に入っていた小さい黒い蛇らしきものを呑み込むと、カテレアの全身から放つ魔力が膨れ上がって、不気味なオーラを漂わせている。
そんなカテレアに極太の雷光の剣を投擲するもカテレアはそれを右腕を横になぐだけで消失させてしまった。
「なんだ? あいつの力が急に………………………」
『ありゃオーフィスの力だな。さっきあの女が呑んだのはオーフィスの力の片鱗だ』
アルドが急にパワーアップしたカテレアの正体を告げる。
カテレアは先程とは比べものにならない魔力攻撃に火月は避ける。いくらドラゴンの鎧を纏っていたとしても今の一撃をまともに食らえば致命傷は避けられない。
『おいおい、どうするんだよ。相棒』
「アレを使うぞ」
火月は動くのをやめて鎧を解除する。それを見たカテレアは攻撃の手を止めた。
「観念しましたか。それでいいのです。所詮はハーフ。真の血族である私に勝とうと思うこと自体が間違っているのですから」
諦めたと思ったのか、もう勝った気でいるカテレアに火月は口を開く。
「聖書に記されし神が、どうしてアルドを封印したかわかりますか?」
「はい?」
突然の話に怪訝するも火月は構わず続ける。
「恐れたからですよ。いや、神だけではない、二天龍すらもアルドの逆鱗に触れることを恐れた。逆鱗に触れたアルドの一撃は神すらも蹴り飛ばす」
「―――――っ」
阿寒が走る。
「
再び鎧を纏う。ことはなく、大質量のオーラは足だけに包み込み、鎧化の時とは比べて五、六倍はある極太の脚甲となる。
「『
もっと力強く、もっと速く、もっと神経を研ぎ澄ませる。そんな極限状態のなかで辿り着いた新しい
「………………………………ばかな、こんな、こんなことがッ!!」
戦慄する。
特大ともいえるドラゴンのオーラがその脚から放たれて、滲み出るオーラだけでも明らかに自分を上回っていることがわかる。
「ありえない………………わたし、私は、オーフィスの力も借りているのですよ! それなのに、どうして………………ッ!!」
『ギャハハハハハハハハハ! おいおい、レヴィアタンの血を引く悪魔よ。そんなこともわからねえのか?』
戦慄するカテレアに哄笑するアルドは答えた。
『そんなもん、俺の相棒の方が強かっただけの話じゃねえか』
あっさりと告げられるその言葉と共に火月は動く。
脚にあるドラゴンのオーラが膨れ上がってそこの雷光の力も加わることで濃密で凶悪なオーラを生み出す。
そして――――
「フォース・ドラゴニックキャノン」
放たれる波動はドラゴンの顎の形となってカテレアを襲う。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!」
放たれたオーラに喰われたカテレアは存在ごと消滅してオーラは校舎にぶつかって消し去る。
その光景を見ていたサーゼクスは自分と戦った時よりも強くなったことに嬉しく思って自然と笑みを溢す。
「あの程度で満足されては困ります。次からはもっと厳しくする必要がありそうですね」
その隣で解析を行っているグレイフィアからのきついお言葉に苦笑する。