だが、新たな力の代償として火月は外見も中身も幼い子供になってしまった。
そして現在、幼児となった火月は………………。
「うふふ」
朱乃の膝の上でジュースを飲んでいた。
そんな朱乃が羨ましく、リアスは負けずと火月を自分の膝の上に呼ぼうとするも。
「や」
火月はそれを拒否する。
「あらあら」
それに微笑みながら火月の頭を撫でる朱乃と拒否られたことにショックを受けるリアス。
火月がどちらに懐いているのか言うまでもなかった。
それを見た黒歌は。
「白音。私の膝の上にくるにゃ」
「嫌です」
「ふぐっ!」
最愛の妹からの何の迷いもない拒絶に黒歌は悶えるも……………どこか恍惚の笑みを浮かべていた。
「ふむ。子供の頃の火月は朱乃副部長に懐いていたのだな」
「そうみたいですね」
姉弟の仲睦まじい様子にゼノヴィアとリリティファは微笑ましい気持ちになっていた。
「それにしても火月さまがあのような姿になってもう数日。いっこうに元に戻る様子がありませんわね」
「仕方がないと思う。それだけ
火月が子供になって早数日。だけどまだ元に戻る様子がなく、少し心配になってきたレイヴェル。
そのことについてリアスが口を開く。
「今はアザゼルが調べてくれているようだから気長に待つしかないわね。それまで私達で面倒をみてあげたいのだけど……………………」
チラリと火月を見る。
もう姉である朱乃から離れたくないかのようにべったりだ。
「……………………火月のシスコンは子供の頃からだったのね」
火月がシスコンだということは重々承知している。そして朱乃もブラコンだということも良く知っている。
だからなのか、二人の空間にはどこかハートマークがあるように見えてしまう。
無理に引き剥がそうとすれば火月は文句は言わないけど、凄く嫌な顔をする。
だけど朱乃が傍に居れば凄く嬉しそうな顔をする為に無理に引き剥がせない。その為、火月の面倒は実の姉である朱乃が見ている。
「寝ている時はあんなに求めてくるのに……………………」
不服そうに頬を膨らませるリアス。寝惚けた火月は加減を知らない子供のように無垢に貪欲に貪るように愛を求めてくる。その時だけは朱乃だけではなくリアスにも甘えてくるのだが、数日経った今でもリアスは子供である火月に女を体感させられている。
キスしたり、乳首を吸われたりするだけでも自分が女だと体感させられてしまうリアスはそのことを思い出して頬を赤くする。
本番行為そのものは禁じられているが、リアスも火月と本番一歩手前のところまではしているからこそ普段の火月がどれだけ手加減しているのかわかった。
もし、本番行為アリで手加減無用で迫られたら恐らくリアスは火月なしではもう満足できない身体にされていただろう。
下手をすれば犬耳のカチューシャをつけて首輪も嵌められた雌犬にされていたかもしれないと思うとリアスは少しだけゾッとした。
流石のリアスも年上としてのプライドは保ちたい。
「あらあら、おねむかしら?」
リアスがそんなことを思っていると朱乃の膝上にいた火月がうつらうつらと頭を揺らしていた。
「や」
眠気に襲われながらも寝まいとする火月に朱乃は微笑ましく思いながら自分の胸の中で火月を眠らせようとすると、火月はまるで安心するかのように瞼を下ろした。
(昔からこうしないと眠ろうともしませんものね)
火月は幼い頃から賢く、そして警戒心の強い子供だった。
警戒というよりも何かに怯えている。そんな火月が安心して眠れる方法はこうして傍に誰かがいる時だけ。
それゆえか朱乃は姉として弟と共に寝るのが日常だった。
「寝ちゃったの?」
「はい」
眠りについた火月を抱えて部屋まで連れて行こうとする朱乃はリアスに言う。
「リアス。大事な話がありますの。一緒に来てくれないかしら?」
「? ええ」
真剣な顔で告げられたその言葉に怪訝しながらもリアスは朱乃についていく。
「それで話ってなにかしら?」
火月をベッドに寝かせてリアスと朱乃は対面するように腰を落ち着かせると朱乃はリアスに告げる。
「リアス。私は弟を、火月を異性として男として愛しています」
「!?」
朱乃はリアスに親友に秘めていた想いを告げた。
更に―――
「既に私は処女ではありません。火月に捧げました。それだけではなく週に一回は火月に抱かれて何度もここに子種を頂きました」
腹に手を当て、事実を口にする。
「母さまを失い、父を憎み、私には火月しかいなかった。弟だけが心の拠り所だったの。だから身体で迫った。母さまを失った寂しさを埋める為に、火月が私から離れないように」
隠していた想いを親友に伝える。
「卑しい女だと自分でもそう思うわ。身体で、それも血の分けた弟に迫るなんて最低なことをしているのも重々承知よ。けど、火月はそんな私を愛してくれる。何度もこの身体を抱きしめてくれて、私が女であることを教えてくれたわ」
「………………………」
「近親相姦というのでしょうね。私達、姉弟のことを。これが歪な愛で正常なものではないのもわかるわ。けど、それでも私は弟を、火月を愛しているの」
「………………………それをどうして私に言ったの?」
「火月が貴女のことを愛しているからよ」
その言葉にリアスは思わず火月に視線を向ける。
「リアス。貴女は気付いていないと思うけど、火月は心から貴女のことを愛しているの。でも火月は私のことを気にかけているから遠慮しているのでしょうけど」
「……………貴女を一人にさせない為に?」
「はい」
弟と親友。二人が結ばれても朱乃は姉として親友として心から幸せを願う。どちらも朱乃にとっては大切な存在。だから責めることなど決してしない。
だけどそれは火月も気付いている。だからこそ、そんな姉を一人にさせない為にリアスと僅かばかりの距離を取っている。
リアスは朱乃の話を聞いて心のどこかにある火月との距離感について納得した。けど。
「どうして今になって……………………」
「……………………怖かったの。姉と弟でしてはいけない一線を越えたことを、求めてはいけないものを求めていることが知られるのが。けど」
朱乃は勇気を振り絞って親友に言う。
「いつまでも弟に甘え、護られているわけにはいかないわ。だからこれはケジメよ」
朱乃は三つ指ついてリアスに土下座する。
「リアス。私を貴女の眷属から外してください」
それはリアスにとって予想もできなかったことだ。
「私が火月の傍にいればきっと火月は自分とそして貴女の幸せよりも私を優先してしまう。それだけは嫌なの。だから私は弟から皆の前から消える。だからお願い、リアス。私を貴女の眷属から外して―――」
「いやよ」
朱乃が言葉を言い終える前にリアスは朱乃の懇願を断った。
「ふざけないでちょうだい、朱乃。貴女を私の眷属から外すなんてこと二度と言わないでちょうだい! 貴女は私の親友! そして
激昂する。
「貴女も火月も互いに歪な愛を抱いているのはわかったわ! けど貴女がいなくなったら私だけじゃない! 火月だって自分を責めるわ! 火月にこれ以上家族を失わせるつもり! 他でもない貴女が!」
「けど、私がいれば二人は―――」
「そんなの受け入れるわよ! 貴女達姉弟の歪な愛ぐらい!」
え? と思い朱乃は顔をあげる。
「朱乃。私はだれ?」
「リアス………………
「なら貴女の親友は貴女達の歪な愛を許容できないほどの器の狭い女かしら?」
「それは………………でも……………………」
「ええ、確かにまともではないわね。正常でもないわ。血の分けた姉と弟が本気で愛し合うなんてどう考えても歪ね。けどそれがなに?」
「え?」
「貴女達姉弟はそれがわかったうえで本気でお互いのことを愛し合っている。形こそ歪でもその愛は本物のはずよ」
リアスは親友の頬に流れる涙を手で拭う。
「朱乃。貴女は自分のことを卑しい女と思っているみたいだけどそれは違うわ。愛おしい人に抱かれたいというのは誰にだって抱く想い。その相手が弟であっただけの話よ。歪な愛には違いはないでしょうけど私はそれを受け入れる。そうすれば貴女が私達から離れることはないわね?」
「そ、そうだけど…………」
それでも、と言いたげな朱乃にリアスは言う。
「朱乃。貴女が私や火月の幸せを望んでいるように火月もまた姉である貴女の幸せを望んでいるのよ? その為に火月が努力しているのは知っているでしょう? それをなかったことにする気?」
「そんなこと!」
「ならこれからもずっと私達の傍にいなさい。勝手にいなくなるなんて許さないんだから」
「リアス………………」
自身と弟が抱く歪な愛を受け入れてくれた親友に朱乃は心から感謝した。
「それでしたらこれからは何の憂いもなく火月と一緒に寝れますわね♡」
「え?」
そこにはいつもの笑顔をする親友にリアスは呆気を取られる。
「リアス達がうちに来てからずっと人気のない学校のトイレでしていましたが、流石に限度がありますし、時間も限られていたので少々物足りなく………………ですが、リアスが受け入れてくれたので何の躊躇いも憂いもなく部屋でできますわ」
「あ、朱乃……………貴女、もしかして……………………」
「ふふ、リアス。貴女ならきっと受け入れてくれると信じていましたわ。だって親友ですもの」
計算通りといわんばかりの勝ち誇った笑みを見せる朱乃にリアスは空いた口が塞がらなかった。全ては朱乃の掌の上。それに気付いたリアスは怒りで全身を震わせる。
「朱乃………………ッ! 貴女ってヒトは!!」
「あらあら、リアス。私を誰の姉と思っていますの? 貴方の
いつもの調子を取り戻す朱乃にリアスは親友を睨み付けて言う。
「火月は私のものよ! 誰にも渡さないのだから!」
こうして二人はいつも通りの喧嘩をするのであった。