Lシステムを巡る全ての戦いが終わった。
すでに夏の陽は西の海に傾き、青い海をオレンジに染めつつある。
フリーデンのクルーと共に放棄されたオルク艦に乗り込んだジャミルはそこで
Lシステムのカプセルに全裸で納められ、内部に満たされたLCL?で金色に染まった
ルチル・リリアントと再会した。
しかし、ルチルの心は相変わらずティファの体を借りたままの姿で、ジャミルと相対
した。
ジャミル「……ルチル」
ティファ(ルチル)「また会えて嬉しいわジャミル。でも…」
Lシステムからのルチルの開放、そしてジャミルとの感動の再会だと言うのに何か悲壮感の漂う彼女の様子に
フリーデンのクルー達は揃って首を傾げた。
ティファ(ルチル)「さっき、あのフラッシュシステムを操るためには私の身体に
残されていた生命力の大半を放出するしかなかったの。もう、私のいのちは
あの沈み逝く夕陽のよう…
余命はあと一晩、正確に言えば今夜中に死ぬ確率が半々といったところね。
最悪の場合、今すぐ息絶えるかもしれない身体なの…」そして彼女は哀しげに微笑んだ。
ジャミル「なんだって! そんな…!」
「だからジャミル。私から最後のお願いがあるの…」
「分かった。何でも言ってくれ」
ティファ(ルチル)はその幼い外見に不相応な紅潮した頬と濡れた瞳でジャミルを見つめ、そして言った。
「私をLシステムから降ろして。ジャミル、あなたが欲しい…
私自身で、あなたと共に最期のときを過ごしたいの…!」
ごぽごぽ…ごぽ…ごぽ…
Lシステムのカプセルに満ち満ちたLCL?が抜かれていく。
それにつれて金色に染まっていたルチルの裸身が徐々に本来の色を取り戻していく。
はちみつ色の金髪が…
妖しいばかりに白い滑らかな柔肌が…
彼女の端正な美貌が…
ルチルとのリンクが切れたティファは気を失い、今はトニヤの手に抱えられている。
堅く閉ざされていたルチルの瞼(まぶた)がぴくぴくと動き、開きだすのと、彼女の胸を
覆い隠していた両腕がほどかれ始めるのは、ほぼ同時だった。
夕陽から差しこむ光が、若いルチルの美しい裸身を浮かびあがらせていた。そう、
彼女の裸身は15年前と同じ二十歳(はたち)の若さを保ったまま、加齢による衰えを
その身に刻まれることもなく、輝きを放っている。
形よく整った胸―淡い桜色のとがった乳首も露わな―細くくびれたウエストから
腰にかけての妖しい丸み―ただ惜しむらしくは、彼女の股間は恥毛を剃られ、
あまつさえ永久脱毛すらされていたので、ルチルの肉感的な陰部は隠しようもなかった
ことであろう。
そして、彼女の端正な貌(かお)の蒼い虹彩と黒く澄んだ瞳の眼が―意志と知性を秘めた美しい瞳が―周囲をゆっくりと見渡した。
その場に居合わせた者たちは―男も女も―彼女の瑕(きず)一つない裸女の美に
見とれていた…。
ガロード「こ、こいつはちょっとやばいんじゃないの!?」
サラ「ダメ、良い子は見ないのよ!」
彼の後ろにいたサラは、あわててガロードの両目を覆い隠した。
うっすらと微笑んだルチルは、ゆっくりとカプセルの中から、よろめきながら外に
歩みだした。一歩、二歩、三歩…しかし。
ルチル「あっ――あああっ!」彼女の下肢から
ガクンと力が抜け、
ルチルはたおやかで鈴を鳴らすような悲鳴と共に甲板の上にくずおれた。
それがフリーデンの皆が初めて聴いた、ルチル本人の肉声であった。
ジャミル「ルチルっ!」彼は急いでルチルのもとに駆け付け、彼女を抱え上げた。
ルチルの一糸まとわぬ肢体は、全身ぬらぬらと濡れている。まるで産まれたばかりの
嬰児(えいじ)のようだ。ルチルの体温が、ジャミルの両腕に伝わってくる…ジャミルは彼女を激しくいとおしいと思った。
ルチルはジャミルと目を合わせた。
ルチル「ああ、ジャミル…!」
ジャミル「ルチル…」彼は上着を脱いでルチルに着せようとした。
ルチル「それはいいわ、ジャミル。私はもう、忌まわしい研究の生贄にされ汚された身だから、今更うわべを取り繕ってもしょうがないの。それに…」
ジャミル「それに?」
ルチル「私、それでも、生まれたままの姿を、おんなとしてのありのままの私を、解放したかったの。まだ私に美しく輝く力が残されているうちに…。
それよりも肩を貸して、ジャミル。最後にせめて自分の足で歩きたいの」彼女は悪戯っぽく微笑んだ。
ジャミル「ああ…分かった」彼はルチルの左肩を支え、二人で立ち上がった。
ルチル自身の「中の人」は中川翔子さんのイメージです…