※この作品はR-18です。

ガンダムX異伝―末期のヴァージンロード―   作:あれくん

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Lシステムから開放されたルチル。
ついに生身でジャミルと契りを交わします。


至福の婚礼

「はぁ…はぁ…わたし…生きているのね。あなたと共に…風を、あなたの感触をこの身で

感じているわ…!」

「ルチル…」

 今、ジャミルはルチルに右肩を貸す格好で歩んでいる。

 艦長服を着込んだジャミルに対し、

ルチルは一糸まとわぬ裸身で、エロティックな

恰好でありながら、どこか女神のような

厳(おごそ)かな気品を感じさせた。

 ジャミルは至福の気分を味わっていた。

ルチルの体温が、柔らかな肉の感触が、

美しい紅潮した顔が、そして欲情した

ような、それでいて苦しげで甘美な吐息が

五感に伝わってくる…!

ルチル「…指輪も花嫁衣装もないけれど、

今ここで婚礼をあげたいわ、ジャミル。

悔いを残したくないから…!」

ジャミル「分かった」

 

 ドクターテクスが神父役を務めた。

 

「ジャミル・ニートさん、汝(なんじ)健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

ジャミル「はい、誓います」

「ルチル・リリアントさん、汝(なんじ)健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

ルチル「私はもはや健やかな身とはいえません。

でも、この身に残されたわずかな命に

かけて誓います」

 

ルチル「これからは今は亡き両親よりも…

いいえ、誰よりも…ジャミルあなたを…

信じます。私の命の焔が燃え尽きるまで、

いいえその後もずっと…!」

 そして二人は、接吻を交わした。

刹那とも、永遠とも思える間…

その姿は一枚の絵画のように美しかった。

 

 フリーデンのクルー(ガロード含む)が

一斉に拍手してジャミルとルチルをを祝福する。

「「「おめでとう、お二人さん!!!」」」

 

 

サラ(艦長…)彼女はそんな二人の姿に見惚れながら、胸にかすかな痛みを覚えた。

そんな自分にわずかな嫌悪を感じながら。

 

 

歩み寄ってきたティファ「ルチルさん…」

ルチル「貴女を使わせてくれてありがとう、

ティファ。これで想いを遂げることができます」

ティファ「私も、あなたを受け入れている間、

温かく安らいだ気持ちでいられました。

せめて貴女も、ジャミルとお幸せに…」

 ルチルはティファを抱き寄せて左膝をつき、

お互いに眼と眼を合わせあった。

ティファ「(うっとりとした口調で)綺麗なひと…

燃え尽きるのが間近な焔の輝き

と分かっていても…(うつむいて)ごめんなさい」

ルチル「いいのよ…こう見えても、

私の体は確かに戦乱と欲望に利用されつくし

疲弊しきっている。母体としての機能さえ

ほとんど犠牲に供され、

ジャミルとの子さえも望めない体なの…

私は今、残された力を、

この姿を保つためにも使っているの。

けれど…それももう終わりが近づいている…」

 ルチルの目から何かのイメージが

伝わってくる。これは…

 

 

 

ルチル(たぶん、もうあと何時間ももつまい…)

 

 彼女は、己が肉体の実年齢が

30代半ばに達していることを、

誰よりも理解しており、次第に焦りを

覚え始めていた。これまでは

Lシステムの生命維持装置が

彼女の若さを保ってきたのだ。

 そこから切り離されてからは

肉体の表層部の老化を、NTの

異能の力を用いた無理な方法で

二十歳の姿に抑え続けているのだ。

 その限りある生命のエネルギーも、先程の

フラッシュシステムを使用した時に、

ルチル自身の眉間から激しい快感と共に大半が

紅い光となって放出され残りはもう、

1割もない。抑えが効かなくなれば…

リバウンドによる衰弱の早さは、眼を覆(おお)わしめる無残なものがあるに違いない。

ルチル(そんな姿を、人の目にさらしたくない)

(でもいずれは、容色が衰えていく……)

 ルチルは久しく忘れていた、おんなの性(さが)に目覚めた。

 絶世と言われたこの美貌の衰え逝く末路を、人の目に晒したくはない。

 それでも、今だけでもいい、自分の美しさを

人々の記憶にとどめておきたい…。

彼女がそう思うのが、ティファにも伝わって

きた。

 

 

 

 

ティファ「…かわいそう…」彼女の眼から

涙がこぼれおちた。

ルチルは黙って自らの豊かな胸に

少女の頭をうずめた。

ティファ「それでもいい匂い…ずっと

こうしていたい…」

ルチル「ありがとう。貴女は私の犯した

過ちを繰り返してはいけない。

どうか私がこの身で味わった

苦しみと哀しみを受けないで、

健やかで幸せな生を歩めるように

祈っているわ…。ティファ、私の妹」

 

 

 

ルチル「ジャミル、このまま

二人だけの場所へ行きましょう…

もう、あまり時間は残されていないから…

あなた」

 

 

 そして一時だけだけれど、

晴れて夫婦になったジャミルとルチルは

再び歩みだした…

二人だけのヴァージンロードを…。

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