・其の三・高校二年生進級
「待ちに待った、ヒーロー科!」
「おめでとうー!雅ー!」
「雅、おめでとう…」
三人でハイタッチをしながら、教室で喜ぶ
人間関係の形成が得意な雅ならクラスに早く馴染んで友達もすぐ出来るだろうと思ったが予想に反して全然出来なかったか
クラスの皆が雅の個性が洗脳系だと体育祭で知っていたので、なかなか近づいてこなかったからだ
まぁ、例外もいたのだけど
そして、一週間がそのまま、経過してこようとした時、雅が自分から積極的に動き始めた
けれど、話しかけて、手で肩に触ろうとしたら、勢いよく払われていた
その上、キッときつく睨みながらビッと指をさしてくる
「触らないでよ!発動条件もわからない洗脳なんてっ!」
そうやって正面から怒鳴られた雅は驚いた表情で払われた体勢のまま、払われた手とその子を順に見ている
その様子からかなり手を払われたことがショックだったんだと思う
「なに驚いた顔してるの?洗脳が避けられないとでも思ったの?誰もそんな個性持った人に近づきたくないに決まってるじゃん!だってなにさせられるかわかったものじゃないじゃん!」
その辺りでミリオと俺が2人の間に入ろうとすると、我に返ったのか、雅が制止してきた
「あーあ、ビックリした、へぇー、その意見はみんなの総意?」
「そ、そうよ!」
強気に返事した人を中心にクラスをぐるっと見渡したが、誰も首を振らなかった
「ふーん、ヒーロー科だからそういうのにも果敢に挑んでくると思ったんだけど、意外と臆病なんだね、でもまぁ、発動条件がわかって警戒がとけるならそれくらいはいいよ、教えてあげる、環、手伝って」
まさかの、ショックではなく驚きで固まってたとは思わなかった
しかも、かなりの上から目線でその子に対して、そしてクラスのみんなに話を進めてる
「環、そこに立ってて」
言われるがまま立っていると背後から個性を使う時の独特のあったかい感覚と花の匂いが濃くなっていく
濃くなって行く花の匂いは決して不快ではなく、むしろとても心地よい
そう思ってるうちに、頭に霞みがかかったように体の自由が効かなくなった…………
「……とまぁ、こんな風に私の存在自体が発動条件だから触れなかったり話さなかったりするだけじゃ無理だよ、ていうか、そもそも個性かける気なら、とっくにかけるし」
どんな風だったか分からないが、説明が終わりかけのところでようやく意識が戻った
しかも、体がかなり軽くなっている
「あのっ……だからさ…仲良くしてくれると…嬉しい…な……」
今まで自信満々で高慢な話し方だったのに一転して、モジモジしながら俯き加減で視線を彷徨わせながらそう頼む姿はいわゆるギャップが激しかった
でも、その様子は一言で言うと雅らしくない
突っかかってきた女子も意外だったのだろう、クラスメイトが俺も含めて全員目を丸くする
「も、もちろん!さっきはごめん!謝るから仲良くしてくれない?」
そう言いながら、手をギュッと握っている
「う、うん!よろしく!」
手を握り返し、心の奥底から嬉しそうに返事をすると、そのまま相手の子に抱きしめられていた
3人での帰り道、唐突に雅が話し始めた
「ねえ、ヒーロー科の子、チョロくない?」
「どういうことだい?」
俺とミリオ2人で首を傾げ、2人で目を合わせたあとミリオが口を開いた
「強気な態度、一転して、弱気にしたら簡単にコロって懐柔されてくれたから、まぁ、素直なのは人間の美点の一つだから全然いいと思うんだけどさ」
「あー!そのことかい!」
らしくないと思ってたら、やっぱり懐柔するための演技だったんだと納得する
それにしても、あれには俺もびっくりした、あの人は可愛いものは全て好きだから、らしいと言えば、らしいが……
「むしろ、人間関係悩んでたから簡単に言って正直ラッキーなんだけど、不安になる、簡単にヴィランに騙されそうで」
騙した後ろめたさもあるのか、純粋に心配をしてる雅はやっぱり根はかなり優しいと思う
まぁ、捻くれて無駄にSっ気を出してることもあるが…
「なら、雅が教えればいいじゃないか、気を付けないといけないこと……」
「そだね、そうする」
俺が勧めると、あっさりと決めた、提案しといてなんだけど、どうやって教えるんだろう?
きっと彼女のことだから、自分が被害を被りそうなことをしそうで不安だった………