環視点
「ねぇ、一回さ、私の目の前で私に嫌悪感を持ってるように名字で呼んでみてくれない?」
唐突に雅が教室でそう話しかけてくる
「へ?あ、赤華?」
「違う、もうちょっと、おいコラって感じで」
「無理だよ」
「だよね、環はそうだと思った、けど、私のためと思って一回言ってみて、ついでに、ミリオとねじれとゆうゆ、あ!あとそこの数人も!」
近くにいたクラスメイトを適当に呼び止めて頼んでる
すると、全員快く寄ってきてくれて、全員で円になる
「じゃあ、みんな罵ってみてくれない?」
「唐突なM発言……」
甲弓さんがボソッと呟いた
「違うから、けど、まあそれでいいや、手っ取り早いし」
さあさあと言われるがまま、みんなで恐る恐るやってみる
「じゃあ、次さあ、下の名前呼び捨てで、何かしらプラスな言葉を私にかけて」
「お次は褒めてちゃん」
「それも違うけどもういいよ、だから早く」
ほらほらー、促されるまま、訝しげながらも、みんな言われた通りにする
「おお〜、やっぱりだ!」
一通りみんなに褒められ終わるなり、雅がそう声を上げた
「なにがやっぱりなのー?」
「ねじれ!よくぞ聞いてくれたね!実はね、名前呼びされるとちょっと私が回復する!正確には親しみを込められるとかな!」
そう言いながら波動さんに抱きつきに行っている
「ついでに、人に抱きついても私の体力も回復してるよ〜、誰とでも人肌通し触れ合えば、通称安心ホルモンが出るから、多分私の個性はその働きを顕著にする感じだと思うんだよね!」
波動さんから離れたかと思うと、時計回りに全員にハグして回ってる
クラスの男子まで抱きしめてるので、雅はお礼と言ってサラッとした感じだが、相手の方はドギマギしているので意識しているのは明らかだ
俺もお礼として抱きしめられる
キュットントン
そんな感じで短く終わるハグ、他人とのものは早く終われと、早く離れろと思ったが、自分との時は永遠にこうしていたいと思ってしまった
雅視点
「と、言うわけなので先生方、名前呼びしてくれませんかね?」
さっき教室で実証してきた事を話したのち頼む
「良いわよ〜、雅♥︎」
「睡さん♥︎」
白い百合の花が見えるー、と茶化すマイク先生の方を見て
「ひざしさん♥︎」
調子乗ってウィンクしながら呼ぶ
「雅〜」
ノリが良いマイク先生はウィンクと共に名前を呼び返してくれる
こんな馬鹿っぽい事をしているうちにも体力は回復していく
「あとー、いる先生はー」
そう言いながら周りを見渡してみたら記憶にない先生が居る
「あれ?あの先生の名前……なんでしたっけ?」
金髪で、骸骨みたいな見た目のガリガリの先生を見ながらミッドナイトに問う
「へっ?!あ、あの人はね〜、八木俊典さんよ」
目に見えて、動揺しているので不思議に思いミッドナイトを見ながらその八木さんを観察する
その、八木さんはじっくりと私にみられて居心地が悪そうだ
「ヒーロー名、なんて言うんですか?」
雄英の教師ならみんな持ってるヒーロー名を直接問いかける
「ま、マイトだよー……」
「本当ですか?」
なんとなく違う気がしてもう一度、目を逸らさずに問うと
元からマイトと答えた時から動揺してたが、更に動揺する
この様子からして、八木俊典さんは絶対に嘘をつくのが苦手なタイプだ
でも、隠そうととしてる
見た目から何か探れないかと
ジッと見つめ続けていると、何かよくわからない情報が頭の中に流れ込んでくるような感覚に陥る
また、個性で新しいことができるようになったかと思い、その流れ込んでくるものを受け入れる
すると、相手のことが手に取るように分かるようになった
「八木俊典………やっぱりオールマイト……今は……トゥルーフォームだけど……身長…年齢…あっ、初恋相手とかもわかる…」
八木さんをジッと見ながらそう言うと、明らかに八木さんの顔が青くなる
それどころか、周りの先生も私のことを見ているが分かる
目立ってるのは重々承知しているが、どこまでこの個性を使えるか試してみたいという衝動に駆られ、丁度近くにいた相澤先生にターゲットを変えてみる
知りたい!、そう思った途端にまた情報がドバッと流れ込んでくる
しかも、こんなに覚えられないと思っていたが、さっきの八木さんもだったが、流れ込んだ情報が頭から全く離れない
私の個性やっぱり強力なんだなぁ、思いながら職員室に居た、八木さん、消太さん、睡さん、ひざしさん、セメントス先生、エクトプラズム先生、ハウンドドッグ先生を順に見ていき、情報を取り入れる
「へえ、先生の初恋の相手こんな人なんだね、しかも今好きな相手もわかるし」
「えっ?!初恋相手だけじゃないの?!」
睡さんが食いついてくる
「睡さん、違います、えっと……初恋相手の名前から見た目まで、初恋の年齢、ついでにこれは自分自身と相手の年齢、初恋相手の関係、今まで付き合ったことのある相手、体の関係を持ったことのある人、後、ハジメテの年齢……知りたくなかったな、そんなもの、後、身長、体重、年齢、アレルギーなどなどetc」
全て言いきることができないほどあるので適当に切り上げる
「膨大な量の情報を一瞬で手に入れられるのね」
「はい、そう見たいですね、と言うわけで、校内の人たちの今好きな人見て回ってきます」
そう言いながら職員室から出ようとしたら、白い布に捕まった
「プライバシーの侵害だ、やめとけ」
「消太さん、やっぱりそうなります?」
「ああ、しかも、校内でみだりに個性を使うことは禁止されている」
「それもそうですね、けれどこれ、その人のことを少しでも知りたいと思ったら発動するみたいなんで、どこまで止められるかわからないですけど」
「できる限り止めろ」
「はい」
「後、八木俊典さんとオールマイトが同一人物だと言うことも黙っておけ」
「はい、それは分かってます、だって八木さんからバレた、やばい、知られたらダメだってすごく感じたので」
「感情の読み取りも可能なのか」
少し驚いた表情を浮かべている
「みたいですね、しかも、私校内の人たちに対して知りたいって一瞬思ったくらいで、視界に入れたわけでないのに、私のことを好きな人のことが手に取るように分かる」
あー、やっぱりあいつ、私のこと好きだったのかー、と思う
「お前に密かに想いを寄せることが不可能になったな」
「そうですね〜、この能力は黙っておこう、みんなには、心の奥なんて見えない方がいいし」
薄っすらとした笑みを浮かべ、人差し指を口元に持っていってシーとした
「賢明な判断だと思うぞ」
そう返す消太さんはどこか悲しげな笑みを浮かべた