この母港で指揮を執って早数か月がたった。今のところは何の支障もなく上手くことを運んではいるが、一つ気が付いたことがある。それはマニュアルには書かれていないが、特に重要なことだった。それは端的に言えば艦船の発情期。それも獣耳が付いた艦船には例外なくあることが、何となくこの数か月間で分かった。最初に気づいたのは着任してひと月と半分が経った辺りだろうか。発端となった彼女とその日の出来事をぽつりぽつりと思い出す。
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「今日も加賀と仕事をするとしようか」
執務室に入って業務の確認を一通りし終えた俺は、そう常日頃世話になっているの秘書官の名前を呼んでみた。端的に言うのであれば、一目惚れだった。レッドアクシスとの戦いの時に戦場で指揮を執っているときに彼女を見つけ、俺は相手が敵だということを忘れて暫く見入ってしまったのだ。そして、あの手この手を尽くして彼女と、その片割れである赤城をこの鎮守府に引き込むことに成功した。そして彼女には練度不足を言い訳にして日々の演習と、この秘書官の任務を頼んだのであった。
ノックの音によって俺の思考は遮られた。
「指揮官、失礼する」
「ああ、入ってくれ」
執務室のドアが開かれたと同時に、彼女の姿が見えた。
すらりと伸びた背丈。惜しげもなく露わにされる脚線美に、臀部でなだらかにふくらみ、腰でへこみ、再び胸部で極まる女性特有の肉付き。その割に締まるところは締まっており、常日頃鍛錬を欠かしていないことが垣間見える。そして、その全てを引き立てるのが彼女の
と、ここまでは普段通りの彼女だ。だが今日はなんだか様子が変だ。顔は赤く、心なしか息も荒い。
「あー、なんだか顔が赤いけど大丈夫か?体調が悪いなら……」
「心配は不要だ、秘書の任はちゃんとこなせる」
「そっか、じゃあよろしくな」
彼女が大丈夫だ、というのならそうなのだろう。彼女の性格から休憩を強いるのも得策ではない。そう思い、今日の仕事を開始した。
だが、この判断が最大の過ちであったことを、今朝の俺は知る由もなかった。
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あれから暫く仕事をして終業間際になったのだが、朝からずうっと彼女の視線が俺のほうを向いているように感じる。俺自身あまり勘がいいほうではないが、こうも至近距離だと何となくだが見つめられていることくらいは分かる。少し休憩がてら、うんと伸びをしてから彼女のほうをちらりと見やると、目が合った。本来であれば眼を逸らしているはずなのにどうしてか、俺は彼女の瞳に捕らえられ、眼を1寸たりとも動かすことができなかった。
そうして見つめあっている時間は、一瞬にも、
そうして見つめあっていると、不意に俺の両頬に彼女の柔らかく、温かな手が触れた。思わず心臓がどきりと撥ねる。
「指揮官……そんなに見つめたら、お前をつい食べたくなるぞ……」
紅潮した頬と、とろんと垂れた濡れた瞳。口元はだらしなく半開きになっており、それがまた彼女を妖艶に演出している。普段の強気で、クールで、つんと澄ましたような態度とは正反対のしおらしい態度の彼女を見て。普段では考えられないくらい近い距離感で彼女に見つめられて。俺は少なからず、いや強く興奮を覚えていた。
だが未だ理性は健在だ。今この場にいい雰囲気が流れているとはいえ、俺と彼女は上司と部下。その関係性を保たなければならない。
「食べるって、ええっと……?」
内心では勿論その暗喩を理解しているが、しらを切った。
「ふふ……」
が、その努力は水の泡となった。
ちゅ、と。彼女の唇が俺の唇に触れた。女性とする口づけの感触に
ふと、彼女の接吻の嵐が止んだ。
「ちょっと、加賀っ……まずいって……!」
俺はここぞとばかりに彼女の正気を取り戻そうとするが、未だに抱きしめられたままで、逃れることはできずにいた。そしてどうやら先の言動は彼女を正気に戻すどころか、その欲動をさらに過激化させてしまったようだ。
「んっ……」
もう何度かわからない接吻であったが、今度はより劣情的な接吻であった。所謂フレンチ・キスというもので、彼女の舌が俺の唇を割って入り、口内を蹂躙している。舌が
そうして暫く口内を犯されていたら、ついに彼女が踏み込んではいけない領域に片足を突っ込もうとしていた。
「指揮官……苦しいだろう?」
背中に回って、俺を拘束していた手はいつの間にか俺の股間にあった。すり、すりと服越しに一物に撫でられて、思わず身じろぎしてしまう。
「っ……」
否定するはずの、しなければならないはずの口からは、言の葉の一つも紡がれることはなかった。出るのはただただ、劣情にまみれた荒い息のみであった。
「ほら、じっとしていろ……」
と言い、かちゃかちゃと音を鳴らして器用にベルトを外し始める加賀。俺は寸のところで残った理性でストップをかけた。
「ちょっと、本当にまずいからっ!」
「おとなしくしていろと言ったぞ……っ」
無駄な抵抗は虚しく、意味を為さなかった。そしてまたもや彼女の行為を助長させてしまった。気が付いたら彼女は俺の膝の上にまたがって、肩に顎をのせていた。
ぎゅ、と締め付けられるように抱きしめられる。それからすんすんとひとしきり俺の臭いを嗅がれた。満足したのか、ふぅと耳に彼女の甘い吐息がかかり一瞬息が止まる。勿論、彼女がそれを見過ごす由はなく。
「指揮官は、耳が弱いのか……」
あむ、と彼女が俺の耳を甘噛みし始めた。
「あっ……!ちょっと、まっ……!」
甘噛みされている感覚に加えて、耳にかかる吐息といやらしい水音。それら全てが俺の脳髄をふやけさせ、思考判断をおぼつかせる。気が付くと俺は快楽を否定することをやめ、なすがままにそれを受け入れていた。
「なら、もっとしてやろう……」
「あっ……うあっ!」
彼女の舌が俺の耳を這い始めた。耳のふちから中まで、彼女のざらざらとした舌がぬるりと絡みついて犯している。羽交い絞めされ、身動きを完封された状態であるため、その感覚を全て、余すことなく俺の脳は受け入れていた。
あむ、かぷ、かり。
くちゅ、じゅる、ちゅう。
たっぷりと体感十分程耳を犯された俺は、すっかり抵抗する意思も体力も根こそぎ搾り取られていた。が、下半身はそれと反比例するようにぎんと隆起していた。
「ふふ、おとなしく、なったな……」
そう言うと彼女は膝から降り、再び外しかけのベルトに手をかけて、今度は全て外し終える。そのまま流れるようにズボンのホックを外してジッパーを下ろし、パンツに手をかけて一物を露わにした。
「だがこっちはまだのようだ……。ふふ……指揮官のは、逞しいな」
恍惚とした表情でそれを暫く眺め終えた彼女は、カウパーで濡れた鈴口に口づけをした。
「ぁっ……!」
唇との接吻と同じように、何度も、何度も。執拗に、執念深く口づけをされる。そうして焦らされた俺は、ついに自ら彼女に乞うてしまった。
「加賀っ……もっと深く、咥えて欲しいっ」
「ようやく素直になったな……愛い奴め」
これからどんな快楽が俺を襲うのだろうか、という期待から思わず固唾を呑んだ。
彼女の舌が裏筋をすぅとなぞり、体が強張る。
亀頭が彼女の柔らかくあたたかい唇を通り、熱くねっとりとした口内に収まる。
ゆっくりと、焦らされるように彼女の喉元までペニスが入っていく。
そして、根元まで収まった。
しかしその頃には、俺は彼女に今まで散々好き放題されていたことに対する多少の腹立ちを覚えていた。その欲求はふつふつと
がしりと彼女の頭を掴む。すると、今まで恍惚として俺の一物を加えていた彼女の表情は、一転して驚きの表情へと変化する。だが俺はそんなことをお構いなしに彼女の頭を無理矢理上下に動かし始めた。
一つ上に動かすたびに彼女の喉元からえずくような声がもれ、一つ下に動かすたびに粘液がぐぽり、といやらしい音を立てる。
一つ上に動かすたびに彼女の舌が亀頭を刺激して射精を促し、一つ下に動かすたびに喉が締め付けて搾り取ろうとしてくる。
そしてその一連の流れを上目遣いで睨みつけながらも、口をすぼめて受け入れている彼女がなんともいやらしい。
「今までの仕返しだっ!ほらっ、ちゃんと気持ちよくしてくれよっ!」
そう言い放つと彼女の目つきが更に鋭いものになったが、その行動は俺を怯ませるどころか、さらに興奮させる。この今の俺の心情といい、一転攻勢してマウントを取れたことに俺の雄としての本能、支配欲は満たされた。そしてもうそろそろ、俺の性欲も満たされそうだ。睾丸から精子が作られ、彼女に遺伝子を残さんとしている。
「ほらっ、もう
尿道を伝って熱く滾る白濁液が鈴口から放たれる。刹那、彼女が目を見開き、心底驚いたような表情になる。びゅるびゅる、どくどくと俺の精液は余すことなく彼女の食道を通って行く。疑似的に彼女に遺伝子を残したことに俺は多大なる満足感を得た。そして暫くの余韻を経て、俺は彼女の口内からペニスを引き抜いた。完全に引き抜く間際の彼女の唇がすぼまり、引き抜いた後も銀色の橋が二つを繋いでいるのがまた俺に劣情を抱かせた。
「全部飲んでくれたんだな」
「お前、いきなり……」
「いったじゃないか、仕返しだって」
すると、彼女はいきなりにぃ、と笑った。俺は得も言われぬ恐怖と興奮を覚えた。
「なら、私にも仕返しをする権利はあるな……?」
「ああ、やってみてくれよ」
俺の一物はあれから暫くと経っていないにも関わらず、すっかり勃起しきっていた。
これからするであろう行為を想像して、俺の興奮は否が応でも高まる。
彼女が座っている俺の上に跨り、秘所を露わにする。そして俺の亀頭にあてがい、小さく声を漏らした。
「んっ……」
「っいいのか?もう後戻りできなくなるぞ?」
「私たちは、子をその身に宿すことはないからな……」
そういい放ち、ゆっくりと腰をおろし始めた。
亀頭が秘所にずぷりと埋まる。
「んっ……はぁっ……」
ゆっくりとペニスが飲み込まれていく。
「っ……んうっ……ふぅっ……」
つぷり、と。全て飲み込まれた。
そこには破瓜の跡があった。
「俺はっ……生ですることより、このことを指して後戻りはできないって言ったんだけどなっ……」
「っふふ……ならなぜそのことを言わなかった……?」
俺は彼女の唇を塞いで、舌を絡ませてから離す。
「意地悪だからだよ」
「ふふ……そうか。だがその意味でも、私は後悔はしていない」
彼女は一息ついて、言葉を紡ぎ始める。
耳元に彼女の口唇がせまる。
「私は、強い男が好きだ」
俺は彼女の腰に手を回して、これでもかと言わんばかりに抱きしめる。そして再び彼女の口唇を貪る。彼女もそれを拒むことなく受け入れ、舌を絡めあい、唇を離す。そしてまた再び、舌を絡めあい、唇を離す。そして、暫く繰り返してから、彼女は少し離れて、紅潮した顔でこちらを見つめてこう言った。
「っ……痛みは、もうないから……好きなようにしておくれ……?」
俺は何も言わずに、俺はゆっくりと腰を引き、
「んっ……」
打ち付ける。
「はぁっ!」
そしてまた同じ動きを
「あっ……」
繰り返す。
「はぅぅっ……!」
奥底を突くたびに彼女から聞こえる吐息交じりの嬌声。凛とした姿はもう、そこにはない。
数回ピストンをしてから、彼女とディープキスを交わす。そして互いの目を見つめながら、ピストンをして、再び口づけを交わす。
こうして幾度となく互いの愛を確かめながら、交わる。部屋に響く水音と肉のはぜる音、彼女の嬌声。彼女との情交はより激しいものになっていく。
俺は彼女の腰を抱き寄せる力をより強くし、彼女も俺に密着して、肩のあたりに顔をうずめている。これなら、離れることはないだろう。
先より早く激しく腰を動かすたびに、比例するかの如く彼女の嬌声と水音は大きく、激しいものになっていく。
互いを求めあい、互いの想いを認め合う。そんな性行為を通じて行われる愛の営みも、これに比例するかのように激しくなっていった。
そして激しく交わっているうちに、俺の内に射精感が込み上げてくる。普段の邪淫とは比べ物にならない期待と焦燥感が、彼女との性行為によって湧き上がる。
種を残そうと、雄としての本能が全面的に俺を奮い立たせる。これもまた、彼女との営みによってもたらされる、ある種の快楽、それも強烈で逆らい難いものであった。
「加賀っ!もう
「ああっ!お前の種をっ!私にたっぷりと刷り込むといいっ!!」
再び尿道を伝い、熱い液体が昇ってくる。
今度こそ、遺伝子を刷り込めると俺の深い部分が歓喜に溢れているのが分かる。
そして、精液とともに抑圧されたものが勢いよく飛び出す。もう、止まることはない。
「うっ……!」
「んふぅぅっ!」
頭に白い電光が走る。
考えうる全ての快楽を凌駕した快楽が俺を襲う。
快楽、それ以外何も考えられない。何も感じられない。
ただその快楽に身を任せる。
力むたびにあふれ出る俺の精液が、彼女の膣内にしっかりと情報を刻み込んでいることを感じるたびに、俺は満たされていく。
やがて全てを出し切り、余韻がおとずれる。
彼女を抱きしめる。
「愛してるよ、加賀……」
「あぁ……私もだ。ふふ、征服されるのも、悪くはない……」
ここが執務室だということと、時間の概念というものを忘れて、俺たちは暫く抱き合っていた。
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翌日、やけにすっきりした心持で執務室で彼女を待機していた。
数分した頃だろうか、いつもより控えめなノックの音が聞こえた。
「ああ、入ってくれ」
「その、失礼する、加賀だ。」
「ああ、今日も仕事をしようか」
今日もよろしく、と敢えて言わなかったのは、情事をよろしく頼むと聞こえては困るからであった。
そうして暫く仕事をしていたら、今日はやけに静かな加賀が声をかけてきた。
「その、昨日のことなのだが……」
「……うん」
「その、すまない。私達のような、獣の徴をもつものには発情期というものがあってな……つい、タガが外れてしまった」
「そ、そうなのか」
ああ、と控えめな相槌を打った彼女が再び話し出す。
「艦船によって発情期になる時期は異なるようだが、どの子らも大体ひと月の周期で廻ってくるようだ」
「そうなのか……」
そういえば、いつだかに重桜の艦船の様子がおかしかった日があったことを思い出した。
「だが、その……だな」
「なんだ、いつもの加賀らしくないぞ」
と、彼女が俺の手を握って、頬を染めて。
「お前を愛しているというのは、紛れもない真実だ」
今日は俺が発情期とやらにならないように、気をつけねばならないかもしれない。
「……ああ、俺もだよ」
結局、仕事が終わってから俺は耐えることができずに、家に持ち帰ってそのまま夜を明かした。
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