「指揮官、サボるんじゃない。まだ終わっていない任務がある」
「っと、ごめんごめん」
と、暫く回想をしていたら、彼女の声に意識を呼び戻された。もしかしたら、
そう意気込んでいると彼女が近づいてきて、そっと耳打ちをされた。
「……頑張ったら、褒美をやろう」
少しだけ頬を染めながらそう言う彼女が可愛らしくて、思わずにやついてしまいそうになる。流れでつい抱きしめそうになったが、そうは問屋が卸さない。
「あらぁ、加賀~?指揮官様との距離が近すぎるんじゃないかしらぁ?」
と、
「ふふ、私と指揮官は夫婦だ、こうすることになんら不自然なことはあるまい」
「あらぁぁぁ?なら私も、もぉっと指揮官様とくっつきますわ、ね、いいですよね……指揮官様?」
「……程々に頼む」
「あぁ……嬉しいですわ……では、お言葉に甘えて。えいっ」
むにゅ、と形の良い乳房が俺の体を刺激した。
「むっ、ならば私も」
ぎゅむ、と形の良い乳房が俺の体を刺激した。おお、ここが桃源郷か。両腕にやわらかで滑らかで温かくてファンタスティックな幸せがたくさんある。というか、加賀は戦闘以外で、こんなにアグレッシブになる奴ではなかったはずだが……姉には負けられないだとか、よくわからない獣の闘争心やらが働いているのだろうか。
「加賀ぁぁぁ?いい加減に指揮官様と私の睦み合いを邪魔しないでくれるかしらぁ?」
「最初に指揮官に想いを伝えたのは私だが?」
「想いの強さなら赤城のほうがずっとずぅっとずぅぅぅっと上よ!」
「……姉さんの場合は
「何か言ったかしらぁ?」
「いや、何も?」
「いい度胸ね、姉に楯突くだなんて……明日の演習が楽しみだわぁ」
「ふふ、望むところだ……」
任務をこなせと俺に言った張本人が、秘書の任務をそっちのけで姉妹喧嘩をおっぱじめたのを尻目に、俺は赤城が秘書官に加わった原因を思い出していた。……今日は残業になりそうだ。
X X X
「指揮官、仕事は終わったか?」
「ああ、今日やることはもうないな」
「そうか」
そう短く答えると、彼女は何も言わずに俺を抱きしめて、首筋の辺りをしきりに嗅ぎ始めた。あの一件以来、彼女は発情期が来ずとも、こうして俺と少し踏み込んだスキンシップを交わすようになっていた。今この瞬間を含め、二人きりの時は普段の仏頂面がふやけて、笑顔を見せたりするものだから、そこが堪らなく可愛いのだ。
「なぁ、お前ってさ――」
「加賀」
「え?」
言葉を遮られて言われたものだから、つい間の抜けた声を出してしまった。
「私の名前はお前ではなく、加賀だ」
「……あぁ、成程。ええと、加賀はよくこうして俺の臭いを嗅いでるけど、その、なんでなんだ?」
と、名前を呼んだ辺りからさらにふんふんと更にご機嫌そうに鼻を鳴らし始めた。九つの尻尾も余すことなくゆらゆらと揺れまくっている。
「いい匂いがするからに決まっているだろう」
「……そんなもんか?」
俺は石鹸以外に香水やら、コロンやら洒落たものは使っていないはずだが、どうやら俺にはわからない臭いがあるようだ。あるいは、石鹸の匂いが気に入っているのか。
「そうだ。金輪際香水の類は使うな」
釘を刺された……いやまあ使う予定は無いのだが。どうやら彼女は俺の臭いをたいそう気に入ったようだ。だが今この場で満足しているのは彼女だけで、俺はまだ満足していない。勿論、こうして抱きしめられているのもいいのだが、やはり獣の徴を堪能したいのだ。あの見るからにもふもふとした尻尾を好きなままにしたい。耳の付け根の辺りのもふもふした部分を触りたいのだ。
「なぁ、おま……加賀ばっか満足してちゃ、不公平だろう。俺も加賀を好きにしたいんだけど」
ぴたりと鼻を鳴らす音が止まった。そして、名残惜しそうな表情を浮かべさせながら俺の背中から手を離した。
「む……それもそうか。分かった、好きにするといい」
と、彼女がそう言った途端に、俺の口角が上がるのを感じた。そしてソファまで歩いてそのまま流れで座り、膝をぽんぽんと叩いて座るように促す。
「ほら、座ってよ」
「……分かった」
訝しげな目線を送りながらも、彼女は俺の膝の上に乗っかった。尻の柔らかい感触が堪らない……いかん、暴れん棒が暴走しそうだ。しかし、今はあくまでいちゃつくことが目的なのだ、自制せねばならない。
「それじゃあ、失礼して……」
ぎゅう、と彼女の尻尾の一房に抱き着いた……これは堪らない、予想以上だ。モッフモフのフッカフカだ。温かくて、やわこくて。この感触と多幸感は人類が司るすべての言語、語彙を用いても言い表すことができないだろう。嗚呼、良きかな、良きかな。桃源郷はここにあったのだ。
暫くモフっていたら、彼女が俺の体を尻尾で包み込んできた。
「んもぉぉっ……!」
「指揮官、話すな。こそばゆい」
今掴んでいる尻尾だけでなく、四方八方からもモフニウムが生成されているのが分かる。これが四面楚歌なのか、背水の陣なのか。絶対に逃げ出したくないまであるような状況だ。
それからひとしきり堪能して、窒息する寸のところで開放してもらった。正直、あのまま窒息死したほうが幸せなのではないだろうかとまで思ってしまうくらい、素晴らしいものであった。
「もう満足したか?」
「……いや、まだだ。今度は立ち上がってもらえるか?」
「……その分の埋め合わせはしっかりしてもらうぞ」
「はいはい」
俺は彼女の耳に視線を向けながら、これから行おうとしていることと、その結果に期待に胸を膨らませていた。
X X X
人間とは元来欲深き生き物なのだと痛感する。常に何かを欲して、それが満たされればさらに欲して。その欲望の連鎖の渦中に我々人類は生きているのだ。それに抗うことは無論不可能であり、同時に皆それを甘んじて受け入れて、抗おうとしないのである。
畢竟、何が言いたいのかというと。
こしょ、こしょ。
「ふっ……んっ……」
くり、くり。
「あ……う……」
ぎゅっ。
「……んっ!」
尻尾を堪能したら次は耳を堪能するのが道理だというものだろう……あぁ、これは人類の
そんな誰に対してする訳でもない弁明を心の中でつぶやきながら、彼女の耳を弄び続ける。指先でくすぐるたびに彼女の口から漏れ出る艶のある声もまた堪らない。
「んうぅ……がぅ……」
実に素晴らしきこのもふ具合、モフリストの腕が鳴るというものだ。彼女の耳さえあれば仕事で溜まったストレスなんて一瞬で吹き飛んでしまいそうになる。それとは別に今がう、と言っていたか……?他の艦船や人が言うとただあざといだけだが、彼女の性格を鑑みるに素でやっているのだろう。そんなところもまた可愛い。
「ふぅ……はぁ……もう、いいのかっ……?」
一旦手を止めていたのを彼女は行為の終わりだと思ったのだろうか、そう呟いた。勿論そんなはずがない。先の心のつぶやきの通り、人間の欲というのは満たされることなく、どんどん連鎖的に増えていくものだ。それ欲望の忠実なる
「!?……うっ……ひゃうぅ!?」
彼女の肩がびくりとはねたが、そんなことはお構いなしに更に耳を甘噛みしていく。
「んぅ……ふぅぅっ……!」
暖かくて、人間の耳とは違った柔らかい感触。綿のような毛が俺の舌に触れるのがなんとも心地よくて、更に奥へと舌を這わせる。
「は……あぁ、ぅ……」
夢中になって耳を犯していていると、彼女の手が俺の腰に回ってきた。耳から顔を離すと、頬を紅潮させて、蕩けた瞳で見つめてくる彼女の顔があった。
「しきかん……」
普段の仏頂面から想像もできないような声と、だらしなく半開きになった口元を見て、俺はそうそうに決断を下した。
「加賀、仮眠室。な?」
「……ばか」
そう口角を釣り上げて問いかけると、可愛らしい肯定の言葉が返って来た。さて、続きは――――今日ほどノックの音を憎んだ日はない。折角いいところだったのに、邪魔をした輩はどこのどいつだろうか。とりあえずふやけた加賀をソファに座らせて、お邪魔虫の対応をすることにした。
「入れ」
自分でも声色が冷たくなっているのが分かった。
「失礼しますわぁ、愛しい指揮官様……と、加賀」
邪魔者は赤城だと分かった瞬間に、怒りは一瞬で恐怖へと変わった。
「……おう、なんか用か」
「あら指揮官様、怒っていらっしゃる……?何かあったの?ねぇ、赤城に教えて?赤城が全部ぜぇんぶ、悩みを解決して差し上げますわ」
そう少しまくしたてられてたじろいだ。それより、怒っていることが一瞬で気付かれたことに対する驚きが隠せない。女の勘は鋭いという話は聞くがこいつの場合、俺に対してはたらく勘はその俗説に当てはまるどころかイレギュラーになるまである精度だ。
「あーっとだな……」
加賀とイイコトをしていました、などと素直に言えるはずもなく言いよどんでいると、彼女は俺にゆっくりと近づいてきた。
「何?赤城に教えられないことなの?ねぇ、教えて?何が原因で怒ってるの?赤城と指揮官様の仲よねぇ……教えてくださいますよね?」
近寄りながら怒気と狂気を隠すことなく(本人にその自覚があるのかは疑問だが)近寄る彼女に、俺はただならぬ恐怖を覚えた。
……どうでもいいが、ゼロ距離で当たる彼女の甘い吐息がこそばゆい。いくら怖くても性欲というものは失せないものなのだろうか?或いは生命の危機に瀕しているから、性欲が増しているのか……ああきっとそうだ、これはまごうことなき生命の危機だ。体が、本能がこの場からの逃走を欲している。
数秒程、恐怖で何も言えずに固まっていると、彼女が俺の傍によって鼻を鳴らし始めた。やがて身の毛もよだつような、戦慄する一言が紡がれる。
「指揮官様ぁ……加賀と、なにをしていたんですか?」
一瞬にして肌が粟立つのを感じた。
「いや、その……」
咄嗟のことに、言い訳なんて思い浮かぶ筈もなく。
「加賀、少し指揮官様を借りるわよ、いいわよねぇ?」
「……好きにするといい」
蛇、もとい
X X X
施錠された瞬間、俺はどんと床に押し倒されて彼女の下敷きになった。突然の出来事に目を白黒させる暇もなく、彼女の声がかかる。
「ねぇ指揮官様?加賀と何をしていたの?」
「いや、それは――」
「……いえ、やっぱりいいですわ。本当は何となく分かっているもの」
指揮官様は、と続けて彼女が話し出した。
「指揮官様は、加賀と淫らなことをしようとしていらしたのよね……それに」
「…………それに?」
「以前に、交わりましたね?」
耳元でそう囁かれて思わず声が漏れた。
「っ……」
「うふふっ、動揺してる指揮官様も可愛い……大丈夫よ、怒ったりなんてしてないですわ。指揮官様と加賀は夫婦ですものね。それに、今から私が……」
俺の唇は強引に塞がれた。
「ふむっ!?」
「私が、指揮官様と交わりますもの……」
ハイライトが完全に消えうせたような瞳で、恍惚とした表情を浮かべて俺を見つめてきた。そして再び、口づけをされる。
「んむぅっ!?……っふ、待てってば!」
「あぁ、指揮官様の唾液はなんて甘美なのかしら……」
再び口がふさがれる。
「んっ!?……ぷはっ、聞けっての!」
聞いちゃいないどころか聞こえちゃいないようだった。加賀と付き合っているというのに、俺は……ほかの女と。
「指揮官様?なんで他の女のことを考えているの?ねぇ、私だけを見て……?」
「っ!」
先から鳥肌が止まらない。どこまで見透かされているのだろうか。自分の体と精神が透き通ったガラスにすげ変わったような錯覚にさえ陥っていた。
「もう、赤城は止まりませんわ……それに、指揮官様のここは正直ですわよ?」
痛いところを突かれて目をそらした。実際、頬を紅潮させて俺を見下す彼女に興奮を覚えていることは事実であった。
「さぁ、指揮官様……赤城とイイコトをしましょう?」
彼女はそう言い放ち、俺の腕を胸のところまで持って行った。極上の柔らかさが手を温かく包み込んだ。逆らうべきなのだろうが、男の性には逆らえず。最初は控えめに揉んでいた手は、気付くと大きく、好きなままに揉みしだいていた。
「んっ……ふふ、ようやく素直になりましたね」
悔しいはずなのに、してはいけないはずなのに、俺の手はその理性と対極の行動をとっている。そのことがひどく情けない。
「どうですか、赤城の胸は……気持ち、いい?」
「っ!……ああ、そうだな、だからもう胸をもむだけで勘弁――」
「だったらもっとさわってくださいまし……!」
俺が手を離した瞬間、彼女は着物をはだけさせ、桃色の突起は愚か、その全貌を露出させる。
不覚にも、美しいと思ってしまった。狂気と興奮をはらんだ顔のすぐ下の大きな乳房、その桃色の頂に、自然と手が伸び……。
「んぅっ!……うふふ、指揮官様っ!ったらぁ、素直じゃっ、ないんだからぁっ!」
こねくり回していた。情けないだとか、負の感情というものは薄れて、興奮がそれにとって代わっていたのであった。そして気づいた頃には、乳房を触っていた手は一つではなく、二つへと増えていた。
時には乳頭をいじり、時には胸の柔らかさと重みを堪能して満たされていた。
「んうぅ……ふふ、指揮官様、うっとりしていて……可愛いわぁ」
でも、と彼女は続いて。
「指揮官様は、私の胸をもんでいるだけで満足なさるのですか?」
「ぐ、それは……」
そんなの、決まっている。
「……このまま、君の全てを見たい……」
言ってしまった。彼女がありながら、俺は言ってしまった。興奮に塗りつぶされていた脳に罪悪感がじわじわと芽吹いて、脳を食い尽くすようであった。
「うふふ、あは、アハハハハッ!やっと、やっと言ってくださいましたのね……!わかりました、赤城の全てを指揮官様にお見せいたしますわ!」
X X X
しゅる、しゅるりと衣擦れの音が木霊するかのように部屋に響いていた。そして、彼女が脱衣をする様を、俺は見続けていた……いや、俺は目を離すことができずにいた。
美しかった。
夕闇に照らされて演出される、狂気をはらんだ彼女の顔。しかし、その顔に宿るのは単純な狂気だけではなく、興奮や欲情、そして恥じらいといったものが織り込まれており、言葉では説明できないものを感じていた。
躰もそうだ。鍛えられた躰に合わさる、女性的な肉付き。腰から臀部へのなだらかなラインは男にはない、女性特有のしなやかで美しいものだ。そしてさらに下に行くと、むっちりとした扇情的な脚部がある。
「どうですか、赤城の体は……ひゃっ!?」
俺は思わず彼女を抱きしめた。鍛えられているのにもかかわらず、柔らかくて、抱擁力のあるその躰を味わいたかった。
「うふふ、甘えん坊さんね。でも……んっ、下のほうのはぁっ、随分とおいたをしていらっしゃるようで」
無意識のうちに、俺は腰を動かしていた。彼女のクレバスとペニスが擦れるたびに、いやらしい水音がくちゅり、くちゅりとなっていた。
「はぁ、はぁ……めっ、ですわぁ、指揮官様っ!」
「うあっ!?」
立って抱き着いていた俺は、再び床の上に寝転ぶ状態になった。
「悪い指揮官様にはっ、オシオキが必要ですわぁっ」
そう言い放つと、彼女はその割れ目で肉槍をこすり始めた。
「んっ、んっ、ふぅ……はぁ……」
ぬちょぬちょと愛液がペニスに絡みついて、刺激はさらに心地よいものになっていく。
「はぁ、はぁ……んうぅっ!?はぁ、はぁ、ふぅぅ……!」
彼女の突起が擦れた瞬間に、彼女は悲鳴にも似た矯正を奏でた。気持ちいいのだろうか。ならば……俺は自ら腰を動かして、重点的に突起……クリトリスに竿が当たるように仕向けた。
「んひぃっ!?んあっ!あっ、あっ、あぅぅ……!」
荒い息だけであったのが、そこに艶やかな声が混じり始めた。
「指揮官様あぁっ!?オシオキ中っ、ですわよっ!?おいたしたら、ダメですわぁっ……!」
ダメ、といった当の本人は、さらに腰の動きを大きくするだけであったから、説得力は皆無であった。
「んっ、あんっ、あぅっ!はぁ、はぁ……んひぃんっ!?」
俺は腰を使いながら、彼女の乳頭を摘まんだ。すると体がびくりとはねて、花弁が力むのを感じた。
「同時になんてっ、ずるい、ずるいよぉ!指揮官様ぁ、ダメっ、ダメぇぇっ!」
それでも止まることはない。今までの仕返しと、彼女を快楽に染めてやりたいという気持ちから、その手は止まることはない。
「んっ!あっ、あんっ!ひぅ、んんっ!んやぁぁっ!だめって、いってるのにぃぃっ!」
夕焼けに照らされて、顔をふやけさせながら乱れている彼女、そしてその彼女によって与えられた刺激によって、俺は限界を迎えようとしていた。
「もう、射精そうだっ」
俺も彼女も、腰の動きは加速していく。やがて、どちらともなく達するまで、加速していく。
「んっ、んっ、んぅぅ……!指揮官様っ、赤城もっ、きてしまいます、きてしまいますぅっ!」
くちゅくちゅと音は激しくなる。そして、やがて。
「んっ――――あっ……!?」
「うあっ!」
尿道を伝って精液が迸る。彼女の雪肌を更に白く汚していく。彼女を汚すことが、得も言われぬ征服感となって俺に襲い掛かってくる。
「あぁ、指揮官様の果てる姿、可愛らしい……愛おしい……ん、精液も……」
彼女は精液を指ですくって、わざとらしく音を立ててなめ始めた。
「んっ……ちゅる、ちゅぱ……れろ……んっ」
終始恍惚とした表情でなめて、その全てを嚥下した。
「苦くて、喉に引っかかるのに……あぁ、なんて美味しいのかしら……」
彼女が精液をなめている間、俺は何も言わなかったが、内心嬉しさと興奮が強く響いていた。そのせいもあってか。
「ん……あら、あらあらぁ?ふふ、やっぱり、満足されていないのね……まだ、かちかちねぇ……」
「っ……」
「指揮官様、もう、いいわよね?」
「……ああ」
「うふ、うふふふふふふっ……ああ、やっと指揮官様とひとつに……」
彼女は腰を上げて俺にまたがるように四つん這いになり、花弁を肉槍にぴたりとくっつけて腰を落とし始めた。膣内をえぐり進むたびに、じゅぷじゅぷと淫猥な音とともに、強烈な快楽が脳を揺さぶった。
「んっ……思ったより、痛いですわね……」
「うあっ……無理、しなくてもっ……」
とはいいつつも、きつい締め付けと熱くほだされた彼女の膣内に、俺はすっかり虜にされてしまっていた。
「いいえっ……指揮官様のですもの、嫌なわけありませんわっ……うれしい……」
進んでいくとやがて、何かひっかかりのようなものに当たった。
「指揮官様に、捧げますわぁ……んぅぅっ!!」
ぷつりと何かが切れたような感覚が先端から伝わってきた。その証拠に、彼女の花弁からは破瓜の証……鮮血が散っていた。
「っ……ふぅぅっ……赤城……」
声を掛けても、彼女からは反応がなかった。放心しているのだろうか、もう一度声を掛けてみる。
「赤城……赤城?」
すると彼女は何かが切れたかのように笑い出した。
「あぁ、ついに指揮官様と一つになれましたわ……あは、あはははハハハ!」
痛みを覚えているはずの彼女は、休むこともなく腰を動かし始めた。急なことに動転して、何が何だかわからない。
「……っ!」
きつく締まった肉壺はペニスに吸い付いている。彼女が上下に動くたびに亀頭にひだが当たって快楽が襲い、頭がちかちかとする。
「あぁ、指揮官様の、大きくて、逞しくて……気持ちイイ……うふふッ」
うわ言を呟きながら彼女はピストンを続ける。結合部から粘液の音がいやらしく部屋に響いている。
「うっ……まっ、赤城っ!!」
「ほら指揮官様も目を瞑ってないでぇっ、赤城をちゃんと見てくださいっ!」
ピストンをされながら無理矢理口をふさがれた。彼女のなすがままになっている状態にまた、俺は興奮を覚えていた。
「ふむ……んぅ……」
彼女の舌が絡んで気持ちがいい。ずっとこのまま接吻をしていたい。もっと快楽を与えられたい、支配されたい。前戯の時のささやかな抵抗をしていた時とは打って変わって、支配願望さえ現れることに、俺は内心驚きつつも、それを受け入れていた。
「あぁ、指揮官様が赤城のことを見てくれてる……嬉しい……」
口も、ペニスも彼女に支配されている。彼女で満たされている。そう思うとより一層興奮が高まってくる。
「指揮官様ぁ……指揮官様っ指揮官様っ指揮官様ぁぁ!赤城は滾ってますわぁ!指揮官様を感じられてっ、女として悦んでいますのぉっ!」
彼女のピストンがより一層激しいものとなった。俺も我慢することを放棄して、声を上げながら快楽に身をゆだねていた。再び彼女に口内を犯される。
もう気持ちいい、快楽と赤城のことで頭が埋まっている。
快楽がどんどん大きくなっている。
「んちゅ……指揮官様ぁ、もうそろそろですわね?」
射精したい。赤城を染めたい。
「うふふ、そうですわよねぇ……どんどん指揮官様のが大きくなっていますもの……」
赤城に俺を注ぎたい。
「いいですわぁ……指揮官様の精液、赤城にたぁっぷりと……」
彼女の顔が耳元に近寄った。
「注いでください?」
「うっ……!あぁ……っ!」
一気に精液が彼女の子宮に放たれた。ああ、嬉しい。赤城にもっと支配されている。どくどくと余すことなく吸い出されている。
「んはぁぁぁぁぁっ!…………あぁ、指揮官様の精液が、赤城に入っているのが分かりますわぁ。熱ぅくて、どろりとしているのが……これで指揮官様はわ、た、し、の、も、の、ですわぁ……アハ、アハハハハハハハッ!」
狂ったように笑う彼女が愛おしくて堪らなくなって、俺は彼女を抱き寄せてキスをした。
「んっ!?ちゅう、ちゅる……んっ……ちゅぱ……あぁ、指揮官様からようやくしてくださったのね……嬉しい」
音をわざと立てながら、口づけを繰り返す。繰り返しているうちに、俺のペニスはすっかり固さを取り戻していた。
「あぁ、指揮官様のがまた固ぁく……なっていますわぁ」
彼女を抱きしめて押し倒した。
「んっ……指揮官様……ちょうだい?」
「赤城っ!」
俺は腰を動かし始めた。
「あんっ!指揮官様、激しいっ……!ですわぁっ!」
もっと彼女に刷り込みたい。
「あっ、あっ、あんっ!あぁっ!指揮官様がっ、いっぱいでっ、嬉しいですわぁっ!」
もっと溶けたい。
もっと支配されたい。
「もっとっ、くださいっ!」
赤城とキスをする……凄く気持ちがいい。
「んぅ……ちゅる、ちゅぱ……くちゅ……」
赤城が気持ちよさそうにしていて、俺も嬉しい。
もっと、もっとキスをしたい。
「ちゅう……れろ、んむっ、んっ……ちゅっ、ちゅぅ……」
舌が一つになったかのように、溶け合う。
「んちゅる……んぅぅ……ぷあっ……んっ、はっ、あんっ!」
胸も、もっと揉みたい。
「んっ!指揮官様はぁっ、胸が、お好きですわねぇっ!んっ、やんっ!」
赤城も気持ちよくしたい。
「んひぃん!?ちくびっ、だめぇっ!やんっ!」
気持ちがいい。
「んあぁっ!指揮官様っ、獣みたいにっ!」
もっと……もっとだ。
「んいっ!?指揮官様のが、膨らんでっ!?」
あっ……だめだ……。
「赤城っ、射精す、射精するっ!」
「はいっ!赤城の奥深くに、刷り込んでくださいませぇっ!」
「うあっ……!」
あたまがちかちかとする。
ああ、また赤城に注ぐことができた。
気持ちが、いい。
「やぁんっ……!あんっ…………指揮官様の、また……熱ぅい……うふふ」
「赤城……」
「ほら、抱きしめてあげますわ……んっ、ゆっくり、してくださいませ」
「……」
「……愛していますわ」
何かが聞こえるのと同時に、意識が途切れた。
X X X
やってしまった。
やってしまった、やってしまったやってしまったやってしまったやってしまった。
俺は。
赤城と。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ…………」
「指揮官様、何を悶えているのかしら?」
いや、いたしただけなら最悪いい(全然、まったくこれっぽっちもよくないが)。しかし、最後にあんな痴態を、部下に見せてしまうとは……。最悪だ、一生の恥だ……。
「もう……赤城は別に、気にしませんわ」
「……相変わらず、何考えてんのかはお見通しってか」
「ええ、指揮官様のことですもの」
以前はその言葉が怖かった。見透かされているようで、深淵にどこまでも見つめられているような感覚が怖かったが、今は不思議とそうでもない。それどころか、どこか安らぎのようなものを覚えている。赤城との仲は確実に深まったのだろう……いや、深まってしまったのだろう。
「……そっか」
男として、ケジメはつけなければいけない。
「……なあ、赤城」
姿勢を正して、赤城に向かい合う。
「なぁに?」
そんな俺の様子をからかうような、優しい微笑みにつられて、俺の頬までゆるみかけるのを自制して。
「俺は、お前から迫ってきたとはいえ、男として最低のことを、罪を犯した。だから加賀とは別れて、お前とも――」
「はぁ……そんなことだろうとは思ってましたわ」
「……え?」
「実は……」
話をまとめるとこうだ。赤城と加賀は最初から口裏を合わせており、赤城の発情期である今日、俺を襲うことしていたらしい。
「……つまり、赤城は本当に俺のことを……むぐっ」
細くしなやかな指に言葉は阻まれた。
「それ以上は野暮ですわ……指揮官様」
「……ん」
「赤城もだましていた以上、その償いをしないといけないと思いますの。ですから、赤城の胸の内をあなたに打ち明けたいと思いますわ」
「……ああ」
彼女は一つ息をしてから、言葉を紡ぎだした。
「あなたがあそこで私を見つけて、手を引いてくれたとき、赤城は指揮官様に落ちてしまいました。それからというもの、指揮官様の声、強さ、優しさ……知るたびに、どんどん好きになっていきました。ですが、指揮官様は皆さんから好かれておりました。ですから、多少強引にでも……遠ざけられてしまっても、気を引きたかった、この気持ちに気づいてほしかったのですわ」
「だから、あんなことを……態度を?」
こくり、と普段の彼女からは考えられない小さな首肯をされた。
「そして、暫くして指揮官様と加賀が恋仲になったのを知りました。とっても悔しくて、悲しくて……たまりませんでした。胸が張り裂けそうなくらい辛くて、涙を流して……それでも、諦めることができませんでしたわ」
「……」
「そんな中、部屋で泣いているのを加賀に見られてしまいました。私は実の妹に全てを打ち明けました。すると加賀はなんて言ったと思いますか……?」
「……そんなことか、とか?」
「ふふ、流石あの子の旦那様ね。そうですわ、そんなことか、なんて言われました。怒りと悔しさに満たされて、つい加賀の胸倉をつかんで、はたこうとしたときに、加賀はこう言ったんです。『なら姉さまも指揮官の妻になればいい』と。赤城は最初、加賀が何を言ったのか全く理解できませんでしたわ――」
X X X
「何を泣いているんですか、姉さま」
「っ加賀!?なんでっ……」
「いえ、たまたま通りかかったら泣き声が聞こえたもので」
「だからって見に来なくたっていいじゃない!よりにもよってあなたがっ……!」
「私が……?」
「そうよっ!指揮官様と……うぅっ……!わぁぁぁぁぁぁん!!」
「あの、落ち着いて――」
「おっ、落ち着いてっ……ぐすっ、おちついでなんで、いられないわよぉぉっ!!ずっと好きだったのにっ!お慕いしておりましたのにぃぃっ!!」
「本当に指揮官が好きなんですね」
「そうよぉ、そうよぉぉぉっ!!」
「……そんなことですか」
「ッ!?あんたぁぁっ!!」
「っ……そんなに指揮官が好きなのですか?」
「そうよ!大好きよ!愛してるのよ!それなのに、それなのにっ!!あなたがっ、よりにもよってあなたがぁぁっ!!」
「なら、姉さまも妻になればいいではないですか」
「っぐすっ……え……?」
「ですから、姉さまも妻になればいいんです」
「なんで……加賀が……ぐすっ」
「ほら、落ち着いてください。泣き止んでから、ちゃんと私の考えをお話しします。私の胸でよければ、いくらでも使ってくださって構いません。汚しても洗濯に出せばいいだけですから」
「ぅうっ……ぐすっ…………あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ひぐっ……うわぁぁぁぁぁぁん!!!」
――――
――
「ぐす……それで、考えっていうのはなんなのよ」
「単純な話、次の発情期に指揮官を襲えばいいんです」
「襲っ……!?」
「……初心ですね」
「う、うるさいわっ。……でも、どうしてそんなことが……」
「指揮官は多分意外と単純ですから、色仕掛けでころっと落ちるのではと」
「あなたねぇ…………はぁ、まぁ……それは置いておくとしてよ」
「はぁ」
「指揮官様にはあなたがいるのよ?それなのに、私が想いを告げるだなんて……そこが、一番の問題なのよ」
「何か問題でも?」
「大ありよっ!」
「複数の愛人や妻がいたって問題がないではありませんか」
「……あなたの貞操概念が心配だわ」
「もともと人間……私たちは違いますが……人間は、一人を愛するようにできていないのです。ですから、二人恋人がいたってなんら問題はありませんよ」
「でも……」
「それにその妻がいいと言っているんですから、なんの問題はないではありませんか……それに」
「……」
「私がいても、どっちみち姉さまの想いは変わらないのでしょう?現に姉さまは今でも指揮官を好いています。なら、答えは一つでしょう?」
「……いい笑顔ね、ホント」
「交渉成立ですね」
「まだ何も言ってないわよ」
「ならこの話はなし――」
「もうっ!わかったわよ、やってやるったらぁ!」
「ふふ、それでこそ姉さまです。……戦場とはまるで違いますね……オトメですか」
「うふふ……何か言った?」
「普段からそうしておけばよいものをと……いふぁい、いふぁいえふねえふぁま」
X X X
「……そんなことがあったのか」
「でも、こんな面倒くさい女は嫌いでしょう?だから、やっぱりいいの。指揮官様は、加賀と……」
俺は思わず彼女を抱きしめていた。なんの迷いもなくその行動をとれたのは、きっと俺がろくでもない男だからだろう。
「きゃっ!?」
「そんなことはない、嫌いなはずないだろう。そりゃ勿論、ああやって狂気を孕んだ態度をされるのは怖かったけどさ、その行動だって蓋を開けてみれば可愛い愛情表現だったじゃないか」
「でも……でもっ、赤城は指揮官様を傷つけた……!」
更に力を込めて抱きしめる。離れないように、強く抱きしめてやる。
「少なくとも、お前の行動で傷ついたことはないよ。むしろ、こんなに想ってくれてるんだなぁって、嬉しく思いすらしていたさ」
「ぐすっ……ほんと?」
「本当だよ。だから、赤城……俺とケッコンしてくれ」
その言葉は思った以上に滑らかに、口から零れ落ちた。
「っ……!」
「確かにまだ俺はお前に惚れてる訳じゃない。加賀の愛だって日に日に増えていくばかりだよ。でも、それでもさ、お前のことは加賀と同じくらい好きになれる自信があるんだ。だから、お前――」
「赤城、ですわ」
「……はは、姉妹だなぁ。ああ、赤城」
彼女の名前を呼んだ瞬間に、俺の背中に手が回される感覚があった。
「これから、よろしくな」
「っ……うんっ、うんっ!!」
かくして、赤城は俺の二人目の妻になった。
X X X
(うわ、今思い返せば俺って相当クズいなぁ)
ぎゃあすかと繰り広げられる姉妹喧嘩をぼんやり眺めながら、書類整理兼回想をしていた。
「ふぁっはらふぃきはんみきひへみへばいいはろう(だったら指揮官に訊いてみればいいだろう)」
「えへそうひまひょう?ふぉえがいひわぁ!(ええそうしましょう?それがいいわぁ!)」
互いの餅肌をみょーんみょーんとやってじゃれ合うのを中断して、彼女らは俺に詰め寄ってきた。
「指揮官(様)は私(赤城)と加賀(姉さま)、どっちのほうが好きなんですか!?」
この質問はすでに両手で数えきれないくらい行われている気がする。そして、その質問に対しての回答は、同じものを両手で数えきれないくらいしている気がする。
「そりゃ、二人とも等しく愛しているとも」
「むぅ」
「むぅ……」
同様に、この回答をした後のしかめっ面も両手で数えきれないくらいされている気がする。
「ほら、もう仕事に戻ってくれ。俺一人だと結構しんどいんだ」
そう言って、二人の頭をくしゃくしゃと撫でてやると、二人ともふにゃりと笑った。これがまた姉妹なのか、笑った顔がそっくりだ。
「……指揮官がそう言うのなら、仕方ないな」
「えへへ、そうね、指揮官様がそう仰るのであれば」
「そういうことならさっさと終わらせようか。早く二人の尻尾に包まれたいんだ」
はいと威勢のいい返事をした二人の薬指には、ピンクダイヤがあしらわれた指輪がついていた。
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