「くそっ! あいつら! 平民の!! 癖に!!!」
豪奢な装飾の施された部屋。床に放り投げられた高級座布団(クッション)に向かって、灰色の髪を撫でつけた男が乱暴な蹴りを何度も繰り返す。平民の月収三か月に匹敵する高級座布団は成すすべなく身を歪ませる。
「ウンベール。言葉が崩れているよ。気を付けたまえ」
灰色の髪の男――ウンベールに声を掛けたのは、平民の年収程の長椅子に寝そべり、平民の十年分の稼ぎの葡萄酒を揺らす金髪の男。
「しかしライオス殿! あいつらは平民の癖に我ら貴族に忠告などと!!」
「それは確かに屈辱だ。しかし、だからと言ってそうも暴れるのは美しくないな」
ライオスと呼ばれた金髪の男はゆったりとした平民月収半年分の部屋着を撫ぜながら、有無を言わせぬ口調でウンベールを窘める。
その声に我に返ったのか、は、と顔を上げたウンベールは大仰な姿勢を取り戻し、ライオスへと一礼。
「お見苦しい所をお見せしました。申し訳ございません」
「それでいい。では、あやつら――ユージオ上級修剣士殿とキリト上級修剣士殿に、忠告の礼をしなくてはな。彼らも、我らへの友誼のために、ああも傲慢な態度を示されたのだろう。ククク」
葡萄酒を傾けたライオスは、端正な顔を歪ませ、ウンベールに対し、長椅子へと座るよう促す。そしてウンベールが身を正して着席すると、もう一つの透明な杯に葡萄酒を注ぎ、彼へと手渡す。
「さぁ、これでも飲みながら、彼らへの礼を考えよう」
「ありがたく」
ウンベールは杯を受け取ると、まず濃厚な香りを楽しみ、そして一口。芳醇なぶどうが口腔を満たし、鼻へと抜ける。暫し滑らかな液体を舌で転がし、こくりと喉に降す。
胃の腑を焼くまろやかな酒精に口の端を歪め、ウンベールは言葉を零す。
「流石は百年物。ライオス殿は本当に趣味がいい」
「ハハハ。そう誉めるな。帳簿を誤魔化していた不届き者を、父上が貴族裁決権で搾り上げた際に手に入れた代物だそうだ。下級とはいえ貴族は貴族。良いものを持っていた」
「……貴族裁決権」
幼い頃からの付き合いであるウンベールに対しては、ライオスとて謙遜の心を持つ。照れ隠しに言った言葉だったが、ウンベールはどうも別の所に引っかかりを覚えたようだ。
「どうしたウンベール。何か良い案でも浮かんだか?」
「……そうですよライオス殿。貴族裁決権です。確か、ユージオ上級修剣士殿とキリト上級修剣士殿の傍付きは、下級貴族の子女だったはず。彼女らへ代わりに礼をしてやれば、彼らも喜ぶのでは?」
「……ハハハハハハ! ウンベール! 貴様も中々に良い趣味をしている! それはとても良いと思うぞ」
ウンベールの提案に、ライオスは本当に愉快そうに膝を打つ。
「だが、貴族裁決権を行使するには、何らかの“功績”か“罪状”が必要だ。そこを、どう考える? ウンベール」
「そうですね。彼らが発言していた通り、私の傍付きのフレニーカがユージオ上級修剣士殿の傍付きと、同室だったはず。フレニーカに再び泣きつかせれば、役に立たない上級修剣士殿に頼らず、今度は、彼女が来るのでは? 評判を聞くに、中々の正義漢のようですし」
ウンベールは杯を座卓に置くと、腕を組み、考えながら言う。それにライオスはにんまりと笑みを浮かべる。
「それはよい考えだ。ウンベール。キリト上級修剣士殿の傍付きとは常に一緒に行動しているようだし、恐らくは二人とも来るだろうな」
「光栄です。ライオス殿。フフフ」
「クククク」
二人は互いに昏く哂う。これから細部を詰めていけば、十分に満足してもらえる“礼”ができることだろう。
そしてライオスは葡萄酒を再び傾け――
――ここが、運命の分岐点――
――部屋の壁際に置かれた鏡台に無造作に放置された、手紙に目を止めた。それは、ライオスの実家から送られてきた手紙だ。内容は乱暴に要約するなら、
『そろそろ嫁を見つけろ。妾でもいい』
独り身で暫く愉しみたいライオスにとっては、うざったらしいことこの上ない催促であったが、この時、彼の脳裏に天啓が舞い降りる。
「……クハハハハハ! ウンベール! 悪いが先ほどの案は無しだ」
「ら、ライオス殿……?」
ウンベールは突然、高らかに嗤いだしたライオスに目を見開く。
それに目もくれず、ライオスは醜悪な笑みで頭の中の算盤を弾いていた。
曇天が重く立ち込めるある日の夕刻。紅の長髪を揺らすティーゼ・シュトリーネン初等練士は一通の手紙を受け取った。自室にてその送り主を真紅の瞳で認めた彼女は、安心する家紋に目を細めた。
「もう、お父さんとお母さんたら。手紙は月に一回までにしよう、て言ったじゃない」
隠しきれない喜びに頬を緩ませるティーゼ。仲の良い家族は頻繁に手紙を送ってくる。それはとても嬉しく幸せなことだと、ティーゼは心の底からそう思っていた。
紙切り小刀(ペーパーナイフ)で綺麗に封を切ったティーゼは、上質な紙に書かれた美しい文字(母の字だ)に目を通す。嬉しそうに手紙を読み始めたティーゼだったが、その眼はすぐに曇った。
「……え、そんな」
手紙の一行目。そこには、ティーゼの結婚が決まったと、単刀直入に書かれていた。相手は三等爵子のアンティノス家、その令息。即ち、ティーゼが『悪しき貴族』と嫌悪したライオス・アンティノス主席上級修剣士のこと。更に悪いことに、正妻としてではなく、妾としての結婚と書かれていた。
「うそ……うそよ……」
ティーゼは何度も手紙を読み返す。しかし、無情にも内容に変化はない。
血が滲むように震える母の筆跡。そこからは、母の隠しきれない怒りと絶望が読み取れた。 手紙にはティーゼの結婚が決まった経緯も書かれていた。それによれば、ティーゼの勇気ある行動によりアンティノス家の令息は道を踏み外さずにすんだ、その“功績”を讃え、シュトリーネン家とアンティノス家の婚姻を行うことになった、と。これは貴族裁決権を用いて決定されたことであるため、覆すことは赦されないとも、怒りのまま書き殴られている。
アンティノス家の令息の横暴な態度は、ほとんどの貴族家が知るところである。禁忌に触れることはしておらず、また、三等爵家と言うことで誰も糾弾できないだけだ。
「私は、ユージオ先輩と……」
二段になった寝台の一段目である自身の布団に腰掛けながら、ぽつりと呟く。敬愛するユージオ先輩は、確かに、家を継いだら迎えに来てくれると、言ってくれたのだ。何だか気恥ずかしくて両親には言えていなかったが、ティーゼは自身が既に婚約を果たしていると認識していた。
「そうよ。私は既に婚約者がいる身。それなら、この話は断れるはず」
禁忌目録には、誰かと婚姻を結んでいる者に、第三者が求婚することを禁ずる一文がある。それを盾にすれば、例え上級貴族からの貴族裁決権による決定であったとしても、禁忌目録に触れるため無効となるはずだ。そうであるべきだ。
「……お父さん、お母さん。私は、大丈夫よ」
手紙に綴られた両親の謝罪の言葉は、涙と思われる水跡で滲んでいた。横暴な貴族裁決権から娘を守れない不甲斐ない親を赦してくれ、と。
手紙を慎ましやかな胸に抱いたティーゼは、ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐く。先輩であるユージオやその同室のキリト上級修剣士、また親友のロニエに相談することも考えた。しかし、これは学院で起きた問題ではなく、貴族家間の問題。下手に巻き込むわけにはいかない。その思いを助長させるように、両親からの手紙には学院を卒業するまで誰にも話すな、とも書かれていた。それが恥ずかしがり屋のアンティノス家令息の要求だから、と。
「(あの傲慢な男が恥ずかしがり屋? 絶対に、何か裏があるわ……)」
しかし、両親から口止めされてしまっては誰にも話せない。親は子を愛し、子は親を敬い、親は子を正しく導き、子は親の言うことを守る。それは禁忌目録の条項としても挙がっていることだ。その親が誰にも話すなと言っている。破るわけにはいかない。
ティーゼはぎゅ、と目を瞑り、深呼吸を繰り返す。この問題は、一人で解決せねばならない。一人でライオス・アンティノス主席上級修剣士の元へ赴き、ユージオ先輩と既に婚約している事情を説明し、何とか今回の結婚を破棄させねばならない。
「……よし」
手紙を鍵付きの引き出しにしまい込むと、ティーゼは早歩きに部屋を出た。
時刻は夕刻。窓から覗く曇天は、今にも泣き出しそうだった。
「アンティノス主席上級修剣士殿! ティーゼ・シュトリーネン初等練士です! 入室許可を願います!」
木製の扉を叩く音が木霊し、芯の通った可憐な声が希う。
一拍の後、返されたのは傲慢に彩られた男の声。
「入室を許可する」
「失礼します!」
ティーゼは威勢よく答えると、礼を失しないよう慎重に、しかし迅速に扉の内側へと滑り込む。扉を閉めて室内へと振り返ると、ゆったりとした部屋着姿のライオスが長椅子に凭れていた。
姿勢を正したティーゼは直立してライオスの言葉を待つ。金髪の端正な顔を直視することなく、やや上方へ。下級貴族や平民が上級貴族の尊顔を許可なくジロジロ眺めることは、あまり褒められたことではないためだ。その点で言えば、彼女の先輩であるユージオやキリトは、礼儀知らずとして誹られてもしようがないともいえる。
ティーゼの貴族足らんとする姿勢に、ライオスは満足気な笑みを浮かべて口を開く。
「シュトリーネン初等練士。直答を許そう。して、何用かな?」
「はっ。恐れ入ります。アンティノス主席上級修剣士殿」
ライオスの許しを得たティーゼは、そこで初めて視線を下げる。そして、ゾッ、と背筋に氷柱。ライオスの顔が、目が、口が、笑みが、獲物を手に入れた肉食獣に見えたからだ。……本当に、一人で来るべきだったのだろうか。
「どうした? シュトリーネン初等練士。私に、用事があったんだろう?」
獰猛な笑みを浮かべたまま、ライオスが立ちあがり、ティーゼへとゆっくりと近づいてくる。両手を広げ、まるで逃がさないとでも言うような。
ガチガチガチ。ティーゼは音に気付く。自身の口から漏れるそれは、歯が震え、ぶつかり合う音だ。彼女の顔は今、凄まじい恐怖に蒼白となっていた。しかし、ティーゼは歯を噛み締め恐怖を飲み下す。き、と自身より背の高いライオスを見上げ、言の葉を紡ぐ。
「アンティノス主席上級修剣士殿。私の用件ならご存じのはず。結婚のことです」
「ああ、私と君との結婚の話か。それなら既に済んでいるよ」
「……え」
ライオスが事も無げに言った言葉に、ティーゼは呆然とする。済んでいる……済んでいる?
くるりと背を向けたライオスは、そのまま壁際の鏡台へと向かう。そして鏡台の引き出しから、巻かれた一枚の紙を取り出した。にやにやと嗤いを浮かべながら、戻ってきたライオスはソレをティーゼに手渡す。
「さぁ、読んでみるといい」
「……拝謁します」
不信に眉根を寄せ、ティーゼはその紙を開く。まず目に入ったのは、紙の上部に刻印された二つの家紋。アンティノス家と……シュトリーネン家。そしてその下には、華美な装飾の施された文章たち。
「……なによ、これ」
思わず、震えた言葉が漏れる。紙には、要約するならば、こう書かれていた。
『ライオス・アンティノスとティーゼ・シュトリーネンの結婚を認める。最高司祭アドミニストレータ』
目を見開き、冷や汗が全身に浮かぶ。ティーゼの体を恐怖が縛る。これは、この紙は、結婚証明書だ。それも、最高司祭様が認める、最も強い結婚の。
「クハハハハ。どうした? 我が妻よ。妾とはいえ、そのような無様は見苦しいぞ?」
トン、とライオスの右手が扉に置かれる。結婚証明書に視線を下ろすティーゼは側頭部に、興奮した男の体温を感じる。顔を上げれば、至近にライオスの顔。そこには見下すような、嗜虐心に満ちた嗤いが張り付いていた。
「あ、アンティノス主席上級修剣士殿……わた、私は……ユージオ先輩と……既に……」
「なんだ? 姦通でもしていたか? ユージオ上級修剣士殿の逸物はお前の雌穴にキチンと入ったのか?」
「なっ……!」
ライオスの蔑むような声に、ティーゼは顔を真っ赤にする。
「ふ、ふざけないで! 私たちはそんな関係じゃない!! 私とユージオ先輩は、もっと純粋よ!!!」
「それは重畳。ククク、妻の処女を破るは夫の役目だからな」
「私はあなたの妻なんかじゃない!! こんな紙、破り捨でぇぁ!?」
結婚証明書を破り捨てようと手を掛けた刹那。ギィィン、と。それは脳髄を直接焼かれるような痛み。ティーゼは右目に浮かぶ血のように赤い文様と、今までに味わったことのない激痛に、体をくの字に折る。全身の汗腺から汗が噴き出し、胸を掻き抱き膝をつく。それを、ライオスはつまらなさそうに見下ろしていた。
「既になされた結婚を一方的に破棄することは禁忌に触れるよ、我が妻よ」
「ぎ、ぎぃ……い、一方的な、結婚も……禁忌に触れる、はず、なのに……」
激痛に軋む右目を押さえ、ライオスを見上げるティーゼ。しかし、ライオスは冷笑を浮かべて言う。
「貴族間の結婚を認めるのは、家長の役目だ。お前が認める認めないに関わらず、シュトリーネン家の家長が、私とお前の結婚を認めたのだ。だから、この結婚は有効なのだ。……お前の父の、抗えぬ貴族裁決権に娘を奪われ、文字通りの血涙を流しながら署名する姿は、それはそれは見物だったがな」
「き、さ、まあああああああああああああああああ!!!!」
クハハハ、と嘲笑うライオスに、ティーゼは絶叫する。この男は絶対に許せない。右目の痛みがなんだ。禁忌がなんだ。この男はこの場で八つ裂きにしなければならない。家族を嗤うこの男が許せない。右目が、割れ……
「……が?」
怒りに我を忘れかけたティーゼは、ゴ、という鈍い音で我に返る。そして、自分が横倒しに床に倒れ伏していることを自覚する。左の側頭部が鈍い痛みを発している。己の天命が減少したことを、ステイシアの窓を開かなくても認識した。……殴られた?
「なん、で……」
「禁忌に触れたときの右目の痛みに、私が襲われていないのがそんなに不思議か?」
横目に見上げるティーゼを、右手をふるふると振るうライオスが見下ろしている。まるで、至極当たり前のことを聞かれて困惑するよう。
「妻の躾は、夫の役目だ」
即ち、その傲慢故の禁忌の解釈の違い。妻の過ちを正すは夫の責務。そのためならば、天命を減少させる行為すら赦される。例え、その正しさが、おぞましい身勝手さであったとしても。
「来い。今からたっぷりと躾けてやる」
「ぎあ!? ぎっ!! やめ!! いたいいたいたい!!! いやぁっ!!」
ライオスはティーゼの真紅の長髪を右手で無造作に握りしめると、そのまま無理矢理引き摺りだす。頭皮と毛根が引き千切られる痛みにティーゼが喚いても、容赦なく彼女を寝室へと連れ込んだ。髪を引き上げてティーゼを立たせたライオスは、そのまま寝具へと仰向けに押し倒す。
「いや! いやあっ! やだ! 放して!! 放してえええ!!! 誰か!! 誰か助けてえええええ!!!」
「叫んでも無駄だ。私の部屋は特別製でな。誰にも聞こえない」
ビリリと、ライオスはティーゼの制服の襟をつかむと、力任せに引き裂く。弾けた釦が木の床にカランと転がる。露わになったのは質素な肌着。ライオスはティーゼの慎ましやかな乳房を乱暴にこね始める。
「やだやだやだ!! いやあああああ!!! やめてえええ!! ユージオ先輩!! ユージオせんぱあああいいい!!!」
「夫との睦言の最中に他の男の名を呼ぶとは。本当に躾のなっていない雌犬だな」
「んぶぅ!? ん、んんんんん!!!」
男を押しのけようとする女の細腕を逆に押しのけ、ライオスのおぞましい唇がティーゼの可憐な唇に押しつけられる。初めての口づけを奪われ、ティーゼの真紅の瞳に涙が浮かぶ。
「(いやいやいやいやいや!!! なんでなんでなんで!!! ユージオ先輩!!!)」
ライオスの舌が無理矢理にティーゼの口内に侵入。噛み締めた歯茎をぞりぞりと撫でる。同時に流れ込んでくる男の唾液に吐き気を催す。
「んぐ、んぎんんんんん!!!」
上から押さえつけられたティーゼは逃げられない。ライオスの唾液が喉に溜まり、反射的に嚥下。己のモノでない体液を取り込んでしまったことに絶望しながら、ティーゼは頭を振ってライオス唇を振りほどく。
「ぶはっ! ああああ!! いやああああああああああああああ!!! いやああああああああああ!!!」
「ハハハハハ! 我が妻殿の唇はまるで甘露だな!!!」
ライオスの嘲笑に、ティーゼは必死に逃げ出そうと藻掻く。しかし、力の差は如何ともし難く、徒に乳房を弄ばれる。
「おや、乳首が起ってきたぞ。クハハハハ、いやらしい娘だなあ!!」
「ちが、ちがう!! いやああああ!! いやいやいやいや!! やだああああああ!!!」
外的刺激に反応したティーゼの乳首が肌着の下で自己主張を始める。それを掌で感じ取ったライオスは嗤いを込めてティーゼを蔑む。ティーゼが懸命にライオスを押しのけようと藻掻く様が、余計に彼の劣情を煽っているなど、彼女は知る由もない。
「こちらはどうかな?」
「ひぃっ!! いやいやいやいやいやいや!! やだやだやだ!! さわらないでええ!! そこはだめええええ!!!」
腰布(スカート)を無遠慮に剥ぎ取ったライオスは、ティーゼの女陰を股布(ショーツ)の上から無造作に触り、閉じた割れ目をぐにぐにと弄ぶ。
「いやああああああ!!! ユージオ先輩!!! ユージオせんぱああああいい!!! たすけてええええ!!!」
ティーゼはもはや、恥も外聞もなく泣き叫ぶ。こぼれ落ちる涙が高級な敷布を濡らし、真紅の瞳を曇らせる。
女を組み敷くライオスは舌舐めずりし、意地の悪い嗤いをより一層深める。
「クハ、クハハハ! これはもういらんだろう!」
「いやああ! やだあああ!!! 見ないでえええ!!」
ビリリ、とティーゼの肌着が、上も下も引き千切られる。露わになった乳房はつんと乳首が起ち、白い肌に恐怖と興奮の赤みが差している。外的刺激に対する防衛反応で粘液を分泌し始めた秘裂はぬらぬらと明かりを反射し、膣口が顔を覗かせている。
「いやいやいやいや!!! たすけてえええ! ユージオ先輩ぃ!! やだああああ!!!」
「もういいだろう。さぁ、本当の婚姻を結ぼう」
右手でティーゼの首元を押さえつけたライオスは、ティーゼの足を押し割って腰を入れると、もう片方の手で服の腰帯に手を掛ける。そして、ずるり、とソレが頭をもたげた。
「ひぃっ!!」
下を見下ろし、股の間のソレを見たティーゼは引き攣れた悲鳴をあげる。ソレは男の象徴、男根だ。
「男のモノを見るのは初めてか? これが今からおまえのナカに入るんだ。処女を上級貴族たる私に捧げられることを感謝したまえ」
「いやあああああああ!! いやあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
秘裂に亀頭が押し当てられる感触に、ティーゼの抵抗が一層激しくなる。短く切り揃えられ丁寧に磨かれた爪がライオスの肌を引っ掻く。その小さな痛みに男は邪悪な笑みを浮かべる。
「やだやだやだやだやだ!! 初めてはユージオ先輩にってえええ!! いやああああ!! やめてえええええええええええ!!!」
男の腰がゆっくりと押し出される。ぐちゅり、と亀頭が秘裂に割入り、ティーゼの体内に侵入してくる。誰も受け入れたことのないティーゼの膣口は限界まで押し開かれ、入り口付近の膣壁を擦られる感覚にティーゼの全身に鳥肌が立つ。
「やだああああああ!! いやあああああ!!! 挿れないで!! 挿れないでえええええ!!!!」
「ククク、無駄無駄無駄ぁ!」
ティーゼは白い肌の細腕でライオスの筋肉質な体を押し返そうとし、無理矢理に股を開かされた両足で敷布を掻く。その動きがライオスの男根を刺激し、情欲を更に煽り立てる。
そして、ゆっくりと挿入されていた男根が、遂に、ぐに、とソレを捉える。
「ひっ!?」
「これが処女膜だな? さぁ、純潔に別れを告げたまえ」
ぐにぐにと亀頭で押される感覚にティーゼが短い悲鳴を上げると、ライオスはにたりと笑みを浮かべる。そのまま腰を押し進めようと力を込め、ミチミチとティーゼの処女膜が悲鳴を上げる。
「いやあああ!! やめてええ!! 私の処女膜破っちゃだめえええ!! ユージオ先輩! 助けてええええ!! ユージオせんぱああいい!!」
そして、ぶちり、と、ティーゼは決定的に取り返しのつかない音を聞く。
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「ぐ、ぬぅ」
ティーゼの絶叫。力を込めた反動で、男根がティーゼの膣奥まで一気に侵入を果たす。竿全体を擦られて、ライオスも快感の苦悶を漏らす。
「うぇ……ひぐ……ぐしゅ……あああ……ひどい……ひどいよぉ……」
両腕を眼前で交差し、顔を隠しながら涙を止めどなく零すティーゼ。彼女の膣からは純潔であったという証が、つー、と零れ落ちる。それは純白の敷布に染み込み、赤黒い地図を描く。
ライオスはティーゼのその姿に、邪悪な笑みを一層深めた。
「ククク、本当の妻となった感想はどうだ? お前の友人たちの中でも、一段と早い婚姻だぞ? さぞや自慢できるだろう」
「……さいっ、あく」
組んだ腕の隙間から覗くティーゼの真紅の瞳は涙に濡れ、絶望と恐怖に歪んでいた。
「そう邪険にするな。契りの儀はここからが本番だぞ」
そう言って、ライオスは未だ痛みの冷めやらぬティーゼを気遣うこともせず、腰を振り始める。
「ぎ!? あ!! が! だめ! あ、ぎ!! いた、いたいいたい!! やだ! 動かさないでえ!!」
純潔だった証が飛び散り、敷布に点々と跡を残す。裂傷を負った膣壁がライオスの男根に擦られ、ぐちゅぐちゅと音を立てる。
「が! あ! ひぎ! いぎぁ! 抜いて! 抜いてえ!! やだ! いたい! ぐぃ! ぎあああ!?」
「ハハハ! 破瓜の傷みは今だけだぞ! 存分に味わいたまえ!!」
ライオスは痛みに呻くティーゼを嘲笑い、ぐいぐいと亀頭で膣壁を擦過する。未成熟なティーゼの膣はその度に抉られるような痛みを発し、ティーゼを苦しめる。
「いたいいたい! あぎ! はぎゅ! んん! ユージオ先輩! いや! あぐ! 助けてええ!!」
「既に言っているだろう? 誰も助けになど来ない」
「んぎいいいいいい!!」
腰を押しつけ、男根をティーゼの秘裂に奥深くまで押し込むライオス。そのままぐりぐりと膣奥を亀頭で抉る。
「だめ! やだ! それだめえぇ! んぎ! んんん!! ああ! んあ! いやあああ!!」
「ほほぅ。我が妻殿は子宮を嬲られるのが好みか。なら、それに応えるのも夫の責務だな」
「ちが、ちがぅ! 私は妻じゃ! んひいいい!!」
お腹の奥、子宮が痺れる感覚に、ティーゼは悲鳴を上げる。ライオスがしつこく、亀頭で子宮口を擦るのだ。破瓜により傷ついた膣壁は痛みしか発しないが、未開発の子宮口は敏感に感覚を叩き付けてくる。
「しらない! んああ! わたし! こん、なの! ああ! しら、ないぃ! やだ! んあ! ゆーじおせんぱ! せんぱい!! たすけてええ!!」
ティーゼの脳髄は混乱の極みにあった。子宮口からの感覚など、今までの人生で一度も受け取ったことなどない。それは快楽に呻くと言うより、感覚に殴りつけられるような状態である。
そして、ライオスはティーゼの膣の変化を、敏感に感じ取っていた。左手を交合部に触れさせ、それをすくい取る。
「ククク、膣も愛液で濡れてきているぞ。漸く、私のモノを受け入れたのだな」
「いや! そんなはずない! ちがう! いやああ!」
ライオスがティーゼの目の前にそれを突きつける。彼の左手の中指と親指、その間に架かる、やや赤く濁った透明な愛液の橋。それを見せつけられ、ティーゼの顔は一層、絶望に彩られる。
「やだあああ! そんなのみせないでええ! いやああ! ユージオせんぱああい!!」
「お前は私の妻となったのだ。ハハハハ、お前がいくら否定しようとも、お前の体はそれを認めたぞ!!」
「はぎ! んあ! ぁん! あああ! んひぃ! いやいやいや! あぁ! やだ! こんなの! へんなこえ! んああ!」
再び、ぐちゅぐちゅと腰を振りたくるライオス。愛液の分泌は防衛反応のため、受け入れる受け入れないは関係ないのだが、それを知らないティーゼは、ライオスの言葉に認めがたい事実を感じる。それを助長するように、ティーゼは自身の口から甘く濡れた声が出ることに気づく。
「感じ始めているようだな。クク、さぁ、夫のモノでもっと感じるんだ!」
「いやああ! あああ! んぁ! ん! あ! いやぁ! かんじたくない! やだ! こんなのやだああ! たすけて! ユージオせんぱい! たすけてよお!」
もちろん、ユージオが助けに来ることはない。なぜなら、誰にも知らせず一人で来たからだ。亀頭がごつごつと子宮口を殴る感覚にも、エラが膣壁を擦る感覚にも、ティーゼは一人で耐えなければならない。
「んあ! あん! ひあ! やだぁ! んひぃ! ひあああ!!」
ぐりぐりとライオスが子宮口を抉る。ティーゼはもはや快楽としか思えないそれに翻弄される。そして、ティーゼはより深い絶望を知る。
「ん、ぐぅ……そろそろ、出すぞ……」
「んぁ! ひぅ! だ、だす……? だす!?」
ティーゼも、母から最低限の性教育は受けていた。性交の最後、男根から出るモノは何だったか?
それに気付いたティーゼは、細腕をライオスの体に押し当て、全力で拒絶する。
「やだやだやだやだ!! 出さないで! 精液出しちゃだめえええ!!」
「ほぅ、そのくらいは知っていたか。だが、私たちは夫婦だぞ? 膣内(なか)に射精しないでどうする?」
ティーゼの顔が、蒼白になる。膣内で射精された女性はどうなる。簡単だ。妊娠する。
「やだあああああああああ!! 赤ちゃんやだああああ! いやあああああ!!」
ライオスの腰振りが早くなる。それに合わせて、ビクンビクンと男根が震える。その脈動を感じ取り、ティーゼは涙を流しながらいやいやと首を振る。
「出しちゃだめ出しちゃだめ出しちゃだめえええ!!! やだやだやだやだやだあああ!!! 精液出さないで!! 膣内に出したら赤ちゃんできちゃう! 赤ちゃんやだあああ!!!」
ティーゼは必死にライオスを押し返そうと細腕に力を込め、脚をバタつかせる。しかし、ライオスは小刻みな抽挿に切り替えると、子宮口を刺激しながら更に加速する。
「んあ!! んひぃ! やだ!! だめ!! それだめ!! おくだめえ!! おく出さないでえ! ユージオせんぱい! ユージオせんぱい! 赤ちゃんやだ! だれかたすけてええ!!」
男根の衝撃に押され、ティーゼの腰が浮き上がる。軽い前屈になり、まるで見せつけるように接合部がティーゼの視界に入る。己の膣がライオスの男根を受け入れている様に、これから膣内で射精され、赤ちゃんを妊娠させられるという現実が、より一層の像を持って脳裏に叩き付けられる。
「いやあああああ!!! いやああああああああ!!! 赤ちゃんやだああああ!! 出さないでえええ!! 出しちゃやだあああああ!!!」
激しい抽挿に晒されながらティーゼは叫ぶ。ばちゅばちゅと愛液が攪拌される音が部屋中に響き、飛沫が敷布を汚す。ライオスの震えは最高潮に達し、男根の膨張により、ティーゼの膣内はぎちぎちと音を立てる。
「ぐ、ぅ」
不意に、ライオスが呻きをあげ、男根が膣内に限界まで押し込まれる。鈴口がぴたりとティーゼの子宮口に押しつけられる。そして、灼熱。
「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
これまでで最も長く大きい絶叫。ティーゼは己の膣内に何か熱くドロドロとしたモノが吐き出されたことを感じ取る。ライオスの男根がどくんどくんと脈打ち、その度に灼熱が胎の内にどんどん溜まっていく。上から叩き込まれるそれは、着実に、まっさらなティーゼの子宮を白濁に穢していく。
「やだああああ!!! 膣内で出てる!! 膣内で精液出てる!! 出しちゃだめって言ったのに!! 赤ちゃんできちゃう!! いやああああ!!!」
灼熱が子宮を侵略する。どくんどくんとライオスの子種が、ティーゼの卵を求めて泳ぎ出す。その恐怖は、ティーゼの精神をどうしようもなく打ちのめす。
「いやぁ……ああ……いやぁ……なんで……こんな……んあ……」
時間にして十数秒。ティーゼにとっては永遠とも思えた射精が終わる。ずるり、とライオスの男根が引き出され、ティーゼの腰が敷布に落ちる。膣口と鈴口の間に白濁の橋が架かり、次いで秘裂から、ごぽり、と精液が溢れ出す。血が混ざりピンク色のそれらは敷布の上で広がり、消えない穢れを刻みつける。
膝立ちで汗を拭うライオスは、仰向けに脱力するティーゼを見て、嗤いを零す。
「ククク、中々によかったぞ。我が妻よ」
「……ぁ」
れろ、と止め処なく流れる涙を舐めとられても、ティーゼは小さく呻くのみ。乱れた服装を直すこともせず、ただただ、虚ろに視線を投げる。
「……ぁ?」
そして、その上に影が差す。ライオスが覆い被さってきたのだ。そして、再度感じる、秘裂に押しつけられる熱。ティーゼの意識が浮上する。
「……いや、まって、また……またするの? やだ……やだぁ……」
「ククク、一回で終わるほど、私は種なしではないのでね」
ぐぷ、と、精液と愛液に彩られたティーゼの秘裂が、再び押し開かれた――
陽気な朝日が窓から差し込み、ティーゼの瞼を刺激する。ゆっくりと真紅の瞳を開くと、知らない天蓋が映り込む。
「…………」
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
全身がどろどろと白濁に塗れ、秘裂から零れた精液が乾いて固まっている。一晩中、男根を受け入れていた膣は、未だにその存在を幻触する。
横を向けば、男の背中。ライオスだ。彼は寝台の脇に腰掛け、濡れた手拭いで体を拭いているところだった。
ティーゼの身動ぎの音に気付いたのか、ライオスが振り返る。
「……おや、起きたのか」
そう声を掛けてくると、寝台脇の小机に置いてあった手拭いを投げてくる。これで体を拭けと言うのだろうか。
「…………」
しかし、ティーゼはそれをただ見つめるのみで、動こうとしない。精神的な衝撃が大きすぎて、ただぼんやりとしているのだ。
ライオスはその様子に肩を竦めると、そのまま立ち上がる。
「教官には私から言っておこう。そこで、暫く休んでいるといい」
そう言って、男は寝室から姿を消した。あとには、汚されきった一人の少女だけ。
「…………ユージオ、せんぱい」
少女は、ただ泣いていた。
壁|ω・`)えっちだと思ってくれたら幸いです。