※この作品はR-18です。

TSしたら友人がおかしくなった(年齢制限版)   作:玉ねぎ祭り

1 / 2
えろってむずいですね。


初体験 ①

 酒はその人の本性を暴くわね。

 いつだったか姉貴が吐きそうな顔して飲み会から帰ってきたときそんな言葉を零したことがあった。

 その時はまたこの人酔いつぶれて訳の分からんことを言っているなと呆れただけだったが、いざ自分の身に降りかかると納得せざるを得ないと思った。

「で、結局のところ綾峰とはどうなの?」

 この一言がすべての始まりだった。

 

 高校を卒業して早二年。

 俺たちの代の奴らは大半が進学し、一部が専門学校や就職をした。

 そういう俺も無事大学生となることが出来た。受験勉強でかなり苦しんだが、その話は今はいいだろう。

 大学二年の夏、元クラスメイトの誰が言い出したのかは分からないが、久しぶりにみんなで集まらないかとかなり早い同窓会の案内が俺のもとへ届いた。

 面倒だし行く気は起きなかったが、公麿が行きたいと連絡をよこしてきたのでそうも言っていられない。

 重い腰を上げてやってきた俺は今、複数の男共に囲まれていた。

「さすがにもうやったんだろ?」

「くううぅぅぅぅぅ、平等橋が憎い! ていうか死ね!」

「やめろ村木! そのピッチャーのウーロン茶手つけてねえんだよ!」

 酒のせいで顔を真っ赤にした幡多沖と村木が俺の座っている席へやってきたのはほんの一、二分前だ。

 適当な居酒屋で始まった同窓会という名の飲み会。久しぶりだねだのなんだの和気あいあいと話している女子の横で、男子は日本酒の一気飲みや一発芸大会にすぐに移った。

 振られたら応える気でいるが、今日はそういう気分じゃない。

 公麿を見つけて喋りに行こうとしたら後ろから幡多沖に肩を組まれたのだ。そして唐突に先のセリフである。村木はいつの間にか隣にいた。

「やったって、何をだよ」

「隠すなよ平等橋。男しかいねえんだから」

 眼鏡をくいと上げる幡多沖。こいつとは高校三年間を通して仲がよかったと思うが、真面目なのは外見だけだなと悉く思わせられる。

「お前らまだ続いてんだろ? さすがに経験なしってことはないだろ」

「どうでもいいけど村木止めてやれよ。リストカットしそうになってるぞ」

「へいへいへい村木。店の畳が汚れるだろこのボケ」

 おいおいと泣きながらカッターナイフをポケットにしまう村木。こいつ常日頃からカッターを持ち歩いているのか。

 高校三年でクラスが重なったこともあって、俺、幡多沖、村木は三人でつるむことが多くなった。俺が実家暮らしで二人が地方の大学に下宿をしているので会うのは久しぶりになるのだが、二人はまるで変わっていない。村木が公麿を未だに引きずっているのは意外、というかいい加減次へ行けと言いたくなることではあるが。

「おいおい、村木を使ってうまく誤魔化せたとか思ってないよな?」

 ビールを煽る幡多沖。目が完全に座っている。こいつ絡み酒か。

「いや誤魔化すって言うか……あれ、おい村木泡噴いてないか?」

「誰がそんなことで騙されるか……マジじゃん」

 ブクブクと泡を噴く村木にドン引きしながら、俺たちは急いで救急車を呼んだ。

 

 

「あはははははは! 村木、アホだ! 変わってねえ!」

「笑い事じゃねえんだけどな……」

 隣を歩く公麿が大爆笑をする横で俺はげんなりした表情で返した。

 救急車で運ばれた村木に付きそった俺と幡多沖は、無茶な飲ませ方をするなと病院でこっぴどく叱られた。

 村木はいわゆる急性アルコール中毒というやつだった。

 一歩間違えれば命の危険にあった。本気で説教をかます医者に、別に俺が飲ませたわけじゃないんだが、という言葉が頭をよぎった。でも大事にならなくて本当に良かった。

 戻るころには同窓会は終了しており、駅で待ってくれていた公麿と合流して今、というわけだった。幡多沖とは病院前で別れた。

「でも大変だったよ。このまま続けるか続けないかって、正義たちが病院行った後に話になってさ。とりあえず場所は移そうってみんなでファミレスに移動したんだって」

「あの大人数で? 迷惑な大学生だな」

「うん。だから私達四人だけ抜けて別の店で飲みなおしてた。舞衣がべろべろに酔っちゃって大変だったよ」

 心底楽しそうに話す公麿。

 公麿は今この町に住んではいない。

 都内の大学に進学を決めた彼女は、そのまま下宿生活を送っている。

 自分の身に起きた身体の変化。その正体がなんであるのか突き止めたいと進路選択の時相談を受けた。民俗学を専攻する大学はこの辺じゃ存在しない。だから都内まで出なきゃ行けないと彼女は主張したが、彼女の両親を含め公麿は結構な人の反対にあった。

 普段から滅多に感情を表に出さない咲江さんが「絶対に駄目です」と力強く否定した。その時俺もその場にいたが、あれを跳ね返す公麿はこの数年間で随分強くなったのだと感じた。

 他にも裕子や柊の反対なんかあったが、あいつらのそれは単に寂しいだけだ。公麿の熱心な説得で結局諦めているようだった。楠は偶然公麿と同じ大学を志望するということで物凄いどや顔をして裕子にぼこぼこにされていたのはあの時期のクラスの風物詩だった。

 俺の姉貴も残念がった。誇張なく本気で妹、というより娘みたいに扱っていたからだ。それでも上の三人みたいに引き留めることはしなかった。公麿が困るからと大人な対応をしていたが、陰ですげえ沈んでいたのを見ていた俺は空元気って怖いなと思ったほどだ。

 最後に、俺だが。

 引き留めることはしなかった。

 公麿が自分自身の体の納得がいくならそれにこしたことはないと思ったからだ。

 あの時、公麿が突然女となり、それから随分いろいろなことがあった。時には泣き、時には怒り、時には沈み。

 きっと誰にも公麿の苦しみは分からない。咲江さんはその辺り理解していそうだが、似ている体験でもまるっきり同じ気持ちになることは不可能だろう。

 苦しんでいた公麿を見ていただけに、俺の都合でいかないでくれという事は出来なかった。

 本音を言えば俺も公麿がこの町を離れることは嫌だった。

 会えないし、喋れなくなるし、何よりずっと隣にいたやつがいなくなるって事が怖かった。

 そんなこと言うのはダサいと思って俺も姉貴同様空元気で平気なふりしていたら、卒業直前に公麿に盛大に泣かれた。

『お前は私と離れることなんとも思ってないのかよ!』

 公麿が重度の寂しがりやだという事をすっかり頭から抜けていた。

 自分から決意したことだが、公麿もこの町を離れること、そしてこれは自惚れでなければだが、俺と離れることは嫌だったのだと思う。

 下手に俺が平気なフリをしたせいで、気持ちがすれ違っていると公麿は大きく動揺していた。

 その日に俺も自分の正直な気持ちを告げた。

 本当は行って欲しくないこと。会えなくなるのは寂しい事。向こうに行って公麿が俺よりもっといいやつを見つけないかということ。

 公麿は打って変わって機嫌よく俺の話を聞いた。特に最後のやつには『へえ? 不安なんだ』と意地悪く笑ったほどだ。

 素直に不安だと告げればそっぽを向かれた後、小さく『お前以外ねえよ』と言われたことを最大の安心材料とすることにした。

 そんな俺たちは、長期休みの度に会う事になっていた。

 公麿の都合でそんなにしょっちゅうこっちに戻って来られないので、それこそ春夏冬の長期休みくらいだ。後は俺が空いた時間見つけてあいつの所に遊びに行った事が何度かあるくらい。その際公麿の大学の女友達に紹介され背筋がむず痒くなった。

 夏休みの大半はこっちにいるという公麿の言葉を聞き、俺は今、人知れずテンションを上げていた。

 

『さすがにもうやったんだろ?』

 

「っ!」

「ん、正義なんか言った?」

「あぁ、いやなんも」

 唐突に思い出してしまった。くそ、幡多沖のせいだ。

「うん。絶対なんか隠してる顔だ。なんかあった?」

 毎回俺が誤魔化してきたせいだろう。公麿には俺のなんでもないは通じない。

 いつもなら諦めて公麿に暴露するところだが、今日ばっかりはそうもいかない。

『もうやったんだろ?』

 頭の中でリフレインするこの言葉。

 実は大学に入ってからかなりの人間に聞かれてきた言葉でもあった。

 高校と違い、大学生ともなればそういった経験をしている人の割合がかなり高くなる。なんせ大半は成人を迎えているのが大学ってところだ。

 俺が入ったサッカーサークルの飲み会で、先輩に彼女はいるのかとしつこく聞かれた。

 ちょうど春先でかなり露骨にアピールしてきている先輩がいたので、正直に公麿の事を話した。

 すると当然出てくる写真を見せろ攻撃。仕方なく見せるとまあ盛り上がる事。ちょうど三年の文化祭で公麿が和装をしていた時のやつを見せたので「奥ゆかしい彼女」という間違った認識を抱かせたようだがそれはまあいい。問題は、その後に彼女とどれくらいの頻度で『やって』いるのか訊かれたことだ。

 俺はこの時改めてそのことを意識した。

 もともと女性が苦手だった俺と、男だった公麿。

 付き合うと言っても、何とかキスをしただけにとどまり、それ以上先があるなんて考えたこともなかった。

 飲み会の席ではそれとなく誤魔化したが、俺に彼女がいると知られると度々この質問を受けた。その度に答えに窮す。

 やってねえよ!

 それが言えたら楽なのだが、さすがに情けなくて言えなかった。

 俺の隣を歩く公麿を見る。

 薄手のカットソーにスカートというシンプルな装いだが、薄く化粧を施していることと髪を下ろしているので随分大人っぽく見える。

 大学に入ってからまた格段と公麿は綺麗になった。

 高校の時はどちらかというと可愛いという印象だった彼女だが、化粧のせいか性格の変化か、大学に入ってから綺麗という形容詞が似合うようになった。雰囲気がどんどん母親の咲江さんに近くなっている。あと胸が大きくなっているような。

「どこ見てんだよ」

「胸」

「お前そういうとこ赤裸々だよな……」

 条件反射で答えてしまったと思った。

 俺たちがそういう行為に至らない理由の一つに、俺のこのガキっぽさがあると俺は思っているからだ。

 昔から公麿相手ならという意識で、彼女にセクハラめいたスキンシップを過剰に取っていたことが裏目に出た。

 俺だって年頃の男だ。彼女がいるなら多少そういう行為も憧れはある。昔は女性が苦手で、今も多分本当の意味で完治しているかなんてわからないけれど、少なくとも公麿には触れたいと思うし、触れられたいとも思う。

 だからいろいろと試行錯誤をして公麿にその気にさせようと試してみた。

 だが過去のせいで、すべて下ネタや、軽いセクハラ発言と捉えられ流されてしまうのだ。

 思わずため息が零れると、公麿が「あのさ」と口を開いた。

「何?」

「いや、大した話じゃないんだけど」

 どうしたのだろうか。公麿の声が若干固い。

 よく見れば顔もこわばっている。暑さからか額から汗も出ているような気がする。

「今日飲み会でさ、村木が倒れる前幡多沖とどんな話してた?」

「……」

 思考停止。

 駄目だ。意識を飛ばすところじゃない。

 何も言えずに公麿の表情を伺うと、顔がかなり赤くなっていた。こいつ、まさか聞いていたのか。

「……聞こえてた?」

「あれだけ大きな声出されたら、そりゃね」

 会場が広かったし、何より周りが騒ぎまくってたから聞こえていないと思っていた。

 だらだらと脇汗が滴る。ヤバい。どうやって言い訳をしよう。

 脳内で必死に謝るシミレーションを試していると、公麿がもじもじと何やら言い始めた。

「さっき裕子たちと飲んでた時にその話になってさ。まださせてないのかって。さすがに正義が可哀そうだろうって」

 言葉がそこで途切れた。何が起こったのか暫く考える。ダメだ。混乱しすぎて理解が追い付かない。とりあえず公麿が怒ってないってことだけは分かった。

「正義はさ、その、私とそういうこと、したい?」

「したい」

 やばい、また条件反射で答えてしまった。

 公麿はぱくぱくと口を開閉させて、大きな目をさらに大きく広げて俺を見た。夜でも分かるほど顔が赤くなっている。

 いや、これはさすがにアウトだろう。

 ようやく自分の中の冷静さが戻ってきた。今のは普通に駄目だろう。冗談の範疇を超えている。

 公麿に即刻謝るべきだ。

 恋人となってからも公麿は俺に絶大な信頼を寄せている。むしろ恋人になってからの方がそれは顕著かもしれない。

 公麿は自分の体を性的な目で見られることをあまり好ましく思っていない。そりゃ誰だってそうだろうと思うが、そういう簡単な話じゃない。

 同性に恋愛対象を向けられることに嫌悪感があると言い換えてもいいかもしれない。

 今の公麿は女性だが、生きてきた時間はまだ男だった時の方がずっと長い。

 男であっても男に好かれまくった公麿は、男に言い寄られることがかなり苦痛に感じるようになっている。そんな事情を知っている俺から公麿に向かうのは愚の骨頂と言うものだ。

 すまんかった、さっきのは質の悪い冗談だ。

 そう言おうとしたが、言えなかった。

 公麿が真剣なまなざしで俺を見つめていたからだ。

「……する?」

 生半可な返事はかえって公麿の覚悟に失礼だ。

 だったら自分の思う通りにしよう。

「ああ。したい」

 妙な高揚感で、自分のそれが痛いほど隆起していた。

 

 電車で五駅。

 ホテルが並ぶ場所は俺も公麿も良く知っていた。高校の時よく遊びに来ていたショッピングモールから外れた先にあったことを覚えていたからだ。

 店のシステムなんて何一つ知らないが、ひとまず入店するとむせ返るような芳香剤の匂いが出迎えてくれた。

「匂いきっついね、ここ」

 俺と目を見合わせて少し笑う公麿。いつもより笑顔がぎこちないのは、彼女が緊張しているからだ。

 電車に乗る時から公麿の挙動は怪しかった。歩くとき手と足が同時に出るし、気まずすぎて話しかければびくりと肩を跳ねさせた。

 それでも俺は公麿から「やっぱ今度にしない?」と言い出さない限り止めたいとは言わなかった。

「ここを押せばいいのか」

「だね。どこにする?」

 奥に進めばカーテンが敷かれた区切りがあり、そこに大きな電光掲示板で部屋の写真と番号、料金が記載されていた。

「普通の所でいいか?」

「うん。安いし」

 水族館とかプラネタリウムとか、あとはSMクラブとか、いろいろセットが凝ってる部屋もあったがその分値段がかなり違っている。俺たちは宿泊を選択し、普通タイプの部屋を選び料金を支払った。俺が出そうと思ったがこういうことは公麿はかなり嫌がる。なんとなく情けない気持ちになるが割り勘で支払った。

 人二人が入ればいっぱいになる狭いエレベーターに乗って、部屋番号のさす四階まで向かう。

「……」

「……」

 ちらりと視線だけで公麿を見れば、しきりに手の甲をさすって口をもごもごさせていた。

 

 部屋に入ると、公麿は「へえ~」と急に元気になった。多分部屋の装飾がそこまで派手じゃなく、普通のビジネスホテルっぽく見えたからだと思う。ベッドはキングサイズなんだけどさ。

「見てみて正義、スロットマシーン!」

「だれがこんなところでスロットなんてすんだよ」

 見ればワンプレイ百円の文字が書いてある。しかも有料なのか。

 へーへーと興味深そうに室内をくるくる歩き回る公麿。すげえ可愛い。

「……」

「何、どしたの」

 突然動きを止めた公麿が、ぎぎぎと錆びた機械のように振り向く。手には片手で使うタイプのマッサージ器が握られていた。当然ここじゃ肩に使うわけじゃない。

 まずいな、重症だ。

 公麿の調子が空回りまくっているのはいいが、このままじゃ義務感だけで公麿に苦痛を強いる事になりそうだ。

 俺が求めているのはそういう事じゃない。

 こいつは裕子たちに言われて誘いをかけてきた。そこに自分の意思はそこまでないと思う。

 内心嫌だけど、俺が我慢をしている、彼女なのに責務を果たせないでいる。

 そういう気持ちが先行しているのだろう。だからさっきから顔が引きつりっぱなしなのだろう。

「公麿」

「うぇえい! ……何?」

 文字通り飛び上がる公麿。さすがにその反応は傷ついた。

「カラオケしね?」

 ラブホテルに入った経験はない俺だが、友達にその手の話はよく聞かされていた。緊張しっぱなしの彼女とする時に、まず一曲。盛り上がりすぎてそのまま店を出た、なんて笑い話も聞かされたが、このまま公麿がそんな顔をするくらいならそれもありだ。

 手渡されたマイクを受け取る公麿。やはりまだ困惑が表情から隠せていない。

「俺の歌をきけえええええ!」

 ハウリングさせると、ようやく公麿は心から笑った。

「正義の歌声かあ。やっばいなあ」

 耳栓をするジェスチャーで応戦してくる公麿。俺たちは思う存分歌った。

 

 

 何曲目か歌った後、俺が座るソファの真横に公麿が腰かけてきた。さっきまでは少し離れた対面のソファに座っていたので、突然の移動に戸惑う。

 肩に軽い衝撃があったと思ったら、公麿が首を俺の肩に預けてきた。距離が近く、汗と公麿の匂いが混じり思わず理性が飛びそうになる。鎮まれ、鎮まれ。隣のやつにそんな姿見られたら向こう一年口きいてくれなくなるぞ。

「ごめんね」

 小さく紡がれたその言葉にはっとさせられた。

 公麿に向き直れば、驚くほど近くに彼女の顔があった。

「……シャワー、先に借りる」

 俺が何か言う前に立ち上がる公麿。すっと脱衣所まで彼女は消えていった。

 衣擦れの音が聞こえたかと思うと、すぐにサーっという音が室内に響く。

 これって、そういうことなのか?

 バクバクと心臓がうるさいくらいに騒ぎ立てる。

 動揺か興奮か、気が付けば体が小刻みに揺れ、股間が弾けそうなほど勃起していた。

「きめえ。なんだ俺変態かよ」

 変態だった。

 自嘲しても、耳はシャワーの音から離れない。

 時折公麿の鼻歌が聞こえる。しかもそれが俺の歌ったやつの鼻歌だから余計くるものがあった。

 公麿がシャワーを終える十数分間、俺は生まれてから初めて猛烈に悶々とさせられた。

「次入って来て」

 バスタオルで上半身ごと隠した公麿が出てきた。暫く目が離せないでいると、「さっさと行って来いと」空いた手で殴られた。ちらっと乳が見えた。本気で変態だ俺。

 震える手でベルトを外し、パンツを脱ぐと今まで見たことないくらい膨れ上がったそいつが弾き出てきた。触れるだけで飛び出てしまいそうだ。

 浴室に入るともやっとした湯気と共に甘い匂いが充満している。公麿の匂いだと脳が認識、また血液が下半身に集まる。違う、これは単に備え付けのシャンプーとコンディショナーの匂いだ。何を勘違いしてるんだ。

 いつもより念入りに体を洗った。

 風呂から出ると、公麿が背を向けた状態でベッドにちょこんと座っていた。前だけタオルで隠しているので、後ろから見ると尻が丸見えで裸に見える。

「髪乾かしてきたら?」

「え? あ、そういやお前いつ乾かしたんだよ」

「正義がシャワー浴びてる間」

 当たり前のことを聞いている俺はかなり動揺している。

 認めよう。これが情けない童貞の姿だ。

 お預けを食らったように髪を乾かしていると、ふゆっと柔らかくて暖かい何かが俺の背中を包み込んだ。

「振り返らないで」

 公麿だった。

 わざわざ脱衣所までやってきて、後ろから抱き着いてきている。胸が肩甲骨にあたり、しっとりと湿った肌がぬくもりを伝えてくる。

 さすがに理性の限界だ。

 振り返ると、これまで見たどれよりも真っ赤に顔を染めた公麿があわあわと言いたげに目を錯乱させていた。

 踏みとどまれたのは公麿のその目に薄っすらと涙をためていたからだろうか。

 黙って向き直ると、先に公麿が視線を落とした。

 右手で彼女の頬を撫でるとくすぐったそうに身を捩り、体を俺に預けてくる。

「あはは。正義すげえ勃ってんじゃん」

「……お前のせいだっつの」

「……うん、そうだね」

 公麿に手を引かれベッドまで連れていかれる。明るいところに出ると公麿の肢体がより鮮明にわかった。

「そんなに見るなよ」

 手を放し、恥ずかしそうに手で胸と股間を隠す公麿。

 体のプロポーションはいいなと思っていたが、脱いでよりはっきりとそれが分かった。全体的に細いが、出るところは出ている。とりわけきゅっとくびれた腰と反比例するかのように、掌で覆い隠せないほどの乳房が目から離れない。

「胸ばっか見んなよ変態」

「手、どけてくれないか公麿」

 まさかより変態度合いを高めてくるとは、とぐちぐち言いながら露になる公麿の胸。

「触っていいか?」

「……嫌だって言ったら?」

 挑発的な目で見てくる公麿。悪魔かこいつ。

 黙って肌に触れると、びくりと体を震わせた。体をを守るように内股となり、身を縮こまらせる。

 彼女を傷つけないように、もう一度ゆっくりと触れる。

「ひゃ……」

 先端に指を滑らせると驚いたような声が漏れた。

「こそばいって正義」

「……」

「ちょ、……っん、え、なんか変な声でた……」

 恥じ入るように手で口を隠し、そっぽを向く彼女。そのおかげでガードの緩くなった反対の胸にも手を伸ばす。

「だからしつこ、ぃ、っく……、つ……」

 痛みとは別に耐える公麿を見て、理性がじりじりと焼き付くような思いがする。

 いつまでも彼女の痴態を見たいという気持ちと、早く自分の中にある欲望を彼女にぶちまけたいという思いが同時に襲い掛かって来る。

 掴むのではなく撫でるように。思い切り掌に沈みこませたいという気持ちをぐっと我慢する。内心その柔らかさに手が震えながら。

 仲間から聞いたそんな助言通り、俺は執拗に公麿を攻める。

 段々先端が固くピンと張ってきた。

 先端の周りを指で円を描くように撫でると、今まで見たこともないほど公麿の体が跳ねた。

 ぐっと腰が折れ曲がり、掴んだシーツが大きな皺を作った。

 指だけではもう我慢ができない。

 乳輪から先端までなぞるように舌を這わすと、公麿はまた大きく体を反らせた。息は荒く、段々嬌声も隠さなくなってきた。

 彼女が不感症だというやつの愚痴を聞いたことがあったが、公麿はその話で言うと真逆だ。

 ぴちゃりとわざと音を立てて乳首を舐め、暫く堪能すると浅く吸い付く。

 口腔内で存分に舐ると、今度は反対側に吸い付いた。

 開いている片方は絶えず片手で先端を這わせ、その度に公麿は息を荒げ声を上げた。

 その際公麿が痛くないよう十分な注意も心掛けた。

 胸、とりわけ先端はかなりデリケートな部分だ。性感帯としても物凄く気を付けなければ気持ちよさよりも痛みが先行してしまう、そうだ。

 経験はないくせに耳年増であったことが成功したかは不明だが、今公麿は痛がっているようには見えない。

 赤く火照った公麿は、それでも懸命に声を押さえる努力を怠っていないようだった。声が出ることが恥ずかしいのか、出てしまった時も「くっ」と悔しそうに顔をそらす。

「公麿」

「ん」

 公麿の腰に手を回し、上体起こさせる。

 とろんと潤んだ公麿の瞳。真っ赤に染まった顔。

 有無を言わさずその唇に吸い付いた。

 勢いあまって歯をぶつける間違いは今度は起こさなかった。高校の時初めてしたキスで俺たちは勢いあまって顔をぶつけた。血だらけになった前歯を見て笑いあったのもいい思い出だが、ここじゃそんな愚行を起こしたくない。

 初めは軽く触れるように。リップの音を意識する。

 間髪入れずにもう一度。一度目よりも長い時間で。

 三度目に舌を入れて、公麿の歯を撫でた。

「……んぐっ!?」

 上の歯茎としたの歯茎を交互に味わう。恥ずかしいのか、抵抗するように公麿は離れようとするがそうはさせない。

 左手の力をさらに込め、右手で彼女の頭を緩く固定する。バランスを崩し二人そろって横に倒れた。

 呼吸の為一度唇を離し、公麿の髪を撫でた。前髪は汗で薄っすら張り付いている。

「……予想以上に変態だった」

「知ってたろ、それくらい」

 俺と目を合わせずに公麿は口にした。罵られてるはずがどうしようもないほど興奮する。

「あと、なんか悔しい」

「悔しい?」

 公麿の発した言葉が意外で、思わず聞き返した。

「正義ばっかり私を、そのやってくるし」

「えーと、それはそのぉ!」

 何と言えばいいか考えていると、下半身に電流が走った。

 小さな手が俺のそれを掴んでいた。

「わ、わー、わー」

「やめろやめろすぐ出るからそれマジ止めろ!」

 興奮したようにしごき始める公麿。自分でするのとは全く違う感覚。好きな人にされるということという二重の意味で、掴まれた部分が燃えるように熱くなっている。

「ん」

 自然とまた口づけた。

 下唇に一度舌をそわせ、はむように上唇に移る。舌で公麿の歯を押しのけると、あっさりと彼女は俺の侵入を許した。

 彼女の小さな舌が俺のものと絡み合い、行き場を失った唾液がつーっと彼女の端からこぼれた。

 舐めているのか吸っているのか段々分からなくなってきた。

 両者の発する淫靡な水音と、口の隙間から堪えられなくなったように発する公麿の嬌声だけが俺の耳朶を打つ。

「っ……」

 ただし堪えているのは公麿だけじゃない。

 先ほどから彼女も俺の下部に手を伸ばし、上の行為と同時に攻め立てて来ていた。

 ゆっくりと、だが執拗に彼女はその小さな手で追及の手を止めない。

 親指と人差し指で輪を作り、残り四本は浅く握りこむ。根元を包み込むように上下運動を続け、先端まで来ると優しくその先を撫でてくる。気を抜くとすぐに快楽に身を任せてしまいそうになる。

 公麿に主導権を握られるわけにはいかない。

 腰を支えていた左手を頭に移し、空いた右手で公麿の股を開いた。

「!?」

 抗議をするように息を荒げる公麿。必死で閉じようとする足を俺は自分の足で邪魔をした。こういう攻防は小学生の時分を思い出す。今やっている行為は比べ物にならんほど卑猥だが。

 直接秘部に触れることはしない。

 くびれた美しい腰に手を這わせ、そのまま太もも、付け根と添わせる。

「んん、んん!」

 涙目になって公麿が抗議をする。逃すまいと彼女の舌を強く吸った。

 秘部を守る柔らかい毛に触れた。

 さわさわと五指をはませ、そこを避けるように両太ももの付け根と交互に行き交わす。気づけば公麿の方の手は俺のものから外れ、ただきつくシーツを握っていた。

 壊れモノを扱うかの様に遂にそこに指をあてた。

 大きく体が跳ねた。今までの比じゃない。行為が順当にいっていることに俺の心は満たされていった。

 俺はそのまま指を入れると、

「いっっったい!」

 全力で公麿に横っ面叩かれた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。