えっちなデレマス小話「ふたなりのクラリスと時子の話」 作:Papporopueeee
「こ、これは、ち、違うのです」
蹲りながらクラリスが口を開く。その声は弱々しく、今にも消え入りそうだ。
「違う? 何が違うと言うの? クラリス」
「そ、それは、その……とにかく違うのです!」
「だったらその違いを説明してくれる? 私にもわかるように、はっきりと」
「っ……」
別にその生理現象について知識がないわけではない。医学的な仕組みを調べるような興味は持っていないが、それが興奮によってのみ引き起こされるものではないことは知っている。
だから、おそらくはクラリスもそうなのだろう。
そんなことは百も承知の上で、私はクラリスを煽る。
「ほら、その両手をどけなさい。違うというのなら隠す必要もないでしょう。やましいことが何もないのであれば、いつものように堂々と立って説明してちょうだい」
「…………っ!」
必死に唇を噛みしめ、クラリスはただ押し黙る。その両の手を自らの下腹部に当てながら。
「……自分の立場がわかっていないようね、クラリス。そんなに通報してほしいのかしら?」
「え!?」
「ここは女子更衣室よ? 男が紛れ込んだのなら通報するのは当然でしょう」
「そ、そんな、私は男性ではありません! 時子さんも知っているはずです!」
「そうね。ついさっきまではそう思っていたわ。でも、あなたのそれを見てしまったのでは疑うのも無理はないでしょう」
「だ、だからこれは違うと……」
「いいわ。とりあえず襲われるのも嫌だし、人を呼ばせてもらうわね。あなたの弁解はその後にゆっくりすればいい」
「そ、そんな……」
このままクラリスを弄ぶのも面白そうだが、大勢の前に放り投げるのも興味深い。敬虔なシスターとして、誠実なアイドルとして名が通っているクラリスのスキャンダル。民衆の好機の目に囲まれた彼女はより魅力的な姿を見せてくれることだろう。
「……ま、待ってください」
「なに?」
「そ、それだけは……それだけは止めてください。見せます、から……」
「あぁん? クラリス、あなた何様のつもり?」
「え?」
「私は最初に見せなさいと言った。それを拒否したのはあなたよ。だと言うのに、その態度はなんなのかしら?」
「うぅっ」
「もう一度だけチャンスをあげましょう、クラリス。私の温情に報いてくれることを期待するわ」
「……」
「……」
数秒ほどの沈黙。何度も頭を頭を振り、やがてこちらを見ないままにクラリスは口を開いた。
「お、お願いします。わ……私の、私の下半身を確認してください」
何とつまらないセリフなのだろうか。初心な女学生でもまだマシなことを言えるだろう。
しかしその表情は格別だ。美しいブロンドが屈辱に震えている。透き通るような白い肌は真っ赤に染まっている。決して特殊な性癖など持ち合わせてはいない女が、自らの恥部を見てくださいと懇願するその姿。しかもあのクラリスがだ。
「まあいいでしょう。じゃあさっさと手を退けなさい」
おずおずと、ゆっくりとした動作で下腹部から手が外される。
いつも通りの修道服。紺一色で大した飾りつけもない。しかしその下腹部のあたりには小さい膨らみがあった。まるでテントを張るように、修道服を持ち上げる何かがクラリスの下腹部にあるのは一目瞭然だ。
「それは何?」
「……」
「何も答えないなら私が勝手に解釈するけど、結局男ってことでいいのかしら?」
「ち、違います!」
「忘れているようだけど、私は最初に説明しなさいと言ったのよ。それは何かしら? クラリス」
「……だ……男性器です」
「ただの男性器であればそんな自己主張はしていないはずなのだけれどね」
「……ぼ、ぼ……っきをしています」
「その理由に心当たりは?」
「ありません……」
嘘ではないだろう。この部屋には性的興奮を促すようなものはなく、おそらくただの生理現象か、もしくは何かしらの身体の異常が勃起として現れていると考えられる。
異常といえば女性であるはずのクラリスに男性器が付いていること自体が異常なのだが。
「クラリス、それは昔から付いているの?」
「い、いえ、今日の朝起きたら……」
「それ、自分でちゃんと男性器だと確認した?」
「……し、していません」
つまり、クラリスは碌に確認もせずに、自らのそれを男性器だと判断しているらしい。そうであるならば、まずは本当にそれが男性器なのかどうかを確定させるべきだろう。
「……クラリス、服を脱ぎなさい」
「そ、そんな……まだ私を辱めるのですか?」
「違うわよ。あなたはそれを男性器と言ったけれど、それは勘違いである可能性があるわ」
「え?」
「単純に陰核が肥大しているだけの可能性がある。もちろんそれも何かしらの病気なのでしょうけど、急に男性器が生えるよりは現実的な症状だわ」
「し、しかし……」
「いいからさっさと脱ぎなさい!」
「きゃぁっ!」
クラリスを押し倒し無理やり両足の間に体を挟み込む。クラリスを心配しているわけではないが、クラリスの症状には好奇心を刺激される。クラリスの股間に何が起こっているのかが気になって仕方がない。
手早くショーツをはぎ取り、クラリスの秘所を晒し上げる。
「あぁ、そんな……こんなのはあんまりです……!」
嘆き涙を滲ませるクラリス。その可憐な顔にお似合いの小さな陰茎のようなものが、その股間には生えていた。
太さは指一本と半分ほど。長さも小指と同じくらい。勃起してこの大きさであるならば大きさとしてはかなり小さい。
陰嚢は無いが、膣はある。こちらもまるで子供のものかのようにぴったりと口を閉じている。どうやらそのアイドルイメージに沿った青春を送ってきたらしい。
ただ一点だけ年相応の点がある。
「この状況とは関係ないけれど。クラリス、ヘアの手入れはするべきよ。水着の仕事の有無に関係なく、女性としてね」
「!!」
見る見るうちにクラリスの顔が朱に染まってゆく。クラリスからすれば、ヘアの指摘を受けるというのはとてつもなく羞恥心を刺激されることなのだろう。
陰茎と思われるものは陰核があるべき場所から伸びていた。やはり、これは陰核が肥大したものなのかもしれない。しかし、だとしたら一つ奇妙な点がある。
「どうして尿道口があるのかしら」
その先端には一筋の割れ目があり、透明な汁が滴っている。
仮にこれが陰核なのだとしたら口なんて開いているわけがないし、液体が分泌されるなんて以ての外だ。これはただ肥大したのではなく、変形をしているのだろうか。それともやはり新しく生えてきたのか。一日でこんな大きさの物が生えてくるとは思えないが、現実として目の前に存在してしまっている。
「ひゃっ!」
ぐにぐにと柔らかくも中心に芯が通っているかのような硬さ。私の手のひらよりも高い温度。たらたらと流れるカウパー腺液も、間違いなくクラリスの体内から分泌されているようだ。
「んんっ、と、時子さん、や、やめぇ、あぁ!」
こちらの手の動きに合わせクラリスも喘ぎ声を漏らしている。感覚も繋がっており、これへの刺激は性的な快感として処理されているようだ。
「……」
「と、時子さん……? んっ、んぅ」
結論から言って、これはあり得ない代物だ。
陰核と同じ個所に生えていながら、これは陰核とは構造が違いすぎる。明らかに付け足されたものだ。
しかしこれはクラリスと完全に繋がっている。刺激を脳へと伝達する道が繋がっており、クラリスの体液を分泌している。とても1日やそこらで付け足されたとは思えない。
「クラリス、あなた本当にこれが突然生えてきたと主張するつもり?」
「は、はい、朝起きたらぁぁあぁぁ!?」
「見え透いた嘘は止めなさい。これを握りつぶされたくなかったらね」
「や、やぁぁっ、や、やめ、んくぅぅ……」
「これは陰核が変形したものとは思えない。かと言って付け足したものとも思えない。でもね、一日でこれが現れたという前提を排除すればある仮設が浮かび上がる」
「だ、だめ、だめですっ……っ! は、はな、離してぇっ」
「クラリス、あなた生まれつきこれが生えていたのでしょう。先天性の形状異常、多指症と似た感じなのかしら。一種の両性具有? まあ生殖機能はないのでしょうけど」
「ん、あぁっ、ああぁぁっ!」
「ここまで言われてもまだ認めない気? それともいっそのことここで握りつぶした方が都合がいいとでも考えて――」
「いや、いやいやいやいやあぁああぁあぁ!!」
「っ!?」
握っている陰茎が大きく脈打ったかと思うと、それは水鉄砲のように粘液を吐き出した。その放出の勢いは凄まじく、時子の顔に白く濁った液体が3回ほどぶちまけられる。粘液は時子の顔面を覆いつくし、頬を伝ってどろどろと床に滴った。
「……」
「はぁ、はぁ、っんぅ……はぁ」
精液、ではないのだろう。これはおそらく膣分泌液だ。クラリスの女性器から垂れているものと見比べるとほとんど同じであることがわかる。
決してそのようなつもりではなかったのだが、クラリスはオーガズムに達したらしい。握りつぶしても構わないと思いながら力を入れていたのだが、クラリスの喘ぎは苦悶ではなく快楽から漏れていたようだ。被虐症なのか、それともこの陰茎もどきが特殊なのかはわからないが、クラリスは握りつぶされる痛みを快楽として受け取っていた。
「……」
「はぁ……ふぅ……はっ!? と、時子さん、大丈夫ですか!?」
「……」
不快だ。屈辱だ。とてつもなく苛立たしい。
顔を汚された。しかもこの男性器を模したものの分泌液にだ。こんな汚らわしいものに、小便のような愛液をぶちまけられたのだ。
この財前時子が、目の前の女に。
「も、申し訳ありません、わ、私としたことが、なんとお詫びをぉっ!?」
「質問に応えなさいな、クラリス。でないと、今度こそ私の足があなたのそれを踏みつぶしてしまうわよ?」
「ひ、ぐっ、い、痛い……痛いです、時子さんっ」
着替え途中でレッスン用のシューズを履いているのが残念だ。普段であればハイヒールを履いているというのに。間が悪いにもほどがある。
「痛い? それはよかったわねえ。私なんてあなたに汚らしい体液を浴びせられたのだから。痛いで済んでいるだけまだマシというものでしょう?」
「ご、ごめんなさいっ……ごめんなさい、あ、謝ります、から、だから、がっ」
クラリスの目に涙が浮かぶ。今度はしっかりと痛みを感じているらしい。
「今するべきことは謝罪じゃない。同じことを何度も言わせるつもり? ねえ、クラリスっ」
「あぁっ! ま、前からです! 生まれたときから生えてましたっ!! だ、だからもうっいた、痛いです!」
「そう嘘をついたのね。心配してあげた私に向かって。この私の心を裏切ったということね」
「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいぃっ!! ああぁぁ、つ、つぶれ」
「そう、その順番よ。まずは罪を認めて、謝罪はそれから。次から気をつけなさい」
「ああぁあぁ、はぁっふぅ、くっ、ううぅ」
足の力を緩めてやるとクラリスはボロボロと涙を流し始めた。身体を震わし、ちょろちょろと女性器から小水も漏らしている。よほどの痛みと恐怖だったのだろう。
「わかってると思うけど、その垂れ流してる物が私の体に少しでも触れたら躊躇なく踏み抜くわ」
「ひっ」
一瞬水音が止むが、またすぐに流れ始める。止めようとしても止められないほど、今のクラリスはパニックになっているようだ。
クラリスからは自分の体に隠れてしまって、漏らした小便がどうなっているかは見えない。尿を止めることもできず、いつ踏み抜かれるかもわからない状況に耐えかねたのか、少女のようにぐすぐすと嗚咽を漏らし始めた。
無理もない。隠し事がばれ、絶頂させられ、そして拷問。こんなことが立て続けに起こればどんな人間でもパニックを起こし正気を保てないだろう。だからと言って優しくするつもりも毛頭ないが。
「あらあら、どうしたのそんなに可愛い顔をして。そこまで顔をくしゃくしゃにするなんて、私がもしも嗜虐趣味だったら堪らなく興奮していたでしょうね」
「ど、どうし、どうして、こんな……う、ぐすっ、うぅ、ふぐっ」
「どうして? それは先ほどあなたが言った通り、嘘をついたからよクラリス。これから先嘘をつかなければ、もうこれ以上痛い思いなんてしなくて済むでしょう」
「つ、つきません。つきませんから、だ、だから、うぅ、どうか、うぅぅっ」
「それじゃあ教えてもらいましょうか。あなたの性器に付いているそれについて」
「こ、これは、う、生まれたときから付いていたのです。と、時子さんの言うとおりです」
「切除は考えなかったのかしら?」
「も、問題がありませんでしたので。確かに人と少し見た目が違いますが、幸い目立たない場所に生えていて、害もなかったので。教会で暮らしているだけなら問題はありませんでした」
「問題はあるでしょう。今日みたいに勃起しているところを見られるかもしれないという問題が」
「い、今まで一度もしたことがなかったのです。きょ、今日の朝起きたら、初めて大きくなっていて……」
「今まで一度も反応したかったものが、突然ねえ……」
「ほ、本当です! う、嘘じゃないんです!」
クラリスは必死の形相で潔白を訴える。こちらの踏みつぶすという脅しを本気にしてしまっているようだ。
「それじゃあ今朝が初めてで、他には? ここでの一回以外には勃起はした?」
「い、いえ。先ほどのが二回目です」
「人生で二回目の勃起を人に目撃されるなんて、ついてないわね。勃起した理由に心当たりはあるの?」
「い、いえ、ありません」
「……あぁん?」
「ひっ」
別に確信を持っていたわけではない。ただ、なんとなく嘘をついているような気がしたからカマをかけてみただけだ。
弁明することもなく、ただひたすら恐怖するクラリスの顔は、嘘を吐いたことを全身で語っていた。
「よっぽど潰されたいようね、クラリス?」
「い、いや! い、言います、言いますから、それだけは……!」
「グズは嫌いよ。許しを請う暇があるのなら、さっさと喋った方がまだ効率的だと思わない?」
「と、時子さんです! 時子さんを見たからですっ!」
「……なんですって?」
「き、着替え途中の時子さんを見て、き、綺麗だなって思って……そ、そしたら……」
それではまるで、クラリスが女性である財前時子に対して欲情したかのようではないか。
「クラリス、あなたホモセクシャルだったの? もしくはバイセクシャルか……どちらでもいいけど、同性に対して性的興奮を覚える質なのかしら?」
「い、いえ、少なくともそのような自覚はありません! 時子さんを綺麗な方だとは思っていましたが、性欲を抱くなんてことは」
クラリスの言葉が真実なのだとしたら、これもこの陰茎が原因なのだろうか。このいかにも男性的な見た目をした陰茎が勃起をし始めたことにより、クラリスの性的趣向が男性よりになったのだとしたら。
「ねえ、クラリス?」
「な、なんでしょうか?」
「あなた、その勃起した物を女性器の中に入れたくはない?」
「え?」
「言ってしまえばセックスよ。少し小さすぎるけど、さっき触った感触から勃起していれば挿入くらいはできるでしょう」
「きゅ、急に何を言い出すのですか?」
「テストよ。さっき言ったでしょう? 私は襲われるのは嫌だと。クラリスは男じゃないからその心配もいらないかと思っていたけど、クラリスが私に欲情したというのなら話は別だわ」
「わ、私は決して強姦などいたしません! 例えどのような状況であろうと、人を襲うなどありえません」
「じゃあ、同意の上だったら?」
「え?」
「クラリス、あなたさっき手で握っただけでオーガズムに達したわね。余程気持ちよかったのでしょう。絶頂したあとの阿保面が物語っていたわ」
「そ、そそんなことは……」
「嘘を吐くということは――」
「き、気持ちよかったです!」
「どれくらい?」
「……あ、あのような快感は、今までで経験したことはありませんでした」
肥大化した陰核を握られるなんて経験をしたことがある人間なんてクラリス以外にもいないだろう。
「女性器に入れたらもっと気持ちいいのでしょうね。柔らかくて、暖かくて、何より膣というのは手と違ってそれに特化した構造をしている」
「と、時子さん?」
「もしも私があなたにセックスを許したとしたら、クラリスはなんて答えるのかしら?」
「え?」
「日に何度も勃起をするのも辛いでしょう、クラリス。私が今ここで優しく搾り取ってあげてもいいのよ?」
「…………っ」
小さく唾を飲み込む音。きっと想像をしてしまったのだろう。実際にセックスをしたらどんな快楽が待っているのか。クラリス自身も膣を持っていることから、きっと想像に難くなかったのだろう。クラリスは唇を噛みしめ何も言わないが、時子の足元で踏まれていたものがむくむくと起きだした。
「あっ!」
「勃起したわね。これではっきりしたわ。あなたは私に性的興奮を覚えている。つまり、あなたは一般的な男性と同じ、更衣室でふたりきりになっていい人間ではなかったということ」
「そ、そんな、今のは時子さんの同意があったならという仮定の話で――」
「女の方が誘ってきた。同意の上の性交渉だった。取調室でそう語る性犯罪者の数は少なくないのよ。性欲に支配された人間の思考回路は驚くほど単純になる。気持ちよくなるためなら、脳は相手の言葉を都合よく解釈してしまうものなのよ」
「し、しかし、それはあまりに暴論です! もしそういった事実があったとしても、私が時子さんを襲うかどうかなんて……」
「私がクラリスを性的に誘った結果、あなた勃起したわね?」
「し、しましたけど……でもそれは――」
「勃起をしたということは期待をしたということ。クラリス、あなたは財前時子にセックスをさせてもらえると思った。でもおかしいと思わない?」
「え?」
「冷静になって考えなさい。私とクラリスは恋人でもなければ特別親しいというわけでもない。ましてや、今私はクラリスに対して暴力を振るっている。クラリスの性器を足蹴にして、小便をまき散らすほどの恐怖を与えている。そんな人間が、本気でセックスを許可するわけがないでしょう」
「っ!」
「これは当たり前のことよ。誰が考えたって、私の言葉を真に受けたりしない。クラリス、あなたが勃起をしたという事実が、あなたの理性がすでに狂っていることの証明なのよ」
「で、でも――」
「いい加減うるさいわね」
「ひぐぅっ」
少し力を入れただけでクラリスは悲鳴を上げた。勃起しているからだろう。少し力を入れただけでも痛むらしい。靴の裏からは必死に時子の足を押し返そうとする抵抗を感じる。
「でも、しかし、そんなことは……。聞き飽きたわ。私を納得させたいのなら、もっと論理的な説明をしなさい」
「うぅぅっ、ああぁぁっ」
クラリスが危険人物だということはわかった。普段通りのクラリスであれば何も心配はいらないのであろうが、この陰茎がクラリスに対してどんな作用をもたらすかわからない。ふたりきりになった途端に後ろから襲われる可能性も、いまのクラリスならゼロとは言い切れない。
だから、ここで恐怖を刻んでおこう。私の姿を見ても欲情なんてしないように、危害を加える気が起きないように。私の姿を見たら恐れを抱くように調教してしまおう。
「説明できないのなら、同意したということでいいかしら。じゃあ、これは潰させてもらうわね。今後の安全のために」
「そ、そんな、私は正直に話したのに。人には言えないようなことも全部時子さんに話しました。時子さんは嘘を吐かなければ痛い思いはさせないと言ったではないですか……」
「確かに言ったわねぇ……それじゃあクラリス、体を起こして見なさい」
「ど、どうしてですか?」
「起こせばわかるわよ。もちろん私の足はどかさないから、上半身だけ持ち上げるのよ」
恐る恐る、ゆっくりとクラリスは自身の腕で上半身を支え起こし、そしてそれを確認した瞬間に顔を青ざめた。
「あ、あぁぁ、ああっ」
クラリスの小水で出来た水たまりが、時子の足の裏まで広がっていた。
ぴゅっとクラリスの股間から尿が噴き出し、数秒置いて今度はじょろじょろと音を立てながら漏れ始めた。
「私はこうも言ったわね。その垂れ流してる物が私の体に少しでも触れたら躊躇なく踏み抜く、と」
「い、いや、……いやいやいやぁぁ!」
必死に暴れもがくクラリス。しかし股間を押さえつけられている痛みのせいか大した抵抗にもなっていない。
「そう、そんなに嫌なの。だったら躊躇なくではなく、徐々にゆっくりと踏みつぶすわね」
「いやああぁぁっいたい、いたいいたいいたいいいぃぃ!」
「痛い? それは可哀想に。でもここでその痛みを乗り越えれば、あなたはこれから先の人生で不意の勃起に悩む必要はなくなるわ。その激痛に見合う利点かどうかは知らないけど」
「う、ぐうううぅっ、が、ああぁぁあぁ!」
体重をかけるにつれてクラリスの喉からは言葉が失われていく。恐怖と痛みで顔を歪め、苦し気な声を張り上げる。
「そんなに叫んでていいの? 誰かがそのドアを開けて入ってくるかもしれないわよ? まあ、この痛みからは解放されるでしょうけど」
「ひぃっ、ぐくっ、ううぅぅっ!」
「もっと手に力を入れて口を押さえないと、声が漏れてるわよ。声を出すためには呼吸が必須。手で口を完全に塞いでしまえば声は出したくても出せなくなるわ」
「あ、だめ……い、んんんぅぅっ!!」
「……あぁん?」
足の裏で震えたかと思えば、それはクラリスの腹に液体を吐き出し始めた。2回、3回と痙攣しながら、クラリスの顔に届くほどの勢いで。
本気で潰そうと思っていたわけではないが、気持ちよくしてやろうとしたわけでもない。何より時子は今靴を履いている。そんな状況で、クラリスは自身の陰茎を踏みつぶされかけて絶頂していた。
「……」
「……うっく、ひっ、うぅ、ううぅぅっああぁぁぁぁ!」
両腕で顔を覆い隠して、クラリスは泣き始めた。まるで子供の様に声を上げて、号泣し始めた。
「あああぁぁっ、ぐすっ、ああぁ、あああぁぁ……」
「……はぁっ」
クラリスの陰茎が余程に特殊か、もしくは極限状態によって脳の指揮系統がパニックになったのか。そのどちらかということにしておこう。靴で直接踏まれ、苦悶の声を上げるほどの痛みを、あのクラリスが快楽に感じるだなんて。そんな冗談は質が悪いにも程がある。
「私はシャワーを浴びてくるわ。その後着替えて、何事もなかったように帰る。ここであったことを私は他言しないし、あなたの体のことを言いふらすつもりもない。あなたも今日の出来事を隠すつもりがあるのなら、後片付けをしてから帰りなさい。もちろん、誰かに相談するなら勝手にしなさい」
「ぅぅっ……ひっく、ああぁぁ、ひっ、ひぁぁああっ!」
聞こえているのかわからないが、そんなことはどうでもいい。ここまでやればクラリスには時子を襲うなんて選択肢が浮かぶことはないだろう。時子を敬遠し、クラリスの方からふたりきりになることを拒む。それが達成できてさえいれば、他はどうでもいい。
「さよなら、クラリス」