サンラク受書いてから間が開きすぎた……。
半月盆にショットグラスふたつ。
注ぐはココア、てきとーにステアしてテーブルに運ぶ。
ソファでくつろいでいた慧がからだを起こして半月盆をみる。
「なにそれ?」
「ココア」
盆ごとテーブルに置かれたショットグラスはその名の通り小さいグラスだ。
ひとくちで飲み干せるほどに容量は少ない。
「ただし、片方にだけ強力な媚薬が入ってる」
「うん?」
「媚薬」
重ねて告げれば、そうじゃないとでも言いたそうに俺をみる。
「惚れ薬、催淫剤、強壮剤、そんな感じのモノだよ?」
「いや、そうじゃなくて」
「うん?」
訝しげに俺を見る慧は何かを諦めたように肩を竦めてみせてから、片方のグラスに手をのばした。
「そっちでいいのか?」
「考えても仕方ないかな、と。それで、俺が選ばなかったほうはどうなるんだ?」
「俺が飲むよ」
盆に残ったほうのグラスを手にとる。
「……片方に媚薬、だっけ?」
「そうだよ」
そう応えればグラスを口元に運んで、そこで止まる。
「……これ、飲んだらどうなるんだ?」
「シたくなる」
即答してやる。
「性欲が高まってえろいことしたくてたまらなくなる。我慢したくてもからだは欲しくなるし、少しぐらいじゃ足りなくて少しだけでもいっぱい感じるし、何度イっても」
「ちょっと待とう。待って。もういい」
想像してしまってるのだろう、耳まで赤くした慧が慌てて遮る。
そんなかわいい反応されたらもうちょっとからかいたくなるのも必然で。
「安心しろよ。まだ日は高い」
びくりとして窓を見やる慧。
外は明るく眩しいくらいの光量でカーテン越しにもあたたかい。
まだ昼前だしな。
「俺が飲んだとしても、慧が飲んだとしても、たっぷり愉しめるよ」
イイ笑顔を向けてやれば、とっさに目を逸らして俯いて固まってしまう慧。
いやほんと、かわいい反応してくれやがる。
「……飲まないという選択肢は?」
「あると思うか?」
手にしたグラスを弄んで中身のココアを揺らす。
グラスは小さいし、中身も多くない。
冷えていたはずのココアもぬるくなりそうだ。
「……」
「……」
内心ではどうしたってにやけてしまうが、表面には出さずに慧の動きを待つ。
かわいい俺の恋人は数呼吸で復活した。
いや、その反応自体が俺をたのしませているんだけどな?
「……例えばさ、俺が飲んだとして、いつも以上に理性ぶっ飛んで以下略なんだろうな」
「ふむ?」
「楽郎が飲んだ場合は普段の2倍は強くなってるんだろうな」
「なんだその2倍って」
俺の言葉を無視して慧は続ける。
「効果を確定させたいならふたつとも飲めばいいのだけど、……」
ちらりと視線をあげて俺をみては逸らす。
「確定、ねえ……」
素面でいつも以上のあれこれを受けるか。
それとも、理性飛ばして蕩けた姿を晒すか。
「確定」の意味を理解して慧は黙して、俺はそんな慧を眺めて待つ。
「……じゃ、飲もうか」
どちらかを選べなかったのか運に任せることに決めたようだ。
「おう」
俺が先に飲むのもどうかとは思うが、なかなかグラスを空けない慧にみせつけるように少ない量のココアを飲み干す。
逃げることは許さない。
逃げ道は塞いでおく。
ことりとテーブルにショットグラスを置けば、ようやく慧もグラスに口をつける。
「ふつうにココアだ」
飲み干して、意外だったのかそんなことを呟く。
「そりゃあな。味でわかったら使いにくいだろ」
時刻を確認して、ソファにゆったりと背をあずける。
「効いてくるまで30分くらいかな」
経口摂取なのだからそのぐらいが無難だろう。
慧も時計に視線を向けて時刻を確認している。
タブレットを拾いあげて適当にゲームニュースを眺める。
時間をもて余してることになるが、ちらちらと俺の様子を窺う慧を見ていれば飽きることもない。
まあ、プラセボだけど。
事実なんて関係なく、愉しめそうではある。
コミック版読んでるよ。
マガジンの置き場がやばくなってきた。