「さてと、検査を始める前に……三人は飲み物は何がいいかな? と言っても、コーヒーか緑茶しかないんだけどね」
そう言いながら、茉優は慣れた手つきで一杯目のコーヒーをドリップし始める。だいたい何をするのか不安になっている編入生の緊張を解す目的で、検査を始める前にいつもやっていることだ。
「それじゃあ、私は緑茶で」
「ぶー、アタシのコーヒーが飲めないのか~」
こういう場合、後輩二人は多分遠慮するだろう。そう思って、率先して私がいつもと同じものを茉優に頼むと、これまたいつもと同じ言葉が返ってくる。すっかり慣れてしまった遣り取りに私と茉優は自然と笑みを浮かべた。
冗談を口にしながら、既に緑茶の準備も始めた茉優を尻目に私は編入生二人へと向き直る。
「暁君と……えーっと」
「あ、えと、在原七海と言います」
「うん、在原さんね。よろしく」
「よ、よろしくお願いします。キノ、先輩?」
扉の近くで立つ二人を視界に収めると、既に知っている暁君はともかく、彼に隠れるようなポジショニングを取る女の子のことを全く知らないことに今更ながら気が付いた。名前を呼ぼうとして言い淀んだ瞬間、戸惑いながらも女の子──在原さんは自身の名を語ってくれる。礼儀正しい良い子みたいだ。
「それで、暁君と在原さんは飲み物はどうする?」
「あー……それなら俺はコーヒーを」
「わ、わたしは緑茶をお願いします」
ソファに座るのを促しながら、私は再度茉優が初めにした問いかけを繰り返す。そうすると、一瞬遠慮する素振りを見せてから二人はそれぞれの希望を伝えてきた。
「ふふ、在原さんも苦いのはあまり得意じゃない?」
「ふぇ!? あ、は、はい、そうです。あまり、身体が受け付けないといいますか……」
「だよねぇ。甘いものならいくらでも入っちゃうんだけど、苦いのは私もちょっと」
「わ、分かります」
無言でいるのも何だか悲しいので、在原さんに話題を振ってみる。話しかけられると思っていなかったのか、彼女は少々慌てながらも私の問いに答えてくれた。それから、会話を数合交わして見る限り、どうやら人見知りするタイプのようなので、暁君の方に多めにボールを放るとしようか。
「ここに来たってことは、AIMSの登録に?」
「はい。それと、能力の検査がどうとか」
こぽこぽと、背後でコーヒーが淹れられる音を聞きながら、私は分かり切った問いを投げかける。能力者である編入生は、大抵最初にここに来ることになっている──あまりないが、人数が多いと研究棟の方で登録も検査も済ませる──ので、“
しかし、そうなると暁君だけでなく、在原さんの方もアストラル使いか。そう意識して視てみると、確かに
「はい、お待たせしましたっと」
「ありがとう、茉優」
「ふふ、味わって飲むんだよ?」
続く言葉を紡ぐ前に、お盆を持った茉優がこちらに戻ってきた。一旦話を区切ることにしよう。そう思いながら、私は手渡された湯呑み──私が茉優の研究室に持ち込んだもの──を受け取って、それに口をつける。淹れたてのお茶の熱さが口腔を刺激して、飲み込んだ拍子にほんのり甘い香りが鼻から抜けていった。
「相変わらず、美味しいねぇ」
「ありがと。ささ、二人もどうぞ」
緑茶の熱で身体の芯を温められて、口調からも力が抜けていく。そんな私を見て満足したのか、茉優はにこりと笑ってから、暁君と在原さんにもそれぞれの飲み物を勧めた。
お礼の言葉を綴ってから二人も一口それを含むと、どうやらお気に召したようだ。顔に美味の二字を浮かべながら各々が茉優に賛辞の言葉を伝えている。そんな和やかな雰囲気を、私はにこにこと微笑みながら眺めていた。
「そういえば、暁君」
「はい、何ですか?」
「無理に堅苦しい言葉使わなくていいんだよ?」
全員がカップや湯呑みを置いたタイミングで、私は微妙に居心地悪そうに敬語を使う暁君にそう伝える。すると彼はギクリと身体を強ばらせた。一瞬言葉が詰まりそうになっていたのは、どうやら聞き間違いではなかったらしい。
「ふふ、昔は“天都”って呼び捨てにして、砕けた口調だったのになぁ」
「あ、天都先輩、あんまり昔の話は……」
本人的には余程思い出したくないことみたいだ。私が昔のことを口にすると、暁君は苦虫を噛み潰したように顔を顰める。まあ、斯様に更生してみせたのなら、あの時の暴れ馬っぷりは確かに思い出したくないものであろう。それこそ、黒歴史を掘り返されているようなものだろうし。
「キノ先輩、その話詳しくお願いできますか?」
「七海!?」
そんな風に内心で判断していると、焦る暁君が面白いのか、在原さんは彼を尻目に私へと話の続きを促してきた。それを聞いて、暁君は慌てて在原さんへと抗議の声を上げる。
「ふふ、彼のプライバシーに関わる話だからね。詳しくは本人から聞くといい」
「そ、そうですか……。そうですよね」
返す私の言葉に在原さんは残念そうにして、暁君はあからさまにほっとしてみせた。対称的な二種の感情の発露に、見守る私たちの頬は少しだけ緩んでいく。
しかし、既にお互いに名前で呼び合う関係か。今日出会ったのなら、人見知りな在原さんが短時間でアレほど気を許すとは思えないし、二人の関係はどういったものなのだろうか。
「ところで、二人はどういう関係なの? 恋人だったり?」
分からないのなら聞けばいいだけの話。話題の切り替えも兼ねて、とりあえず私は頭に第一に浮かんだ可能性を二人に投げかける。返ってきたのは、含んでいた飲み物を二人して吹き出す光景だったが。どうやら違ったらしい。
「違う違う、二人は恋人じゃなくて兄妹だよ」
「?」
仲良く噎せる二人に代わり、茉優が苦笑と共に説明してくれた。しかし、私はどうにも合点がいかずに疑問符を浮かべる。だって、西行と在原じゃ────
「あ、もしかして、在原暁君ってこと?」
「そ、そうです。ごほっ」
思考の途中、彼が園を去った理由を思い出して、私は一人柏手を打つ。なるほどなるほど、だからあの距離感だったわけか。そう言われると、確かに仲良し兄妹とも思えなくはない。当然、見た目は全然似てないが。
「天都君、たま~に天然なところあるよね」
「あはは、否定はしない」
時折発動する私のうっかり──尤も、今回は情報不足による早合点だが──に、茉優がくすくすと楽しそうに笑う。そんな茉優に釣られて私も笑った。それを見る二人も、部屋に入ってきた時よりは幾らか気を楽にしてくれているようだ。
「よし……ゆっくりお喋りしておきたいところではあるけど」
「そうだね、検査の方を始めようか」
空気も解れてきたところで、私はわざとらしく声を上げながら立ち上がり、茉優もそれに追従してくる。話に花を咲かせておくのも悪くは無いが、いつまでもそうしていられるわけではない。編入当日ということは多分この後寮で荷物整理もするだろうし、あまりここに留まらせておくのは良くないだろう。
同じ学校で生活しているなら自ずと接する時間もあるわけだ。談笑はその時にまた楽しめば良い。そう思いながら、私と茉優は二人のアストラル検査を始めるために、テキパキと慣れた手つきで準備を始めていく。
「詳しいことは何も聞かされてないんですけど、検査って何をするんですか?」
「簡単に言ってしまえば、君たちのアストラルがどういったものなのかを詳しく調べてみようってことだね」
検査の邪魔にならないようにテーブルを動かす私に、暁君は座ったまま疑問を投げかけてきた。その言葉に私は一度中断させていた話を再開させる。
「この学院も、都市の研究の一端を担っているわけだから、企業や研究棟からの要請でアストラル使いの学生が力を貸すこともあるんだ」
「はい、その辺りは理事長も言ってました」
途中で終わってしまった説明を補足するべく口を動かしていると、暁君はそれを既に聞いていたようだ。私の言葉を耳にして、彼はしっかりと頷きながら相槌を打ってきた。そういえば、AIMSの説明は軽く受けてきたんだっけか。
「うむ、それじゃあ前提部分は省くけど……まぁ、学院側が生徒の能力を把握しておきたいってのと、本人にも自分の能力を正確に把握してもらおうってことだね」
「えっと……自分の能力を把握、というのは?」
それならばと、検査の最終的な目的だけを私は簡単に説明する。しかし、それが引っかかったのか、在原さんはおずおずと手を挙げながら質問してきた。その瞳にはそんなことを知ってどうするのかという困惑の色も見える。恐らく、他の皆と同じように、自分の能力なのだから既に分かっていると思っているのだろう。
「仮に、自分が飛行能力を持っていると思っているアストラル使いが二人いたとしよう」
「は、はい」
「端から見れば、その二人が同じ能力を有するアストラル使いに見えても、それを引き起こしてる能力が全く異なる場合があるの」
話が能力のことに移り変わったことで、在原さんからの問いの答えを茉優が引き継いでいく。相変わらずアストラルの話になると饒舌だなぁと、私はその様子を眺めながら苦笑した。
「“飛ぶ”という結果が、例えば、風を操って引き起こしているか、念動力で引き起こしているか……その二つの違いはとても大きい。何故か分かる?」
「へ? え、えっと、単純に能力が違うから……ってことじゃないですよね……」
突然の問いに数秒悩んでから、在原さんは自信無さげにそう答える。大筋を違えてはいないが、今回の話の核はそこではなくもう少し掘り下げた位置だ。
「ううん、要はそういうことで、つまり、"飛ぶ"という結果を引き起こす過程が違うわけだよね?」
「そう、ですね」
「それじゃ、アストラルは使用者本人の感覚によって制御されてるってことは、二人とも分かる?」
茉優もそれは分かっているので、肯定しつつも講義は続いていく。アストラル使いである二人もそれは身に染みて分かっているようで、素直に頷いて彼女に続きを促した。
「話が遠回りになっちゃったけど、“飛ぶ”という結果を引き起こしたことで、自分の能力を漠然と“飛ぶためだけの能力”と思ってしまうアストラル使いもいるわけさ」
あくまで極端な例ではあるけどね、と補足しつつも、茉優は二人に向けて実例を語っていく。彼女が説明したいのは、自分の主観だけで能力を理解したつもりでいると、そういったことも起こり得るということだ。
確かアレは重力に干渉するアストラル使いだったか。漠然とした感覚による自身の能力への理解と、長年それを続けてきたことで生み出された強い思い込みによって、能力の幅を自分自身の無意識に狭められていた実例もあるにはある。"過程"を理解していないが故に起きてしまう、強烈な勘違いとも言えよう。
まぁ尤も、彼女も今は自分の周辺以外にも重力操作を施せるようになったのだが。無意識の矯正は大変だったなと、根気よく練習に付き合った記憶が私の脳裏に鮮明に思い返される。
「だから、自分の能力の把握……ってことですか?」
「そういうこと。“結果”は重要だけれど、それ以上に“過程”を知ってもらうことで、自分が何をできるか……それを正確に知ってもらうってことだね」
理解が及んだ暁君の聞き返しに、茉優は満足気に頷いてから話を締めくくった。大気の操作と念動力では、飛行以外でできることは全く異なってくる。能力者自身にまずそれを理解してもらわなければ、柔軟な能力開発も行えない。アストラル使いの未来のために運営されている学院にとって、その可能性を潰すことは何よりも損失なのだ。だからこそ、その取り零しが起きないように毎回の検査に私が呼ばれる訳だが。
「さて、二人の納得も得られたところで早速始めようか」
話が終わるのを見計らっていた私は、関心顔を茉優へと向ける二人に声をかける。時間は有限なのでこれ以上浪費させるのも申し訳ない。
「じゃあまずは暁君から」
私は手招きをして、片側のソファを壁に寄せたことでできたスペースに暁君を呼び寄せる。万が一を考えての処置だが、まあ今回も問題は無いだろう。
「えっと、暁君は自分の能力は何って書いて提出した?」
近付いた彼の顔をやや見上げながら、私はまだ見ぬ書類に書かれた彼のデータを聞き出す。何せ、急な編入だったものでまだ確認できていないのだ。
「"身体能力の強化"ですね」
「なるほど。よし、じゃあここで発動してみようか」
脳内で短い言葉を反芻してから、私は暁君に能力の発動を促す。前までは細々とした検査を幾つも重ねなければいけなかったのだが、今はこれで十分だ。
「いきます……ってあれ?」
「暁君?」
私の指示に従って、宣言してから暁君は能力を発動させようとした。しかし、リンクによって変化するはずのアストラル粒子はその動きを鈍らせる。じわじわとしか粒子が変化しない常とは異なる事象に、暁君は気の抜けた声を漏らし、在原さんはそんな彼に訝しむ声を向けた。
だが、これでどんな能力かは
「なるほどなるほど」
「あ、天都先輩、これはいったい……?」
一人納得する私に暁君は若干不安気な声で私に問う。隠す意味もないので、とりあえず分かったことから説明していこうか。
「天都君はね、ちょっと特殊な体質なんだ」
「特殊な体質?」
と思っていたら、私が口を開くよりも早く茉優が私のことについて話し始めた。しかも、何故か自慢気な表情──俗に言うドヤ顔を携えて。
「天都君の身体はアストラルを受け付けないの。本人曰く、自身の周辺にある粒子の変化を抑制していて、自分の意志ではそれを止められない。アストラル使いに直に触れれば、完全に能力を使用不能なレベルで抑制できるんだけど、入学してからずっと研究してきた今でもこの体質のことは詳しく分かってなくて────」
「茉優、茉優」
「っとと、ごめんごめん」
熱が込められた茉優の早口の説明に置いてけぼりになる二人。それを横目で見ながら、私は茉優に呼びかけることで止める。自分のことを事細かに説明されるのが気恥ずかしいのもあったが、彼女が悪癖と称するそれを止めなければならなかったのも確かだ。だって、お二人さん、明らかに少し引いてるもの。
ただ、茉優が言っていることに偽りはない。打ち明けると必ず驚かれるが、私の身体はアストラルを受け付けない──もっと具体的に言えば、自分の周辺のアストラル粒子の変化を封じてしまう体質なのだ。そうだと分かったのは風蘭で暮らし始めてしばらく経ってからのことだったが、生まれた時からそうだったのだろうと思う。
「って、それってちょっとどころではないのでは……?」
「ふふっ、そうだね」
至極真っ当な暁君の指摘に、私は少し吹き出してから頷いた。そう、この身体は周囲のリンクを無理矢理断ち切るせいか、非能力者であっても無意識下で行っている、アストラルへの干渉を全く行えていないのだ。それは検査で算出した数値も示しており、非能力者であっても平均で12はあるリンク値も、私の場合は驚異の0。アストラル認証に用いるアストラルパターンさえも検出もできない、──確認されている範囲では──世界でただ一人の
「えっと、それで粒子の変化を抑えることは分かりましたけど……検査とどういう風に関係があるんですか?」
遅れて復活した在原さんは、アストラルの阻害をする体質と検査の関連性を見つけられず、困惑気味に口を開く。本当にただそれだけなら確かに関係はないのだが、それに付随してか、私の身体にはまだ特異性が見られるのだ。
「見れば分かるんだ。発動した能力がどういう形で発生し、どの程度の範囲に及んで、どういう効果を生み出すのか」
在原さんの質問への答えを聞いて、それを聞いた二人の目が同時に見開かれた。その驚きは恐らく、アストラル使いであっても、干渉領域内でリンクが行われていることを察知することまでしかできないと知っているからだろう。
だが、私の場合はそうではない。私は肉眼で粒子がどのように変化し、どのように作用するのかを確りと観測できるのだ。幾度となく検査や計測に立ち会い分析してきた今なら、器具を使わずともだいたいのリンク値の算出までできてしまうほどである。つまり、私は誰よりもアストラルと相容れぬ身体なのに、誰よりもアストラルに敏感な身体というわけだ。
「そうだなぁ……暁君は今、全身に満遍なく強化を施そうとしていたね?」
「は、はい」
「それに、粒子への干渉速度がとても早い。……さては、隠れて普段から能力を使っているね?」
「うぐ……」
言葉だけでは信じ切れないのか、驚愕と疑いの色を見せる二人に対して、私は敢えて暁君が行使しようとした能力を言い当てる。一瞬の分析が図星だったのか、暁君は気まずそうに顔を逸らした。学園にいた頃はまだ法整備も整っておらず曖昧であったが、今の世の中で能力の無断使用はれっきとした違反なのだ。
まぁ、今はそれを咎めることはしない。彼の様子から察するに悪用はしていないようであるし。ぶっちゃけ、家の中で使う程度なら問題ないと思っているのもあるが。
「とまぁ、こんな感じだね」
「お、御見それしました」
微笑む私に対して、在原さんは感心したような顔のまま、ぱちぱちと両の手を叩いた。年齢的にはアレだが、私もまだ
「ただ、少し気になることがあったかな」
「気になること?」
しかし、称賛されるのもそこそこに、私は改めて暁君に向き直った。粒子変化の様子を視て気付いた、通常の身体能力強化能力者との差異を伝えるために。
「普通の強化能力者は、リンクすると体内の粒子を活性化させて、そのまま任意の部位を強化させるんだけど……」
そこで一度言葉を区切って力瘤を作り、そこを叩いて強化される様子をジェスチャーしてみせる。ニュアンスは伝わったようで──茉優は当然として──暁君も在原さんも疑問符を浮かべている様子はなかった。
「暁君の場合、脳周辺の粒子が変化して、それが身体全体に薄く広がっていくように見えたかな」
「っ!」
私は彼に身体強化であることは間違いないんだけどね、と付け加えながら、今度は指先で二度こめかみをタップして観測した事象を伝える。すると、今日一番の驚き顔が暁君の表情に表れる。ふむ、──あまり褒められたことではないが──長年使ってきたのに、想像もしていなかった能力だったことにびっくりしてるのかな。
それにしても、他の身体強化のアストラルと比較すると随分と省エネだ。主たる効果は脳への干渉だろうか。
「今まで脳に作用する能力は視たことがないから、的確なアドバイスはあげられないんだけど……脳というのは人間の活動全てに関わる器官だ。だから、意識して能力を鍛えれば、暁君の能力は他のどの能力よりもやれることが多いと思うよ」
未だ呆然とする暁君に、私は助け船……とは少し違うが、アドバイスのようなものを伝える。未知の能力への興味というのもあったが、それ以上に暁君の助けになればと思って。
「申請をすれば敷地内での能力の使用許可も簡単に下りるし、色々と試してみるといい。時間がある時なら私も手伝うから」
「は、はい、ありがとうございます」
多分担任の先生からも教えてもらえるだろうが、先んじて学院内での能力行使の規則について軽く説明すると、暁君は素直にお礼の言葉を口にした。昔はあんなに反発していたことを考えると、心も身体も成長したものだなぁと、どこか親や兄に近い目線で感嘆の息を漏らしてしまうのはご愛敬だ。
「っと、じゃあ次は在原さんか」
「は、はいっ、お願いしますっ」
さて、感傷に浸るのは良いとして、まだもう一人検査が残っている。そちらもさくさく終わらせていこう。さっきも考えたような気もするが、同じ場所で過ごすことになる以上語り合う時間は大いにあるのだ。そんな風に思いながら、今度は在原さんに向かい合うのであった。
後書きとか前書き利用して色々やっていけたらなぁって思ってる。考察垂れ流したり天都君の設定小出しにしたり。
【Column-I-】天都君の設定その1
今回は解析能力の話。
橘花学院に進学してから、"体質"を調べる過程で多くの能力に触れてきた結果、視力にまで影響が出ることで得た能力。リンクによって変化する粒子を光として捉え、明度の強弱によって能力者のリンクの強さを判別できたり、光の色によってどういう系統の能力かを大雑把に分類したりできる。早い話、アストラル限定で働く