※pixiv投稿作品。よろしければご一読ください。
旧題「ナベリウス_森林」
夕暮れの濃厚な緑の匂い。雑多な生き物の気配が、遠く潮騒のように聞こえる。
支給品であるヴィタボウの弦を引く、少女の細い指に震えはない。ここ三日間、朝から晩まで引き続けた成果だ。もはや恐れはない。
愛らしい丸い瞳に投影されたホロサイトに映るのは、灰色の狼。ガルフだ。その一頭のほかに姿はなく、ゆったりと獲物を咀嚼している。内臓から貪り食われている黄色の鳥、ナヴラッピーの死骸を見るとえずきそうになるが、これから更に凄惨な光景を目にするのだ。そうも言っていられない。
「(落ち着いて……)」
ホロサイトの隅に映る数値に意識を向ける。対象のガルフが保有するダーカー因子のスキャン数値だ。判定は赤。もはや尋常の生命とは言えまい。
急がず焦らず、されど迅速に、少女は番えた矢にフォトンを込めていく。強いエネルギーを供給された矢は次第に光り輝く。長い銀髪を揺らす風に、照準を調整する。
不意に、ガルフがこちらを見た。小高い丘から狙う、少女の殺気に気付いたのだろうか。しかし、
「(もう、遅い)」
――ラストネメシス
超高速で放たれた矢は、数百メートルも離れたガルフの頭部へと、過たず着弾する。ヘッドショット。クリティカルを叩き出したその威力は、ガルフの頭蓋を砕き、脳漿を大地に染み込ませる。
頭を失ったガルフの体がよろめき、崩れ落ちる。同時、その肉も、血も、骨すらも、淡い光を放ちながら空気へと解けていった。ダーカー因子に浸食された全ての細胞が、フォトンによって浄化されたのだ。先ほど飛び散った脳漿さえも綺麗に蒸発し、あとには食べ残しのナヴラッピーだけが残っている。
「……ふぅ」
残心を経て弓を下ろし、少女はホロサイトを消す。次いで、手を横に振って、支給されているホロメニューを呼び出した。視線を移動させて所持メセタの額を確認すれば、ガルフを倒す前よりも1000メセタ増えていた。ガルフ1匹の討伐報奨にしては随分と高い。
「けど、目標まで後100匹、か。先は長いなぁ」
少女は独り言ちる。額の小さな角を撫でるその仕草からは、やや疲れが見て取れる。
ヴィタボウをアイテムパックに仕舞いながら、少女はふらふらとベースとなるキャンプシップへと踵を返した。
デューマンの少女――レアが、今回の何故か割のいい仕事を引き受けたのは、どうしても欲しい武器があったからだった。
一週間ほど前、知り合いの職人が手掛けた高級武器が近々市場に出品されると聞いた。その後、どうにか売ってもらえないかと本人に交渉し、何とか売ってもらえることにはなったものの、その額、何と15万メセタ。養成学校を卒業したばかりの少女にとっては、かなりの高額だ。
学生時代に貯めた貯金を切り崩せば何とか買える。しかし、それでは後のアークスとしての活動に差し障りが出るのは目に見えていた。
レアは悩んだ。
強い武器を自前で用意するのは、アークスにとってステータスの一つだ。強い武器を手に入れればより難度の高いクエストをこなせるようになり、アークスとして功績を残せることになる。ついでに同期に自慢できる。
レアは大いに悩んだ。
そうして頭痛がし始めた頃、一通のメールが届いた。差出人は『ナベリウス研究部』と書いてあった。聞いたこともなかったが、マイナーな研究機関はごまんとあるため、大して気にもしなかった。目を引いたのはその内容だ。
『ダーカーに浸食されたガルフが大量発生している』『1匹につき1000メセタの報奨を出す』『ついてはナベリウスで一週間の特別任務について欲しい』
内容を要約すればこんな所だろうか。『ソロクエスト』という奇妙な条件はついていたものの、報奨の破格さ以外は怪しい点はなかった。
レアは一も二もなく跳び付いた。決して物欲に負けた訳ではなく、ダーカーに浸食された生物は生態系にとって脅威であるため、ナベリウスという惑星を守りたかっただけである。アークスは守護者なのだから。
そうしてレアは、森林へと降り立った。初めてのソロクエスト、その結末を知らずに。
森林の上空3000メートル。テレパイプによりキャンプシップに帰還したレアは、その壮大な光景に一瞬目を細めた。
「(こんな綺麗な星にも、ダーカーの手は伸びている……)」
なんともやるせない気分になるも、レアはすぐに気持ちを切り替えた。
まずは、と左腕に装着された盾状のユニットを床に置く。次いで足に装着した巻貝のようなユニット、最後に背負った羽を模したユニット。それらティ系と呼ばれるユニットシリーズを、レアは丁寧に磨いていく。
アークスにとってユニットは非常に大事な存在だ。フォトン障壁により一般人より頑丈とはいえ、さすがにモンスターの攻撃を受ければ容易く戦闘不能に陥ってしまう。ユニットはそのフォトン障壁を大幅に強化し、例え猛獣の一撃でさえ強固に受け止められるようになる。
「……臭くないかな」
ふと、ここ三日間、出撃中は付けっ放しになっていたことが気になった。レアも年頃の娘であり、そういったことはアークスといえども気になるものは気になる。
すんすん、と、盾状のユニット、ティタスティンの接合部へと小さな鼻を近づけ、匂いを嗅ぐ。絵面的にあまり褒められたものではなかったが、ここにはレアしかいなかった。
「よし、ユニット終わり!」
ユニットを磨き終わったレアは、今度は武器を磨くことにした。ヴィタボウをアイテムパックから実体化させると、持ち手や照準器を磨いていく。更に弦の張りを確認した所で満足したのか、床に並べてあったユニットと共に、ヴィタボウをアイテムパックへと格納した。
「あ、シャワー浴びてなかった」
レアはそこで自身のメンテナンスが忘れられていることに気が付いた。エーデルゼリンと呼ばれるタイトなその衣装は、肌に張り付いて乙女の汗を存分に吸っていた。若干の土臭さに顔をしかめながら、レアはいそいそとシャワー室へと向かった。
「ごちそうさまでした」
手を合わせ、食後の感謝を述べる。といっても、携行食料と栄養ドリンクの組み合わせには、おいしさの欠片もありはしなかった。熟練のアークスたちはキャンプシップでハンバーグだの海鮮鍋だのと豪華な食事にありつけるが、駆け出しのレアにとってはまだまだ先の話だった。
時刻は夜。キャンプシップの窓の外には、新円に近づきつつある月が浮かんでいた。
「ナベリウスでも月はあるんだ……」
腰掛けた窓際の簡易ベッドから月を見上げ、水玉のゆったりとしたパジャマを着こんだレアが呟く。ナベリウスに降り立ったのは初めてではなかったが、夜までいたことはなかった。今回のクエストで降り立ってからも、初めてのソロクエストに緊張していたのか、月を見る余裕はなかった。三日目にして漸くその余裕が出てきたのだ。
「でも、油断はしない。よし、しない!」
人並程度の胸の前で両の拳を握り、ふんす、と気合を入れる。明日も日の出とともに森林に降り立ち、浸食されたガルフたちを狩らなければならない。この三日で拠点にしていた丘の周囲は狙撃しつくした。そろそろ新たな狩場を探す頃合いだろう。
「……でも、ちょっとくらい、いいよね?」
レアは小首を傾げならそう零すと、徐に右手を下方へと持っていく。行先は乙女の秘所。戦闘が続くと体が昂って仕方がなかったのだ。
「……ん……んん」
まずは肩慣らし。パジャマと下着の上からゆっくりと秘所を撫でる。上下にゆっくり、ゆっくり。時折触れる陰核は重点的に。
「ん、んぅ、ふ……んんぅ」
段々と中指の上下運動が激しくなる。左手は無意識に右の乳房を優しく揉みしだく。
「んん! ん!」
パジャマの内側に潜り込んだ左手の親指で乳首を捏ねれば、思わず嬌声が漏れる。その間も右手は秘所をもどかしく刺激し続ける。
「ぅん、脱が、んん! なきゃ……ぁん!」
もはや服の上からでは足りなくなったレアは、右手だけでパジャマパンツとショーツをずり下げる。露出した秘所は、微かだが確かに濡れていた。
「これで……ぁ、ぁん、んぅっ、あぁんん!」
中指と薬指で大陰唇をなぞり上げれば、ダイレクトな刺激に声が我慢できない。ゾクゾクとした快感が背筋を駆け上り、思わずベッドに倒れこむ。
「ぁん、あ、んぅ、ふ、んん! んんんん!!!」
不意に爪が陰核をこすり、レアは体をくの字に折り曲げる。強すぎる刺激が不随意の動きを強制する。
「んん!! ん! ぁっ、あぁん!!」
しかし、強い刺激こそ求めるもの。右手は陰核を捏ね繰り回し、左手は乳房から陰唇へと対象を変えた。両手が激しく蠢き、レアを追い詰める。
「ぁん! あぁ! んぅっ! い……」
息が詰まる。
「っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」
全身を襲う痙攣。背を反り上げ、絶叫をを噛み殺す。絶頂の最高潮は数秒。レアの視界を光の波が覆いつくす。
やがて、びく、びく、と不連続に訪れる波に落ち着き、レアは肩で呼吸を繰り返す。
「ぁ、はぁ、ぁ……なんか、いつもより、すごかった……」
最後にシたのがクエストに出発する前だったからだろうか。下半身を吹き曝しのまま、仰向けになってレアは独り言ちる。そのまま暫し天井を見上げていると、緩やかに訪れる眠気。心地よい疲労感はどうにも抗い難かった。
「……眠ろう」
ベッドの壁際に備え付けられたチリ紙で、両手と秘所を軽く拭き清める。そしてそのまま、レアは眠りの淵に落ちていった。
薄い大気を貫く光線がキャンプシップを照らす。
「……ん」
潜水していた意識を急速に浮上させたレアは、猫のような仕草で瞼をこする。そのままベッドの中で背伸びを一つ。薄めの睫毛に彩られた瞳はまだ開かれない。
再度ベッドに沈み込みたい誘惑に抗いながら、寝転がり、うつ伏せに。短い角を枕に擦り付け、眠気に抵抗。未だ脳の命令に逆らう怠惰な四肢に力を籠め、ゆっくりと体を起こす。長い銀髪がはらりと顔をくすぐる。
「ぅ、にゅぅ……」
漸く体を起こし、女の子座りでぼーっとキャンプシップ内を見渡すレア。半目の銀眼に意思の光はなく、再起動には今暫く掛かる様だ。
やがて太陽の光が十分にキャンプシップ内に充満し、レアの銀髪をきらきらと煌めかせる。その熱に、レアは漸く意識を完全に覚醒させる。
「ふぁ……朝……着替えなくちゃ」
レアは小さな欠伸を一つ零しながら、簡易ベッドから冷たい床に降り立つ。床暖房などという豪勢なものはキャンプシップには付いていない。しかし、十分に断熱されているシップ内は寒いというほどでもなく、薄手のパジャマのレアに震えはなかった。
「あ……しまった、そのまま寝ちゃってた」
トップスのボタンを外そうとした所で、胸元がはだけていること気付く。ついで、下半身は吹き曝しのままだ。昨晩の自慰行為の後、眠気に抗えずそのまま眠ってしまったからだ。
ちょっと恥ずかしくなったレアは、顔に朱を指しながらトップスを手早く脱ぎ捨て、ベッドに放り投げる。レアは寝るときはブラを付けない派であるために、掌に収まるふくらみが惜しげもなく晒される。自慰の余韻がまだ残っているのか、ふくらみの頂点では桜色の突起が軽い自己主張を告げていた。
「……ぅ、がまんがまん」
一瞬、もう一度シたくなる欲が沸き起こる。しかし朝っぱらから致すなど、ちょっと自制に欠けるのでは、とレアは自身に言い聞かせる。
ぐちゃりとベッドに置かれたままのパジャマをそのままに、シップの壁収納から戦闘服を取り出す。強化繊維で織られた飾り気のないブラを手に取ると、ストラップに腕を通す。そのまま前屈みになり、乳房の下弦をしっかりとブラに収める。
「く……ん……はまら、ない……」
しかし、背中のホックに苦戦する。嫋やかな肩は容易く肩甲骨へと手が回るものの、何も見ない状態では如何ともし難い。養成学校時代、金髪ドリルの同期に色々と教わりはしたものの、レアは未だにホックが苦手だった。1分ほどホックと格闘し、何とか留めることに成功する。最後にストラップの位置を調節すれば、まるで何も着けていないかのようでありながら、ぴったりと乳房がブラに固定される。
「ブラ……面倒だなぁ」
体を前後左右に捻って付け心地を確かめながら、レアは呟く。まだ初級者の域を抜けないレアにとって、ブラを着けなければ戦闘中に揺れて邪魔になる。最前線で活躍するアークスの中にはブラどころか、水着や褌で戦う剛の者までいるらしい。
ブラと同じく強化繊維で織られた質素なソングタイプショーツに滑らかな肌の脚を通しながら、詮無いことを考える。ブラと違って、ショーツは履くだけであり楽だった。何故か支給されているのが色々と食い込みやすい、Tバックとも呼ばれるソングタイプということを除けば。
「そういえば、なんでソングなんだろ……」
大事な部分以外丸出しの臀部を、腰を捻りながら眺める。形の良い白い双丘は守るものがなく、妙な色気を醸し出す。そのままフリフリとお尻を振ってみれば、プルプルと肉が揺れた。
「……やめよう」
乙女的な危機を見たような気がして、レアはいそいそと考察を切り上げる。
無臭の洗剤で綺麗に選択されたエーデルゼリンのホットパンツを手に取り、手早く身に着けてベルトを締める。素肌のままの臀部が擦れて、少し擽ったい。次いでトップスに袖を通す。
「ん……」
前側のファスナーを留めると、乳房に軽い圧迫感。タイトなデザインのエーデルゼリンは、締め付け感が少々不満だった。
下着類と同様に強化繊維で織られたソックスを履いて靴を履けば着替えは完了だ。
「次はこれをこうして……」
レアはホロウィンドウを立ち上げると、短縮操作を実行する。すると、背中、左腕、足にそれぞれユニットが実体化した。そして、くるりとその場で一回り。銀髪を風に棚引かせながら、ユニットがきちんと装着されていることを確かめる。
外れないことを確かめ、またホロウィンドウを操作し、今度は武器を実体化させる。背に現れた弓を左手に取り、グリップを確かめる。良好だ。
最後に再び全身を点検。養成学校では「点検を怠ればクエスト失敗に繋がる」と口を酸っぱくして言われていた。ユニットや武器を忘れて逃げ帰ったなどという先輩の話も聞いていた。
「確認、よし」
準備万端。
レアは今日もガルフを狩るべく、テレプールに身を躍らせた。
ぎゃぁぎゃぁ、と鳥の鳴く声が木霊する。頭上を葉に覆われた、深く昏い森林。下草や倒木により足場は悪く、ただ真っ直ぐ歩くことすら難儀であった。
「思ったより、きつい……」
左手に弓を構え、右手の意識は背の矢筒に。いつ何時、エネミーが襲い掛かってくるか分からない。その状態で何時間も歩き続けており、レアの顔には疲労の色が見えた。
狙撃に有利な小高い丘を捨てたのは、その場所ではガルフを狩り尽くしたからだ。一週間という期限が付いている以上、一つ場所での待ちの狩りは効率が悪い。そのため、レアは新たなガルフの生息地を求め、鬱蒼とした森林を移動していた。
森林は高温多湿の熱帯にも似た雰囲気である。銀髪が汗で顔に張り付き、何度も袖で拭う。しかし、それで汗が止まるものでもなかった。
「……ん……ん……ふぅ」
巨木の根本で立ち止まり、塩を少量混ぜた水を飲む。桜色の小ぶりな唇から雫が一滴、白い喉元へと零れ落ちる。座り込んだレアは口元を手の甲で拭うと、ジャングルと言っても過言ではない木々の群れを見まわした。
植生こそ違うものの、生い茂った木々により辺りは昼でも仄暗い。微かな隙間から除く遠景は雪山だ。ナベリウスの特異な景色の一つである。
「随分歩いたのに、一度も接敵しない……なんで?」
眉根を顰めながら、レアは首を傾げる。
今は四日目の昼。三日目までの狩りでは50匹ものガルフを仕留めている。確かにその殆どは一日目と二日目に集中しており、三日目に狩ったのは僅か数匹だ。それでもガルフが大量発生していると納得できるくらいに、接敵があった。しかし、今はどうだ。朝にナベリウス地表に降り立ち数時間。ガルフどころか他のエネミーとすら接敵していない。何かがおかしい。
「どうなってるんだろう……」
一度戻ったほうがいいかもしれない、とレアが感じ始めた、直後、
「……っ!?」
多数の気配。瞬時に矢を構え、すぐ動けるように膝立ちの姿勢。
緊張に眦を釣り上げたレアは、警戒レベルを最大にまで引き上げ、辺りを見渡す。視界は木々に遮られて殆どゼロに近い。しかし、フォトンにより強化された聴力が、周囲の草場をがさりがさりと揺らす存在を捉えている。
「(囲まれた……!)」
なぜ。いつのまに。いくつもの疑問がレアを襲う。だがその余裕はもうない。研ぎ澄まされた神経が、攻撃の気配を感じた。
「っ……!」
ざ、と背後で草が鳴った瞬間、レアは振り向き、射撃。同時に一頭のガルフが飛び出し、その鼻面に矢が突き刺さる。
ぎゃうん、と悲鳴を上げるガルフ。戦意を失ったソイツは近くの草むらに逃げ込む。しかし、すぐさま別の気配。
右手の木陰からガルフが飛び出してくる。射撃――間に合わない。
「……っの!」
右の爪先で蹴り飛ばす。頑丈に作られた戦闘靴がガルフの顔面を強かに打ち据え、吹き飛ばす。
そして振り向き様、レアは矢筒から矢を引き抜き、番え、一射。背後から襲い掛かってくる別のガルフに命中。虚を突かれたガルフは走る勢いそのままに地面を削って転がる。
落ち着いてなどいられない。今度は二匹。正面から時間差で突撃してくる。剥き出しにされた何本もの牙が唾液に濡れていた。
レアは後方へと跳躍、
――シャープボマー
放たれた矢が手前のガルフに着弾、爆発。
フォトンの爆風が手前のガルフの頭を吹き飛ばし、その余波が後ろのガルフをズタズタに引き裂く。
「(……四! まだいる!?)」
再度後ろから飛び掛かるガルフにヴィタボウをフルスウィング。硬いリムで思い切り殴り飛ばした。殴られたガルフは木に背を強打し、ぎゃう、と鳴き声を上げた。
まだ、終わらない。
四匹同時。左手から飛び掛かってくる。レアは、
――マスターシュート
番えられた一矢が五矢に分裂。至近距離で直撃を受けたガルフたちが灰色の体をくの字に曲げて吹っ飛ばされる。
硬直。
「しま……っ!?」
一瞬の硬直を狙ったかのように、背後に延ばされ浮く右手を、ガルフに食いつかれる。エーデルゼリンの装甲衣を牙が貫き、フォトン障壁と激しくぶつかりあう。
「ぁああああ!?」
レアの悲鳴。ガルフが首を捻り、矮躯のレアを投げたのだ。
右手を食いつかれたままレアは背中から地面に叩き付けられる。かは、と息が肺から絞り出され、そしてすぐさま、
「がっ、ぎぁ!?」
動きが止まったと見るや、ガルフたちが一斉に襲い掛かる。脚や胴に、肩にかみつかれ、何とか無事な左手の盾で顔を庇うことしかできない。
「ぎっ――や、げぁはっ」
左肘を咬み裂かれ、そして一瞬下がったガードをすり抜け、喉元に食いつかれる。ダメージを負ったフォトン障壁が圧迫され、首が締まっていく。
「~~~~~~~ぁ――――」
牙が頸動脈を押さえつけた。途端、レアの視界は闇に塗りつぶされた。
「――――――ぁ?」
雫が額で弾ける音で目が覚めた。
仰向けのままのレアは、暫し状況に惑う。あのまま貪り食われると思っていたが、何故かまだ生きていた。
「……づっ」
身動ぎをしようとして、四肢から昇る激痛に悶える。頭だけを動かして状態を診れば、レアの手足はどれもあらぬ方向を向いていた。右手は上腕から先の感覚はなく、どうにも変な風に捩じれているし、左手は肘の部分が逆に曲がっていた。両足に至ってはどちらも下肢が拉げている。食い千切られていないのは不幸中の幸いであったが、これでは動くのは到底無理だ。
「武器は……ユニットは、もう無理ね……」
その他の体の状態を診ても、どこも酷い有様であった。
全身に噛み付かれた所為か、強化繊維で織られた戦闘服であるはずのエーデルゼリンが襤褸雑巾も同然だ。擦過傷や小さな裂傷が無数に付いた白い肌が、随所から顔を出している。妙にすーすーすると思っていたら、股間部至っては無残に破けたショーツが申し訳程度に秘所を隠しているだけだった。ユニットについてはもはや問うまい。ばらばらに砕けた残骸が引っ掛かっているだけだ。薄暗い辺りを見回してもヴィタボウは見当たらない。
「(支給品の紛失は、弁償だったっけ……?)」
人間、絶望的な状況に陥るとどうでもよいこと考えるらしい。レアがいるのはどう見てもキャンプシップやマザーシップではない。ただの洞窟だ。頭上を見上げれば、微かに発光する多くの石柱がこちらを眺めている。
「……っ」
グル、と唸り声が響く。レアが暗闇に目を向ければ、一対の光る瞳。それはのっそりと姿を現し、
「フォン、ガルフ……!」
ガルフよりも大柄な体躯。くすんだ赤色をした角を随所に纏う、灰色の狼。
フォンガルフはゆっくりとレアに歩み寄ると、その周囲を警戒するように周り始める。レアは視線だけでそれを追い、どうすべきかを考える。
「(武器も防具もない……手足負傷、動けない……どうする!?)」
冷汗が耳元を伝う。緊張に角が震え、呼吸が浅くなる。
レアの視界にのみ映る簡易ホロウィンドウでフォンガルフをスキャンすれば、判定は赤。ダーカー因子に完全に汚染されている。
やがて、レアが動けないことを認識したのか、フォンガルフが近づいてくる。ふんふん、と顔の近くに鼻を寄せられ、匂いを嗅がれる。獣臭がレアの鼻腔を侵食する。
と、フォンガルフは唐突にレアの顔を舐め上げた。
「……ひゃ!?」
レアはフォンガルフの行動に驚きの声を上げる。フォンガルフはそのままベロベロと舐める行為を止めない。レアの端正な顔が、瞬く間に獣臭い唾液に塗れていく。
「んぐ……んん!」
フォンガルフの舌が顔を這い回る。それはレアの唇を探し当てると、重点的に舐め始める。レアは口を懸命に閉じ、抵抗する。しかしそれも虚しく終わる。
「んぐぅ!? ん! んんん!!」
ヌルヌルとした熱い舌がレアの唇を無理やり割り、侵入してくる。レアは首を振って逃げようとするが、舌はしつこく追いかけてくる。それは食い縛った歯茎を幾度もなぞり、歯の隙間からドロドロとした唾液を染み込ませてくる。
「……ん、ぷはぁ!? げぇ、が、げぇ!?」
漸くフォンガルフが唇を解放する。レアはあまりの獣臭にえづき、咳き込む。
「(なんの、意味が……!? こいつは何を……っ!?)」
レアが顔を歪めて疑問に思っていると、ぬぅ、と影が差す。フォンガルフが圧し掛かってきたのだ。視界が灰色の体毛に覆われ、何も見えない。
「な、なにを……ひぃっ!?」
ベロン、と白い頬に、何か熱いモノが押し当てられる。それがフォンガルフの勃起した陰茎だと認識した瞬間、レアは絞られたように悲鳴を上げた。
「(な、な、な、なぁっ!?)」
驚愕が頭を支配する。雄が欲情した場合、陰茎が勃起することは知識では知っていた。しかし、なぜこのフォンガルフはこうも欲情しているのか。訳が分からない。
混乱するレアを他所に、フォンガルフはヌリヌリとレアの頬を陰茎で擦り始める。フォンガルフが腰を振り、先走りが頬を汚す。
「や、やめ……んぎ!?」
レアが静止の声を上げようとした瞬間、唇に向かって陰茎が突き出された。何とか歯を食い縛ることには成功したが、口角の隙間から怒張が無理やり侵入しようとしてくる。フォンガルフが腰を振る度、怒張の先が歯茎を擦る。不快な獣臭と共に先走りが口腔へと侵略を仕掛けてくる。
「んぐ!? んん!! ……んぁ!? が!?」
突然、秘所に刺激が走る。驚いたレアが思わず口を開くと、それを待っていたかのように陰茎が一気に侵入してきた。
「んごぉ!? ごっ!?」
熱い、臭い。中に骨でも入ってるかのような長い怒張が、レアの喉すら犯す。異物を突き込まれた喉が内側から膨らみ、反射的にソレを追い出そうと締め上げる。その動きが刺激になったのか、フォンガルフは先ほどにも増して強く腰を振り始めた。
「ごっ!? んごっ!? おごっ!?
(うそ!? なんで!? 息が!?)」
怒張が何度も喉と口腔を行き来する。その度に強烈な獣臭を伴う先走りが粘膜に染み込む。喉奥から鼻へと逆流した先走りが鼻腔をも犯し、レアは混乱の極致に達する。
何が起きているのか。なぜこんなことになっているのか。全く分からない。状況が理解できない。
「ぉっ!? ごっ!? んんんん!?!?」
喉を犯される。怒張が喉を擦り上げる。そんな中、再び秘所に刺激が走り、レアは苦し気に声を上げる。
「(舐められてる!? アソコを!? エネミーに!?)」
窒息に涙を浮かべながら、レアは何とか下へと視線を向ける。するとそこでは、フォンガルフが熱心にレアの秘所を舐め上げていた。
「んぐっ!? や、べっ!? やべ!? でぇっ!? んごぉっ!?」
レアは何度も声帯を怒張に押し潰されながら、必死に声を上げる。エネミーに犯されている。レイプされている。その実感が漸く追い付いてくる。
フォンガルフの舌が縦横無尽に秘所を犯す。陰唇を丁寧に舐め、陰核を刺激する。やがて自慰でも触ったことのない、膣の中へと侵入してくる。膣口の浅い所をヌメヌメとした舌が行き来する。ざわざわと刺激が背筋を伝う。
「ごっ!? んぉっ!? いゃ!? んがっ!?」
その間もフォンガルフは腰を振り、レアの口を犯している。あまりに太い異物が侵入しているため、顎が限界まで開かれ、力が入らない。先走りが胃に落ち込み、ぐるぐると気持ち悪さが昇ってくる。
不意に、怒張の太さがいやに増す。フォンガルフが秘所を舐めることを中断し、オォ、と吠える。
果たして、雄が交尾の最後に行うのは何だったか。
「(え!? まって!? うそ!? まってまってまって!? やだ!? いや!? まってええええええ!!!)」
ぐぃ、と陰茎が喉奥の更に奥、食道にまで押し込まれる。そして、
「んぐんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!」
オォォンという雄叫びと共に、熱泉が噴出した。獣臭が嗅覚を完全に占領する。息が出来ない。フォンガルフの生殖器から吐き出される汚濁が、直接的にに胃を侵略する。
ドクン、ドクン、と射精は止まらない。胃の噴門から入りきらなかった獣精が、口腔、鼻腔へと逆流する。口の端、鼻の孔からもだらだらと獣精が溢れ、レアの顔を汚していく。
「んぁ……ぁ……」
気道を内側から押し潰され、全く呼吸ができない。フォトンにより頑丈なアークスと言えど、窒息には耐えきれない。レアの意識が遠のきかける。
しかし、フォンガルフはそれを許さなかった。
「ぁ、ぁがあ!?」
唐突に、フォンガルフの陰茎がその直径を大きく増した。というより、根元の部分が瘤のように大きく膨らんだのか。限界まで開かれていた顎が更に拡張され、歯の内側の口腔まで、全てが怒張に支配される。こうなっては、もはやレアの口から陰茎を抜くことは叶うまい。
「(ふ、ふくらんで……!? なに!? なにをする、のぉっ!?)」
ぐりん、と、フォンガルフが体を回した。陰茎がレアの小さな口の中で無理やりに回転し、喉と口腔が一直線になるように上を向かされる。フォンガルフの股の間から、世界を見せられる。レアが完全にフォンガルフの支配下にあると言わんばかりだ。
「が、が……あぁあぎゃあっ!?
(精液ぃ!? 増えてえぇ!?)」
後ろ向きの、いわゆる尾結合の体勢を取ったフォンガルフ。そして彼は、本気の射精をレアの喉へと放つ。ドクドクと汚濁が何重にも吐き出され、胃が強制的に膨らまされる。あまりに大量の精液により、口角や鼻から溢れるそれは噴き出さんばかりの勢いだ。レアの愛らしかった顔は濃い獣臭を放つ白濁液に溺れ、目を開けることすらできない。
「ぁ……ぁぁ……が……」
尾結合による射精はすぐには終わらない。長時間の窒息に、レアの視界が明滅する。しかし、フォンガルフがそれを斟酌することはない。ただひたすらに、大量の精液を放出するだけだ。
ダーカー因子によるものか、今もまさに生産され続けている精液は数リットルにも及ぶ。その大量の精液はレアの胃を蹂躙し、体外から見てすら胃の位置が分かるほどに大きく膨らませていた。
そうしてどれほどの時間が経っただろう。フォンガルフはオォン、と一啼きすると、ずるりとレアの口から生殖器を引き出した。
「……げ、ごぶぉぉ!?!?」
意識を失いかけていたレアは、塞ぐものの無くなった胃から噴出する汚濁に、強制的に覚醒させられる。外圧により勢いを増した精液は、レアの口から噴水のように逆流し、噴き出す。その姿に尊厳も何もなく、レアはただ無様に獣精を吐き出し続けるしかない。
「げ、が、は……がぁっ、はっ! あっ!」
どうにか吐き出せるものを全て吐き出したレアは、仰向けのまま轢き潰された蛙のように痙攣し、荒い呼吸を繰り返す。長い銀髪が白濁の海に浸され、どろどろに溶けているかのよう。精液に眼球を侵食される痛みに耐えながら周囲を見れば、フォンガルフが欠伸をしながらレアを見ていた。その陰茎はあれだけ射精したにも関わらず、再び硬さを取り戻し始めていた。
「(まだ……続くの……? そんな……)」
またしても口を犯し、あの凄まじい苦しみを味わわせるのか。絶望の色を浮かべるレアを嘲笑うかのように、フォンガルフはやけにゆったりとした足取りで近づいてくる。だが、彼の目的はレアの口ではなかった。
「ぇ……?」
見上げるレアは、小さな疑問の声を漏らす。フォンガルフが、ふい、と顔を逸らして視界から消えたからだ。慌てて頭を動かして追いかければ、フォンガルフは、地面に放られたレアの足元へと回り込んでいた。フォンガルフはそのまま、レアの下肢、丁度ガルフたちによって噛み砕かれたであろう箇所の匂いを嗅ぎ始める。
「……まさ、か」
私を食べる気なのか、と汚濁に塗れたままのレアの顔が蒼白の度合いを増す。しかし、その予想は外れる。フォンガルフが再び顔を逸らしたのだ。レアは安堵の溜息を漏らし、
「ぁ……ひっ!?」
ぬぅ、っと視界を占領するフォンガルフの鼻面に喉を引き攣らせた。フォンガルフはレアの足の間に体躯を潜り込ませ、一気に圧し掛かってきたのだ。半開きの両脇に無理やり前足が差し込まれ、手の平大の乳房が灰色の毛皮に押し潰される。ふーふー、という鼻息が、レアの顔を汚す白濁を波打たせる。フォンガルフの唇は捲り上げられて牙の羅列を見せつけており、喉の奥からはグルグルと唸り声。
どうみても、先ほどの比ではないくらいに興奮状態のフォンガルフに、レアは恐怖に顔を引き攣らせる。
「な、なに……なんなの……ひぁっ!? え!? う、うそ!?」
ナニカが、秘所に触れた。しかし、レアはそれが当たり前に何であるか分かった。分かってしまった。
「待って! いや! だめ!! 離して!!! いやあぁ!!!」
途端、レアは恐慌状態に陥り、折れた両腕でフォンガルフを押し返す。身を貫く激痛すら今は気にならない。何とか隙間を作ったレアは、千切れそうになる足の灼熱を無視し、体を捻ってうつ伏せになる。そしてフォンガルフの腹の下から這い出そうと、動かぬ四肢を無理やりに動かした。
だがレアは気付かなかった。無理に体を捻った影響で、肉感のある臀部が突き出され、よりフォンガルフが行為を行いやすい体勢になっていることを。
ぐる、とフォンガルフが嗤う。彼は必死に逃げ出そうとするレアの両肩を、両の前足で押さえつけ、マウンティングを行う。振り向くレアの銀眼は、絶望と恐怖の色に塗れていた。
「いやぁぁ!!! だめっ!? 交尾だめぇっ!!!」
交尾。そう、交尾だ。レアの秘所に侵入しようと今も押し当て続けられているのは、紛れもなくフォンガルフの生殖器だった。太く硬く長いソレは、先端を何度もレアの陰唇に擦り付け、隠れ潜む小さな膣口を探している。
「だめ! ヒトとエネミーが交尾なんて絶対だめぇっ!!! はなして! あかちゃんなんてできないんだよ!? なんで!? いやぁ! いやあああっ!!」
ずりずりと陰唇を擦る感触は、キャンプシップで耽った自慰とは一線を画していた。只管に不快、不快、不快。口を犯されたのとは訳が違う。本物のレイプだ。
「やめて! そんなにしたいなら口でいくらでもするから! お、お願い!! いや! お口レイプしていいから! 交尾だけはやめて!! あぁっ!?」
フォンガルフの体重に押さえつけられたレアは、もはや廃材にすら見える手足を動かして抵抗する。そして、
「――ぃ」
見つかった。
「いやあああああああああああああああぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!」
レアの絶叫が迸る。
ずぐぅっ、と、小さな膣口に極太の怒張が無理やりに押し入る。純潔の証がぶちぶちと引き千切られる音と痛みがレアの全身に木霊する。無遠慮な侵入者は未開発の道を一気に拡張、瞬く間に征服し、女性にとって最も神聖な場所へと強制的に接吻する。その衝撃は精神的にも肉体的にも、凄まじいものだった。
「……ぁ……ぁぁ……ぁ」
レアは胃に残っていた獣精を再び吐き戻し、溺れるように口から泡を吹いている。銀眼は半眼に裏返り、意識を完全に捨てている。無理やりに引き裂かれた秘所からは、ぽたりぽたりと純潔の名残が零れ落ちていた。
しかし、フォンガルフが動きを止めたのは、ほんの僅かな時間だけであった。
「……ぁが!? ぎ!? ひ!? ぎ!? ぎゃ!? やめ!? あ!?」
強烈に始まった前後運動に、レアの矮躯が玩具の様に跳ね回る。銀髪が振り乱され、白濁の海がさざ波立つ。
フォンガルフが腰を引けば、レアの陰道が引き摺り出される。反対に腰を押せば、裏返った襞肉が無理やり押し込まれる。前戯をすっ飛ばしているため、愛液など分泌されていようはずもなく、ただただ地獄の擦過がそこにある。
「あ゛!? が!? あ゛!? じ!! げ!! ぎゅぅ!! ぃぎ!! づぶれ!! うぎ!!!」
正に獣そのものの大ぶりな抽送に、レアは潰れた声を上げ続ける。体重100キログラムにも及ぶフォンガルフに押さえつけられ、その衝撃を逃すこともできず内蔵へとまともに喰らっているのだ。更に、20センチを超える規格外のその怒張は、陰道を限界まで引き延ばし、子宮を叩き上げ、レアの内蔵を無茶苦茶に掻き回す。
「ぎ!! やべ!! はぎ! えぎ! ぎ!? ふぎ、ふぐぃぃぃぃぃ!?!?」
ただ歯を食い縛るレアをおもしろくないと感じたのか。フォンガルフはヴォフ、と一声啼くと、大ぶりな抽送から小刻みで高速な抽送へと動きを変える。膣壁がごりごりと削られ、子宮の入口が連続でノックされる。極太の怒張は悲鳴を上げるレアなどお構いなしに、己の欲望を叩き付け続ける。
「んぎいいいぃぃ!!! ひいいぃぃぃ!! げあぁぁあああ!!! ぐうぅぅぃぃぃ!!!!!」
鋼の肉棒が高速で襞肉全域をなぞる。子宮が殴られる。右へ左へ、奥へ手前へ。その刺激はレアの全身に共鳴し、細胞一つ一つが犯されているかのようだった。
「ぃぃぃいいい!! いぁああああ!! ああ!? あっ!? う、うそおお!? うそおおおおお!?」
強力な振動波のような抽送に啼泣を震わせ、滂沱の涙を流すレアは、ふと、その抽送の音質が変わってきていることに気付いてしまう。柔らかいものを削ぎ落とすかのような音から、粘度の高い液体が撹拌される音へと。それは肉体の防衛本能に従い、膣壁を守るために漸く愛液とも呼べぬ粘液が分泌されたからだ。しかし、レアはそんなことは知らない。前戯で濡らすことは知っていても、レイプされたときに膣がどうなるかなど、普通は知らない。
「濡れ!! 濡れてぇっ!? ぃぃあっ! な、んで!? 感じ! てぇっ!? うそぉぉおおおお!!?」
絶望に塗れた叫びがレアの喉から迸る。その脳内は疑問に埋め尽くされている。
なぜ濡れるのか。なぜレイプされているのか。なぜレイプで濡れているのか。濡れているということは感じているということか。エネミーとの交尾で感じるなどヒトの道に背を向けているのでは。
「んぐうぅぅう! ひぐぅぅぅぅ! ぅぐぉぅぅぅうう……ぅ」
絶え間ない責め苦の中、レアの意識が、ふ、と浮かぶ。まるで犯されている自分を外から眺めているような。銀眼を虚ろに開き、呻き声はか細く、ただ成すがままに蹂躙されている自分。それは一種の防衛本能、崩壊しかけたレアの精神が現実を拒絶しようとしたのだ。
しかし、フォンガルフはそれを許さなかった。
「……ぅ……っぁああああああああああああぉああああ!?!?!?!?!」
唐突に襲い来たのは、首筋を食い千切られるかのような激痛。フォンガルフが咬み付いたのだ。
その痛みに、レアの意識は強制的に引き戻される。エネミーとの交尾で感じているなどという現実に。
「ぎぃあああああ!!! あああああ!!! あああああああ!!!
(いたい! くるしい! なんで!エネミーにレイプされて感じて!! ……感、じて?)」
そこで、疑問に思ってしまった。
なぜ、エネミーとの交尾で感じてはいけないのか。
「(そう、そうだよ。別にいいじゃない、感じてたって。いたいとかくるしいとかより、そっちの方が何倍もいいはずじゃない・・・!?)」
レアの心は一種の現実逃避に走っていた。しかしそれにより、レアの心には決定的な亀裂が生まれてしまった。雌(レア)が、雄(フォンガルフ)を受け入れた。
「ぁぁぁあああ!!! いいいぃぃ!!! きてっ! もっときてぇっ!!!あぁっ!!」
その瞬間、レアの全身を襲う不快な怖気は、強烈な快楽に置き換わった。愛液が一気に溢れ出し、抽送の度に地面に飛び散る。膣全体が満たされる悦びに、レアの脳髄は歓喜に打ち震える。
これまで拒むような動きを見せていたレアの秘所は、一転、フォンガルフの陰茎を迎え入れるかのように蠢きだす。その変化を感じ取ったのか、フォンガルフはレアの首筋を離すと、オォォォン、と雄叫びを上げた。
「ぁあっ! いっぱい! きもちいいのぉっ!! エネミーにおかされてっ!! ないぞうぐちゃぐちゃにされてぇっ!!! こわして! もっとこわしてええええぇぇっ!!!」
苦痛に塗れていた筈のレアの顔は、いつの間にか快楽によってドロドロに蕩けさせられていた。絶望に沈んでいた絶叫も、一頭の雌としての悦楽に酔いしれる嬌声に取って代わられていた。
それに応えるように、フォンガルフはより一層激しく抽送を繰り返す。ぐちゅぐちゅと愛液が泡立てられ、ふやけた子宮口と肉棒が何度も何度も深い接吻をし、その度にレアは強い悦びに喘ぐ。
あぁ、自分はこんなにも求められている。強い雄が雌を孕ませようと必死に求めてくる。なんて気持ちがいいのだろう。
「ああぁぁっ! くる! きちゃうっ! だめだめ! ひとりじゃいや!! キスしながら! いっしょにぃっ!! いっしょにイカせてぇぇっ!!」
絶頂の波が近づいてくる。レアは言葉が通じないと分かっていても、かつて憧れた景色を幻視し、懇願する。手が使えないために肘と背筋で上体を起こし、唇を強請る。最後は、愛する人と、一緒に。
それをフォンガルフは感じ取ったのか、獣臭い口腔で白濁に塗れたレアの唇を甘噛する。ぬめぬめとしたフォンガルフの舌がレアの口内に入り込み、口蓋を蹂躙する。それにレアは必死に応え、短い舌を懸命に絡ませる。
「はぷっ……れぇぁ……んぐんぅ!やだ、ひとりはぃやぁ……」
二頭の愛を確かめ合う間にも、フォンガルフの抽送がレアを追い詰める。肉棒が膣壁を擦る度、子宮口に触れる度、絶頂の小波がレアの全身を震わせる。対してレアも、膣の周囲の筋肉を蠢かし、フォンガルフに絶頂を促していた。
「ぁはぁっ♪ ふくらんできたぁ! きて! きてきてきて!!!」
怒張が更に一回り巨大化する。それは射精の前兆。その動きを膣で敏感に感じ取ったレアはより一層、膣の襞肉を蠢動させた。
そして、
「きてきてきてきてイクイクイクイクいぐうううぅぅぅぅぅぅぅぅおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!」
絶頂。灼熱。
今までに経験したことのない大波に、レアは恥も外聞もなく咆哮する。同時に達したフォンガルフの肉棒からは、大量の獣精が吐き出される。その量はレアが口を犯されたときよりも遥かに多く、レアの秘所からは既に滝のように白濁が溢れ出していた。
「ぉぉぉぉおおおおお……ぉぉ、ぁ……」
一向に去らない絶頂の大波に、レアは全身を痙攣させながら何とか耐える。肘を突いて項垂れながら、絶頂に蕩けた顔面の穴という穴から体液を漏らし続けている。その表情は悦楽に染まり切っており、もはやヒトの尊厳というものを感じさせない。どくん、どくん、と胎の中で脈打つ異物への愛情が、レアに尊厳などという役に立たないものを捨てさせたのだ。
そしてレアは失念していた。フォンガルフの絶頂はこれで終わりではない。
「……ぉぁ、あぎ!? あぁあぁこぶがふくらっ!! いぎぃぃっ!!!!」
ただでさえ満杯となっていたレアの小さな膣の中で、フォンガルフは容赦なく瘤を膨らませていく。レアは絶頂と激痛の混ざり合う混沌にその身を切り刻まれ、半分白目を剥きながら歯を食い縛る。
そんなレアに構わず、フォンガルフは体躯をぐるりと反転させる。膨らんだ瘤が、陰茎が、襞肉ごと引きずり回る。
「ぎっ~~~~~~~~~~~!!!!!」
膣全体が捩じ切られるかのような痛み。しかし、獣精が断続的に放たれる度、絶頂の波が襲いくる。レアの感覚神経は混乱の極致に達し、痛みですら快楽に変換を始めていた。
「っは、ぁはっ、んぐぉ……ぉぉぉおおおお!!!」
再びの絶頂の大波。フォンガルフが尾結合の体勢を取り、本格的に射精を始めたのだ。
怒張の先端が子宮口に押し付けられ、針のような隙間にも関わらず直接的に子宮内部へと白濁が侵略を始める。本射精の精液は濃く、多く、瞬く間に命の揺り篭を征服する。だが射精は終わらない。次々と送り込まれる獣精が卵管へと逆流し、更には卵巣へと魔手を伸ばす。無数の精子の海に浸された卵たちは、ダーカー因子により強制的に受精させられていく。そして、全ての卵が受精する。残酷なことに、レアはもはや、ヒトの子は望めない体に改造されたのだ。
しかし、レアに悲壮感は全くなかった。
「おぉぉぉぉっ!! たまごぉっ! ぜんぶじゅせいいいいっ!!! おほおぉぉおっ!! ヒトじゃなくなっちゃったああああぁ!! いぃぃぃぃひぃぃっ!!」
胎内の様子をホロウィンドウで観察していたレアは、狂ったような絶頂の大波に呑まれ続ける。愛するモノとの赤ちゃんができるのだ。これを見ない訳には行かない。ヒトの理屈では否定しつつも、雌の本能から受精が行われるだろうと気が付いていた。だからレアは、ヒトであることを完全に止める為に、その様子を観察しようと決めた。
けたけたと嗤うレアの胎内で、フォンガルフの怒張は獣精を吐き出し続ける。その量は既に先の口内蹂躙の時を超え、しかしより小さな膣のため瘤により殆ど外に零れない。それ故に、レアの腹部は段々とその大きさを増していく。
「ぉぉおぉぉお! じぎゅ! ふぐらんでぇっ!! あああぁあ!!」
急速に膨らむ影響で、ミチミチと腹部の皮膚や筋肉が断裂する。破裂するのではないかという程にその腹は膨らみ、臨月の妊婦さながらだ。何とか内圧に耐える子宮の痛みに、レアは何とも言えない快楽を覚える。赤ちゃんを作る部屋が赤ちゃんの素でいっぱいになっているのだ。これが幸せでなくて何だというのだ。
「あかちゃん♪ あかちゃぁん♪ いっぱいぃぃぁぁあああ!!!! まってっ!!! ひっぱらないでえええぇぇぇ♪♪♪♪」
不意に、尾結合を続けていたフォンガルフが前へと歩き出す。そうすれば必然、結合しているレアの膣が極度に引っ張られることになる。ぐいぐいと陰茎を無理やり抜こうとする動きに、レアは目を白黒させながらも尻を振る。お互いの動きが合わさり、レアを再び絶頂の波が襲い、
「あっはああああああああああああああああ!!!!!!!!」
叫喚と共に、フォンガルフの怒張が、ずぼぉっ、と一気に引き抜かれる。瞬間、解放された圧力により、子宮内の獣精が轟を上げて噴き出す。
「おほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
子宮が一気に萎む快楽と喪失感、泥のような精液が勢いよく膣壁を擦る快感。その刺激にレアは背を逸らして咆哮し、辺り一面を白濁の海へと変える。噴出は長く、それだけの絶頂を同時にレアへと齎した。
やがて噴出が収まってくると、ぶびゅる、ぶび、と屁のような音と共に残った獣精が吐き出される。そうして名残惜し気に最後の獣精を吐き出すと、レアは糸が切れた人形のように、自らが作った白濁の海に崩れ落ちる。
「……ぁ、はぁ……ぁぁ……ぁ」
その銀眼の焦点は合っておらず、その銀髪は全体が白濁に汚れていた。極度の疲労によって身じろぐことすらままならない。
そして、レアの意識はそこで途絶えた。
レアの消息をオラクル側が見失ってから一月後。
その姿は未だ深い洞窟の中にあった。
「んほおおおぉぉぉぉぉぉっっっ!!!! あかちゃんでりゅうううううう!!!! イグうううぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
下品な絶叫が反響し、同時にべしゃり、と何かが落ちる音が響く。
ヌメヌメと気持ちの悪い白壁が不気味に発光し、洞窟内を薄暗く照らしている。その光にぼんやりと浮かぶ人影。人影は白壁に巻き込まれるように取り込まれており、股間を前方へと突き出し、グロテスクな秘所を曝け出している。
「まだああああ!!! あかちゃんんんっ!!! いっぱいうみゅのおおおおおおおおおお!!!!」
人影の腹は尋常ではないくらいに膨らんでおり、時折中で何かが蠢いてすらいる。明らかに尋常ではない。しかし、人影は歪んだ銀眼でその腹を愛おしそうに眺めており、まるで何事もないかのようだ。
「アナタとのあかちゃんんっ!! いっぱいうんでええぇぇ!!! だいかぞくううううっ!!! おほぉっぉおお、あかちゃんうごいたあああああ!!!!」
人影が腹から視線を外し、見やるその先。そこには一頭のフォンガルフが横たわっていた。だが、全身は骨と皮だけ、顔面からは掌のような気持ちの悪いナニカが生えている。呼吸すらしておらず、それは、ただの食い残しだった。
「あかちゃんんんっ!!! みんなきてくれたのおおお!!! おかあさんうれしいよおおお!!! うれじぐでいぐううううう!!!!」
人影は全身を痙攣させ、秘所からは黒く濁った液体を吐き出す。完全に、ヒトであることを捨て去っているようだった。
そして人影の周りに集まる影たち。それらは虫のような姿をしていた。
「あれえええええっっっ! なぁんでダぁぁカぁあなのおおおお!? あかちゃんんんんんっっ!!! なんでえええええ!?!? わかんないいいいいっっっ!!! いぐうううう!!! まぁいっかああああああ!!!!!」
そう、それはフォンガルフの子供などではなく、宇宙の敵、ダーカーたちだった。その中の一匹、蜘蛛のようなダーカー、ダガンが、人影の前で潰れる影へと近寄る。その影は先ほど人影から産み落とされたもの。それもやはり、ダーカーであった。ダガンがその影を突くと、影はぎゅる、と啼いて体を起こす。それはヴィドルーダと呼ばれる、ダンゴムシのようなダーカーであった。
ダーカーたちはヴィドルーダが歩けることを確認すると、それを連れてさっさと洞窟を去っていく。生んだ人影になど、興味はない。
「みんなあああああ!!!! ぃぐっ!! まぁ!! たねええええ!!!」
暗闇にはただ人影だけが残される。
そうして彼女――レアは、その生涯を虫の苗床として過ごしたのだった。
(´・ω・`)お愉しみいただければ幸いです。