---坂本一弥---
麻衣の部屋には蘭がいた。二人共全裸で抱き合っていた。俺は、ジャマにならないように、ソファに座り、二人の愛の語らいを見る事にした。
小刻みに蠢く腰。クチャ…クチャ…と小さな音が聞こえる。貝合わせってヤツの音か?目の前では、2体のビーナスの唇同士が重なり合い…なんか美しい造形物を見ている感覚になる。
「あっ!」
下にいる蘭が達して、蘭の腕が重力に負けていく。一息吐いて麻衣が、俺の気配に気が付き、
「あ…一弥いたの?」
頷く俺。
「今度の映画って、女子高校生同士の恋愛がテーマなの。だから、蘭ちゃんに協力してもらっていたんだよ」
撮影の為か?そうには見えなかったけど。
「俺なんかより、蘭と付き合ったら?」
「はぁ?何でよ?」
全裸で怒られても、恐く無い。座っている俺の目の前にあるアンダーヘアが濡れている。女性同士だとそうなるのか。
「で、用件は?」
「用件?あぁ…そうそう、女性週刊誌に、私のスキャンダルが載るんだって。でも、私的にはスキャンダルでなくて。事実なのよね。どう対応したらいいかな?」
「蘭との濃厚なプレイについてか?」
「違うわよ!一弥とのこと!」
俺とのこと?
「彼氏とのツーショット写真を入手したんだって」
「で、何?」
「彼氏ですって、公式に発表していいかな?」
「俺の前歴が載ったら、麻衣のダメージになるんじゃ無いのか?」
粗暴で粗野な俺…留置場三昧な日々だし。
「一弥のことがネックで芸能界にいられなくなるなら、引退してもいいと思っている」
俺の為に引退か?なんか、もったい無い気がする。
「引退して、どうするんだ?」
「一弥の秘書になろうかな」
それももったい無い気がするのだが。
「俺は先がわからない。もっと、有意義な将来を考えた方がいいよ」
「一弥の傍にいるって決めたの。だから…それに、全裸の美女が二人もいるのに、襲わない一弥は安心だし」
言われて見れば…二人共好みである。既に全裸であり、スタミナもだいぶ減っている。今襲えば、無茶が出来るかもしれない。
「まぁ、麻衣にまかせるよ」
ミサカ騒動で、少しグッタリ気味の俺。今後、インデックスとミサカに振り回されるんだろうな。先行きに不安が…
「うん?もう、帰るの?何もしないの?」
う~ん、何かした方がいいのかな?
「今日は止めておくよ。蘭との余韻に浸るといい…」
そう言い残し、自分の部屋に戻り、寝落ちした。
◇
翌日…なぜか、インデックスとミサカが添い寝をしていた。う~ん、性欲処理の対象外物件なのだが…起こさない様にベッドから出て、学校へ行く準備をしていく。
食卓に向かうと、麻衣が近寄って来た。
「どうすれば、その気になるのよ!」
「そそるシチュエーション次第かな?」
「それは、私と蘭ちゃんの全裸はそそらないってこと?」
「おいしそうだよね。今朝起きて、もったい無いことをしたと反省中だ」
「そう…そうだよね」
妖しい笑みを浮かべて、俺の隣に座る麻衣。
「一弥さん、どうでしょうか?」
制服姿でアーシアが恥ずかしそうに現れた。
「うん。似合っているよ」
「そうですか」
うれしそうな顔のアーシア。
「一弥の好みがわからんわ~」
って、和葉。
「俺の好み?そうやなぁ~、なんやろ?」
特にウザく無ければ、問題無いと思うが、
「園子はあかんなぁ」
あの女だけは受け入れられない。
「お兄ちゃんは、高飛車な女性はNGですよ」
って、ウザミンが解説しているし。いや、ウザいのも、ウザミン以外はNGである。って、正式に足抜け出来た翼紗は、全裸の刑を終え、服をちゃんと着用しているし。彼女が足抜けしたシトリー家という貴族家系だが、医療に特化した家系のようだ。友好条約って言うのを締結したので、何かあれば、治療に協力してくれるそうだ。まぁ、何もないことが一番ではあるけど。
「最近の興味は、翼紗だな。アンダーヘアが髪の毛と同じ、鮮やかなグリーンだし」
「一弥の興味の基準って、そこか?」
「麻衣のも好きだよ、毛先が柔らかいし」
「あっ!私は金髪ですよ」
アーシアがアピールしている。
「アーシア、無理に合わせなくてもいいんだよ」
「いえ…今は、一弥さんがお気に入りですよ。基本、優しいですから」
基本?俺のオプションは優しさが無いのかな?
食事を終え、学校へと向かう。アーシアは、俺達のクラスに転入した。
---江戸川コナン---
う~ん、蘭と付き合う意味が、コイツにあるのだろうか?博士の家に行くと、女性週刊誌があり、そこには桜島麻衣の彼氏として、アイツが載っていた。
「イケメン系では無いのに、どうして、彼を選んだのかしらね」
って、灰原も腑に落ちないようだ。通学の様子を撮影されたようだ。アイツの腕に抱きつく桜島麻衣。となりにいるのは蘭っぽい。両手に花状態か…
「アイツのどこがいいんだ?」
「探偵の娘と売れっ子女優では、勝負ありって感じよね」
俺だったら、迷わず蘭だな。アイツが桜島麻衣に走れば、問題は解決ってことか?
「なぁ、二人の馴れ初めは書かれているのか?」
「桜島麻衣に直撃取材はしていないみたいよ」
事務所が強いのか?いや、それなら、記事自体が没にされるか。
「ネットで炎上しているみたいね」
ネットを見ると、アイツの悪い噂がたくさん書かれていた。擁護する発言がまるで無い。やはり、ロクでもない男なんだろう。どうすれば、蘭の目が醒めるのだろうか?アイツの実情を知れば、アイツの元を去ると思うんだが…
「探偵の娘、桜島麻衣以外にもいるみたいねぇ。なんで、こんなにモテるのかしら?」
確かに…女刑事ってある。まさか、美和子さんか?後、シスター?警察のお偉いさんの娘?お金持ちの娘?ってある。どれも、浮気症の男性に惚れるとは思えない顔ブレなんだが…
誰に訊けば、情報を得られるかな。園子はガセネタの宝庫だったし。服部はどうだろうか?いや、世良がいるか。
世良に連絡をしてみた。
『うん?工藤君か?』
「あぁ、久しぶりだな」
『久しぶり?まぁ、久しぶりかな。で、用件は、一弥のことかな?』
「そうだ。週刊誌に書かれていることは、事実か?」
『うん?あれって、園子が売ったネタだと思うよ。ネットの書き込みもそうだし』
はぁ?園子が?
「なんで?」
『一弥に彼氏を潰されたから、仇討ちなんだろうね。まぁ、一弥は気にしていないけど』
京極真を病院送りにした仕返しか?
「京極真の容体は?」
『重症らしいよ。ペニスが裂傷で、形成再建術を受けているとか』
男として、終わったのか…そりゃ、仕返しをするわな。
『蘭ちゃんも、気にしていないようだよ。工藤君の株は、誰も興味無いくらに暴落じゃ無いのか?』
そんなにか…おいおい…
「世良から見たアイツってどうなんだ?」
『どうって…う~ん…私を女として見ていないかな。まぁ、蘭ちゃんが全裸で居ても、襲わないらしい』
蘭の全裸を見て、襲わない?アイツも男として終わっているのか?
『頼れば、頼りがいもあるし。私的にはナイスガイだよ。姿を中々見せない工藤君よりも、上だな』
そこが問題なのか。
「情報をありがとう、また掛ける」
身近にいるヤツの評価が高いのは何故だ?
---服部平次---
女性週刊誌にアイツが載っておった。桜島麻衣の彼氏やと…はぁ?あのクソったれがか?!和葉を俺から奪い取りやがって…どうやって、仕返ししたろうか。いや、まず和葉を奪還せにゃあかんな。
大阪から出ることを許さないっておとん。そんな大阪府警の目を盗んで、バイクで東京へと向かった。相棒には工藤がおる。アイツも蘭ちゃんを奪還したいはずや。
「服部…お前は懲りないのか?」
「今回は大丈夫や。和葉と蘭ちゃんを奪還するでぇ、工藤!」
本人達の意志で、アイツの傍にいるんだぞ。それって、奪還でなくて、誘拐になると思うんだけど…
「下校途中で奪還するんや。部活をしておらんアイツとは、一緒に下校をしていないそうや」
それって、園子情報か?
「協力者から、捕獲済みって報告も来たでぇ。ほれ、後へ載れよ、工藤!」
既に誘拐済みなのか…おいおい、どうなるんだ?
◇
鈴木家の別荘に監禁されている蘭、和葉、紅葉。暴れたのか、薬で眠らされていた。
「これから、彼女達の洗脳を解きます」
園子が手配した精神科医により、催眠術を掛けられていく三人。
---坂本一弥---
数馬、ウザミンの目の前で、蘭、和葉、紅葉が攫われたそうだ。
「兄さん、どうします?」
手がかりはウザミンのメモした車両ナンバーだけのようだ。俺は由美、美和子に捜査を依頼した。素人が捜査に加担すると迷惑だろうから。
「捜査は警察にまかせた。首謀者を調教するかな」
首謀者は分かっている。あの女だ。週刊誌にネタを売ったのもアイツだ。ネットへの書き込みもだ。で、下校時に狙いを定めたのも、アイツの指示であろう。あのメンバーで帰宅をしていて、営利誘拐で攫われる順番は、アイツ、数馬、ウザミン、紅葉の順である。蘭を攫ったところで金は期待できないし。なのに、アイツは攫われる事無く、置いて行かれた。それは、この誘拐は金目当てでは無いってことだ。
そうなると、恨み理由の誘拐の場合、蘭、和葉、紅葉では関連性が見えない。これが蘭、園子であれば、工藤君絡みの可能性があるのだが。
---鈴木園子---
蘭たちの洗脳が解ければ、アイツは孤立するだろうな。ふふふ、私を怒らせると、どうなるかを思い知らせて上げるわ。って…目の前が真っ暗になり、意識が目覚めると、首に首輪を嵌められていた。全裸で床に倒れていた。ここは、私の部屋?
「園子、やってくれたなぁ」
アイツがいた。無表情のアイツがいた。マズい…マジキレしているんですが…
「あぁ、いくら騒いでも、声は出ない。だから、気にするなよ」
「うっ…あっ…」
声が出ない。何をしたんだ?コイツ…
「蘭達に惨いマネをしてくれたようだな」
まだ、していないはず…時計の方へ視線が持って行けない。真後ろだ。
「お前には躾が必要なようだな」
マズい逃げないと…首輪のせいで行動範囲が狭い。アイツに掴まり、四つん這いにさせられて固定された。何をするの…股間に何かを入れられたようだ。体内でシュワシュワしているようだ。徐々に悶悶としていき、太股に暖かい液体が伝い落ちていく。
目の前にアイツのアレが…
「おい、舐めろよ、メス犬!」
声が恐い…あぁ~、床に暖かい液体がバシャバシャと漏れていく。
「お前は自分の部屋で用を足すのか」
あっ!ビデオカメラで撮影しているのか…どうするんだ?失禁映像を…
「萎えるなぁ。お前相手だと」
お前なんか、インポになればいんだ!うっ…何かを入れて来た。前の穴と後の穴に…
「不衛生なお前の身体じゃ、生身は汚染されそうだ。機械相手で堕ちろ!」
次の瞬間、体内で何かが踊り始めた。いやだぁぁぁぁ~!
拘束を解き、部屋の灯りを総て消して、立ち去るアイツ…ちょっと、待ちなさいよ…このままだと、家族に見付かるのか…こんな醜態を見られたくないんですけど…
---佐藤美和子---
蘭ちゃん達が下校途中で誘拐されたと、一弥から連絡が入った。警察嫌いの一弥は、110に連絡せずに、私に直に連絡をしてきたのだった。
「警部、一弥からです。蘭ちゃん達が誘拐されたそうです。誘拐した車のナンバーは…」
丁度、事件が終わって、職場でのんびりしている時であった。
「なんだと。おい、みんな、捜査を開始する。まず、車の持ち主を調べ、車両はNシステムで探し出せ!」
目暮警部や、みんなの脳裏には、なんかをやらかし、留置場にいる一弥が浮かんだかもしれない。捜査が遅れれば、一弥が手を出す可能性がある。
「彼が手を出す前に、解決してくれ。いいな、みんな」
「「おぉ~!」」
「佐藤君、君は彼の傍にいてやってくれ。しでかす前に止めてやってくれ」
「わかりました」
って、一弥の元に着いた時には、やらかしていた。首謀者を割り出し、躾をしていた。
「一弥…」
「アイデアを出しただけで、何も罪に問われることはしていないって…ふざけた事を言うでしょ?このクソ女は!」
一弥がキレているようだ。こんなにも冷たい眼をした彼を見た事は無い。
「一弥…」
一弥に抱き付き、落ち着かせる。
「美和子…俺のせいで、蘭たちが…」
「一弥…」
彼の名前を連呼することしか出来ない。何を言って上げればいいのだろうか。一弥への恨みの犯行は明白である。
「どうせ逮捕しても、金に糸目を付けず、優秀な弁護士団を付けて、無罪放免の上、のうのうと生き続けるのだろうな、このクソ女は…だから、金持ちは嫌いだ」
次期当主の座を固辞しているのは、嫌いな職業に就きたくない為…そんな気がした。
「一弥…」
「大丈夫。クソ女は殺さない。生きて苦しんで貰うから」
「何をするの…」
「海外のサーバーから、失禁ビデオをネットで流す。それだけで十分だよ」
惨い…これを流すのか?撮影データを見せてくれた。四つん這いになり、用を足す鈴木園子…失禁ってレベルでは無い…
なんか、悪い方へ知恵が付き始めた気がする。
「一弥…」
あぁ、言葉が浮かばない。一弥の気持ちも分かる。抑えているのが分かる。本来の一弥なら、素手で殴り込みを掛けているはずだ。だけど、その行動を抑えて、考え抜いた答えがこれなんだろう。
「一弥…一緒になる?」
心が闇に染まる前に、止めないと…傍にいてあげたい。
「え…でも…美和子は天職なんだろ?」
一瞬、戸惑う一弥。一弥なりの理性は、生きているようだ。
スマホが鳴動した。目暮警部からで、蘭ちゃん達を救出したと連絡があった。それを一弥に知らせると、
「無事ではなかったんだね」
って…そうだね。無事って言葉は無かったよ。
---坂本一弥---
蘭たちが収容された警察病院へ、美和子と共に向かった。蘭たちの病室を訊き、そこへ急ぐ。そこはICUだった。ガラス越しに蘭たちがベッドに横たわり、色々な装置が付けられていた。
「洗脳を解く治療をしたそうだ。その為、色々な薬剤を打たれたそうだ」
目暮警部からの説明…洗脳されていない者に打って良い薬では無い。現在は精神錯乱状態なので、鎮静剤で落ち着かせているそうだ。
「俺のせいか…俺が恨みを買ったから…」
「違う。逆恨みだよ、一弥君」
逆恨みだと…まさか、服部か…
「主犯は服部平次だ。しかも、彼が手配したとは思えない医療関係者も関わっていた。たぶん、黒幕は鈴木財閥と大岡家のようだ」
アイツらか…クソの集合体なのか。ソレよりも、今は蘭たちのことだ。ここでは治療に現界がある。そうだ、先進医療を研究しているシトリー家ならどうだ。早速、ソーナへ連絡をした。