---佐藤美和子---
一弥に随分と会っていない。最近、留置場に送られることも無く、良い傾向であるけど、なんか物足り無い。今日は一弥の帰国予定日だし、今日こそは帰りたい…
「おい、みんな、聞いてくれ!」
内線電話で通話していた、目暮警部が突然、大声を上げた。
「羽田空港で、テロが起きるかも知れないそうだ。公安と共に、捜査一課全員で、テロを未然に防ぐぞ!」
テロ?どうして、羽田空港?成田で無くて?あっ!
「まさか、警部…狙われているのは…」
「佐藤君は、自宅で謹慎いてくれ。関係者は関わらせない」
警部の言葉…それは、一弥が狙われているってことだ。
「どうして?ねぇ、どうして、一弥が?」
警部に詰め寄る。
「落ち着き給え、佐藤君。君らしく無いぞ!」
私らしくって、何?なんで、一弥が…
「いつ、着陸なんですか?」
白鳥君が冷静に質問している。
「それが、公安でもわからないんだ。彼の周辺に、テロリストと内通している者がいるようだ」
一弥の周辺に?誰だ…一弥を狙うヤツは…
「佐藤君は、由美君と自宅にいてくれ。彼から連絡があったら、この事実を知らせてくれ」
あぁ、連絡係…現場で護りたいのに…一弥…無事で帰って来て…
---安室透---
組織はどうやって、彼のスケジュールを知ったのだ?公安でも手に入れられない情報を…今回の作戦は、公安の仲間に知らせた。未然に防げるかは、不明であるけど。
「バーボン!私達は、あのビルから狙撃よ」
空港まで2キロ?どうやって、狙撃するんだ?ライフルじゃ、プライベートジェットは落とせない。ビルに入ると、ハンディースティンガーが、準備されていた。これで落とせと?
「バーボン、それらを持って。屋上へ行くわよ」
ベルモットが予備の弾の入った箱を持ち、階段を昇っていく。俺は後に続いた。何故、この場所なのかは…屋上の真上を着陸態勢の飛行機が次々に通過していく。真下からの狙撃か…戦闘機で無い限り、たぶん回避は出来ないだろう。
「飛行機の腹まで150メートルよ。戦闘機でも避けられないはず」
組織は確実に堕とすつもりだ。
「アイツらは?」
アイツらとは、ジンやウォッカ達のことだ。
「船から撃つようよ。万が一に備えて、対地、対空のミサイルを満載したヘリで、追撃をするって」
彼は逃げ場が無いようだ。例え、俺がベルモットと心中しても、救えないと思われる。何か、手はないだろうか?
---土御門元春---
快適な空の旅である。ホームシックの一弥は、五和とねーちんにまかせてある。家まで保つだろうな。
「おい!ちょっと、いいかな?」
番外固体のミサカが話し掛けてきた。何か、非常事態な予感だ。ヴァーリとインデックスを呼びだした。
「どうしたんだ?」
ヴァーリがやって来た。インデックスは、お菓子を満載したカートと共に登場だ。
「ネットワークで、秘話通信を傍受したの。内容は、この飛行機の撃墜よ」
何?
「ヴァーリ、飛行計画は、誰に知らせた?」
「サーゼクスと米軍、あと空港関係者だけだ」
空港関係者か、後は大使館員か…どこからか、漏れたようだ。
「チャフは積んでいるか?」
「戦闘機では無い。積んでいない」
「パラシュートは人数分有るか?」
「テロを受けるなんて、想定していないぞ」
マズい…
「ネットワークで予定航路のレーダー網をハッキング済みだ。怪しい艦船を早めに見つけてみる」
って、ミサカ。とは、言うが…戦闘機に追尾されたら、逃げられない。
「後、衛星もいくつかハッキング済みだ」
軍事衛星か…そういえば、ビーム砲を積んでいるやつがあったな。
「よぉ!」
一弥が打ち止めのミサカを抱いて現れた。後には、ねーちんと五和、美琴がいる。
「ミサカから、話を聞いたよ。で、この飛行機を囮にしていいか、ヴァーリ」
一弥に何かが閃いたようだ。コイツ、基本的にバカだからな…
「それは構わないが、俺達はどうするんだ?」
「後続の飛行機に乗り移る」
絶句する俺達。コイツ、飛行中のジェット機からジェット機に乗り移る気だ。確かに後に、リアスのプライベートジェットと、天草式のジャンボが続いているが…
「リアスに確認したら、利用していいって」
コイツ…マジにヤル気だ。
「ミサカに頼んで、3機のコントロールシステムに、ハッキングしてもらってある」
いや。既に計画を進めているし…おいおい…
「この機の脱出口の真下2メートルに、リアス機の翼を置く。万が一を考えて、その翼の2メートル下に天草式の翼を置く。これなら、乗り移りやすいだろ?」
計画が具体的である。もう準備出来ているのか…ねーちんが扉を開けているし。
「必要な物は持ち出して」
「なぁ、着陸する空港を変えれば、避けられるだろ?」
「そんな避け方をすれば、家に残っているみんなが危ない」
なるほど…先を読んでいるのか。
「無人機の操縦は、ミサカネットワークで行う。今は公海上だ。乗り移るのに最適なんだよ」
って、ミサカを抱いたまま、ダイブした一弥。その後を、ねーちん、五和、番外、インデックス、美琴が続く。
「おい!土御門、置いて行くぞ」
アクセラレーターもダイブした。俺も行くか…
---安室透---
ついに着陸態勢に入ったそうだ。次の瞬間、海上から光の筋が数本見え、着弾したのを確認した。主翼2枚ともロストした流線型の物体が、空港目指して、落下していく。翼の接続部分からは火の手が上がっている。
「バーボン、逃げるよ」
俺とベルモットは、その場を逃げ出した。この上を通過する事は無い状況だからだ。空港まで1キロって処で、爆発を起こした。生存者はいないな。
俺のベルモットは車に乗り込み、その場を後にした。10分も経たない内に、テレビ、ラジオで、緊急特番が始まっていく。爆発炎上したのは、ルシファード帝国、次期帝王のプライベートジェットだと言う。
「マズいだろ…次期帝王の暗殺だと…」
ベルモットの顔から血の気が失せている。たぶん、俺の顔もだろう。彼だけなら、問題は少ないだろうが…
---坂本一弥---
見つけた…囮に対空ミサイルを撃ち込む貨物船だ。その貨物船目がけて、低空飛行をして貰い、船上に飛び降りる俺達。
「何?坂本一弥だと…」
俺の顔を確認すると、相手が銃弾を放ってきた。おぉ、戦闘ヘリが3機テイクオフしていく。だけど、天空からの狙撃により、ローター部分が破壊され、海に堕ちていく戦闘ヘリ達。
「ヴァーリ、リアス、生き証人は2名ほどでいいぞ」
「まかせろ」
「了解!」
リアルでの戦闘だぁぁぁぁ~、たのすぃぃぃぃ~!
---土御門元春---
俺、アクセラレーター、結標、海原は、成田へ向かう途中で、ハングライダーで都内を目指した。敵を狩る為だぁ。
「こっちは制圧したよ」
って、一弥から連絡があった。アイツらは、脳筋なバカ集団か?ジェットを低空飛行させて、船に乗り移るって…俺には出来ない。そんなバカなことを…
「組織のリストを手に入れた。生存者は、ボス、ラム、ベルモット、バーボン、キール…正体、本名は検索中だ」
番外の声である。ミサカネットワークって、恐いなぁ。ネットで何でも情報を手に入れられるようだし。一説によると、エシュロンすらハッキング済みらしい。ジョーカーと言われる所以の一端であるが…
「どうするんだ?」
「アクセラレーターは、ミサカネットから情報を受けてくれ。」
「わかったぜ」
「まぁ、一人一殺だにゃ」
正体がわからないと、難しいかな?
---ベルモット---
バーボンと別れて、クリス・ヴィンヤードとして、高級ホテルに身を隠した。マズい。結果的であるが、ルシファード帝国の次期帝王を暗殺したようだ。チェックインした部屋へ入り、テレビをオンにした。
ニュース特番が流れている。身体が震えている。得体の知れない恐怖が、襲い掛かっていた。何に対する恐怖だ?正体はバレていない。このまま、表の世界にいれば、問題は無いはずだ。
ベルモット名義のスマホが鳴動した。ディスプレイには非通知とある。誰だ?メールのようだ。
『みぃ~つけた』
と…何?部屋の周囲を見回すが、誰もいないが…
『処女かな?』
メールを次々に受信している。はったりだ。タバコに手を伸ばすと、
『あれ?タバコを吸うの?』
って…伸ばした手が固まった。背後に誰かがいる。この私が、気づかないレベルで気配を消せるヤツって…次の瞬間、首筋に打撃をされ…
◇
意識が朦朧としている。目の前にキールが置かれている。白目を剥き、泡を吹いていた。私の体内に誰かがいる。後から差し込まれていた。乳房を手のヒラで捏ねられ、身を捩っていた私。口には、バーボンのアレが入っている。そのバーボンは、全身に鞭打ちの痕が痛々しく残り、失神しているようだ。
「さすが、世界的に有名な女優さんだな。とても、気持ちがいい」
何?坂本一弥の声…生きていたのか…あの状況下で…
「で、どうするんだ?」
コイツは、ヴァーリ・ルシファーだ。こいつも生きていたのか…
「女性は、ペットだな。男は痛め付けて、情報を聞きだしてくれるか?」
「あぁ、分かったよ。ルシファード帝国に、ケンカを売る組織の全貌を知りたいし」
バーボンがヴァーリに引き摺られていく。違う部屋に連れ込まれるなり、バーボンの絶叫が聞こえて来た。何をされているんだ、あのバーボンが絶叫だと…それも失神状態だぞ。
「うっ!」
首筋に針の刺激…何かを注入されているのか…何をだ?針をテープで止めているようだ。静注か?
「ねぇ、どうかな。蜜は量産しているかな?」
耳元で囁かれ、耳タブを甘噛みされた。
「あっ…」
これだけの刺激で達しただと…全身の力が抜けていく。マズい、媚薬を静注されているようだ。このままでは、廃人になってしまう。
股間に粉薬のような物を、スプーンで入れている。過剰摂取になりそうな分量である。体内で弾ける刺激…感じた事の無い快楽の世界…底なし沼に沈んでいく感覚だ。逃げないと…
---佐藤美和子---
目の前に、一弥がいる。
「ただいま、美和子」
あの笑顔が、そこにあった。
「暗殺されたんじゃ無いのか?」
「美和子は俺が殺された方がいいのかな?」
「そんな訳ないでしょ」
一弥を全身で抱き締めた。一弥の身体だ。一弥の臭いだ。
「どうやって、生き延びたの?」
「イリュージョンは、種を明かさないんだよ。美和子の香り…なんか、久しぶりだな」
いつもと変わらない一弥と一晩を明かした。
---土御門元春---
ラムってやつとボスが見付からない。どこに潜んでいるんだ?ミサカネットワークを駆使しても見付からないようだ。まぁ、組織としては終わっているので、見つけ次第しばく方向に決定はした。
「なんで、俺が狙われたんだ?」
一弥専用のプレイルームで、新しい玩具と戯れながら、訊いて来た一弥。
「そこがわからにゃい。お前なんか、殺すには、大掛かり過ぎるだろうに」
被害はヴァーリのプライベートジェット機だけで済んだ。損害額は10億程度だと言う。
「そうだよな。お前、何か知っているのか?」
玩具のスイッチを捏ねる一弥。喘ぎ悶える玩具こと、ベルモット。
「言わないと、このスイッチをもぎ取るか?」
「遊べなくなるぞ」
「あぁ、それは困るなぁ」
世界的な女優であるクリス・ヴィンヤードの面影は、あまり無い。むしろ、廃人に近いかな。大量の媚薬を静注したと思わせたことによる、精神崩壊らしい。
「訊いても、答えられないようだにゃ。お前、壊しすぎだぞ」
「だって、知り合いじゃ、試せないだろ?」
思い込み効果に興味を持った末の顛末のようだ。このバカと来たら…
コンコン!
「兄さん、いいかな?」
「あぁ、入っていいぞ」
一弥の弟の数馬が入って来た。
「蘭さんに頼まれた解毒剤の件だけど、どうにか出来そうだよ」
どこかの組織の作った妙な薬の解毒剤らしい。被験者によっては、検出出来ない毒薬になったり、幼児化したりする薬らしい。
「そうか、出来そうか。じゃ、進めてくれるか?」
「うん…これを機に、製薬部門も作るかもしれないよ」
「そんな妙な薬は、売れ無いだろ?」
「だから、幼児化というか、個人差のある若返りのサプリって、方向性ですすめるよ」
「毒性には注意しろよ」
「わかっているよ」
そのサプリは興味があるなぁ…
---ベルモット---
まさか…坂本一弥でなく、坂本数馬が接触したのでは…一文字違いだし…組織は間違った相手に手を出したようだ。私達の組織は、裏の世界でも追われる立場らしい。裏の世界のキングを就任早々に暗殺しようとした、反逆者集団として…
この私をモルモットにしたのか…あの時、静注はされていなかったらしい。なのに、思い込んで…くそっ!脱走する気力は既に無い。両手は後ろ手に拘束されている上、首には首輪が嵌められている。
こんなガキの玩具にされるとは…頭を掴まれ、ガキのペニスに口を当てられた。条件反射で口に頬張り、奉仕を熟す。このガキに仕込まれ、メス犬になりさがった。腰を持ち上がれば、股を広げ、ガキを迎え入れ、腰が動く。いいように、調教されまくっている。
ここから、逃げ出して、ボスに連絡をしないと…バーボンとキールは生きているのだろうか?