※この作品はR-18です。

その男、粗暴につき   作:もっち~!

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拘束された一弥

---坂本一弥---

 

帰ろうと校門を出たところで、FBIの日本支局員に拘束された。なんか、やらかしたかな?車に載せられて、現在移動している。

 

「何の容疑ですか?」

 

「殺人の容疑だ。共犯者の佐藤美和子の身柄も押さえてある」

 

美和子も拘束されたのか?なんでだ?

 

「どうして?」

 

「君達は昨晩一緒にいただろう?」

 

まぁ、朝まで一緒にいたな。珍しく、美和子が定時帰宅したから…

 

「で、殺人ってなんだ?」

 

「惚けるのか?まぁ、いい。この後、じっくり、自白させてやる」

 

自白も何も、やっていないんだけど…

 

 

 

---土御門元春---

 

さすが、自国民を一番に考える国である。捜査をロクにしないで、ターゲットの一弥と佐藤刑事を拘束だと…呆れて、介入が出来なかった。いや、拘束するとは思わなかった。異国の地で…横暴である。

 

「どうするつもりだ?」

 

ねーちんの視線が恐い。俺の判断ミスか?美琴、番外、打ち止めの冷ややかな視線…五和は、いつでも俺をやれる間合いにいるし。困ったにゃ。

 

「たぶん、アイツらは、公海に出てから尋問をするんだろう。国内では、人権問題が生じるからな」

 

って、ヴァーリ。一弥達を載せて、車は横須賀に向かっている。軍艦に載せて、本国へ連れて行き、裁判で終身刑か死刑にされるんだろう。一弥達は無実なんだけどなぁ。

 

「飛行機を持って来たわよ」

 

英国第二王女であるキャーリサが、移動手段を持って来てくれた。ヴァーリの飛行機は破壊されたから。キャーリサは一弥の元へ押し掛けてきた。来る者を拒まない一弥の性格を理解してだ。きっと、あの狸ババァの入れ知恵だろうな。

 

「じゃ、一弥の乗せられた船が公海に出たら、救出に行くぞ」

 

公海上なら、この国とは戦わないで良いだろう。

 

「美和子お姉ちゃんも、同じ船だといいなって、ミサカはミサカは思います」

 

そうだな。別々だと厄介だ。

 

「で、誰が大統領に接触するんだ?」

 

「第一王女のリメエアが、既に向かっているわ」

 

なら、多少の無茶も平気か?

 

 

 

---リメエア---

 

彼に言われた言葉…王女である前に一人の女体だろ?

 

失礼なヤツである。女体呼ばわりとは…だけど、王女として扱われるよりも、信用は出来る気がする。30過ぎても王女って立場は、肩身が狭い気にさせられる。世継ぎを作るのに時間が無いとか、いつ、誰と、愛し合おうと私の勝手だと思う。

 

彼は私を一人の女体だと見ている。それはそういう視線で、見てくれているってことなんだろう。なんたって、彼は英国の王女3名にまったく興味を示さなかった。王女としては…

 

彼はキングとしての自覚はまるで無い。その気になれば、英国のキングにもなれるのに、意に返さない。

 

『政治関係は土御門に丸投げ、十字教は火織に任せる。適材適所だよ。俺は好きな女を護れるだけでいい』

 

って…キングの権力に見向きもしない。意味分かっているのか?たぶん、分かっているんだろうけど…上に立ちたくないのだろうな。

 

彼と会話をしてから、私はこれからの方向性を見つけた。私に出来ることをしていく。私に出来ることは、外交交渉だろう。戦略を練るのは楽しいからね。

 

◇

 

「英国の王女が表敬訪問ですか」

 

暢気そうに大統領が出迎えてくれた。

 

「いえ…真意を確かめに来ました。宣戦布告をされたのですが、本気でしょうか?」

 

戸惑う大統領。

 

「何かの間違いでは?」

 

「我々のキングが、FBIの捜査員によって、異国の地で逮捕されました。これって、どういう理由ですか?」

 

大統領が側近の者から話を聞いている。

 

「そのような報告は上がって来ていません」

 

「では、海軍とFBIの暴走ってことでいいですね?」

 

「海軍?どうして海軍なのですか?」

 

驚いている大統領。本当に知らないようだ。

 

「拘束された我々のキングが、横須賀から軍艦に載せられて、この国を目指しています」

 

「キングとは?英国に国王陛下はおりませんよね?」

 

「アンダーグラウンドのキングですよ。各国との調整をしてくれている人物です」

 

「暗部のボスですか…何かしたんでしょ?」

 

「彼はしてません。調査も捜査も無しに逮捕って、理由不在の拘束って、処分するつもりですよね、この国は…」

 

「汚い者は消えるべきです」

 

「彼は、十字教団の教皇のパートナーですよ。この国の十字教は、信仰の対象が代わったってことですか?」

 

調査をしていないので、彼が十字教の裏ボスって知らないようだ。大統領の顔から血の気が失せていく。

 

「あぁ、そうそう…あなたとの会話は、リアルタイムで配信しています。十字教の神父や牧師に向けてね」

 

「なんですって…」

 

言葉を失う大統領。国教である宗教のトップを拘束って…信者を敵に回す行為である。それは、選挙の票田を失うことに繋がる。政治家を倒すに銃器はいらない。票田を奪うだけで、平和的にクーデターは出来ると思う。

 

 

 

---坂本一弥---

 

船倉で自白を強要されている。目の前には美和子が吊されていた。

 

「おい、自白しないと、彼女がどうなってもいいのか?」

 

ありがちの脅しである。だけど、自白しようにも、ヤッタ覚えが無いし…困った。

 

「どうやって、拉致をして殺したんだ?」

 

パチーン!

 

「痛っ!」

 

目の前で、美和子が鞭で打たれている。ふざけたことを…

 

「美和子に手を出すな!」

 

「じゃ、洗いざらい吐け!」

 

吐き出す物も無い…どうするよ、これ…こうしてえん罪は、作られるのだろうな。

 

「わかった。では、君の彼女を、君の目の前でかわいがってやる。おい!溜まっているヤツを呼べ!」

 

はぁ?美和子を公開レイプか?ふざけるな。

 

カチャ!

 

拘束していた機具が外れた。瞬動術で美和子の傍に行き、美和子の周囲の敵を倒す。

 

「何!どうやって、はずしたんだ?おい!撃て!殺しても構わない」

 

げっ!銃弾が飛んできた。咄嗟にチタンナックルを装着して、弾を弾き飛ばしていく。

 

「なんだ、コイツ…銃弾が効かないだとぉぉぉぉぉ~!」

 

美和子の拘束も外し、奪った銃を美和子に渡した。

 

「援護してくれ」

 

「まかせてよ、一弥!」

 

美和子と、足掻けるだけ足掻こうっと…

 

 

 

---土御門元春---

 

一弥達の乗船した船を特定した。船団の旗艦である戦艦で、周囲にはイージス艦や駆逐艦、空母などがいる。潜水艦もいるんだろうな。どうするよ、コレ…

 

って、ねーちん、五和、ヴァーリ、番外、アクセラレーターがハングライダーで、飛び出していた。おいおい…ハングライダーは見付かり、イージス艦が対空ミサイルを撃つようだ。たぶん、目標はこのプライベートジェットだろうにゃ。

 

「キャーリサ、チャフはあるのか?」

 

「勿論、積んでいるわ。どこかのアフォな次期帝王機とは違うわよ」

 

凄まじい空気振動を受けた。まだ、ミサイルは飛び出す前だけど、なんで?下を見ると、イージス艦から火柱が上がっていた。あぁぁ~、打ち止めかぁ。ハックした衛星から、発射寸前のミサイルを狙撃したようだ。

 

今度は、空母から戦闘機が飛び出しそうなんだけど…

 

「戦闘機はマズいわねぇ」

 

機銃で撃たれたら、チャフなんか効果無いし。離陸しようとする戦闘機。だけど、離陸する前に火だるまになっていく。おぉぉぉ~、番外が燃料タンクを狙撃していた。美琴は、船のレーダーを狙撃しているようだし。電磁砲持ちは敵にしたくないなぁ、って思ったり。

 

 

 

---坂本一弥---

 

倒した敵から、手榴弾を手に入れて、それを追っ手に投げていく。アンダースローで…敵の足元スレスレを飛び、敵が気づかずに、爆発に巻き込まれていく。う~ん、効率がいいのかな?

 

「一弥、ソレ、隙がありすぎるよ」

 

って、美和子。そうなのか。じゃ、普通にスナップスローで投げ込む。追っ手から逃げ切れたのだが、迷子になったようだ。ここはどこ?大きな扉があったので、開いて中へ入っていくと…エンジンルームのようだ。全自動な為か、誰もいないようだ。

 

「これって、原子力エンジンかな?」

 

美和子の声。一旦止めると、再起動するのに、膨大な電気がいるんだっけ?よし、止めてしまおう。こういう装置はエマージェンシーボタンってあるよな。それを探す。おっ!あった。これをポッチと押し込んで…装置からの音が途絶えた。その途端、電灯がナトリウム灯に切り替わった。これって、電源を消失ってやつかな?

 

「一弥、暗いから、余計に迷子になりそう」

 

って、美和子。あぁ、そこまで考えていなかった。懐中電灯を探さないと…

 

 

 

---番外固体---

 

一弥の右腕からの信号を追う。打ち止めに、艦内マップを送信してもらった。

 

「一弥はエンジンルームにいるみたいよ」

 

皆に知らせた。

 

「うん?エンジンが止まったのか?あのバカ、止めたのか?」

 

アクセレーターの楽しそうな声。電源喪失して、艦内はパニック状態かもしれない。チャンスだ。艦内に潜入した。

 

「ミサカは、艦橋を制圧してくれる?ヴァーリとアクセラレーターは暴れて、敵を引きつけて」

 

「わかった」

 

「まかせてくれ」

 

「あははは、愉しめそうだ」

 

火織の指示に従う。艦橋に向かう途中で、敵を無力化させていく。

 

 

 

---リメエア---

 

「なんだと…連絡が取れないだと…」

 

彼を乗せた船団と連絡が取れないらしい。意図的に連絡を取っていない可能性もある。

 

「ちゃんと、連絡を取ってくれてますか?」

 

「あ、当たり前だろ…」

 

大統領府の門の前に。十字教の信者が集まって来ている。スマホが鳴動した。メールが着信したようだ。メールを確認した。

 

『救出部隊が強襲して乗船。現在、捜索中』

 

とある。連絡が出来無いのは、船団に攻撃を仕掛けたのかもしれない。って、キャーリサの持ち込んだのって、プライベートジェットだよな。彼の暗部が良い働きをしているのだろうか。

 

「すまない。現状がわからない」

 

困惑している大統領。

 

「彼が生きて生還出来ることを祈っています。万が一…その時は、覚悟してください」

 

「その彼はそんなにエラいのか?」

 

「彼自身はエラいと思っていません。だけど、彼を買っている者達が、彼の生きたいようにサポートするだけです。権力利用して私腹を肥やす輩と違い、彼は、権力を使う気は無いと思いますよ。そんなリーダーがいても良いのでは無いのですか?この閉塞した世界を変えるには、今までにいないタイプの彼は、打って付けだと思います」

 

「わかった。もし生きていたら、友好条約を結ぶことにしよう」

 

もし生きていたら?死ぬ事が前提なのか?この狸ヤロー!許さない…

 

 

 

---坂本一弥---

 

ここはどこ…なんで、迷路のような作りなんだ?表に出られる階段はどれだ?

 

「プリエステス、いましたよ~」

 

五和の声だ。幻聴かな…

 

「一弥、大丈夫か?」

 

火織だ。幻が見えているようだ。

 

「美和子、大丈夫か?」

 

「えぇ、どうにか。一弥が、疲れているみたいで…」

 

疲れていないって。ちょっと、目眩がするだけだし。あぁ、火織の谷間…これも幻かな…もうすぐ死ぬのかな。

 

「おい!一弥、しっかりしろ…」

 

「プリエステス、これは、マインドロストかもしれません。能力の使い過ぎだと思います」

 

能力?俺に能力って、あったっけ?魔法は使えないし…なんか、みんなの声が遠くなっていく。

 

◇

 

いつの間に眠ったのだろうか?いや、ここは死後の世界か?

 

「良かった…一弥、大丈夫?」

 

なんで、蘭がいるんだ?これが走馬燈ってやつかな?両隣にインデックスとミサカが添い寝をしている。ここって、俺の部屋か?

 

「一弥、わかる?私よ、蘭だよ」

 

「あぁ…」

 

「意識障害かもしれません。疲労とマインドロストが重ねっていましたから」

 

アーシアの声だ。あれ?今までの船のことって、夢だったのか?

 

「美和子の治療は終わっている。心配はしないで、大丈夫だ」

 

火織の声だ。あれ?どういうこと?どこからが夢なんだ?

 

「なんか、混乱しているみたいだよ」

 

「落ち着いたら、事情を話せばいいだろう」

 

俺、どこか悪いのか?はぁ、眠い…

 

◇

 

連行されてから1週間後に、ベッドから抜け出せた。土御門曰く「将来出るであろう杭を先に抜こうとしたバカがいた」ってことのようだ。俺は将来出る杭になるのか…先祖のように暗殺される運命なのか?

 

「無い頭で考えてもしょうがにゃい。今を生きろよ」

 

って、土御門。そうだな、今を生きよう。人間、いつか死ぬんだし。久しぶりに、お散歩に出掛けた。行き先はSPACEである。入口業務をおたえとクリスがしていた。

 

「よぉ!どうだ、回転率は?」

 

「えぇ、こんな感じです」

 

クリスが帳簿を見せてくれた。二人で、俺の執務室へ向かった。執務室って行っても、4畳ほどの部屋で、売上リスト、仕入れリスト、帳簿の類いが置いてある。部屋に入り、鍵を閉めた。帳簿関係の仕事をする時、施錠をするルールになっていたから。クリスは帳簿が付けられるスキル持ちだった。なので、丸投げしていたのだ。

 

帳簿に目を通していく。レンタル楽器の需要があるようだ。試用目的のレンタル楽器を増やすのも手かな。ノートにアイデアを書き込んでいく。

 

「店長、お久しぶりですよね?」

 

やけに顔が近いクリス。う~ん…

 

「試用してみますか?」

 

いいのか?クリスを抱き締めてみた。うん?ノーブラな予感。指を這わして、感度をチェック。

 

「あっ!」

 

なかなか良さそうだ。

 

コンコン!

 

「たえです。店長、お話があります」

 

おたえの声だ。クリスから離れて、ドアを開けて応対する。

 

「久しぶりですし、調弦してくれませんか?」

 

「あぁ、そうだね。じゃ、おたえの帰るまでいるよ。クリス、帳簿を頼むよ」

 

「はい」

 

少し残念そうなクリス。また、今度だな…

 

 

 

 

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