---工藤新一---
目の前で、豪快に飯を食っている服部平次。飲まず喰わずで、東京まで移動してきたらしい。同居していたクリスは、母さんと共に、撮影現場へ向かった。父さんは、ホテルで缶詰らしい。
「で、どうやって、和葉を奪還するかや」
満腹になり、思考回路が動き始めた服部。だが、今日は月曜である。学校へ行くと思うのだが…服部はミスを犯した。遠回りで移動した為、1日余分に掛かった上、出発すら遅かったのが敗因である。
「今日、月曜だぞ」
「だから、なんや!おい、工藤!裏切るなよ」
はぁ~、こんだけ大声で話せば、隣家に筒抜けだろうに…
「じゃ、俺は学校へ行くぞ」
「おい!学校やと?ふざけるな。奪還が先や!」
いや、だから、学校にいるだろ?相手も…
◇
服部に噛み砕いて説明して、学校へ行く。服部も学校へ来るらしい。おい、誘拐するのか?前回の二の舞になるんじゃ…ははは。
家の外に出ると、門の処に、見知った顔が待っていた。コイツ、発信機付けられているんじゃ無いか?
「服部平次君、警視庁へ同行してもらおうか。君、東京には出入り禁止だよね?」
高木刑事が、そう告げた。
「なんやて…一弥のやつ、手を回したんか?」
通報するだろうな。アイツ、服部に関わりたく無いだろうから。
「さぁ、抵抗をせずに来てもらおうか」
千葉刑事が近寄って来た。服部はどうすんだ?
「くそっ!こんなに近くにいるのに…かずはぁぁぁ~!迎えにきたでぇぇぇ~!」
千葉刑事をやり過ごし、隣家との境にある壁をよじ登った。だけど…
「うっごぉっ!」
壁から落ちた。たいしたケガは無いが、意識は飛んでいるようだ。俺対策で、壁の上には電気柵が取り付けられているし…
「さぁ、来て貰おうか」
引き摺られて、パトに詰め込まれて、連れて行かれる服部…
学校へ行くと、遅刻であった。服部のせいだ。あれ?担任の先生が代わっている。どうしてだ?
「ジェミー先生は、週末に事故に遭い、現場復帰が難しいそうです。私は、君達の担任になりました若狭留美です。よろしくお願いします」
なんだろうか…どこか違和感がある先生。どこだろうか?って、考えていると、遅刻の定番、廊下でのバケツ持ちの刑を命じられた。なんで、俺が…服部のヤツ…
そういや、教室に紅葉も和葉もいなかったけど…揃って欠席か?
---坂本一弥---
放課後…明日奈の家へ…一緒に住んでいるのに、何故か家で話をしたいって…人払い系の話か?
「あっ!いらっしゃい」
明日奈の母親に歓迎されて、明日奈の部屋へ。
「どうしたんだ?」
「あのですね…お見合いの返事…していなかったから…」
モジモジしている明日奈。
「ごめんなさいだろ?それでかまわないけど。どうせ、形式上のお見合いだし」
「そんなことは無いですよ。お付き合いしてもらい、嬉しいですし。結婚を前提でお付き合いをしたいです」
結婚?
「結婚を前提だと、つきあえない。悪いけど」
「なんでですか?」
目に涙を溜めていく明日奈。
「縛るのは好きだけど、縛られたり、飼われたりされるのは、嫌だからだよ」
「じゃ、どうすれば、ずっと傍にいられますか?
「自然体で良いんじゃ無いかな?改まって、何かしようって、明日奈らしさが消えそうだよ」
突然、俺に抱きついて来た明日奈。胸の感触が…自然と手がお尻に…撫で回している自然体の俺。
「いいですよ、好きにして…」
明日奈から唇を…
◇
予定外に体力を使ってしまった。明日奈があんなにも激しいとは…ふと路地裏に目をやると、拳銃で脅されている女子を発見。脅しているのも女子だけど…なんで、拳銃を持っているんだ?二人の間に割って入り、拳銃を粉砕した。あれ?モデルガンのようだ。
「お前、何者だ?」
茂みから出てくる女子の配下のケダモノ達。殺してもいいのかな?へへへ…
結果、俺は留置場にいる。
「なんか、久しぶりだよね、一弥」
笑顔の美和子。
「あぅ…反省しております。過剰防衛ですよね」
10名程の男子高校生を病院送りに…
「分かっているなら、何も言わないけど…被害者の子から話も聞いたし、2日ほど泊まろうね。裏が取れるまで」
笑顔を絶やさない美和子。差し入れに、枕と肌掛けを持って来てくれた。
翌日、釈放された。身元引き受け人はキャーリサだそうだ。美和子は事件捜査に出て、来られないそうだ。
「街角のヒーローさん、どこへ行きます?」
「寒い…暖まりたい」
キャーリサとホテルへ…全裸で挑発するキャーリサ。だけど、放心状態の俺。久しぶりのコンクリートのベッドは、冷えすぎた…
「なんか、つまんないな?英国の女王に啖呵を切った人物と思えない」
「釈放直後は、いつもこんな感じだよ」
キャーリサという肉布団に包まれて、熟睡…
---土御門元春---
キャーリサとホテルにしけ込んだ一弥。
「英国の第二王女と裸で添い寝で、熟睡って…つまらないわ!」
あどけない寝顔の一弥。
「たぶん、マインドロストだ。その右腕は大食らいだからな」
魔法が使えない一弥には、きつい装備である。
「制作者に似るのか?」
「ちげえねぇ~。推測だが、一弥の精神が壊れないように、腕がなんかしたんだろう」
結構繊細な一弥の心。悪役を演じるには、優しすぎるんだろう。あの右腕はミサカネットワークともリンクをし、一弥の安全を確保する狙いもある。
「で、どうするの?」
「一弥に手を出したガキ共の親達は調べ上げて、利用出来るのは利用する。役に立たない奴らは消す。そんな感じだよ」
「私はどうすればいいの?」
「一弥の子守りを頼む。あぁ、ヤリたいときは、一弥の興味の対象になれ」
「わかったわ」
したたかな第二王女も、一弥に掛かれば、乙女になるんだろうな。
---ジョディ・スターリング---
ジェミーが処分されたそうだ。心を壊し、暴れたそうで、大使館内で、SP達の手に依って…
坂本一弥…恐ろしい相手だ。彼もなんらかのシステムで、人間離れした能力を持つのか?
「ジョディ、坂本一弥の件から手を引け」
シュウがアドバイスをくれた。彼は私達の仲間で、赤井秀一という潜入捜査官である。
「彼は悪い奴じゃない。俺とCIA、公安のモグラを組織から逃がしてくれた」
逃がしてくれた?そんな優しさが有ると思えないけど。
「どこかで、情報がねじ曲げられている可能性がある。坂本一弥を消す為にな」
情報がねじ曲げられている?
「誰がそんなことをするの?メリットは?」
「遠い将来、米国に不利益をもたらす悪魔を消す為だ」
悪魔…坂本一弥は悪魔なのか…
「それに、俺は彼に恩がある。その恩に報いる為、俺は彼のサイドになる」
シュウ…なんで…敵対しちゃうよ。
「助けられたモグラ達も、同じ意志だと思う。あの組織を潰してくれたからな」
各国の諜報機関、捜査機関がモグラを送り込んでも、潰せなかった組織を、彼が潰したのか?
「彼は、何者?」
「彼は…世界を変える者だ」
シュウの視線は遠くを見つめていた。
---坂本一弥---
出所明けだと言うのに…
「一弥、お腹ぺこぺこだよ~」
この『喰う寝る喰う』女と来たら…
「ねぇ、満腹になるまで寝かさないよ~」
疲れているんですが…
「ハンバーグって、ミサカはミサカはリクエストしま~す」
ミサカはかわいいから許すが…
「ねぇねぇ、この前のチーズケーキが食べたいなぁ」
美琴は成長期だから、しょうが無いとして…
「オカズも米はいやだよ~」
このダメシスターは…はぁ~
「五和の料理じゃダメなの?」
「一弥の料理が食べたいの~」
あぁ、明日奈のレバニラ炒めも作らんと。
「お~い、摘まみは無いのか?」
「はぁ?土御門は、未成年だろ?妹の乳でも吸っていろよ」
「出ないにゃ」
あぁ、なんか、住民が増えているんですが…
「焼きプリンって美味しいわね」
って、キャーリサ。いつの間にか、同居しているし。
戦場のような厨房。同じ戦場でも、拳が活かせる戦場が好きなんだけど…
◇
やっと、料理から解放された。もう0時だよ…お風呂に入らなきゃ…
なんか、心地良い乳房に身を預けている俺。
「あれ?ここは?」
「あぁ、お風呂場の前に倒れていましたので、一緒に…」
恥ずかしそうな五和の声。月明かりの綺麗な夜だ…
「私じゃダメですか?」
「ダメじゃ無い。五和で無いとダメだな」
「えっ…そうなんですか?」
「いつか、五和と食い物屋をしたい。ささやかな夢だよ」
「その言葉だけでも、嬉しいです」
五和の身体に包まれていく俺。身も心も温まり、幸せな気分になっていく。
「この世界から、戦争とかが消えたら…叶えたい」
「はい…私も尽力します」
◇
朝、目覚めると、自分の部屋のベッドに寝ていた。あれは夢だったのか?インデックスとミサカが添い寝はわかるが、何故ウザミンがいるんだ?ウザいんですが…
「ふぇ?あぁ、お兄ちゃん、おはようございます…」
目覚めたと思ったら、俺に抱き付き、もう一眠りするウザミン。コイツを強制排除すると、ミサカを起こしてしまいそうだ。どうするかな…
「兄さん、おはよう。あぁ、ここにいたんだ…宇佐美…」
数馬が、ウザミンを排除してくれた。これで起きられる。
「助かったよ、数馬」
「いえ…あぁ、そうそう。例の箱物が着工しました。貸しスタジオ部分だけ、先行オープン予定で、3ヶ月後くらいです」
「そうか。じゃ、オープンライブを企画するか。ポピパを主軸にして」
「そうですね」
そういや、クリスとかおたえは元気かな?
---山吹沙綾---
お店でパンを物色して、練習での差し入れとして持っていく。練習場のアリサの家へ向かう途中、後から抱きつかれた。徐に胸を揉まれている。
「一弥さん?」
「おいしそうなパンの妖精さんかな?」
うなじを嗅がれている。彼の鼻息で、下腹部に異変が…ダメ…こんな場所で…
「麻衣さんに報告しますよ。おたえがいいですか?」
耳タブを口の中で転がされている。ダメ…感じる…彼に身を預けた。
「あれ?体調が悪いのかな?少し休憩していくか?」
誰のせいで、体調が悪くなったと思っているのか。あぁ、ダメだ…悶悶として来た。
路地裏に連れ込まれ…連れ込み宿へ…えっ、ラブホで無いのか?そこは部屋に露天風呂があった。服を脱がされていく。抵抗する気はない。彼に身を預けている私。こんなにも大胆だったのかって思える。
下着姿で、彼と抱き合う。そしてブラをはずされ、パンティを脱がされ…洗い場でスポンジでマッサージをして貰う。気持ちいい…プチ昇天を繰り返して居る感じだ。麻衣さんに抱かれた時と違う、感覚である。
湯船の中で交わった。腰掛けている彼に乗っかり、背位から突かれている。胸には彼の腕と手の平が、耳には彼の口が、脚には彼の脚が絡んでいる。徐々に、頭の中が真っ白になっていく…
気が付くと、私の上に彼がいて、寝ている。動けない…身体に力が入らない。刺さったままの彼…おたえもこんなことをしているのか。あんな細い身体で…麻衣さんだって…二人の卑猥な姿が脳裏に浮かぶ。こんなにも、私はいやらしい女だったのか。優等生を演じていただけなのかもしれない。
「あっ、おはよう。さーやは激しいんだな」
激しい?あぁ、記憶に無いよ。私、何をしたんだ?
「さすがはドラマーだ。足腰がしっかりしているんだな」
騎乗位でもしたのかな。
「そうだ、話をしないと」
「えっ、この体勢でですか?」
「あぁ、気持ちがいいから…さーやの身体は」
そうなのか。気持ちいいならいいか。
「新しい箱でオープンライブをして欲しい。ポピパを主軸にして、知り合いのバンドに声を掛けてくれるかな。予定は3ヶ月後から6ヶ月後だ」
坂本不動産のアリーナのオープンライブ…光栄である。
「わかりました。で…また、お願いできますか」
「もちろん…」
◇
アリサの家の蔵の地下に練習場があった。そこへ行き、彼から聞いたライブの話を持ち出した。
「やる。やるよ~」
って、喜んでいるかすみ。
「すごい…やりたいなぁ」
って、りみりん。
「スポンサーからの依頼だし、断る理由は無いな」
楽しそうなアリサ。おたえはバイトなので、ここにはいない。
「新曲をお願いね、かすみ」
「うん、がんばるよ」
---クリス・マンロー---
サブリナからメールが来た。
『蜥蜴の尻尾切り』
とだけ記されていた。雇い主が、私達を処分し始めたってことだ。まさか、ケリーとボスレーもか?ジョディに連絡をしてみた。だけど、
『お掛けになった番号は現在使われていません』
という、アナウンスが流れるだけだ。サブリナは消されたのか?次は私か?
『助けて…お姉ちゃん…』
姉の携帯の留守電にメッセージを残した。
夜の町を逃げ回る。追っ手がいる。追い込まれている気がする。人の多い場所に行くが、背中に銃口が当たっていた。
「ちょっと来てくれ。ミス・マンロー」
地下駐車場へと連れ込まれた。
「ここなら、防音だし。巻添えを作る事もないだろう」
目の前には、屈強な身体付きに黒いサングラスに黒服の男が、10名くらいいる。逃げられない。ここまでか…
「おい!俺の金庫番に何をしているんだ?」
えっ!一弥の声…金庫番?私が?
「ほぉ~、重要な獲物がノコノコお出ましですか?」
「一弥!逃げて!」
大声で叫んだ私。
「逃げる訳に行かない。これから行うイベントに、必要な人材だからな」
パシュ!パシュ!パシュ!
サイレンサー付きの銃声。次々に倒れる男達。
「貴様!」
私の後にいた男を倒した一弥。そんな一弥に抱き締められた。
「ジルから連絡を受けてね。仲間に、君を探してもらったんだよ」
「じゃ、こいつらはCIAでもらっていいかな?」
知らない女性…CAIの捜査官なのか?
「そうだな。FBIとか公安じゃ、捜査権限が無いし」
連れて行かれる男達。
「クリス、大丈夫か?」
御姫様抱っこされた…この歳で、これは…恥ずかしい。
「新しい箱物の経理を頼みたい」
屈託の無い笑顔の一弥が、そう言った…